打ち壊しは、米価を下げるための抗議行動
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第33回「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)」が8月31日に放送された。なに、エンタメだって?
しかし、前回のブログ終わりで書いた通りになってしまった・・・「予告では、土まんじゅうの前で蔦重が涙していたよ。それが新さんのものでないことを祈る」と。いや、主人公が土まんじゅうを前にして泣いている予告を見たらさ、そりゃ新さんぐらいに重要キャラが死ぬのだと思うよね。
既に、おふくととよ坊の土まんじゅうも目にしている。親子3人、一家全滅か・・・見ている方はやり切れないが、新さんとしたら、実は何も悲しいことは無いのかも。世の中を明るくする男(蔦重)を守る人生だったのだと、人生の意味を実感することができて、あの世では愛する妻子が迎えてくれるのだ。感激の再会では?
これまでにない酷暑の8月末日に放送された第33回。脚本家森下佳子は「おんな城主直虎」の33回に、いわゆる槍ドンを持ってきた人だ。あのあと直虎は自分のやった事の反動で生きながら死んだような状態になっていたけれど、目撃した小野ファンのこちらもガックリだったからね・・・残暑をどう乗り越えたらいいのかと思うほどの、衝撃だった。
一体何のこと?と思われる方は、どうぞこちら👆のまとめ記事をご覧くださいな。今思い出しても脱力させられるほどの衝撃回だった。脚本家も反省したのか、「べらぼう」の場合は最後に歌麿が出てきて蔦重をヨシヨシしてくれた。見ているこちらも救われたね。
ということで、改めて今回のあらすじを公式サイトから引用する。
≪あらすじ≫ 第33回「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)」
天明7年、江戸で打ちこわしが発生する。新之助(井之脇 海)たちは、米の売り惜しみをした米屋を次々に襲撃する。報を受けて混乱する老中たちに対し、冷静かつ的確に提言する意次(渡辺 謙)。そんな中、蔦重(横浜流星)が、意次のもとを訪れ、米の代わりに金を配り、追々米を買えるようにする策を進言する。一方、一橋邸では治済(生田斗真)が、定信(井上祐貴)に、大奥が反対を取り下げ、正式に老中就任が決まると告げるが…。(【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第33回 - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK)
私は誤解していたらしい。打ち壊しでは、飢えに耐えかねた民衆が立ち上がり、てっきり米や財物の略奪は起こるものなのかと思っていた。ドラマでは「丈右衛門だった男」が扇動していたみたいに、商店を襲って力で食料を確保するのが基本だと思っていた。つまり、身も蓋もないが、集団強盗みたいになる。
そうしたら、「べらぼうナビ」でもそうじゃなかったんだと説明があった。
【べらぼうナビ🔍秩序ある打ちこわし?】
打ちこわしの際、江戸の市民たちは「騒ぎに乗じて米や金を略奪しない」「鳴物を合図に休憩しながら行う」など秩序ある行動をしていたとみられ、それを「誠に丁寧、礼儀正しく狼藉」と表現した武家による記録も残っています。(【大河べらぼう】べらぼうナビ🔎第33回 - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK)
つまり、純粋な打ち壊しは現代なら抗議行動、デモの行列に近いものと当時は評価されるものだったみたいだ。「打ち壊すだけなら米屋との喧嘩で済む」と、前回、新さんが言っていたし、今回も「盗むな、打ち壊すだけだ」とか「盗みは止めてもらいたい」と丈右衛門だった男に扇動されて盗みを始めた奴らに対しても言っていた。
それでも、やっぱり現代の目では「いやいや、店を壊して歩いたら器物損壊になっちゃうでしょ、それじゃ喧嘩と称して無罪放免になるのは無理がある」との意識が働いてしまうよね・・・。
ネットでまずはチェックするのはウィキペディア先生。概要を把握するには便利なんでね・・・単なるブログだからといつも安易に走ってゴメン、大学の先生には怒られそうだが、当初と違い、最近は割と出典も書き手もしっかりしてるよね?
