黒猫の額:ペットロス日記

狭い場所から見える景色をダラダラと。大河ドラマが好き。

【豊臣兄弟!】#6 謀られても信長を信じた藤吉郎、命を懸けて兄(≒大沢次郎左衛門)を守った小一郎!信長は誅殺した弟・信勝を小一郎に重ねていたか

自分を罰したい信長は、「弟」の活躍が見たい

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第6回「兄弟の絆」が、選挙での休みを1回挟んでの2/15に放送された。ドラマタイトルが「豊臣兄弟」と来て、今回のサブタイトルが「兄弟の絆」なんだから、これは見逃せない回になるはずだと思ったら、NHK公式サイトでもこう書かれていた。

仕組まれた罠・・・誰が、なぜ!?捕らわれた兄の命を救え!物語の核心に迫る勝負回「兄弟の絆」ついに開幕!!

 勝負回だと公言していたね。やっぱりー。さて、まずは今回のあらすじを引用する。

第6回「兄弟の絆(きずな)」◆◇あらすじ◇◆

 大沢(松尾 諭)に信長(小栗 旬)の暗殺を企てたという疑いがかかった。小一郎(仲野太賀)の機転で、その場での手打ちは免れるが、このままでは鵜沼城に残った藤吉郎(池松壮亮)の命が危ない。翌日までに大沢の無実を証明することになった小一郎は、調査に奔走しつつ、市(宮﨑あおい)に信長への口添えを頼む。だが市はそれを断り、信長のある過去を語って聞かせる。翌日、手詰まりの小一郎は信長の前で驚きの行動に出る。(第6回「兄弟の絆(きずな)」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 信長の暗殺を企てたとされる大沢は、従者に毒を塗った苦無(くない)を荷物に忍ばせ持たせていたと疑われ、大問題になったのだが、結論を言ってしまうと、佐々成政の手で苦無を仕込ませ大沢の罪をでっち上げたのは、信長本人だった。

 (前回のブログで、「べらぼう」大崎以来、毒に親和性の高い映美くららが演じる大沢の妻・篠が、出発前に苦無に毒を塗って荷物に仕込んでいたらどうしようと案じたが、そんなことはなかったね😅当たり前ながら。)

 信長は、自身のように一族の骨肉の争いを勝ち抜いて鵜沼城主となった大沢次郎左衛門を信用できない。完全に大沢に自分を重ね、汚らわしいかのような目で見ている。藤吉郎のことも、大沢と引き換えに鵜沼で人質になっているのだから、大沢が無事に帰城できなければ大沢一族に殺される運命にあるが、あまり気にかけていない様子だ。

 なのに、どうだ。小一郎のことは、ドラマ上で主人公なのだから特別な存在に仕立てなければならないのだけれど、信長にとって特別な存在である弟・信勝と重ねられて見られているのだということが今回、分かった。藤吉郎と小一郎の木下兄弟が並ぶと、自然に弟小一郎に注目してしまう過去を引きずった信長だったのだ。

 幼い頃の信勝は、お仕置き中で縛り上げられて空腹の様子の兄に握り飯を運び、お仕置きの原因になったいたずらにも、「今度は誘って」と言って兄と笑いあった。成長してからも、信長と共に狩りに興じ、屈託のない笑顔を織田兄弟は交わしていた。

 信勝(信行)と言えば、歴代大河ドラマでは大体が兄信長に殺される場面だけでのご出演だったかも。殺害前のシーンがあっても、奔放な兄と優秀な弟の、気が合わない冷たい関係が示されたりとかね。「麒麟がくる」の染谷信長は印象的だったが、信行に対する感情はどうだったっけ・・・😅失礼。

 まあ、こういった兄弟の幸せだった頃の場面を見るにつけ、今年の信勝には死んでも注目すべき特別な役割があると感じる。父の信秀死後、織田家中に派閥ができて兄と跡目を争い、その結果、兄側に殺されたのはこれまでと同じ。だけれど、今作の信長は、可愛がっていた弟を殺したことが、ひときわ大きな心の傷になっている。弟に申し訳ないと思い、自分を許せない気にもなっている様子だ。

