黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

丸腰の内親王、名誉を守るには

お祝いの花も無し

 秋篠宮眞子内親王が「降嫁」して小室眞子さんとなられた。どなたかが指摘していたけれど、孝明天皇の妹・和宮親子内親王が徳川14代将軍の家茂に降嫁した時でさえも「身分違い」だと大騒ぎだったそうだ。もちろんと言うか、お相手の小室圭さんは民間人だ。

 けれど、小室さんが皇族でも旧家出身でもない民間人であることは、今や上皇后と皇后のおふたりともが民間出身なのであり、現代日本ではそこまでの問題にはもうならないはず。今回の結婚が、父の秋篠宮がコメントしたように史上「皇室としては類例を見ない」内親王の結婚だと言われるのは、例の金銭スキャンダルによって、正式な儀式もない、まったく祝われない結婚になってしまったからなのだろう。

 それにしても、26日のあの結婚記者会見。ツイッター上の指摘で気づいたけれど、小室夫妻が着いた席には、テーブル上に花が無かった。マウスとマイクだけ。絵面が寂しくなるわけだ。ただ新婚のおふたりに相応しい笑顔が無いだけではなかった。

 「お花ぐらい、ホテルがお祝いとして用意すればよかったのに」という声もあったけれど、たぶん眞子さんがお断りになったのでは? あの記者会見を見ての推測だけれど。日本のホテル関係者は、それぐらいのことには気づくし、やろうとするだろう。

有名税」対応では古い

 こんな祝福に遠いスキャンダルにまみれた結婚となってしまって、ただただご本人にもご両親にも、気の毒だと思う。どうしてこんなことになったのだろう。

 まあ、小室さんのお母さんの金銭スキャンダルが問題だと言われているけれど、指摘したいのは別の点だ。「守り切れなかった」と宮内庁関係者が涙したとも聞くが、このネット・SNS時代に、皇族を守る仕組みがあまりに古くて手薄で、お母さんの元婚約者側(に付いた週刊誌)の情報操作に負けた、ということではないか。

 ちょうど最近、女優の戸田恵梨香さん、水川あさみさんのおふたりも、週刊誌報道に怒髪天を衝く思いをしたらしい。

水川あさみ事務所、「事実と異なる」週刊誌報道を非難 「しかるべき措置をとる」 (オリコン) - Yahoo!ニュース

 この「有名税」と呼ばれて数々の有名人が泣き寝入りをさせられてきた、根拠のない・裏付けの乏しい問題報道がなされた時、これまでは「金持ち喧嘩せず」的にスルーするのが大人の対応であるかのように言われてきた。

 面倒ごとは誰でも嫌う。「被害者さえ口を塞いでくれたら、話題にもなったのだし、以前のように稼げればどうでもいい」。被害者の周りでさえ、そんな捉え方ではなかったか。

 結果的に、嘘の報道をされてしまった有名人の被害当事者の痛みは無視されるか直視されず、ひどい扱いに心を痛めるだけに終わってきたのではないだろうか。

 昔は紙の週刊誌だけ読む人を気にしていれば「人の噂も七十五日」で済んだのかもしれないが、現代はそうはいかない。記事はネットで配信され、SNSで増幅されて怪しげな尾鰭が付いて拡散される可能性も大いにあり、それがバッシングとなって返ってくる。

 こんな状況下で精神を病む芸能人が多いのも納得だ。悪名高いコンクリ詰め殺人の一味かのようにネット上で扱われてひどい目に遭ったスマイリーキクチさんの例以降も、最近まで枚挙に暇がない。命も失われている。

迅速に丁寧に火の粉を払うべき

 そんなリスクを目の当たりにすれば、皇族だけが無事でいられるとも思えない。人目にさらされて育ってきた皇族、特に興味本位に書かれがちな皇族女子については、もっと戦略的に積極的に守る広報体制を取るべきではなかったのか。

 具体的には、誤報があるたびに、ナルハヤで「違います」と合理的な説明を公表することだ。「被害者ノート」にも書いたことだけれど、誤報を打ち消すには、質のいい情報を当事者側がタイミングを失わずに早く出すことに尽きると私は思っている。そうすることで、誤報は力を失い、伝播しないと考える。

 そこでぐずぐずしてしまうと、「本当はどっちなんだろう」と迷う人までも最初に触れた情報の刷り込みで信じてしまうかも。訂正は迅速に、が肝だと信じる。

 宮内庁のホームページを見ると、「皇室関連報道について」の一番最近の項目は「週刊新潮12月24日号の記事について(令和2年12月18日) - 宮内庁 (kunaicho.go.jp)」なので驚いてしまう。昨年の話だ。この報道については上皇后さま関連なので、宮内庁も公式に反応できたのだろう。

 その報道前も以降も、眞子内親王の結婚に関連しては、山のように報道されてきた印象がある。でも、公式には反応できない範囲なのだろうか? 眞子さんご本人のコメント掲載ぐらいできたのではないか?

