歌麿主役でも良かったかもね
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第46回「曽我祭の変」が11/30に放送された。残る2回に物語的驚きが詰まってる感じでいいね✨サイコパス治済は、アラびっくりの双子説?早速、今回のあらすじを公式サイトから引用する。
≪あらすじ≫第46回「曽我祭の変」
蔦重(横浜流星)は納得する役者絵が仕上がらず行き詰まっていた…。そんな中、蔦重と歌麿(染谷将太)、2人にしか生み出せない絵を見てみたいと訴えるてい(橋本 愛)。この思いに突き動かされ、歌麿が再び耕書堂に戻ってくる。その後、役者絵は完成し、歌舞伎の興行に合わせて、蔦重は絵師・東洲斎写楽の名で絵を売り出す! 写楽のうわさは、徐々に江戸市中、江戸城中にも広まっていく…。(【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第46回 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK)
前回の最後、じゃじゃーんと歌麿が登場!いや、めっちゃ待ってたってば✨と個人的には心を躍らせたのだけれど、歌麿について、彼こそを今年の大河ドラマの主役にした方が良かったんじゃないのとの記事を見た。
わかるなあ・・・とにかく折り紙付きの唐変木だもんね、蔦重は!どれだけ繊細な歌麿の心を傷つけてきたことか・・・ドラマの始まりの頃、たとえ二枚目横浜流星が演じていようが、それこそ蔦重の言うことは悉く上っ面のキレイごとに聞こえて胡散臭かったし。吉原のためと言っても、結局お前は大勢の女郎の涙の上で稼ぐんでしょ!との考えが抜けずにイライラしちゃったしなあ。
そういう胡散臭い奴に感情移入がしにくかったのは確か。自動的に瀬川ばかり応援しちゃってたもんね。今思い返しても、小芝風花の瀬川は素晴らしかったし。
それに、蔦屋重三郎を知らなくても「喜多川歌麿なら知ってるよ」と言う人も、きっとこのドラマ前なら多かったんじゃないか。世界的にも有名な歌麿メインで、蔦重を相棒のように描くドラマでも良かったかもね、今後、海外にコンテンツを売ることを考えても。
同性愛者の大河主人公は、NHK的にまだ難しいかもしれないが・・・描き方はあるんじゃないか?無自覚な悩みを抱えた所からのスタートで、色々と試練を潜り抜けて、最終的に蔦重への愛情をしっかり自覚する感じならどう?そもそも、歌麿の性的志向は史実だったっけ?同性愛者はフィクションだったかな?
当然、主役交代ならば何もかもそのままという訳にはいかない。主役が変われば視点も変わるし、色々とドラマ上でのキャラの組み換えは必要だと思う。各絵師とのアーティストとしての切磋琢磨はもちろん、おていが恋のライバル・ラスボスとしてドーン!だよね、いいなあ。染谷将太主演・喜多川歌麿主役の大河、見てみたかったかも。
歌麿の恋心、決着を見たか
前回からの続き、おていと伴に耕書堂に戻ってきた歌麿。もうね、歌麿を待ちすぎて後光が差しているような気さえする。
蔦重:(北尾重政先生と面会中、振り返って)歌・・・おていさんも。
喜多川歌麿:この人、また出家したいって言いに来たぜ。
蔦重:何で?
てい:菩提を弔わなければならぬ者が多くおりますので。
歌麿:(被せ気味に)好きだからさ。あんたを好きで、あんたのために仏のご加護が欲しいんだってさ。(ずかずかと部屋に入り蔦重に近寄っていく)そういう風に役に立ちたいんだってさ。
蔦重:けど、何で歌と・・・。
歌麿:何べんもおていさんに同じことさせんなよ!(怒声。蔦重の両肩につかみかかる)世の中、好かれたくて役、立ちたくて、てめえを投げ出す奴がいんだよ!そういう尽くし方をしちまう奴がいんだよ!いいかげん分かれよ!この、べらぼうが!
