黒猫の額:ペットロス日記

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【鎌倉殿の13人】北条政子さえ「政子」、なぜ?

YouTubeの鎌倉殿解説に相変わらずはまっています

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は7/31に29回「ままならぬ玉」が放送された。「玉」とは、古井戸へと落ちて行った蹴鞠の玉(たま)を直接には指しているのだろうけれど、オープニングで描かれている蹴鞠の玉は「権力の象徴」らしいので、扱いにくく転がっていく権力を頼家がつかみ切れない様がサブタイトルになっていたのか。

 とはいえ、頼家はもがきながらも少し成長した。もう蹴鞠には逃げないそうだし(逃げている自覚があったんだね)、頼家を信じようとぶつかってきた比企家の「せつ」の言葉に心動かされ、彼女が産んだ一幡を嫡男にすると決めたと義時に言っていたし。

 義時は「良いと思います」と受け止めていた。けれど、一幡が跡継ぎでは時政パパと「りく」は発狂しそう。「何が『良いと思います?』北条を裏切った!」と、りくを好演している宮沢りえの声が聞こえてきそうだ。

 義時&政子側の「鎌倉あっての北条」と、時政&りく側の「北条あっての鎌倉」の対比キーワードは、とてもわかりやすい。

 今回も脚本のすばらしさについては、私のお気に入り「かしまし歴史チャンネル」のきりゅうさんが熱を込めて語っているので、ぜひご覧になってほしい。まだこのチャンネルを見たことがない方も、きりゅうさんのファンになること請け合いだ。

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 最終回が終わったらでいいから、三谷幸喜と対談してくれないかな・・・ダメもとで申し込んでみては? ドラマを終えたからこそ言える、こちらが気づいていない脚本の意図等々を語り尽くし、聞き出し尽くしてほしい。というか、その前にきりゅうさんが鎌倉殿ツアーとか主宰してくれないか。参加してうんちくの限りを聞きたい。

 さて、今回の「鎌倉殿」は次回に向けての仕込みが怖かった。阿野全成の次回での悲運を予感して、涙なしには見られない展開だ。源頼朝の兄弟の中で、唯ひとりだけ頼朝よりも長命だった彼。しかし、知られているように、寿命を全うできたわけではない。

 その運命の歯車が、りくや時政の押しの強い手によって回り出した感じ。「大丈夫、全部拾ってきた」と妻の実衣に伝えたはずの頼家呪詛のための木彫り人形が1つ、最後のシーンで誰かの手によって、たぶん御所の床下から拾われてしまった。それによって彼の破滅が決定づけられるのだろう。

 あの手は八田知家かな・・・?

 「かしまし歴史チャンネル」の中でも語られていたが、全成はせっかく「可愛い甥っ子」だと頼家のことを認識し直し、頼家の方でも「父上に似ている」と全成を見て言った。互いに心が通じ合えるきっかけが、あの古井戸端で生まれたかに見えたのに・・・ああ、鬼脚本😢

 ホントに来週は来なくてもいい。いややっぱりダメ、続きは見たいけど見たくない・・・(どっちなんだ)。阿野全成を演じている中の人(新納慎也)は、「真田丸」の豊臣秀次役での死に際も素晴らしかった。またロスを引き起こすのだろうか。

 中の人は「島津氏庶流の新納忠元の末裔」とウィキペディア(新納慎也 - Wikipediaに書いてあった。島津氏の祖は頼朝のご落胤・忠久だそうなので、頼朝の弟の全成を演じるのは思うところがおありだったろうか。

 その阿野全成の子孫について解説しているYouTube動画もある。最近は、ラジオ感覚で作業の合間に流し聞きすることがめっきり多くなったのが「RekiShock レキショック」。登場人物の子孫紹介が面白いのだ。

 現代の意外な人物の名前が出てくることもあり「へ~そうなんだ」と思わせる。プロ野球の中畑清のお名前が、ある坂東武者の流れで出てきた時には「良く調べたね・・・!」とびっくり。ご本人は知っているのかな。

 さて、そのレキショックの阿野全成動画はコチラ↓↓

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 この動画で紹介されていた阿野廉子(新待賢門院)は、1991年NHK大河ドラマ「太平記」でおなじみだ。後醍醐天皇の側室で、南朝の後村上天皇の母である。阿野全成から5代下ると皇室につながるとは。兄の頼朝が果たせなかった大姫や三幡の入内を思うと感慨深い。

 「太平記」では、現在悪評高い朝ドラ「ちむどんどん」でイタリアンレストランオーナーを演じている原田美枝子が、印象深い「悪女」廉子を演じていた(そういえば「太平記」のヒロイン藤夜叉は宮沢りえだった。藤夜叉とりく、なんたる差)。その時に、彼女の「阿野」がどこから来るのか調べて、先祖が全成につながることを知った。

 「太平記」の時に、後醍醐天皇は寵姫の彼女を「廉子」と呼んでいて、阿野という苗字は・・・オープニングのキャスト紹介で「阿野廉子」と書かれていたと記憶している。それで「阿野」を調べようという気になったのだった。

