黒猫の額:ペットロス日記

狭い場所から見える景色をダラダラと。大河ドラマが好き。

【べらぼう】#42 ていが孕み、舞い上がった自己中蔦重はアーティスト歌麿の心を踏みにじる!いきり立つ定信、深まる孤立に気づかない

招かれざる客は誰?

 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第42回「招かれざる客」が文化の日前日の11/2に放送された。11/1~11/3は怒涛の3日間だったので、後から録画を見た。

 残り2カ月、そろそろ来年の大河「豊臣兄弟」の宣伝などもSNSで目に入ってきて、もうそんな時期かと焦る。今年も、大晦日までの日々はダッシュで過ぎ去ってしまうのか・・・でも今年の「べらぼう」にも大いに楽しませてもらったよ。残り6回かな?

 終わりに向けて、今回は歌麿が蔦重の下を去るかという嵐が来た。この嵐の回収は、歌麿=写楽で蔦重と和解だと思うんだけどな・・・それで面白くも心安らかに終わってもらいたい。単なる勝手な希望だが。

 さて、今回のあらすじを公式サイトから引用する。

≪あらすじ≫第42回「招かれざる客」
 歌麿(染谷将太)の美人大首絵で持ち直し、書物問屋も始めた蔦重(横浜流星)は、年が明けて身上半減から店を立て直した。歌麿の新作、江戸の「看板娘」を描いた錦絵も大評判となり、看板娘に会いたい客で各店は繁盛、江戸の町も活気づいていた。そんな中、てい(橋本愛)は蔦重に“子ができた”と告げる。一方、定信(井上祐貴)は、オロシャ問題や朝廷の尊号一件に対する強硬姿勢で、幕閣内で孤立し始めていた…。(【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第42回 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK

 今回の冒頭、尾張に出張した蔦重と仲良く語り合っていたのが書物問屋の永楽屋東四郎。この永楽屋に長男が養子に入ったので、親を継いだのは2番目で・・・という幻をどこかで読んだ気がするのだけれど、一体誰の話だったのだろう?思い出せない、失礼しました。

 さて、サブタイトルにもなっている「招かれざる客」は、今回の誰にとっての誰かと考えてみた。

蔦重の場合

 爆笑問題の田中が演じる相学者も、せっかく歌麿が手掛けてくれた評判の揃い物「婦人相学十躰」にケチを付けに来たのだから、蔦重にとっては招かれざる客そのものだったのだね。アラアラアラだ。せっかく爆問が揃って出た場面だったけどねー。ふたりの出番はこれで終わりのようだ。

 さて結局、「十躰」の体裁だけを変えた形の「婦女人相十品」の方も、絵に描かれている人物の名前を入れちゃならねえとお上から有難くない、「招かれざる」お達しがもたらされ、蔦重が夢見た「巷の美少女ブームで江戸アゲアゲ大作戦」は万事休すになったようだった。

 (でも、これって彼女たちが働いている店の名前だけでも絵に書き入れれば良かったんじゃ、と思ったのは私だけか?「難波屋看板娘」とか?それもダメなのか?とはいえ、彼女たちにしてみれば、多くの客が自分目当てにドッと来て、店主や親はホクホクでもめんどくさかっただろうなー。瑣吉とか、変装して繰り出してた治済とかあしらうのがホントにめんどくさそう。彼女ら、内心では招かれざる客だと思ってただろうね。)

 しかし、蔦重にとっての一番の招かれざる客は、西村屋だろう。ドラマの中では、今回、まだ蔦重は知らないところで暗躍されてしまった。いつの間にか歌麿を切り崩しに来ていたんだから、この痛手は大きいね。

 鱗の旦那の次男が、西村屋の二代目として後から出てくるのは分かっていたけれど(鱗形屋の親子、どちらも演じるのが歌舞伎役者だね)、あの細やかな心遣いのできる感じでの美しいご登場を見ると、歌麿の心の支えに二代目万次郎がなれそうで、もしかしたら二人は、割りない仲にもなっていきそうな気がする。

 ちょっと妄想が飛んで行ってしまったのだが、鱗形屋は西村屋にも借金をしていた様子だった。もしかして、借金の片に幼い次男は西村屋に売られたのだろうか?なんだかおぞましい妄想になってしまった。

 万次郎が持ってきた案思にも、暦と一緒に巷の若衆を描く話があった。西村屋も、目敏く歌麿のことをお仲間だと感づいて声を掛けに来たのか・・・?

