黒猫の額:ペットロス日記

狭い場所から見える景色をダラダラと。大河ドラマが好き。

【べらぼう】#25 蔦重日本橋へ!灰捨て競争で楽しく活躍の蔦重に鶴屋も降参、ていも「陶朱公の妻に」と決断。意知&誰袖は悲恋

田沼様が後ろ盾、を日本橋はいつ知った?

 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第25回「灰の雨降る日本橋」が6/29に放送された。須原屋市兵衛を動かし、松前藩が探していた蝦夷地での「抜け荷の絵図」を田沼意知に持ち込んだ蔦重は、代わりに「日本橋に店を出すのをお助け願いたい」と頼み、とうとう日本橋通油町の丸屋を手に入れた。

 ここから蔦重の日本橋での活躍が始まる第2章キックオフだ。まずは、あらすじを公式サイトから引用する。

≪あらすじ≫ 第25回「灰の雨降る日本橋」

 柏原屋から丸屋を買い取った蔦重(横浜流星)は、須原屋(里見浩太朗)の持つ「抜荷の絵図」と交換条件で意知(宮沢氷魚)から日本橋出店への協力を取り付ける。そんな中、浅間山の大噴火で江戸にも灰が降り注ぐ。蔦重は通油町の灰除去のため懸命に働く。その姿に、門前払いしていたてい(橋本 愛)の心が揺れる。一方、意知は誰袖(福原 遥)に心ひかれ始める。松前廣年(ひょうろく)は抜荷の件で大文字屋(伊藤淳史)を訪ねる…。(【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第25回 - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK

 「日本橋出店への協力」とは何か?田沼意知が、安永のお達し「吉原者は市中の家屋敷を手に入れてはならぬ」について、どんな風に蔦重のために「事なきよう取り計らった」のか。吉原者への差別感情いっぱいの日本橋の面々が、田沼様からの根回しにどう反応したのか。

 そのあたりが今回は知りたいポイントだったのに、何だかハッキリしないね。突っ込んでも面白くなったと思うのに、端折らないでほしかった。

 過去の「吉原者は市中ではNG」のお達しはどの時点で効力を発揮していたものか。店の売買契約自体が、吉原者が買主だと無効になってきたのか?そうすると、今回蔦重に「うちからあの店、買いまへんか」と話を持ってきた柏原屋に、田沼様が「過去のお達しはもう問題ない」とでも話をして安心させたのだろうか?

 それとも、奉行所に意知が根回しをしておいて、柏原屋に奉行所に確認させたかな?それで、売買契約が無事に結べたの?

 蔦重が丸屋を手に入れた証文を持って灰除去に出向いた時に、丸屋を含む日本橋通油町の面々が、吉原者蔦重を受け入れない嫌悪感丸出しの姿勢はまだ変わっていない様子だった。まさか、田沼様が後ろ盾になっているとは、この時点では通油町は知らなかったのだろう。

 それを鶴屋ら通油町が知って焦る瞬間というのが、昔夕方に再放送でよく見た「この紋所が目に入らぬか~」じゃないけど、古い時代劇とかでは視聴者の留飲の下がるポイントだったと思うのだけどね・・・😅

 灰掃除レースに全部持って行かれたような感じだ。蔦重が「何かねえかなあ~」と「日本橋と仲良くなる手」を探して頭を悩ませていたところに、1783年(天明三年)夏の浅間山の噴火があった。噴火は一部成層圏にも達し、江戸にも灰が降った。

 (ところで、「浅間焼け」と九郎助稲荷の綾瀬はるかが呼んでいたその大噴火を、並んで眺めていたのがうつせみと小田新之助だよ・・・浅間山の近くに逃げていたのか・・・やっぱり。あんまり悲劇的なことにならないでほしいが、周辺は被害が大きかったのだよねえ。)