実際のところ、これは歌麿自身の心の叫び・告白だよな・・・歌麿は、ライバルだからこそおていの気持ちがよく分かる、手に取るように。いや、唐変木蔦重が自分への好意を分からなすぎるよね、第三者が見てたって分かりそうなものを。
おていが最初に出家しようとした回はいつだったっけ?と思ったら第26回「三人の女」の回だった。思い返すと、じわる。今になると、より分かる気がする部分もあるね。
この回で出家して身を引こうとしたおてい。歌麿の気持ちをよくよく理解した彼女だったから。でも、蔦重は寺の門を入る直前の彼女に気持ちを伝え連れ戻し、「第三の女」歌麿は「良かったね」と涙した。こちらもまた、おていの気持ちを蔦重よりもよくよく理解していた歌麿だったよね。
今回の歌麿の叫びは、同じ相手を好きになった者同士だからこそ、おていとふたり分の長年の思いを、歌麿が唐変木の蔦重に突きつけたって事だったかな。
でも、分からない人はずーっと分からないんだろうなあ。蔦重はきっと死ぬまでこのまま分からない人のまま。でもそんな蔦重を好きになっちゃったんだ、ていも歌麿も仕方中橋。
歌麿は吹っ切れたようだよね。ていの気持ちを代弁するふりをして、自分の言葉で「好きだ」と言えて、分からず屋の蔦重に文句もひとくさり言えたから。この後、肩の力が目に見えて抜け、楽しそうだもの。
歌麿: (別室で)おていさんが持ってきてくれたんだよ。(5枚の揃い物の女絵を出す)もういっぺん、二人で組んだ絵が見たいって。
蔦重:どうだった?色とか・・・。
歌麿:彫も摺も、俺が指図したのかと思ったよ。(素直に微笑む)
蔦重:(やや安堵して)そうか。そうか・・・。
歌麿:よその本屋は俺に優しいんだよ。何でもかんでも「これでいい」って。それが、俺には楽しくねえんだよ。どうしようもねえサガみてえなもんだと思うけど・・・。ちょいと蔦重の無茶が恋しくなってたよ。(隅で微笑むおてい)
蔦重:じゃあまた、とびきりの無茶、言ってもいいか?
歌麿:(楽し気に)何だよ?
蔦重:「十躰」の時に、反故にした絵があったろ?お前が人相をあからさまに描きすぎて、俺が絵として綺麗なもんにしてくれって言ったヤツ。
歌麿:あったな。
蔦重:今度は逆に、あのくらい目立つところを際立たせた絵が欲しい。役者の。
歌麿:役者?
蔦重:ああ。で、その絵は、源内先生が描いたんだ、源内先生は生きてるって思わせてえ。
歌麿:源内先生云々はちょいと分かんねえけど、要するに、そのような具合の男を描けばいいってことだな?
蔦重:ああ、そうだ。
歌麿:(ニコニコ)んじゃ、ちょいと役者っぽい事やっとくれよ。
蔦重:ああ、おう。じゃあ・・・。(例の矢立を歌麿に返す)
(横向きに寝そべった上半身をひねり、紙に覆いかぶさるようにして絵を描く歌麿。歌舞伎役者のように、見得を切る蔦重)
歌麿は、蔦重に案思をもらって精一杯描いて、あーだこーだ言いながらふたりでブラッシュアップしていくのがサイコーで、得難い時間なんだって身に染みたよね。その蔦重との時間は、歌麿だけのもの。それを胸に抱きしめて行けばいいんだって。取っておいてくれた、あの矢立てもあるし。
ワクワクのプロジェクト写楽、鶴屋も手助け
戻った歌麿が、蔦重がなかなか思うように絵師たちに伝えきれなかったものを描いてみせた。前回、絵師たちの総意を代弁するようにブチ切れていた重政先生も「こういうもんを求めてたわけかぁ」と腑に落ちた。百聞は一見に如かずだろうけど、やっぱり重政先生は優しいなあ。
これでプロジェクト写楽が無事に回り出した。
蔦重は、松平定信に依頼されているから、源内先生が描いたとしか思えぬような役者絵を、写楽が描いたとして世に出したい。「源内先生のにおい」がする工夫は追々考えるとして、まずは元になる役者の似せ絵を先に作ることに。何しろ、50図も出すつもりでいるのだ。ちゃっちゃとやらないとね。
この時、歌麿が「50人の顔、描き分けろってえのか?」と言い、「できねえことはねえだろ、皆、面が違うんだから。歌麿ならできる!」と蔦重に返された。「50・・・」と呟きながらも、歌麿は全然イヤイヤな感じがしない。
以前、蔦重の借金を返すために吉原の女郎を同じくらいの数だけ描けって言われなかった?その時は、蔦重が「ガキも生まれんだ、頼む」と泣きを入れて、恋心を更にえぐってきて、悩んだ末に歌麿は仕方中橋って答えたんだよね。今回は己の心に決着も付き、反応が違う。
さて、金主も見つけていつもの倍は支払うと蔦重から聞き、意気上がる先生方。歌麿の肩を揉んじゃったりして。でも、50図も描くとなると、役者の舞台だけじゃなく稽古を見なきゃ間に合わない➡写楽の正体がバレちゃう➡カモフラージュの策が要るとなって、発案された策がまた面白かったね。使われたのは鶴屋さん。彼も優しいな!