まあ、以前、海外の友達と話がかみ合わなかったので、ウィキ英語版で日本の某政治家の項を読んでみたら、誰の事?と思うぐらいの美々しい書きぶりで肝心なことが省略されていて、その外向けの情報コントロールの徹底ぶりには唖然としたことがあるから、ウィキペディア先生も信用ならないところは確かにあるのだ・・・。
そういう影響をネットは受けやすいのだろうね。組織力(金)のある方が勝ちなんだな。命じられてハイハーイとちゃちゃっと情報粉飾に手を貸す人もいて、ギョッとさせられたこともあるし。そうやって変にネット上での情報粉飾が進んだ今世紀は、本当に日本の政治も歪になってきたと感じる。
脱線したが、下の引用のうち、アンダーラインはこちらで引いた。
明けて天明7年5月21日(1787年7月6日)、打ちこわしは江戸の中心部から周辺部にかけての全域に広まった。打ちこわし勢は鳴り物として鐘、半鐘、鉦鼓、太鼓、拍子木、金盥などを鳴らしながら人々を集め、棒や斧、鋤や鍬、そして鳶口などを持ち、鳴り物や掛け声で合図をし、時々休憩を取りながら打ちこわしを行った。最初は打ちこわしを見物していて途中から参加する場合もあり、そのような人々は障子の桟や木切れなど打ちこわしの現場に散乱している物を手にとって打ちこわしを行った。そして打ちこわしの標的の商家の門戸を破る時は大八車を用い、二階に登る時には段梯子を用いるなどし、門塀、壁、障子、畳、床など家屋を破壊し、米を搗く道具である臼や杵、酒樽や桶、帳面などの商売道具、箪笥、長持などの家具、呉服などの家財道具などを壊し、更に米や麦、大豆や酒、醤油、味噌などが路上にぶちまけたり川に投げ込むなどした。しかし打ちこわしによって家屋の倒壊に至ったケースは確認されておらず、また5月20日、21日の段階では打ちこわされた商家の米や麦、大豆などを路上にぶちまける、川に投ずなどといった事態が頻発したが、打ちこわしに乗じた盗賊行為などはほぼ見られなかった。これは打ちこわしの目的が民衆の苦しみを省みずに米の買占めを行い、米価高騰を引き起こした商人たちへの社会的制裁を加えることにあったためと考えられ、また当初打ちこわしに乗じた盗賊行為がほぼ見られなかった点や、鳴り物や掛け声で合図をし、ときどき休憩を取りながら打ちこわしを行った点などから、打ちこわし勢が高度に組織化された規律ある行動を行っていたと見られている[102]。これは江戸打ちこわしについて水戸藩士が「まことに丁寧、礼儀正しく狼藉」を行っていたと記録したり、別の武士の記録にも「打ちこわし勢は一品も盗み取ろうとしない」と書かれていることからも裏付けられる[103]。
打ちこわしに参加した民衆の中には「ここに来て打ちこわしに参加したのは、米の値段を下げ、世の中を救うためである」とか、「日頃米を買い占め売り惜しんだ者たちよ、人々の苦しみを思い知るが良い」などと大声で叫んだとの記録が残っており、また当時、江戸での米流通拠点であった浅草蔵前や小網町の辻など、江戸各所に「天下の大老、町奉行から諸役人に至るまで米問屋と結託して賄賂を受け取り、関八州の民を苦しめている。その罪の故、我らは打ちこわしを行うに至った。もし我々仲間のうち一人でも捕縛して罪に問うことがあれば、大老を始め町奉行、諸役人に至るまで生かしてはおかない。我々は幾らでも大勢で押し寄せるしそのこと厭いはしない、かくなる上は人々の生活が成り立っていけるような政治を実現すること」といった内容が書かれた木綿製の旗が立てられたと伝えられている。このことからも打ちこわし参加者の主目的が米の価格高騰の中、暴利をむさぼる商人たちへの社会的制裁、そしてそのような商人たちと結託し、民衆を省みず仁政を行おうとしない幕府の政治に対する批判、更には米価を下げ世を救うことを要求するといった点にあることが示唆される[104]。(天明の打ちこわし - Wikipedia)
もうちょっと簡単に頼むよ、暑さで頭もボーっとしてるんだからさ・・・という私みたいな体たらくの人向けには、受験生向けのこちら(↓)も参考になりそう。
打ちこわしは、米の価格を引き下げるという目的で行われました。
背景には、飢饉が起き米不足になると、金を持っている商人たちは自分の食事を確保するため町にある米を買い占めてしまったのです。その結果、市場に出回る米の量が減り、コメの価格が高騰したのです。