 それを「恵みの雨」「こりゃあ、恵みの灰だろ」と見たのが蔦重。灰除けの着物など布をたくさん背負って、丸屋に現れた。「なるべく揉めたくない」と歌麿には言っていたのに、この時に、揉めるような軽口をわざわざ利いてしまうのが吉原風、というよりも見掛け倒しの蔦重だからなのかな。

(煙と灰に覆われた江戸の街。日本橋丸屋の表に、布で鼻と口を押さえた女将ていと手代みの吉)

みの吉:うちは、どういたしましょうか?女将さん。

てい:そうですね、とりあえず・・・(「何だありゃ?」の声に振り返ると、灰除けの布を顔に巻き、背負子に柳行李を何段も重ねた蔦重がくる)

蔦重:お~どうもどうも~!(両手には風呂敷包み)よいしょ。丸屋の女将さん申し訳ねえが、出てってもらえますか?もう、ここは俺の店なんで。(500両で買い受けた売渡証文を掲げる。売渡人は柏原屋、証人は大橋屋と中野屋か)ま、今出てけってな冗談でさ。俺はそんな鬼じゃねえ。(笑ってかぶりを振るが、てい等は踵を返す)俺と一緒に店、守りませ・・・あ?ちょ・・・待て待て待て!おい!おい!(店から締め出される)開けろ!開けろって!開けてくだせえよ!(店中の戸が閉まる)あ!開けろ!なあ!

 この後、蔦重はひとりで丸屋の屋根に上り、花魁たちの古着を瓦に広げ始めた。それに対して、村田屋等から「おい、勝手に何やってんだ!」「降りろ!」と罵声が飛び、鶴屋もやってきた。

蔦重:俺のこと野次ってねえで、皆さんも布掛けた方がいいですよ。(足が滑って屋根から落ちるが、ジブリキャラ並みに無傷💦)

鶴屋喜右衛門:(舞い上がった灰を浴びて咳き込む。冷たく)なんでここにいるんですか?

蔦重:ここが(証文を懐から出して見せる)うちの店になったんで。てめえの店を、てめえが守るってな当たり前でさ。

鶴屋:そんなことをしても無駄ですよ。

蔦重:無駄じゃねえっすよ。

鶴屋:例のお達しのこと、忘れたんですか?

蔦重:(無視して)間違えなく、今やるのが一番ですぜ。(みの吉が屋根に梯子をかける)おい!お前、何やってんだ!

みの吉:女将さんが引っぺがせって!

蔦重:瓦の隙間に灰が溜まんねえようにしてんだよ!ほら、樋も詰まんねえようにしようぜ(古着を渡す。樋には灰が既に積もっている)樋が詰まっちゃ、つまんねえよ。店は大事にしようぜ。

鶴屋:店中の不要な着物を搔き集めなさい。

村田屋:うちもやるぞ!

 ほんと、鶴屋ら通油町の面々は、いったいいつ、蔦重のバックに時の権力者の田沼様がいることを知ったのだろうね?どこかで、意知が「事なきように取り計らった」訳だから、影響が来ない訳がない。

 お上の意向を知ってどこかで空気が変わり、「吉原者が!」と簡単に追い払えない雰囲気になってきて、さあどうする・・・どこで振り上げた拳を降ろしたらいいのか、という悩みが鶴屋らには内々で生まれていたのではないかと思うんだけど。

 もう、江戸一の利き者と蔦重が世間でもてはやされるようになった頃から、そんな流れはあったのかも。同じ通油町でも、寄り合いでの釘屋さんなどは蔦重受け入れに何の屈託もない様子だった。地本問屋仲間が「吉原者が!」と言い過ぎちゃったのだよね。

斬新なアイデアに溢れ勢いがある蔦重に、ていは鶴屋は

 丸屋女将ていも、たっぷり悪口を吹き込まれて蔦重への見方が偏っていたものの、降灰から店を守るために布を掛けまくって奮闘した蔦重にと、握り飯を用意させていた。店から締め出していた程だったのに、軟化した。