河原崎座座元:歌麿!あの歌麿が役者を描いてくれるんですかい?
鶴屋喜右衛門:ええ。役者は描かないというのを先日、ようやく口説き落としまして。
都座座元:いやあ、そりゃあぜひ!
桐座座元:こりゃあ受けるね!
河原崎座:けど、歌麿ってなあ確か・・・。
蔦重:へえ。元はうちの抱えで。こうなりゃ、うちも負けるわけにはいきません。
都座:ちなみに、蔦屋さんはどなたが?
蔦重:決めかねてんですよ。なんで、描きてえって先生方に稽古見て描いてもらって、そん中で決めようと思ってます。
座元たち:ほぉ~、すごいねえ。
(鶴屋と蔦重の帰り道)
蔦重:ありがた山です。歌麿には、全ての稽古を見させてえんで。
鶴屋:まあ、言われた通りに言えば金一帯と言われましちゃね。
蔦重:恩に着ます。
鶴屋:けど、仲直りをしたのなら、蔦屋さんから歌麿さんの役者絵を出せばいいものを。売れるのは間違いないのに、それはしない。しかも、一度は描くと言って、歌麿さんと私は途中で降りると言ってくれって、一体、何企んでるんです?
蔦重:くだらねえバカ騒ぎをして、春町先生への供養にしてえんです。
鶴屋:(フーンといった顔)詳しい所、そのうち話してくださいよ。
それで、役者の稽古を見に、写楽チームの多数の絵師と狂歌師、戯作者が雪崩れ込んだのだが、そこには源内を思わせるような年恰好の、総髪のお爺もいた・・・と言っても、源内風の髷と丸めた背中しか映らなかったのだが、蔦重は誰に頼んだ?「げんな・・・いや、うちの親父なんです。近頃、戻ってきまして」なんて座元に紹介しちゃって、芸が細かい。
歌麿も、「あいつ、存外芝居っ気あんだねえ」と重政先生に言われていたが、ふてぶてしい大先生のような振る舞い。後から「へそを曲げて仕事を断るのも仕方ないね」と言われるのを狙っている様子だ。皆、面白がってる。
九郎助稲荷の解説:かくして、蔦重による「しゃらくせえ案思」が始まり、戯作者チームは描く役者や場面の選択。
唐来三和:大七と造酒之進が勝負するところが好きでよ~!
朋誠堂喜三二:俺は、源蔵と水右衛門だな。
山東京伝(北尾政演):私ゃ、江戸兵衛と奴一平が向き合うとこが好きですね。
大田南畝:(立ち上がる)チンツンチンリーン、チンツンチン、ハテ、小言(こまごと)ぬかさずと金出せやい。(顔も作ってポーズ。日本一!の掛け声)
宿屋飯盛:チンチンチン、イヤ滅多には出すまいわい!(立ち上がってポーズ。宿屋!飯盛!の掛け声)
蔦重:あ~そのまま、向き合って。こっちの顔とこっちの顔。対になってりゃ面白くねえですか?
南畝と飯盛:そうきたか~!
蔦重:へえ!(役者っぽく表情を作る。蔦屋!の声が掛かる)
九郎助稲荷の解説:その裏で、絵師チームは役者の印象が重ならないように、人相の描き分けを検討。
貞一:(それぞれが描いた「江戸兵衛」の顔を並べて)江戸兵衛も、様々でござんすねえ。
歌麿:目は、政美のが良かねえか。切れ長なのがよく出てらあ。
政美:じゃあ、どうぞ。
(歌麿、政美が描いた絵の上に白紙を載せ、目の部分を写し取る。)
貞一:重政のお兄いさんの顎、こりゃいかつうござんすね!