そのことに腹を立てた都市部の人達が、米不足で上がった米価を下げるために行われました。商人、名主、金貸しらの屋敷を叩き壊して抗議したのが、打ちこわしです。(【打ちこわしとは】簡単にわかりやすく解説!!原因や目的・影響・その後など | 日本史事典.com|受験生のための日本史ポータルサイト)
えー、「自分の食事を確保するため」だけ?投機買いもあって、米価が上昇したんだよね?誰でも買えると幕府がしちゃったから、買い手が増え、買い占めする人もドッと増えた。死んだ意知の、生前の失策だったな。
とにかく、打ち壊しは米価を下げるため。よくわかりました。打ち壊しの翌日、米を買いにその店に行ってたとウィキのどこかにも書いてあった。数を頼んで米を力ずくで盗みに行ったわけじゃなかった。
でもそれは、ていさんら蔦屋の面々も分かって無かったよね。打ち壊しで米を捨てるのは本末転倒とか、お百姓さんが泣きますよとか言ってたもんね。打ち壊しが何たるかの共通認識までは当時無かったのか、ドラマだから現代の視聴者の目線に立ってご説明を入れてくれたか、だ。
やっぱり戸板に乗せて運んだら💦
蔦重は、米の手配が間に合わないなら金銭を先に民に配り、その金で決まった量の米を追々配ると民に伝えては?と田沼意次に進言しに行き、意次はその策を受け入れた。(蔦重が来たからって幕府での話し合いを抜けてくる意次!蔦重、すごい存在感だね。意次が鋭いと言うべきか。)
そこで蔦重は、お祭り男の次郎兵衛さんがご活躍の賑々しい行列を仕立て、「♬天から恵みの銀が降る」「♬三匁二分、米一升。声は天に届いた」「♬鈴が鳴る鳴る、太鼓が怒鳴る。腹が鳴るのはおしまいで」と歌う、かの馬面太夫のお仲間の富本節の名手(新居浜レオン。ちゃんと歌手を連れてきただけあって安心して聞けたね)を先頭に、打ち壊しエリアを練り歩いた。
蔦重自身も「お救い銀が出るってさあ」「米に引き換えられるんでい。ここの幟にある通り!」と口上を述べ、表情が一変して笑顔があふれる民と共に「銀が降る、銀が降る」と行列の中で踊り、打ち壊しの鎮静化に大いに役だった。
対する「丈右衛門だった男」は、打ち壊しを田沼政権にとどめを刺す暴動に仕立てようと考え、わざわざ盗みを勧めるように小判を撒いたりしていたのに、その企ても蔦重にうまく潰されてしまった形。行列の中で皆とおどけて踊る蔦重に狙いを定め、抜いた匕首を手に行列の中を進み、蔦重の背後から迫った。蔦重危機一髪!
肩をつかまれ振りむく蔦重。しかし・・・そこに身代わりのように割って入り、刃物に傷ついたのは、打ち壊しのリーダー新さんだった。傷を負い、その場に倒れながらも、新さんは「丈右衛門だった男」に言った。
小田新之助:これは、打ち壊しだ!人を殺める場ではない!
まわりの人々:・・・匕首だ!(悲鳴が起き、「丈右衛門だった男」が遠巻きにされる)匕首だ~うわ~!
丈右衛門だった男は、一瞬怯み、それでも匕首を蔦重めがけて振り上げた。その彼の胸に、矢が命中。男は声も無く倒れた。矢を射ったのは、あのカモ平ならぬ立派に成長した鬼平だった。駆け付けた鬼平が口上を述べる。
長谷川平蔵宣以(のぶため):御先手組弓頭、長谷川平蔵である!これより狼藉を働く者は容赦なく切り捨てる!見物しておる者は召し捕える!かような目に遭いたい者はおるか!(逃げる盗人たち)
絶対に「長谷川平蔵である!」の部分は、例の中村吉右衛門の言い回しを意識したよね。BGMが聞こえてくるようだった。
倒れた新さんは起き上がらない。しかし、「私は大事ない。行け」と新さんが長七にも笑顔で言い、「大したことないが医者には診せた方がいい」とのこの場での判断で、蔦重が残り、医者に連れていくことになったのだったが・・・新さんは、途中でみるみる急変して命を落とすに至った。
「刃に毒でも塗られてたのかもしれぬな」と新さんも口にしていたが、毒やらアヘンやらがお得意な白天狗チーム。そうだったんだろうね。匕首の鞘の中に、予め毒が仕込んであるのかな。
蔦重はボーっとしてないで、新さんの傷を見て、さっさと止血ぐらいしてくれと素人の私はヤキモキしていたが、毒なら、傷口を洗うとか、少なくとも蔦重は長七を呼び戻して戸板で静かに新さんを運ぶべきだったんじゃ?と愕然とした。
それなのに・・・なんじゃ、あのズルズル引きずって無理くり歩かせようとしちゃって!「急ぎましょう」なんて、蔦重はアホか。毒も回るし、毒無しだって出血が止まらなくならないか?