 誤報の1つ1つが、当事者の胸には突き刺さっているはず。立場上、女優さんのように内親王SNSで反論もできないのだとしたら、宮内庁が丁寧に火の粉を払う役割を代行するしかないはずだ。それが宮内庁には法規定でできないとしたら、できるようにするべきだろう。

眞子さんだからできた

 結婚会見は、下手を打ったようにも見えるが、今までの人生でいたぶられてきた思いがあるからこそ、眞子さんご自身が前に出て自分の気持ちをはっきり言いたかったのだろう。朝ドラの「おかえりモネ」でも言うように、人の痛みは当人にしか本当にはわからない。完全には代弁できないのだから。

 世間的にうまくやろうと思えば、病気を理由に眞子さんご自身は会見に出ないで小室さんだけが腹をくくり、誤報についての説明を記者にとことんすれば一番良かったかもしれない。弁護士になる人なのだから、それぐらいチャレンジしてほしかった。

 今後、渡米までにそれができるなら勝手ながら見届けたい。成功すれば、弁護士としても大いに株が上がるだろう。

 しかし、もし小室さんだけが会見していたら・・・それでは皇族女子が軒並み精神を病んできた惨状を、世に問えない側面があるだろう。眞子さんが表に立つのがインパクト的には必死さが伝わり、一番だった。

 振り返ってみると、お気の毒にもこれまで散々傷つけられてはきたように見えるけれど、メンタルをやられるまでには至らなかった皇族女子は(表に出てないだけの可能性もあるが)内親王までで考えるとサーヤこと黒田清子さんと紀子さま、佳子さまぐらい? 上皇后失声症、皇后は適応障害、少し前には愛子さまガリガリに痩せてしまった時期があったが、こちらの目には勝手ながら拒食症に陥っていたように見えた。

 惨憺たるありさまだ。娘がいたぶられていたのを見てきた紀子さまは、診断は下っていないまでも心はズタズタだろう。他の皇族もそうだ。

 眞子さんは、自らの複雑性PTSDの例を考えれば、姉としては佳子さまの行く末が本気で心配だったはず。それで、ご自身が晴れて民間人になった記者会見で、「怖い」と言われようが、ぴしゃりと言うことで問題提起して現状を変えたかったのではないかと、記者会見を見ていて感じた。

 あそこまで言わねばならないほど、皇族女子は追い詰められているのだと思う。(いや、男子であってもそうかもしれない。)もう限界だ。

 人権侵害同然の報道ぶりを受けても黙っていなければならなかった彼女たちの中で、これが言えるのは誰だろう。他でもない、生え抜きでしっかり者の長女・眞子さんだったのかもしれない。

 ちょっと、安倍晋三元首相の「あんな人たちに負けるわけにはいかない」的な敵味方を隔てる(というか、国民を敵視する)ニュアンスがかなり醸し出されてしまったのが残念だったけれど。もうちょっと宮内庁が頑張り、良い印象になるように文案についてはじっくり相談に乗ってほしかった。

内親王名誉毀損で告訴できないのか?

 ただ、宮内庁が既に信頼を失っていた可能性は高いだろうなあ・・・あのHPの記載では。「頼りにならない」と、私なら思ってしまうだろう。宮内庁にも、効果的に守ろうと動くには「武器」が足りない。

 女優さんたちや一般人は、やろうと思えば、刑事上は名誉毀損罪で相手を告訴し、民事上でも「慰謝料請求」という形が取れる。(ただ、慰謝料額がビックリするほど安いので、書いた出版社側は痛くも痒くもない額を笑って払い、また同じように書く。これではイタチごっこにしかならず、被害者の泣き寝入りを生む環境。それを改善するためにも、慰謝料額は何とかならないかと思う。)

 皇族にはハードルがありそう。手元にある古い六法で刑法232条を読んでみると、第2項には「告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が・・・代わって告訴を行う」とあるので、普通の親王内親王、王、女王はほったらかし(!)らしい。

 あれ?上皇さまは?ネットでも条文を確認したところ、やっぱり漏れてますよ💦(刑法 | e-Gov法令検索上皇さままで、ほったらかしとは・・・。

 そうすると、親告罪である名誉毀損には告訴が必要なので、内親王は自分で告訴をしてもいいのだろうか? そこが不明だ。告訴できなければ、最初から刑事事件にはできない。民事上も、一般人や女優さんたちのようには原告にはなれないのか?

 そこらへんはどうなっているのか、憲法皇室典範を読んでもわからなかった。

 内親王が刑事も民事も法廷闘争には関われない、国からもほったらかしだとしたら、ひどい話だ。皇族を離脱しないと何も言えないのか。

 不敬罪をそのまま復活させるわけにもいかないだろうから、名誉毀損の条文を少しいじって、親王内親王、王や女王を含む皇族に関する規定をきちんと設けるべきではないか。つまり、天皇と同じように、その他の皇族を守れるよう代理して国が戦えるようにする規定だ。

 そうでなければ、丸腰に等しい皇族女子を守り切れないのではないか? 素人考えだけれど。

 皇室典範を改めて見てみると、「皇族の身分の離脱」は内親王はもちろん、親王でも皇太子・皇太孫を除けば理論上はできるらしい。つまり、今なら悠仁さまでも皇太孫ではないから離脱できるのか。

 みなさんが「せーの」で一斉に皇族を離脱して逃げ出す事態になる前に、もう少し敏感に宮内庁がお守りできるよう、法整備をするべきだと思った。

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