黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

搾取する側を、政治は野放しにしないで

自民党大勝利の陰にいたのは

 7/10に投開票のあった参院選。予想通り、2日前に元党総裁であった安倍晋三氏が暗殺された自民党が、弔い合戦とばかりに大勝利を飾った。(安倍元総理は、秋に吉田茂以来の国葬になるのだそうだ。)

 いつもは大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ている日曜夜の時間に放送されたNHK開票速報では、東京選挙区の自民党候補が、いの一番に当確とされていた。NHKの出口調査によって、開票が始まった途端に数十人の候補が当確を打たれたうちのお一人だった。

 元オリンピック選手だというこの方は、一期目に1つの質問も国会でしていなかったとツイッターで知ったぐらいで・・・もうひとりの自民党候補、よく知られた有名タレントの彼女よりも先に当確になるとは、失礼ながら思いもしなかった。

 だって・・・きっとファンの数で言ったら、彼女の方がどう考えても。

 それが、考えが浅かったなと今は思う。安倍晋三氏を銃撃した犯人についての報道に触れて、さもありなんと思った。唯々諾々と言われるままに投票してくれる人たちが、彼にはどうやらいたらしいからだ。

 さて、安倍氏を銃撃した41歳の犯人は、言葉に尽くせないほどの辛苦を舐めてここまで生きてきたという。母親の信仰によって家族が経済的にも破綻し崩壊、父と兄が自殺するなどしたからだ。

 母親は、信仰のために頻繁に渡韓していたらしい。犯人も兄も妹も、幼少期からほったらかし。ネグレクトどころじゃない環境で育ったのだという。これは父方の伯父がそう取材に対して言っている。

bunshun.jp

【独自】山上容疑者の母「息子が大変な事件を起こし、申し訳ない」…入信先の宗教団体は批判せず(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

「統一教会」から5千万円返還させていた……「山上容疑者」が抱えていた教団との金銭トラブル(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

 母は、旧統一教会に1998年に入信してから1999年には土地や家を売却、2002年には破産。献金総額は1億円を超えるのだという。犯人の伯父は甥姪のために2009年に5000万円を教会から取り返したのに、すぐに犯人母は献金してしまったのだとか。

 まさか、ここまでとは。宗教が恐ろしいとは思っていた。それでも、本人が信じて心の平安を得て幸せだと思っているのだったら仕方ないと、多少は思わないでもなかった。

 しかし、こんなにも根こそぎ収奪してしまう団体があるとは・・・もしも私の家族が統一教会に入信していたらと考えると空恐ろしい。

 宗教団体「世界平和統一家庭連合」は1954年に韓国で文鮮明氏が「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」として設立した。

 文氏の「御言集」には、献金について、「自分の生命、財産を全部はたいてでもしなければならない」との言葉が収められている。

 信者は総収入の10分の1をささげる「十分の一献金」を求められるが、1990年代に信者の調査をした立正大の西田公昭教授(社会心理学)は「実際はもっと多く、財産の全額を献金させられる状況に置かれる人が多かった」と話す。(「どうして兄ちゃん死んだんや」7年前の葬儀、涙を流していた山上容疑者 (msn.com)

 全財産をはたくことを信者に求める宗教って・・・信者やその一族の困窮はどうでもいいのか。

 宗教ですと言われても、財産簒奪目的にしか見えない。取られる側から見れば、オレオレなどの特殊詐欺の方がまだ根が浅くてマシかもしれない。

元信者の語ったマインドコントロールのすさまじさ

 7/14朝のテレビ朝日「モーニングショー」には、10年間も元統一教会の信者だったという悪質商法に詳しいジャーナリスト・多田文明さん、それから、信者の脱会に尽力してきた紀藤正樹弁護士が出演していた。

 多田さん本人は「自己啓発セミナー」に誘われ、統一教会だと知った時には情報を握られて入信せざるを得ない状況に置かれていたのだそう。

 安倍氏の銃撃犯の母は1998年に入信という話だけれど「本部会員になるまでには数か月から数年かかる」と多田さん。正式に入信する前にも多額な献金はしているはずだという。

 「あなたは万物より下の存在、だから献金は天国に行くためのお金」「上の言葉は絶対」「考えてはいけない」「脱会後は病気か事故で死にますよ」等と教え込まれるそうで、謙虚で素直な人は関わると危なそう。自己肯定感を奪い取られる手法は、「ダメな私を叱ってくれる」等と、DV被害者がDV気質の人間の支配下に置かれる状況と似ている。

 DVは、身近な人への執拗なコントロール。精神的な支配でコントロールは完了する。同会の場合、宗教的な権威などを用いる違いはあるが、恐怖を以てコントロールをしかけてくるところはDVと同じかもしれない。

 献金の種類は、月例・礼拝・祝福・建設・先祖解怨の5つが挙げられていたが、これは「しなきゃいけない献金」だそうだ。「本人の信条に基づいて献金」するという教会側の会見での圧力のなさそうな言葉は、多田さんの語る現実とは異なる。

 5000万円を犯人らきょうだいに返還したと、この7/11に行われた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)田中富弘会長は会見で説明したが、犯人母の破綻を知りながらまた5000万円を献金として受け入れたのならば、怖すぎる。

 多田さんは、会員だった時に、献金の代わりに人を勧誘して入信させていたそうだ。話をしていくうちに悩みなど精神状態だけでなく財産情報を聞き出し、裏で会議をしてターゲットを絞り、誘導して勧誘したとのことで、恐ろしすぎる。