重政:鬼次は顎がいいんだよ。(歌麿、目を写した紙に顎の部分を写し取り、少しずつ顔を作っていく・・・略)
九郎助稲荷の解説:それは、パズルのような作業で・・・。
全然歌舞伎や芝居の造詣が無いに等しいので、会話をただ書き取ってしまったが、門外漢にも楽しさは伝わってくる。今回のプロジェクトでは、江戸兵衛の浮世絵の下絵が、それぞれの取材メモを歌麿がまとめ役で1本の原稿に仕上げていくように、多数の手が加わって出来上がっていくのだなと興味深く思った。
ここに現れたのが、役者絵で知られた勝川派の春朗(くっきー、後の葛飾北斎)。破れ傘を広げて見得を切ったがあちこちぶつかったりして、昔、傘で見得を切って颯爽と源内にアピールした瀬川とは大した違いだ。
この春朗がドーン、キュッキュ!という謎の表現で持ち出したのが遠近法。「蘭画は、手前がドーンで奥がキュッキュ!」の説明で分かった。北斎の「神奈川沖浪裏」のブルーが美しい絵も、手前に大きく舟、奥に小さく富士山が見える。遠近法で知られているのだってね。
さらに蔦重が「蘭画は縁取りの線が無い」と言ったので、歌麿が線の墨の色を薄く、影を濃くする工夫をした。遠近法とこれが、源内らしさのスパイスを加えることになったようだ。できた江戸兵衛の下絵は、顔がドーンと前に、手はキュッキュと小さい。可愛らしい手だと思っていたら、源内を示す遠近法のつもりだった・・・ということになったのだね。
この下絵の出来には、まとめ役の歌麿が「写楽って、すげえなあ」としみじみ漏らすほど、プロジェクトに関わった一同が釘付け。蔦重も嬉しそうだった。その時に歌麿がね、本当にうれしそうに絵を見ている蔦重の肩を叩くんだよ。
わざわざ腕を回して、隣の人の遠い方の肩を叩く。肩を組むような形になるが、これって蔦重が散々歌麿にやってきた仕草だけど、歌麿はいつも避け気味だったよね。それを今回は歌麿の方から。いやー、見ている方は歌麿の清々しい笑顔に、並んだふたりの良い笑顔に涙が出る。うんうん、歌麿が蔦重と目指すべきはこっちだよな。
能役者・斎藤十郎兵衛
しかし・・・このドラマの写楽プロジェクトはかなり楽しめたのだけれど、文句も出るのだろう。写楽の正体は、実は史実的には決着がついているらしい。
でも、ドラマはドラマなんだよねえ。史実にしっかり沿わなきゃいけないってことになると、奇想天外な歴史小説なんか軒並みアウト。いくらでも、という訳にはいかないだろうが、読者や視聴者が振り落とされない程度に、作者が遊んでいい部分もあるよね?というのが私の考えだ。
ただし、能役者の斎藤十郎兵衛が写楽の正体だと決着がついているのであれば、その存在を、この大河ドラマはマルっと無かったことにしてしまうのか?そこは、ちょっと気になっている。最後の最後にアッと驚く登場の仕方をして、写楽に絡んできたりする?いいなあ、期待しているよ。
写楽=源内に乗った陰謀、知らぬは蔦重ばかりなり
江戸兵衛の下絵を見せられた定信はホントに嬉しそうだったよね。こういうのが元から好きだもんな。実は自分も関わって生まれた絵だと思っちゃっているだろうから、余計嬉しいのだろうね。蔦重の「あ?(怒)」にも気づかないくらい。
定信:名に、東・洲・斎を加えよ。
蔦重:は?(何言ってんだと不満そうな顔)
定信:写楽は東洲、江戸っ子。これは江戸の誉れとしたい!画号は東洲斎写楽とせよ。
時は寛政六年(1794年)五月。芝居小屋の三座の興行が幕を開け、それに合わせて蔦重は芝居町に耕書堂の支店を設け、謎の絵師・東洲斎写楽の役者絵28図を売り出した。役者のシワまでそっくりに描いた絵は大好評。グニャ富こと中山富三郎が怒ってたな。飛ぶように売れ、「この絵師はどこの誰?」と江戸の話題を呼んだ。