せっかくの新さんの最期なのに、あの演出はいただけなかった。「太陽にほえろ」のジーパン刑事の最期とかを夢見て、何かわからないけど感動的に盛り上げようと蔦重に無駄な運搬作業をさせちゃったのか?ゴメン、だけどやっぱり水を差されたような気分だ。
別に歩かなくても、その場に倒れたままでも十分、新さん役の井之脇海も蔦重の横浜流星も、視聴者の涙を絞らせる良い演技をしてくれたと思うけどな。横浜流星だったら、新さんぐらいは軽々とお姫様抱っこで運べそうだし、なんて。蔦重は、筆より重い物は持たない非力な設定だったけどね。
蔦重:(苦しげな新さんを支えて歩きながら)しかし、やりましたね。これで米の値も下がりますよ!
新之助:下がるか・・・。
蔦重:へえ!米屋もお上も、欲張るとこうなっちまうんだって思い知りましたさ!へへへ!
新さん:蔦重・・・。(みるみる足取りが重くなってきている)
蔦重:へえ。
新さん:俺は、何のために生まれてきたのか分からぬ男だった・・・貧乏侍の三男に生まれ、源内先生の門を叩くも、秀でた才もなく・・・おふくと坊のことも守れず・・・うう。
蔦重:何、言ってんです!新さんは字もうめえし目のつけどこもいい、すこぶる値打ちのある男でさ!
新さん:蔦重を、守れてよかった・・・俺は、世を明るくする男を守るために、生まれて・・・きた・・・(ガックリ、事切れたか)。
蔦重:(新之助の体を抱えて、まだ橋を渡ろうとする)よしてくだせえよ、新さん。いきますよ。(力を振り絞り、新之助の体を引きずって)ああ~、うう~、新さん!ああ~!新さん!新さん!(力の抜けた新之助ごと、橋の上に倒れ込む。新之助の顔を見る。目を閉じ、笑みを浮かべた顔。)新さん?新さん・・・(泣く)新さん!(叫ぶ)
何のために生まれてきたの、というフレーズを聞いて、朝ドラ「あんぱん」の方に意識が飛んでしまったが、「何のため」とか変な意義を考え始めると足が止まったり鬱になるだけだと思うんだよね。人間は、ただ生まれてきた。自分なりに生きればいい、それで十分でしょう?
歌麿に支えられて
救いが無かった「おんな城主直虎」の第33回と違い、今作の33回には歌麿がいてくれた。悩みから抜けた明るい表情で、おていに対しても卑屈な視線を向けずまっすぐ。良い顔をしている。石燕先生の下に行ってホントに良かったね。
みの吉:いらっしゃいませ・・・お帰りなさい!
喜多川歌麿:おう。
耕書堂店員一同:(口々に)お帰りなさい!
歌麿:(帳場にやってきて)おていさん。あの、蔦重いませんか?ちょいと絵を見せたいんですが。(愁いを帯びた目を逸らす、おてい)何かあったんですか?
(人気のない路地を行く歌麿。虫の声、烏の鳴き声がする。寺の門を入ると、見渡す限りの土まんじゅう。そのひとつの前に座った蔦重。そばに座る歌麿)
歌麿:蔦重。(泣き晴らしたような表情で、虚ろな視線を向ける蔦重。土まんじゅうに向かい、手を合わせる歌麿)これ、見てもらいたくてさ(紙の束を差し出す。素朴な線と淡い色で、ありのままに描かれた草花。花のそばで舞う、蝶やトンボ。草陰に巣を張る、小さな蜘蛛。驚いた顔で、歌麿を見る蔦重)これが、俺の「ならではの絵」さ。
蔦重:(絵に見入って)・・・生きてるみてえだな・・・。(蓮の葉の池に、雨蛙)
歌麿:(ニコニコと)絵ってのは、命を写し取るようなもんだなって。いつかは消えてく命を、紙の上に残す。命を写すことが、俺のできる償いなのかもしれねえって思い出して、近頃は少し、心が軽くなってきたんだよ。
蔦重:歌・・・新さんが死んだ。俺を庇って死んだんだよ。俺、ここに穴掘って埋めて・・・俺ゃ、この人たちを墓穴掘って叩き込んだんだって・・・。
歌麿:新さんって、どんな顔して死んだ?いい顔しちゃいなかった?さらいてえほど惚れた女がいて、その女と一緒になって。苦労もあったろうけど、きっと楽しいことも山ほどあって。最後は世に向かって、てめえの思いをぶつけて貫いて。だから(蔦重の肩に手を置いて)とびきり良い顔しちゃいなかったかい?