 さらに、信勝を演じるのが「あんぱん」主人公の弟・千尋役の中の人(中沢元紀)だものだから、千尋の悲劇をどうしても上乗せして見てしまう。ずるいな、この配役は。ただでさえ「信行(信勝)~💦」と毎度ロスになるのに、そこに「千尋~」という気持ちをこっちも追加されちゃうのだよね。

 結局、信長の策略を打ち破るほどの兄への愛を小一郎に示されてしまい、それが大沢を思わぬ行動へと動かし、「相分かった!」と引かざるを得なかった信長。その後のお市との会話が、今回も信長の本心を知る答え合わせになっていたが、信長はうれしそうなんだよね。

お市:まさか、あの者をお許しになるとは。らしくないこと。最初から殺すおつもりだったのなら、なぜもっと早くそうなさらなかったのです。たかがサル一匹のため、お気持ちが変わられた訳ではありますまい。

信長:わしにもよう分からぬ。もしかしたら、見てみたかったのやもしれぬ。

お市:弟が、命がけで兄を守ろうとする姿をですか?

信長:いや・・・兄を見殺しにしてのし上がろうとする姿をじゃ。

お市:期待外れにございましたな。

信長:全くじゃ。(うれしそうに、瓜を食べ続ける)

お市:それにしては・・・(信長の顔を見て、微笑んで)いえ、何でもありませぬ。

 小一郎を信勝に見立て、その弟が兄(≒信長)を見殺しにしてのし上がっていく物語。まるで、自分を罰して信勝を勝たせる、信勝への鎮魂の物語だ。それが見たかったとは、弟が死んで自分が生き残ってしまったことに対して、「残念」では済まされない「深い悲しみ」を感じる。サバイバーズギルト的な、自分が生きていることへのやり切れない後悔の念というか。

 信勝殺害場面での、信長の慟哭もすごかった(小栗旬が熱演)。家中の争いはどうにもならないが、それなら、信長はかわいい信勝の身代わりになって死んでしまいたいと念じていたのではないか。信勝が殺しに来たら、殺されてやるつもりだったのかもしれない。それで弟がのし上がっていくのなら、それでもいいと・・・。

 その前に、柴田勝家があっさりと信勝を斬り殺してしまったから、信長の密かな願いは叶わなかったということかも。その後、家臣や尾張の人たちを思えば、もう生きていたくないなんて甘えたことは言えないだろうが、心にぽっかり穴は開くよね。

 その穴を、お市は一生懸命埋めようとしているのだろうね。

 このお市との場面の後に、柴田勝家が呼ばれ、「次は犬山城じゃ。鵜沼の者と合力し、一気に攻め落とせ」と信長は命じた。去り際、勝家はわざわざ戻って「拙者がおりまする。この勝家、決して殿を裏切りませぬ!」と信長に宣言、ちらりとお市を一瞥して去っていった。

 おやおやおや~今からお市にアピール?しかし、これまでの勝家の立ち位置を考えると、拙者がおりますなんて言われてもねえ。

小一郎の頭はキレッキレ

 今回は冒頭からかなりの大ピンチだったが、小一郎は見事に切り抜けた。いやー、本当によくやった。何しろ、前述した通り、策略を仕組んだのは信長だったのだから、始末に負えない。苦無が仕組まれた謎をいくら解き明かしても、それだけじゃ藤吉郎は到底助けられない話だった。

 まず、その場で大沢を始末させずに時間稼ぎができたことだけでもすごい。

木下小一郎長秀:何かの間違いでございます!大沢殿は、我らの味方になると約束してくださいました!

柴田勝家:控えよ!うぬごときが口を挟む場ではない!

小一郎:ご無礼は平に。しかし、この者を殺せば我が兄の命もございませぬ!

信長:・・・それがどうした。わしはサルに調略せよと命じたのじゃ。そやつの二心を見抜けなかったはあやつの手落ち。自業自得じゃ。

大沢次郎左衛門:二心などござりませぬ!

佐久間信盛:ではこれをどう申し開きいたす!

大沢:知らん!

前田利家:この刻印は美濃国、関の刀鍛冶によるもの!(小一郎は、目をぐるぐるさせて考えている)

大沢:知らんものは知らん!

滝川一益:そのような言い逃れが通るとお思いか!(脇差を抜く音に、小一郎が仰天)覚悟されよ!