 また、手代みの吉以外の店の者たちが、まだ警戒を解かずに棒だの箒だのを蔦重に向かって構えている反面、蔦重と打ち解けて「(降灰から)金が出たら吉原に行く」「案内しますよ、任せてくだせえ!」などと話をしているのを聞きながら、ていは部屋でひとり「陶朱公」の書かれている漢文(史記巻四十一?)を読んでいた。

 ていの切り替えが早い。よほど、内心では蔦重の行動に感銘を受けたのだろう。この時点でもう、「あの人は陶朱公だ」と思い立ち、文書を読んで確認していたのだ。

 翌朝、奉行所から灰を川などに捨てよとのお達しが来た時、蔦重は灰捨て競争を町内に提案した。これが、前日の行動に引き続き、ていも、日本橋の面々も相当揺さぶったらしい。

村田屋:おい、お~い。みんな聞いてくれ!

鶴屋:奉行所からお指図がありました。早急に河や海、または空き地に灰を捨てよとのことです!各店、灰を集めてください!

村田屋:頼んだぞ!

蔦重:(ニンマリして)お待ちくだせえ!どうせなら、みんなで一緒に捨てませんか?

一同:え?

 (灰の積もった町内の道の真ん中に、蔦重が箒の柄で線を引き、向かい合わせに並ぶ店を左右に区切る。みな不思議そうに見ている。ていも店から出てくる)

蔦重:よいしょ~!こっちが左組、(反対に)こっちが右組。集めた灰を早く先に捨てた方が勝ちの競争です。どうでしょ?

村田屋:くだんねえ。遊びじゃねえんだよ!(鶴屋も冷ややか)

蔦重:遊びじゃねえから遊びにすんじゃねえですか。面白くねえ仕事こそ、面白くしねえと。

町人1:勝ったら何かあんですかい?褒美とか。

町人2:そうだ!

蔦重:ああ・・・勝った組には、俺から10両出しやしょう!

一同:(歓声)10両!おお~!太っ腹だねぇ!

蔦重:そう、蔦屋は太っ腹!皆さん、覚えといてくだせえよ!

村田屋:金で釣りやがって!

鶴屋:では!私からは一帯25両出しましょう!

一同:おお~!25両!

蔦重:さすが鶴屋さん!

丸屋の奉公人ふたり:勝ったらみんなで吉原行けるな!ああ!(あっと、ていの顔色を見る)

鶴屋:まったく吉原者っていうのは・・・。

蔦重:ああ、遊びの為なら吉原もんは草履の裏だって舐めまさ!じゃあ、皆さんやりましょうか!

一同:へえ!お~!(無表情に蔦重を見ている女将てい)

 村田屋は反発していたが、頭の回転が速い鶴屋は、蔦重ばかりの手柄にするかと話に乗った。灰捨て競争は盛り上がり、最後の最後で、蔦重は両手に桶をぶら下げて川に飛び込み、溺れた。

 男衆に引き上げられて、「無茶しやがって」と村田屋に声を掛けられた蔦重は「誰か助けてくれると思ったんすけどね」と全然堪えていない。そこに「べらぼうか!」と村田屋が呆れたところで、鶴屋がハハハ・・・と自然な笑いを見せた。

 あの、鉄仮面(?)のような、目が笑っていない不自然に固まった笑顔が定番の鶴屋さんが!うっかり中の人・風間俊介の人となりが出ちゃったのか・・・という訳ではない。蔦重も嬉し気に「今、笑いましたね」と指摘したら、鶴屋は一瞬(しまった)と目をきょろっとさせながらも「私はいつだってにこやかです」と蔦重に笑顔を向けたのだった。

 これで、風向きは変わった。機転が利いて勢いがあって、そのアイデアも斬新で楽しい。蔦重のそんな魅力を、これまでの仕事を見て鶴屋は薄々気づいてはいたはずだけど、表立っても認めざるを得ない、大きなきっかけになっただろう。