歌麿だとか春朗だとか、重政、政美、政演、一九(貞一)・・・あらかたのプロジェクトメンバーの絵師の名が巷で写楽ではないかと挙がったところで、読売には「写楽は源内」と杉田玄白が言ったと書かれた。江戸城中にまで源内生存の噂は広がり、昔の幻の11代様・家基謀殺に始まる疑惑も蒸し返され、してやったりの定信。
そして、平蔵が居場所を突き止め、定信が間者に引き込んでいた大崎が、例の七ツ星の龍の戯作を一橋治済に読ませる。「これを書けるのは源内だけ、源内が生きているのでは」と疑わせるためだ。そして、それらしき人物が潰れた浄瑠璃小屋に潜んでいると更に吹き込んで、治済が源内の顔を見知っているからと、芝居町の曽我祭をダシに、治済をそちらに連れ込もうとした。狙いは明白だ。
だが・・・これまで数々の陰謀を成功させ、それに長けている治済に、定信の策はあっけなく見抜かれてしまったよね。理由は、七ツ星の龍の戯作の筆跡。定信、手抜かりもいいところだよ~何で誰か別人に清書させとかないんだろ。頼める人もいないのか。
治済は、耕書堂の芝居町支店にも顔を出して、写楽の絵を買っていった。「あの戯作も面白かった」と蔦重にカマをかけたが、蔦重は写楽=源内の噂を立てただけだから、何も知らない。
治済は立ち去り、大崎が代わって代金を支払ったのだが・・・蔦重、唐変木だから大崎が渡した代金の包みを開いても見ないようだった。何か書いてあるみたいだけど。(釣りは要らぬと言った大崎が、むしろお釣りを要求していたら蔦重は紙包みを開いたはず。だけど、そうするとその場で騒ぎになっちゃうか。)
大崎は、定信らが待ち構える浄瑠璃小屋に、あくまで治済を連れて行こうとした。「あれは越中の字だ」「故に三浦が浄瑠璃小屋で匿っている男は源内ではあるまい」と治済が策は破れたと言っているのに、「三浦と越中守が手を組んでおるのやもしれませぬ!ここまでいらっしゃったのですし、一目」と言い張っていたのには、意味が分からなかった。
ふたりが手を組んで、匿っている源内の話を越中守が書いたのだと?それはもう苦しいよ、バレているんだってば。そこまで押したら危ないと分からないなんて、確かに尼暮らしで勘が鈍ったね。
彼女は、ここで逆に毒まんじゅうを食わされ殺された。同様に、小屋に巧妙に持ち込まれた毒まんじゅうを食べた定信配下が何人も犠牲になった。サイコパス恐ろしい。
蔦重も危うく食べるところだったが、長谷川平蔵が駆けつけ、まんじゅうを咥えた蔦重を寸前で止めてくれた。庶民の味方、鬼平✨・・・それで、浄瑠璃小屋に蔦重を誘い、これまでのいきさつを語り出した。
この時、定信は「やかましい」とイラつき、蔦重の存在などどうなろうが気にしてもいなかった風に見えた。やっぱりサイコパス治済とメンタリティーが大して変わらんね。
長谷川平蔵:傀儡好きをおびき出し、ここで始末するつもりが見抜かれたのだ。座元や役者が祝儀のまんじゅうを出しておったろう。あの者はその中に毒まんじゅう配りを紛れ込ませたのだ。
蔦重:名が入ってねえのが毒まんじゅうってことですか。
平蔵:ああ。肝要なのは、これは関りのある者にしか配られておらぬということだ。つまり、配られた先の者には「知っておるぞ」と言うておるのだ。
蔦重:けど、何でうちまで?
平蔵:写楽が源内であるということを餌に、ここにおびき寄せたからな。
蔦重:・・・そのための源内騒ぎで。
平蔵:かようなことになり、すまぬ。まこと申し訳(頭を下げようとする)
蔦重:(さえぎって)すまぬじゃねえですよ!俺たちゃお武家さんじゃねえんです。どうやって身、守れって言うんですか!
定信:やかましい!何故、連れてきておるのだ。
平蔵:狙われておりましたので、もはや全てを打ち明け自ら用心させねば!
