黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【どうする家康】#8 まだ「どうすればええんじゃ」家康、情けない

一向一揆は次回も続く・・・まだ数え22歳の家康

 NHK大河ドラマ「どうする家康」の第8回「三河一揆でどうする!」が2/26に放送された。もう1週間も経ってしまったのだなあ。土曜お昼の再放送を見てからようやく書きたくなる癖は何とかならないものか。

 さて、公式サイトの「あらすじ」を引用させていただくと、このようになっていた。

本證寺から年貢を取り立てようとする家康(松本潤)に対し、一向宗徒が三河各地で一揆をおこした。武力で抑え込もうとするが、有能が軍師がいるらしく、全ての作戦が裏目に出る。松平昌久(角田晃広)など周囲の領主も寝返る中、家康は半蔵(山田孝之)を寺へ潜入させる。そこで半蔵が目にした空誓(市川右團次)を補佐する、意外な”軍師”の正体は・・・。(これまでのあらすじ | 大河ドラマ「どうする家康」 - NHK

 神君三大危機の一つとも言われる若い頃の一大難所が、この三河一向一揆とのこと。前回の「わしの家」で既に十分に下地は練られていたのに今回も、そして次回も一揆の話は続くようだ。今回、せめて軍師の正体はサッサと明かして、一揆話をまとめて寺の土地を更地にするぐらいまで進んでほしかった。

 物語は遅々として進まない。家康はまだ「どうすればええんじゃー」とヒステリックに叫んでいる。ずいぶん時間をかけるものだ。8回にしてまだ家康は数え22歳であり、75歳までの生涯を描くつもりは無いのか?

 タイトルも「どうする家康」だし、神君徳川家康のごくごく若い頃の話を、ゆっくり描いて終わるつもりなのかもしれない。だから、いつまでも主人公は神君らしさの片鱗さえも見せないのかな。

 生き馬の目を抜く戦国時代に、ただでさえ強国に囲まれ厳しい環境の三河にいてあんな中学生のように部下の裏切りにキリキリしている有様では、真っ先に潰されそう。泉下の神君が今作の家康を見たら、あれでやっていける訳ないだろう!バカにするな!と怒らないかな。

 一向宗門徒はもちろんの事、家来も見切りをつけたくなって当然だろうけれど、視聴者の私も今作の家康には痺れを切らしてきている。主人公は、本多正信か服部半蔵に心の中でチェンジしようか。

 ちなみに、家康は妻の瀬名にも愛想をつかれそうだ。

瀬名:戦は嫌なのです。ましてや三河の国の中で。殿が空誓上人に謝ってしまえば全て済む話ではありませぬか。
家康:バカなことを申すな。奴らは役人を殺したんじゃぞ!
瀬名:先に約束をおやぶりになったのは殿では?
家康:うるさい!この国の主はわしじゃ、空誓ではない!それをはっきりさせる。
瀬名:ふう・・・。一つの家が・・・バラバラじゃ。あほたわけ。

 本当にね、あほたわけ。これがまだしばらく続くのかな💦残り40回として、75歳までだと・・・あと53年分を描けば届く。1回あたり1.3年のペースで進行すればいいらしい。今回の涙で覚醒してくれたのだったら良いんだけど、そろそろ何とかなってほしいな。

今川義元登場シーン、歓迎だけれど

 前回ブログではこう書いていた。まだ同じところに停滞しつづける主人公だ。

 「三河の国にあるならば、わしの言うことを聞くのが道理」というボンクラ領主思考だけで相手が動くものか。無理やりコントロールしようとかかるのでは、情けない。瀬名からも門徒からも、家康は反発を食らって当然だ。

 最後、金陀美具足を身に着けて横たわった家康の目からは涙が・・・1か月後ということで、門徒の恐ろしさが骨身に染み始めている頃なのか。

 この金陀美具足の家康が倒れて涙する姿は、前回は先取りでちょっと見せておいて、視聴者の今回への興味をつないだつもりだったのだろう。

 そして、今回は冒頭、太守様・今川義元とのエピソードに引き続き金陀美具足姿の家康が倒れている場面となった。念仏が聞こえ、門徒が武器を構えて取り囲む。今にも刺されそうな家康が「うわー!」と叫んでアバン終了、テーマ曲へ。