北条政子でさえ「政子」、名字は表記しないのか

 「太平記」では、阿野廉子もそうだけれど、足利尊氏の母も「上杉清子」と表記されていた。当初は「足利清子」と書かれ、時代的な風習に従って訂正されたらしい。

 しかし「鎌倉殿の13人」の女性の登場人物は名字表記が無い人ばかりだ。政子の妹の実衣のように、ドラマオリジナルの名前を名乗っている人も多いが、いずれにしても、ファーストネームだけのご紹介ばかりだ。

 現在の選択的夫婦別姓の制度について議論がなされる時にも「源頼朝の妻だけど北条政子」と、引き合いに出されることが多い北条政子。彼女でさえ、登場人物紹介では「政子」・・・他の男兄弟は全員「北条」が冠されているのに。NHKの中にも、壺を買った人たちがたくさんいるのだろうかと勘繰りたくなる。

登場人物 全体相関図 ~第27回より~ | NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」

 そうそう、北条政子の名前については改めて説明している「かしまし」動画が!いやもう、痒い所に手が届くような解説がございましたよ。

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 呼び名はあっても公文書に載るような本名を持たない女性が多かった、とのこと。政子の場合も、従三位をもらうに当たって時政パパの政の字をもらって政子となったのが61歳の時のことだと。

 政子の場合、それまでの呼び名は不明だとしても、ドラマで実衣のようにオリジナルネームを付けてしまうと61歳以降の本名「北条政子」が知られ過ぎていて、違う名前では視聴者が混乱するだろう。

 だとしても、弟の義時のように「北条」を付けて「北条政子」「北条実衣」とオープニングでも人物紹介でも書けばいいじゃないかと思う。なぜ、彼女たちから名字を奪うのだろうか。大河ドラマが夫婦別姓を推し進めてるみたいで嫌がられたのか?でも事実なんだからしょうがないじゃないか。

 そして、他の女性キャラたち。巴御前と静御前、丹後局は、知られている呼び名の通りの表記になっていたが、「りく」「比奈」「せつ」「つつじ」「のえ」の皆さん。政子に比べて、柔らかい印象のオリジナルネームが付けられている。

  • りく=牧の方
  • 比奈=姫の前
  • せつ=若狭局
  • つつじ=辻殿
  • のえ=伊賀の方

 この方たちも、一応は知られた呼び名がある。「~の方」で正夫人だと分かるそうだし、「~局」で御所に局をもらっていたことも分かる(女性の呼び名 「御前」と「方」と「姫」と「局」は、どう違うのか | えいいちのはなしANNEX (ameblo.jp))。

 同時代を描いた大河ドラマ「草燃える」では、牧の方や若狭局といった呼び名が用いられていたのを覚えている。にも関わらず、「鎌倉殿の13人」では避ける理由は何だろう。女性名は記録に残っていないことが多く、あやふやなものは避けたいから巻き添えを食ったのか?

 ちなみに、男性陣も「小四郎」「四郎」「次郎」「五郎」「平六」等と本名ではない通称名でドラマ上は呼び合っているけれど、表記上はそれぞれ名字付き本名だ。

  • 小四郎=北条義時
  • 四郎=北条時政
  • 次郎=三浦義澄
  • 五郎=北条時房(時連)
  • 平六=三浦義村

 名字の表記が無い男性キャラは、気づいたところでは運慶、文覚、公暁、慈円、鶴丸、善児だった。阿野全成以外の出家者や職人、家人の面々。彼らも女性キャラも、家から超越した存在として描きたいとでも? それとも、女性はまさかの家人扱いか?

 大河ドラマで、「鎌倉殿」のようにわざわざ女性陣と男性陣をクッキリ区別する意図は何だろう。 この時代は、女性も力を持っていたとか何とか制作側は言っていたようだったけれど、ならば彼女らの呼び名も尊重すべきでは。

 少なくとも北条政子は「政子」でなく、名字も付けたフルネームで表記すべきではないのか。今の段階なら「尼御台」とかならまだわかる。

唯一の名字アリの女性キャラ・藤原兼子

 「鎌倉殿」では女性キャラの名字は無視されているのか・・・と思ったら、なんと一人だけ例外がいた。シルビア・グラブが演じる「藤原兼子」だ。通称は卿局(きょうのつぼね)。後鳥羽上皇の乳母なのだという。藤原兼子 - Wikipedia

 彼女は藤原範季の姪。姉とともに範季に引き取られて姉妹で後鳥羽天皇の乳母になったそうだ。範季に養育された蒲殿(源範頼)とは同じ屋根の下で過ごした時期がありそうで、年齢も近い。わあ、面白そう。

 その話は置いておくとして、公的な立場として朝廷側に立つ人物だから名字が書かれているのだろうか。でも、丹後局は本名の高階栄子ではなく、丹後局だった。

 それとも、彼女の通称は難しいから本名を選ぶしかなかったか? 常用漢字チェッカーでチェックしたところ、「卿」は常用漢字ではなく、人名用漢字ではある。でも、そんなことあるのか。

 政子の「北条」は表記しないのに、ドラマで兼子の「藤原」が恭しくも唯一女性で表記される理由は何だろう。藤原兼子の登場が楽しみだ。(敬称略)