小一郎:(滝川一益を押さえて)これは罠じゃ!大沢殿が我らに寝返ることを恐れた、(美濃の斎藤)龍興の仕業にござります!龍興の息のかかった家臣が、目を光らせておったに違いありませぬ。そ奴がそれを忍ばせたのでございます!

森可成:そのような妄言を信じよと申すか!

小一郎:しかし、大沢殿がやったという証もありますまい!であれば、ここは吟味すべきでございます!

林秀貞:吟味じゃと?

小一郎:このまま真相を確かめずにこの者を斬ろうとするなら、今後、織田の誘いに乗るものも居なくなってしまいます!それこそが、敵の狙いやもしれませぬ。お願いでございます。どうかどうか、よくお調べくださいませ!

勝家:黙れと言うたろうが!

小一郎:(ハアハアと息をして黙る)

信長:よかろう。1日くれてやる。その吟味、お前がやれ。

小一郎:ははあ!(ひれ伏す)

信長:ただし、何も分からなければその時は・・・お前の手で、そ奴を斬れ。

 この場面の芝居のスピードはすごかった。このテンポに一人でも乗り遅れたら、この緊張感は生み出せない。そして、後から知ったが、この場面で大沢は石つぶてを握りしめていたらしい。確かに、「二心などござりませぬ!」と言う直前、右手に石が隠されているようにも見える。

 投げようと思うなら投げられていたね。投げていたら、あの距離だから信長も即死かも。しかし、小一郎があの手この手で一生懸命言葉を繰り出しているものだから、大沢としても投げるタイミングが無かったというか、小一郎を信じようと思ったのかもね。投げれば、小一郎も殺されるのは確実だからね。

 また、これは信長が仕組ん策略だと知っている、少なくとも前田利家がその場にいた。また、丹羽長秀が静かにその場を見ているのも怪しい。知っていたのかな。

 しかし皆、小一郎が「これは龍興の罠じゃ!」と言った理屈に黙らされた。確かに今後、調略も何もできなくなってしまうのは織田方に大いに不利だ。前に信長が言った通り、戦わずして勝つのが最上なのに、全て戦わなきゃいけなくなるんだからね。ああ言ったことで、ある意味、小一郎は織田家を救ったのかもしれないよ。

身を捨てて、道を切り開く

 小一郎が吟味を始めたが、前田利家に話を聞く時に佐々成政も同席させていたままだったのはいただけなかったね。あれじゃ、言いたいことも言えない。やっぱり話は個別に聞かないと。(後で言いに来てくれてよかった。)

 佐々成政が苦無を仕込んでいた所を偶然、甚助が見ていたことで小一郎は真実に辿り着く。信長が「それがどうした」と応じた時にも「えー!」という驚愕がぬぐえなかっただろうが、まさかまさか信長が仕込ませていたとは。最初から大沢を殺すつもりだったとは。

 そして、それを知りつつ、兄藤吉郎は鵜沼に向かっていたとは(やっぱり前田犬千代は今作でも良い奴だったよね。ホッとした。ここで藤吉郎が居なくなれば出世できるけどそりゃつまらなくて寂しいよ、そういう奴で良かった)。藤吉郎がお寧々殿にプロポーズできなかった訳だよね💦

 この主君の意志を知ってしまって、どう抗えばいいのか・・・普通ならもう感情に訴えるしかない。だからお市に泣きついたけれど、それも難しい。もう泣くしかないが、最後の最後、小一郎は乾坤一擲の勝負に勝った。これがまた凄かった。「小一郎は必ず来る」と信じる兄への篤い情もありつつ、頭キレキレ。最高な主人公じゃん(涙)。

丹羽長秀:して小一郎。吟味の首尾は?

小一郎:ハッ。(前に出る。神妙に)私の調べた限り・・・やはり大沢殿に二心はござりませんでした。あの苦無は、別の者が忍ばせた物でござります。

佐久間信盛:それは誰じゃ。

小一郎:申せませぬ。申したところで、認めては貰えぬでしょう。

柴田勝家:それでは話にならん!また口から出まかせではないのか!