ていがビジネス婚を受け入れた

 灰捨て競争が引き分けとなり、お祭り男の蔦重を始め仲良く皆が宴で楽しむ頃、鶴屋は黙って去り、ていは旧丸屋となった蔦重の店で畳を拭いていた。

 帰りに立ち寄った蔦重は、ていに話をする。さあさあさあさあ!くだらない冗談を言っちゃダメだよ!アプローチがまた軽いけどな~😅

蔦重:女将さん、一緒に飲みませんか?(ていは蔦重を一旦見て、掃除を続ける。あちゃーという顔の蔦重)・・・じゃあ、手伝いまさ。

てい:結構です。

蔦重:ここは、俺の店なんで。(座敷に上がり、桶のぞうきんを絞る)よし。(畳の目に沿って、丁寧に拭き始める)

てい:(手を止める)蔦重さんは「陶朱公」という人物はご存知ですか?

蔦重:ああ・・・昔の。

てい:越の武将だった范蠡(はんれい)です。

蔦重:あ~、え~と。

てい:范蠡は、武将であった折には血生臭い謀略に長けていましたが、戦から身を引いてからは斉という国へ行き、商いに精を出し、その地を栄えさせます。(立ち上がって雑巾を桶で洗い、絞る)するとまた、国の宰相にと乞われます。しかし、戦などもうごめん、その地で築いた富を友人や周りの人に分け与え(また拭き始める)、今度は陶というところに移ります。

蔦重:宵越しの銭は持たねえってか。いやあ、いい男でさね!え~と、よし!(拭き始める)

てい:蔦重さんは、ぜひそのようにお生きになるとよろしいかと存じます。(蔦重、え?という顔)移り住んだ土地を富み栄えさせる。蔦重さんには、そのような才覚があるとお見受けしました。(最高に褒めてる)

蔦重:そうですかねえ。(てい、手が止まっている)

てい:店を譲るならば、そういう方にと思っておりました。(顔を上げる蔦重。ていが蔦重の方を向く)私は明日、出ていきます。つきましては、みの吉など引き取り先の決まっておらぬ奉公の者をお抱え頂けぬでしょうか。

蔦重:はあ・・・そりゃ助かりますけど。うちは奉公人もいねえし。

てい:では、何卒よろしくお願い申し上げます。(両手を付き、頭を下げる。掃除に戻る)

蔦重:あ・・・女将さんは、どうなさるおつもりで?

てい:出家を考えています。人付き合いは苦手ですし、商いは向いておらぬようで。

蔦重:なら、やはり陶朱公の女房になりませんか?(雑巾を絞る、ていの手が止まる)俺ゃ、人付き合いしか能はねえけど、女将さんみてえな学はねえし。こんなでけえ店、動かすのは初めてですけど、女将さんは生まれた時からここにいる訳で。力を合わせりゃ、良い店が出来ると思うんでさ。(てい、まだ動かない)嫌ですか?こんな吉原もんなんかとってなあ。

てい:(雑巾を絞り、蔦重に向き直る)・・・日本橋では、店(みせ)ではなく店(たな)の方が馴染みます。あと、俺ではなく私。日本橋の主に「俺」はそぐいません。(ずれた眼鏡を直し、去っていく)

蔦重:あ・・・(ていの答えが、どっちなのか分からない)

 蔦重に、日本橋の店主たる者とは、のアドバイスを始めたってことはそういう事。本が好きなんだもんねえ。で、自分が最高に褒めた陶朱公の「女房」になりませんかと言われて、ワーっと頭の中を様々なものが駆け巡ったんだろうなあ。モノクロの世界だったのに、いきなりカラフルな花畑がパーッと広がったんじゃないの。

 それに、「吉原者なんか」とか、自分の好悪の問題じゃないと考えたのでは。浮世絵を見ると、この頃は顔も知らず縁づくのも普通だったようだし、女側の好きだ嫌いだばかりが通る時代でも無かっただろう。店のビジネスのためには自分の知識があった方が良いと、理屈で判断したんだろうね。

 まあ、「どんなに落ちぶれても吉原者なんかと」みたいに侮辱的な啖呵を以前は蔦重に対して切っていた訳だから、その点はちゃんと謝ってほしいとは、現代のこちらは思ってしまうけどね。

歌麿、やっぱりラブだったのか!

