黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

刑事裁判雑感

確定はまだだが、父の事件の刑事裁判は、今月、ようやく地裁判決が出た。執行猶予付きだから、被告人も控訴しないのではないかな。8月も終わりだし、雑感を少々書いておこう。

夫に言わせると「あれが演技なら助演女優賞もの」という私の意見陳述は、出だしで声がひっくり返ったまま、時間がないからと焦って続行したので段々ノドに力が入り、絞られて出てくる声がすさまじかったらしい。本人的にも苦しくて苦しくて、散々だった。

「あの場に行けば、緊張するってことだよね」と姉は閉廷後に慰めてくれ、いつもは私に辛辣な弟までも「感極まったってことか緊張なのか、まあ、お疲れ様!」とゼーゼーハーハー言っている私を労ってきた。終わった後もしばらく苦しく、ノドが弱っちいからまさに青息吐息だ。

意見陳述の直後は、なぜか裁判官が順序を間違えた。検察官の論告求刑も弁護人の弁論もすっ飛ばし、被告人に最終意見陳述をさせようと証言台に呼んでしまった。そして、検察官に「あのー」と止められて気づき、両手を挙げ、うわあ、というようにおどけてから「戻って、戻って」と被告人に指示する始末だった。

夫は「裁判官も意見陳述を聞いて、もう終わった気になったんだね」だと・・・そんなに聞く側を疲れさせちゃったかな。

今回の刑事裁判での私たち家族の所期の目的は「被告人に父の末路を知らしめる」ことだったので、何とかそのお役目は果たした。が、もう50年はやりたくない。父のための最後の親孝行だ。

何人もの遺族が緊張に声を震わせて意見陳述をする様を、これまでは傍聴席から見てきた。「それでも言わねばならない、大切な家族のためだもの」との声が聞こえてくるかのような真剣な後ろ姿。そんな皆さんに、心の底からエールを送りつつ、私はいつも勇気をもらってきた。

それで今回だが・・・経験できたのは父からのプレゼントだと思うことにするけれど、しんどかった。はい、私も頑張りましたよ。

若い被告人は、彼なりに理解したようだった。彼の心は彼のもの。どう感じたのか、こちらに真実は分からないが、傍聴席の私たち遺族に向かってじっと頭を下げていた。気持ちはあったと思う。


<裁判所での記録コピー>
さて、それからもう1つ書きたい。

判決の日には、初公判の分の訴訟記録の閲覧と謄写(コピー)を許された。しかし・・・これ、何とかならないものでしょうか? 

裁判当事者が当たり前のように手にする記録は、被害者の私たちには家族の大切な記録だ。だからこそ、希望したら当事者と同じように、苦労せず手にできるようにしてもらいたい。事件の当事者は、むしろこっちですから!

被害者側は、以前は司法協会に依頼してコピーしなければならなかったから、モノクロ1枚当たり40円かかった計算。そのため「全部コピーすると結構な高額になってしまうんです」との嘆きがあちこちから聞かれた。が、それに比べると、平成26年以降(たぶん)の現在は、自分でのコピーも可なので、金銭的には1枚10円。一応、前進していたとは思う。

でもね。すごく疲れたし、扱いが良いとはとても言えなかった。

荷物が積みあがり、物置になったような部屋の片隅に置かれたコピー機。遠くからだが裁判所の職員が私の行動を見ているのに加え、監視カメラ付き。かなりの枚数があるのに、「ファイルから外すな」とのことで、オートフィーダーも使えず、ファイルをめくり、1枚1枚ずれないように位置を確認してコピーを次々約100枚取るのって重労働でした、ポンコツおばさんには。

ずっと立ちっぱなしで、5時までには終わらないといけないし、涼しくもない部屋で熱中症寸前だった。

それに、なーんか空気がぎくしゃくして、居心地が悪い。まず手続きをする場に案内され、自動ドアが開いた瞬間、職員の男性陣が振り返って一斉に私を見たが、視線が冷たくてブルブルだ。あ、でも付いてくれた女性職員は悪い人じゃなかったですよ。世間話もコワゴワに見えて気の毒だったけれど、聞くことには短く答えてくれた。