信長:もうよい!(立ち上がり、刀を取り、小一郎の前に立つ信長。大沢が右手を握りしめる)小一郎。覆せぬのなら約束通り、お主の手でその者を斬れ。(刀をガシャンと放り投げる)さすれば侍大将にしてやる。

小一郎:そんなものになりたくありませぬ!(信長が振り返る)大沢殿の命は、兄の命じゃ。この手で兄を殺すことなどできませぬ!わしはどんなことがあろうとも、兄者を裏切りませぬ。なぜかお分かりか?兄者がわしのことを信じているからじゃ。殿のことを信じておるのです!兄者は全て承知しておりました。

回想の前田利家:別にどうでも良い事だが・・・お前に話しておきたいことがある。殿が最初から大沢を殺すつもりでいたこと、佐々から聞いてわしも知っておった。わしはそのことをサルにも教えたのじゃ。必死になって調略したところで、殿は大沢を殺すつもりだと。お前は本当のことなど何も聞かされておらんのだと。大役を任された奴への妬みでな。じゃが、あいつは・・・。

回想の回想の藤吉郎:調略に応じれば、大沢の城と領地は安堵すると、殿はわしにそう申した。わしはその言葉を信じるだけじゃ。

小一郎:兄者はこうなるかもしれないと分かった上で、それでも、人質となることを選んだのです。殿の命に従い、殿のお言葉を信じて!兄者が殿を裏切ることは金輪際ありませぬ!(ずっと横目で小一郎を見ていた信長が、目を外し遠くを見る)そういう家臣を、あなた様は失うことになりますぞ!

丹羽長秀:控えよ、無礼者め!

小一郎:無礼は百も承知じゃ!わしを侍大将に?ありがたいことじゃ。じゃが気を付けられませ。わしは兄者とは違う。こたびのことで、あなた様のことが大嫌いになり申した!(一同、ギョッとする)わしを生かしておいたら、いつか寝首を掻くかもしれませぬぞ。

勝家:血迷うたか、乱心者め!この場で斬り捨ててくれるわ!(斬ろうとする)

小一郎:お主らには斬られぬ!ハア・・・わしを斬るのは(刀を差し出し)大沢殿じゃ。

大沢:お主、何を。(刀を渡されるが、戸惑う)

小一郎:さあ、斬りなされ!裏切り者であるわしを斬って、殿に忠義の証を見せるのじゃ!さすれば殿も分かって下さるはず。戸惑うことなどござりませぬ。わしがあなたを助けようとしたのは兄者の為じゃ。あなたのことなどどうでもいいと思っておったのじゃ。(神妙に座り直す)さあ!斬って下され!兄者のことをお助け下され!(前を見据える)直・・・すまぬ(閉じたまぶたから、涙がハラハラと落ちる。背後で構える大沢)

大沢:(刀を捨てる音)御免。(小一郎の脇差を拝借、髷を切り落とす。小一郎を見て)斬れぬわ。(座り直す)織田様。拙者は仏門に入り、世を捨てまする。家臣、所領の一切を差し出しまする。この者の非礼も、どうかそれでお許し下され。

小一郎:大沢殿・・・。

信長:(表情のない信長)・・・相分かった!

 はーっ!息がつまるような展開だった。兄を助けたい、そのためには大沢を助けなければならない、だったら自分が身を投げ出すしかない・・・そう小一郎は結論付けたのだね。しかも、大沢に裏切り者となった自分を斬らせて手柄とさせようなんてねえ。

 直が「私とどっちが大事なの」と藤吉郎のために奔走する小一郎に言ってしまい、「ごめん」と謝っていたが、まさにそんな結論を選んだ小一郎だった😢

 大沢が髷を落とすという落としどころで、信長はようやく納得した。武士としての命は終えても、大沢は生きている。鵜沼への道を急ぐ川で、大沢が石つぶてを捨てた。苦無よりも危険な物を、実は身に携えていたのがヒヤッとしたね。これがバレていたら。でも、最強の武器を持っていながら、大沢は使わなかったのだ。そうさせたのは小一郎だね。

 藤吉郎は、晴れて無事に戻り、寧々に夫婦になってほしいと言うことができた。コメディパートをちょこちょこと演じる藤吉郎に、今回は心温かな気分にさせてもらったよ。それが以前に家康に言われた言葉「最後はココ(気持ち)」を信じての振る舞いだと思うとね・・・この言葉は、家康が秀吉に臣従する際にロングパスになりそうな気がするね。

(ほぼ敬称略)