 で、蔦重&ていふたりの会話が、どう進んだかはドラマでは割愛されている。吉原の耕書堂に戻って、次郎兵衛兄さん、つるべ蕎麦の大将半次郎、歌麿にビジネス婚の報告と相成った。

 その時の歌麿の反応が!そうだったか・・・やっぱり蔦重にラブだったんだね。蔦重が酔っ払って帰った時に、蔦重の下敷きになっても歌麿はそのまま、わざと動かずにいたように見えたもんね。義理の兄さんへの遠慮とか、気のせいじゃなかった。

半次郎:お前さん、その人、女房にすんのかよ?!

蔦重:ああ・・・まあ、そういうことになりまして。

歌麿:(不服顔全開)もう縁組の話は立ち消えたんじゃ・・・。

蔦重:ああ、俺も教えてもらいてえことあるし。したら、商いの為だけの夫婦ならいいって言ってくれてよ。

半次郎:ええ?

次郎兵衛:商いだけ?

蔦重:色々あって、もう男はこりごりらしいんでさ。

歌麿:じゃあ、雇いってことでいいじゃねえの!何だって夫婦になんだよ。

蔦重:ん?

次郎兵衛:ん?おめえ、こいつが女房貰うの嫌なのかい?

歌麿:・・・嫌じゃねえけど。そうなると俺ゃ、店に住んでいいのかとか・・・。

蔦重:フフ、何言ってんだ。お前は俺の義弟なんだから、堂々と一緒に住みゃいいんだよ。(歌麿の肩を叩いて)なっ。(歌麿に笑顔無し)

 いやいや、歌麿は蔦重の嫁取りは嫌なんだってば。自分が蔦重の女房のような気分でいたんだよね。そこに本物女房のていに来られちゃあ。

 思えば、前世で信長だった時は(「麒麟がくる」)、あんなに大好きだった明智十兵衛光秀に殺されちゃったんだもんね。また「べらぼう」で喜多川歌麿になっても、思いが叶わないのか・・・お気の毒。

 ・・・は冗談にしても、あの信長を演じていた同じ人(染谷将太)とは思えない可愛らしさ。いや、信長も相当可愛らしかったか。

日本橋と吉原の和解に忘八も泣く

 ということで、蔦重とていの祝言が行われた。この時の襖の隙間から覗いている忘八連中の会話が面白かったね。ていが眼鏡を外しているもんだから、「相手は丸屋の女将さんじゃなかったのかい」とか何とか、ザワついちゃって。

 次郎兵衛兄さんも、ガン見しているし。その横には、いつの間にやら存在していたサバサバなのかネチネチなのかの兄さんの嫁「とく」と、子どもたちが3人も。今後は嫁と兄さんの会話があるのかなあ、楽しみだ。

 結局、「手元不如意につき、眼鏡をかけてもよろしいでしょうか」と断って、ていは分厚い黒眼鏡をかけて三々九度に臨み、「おめでとうございます」となった。

 そこにやってきたのが鶴屋だ。一触即発かと思われたがなんと感動の大団円。記録しておく。

留四郎:すみません、すみません・・・入ります!(座敷内に座って)あの・・・鶴屋さんがいらしたんですが。

駿河屋:ああ?(眉を顰める)

丁子屋:この赤子面!(鶴屋が、以前落とされた階段を昇ってくる)てめえ何しに来やがった!おいおい、おいおいおい!

蔦重:お通しくだせえ!