そもそも、初公判後に記録の閲覧謄写を申請して帰りたかったのに、準備ができていないとかで、申請さえできなかったのもどうかしら。2日後に書記官から電話をもらい、申請用紙をファックスで送ると言ってきたが、ファックスが無いためPDFでメール添付でもらいたいと伝えた。ところが、メールはできないし、ファックスも被害者の娘宛てならともかく、コンビニ宛てでは送れないと。

娘だったらもう1人いるからと、姉宛てにファックス送信してもらい、姉から私へPDF化した書類をメールで送ってもらうことにした。受け取った用紙に記入して、速達で書記官に出したが、このかかった手間と速達代は、初公判に行ったときに、その場で申請できていたら要らないはずだった。

メールも、いつの時代の話なんだろう、と思ってしまう。被害者とやり取りする専用のメールアドレスぐらい、各裁判所に1つずつ用意してくれたっていいのに。裁判所のサイトから必要な用紙がダウンロードできないかと聞いてみて、できないとも言われた。

何回も電話をくれた書記官が、気を配って急いでくれたのは分かる。そういう個人的な気づかいとか努力の話じゃなくて、裁判所のシステムとして被害者対応する気がないというか・・・はっきり言って迷惑そう。そんな印象。

司法協会に判決公判分の記録のコピーと送付を依頼した時も、書類には「原告」「被告」とあり、民事を想定しているものだった。「これ、民事用ですがいいんですか」と確認したら、それで良いと。刑事の被害者が記録を申請するための専用用紙は存在していなかったのか? それに、ここでも、なんであんなに司法協会のおじさんは不機嫌そうなの?

「コピー取りながら倒れてみたらよかったのに、そしたら裁判所の被害者の扱いがちょっとは改善されたかも」とも家族に言われたが、そうだったかも。


<検察でも>
残念ながら、この被害者に対するピリピリ感、不慣れ感満載状態は、「被害者とともに泣く」はずの検察についてもそうだった。

こちらでも、意見陳述を事前に確認させてほしいと言うので、メール添付で送ろうとしたら「被害者からのメールを受け取ることなどない」と笑われちゃって、検察宛てファックスをコンビニに送りに行く始末。そういった、なんだかなぁと思わされる点がポロポロあった。

ただし、年齢を重ねた副検事さんについては、姉などは「話を聞いてもらってスッキリした」と高評価だったし、私も同じようにちゃんとしてる人だと感じて安心して話ができたのだが、その副検事さんが異動。その後を引き継いだ若い副検事さんと、公判担当の検事さん。今後の被害者のために一言申し上げると、もうちょっと頑張ってもらいたいです!

確認の電話をしているだけなのに、自分が責められているとでも思ったのか叫ぶように「仕方ないんですー」って言ってみたり。こちらの言葉を勘違いして一瞬だったが声を荒げたこともあったし。被害者に対して、そんなに気が短かかったり勘違いして脅しててどうするんだ。

その頃は、こちらも訴因変更をもくろんでいた時期でもあったし、真剣に話をしているオバサンが怖かったのかもしれないけど、あなたたちに喧嘩を売りたいわけじゃない。もうちょっと話を落ち着いて聞こうよ。

こちらがあれこれ被害者ができるはずの事柄を「うちもしたい」と伝えると、慌てて法律の確認を始める若い検事さん。いざ公判となってからは、上申書で依頼してあった冒頭陳述の内容が分かる書面は「依頼を見落とした」とのことで、もらえなかった。まあ、裁判記録申請してもらうから、もういいんですけどね。

本来は悪い人たちではないのかもしれない。が、こちらが聞くまで何も説明しないミニマム対応って決めちゃってるのかしらね。それでは、被害者のための制度を予め知らない被害者だったら(普通はそうだよね?)困ってしまうだろう。

検察を頼りにしている被害者一般のために、よろしくご改善くださいませ!