 そしてそして、この金陀美具足姿で倒れた家康が門徒に取り囲まれて・・・のシーンは、ご丁寧にも本編で全く同じものが繰り返され、家康は「うわー!」と同じように叫んだ。

 えーとね・・・リフレインが過ぎる。新鮮さに欠け、何度も繰り返されたからってそんなに面白くも無かった。3度目になって、長吉に庇われて命を救われるくだりがようやく展開されたが、ああそうなの、と驚きも何も、3回目なので気持ちも薄れてしまった。土屋長吉の感動話になるはずが、もったいつけられて醒めた。

 それから、この今川義元とのエピソードをどう受け取ったらいいのか、私はちょっと整理がついていない。

 あのやりとりは、過去に次郎三郎(家康)が義元と実際に交わした会話なのか。それを思い出した「回想」だったのだろうか?それとも、頭を撃たれて気絶した時に家康の脳内で一瞬にして展開された「夢」だったのだろうか?回想か夢想かどちらなのか、それが分からなかった。

 ちょっとその部分を採録しておく。

(テーマ曲前)

松平次郎三郎元信:子貢、政を問う。子曰く(のたまわく)「食を足し、兵を足し、民をして之を信ぜしむ」。子貢曰く(いわく)「必ず已むを得ずして去らば」
今川義元:「斯の三者において何をか先にせん」。(子貢が政治について尋ねた。孔子曰く「食を満たし、兵を満たし、民に信頼されることだ」。子貢が問う「もしあきらめるとすれば、この三つのうちどれでしょう」)
次郎三郎:太守様!(駆け寄って跪く)
義元:励んでおるな、次郎三郎。近くまで参ったゆえ寄ったまでじゃ。構わん、続けい。
次郎三郎:はっ。曰く(のたまわく)「兵を去らん」(兵を諦めよう)。子貢曰く「必ず已むを得ずして去らば斯の二者に於いて何をか先にせん」(食と信頼ではどちらでしょう)曰く「食を去らん。古より皆、死有り。民、信無くんば立たず」(食を諦めよう。たとえ飢え死にしようとも。民の信頼が無ければ生きてはいけない。)
義元:次郎三郎。戯れに一つ問いじゃ。この国の主は誰ぞ?
次郎三郎:も、もちろん太守様にございます!
義元:否~!アハハハハ!この国の主でもあり、この天下の主でもある。
次郎三郎:京の将軍様・・・、いいえ天子様にございます!
義元:う~ん、この天下の主はな・・・(映像がモノトーンになり、金陀美具足姿の家康が倒れている。念仏が聞こえ、門徒が武器を構えて取り囲む。絶体絶命、今にも刺されそうな家康)
家康:うわー!

 政の3つのうちまず諦めるべきは兵であると。この部分は防衛費の倍増などが言われている折、示唆的だ。最後に残すべきは民の信頼だが、「民の信頼が無ければ生きてはいけない」などと、現代日本で政に携わる人たちは考えることがあるのか?

松平家康:(刀を抜いて)行くぞ
鳥居元忠:長吉、気分でも悪いか?
土屋長吉重治:あ、い、いいえ。
平岩親吉:怖ければ下がっておれ。(長吉、上を見てから建物内に逃げ込む)
元忠:殿を守れ~

(上から家康を狙う人物、銃声が鳴り、家康倒れ気絶。脳内に在りし日の義元)
今川義元:戯れに一つ問いじゃ。この国の主は誰ぞ
次郎三郎:もちろん、太守様にございます。
義元:否~!この天下の主はな・・・あの男じゃ。
次郎三郎:あの男が?
義元:そしてあの女じゃ。あるいはあの僧でもありあの百姓でもあり、あるいはあの年寄りでもありあの子どもたちでもある。(戦闘シーンが映る。戦っている門徒たちを義元が指し示している?)良いか、あの者たちが汗水たらして得た米と銭で我らは生きておるのじゃ。我らは民に生かしてもらっておるのじゃ。よく覚えておけ。民に見放された時こそ、我らは死ぬのじゃ。
家康:(倒れて涙を流している。回想/夢想しながら戦闘で死んだ者らが目に入っていたか?)
門徒ら:(南無不可思議光、法蔵菩薩因位時、在世自在王仏所、覩見諸仏浄土因、国土人天之善悪、建立無上殊勝願、超発希有大弘誓・・・のお経が聞こえる中、倒れた家康に武器を持ってにじり寄り、囲んでくる。)
家康:うわー!(槍で刺す音)
長吉:ぐ、ぐふ・・・。(門徒から刺される。刺した門徒らは驚く)
家康:長、吉(気絶)

瀬名:殿。殿!
元忠、親吉:殿!
家康:瀬名・・・。
忠次:兜のお陰で弾は食い入ってはおりませなんだ。
数正:起きてはなりませぬ!(家康はケガか脳震盪か?よくわからない)
家康:長吉・・・長吉は!