留四郎:どうぞ、お入りください。

鶴屋:(座って)お日柄も良く、御祝言の儀、心よりお喜び申し上げます。(頭を下げる)心ばかりではございますが、通油町よりお祝いの品をお贈りいたします。(鶴屋の奉公人が、桐の箱を差し出す)

蔦重:(蓋を開ける。青地に白抜きの蔦屋の紋)こりゃ・・・暖簾にございますか?(驚いているてい)

鶴屋:この度、通油町は早く楽しく灰を始末することができました。蔦屋さんの持つ、全てを遊びに変えようという吉原の気風のおかげにございます。(軽く頭を下げる)江戸一の利き者、いや江戸一のお祭り男は、きっとこの町を一層盛り上げてくれよう。そのようなところに町の総意は落ち着き、日本橋通油町は、蔦屋さんを快くお迎え申し上げる所存にございます。(手をつき、深々と頭を下げる。涙目の蔦重)

扇屋:重三・・・重三おめえ、死ぬ気でやれよ、おめえ!(涙声)

蔦重:へえ!

丁子屋:カボチャにも早えとこ知らせてやんねえとな!

二代目大文字屋:喜んで化けて出てきちまいますよ・・・。

駿河屋:鶴屋さん。これまでの数々のご無礼、お許しいただきたく。(頭を下げる、親父たちと蔦重ら一同。下げていないのは、ていと鶴屋の奉公人のみ)

鶴屋:灰降って地固まる。これからは、より良い縁を築ければと存じます。

蔦重:鶴屋さん。頂いた暖簾、決して汚さねえようにします!

鶴屋:(素直な笑顔で)本当に頼みますよ。

蔦重:へえ!

鶴屋:では。(一同、頭を下げて見送る)

蔦重:(涙顔で、ていに暖簾を見せるも、ていはぶすっとして横目で蔦重を見る)

 こうなるとは、ていは予想していなかった?丸屋の暖簾を使い続けられると期待していたか・・・でも、蔦重が「丸屋耕書堂」を提案した時の売却話には乗らず、柏原屋に店を売ったんだもんね。

 まあ、積極的にぶすッとした訳じゃなく、ビジネス婚だから能面で行くつもりでいるのかな。さて、いつ鶴屋のように蔦重に笑ってくれるものやら。

 通油町も、総意が落ち着くまでにはすったもんだがあったのではないかと考える。例の「吉原者は」のお達しの確認に奉行所に走った人は絶対にいただろう。そして、前述のように田沼様のご意向を知ってアラびっくり。

 こりゃ、お上には逆らえないねえ・・・江戸一の利き者なのだしね!と自分たちを納得させたのは間違いないだろう。その結果の大団円。

誰袖ジブリキャラ並みの運動能力、ギャップ萌えの意知

 さて、今回判明したことだが、誰袖は、意知の間者となることには早々に成功したものの、まだ田沼意知とは男女の関係に持ち込めていなかったんだね。まさかの1年半も・・・それじゃ色恋のプロの女郎としては辛い。プロとしての矜持だけじゃなく、心底惚れてもいるからね。

 そのモヤモヤが溜まった結果とはいえ、屋根から飛び降りるものすごい大ジャンプを彼女が見せた。普通だったら足を折るって。(子どもの頃、造成地でキャッチボール中に球をつかもうと1階分飛び降り、両足を骨折した経験があるので断言。)

 吉原の通りで、灰掃除に精を出す意知に「ひとっ風呂いかがでありんす?」と、ちょっかいを掛けた女郎わかなみ。「その方はわっちの色でありんす!」と、眺めていた誰袖が2階からクレームをつけたところ、「もしや色と思っているのは花魁だけでは?」と痛いところを言い返された。

 そこで誰袖が下へジャンプ、女ふたりでつかみ合いとなった訳だが、この身体能力とガッツはスゲー。そんなことができちゃうなんて、ここにもジブリキャラ並みの人がいた。

 この激しい取っ組み合いの後、ギャップ萌えなのか・・・「かような恰好でご無礼いたしんす」と洗い髪でおずおず出てきた誰袖に、明らかに意知は釘付け、ハートを撃ち抜かれていた。なのに(だからこそ?)帰ろうとした。