あれ?平蔵が変なことを言っていたな。陰謀に関りのある者にしか毒まんじゅうは配られておらぬと。「知っているぞ」と警告のため配られていたって・・・。
そんな調べはいつついた?平蔵は、毒まんじゅうを食べた人たちが倒れ始めて、慌てて蔦重の耕書堂に駆けつけたのかと思ったが、ずいぶんと調べが早すぎない?なんでそんなことを知っているの?それとも、調べを付けてからゆっくり耕書堂に来たのか?
平蔵、まさかお前・・・何もかも知っていて、最初に安全な鰕蔵の名入りまんじゅうを選んで食べて見せたか?それで、他の浄瑠璃小屋の人たちもまんじゅうを食べ始めた。そもそも、まんじゅうを集めて小屋に持ち込んだのは平蔵の手下・仙太じゃないか!あわわ・・・。
仙太はそうとは知らず、ご祝儀のまんじゅうをたくさん貰って来いと平蔵に言われたか?異変が起きた時も、平蔵は真っ先に「まんじゅうだ」と断定、「食した者は吐き出せ!」と言っていた。
平蔵は定信には人足寄場で苦労させられていたが・・・いやいや、鬼平がそんなことするわけない。でも、スパイがいたとしたら?平蔵が怪しく見えちゃったなあ。まさかね。
スパイ説では、家族によると、三浦庄司が怪しいという話が出回っているらしい。言われてみれば、何で浄瑠璃小屋に彼だけ来なかったのかとか、何で原田泰造がオープニングでトリを数週間にわたって飾っているのかとか、気になるところはあるにはある。
最終回も迫り、ここにきてミステリー的に盛り上がってるね。まあやっぱり、主役の蔦重が定信に利用されるだけの陰謀が、うまくいく訳がない。蔦重が自ら手を出して治済をギャフンと言わせてこそ、視聴者もスッキリできる。手抜かりを犯した定信は、惨憺たる結果を反省して蔦重にきちんと協力を要請し、彼が練る「そうきたか」プランを導入しようね。
でも、どうしたら蔦重が率先して治済退治に関わろうとするだろうか。可哀そうだけれど、予告を見ると、みの吉は毒まんじゅうで死んじゃうのか?それで蔦重が積極的に仇討ちに乗り出すなら分かる。そうすると、耕書堂二代目候補で残るは歌麿か・・・。
ビックリのそっくりさん登場
柴野栗山が「奥にもよろしいかな」と尋ねて、浄瑠璃小屋の奥にまんじゅうを持って行った。それは役者の名前が記された包みの、安全なまんじゅうだけだったのだろうか?奥に隠れていた人物が、もしも毒まんじゅうを食べて命を落としていたら、企てはまったくおじゃんになってたね。
というのも、最後に奥からご登場になって蔦重の前にも姿を現したその御方が、まさに一橋治済のそっくりさん。大崎が見てビックリしていたのも、彼だろうね。
目が泳いでいたから、治済本人ではない。ちゃんと別人感があって、さすが生田斗真だ(オープニングには二役とは書いてなかったが)。となると、ドッペルゲンガーの赤の他人か、それとも治済には実は双子の兄弟がいて、その片割れか。
昔は双子を畜生腹と嫌ったと聞く。家康の次男の結城秀康が実は双子で生まれ、片方の兄弟(永見貞愛 - Wikipedia)は、母の実家で育てられたらしいからねえ。だから治済のように高い身分なら尚更、彼が知らない双子がいたとしても驚かない。
赤の他人か双子の片割れか。どちらにしても、そっくりさんの存在は危険な発想を呼ぶ。治済の替え玉にして、本人を消してしまえという・・・そうなるよ。
そういえば、まんじゅうを奥に運んだ柴野栗山が、治済に初めて会った時のこと。じーっと顔を見つめていたよね。治済に怪訝に思われて、ご尊顔が麗しく見惚れていたとか何とか言い訳をしていた。もしかしたら、自分の知り合いが治済にそっくりで驚いていたんじゃないの?えー?!って。
もしそうだったとしたら。定信にそっくりさんの件を伝えたのはいつだったんだろう?そこから陰謀はスタートし、だから栗山先生がメンバーに入っていたんだろう。そのそっくりさんの存在を伝えた栗山先生、儒学者として倫理的にどうかと躊躇もあったかもなあ。
ここまで書いて、ふと浮かんでしまった。栗山先生は、能役者の斎藤十郎兵衛とはどこかでお知り合いだったりするのか?・・・だったら面白いなあ。
(ほぼ敬称略)