 過去の経験を回想していたのか、夢か。いずれにしても家康に正しい導きをくれるのは今川義元、初回で絶命した彼なんだね。演じる野村萬斎の出番がちょいちょいあって嬉しい。大歓迎する。

 そして、義元は天下は支配者のものではなくて「天下の主は民だ」とちゃんと教えたが、打てども響かぬ家康・・・そして忘れて「この国の主はわしじゃ」と言い募る💦こんな神君でがっかりだ。

 ま、義元の言葉を思い出した/思いついただけいいか。次回、ボンクラ領主気質をようやく抜け出し歩み出すのかな。でも家康は、息は浅く丹田に力が入っていないし・・・。

家康、ケガをした?脳震盪?

 また、狙撃されて兜に弾痕が残っているのが見えたが、家康はなぜ気絶したのか?よくわからなかった。

 銃撃による衝撃で脳震盪でも起こしたということか、それとも他にケガを負ったのか。また、長吉が身を挺して庇ったとしても、あれだけの門徒に囲まれていたらどこかを刺されていても全くおかしくないシチュエーションだったが、どうやって家康は死地を脱して瀬名のいる城まで戻れたのだろうか。不思議だ。

 「うわー!」はそう何度も繰り返さなくてもいいから、そこら辺が分かるように誤魔化さず描いてほしかった。モヤモヤした。

 この家康の頭部狙撃をしたのが、どうやら先方”軍師”の本多正信。スナイパーでもあったのか。まさか今作では彼が家康を撃つことにするなんて、これには驚いた。彼の撃ち方はガチだったので、ダメな主は挿げ替えるに限ると、その方が天命に合致していると、考えたのだろうか。

 彼が寺を攻める軍議から抜け出し、城を離れるときの様子がこうだった。

酒井忠次:本多正信。
本多正信:はっ。
忠次:そなたは信心など程遠かろう。
正信:喜んで務めさせていただきとうございます!いっ・・・!(片手にいつものつまみ食いの握り飯、勢いよく土間に降りてから転んでみせる)どうにもこうにも足の具合が良くなくて。
本多忠勝:始まったわ。臆病者のイカサマ師が。戦わぬなら出て行け!
正信:ではすみませぬが・・・無念じゃ。無念じゃ!
大久保忠世:おい!
忠真:おい、本当に出ていくやつがあるか!
家康:放って置け。ヤツの取り柄は悪知恵じゃ。槍働きは当てにしておらん。

 「無念じゃ」と繰り返したのは、とうとう寺を攻めると決めてしまった家康を見限るしかない気持ちのことなのか。「国の主は民」なのだと、義元に教えてもらっていた癖に「わしが主」だとよく考えもせずに言い張るバカ殿だから。

 この本多正信が家康を離れ、また戻ってバディとなるまでの途中経過もドラマでは追うだろうか。彼の出番がなくなるのも面白くない。ちょいちょい出してほしい。

 もうひとり、家康から離れて門徒衆と共に戦う夏目広次も三方ヶ原の戦いでの活躍が有名だけれど、こちらもどう家康と関係を再度結んで戻ることになるのかな。彼が裏切る前の涙の訴えのシーンも採録しておこう。

夏目:空誓上人は、殿の御首級(みしるし)を取りたい訳ではありませぬ。この国を切り取りたい訳でもありませぬ。ただ・・・これまで通り、寺々の不入の権を守りたいだけ。(手をついて)ならば、これまで通り、何もかも元通りという訳には参りますまいか。何も、なかったかのように!
数正:夏目殿、今となってはそれはできぬ話じゃ。今、兵を引けば、殿が空誓に屈したということになる。そうなれば、殿に三河を束ねていくことままならぬ!

 こんな家康じゃ誰もついてなど行かない。「三河を束ねる」のはできない相談だ。

 それにしても、山田孝之演じる服部半蔵。すっかりお笑い担当だ。とはいえ、幼い竹千代(将来の信康)と遊んで仲の良い所を見せていたのが将来の伏線になるのかなと思ったりもした。つい先々を考えてしまうと・・・悲しい。

(ほぼ敬称略)