松平定信の場合

 話を松平定信に転じる。最近の彼に降ってくるものは常に、招かれざる報せのオンパレードにも見えて、彼の眉毛はキリキリと上がりっぱなしだよね。蔦重が仕掛けている、町娘を使った江戸の活気を復活させる(でも悪いことに物価も上がってしまう💦)アイデアは「田沼病の復活」だそうで、そう煽られた松平定信が相変わらず良い眉毛の反応、これまた笑えた。

 この時に、無言で視線を交わす松平信明と本多忠壽が悪そうで、怪しかったね・・・これは次回の裏切りの序章だろう。その前、二人は治済のところに愚痴りに来ていたが、歌麿の女大首絵は治済にも大受けのようで、ふたりの話そっちのけだったのがおかしかった。

 そうだった、ロシアの船も来ちゃってた。これも当然、定信にしたら招かれざる客なわけだ。大黒屋光太夫の名前は、通訳するのは誰?で出ていたけれど、ドラマにはご出演なのかどうなのか。緒形拳が演じた映画の光太夫が懐かしく頭に浮かぶ。

 そろそろ定信の孤立も深まって足場が失われていくようだ。今回はこれぐらいで、定信についてはまた次回。

歌麿の場合

 さて、歌麿にとっての招かれざる客とは?今回、明らかに蔦重がソレになってしまった感がある。「鎌倉殿の13人」で、最終回に向けて真っ黒くなっていった主人公・北条義時を覚えているから、今年の主人公が多少黒くなろうが唐変木だろうが仕方ない。

 けれど、蔦重からの歌麿の扱いが酷い。デリカシーなくアーティスト心を踏みにじられ、気の毒だ。一枚一枚心を込めて描きたいのに、弟子にやらせて自分の名前だけ入れとけなんて言われるとか、吉原からの借金のカタに売られたも同然に五十枚も描かされるとか(それも事後承諾)。

歌麿:吉原?

蔦重:ああ。素人の女の名は書き入れちゃなんねえが、女郎なら構わねえってんで、親父様たちに話したら、やってくれるってんだ。

歌麿:待ってよ。俺、まだやるとも何とも言ってねえんだけど!

蔦重:頼む。もう、やるって言っちまったんだよ。

歌麿:言っちまったって・・・。

蔦重:うちは吉原に借金してんだろ?身上半減から返すの待ってもらってて。けど、吉原も今苦しくてよ。そこで、俺の借金百両を、お前の絵50枚で返すって話にまとまったんだ。(憤懣やるかたない表情の歌麿)お前の大首絵なら、入銀はなくとも売り上げで作る掛かりは賄えるし、うちの儲けは俺がどれだけ気張れるかってなるが、そこは俺が気張れってことで。吉原は、手前の持ち出しなく女郎を売り込めるっていう寸法だ。良い話だろ?

歌麿:それ、借金の片に俺を売ったってこと?

蔦重:いや!売ってねえ!今まで通り、お前への礼金はちゃんと払うから。

歌麿:けど、そんな話、聞いてねえって有り得ねえだろ!(ドス利かせて)

蔦重:ほんとに申し訳ねえ。(頭を下げて、近づく)けど・・・良い話だろ?うちも吉原も助かる。お前の名だって、売れ続ける訳だ。な?(浮かない顔の歌麿を見て、再度頭を下げて)頼む。ガキも生まれんだ!

歌麿:・・・へ?

蔦重:もう、んなことねえと思ってたが、ありがてえことに授かってよ。色々出すには出したが、大きく跳ねたのは「十躰」と「看板娘」だけだ。正直なとこ、新たな売れ筋が欲しい。頼む!お前だけが頼りなんだ!(平身低頭)身重のおていさんには苦労掛けたくねえんだ!頼む!頼むよ・・・。

歌麿:(目も顔も伏せ、じっと葛藤の中にいるが、顔を上げて苦笑)フッ、仕方中橋。やってやるよ。

蔦重:(顔を上げて)ほんとか?

