黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

五輪休戦無視のロシア、中国はいいの?

ウクライナ侵攻、始まったか

 昼のニュースを見ていたら、速報が入った。ロシアがウクライナへの軍事行動に出たようだ。

 テレビ朝日の方で速報が入ったので、NHKの正午のニュースに変えたらまだ前段階の話をトップで報道しているので、あれ?と思ったら、しばらく経ってからやはり速報で伝え始めた。

 バイデン米国大統領は、侵攻で引き起こされる死はロシアに責任があると言っていた。前回、「ワリエワ戦争勃発かと思った」でも書いた通り、ロシアのプーチン大統領のキャラクターが今回の侵攻決定に大きな影響を及ぼしているように見える。

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落としどころなど求めないBさん

 自分の望みを実現したい欲求は誰にでもある。でも、他者も自分と同じようにそれぞれ希望があるのだから、自分だけの希望を通すのは不可能なこと。それは、大人になっていくプロセスで皆が学ぶことだ。

 そして、他者との間に何かトラブルが発生した時に、常識的には、相手との対話の上で誤解があるなら解くようにして、どちらにも納得できる「落としどころ」を探そうとする。それは、他者も自分も尊重するからの行動だ。

 人間関係は尊重関係なのだと、そういう行動を取る人たちは考えている。彼らをAとしよう。横の関係を念頭に、みんなで共に生きていると言ってもいいかもしれない。

 ところが、そうしない人たちがいる。この人たちをBとしよう。Bさん達は、自分の望みをあくまで実現しようと突き進む。相手を尊重することなど念頭になく、己の希望が叶うまで、力で押し通して構わないと考えている。

 「落としどころ」などと言われても、鼻で笑うだろう。「自分の言うことを聞けば良いだけだ」と。このBさんたちが夢見ているのは「自分は特別。トップに立ち、他者は自分に従う奴ら」という世界だ。

不安なBさん、プーチン

 一方で、Bさんは「自分は特別なのに」と信じているのだから、思い通りにならない場合は怒りが溜まる一方だろう。常にマウンティングでは他者への猜疑心で一杯になり、疲弊しそうだ。

 「思い通りにならないBさん」らしき人達が暴発しているニュースはよく見かける。つい最近でも、母親の医療や介護を巡って立てこもり医師を銃殺した人とか。電車内で喫煙して、注意した高校生を暴行した挙句に「正当防衛だ」と言った人とか。

 (何が正当防衛?)と呆れた人も多いだろうけれど、Bさんは自分がいつも正義。相手はいつも侵略者で自分は犠牲者だと思っている。猜疑心が強い分、余計な不安を常に抱えているのだろう。

 プーチンも、マクロン仏大統領や自国のラブロフ外相と、コロナ感染を警戒して5メートルぐらいもの長さのテーブルで離れて話をしていたっけ。マッチョを装うのも、相当抱えている不安が大きい現れなのでは。

 プーチンがNATOに対して抱える不安について、全ロシア将校協会が興味深い見方をしている。

イヴァショフは、プーチンが強調している「外からの脅威」を否定しない。しかし、それは、ロシアの生存を脅かすほどではないとしている。 〈 全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない 〉 では、プーチンが「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証をしろ」と要求している件について、イヴァショフはどう考えているのか?  彼は、「ソ連崩壊の結果ウクライナは独立国になり、国連加盟国になった。そして、国連憲章51条によって、個別的自衛権、集団的自衛権を有する。つまり、ウクライナにはNATOに加盟する権利があるのだ」と、至極真っ当な主張をしている。(全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…! キエフ制圧でも戦略的敗北は避けられない(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 つまり、プーチンの不安がり方は尋常じゃないとロシアでも見られている。

希望が叶うまで手を緩めないプーチン

 さて、今回、ロシアの侵攻前にニュースで専門家が語っていたのは「ミンスク合意」が落としどころになるだろうという見方だった。専門家は、常識人Aのみなさんだから、そういう結論になるのだ。

 でも、プーチンはBさん。自分の希望が叶うまで行動を止めないだろう。ウクライナは主権国家ではなく、自分の領土と言わないまでも勢力圏としか見えていない。自分の支配下に戻るまでは行動を止めないだろう。

 本当に、離婚した元妻Aに対して性懲りもなく支配を仕掛ける元夫Bのようだ。

 その執念を軽く見ることはできない。Aさん達には理解の外だが、常識外のBさん達によってたくさんの女性たちが殺されてきている。別れても「俺の女」との見方をはずせないのだ。

 事ここに至って、NATOに加盟していなかった北欧2国(スウェーデンとフィンランド)が加盟を希望しているとの報道を見た。NATOの拡大にいら立ってのウクライナへの手出しが、正反対の結果を招いている。「北風と太陽」の物語を持ち出すまでもないか。

 ロシアにとって軍事侵攻の成功例には、日本の北方領土も含まれるだろう。北方領土は、戦後ロシアによる占拠が続いて固定化されてきており、世界はそれを黙認してきた。だからロシアも、通常は許されない行為でも自分はそれが許される特別な存在であると誤信し、そんな振る舞いがクリミアに続いてウクライナでもうまくいくと思っているのかもしれない。

 でも、欧米にとってはヨーロッパの東にあるウクライナは事情が違う。極東の北方領土にすぎないと等閑視されるのは寂しいけれど。

国連の「五輪休戦」は無力か

 ところで、前回ブログでも少し触れた、オリンピックパラリンピックに伴う休戦はどうなったのだろう。まず、国連の関連ページはこちら。

www.un.org

 つまり、今はオリンピック休戦の真っただ中のはず・・・プーチンの頭の中では、もしかしたらこれから開幕するパラリンピックなどどうでもいいのか。国威発揚につながるフィギュアスケートは終わったし、そもそも「ロシアオリンピック委員会」などと名乗らされて国歌も歌えない大会など、どうでも良かったのかも。

 ちなみに、オリンピックのことを単なる「国際大運動会」だと考えている人は多いけれど、実はオリンピックの真の目的は「スポーツを通じた国際平和の実現」だ。国威発揚の場でもない。上記サイトの一番下にも書いてある。

 そして、北京2022大会についても「オリパラ期間の休戦を守ろう」とグテーレス国連事務総長が呼びかけている。(Secretary-General's Message Calling for the Observance of the Olympic Truce for the 2022 Beijing Olympic and Paralympic Games | United Nations)

 こんなことになって、北京オリパラ開催国の中国はどう思っているのだろう。泥を塗られた形になっているように見えるのだが。「パラリンピックが始まるまでには片を付けるから安心して」とでも言われているのか。

 ロシアには、夏の北京オリパラ大会の時にも軍事侵攻をされている。中国にとっては、ウクライナは自国の立ち上げたプラン「一帯一路」に含まれている国でもあるから、ロシアばかりの肩を持っていられないと思うのだけれど。

 台湾への軍事侵攻を思い描いていれば、ロシアとの敵対は得にならない。欧米の出方を参考にする良い機会だと、やはり考えているのだろうか。