誰袖:(意知の腕をつかみ、引き留める)もうすぐ1年と半年にもなりんす。あの女の言う通り、色だ色だと言っておるのはわっちばかり。

意知:そなたの働きには報いるつもりだ。案じずとも身請けの責は果たす。

誰袖:わっちの身請けは「責」だけで?(見つめ合う)

 そこに松前広年が来訪、箱にぎっしりの琥珀を大文字屋に持参したので話は中断。これで、目論見通り、松前藩が密貿易に手を出した証拠を押さえたことになるんだろう。これで松前に幕府への蝦夷の上知を迫れるか。もう、花魁は「責」を果たした。

 しかし、「花魁は私に夢中のはずじゃ」と誰袖をさらに所望する広年を垣間見、ここで怪しまれてはいけないと「琥珀が来た、関わりを断ち切った、では要らぬ疑いを持たれんしょう。(意知に微笑んで)きちんと責だけは果たしておくんなんし」と意知に言い残して誰袖は広年の元へ。

 この健気さも大いに響いたんだろうな。出直して誰袖に会いに来た意知が渡したのは・・・ジャジャジャジャーン!扇だった。

扇でまひろ&道長を思い出す

 え~!まひろが道長にもらったヤツじゃん!!!と一気に昨年の「光る君へ」の感激シーンを思い出したのは、きっと私だけじゃないはず。出会った頃の三郎(藤原道長)と、まひろ(紫式部)の姿が描かれた檜扇は、主人公まひろの心の拠り所になった。

 そこまでの代物じゃなくてもだよ・・・平安から江戸になっても、男が女に恋心を告げるのに必要な小道具は、扇(あふぎ)ってことか・・・。

 それに歌は西行。大河ドラマ「平清盛」で演じていた藤木直人の姿で西行を思い出せるのが大河ファンの醍醐味。待賢門院璋子の檀れいがまた美しかったよね。思い出しちゃったな。おっと、恐ろしい伊東四朗も思い出した😅

 「べらぼう」に戻ろう。意知は、意を決して誰袖に思いを告げたのだけれどもね、まるで高校生男子が告ってるみたいだったよね。この初々しさ、この人いくつだった?

誰袖:かような時分に、何かありんしたか?

田沼意知:花魁。(箱を開ける)これを。(扇を渡す)

誰袖:(扇を開く)「袖に寄する恋」。

意知:あの時、雲助は何も詠まなかったのを思い出してな。

誰袖:そういえば。(笑顔で扇に書かれた歌を読む)「西行は花の下にて死なんとか 雲助袖の下にて死にたし」(下の句で驚く)

意知:下手ですまぬが。

誰袖:(うれしさが顔いっぱいに)袖の下で死にたい、田沼様とも。

意知:まあ・・・そこも、この際かけてみた。(誰袖を見て照れている)

誰袖:・・・嬉しおす。家宝にしんす。

意知:(誰袖を見つめて)そなたと添わぬのは、間者働きをさせることが、より辛くなるからだ。好いた女に何をさせておるのだと、私は己を責めるより他なくなる。いっそ蝦夷など止めればと、思うようになるかもしれぬ。しかし、蝦夷は蝦夷でやり遂げねばならぬ私なりの思いがある。私の弱さを、許してくれるとありがたい。

誰袖:お許ししんすゆえ(膝を崩して)ちょいと、わっちの袖の下で死んでみなせんか。

意知:だから、それは・・・。

誰袖:形だけ。(膝をポンポンと叩いて)形だけでありんす。

意知:(誰袖を見つめてから、不器用に仰向けに膝枕をして横たわる)・・・花魁が、望月のようだ。

誰袖:「願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」。西行になったご気分はいかがで?(微笑んでいる)

意知:・・・まずい。ひどくまずい。(右手を伸ばし、誰袖の頬に触れる)

 意知、完落ちですな。誰袖、思いが通じて幸せだね、良かったね・・・とも言っていられない。このふたりに残された時間は、あとどれほどだろう。悲劇の春は次回?いや、もうちょっと待ってほしいな。

(ほぼ敬称略)