黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

「カムカム」英語もピアノも、必要なのは日々努力

ターニングポイントは終戦50回忌

 いよいよ残り2週間となったNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」。先週は木曜日の放送を見た段階でブログを書いてしまったので、先週金曜日に放送された第97回のファンタジー展開について、まず触れておこうと思う。

 その日は、1994年8月15日の設定だった。戦死した稔の50回忌に当たるその年の終戦記念日に、両親の思い出の神社で「るい」は稔の幻を見た。稔は「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。自由に演奏できる。るい、お前はそんな世界を生きとるよ」と言った。

 その言葉を受けた「るい」は、錠一郎(ジョー)に「お母さんを捜しにアメリカに行きたい」と打ち明けたところで先週は終わった。

 この言葉がジョーを動かし、今週は「音楽でるいをアメリカへ連れていく」ために、トミーに連絡して岡山で会い、トランペットではなくピアノを死ぬ気で練習するから「トミーのバンドに入れてくれ」と頼み込む。そして、翌年にはジョーはピアニストとしてデビューした。

  今年1月27日付のブログで、ジョーのジストニア発症についてこう書いた。toyamona.hatenablog.com

ヒロインの不幸を描きたいだけのように見えて、視聴者を身構えさせる「カムカム」。せめて、ジョーの音楽ぐらいハッピーな方向で伏線回収してほしい。

 とうとう音楽に戻ったジョーについては、とにかく良かったと喜びたい。喜びたいのだけれど、30年も音楽から離れていたのに、「鍵盤の基本はやっていた」というものの、1年の練習ぐらいでプロとして復帰できるのか・・・と思ってしまった。

 ジョーは、それだけ良い先生に付いて猛特訓したのだろう。素晴らしい先生をトミーの妻の奈々さんが手配したのだろう。けれど、そんなに集中的に特訓したら、またピアノの方でもジストニアを発症してしまいませんか・・・そんな話の筋はもう懲り懲りだと思いながら、「いや、この脚本家は油断ならないから」とどこかで心配している。

 いやいや、残り2週間なんだもの。「純と愛」みたいに救いのない終わり方を「カムカム」が目指しているようにも見えないから、きっと大丈夫・・・のはずだ。

 私もピアノをまた練習してみようか。昔ほどではなくても、多少は弾けるようになりたいものだ。

ひなたの英語も improved a lot!

 先週金曜日のファンタジー回では、2代目ヒロイン「るい」だけでなく3代目ヒロイン「ひなた」も幻を見ていた。庭先に現れたのは、前年に亡くなったはずの平川唯一(さだまさし)。カムカム英語の生みの親だ。

 ひなたは彼によって赤ちゃんが言葉を覚えるように日々少しずつ学ぶという英語学習の極意を知るのだが、あり得ないことを経験してしまったという自覚があるのか、「るい」に誰と会って話をしたのかを伝えようとはしなかった。

 ノストラダムスの大予言に影響される「ひなた」だから、この終戦記念日の不思議体験はかなり響いたのでは。しかし、遠回りの後、ようやく英語ラジオ講座に目を向けたと思ったら、その後の「ひなた」の上達ぶりはウソみたいに早かった。

 物語の中では1994年から1999年へと5年経過していたのだけれど、視聴者にとっては1週間のうちにハリウッドのチームを迎えて案内を務めるまでになっちゃうのだから、あれよあれよだ。

 この、毎日の努力のプロセスがちょっとしか触れられず、時間が経過していつの間にか主人公が何でもできるように変身してしまっているパターンが、とうとう「ひなた」でも・・・毎年の夏休みの宿題を溜め込んで苦労していた「ひなた」だけは、努力しても挫折し続けるダメダメパターンで行って欲しかった。なんて。

 「ひなた」にとって、英語を学ぶこととあんこ炊き、そして「るい」から昔話を聞くことが日課になったということなんだろう。

 日課にすることができるまでが本当に大変だと思う。誰かと一緒に学べたらいいと思うが、英語学習に関しては成功者である母と一緒に、というのが強い。母と祖母の話を知りたいだろうから、それを教えてもらえるというインセンティブもある。

 この週は、ジョーのピアノにしろ「ひなた」の英語にしろ、どちらも私が学ぶのを遠い昔に止めてしまった事柄が出てきて胸が疼く。日々の努力を怠らなかったら、今頃はどこか思いもよらない場所に連れて行ってもらえていたかも・・・と遠い目をしている視聴者は、1人や2人ではないだろう。

アニー=安子だと思うが?

 さて、残り2週間。今作で残った最大のトゲというか安子問題だが、森山良子が演じるアニー・ヒラカワは、やっぱり安子ではないだろうか。茶店での態度が怪しすぎる。日本に来たのは初めてだと偽っているようにしか見えなかった。

 「るい」のわだかまりが溶けるのにも第20~21週をかけたのだから、罪悪感一杯だろう安子が自分の正体を明かすのにも、一筋縄ではいかないだろう。残り2週間はかけるのではないか。

 次週予告を見てもなるほど謎だらけだったが、アニーが回転焼きを手元で割るシーンがあり、その同じ部屋でハリー杉山が「visiting Okayama」と口にしていた。やはりアニーと岡山をつなぐ何かがあるのでは。

 そして、「your mother」とのセリフ。この回転焼きを作ったのはあなたのお母さん?と「ひなた」に聞いたのか。

 ハリー杉山は、あのビリーを演じているのだろうか。となると、やはり安子の産んだ子がビリーで、子どもの頃おじさんと日本に来たのでは。今回は母に同行して来日したのか。

 予告でジョーが「僕がジャズに出会った場所だ」と言うのは、定一さんがOn the Sunny Side of the Street を飛び込みで歌ったあのステージのことだろうか・・・そこで、「るい」がサニーサイドを歌い、それを安子(アニー)が目の当たりにして親子の再会が成るっていうラストはいかが? 素敵だと思うけどなー。

 そうそう、前回のブログで書いた「たちばな」再建の謎が残っていた。これはもしかして、算太が戦争から復員した職人を探し出し、出資して再建していた、なんて話はどうだろう。その「たちばな」からの儲けを10年間積み立てて、「るい」に渡したというのは?

 きぬちゃんが色々と教えてくれそうだと思ったけれど、結局は雪衣さんの告白で事足りることになるのか・・・「安子さん、ごめんなさい」に隠された謎が不気味だ。