 私も、駅周辺で「今が転機、2年後に幸せが訪れますよ」と話しかけられたことが若い頃にあった。そもそもお金は持っていなかったけれど、変に興味を持たずにスルーして良かった。

良心の呵責は「サタンが入った」考え方

 印象的だったのは「サタンが入る」という言い回し。相手から全財産を取り上げて、ごはんと梅干だけにまで飢えさせる行為に良心の呵責を感じるのは人間として当然だが、それは「邪なこと」だという。

 多田さんの上にいた人間でも「サタンの入った発言だけど、(人を破綻させる)この教義が間違っていたら、僕はどうにかなってしまう」と言っていたという。

 その教義の間違いに気づくことが、脱会への近道。恐怖感も抜ける。多田さんの場合、教義を深く勉強していた親と、48時間ぐらい集中して話をして分かったそうだ。戻してくれる人がいるかどうか。それが大事だ。

 脱会後、人間関係を求めて戻ってしまう人もいるとか。この、「抜けたはずなのに戻ってしまう」ことも、DV被害者の場合と似ている。

 もし会員が教義から抜けて正気になれば、自分のやったことは絶望的だ。「人を潰す焼き畑農業」と多田さんは言うが、それを家族や友人を巻き込んで実行していた自分・・・いたたまれなくなりそうだ。受け皿が無いと、戻ってしまうだろう。

「貴種」は狙われ、担がれやすいのだから

 多田さんや紀藤弁護士によると、旧統一教会は、信者の名前でクレジットカード等を作らせて金銭を借りまくったそうだ。結果的に信者は破産する。各宗教団体の信者やその家族の破産率を知りたいものだ。団体によっては、恐ろしい数字になるのではないか。

 この手法はヨーロッパ、アメリカ、韓国では摘発されたが日本では摘発が遅れたのだという。問題になって裁判を起こされたりした当時(2009年頃か)、教会側が反省したのは「政治への接近が足りなかった」という点だったそうで、その後政治家に近づいたのだろう。

 狙うは政権与党だとすると、サラブレッドの安倍氏は特に狙い目になりそうだ。

 不思議なのは、アダム国家とイヴ国家の話。政治家の皆さんは、日本人として受け入れられたのだろうか。特に自民党は保守の人も多いのに。

 禁断の果実を食べたイヴに罪があり、アダムに尽くす立場。だから女性は男性に尽くす(なんだそれー)。イヴ国家・日本も、アダム国家・韓国に尽くすべきだという話だ。だから、韓国ではそんなにひどい事はしないのに、日本でとことん信者から搾り取った資金が韓国に送られると・・・。

 ここまで聞いて、本当に胡散臭い。なぜ、自民党の多くの政治家さんたちはそんな教義を掲げる団体に取り込まれてしまったのだろうか。創価学会の票によって盤石な公明党への憧れか。公明党から自立しようとしたのだろうか。

 ちょっと最近の「鎌倉殿の13人」を思い出した。源頼朝が、富士の巻狩りでの曽我兄弟による騒乱で討たれそうになったものの、無事に帰還。その時、既に頼朝と万寿(頼家)が討たれたと信じた弟・範頼は、比企能員に唆されて「鎌倉を守るため」と次期鎌倉殿へと名乗りを上げてしまっていた。

 浅慮を恥じて、範頼は頼朝に謝り起請文も書いたが、頼朝は範頼に言った。「疑われるようなことをしてしまったことが悪いのだ」と。貴種である源氏のプリンスは、旗頭としては効果絶大であり、みんなが担ぎたい。だからこそ、注意深く振る舞い、軽々と担がれてはいけないのだと、視聴者は学んだばかりだ。

 ツイッターで流れてきた写真を見ると、旧統一教会の会報らしき冊子の表紙(!)には、安倍元総理の写真が多く使われていた。それまでは教祖らしき人の写真が使われていたらしいが・・・教会内で、安倍氏は教祖と並ぶほどの位置づけがされてしまっていたのだろうか? 毎回のように表紙に使うのだから、信者や家族が「安倍さんは関係者だ」と考えてもおかしくない。まんまと担がれてしまったのではなかったか。

 多田さんの話によると、選挙では「次はこの人でお願いします」と指令が回ってくるのだとか。やっぱりだ。これまでの話を聞いてみて、考えることを「サタンが入るから」と止めてしまった信者たちは、上の人の言うままに安倍氏などの自民党関係者に投票してきたのだと、簡単に想像ができてしまった。

 今回の参院選でも、そうだったのだろうな・・・物を考えるのを禁じられた信徒がこぞって投票する中で、こちらが考えに考えて1票を投票しても無力に思える。

 あくまで推測に過ぎないが「簡単に手堅く票が取れて献金も期待できるなら、タッグを組んでしまってもいいか」と、安倍元総理を始めとする政治家の陣営は、彼ら旧統一教会に飛びついてしまったのだろうか。危険だ。

 自民党の改憲案には政教分離を緩めるように読める文言があった。そういうことか。公明党の為かと思っていた。

 法治国家において、法律の手が届かないところで苦しんでいる人がいれば、立法府の国会議員には速やかにその人たちを守れるように、解決策となる法律を作ってほしい。庶民から搾取する団体や人を、野放しにしてはいけないだろう。

 それなのに、自民党はむしろ搾取する側に寄り添ってきたように見える。

 アンタッチャブルを作り上げ、搾取させ続けてはいけないのだ。そうでないと、実力行使は止められないのでは。悲劇は繰り返されてしまうだろう。この流れは変えられないのだろうか。