歌麿:(笑って)義兄さんの言うことは聞かねえとな。俺は義弟だし。

蔦重:(一つ頷いて)恩に着る。(歌麿の手を取る)恩に着るぜ、義兄弟。(歌麿の背中が寂し気)

 ていのお腹に子を授かったことが分かり、蔦重は舞い上がった。その子のためという欲が極まると、ただでさえ鈍感なのに自己保身で何も見えなくなるのか。子ができて自己中真っ盛りの蔦重なんか、歌麿は見たくなかっただろうね。

 歌麿は、蔦重への報われない恋心には区切りをつけても、アーティストとしては蔦重と向き合おうとしていただけに、アーティストとしても縁を切るしかないと心に決めてしまったね。他の女を孕ませてのこの体たらくの蔦重を見てしまい、心の傷が深まった様が、背中に滲んでいた。もう完璧に離れたいと思ったに違いない。

 それが、西村屋二代目万次郎への宣言につながった。「西村屋さん。お受けしますよ、仕事。この揃い物を描き終わったら、もう蔦重とは終わりにします」と。

 そうだ・・・歌麿には、蔦重母のつよさんを奪っていった死神も「招かれざる客」だっただろう。つよは「あんたも私の息子だ」と言い、せっかく歌麿が心を打ち明け、話せる相手になっていたのにね。やはり鬼脚本、つよは今回の冒頭で早々に亡くなっていたことになっていた。

 つよの位牌を見やる歌麿が可哀そうで。彼女が生きていたら、朴念仁の蔦重が自分勝手に話をまとめて無理を言い出した時に、歌麿を庇ってくれる可能性は大いにあったよね。

 このドラマでは、歌麿の大事な理解者ばかりが命を奪われてきている。生きてる蔦重は朴念仁で、歌麿のメンタルはもう持たない😢救いは、相談にも乗ってくれる絵師の北尾重政。重政先生はホントに良い人。あとは万次郎、もう蔦重じゃない。

お墓参りした

 そういえば、まだ暑い頃に浅草の正法寺に行って、蔦重、つよ、てい、二代目蔦重を含む通油町蔦屋の皆さんのお墓参りをしたのだった。蔦屋家14人それぞれの法名と没年が歴代墓碑には彫られていて、それとは別に蔦重墓碣銘とその実母(津与)顕彰の碑文が一枚になっている碑もあった。

正面が蔦重墓碣銘と実母顕彰の碑文、右奥が14人の蔦屋歴代墓碑

正面の碑

歴代墓碑の説明文。蔦重は上の左から三番目、母つよは二番目。妻ていは下の右端

 ええと、この写真を見れば蔦屋の皆さんの没年も載ってるし、ネタバレになっちゃうかもしれないけれど史実だからお許しを。次回予告では、おていさんはお産で(?)苦しんでいる様子がちらりと映ったが、墓碑によればまだまだ長生きだ。産褥死はしないだろう。

 この歴代墓碑を見ると、ていさんの左隣には二代目蔦重が載る。お寺の説明文によると、二代目は、耕書堂番頭の「勇助」だそうだ。ドラマでは、手代の「みの吉」ぐらいしか目につかないけど?どこに勇助は隠れているのか?

 歌麿は、同じ「勇助」という名前が人別には載っていたから、歌麿が二代目蔦重になる道もあるのではないかと前から妄想しちゃってたな。なんと次回予告では「この店、くれよ」と言ってた気もするし。で、歌麿は二代目蔦重になるのかー?!と喜んじゃったんだけど。

 でも、歌麿のお墓は別にちゃんと存在しているという事実。ウィキペディア先生(喜多川歌麿 - Wikipedia)によると、歌麿は「1806年(文化3年)死去した。墓所は専光寺(移転前当時・浅草新堀端菊屋西側)現・世田谷区烏山。戒名は秋円了教信士」となる。

 つまり、この蔦屋歴代墓碑に名が残る二代目蔦重「勇山院松樹日行信士」と歌麿は戒名も異なり、別人だ。納得しないとね。

 ああもう、行かないといけない。今週末は知人の文化活動の応援に行くことになっている。地方ではこんなにも秋祭りが盛り上がるのだなあ、あちこち行きたくて仕方ないが、ちょっと体力的に圧倒されているかも。では、この辺で失礼。

(ほぼ敬称略)