蔦重:(涙を流しながら、でもウンウン肯いて土まんじゅうに手を置く)良い顔だったよ・・・。今までで一番いい顔で、男前で・・・なあ。お前に、写してもらいたかった。(歌麿にしがみつき)写してもらいたかったよ!(歌麿が蔦重を抱きしめる)
ひとつ分からなかったのは、蔦重の言う「この人たち」って新さん以外では誰を指して言ってるんだろう。おふくと坊だったら、もうすでに土まんじゅうの中にいる。新さんは分かるけど、それ以外の誰の墓穴を掘って叩き込んだと泣いているんだろうか。
それと・・・思い出すのは昨年の「光る君へ」だ。主人公はみんな泣いて友を手ずから葬るのがトレンドか、とも思ったし、自分で掘ったという割に、蔦重の手も装束もきれい。道具はあったのだよね?いや、埋めたのは当日じゃなくて、別日なのかな。そんなことはどうでもいいけど。
それより、いいなあ、お帰り歌麿。彼の登場ですっかり心が癒された。この絵が「虫撰」として世に出るのだよね。三つ目を持つ歌さんが、こうやって命を写し取ってくれてるんだ。清々しい気持ちになる絵だよ。
そんなことを書きながら、移住して家庭菜園を始めたばかりの私は、「何のため」等と言わずに精一杯毎日を生きている虫たちを、申し訳ないがトマトやナス、オクラのために次々と容赦なく始末させてもらっている。人間の身勝手で、まったく申し訳ない。おいしく野菜は食べさせてもらっている。
毒手袋が高岳を失脚させ、田沼時代を終わらせる
大奥が勝敗を決した。治済から渡された箱から出てきたのは、やっぱりの毒手袋だった。残るはそれしかなかったが。
てっきり松平武元(石坂浩二)を殺害して手袋を回収したのは、女のシルエットだったから大崎かと思っていたんだが、前回の様子では別人が箱に入れて治済に渡した模様。つまり、治済には多くの手先がいるようだ。
ドラマの大崎は毒を操るサイコパス、なんでこんなに便利な人が一橋治済の下にいたんだろう。これが複数いるのか💦
大崎:(高岳の前に箱を差し出す)このような物が、私のところに送りつけられてきたのですが、気味が悪く・・・高岳様、何かご存知で?(ほほえみ、箱を開ける。鷹狩りの手袋を取り出してみせる)
高岳:それは、私がかつて誂え、種姫様の名で亡き家基様にお贈りしたものじゃが。
大崎:然様にございましたか。(嬉しそうな顔で、手袋を見回して)あれ。ここだけ色が。(親指の部分が変色している。高岳の目を見ながら、手袋の親指を噛む仕草をする。鳥が啼き、家基の最期の場面)
高岳:何故、かような。(余裕が消え、唇が歪む)
大崎:(静かに)調べてみましょうか?
いやいやいやいや、何かご存知なのは大崎の方でしょうが!全てを仕組んだ張本人、この日を待って待って、高岳を引きずり下ろすのを楽しみにしていたんだろうな~。手袋を噛むウキウキした仕草の、にくらしいこと。
この後、松平定信の老中就任に反対していた大奥(高岳)の意見がひっこめられて、あっという間に田沼派に終わりが訪れた。
意次は、市中で銀の引き渡しが始まり、米も集まってきて、裕福な商人たちの炊き出しも始まっていると一服しながら三浦庄司に笑顔、打ち壊しをなんとかかんとか納められたと安堵の様子だった。
が、大奥の変わり身の知らせを受け、あっけない負けを悟った。
楠木半七郎:殿、出羽守様がおいでにございます。
田沼意次:(部屋を移動、待っていた水野に)どうした?
水野忠友:大奥が突如、越中守様の老中登用を認めると。
意次:・・・何故?
水野:わかりませぬ。しかし、とにかく老中登用は構わぬと高岳殿が。 (高岳は、大奥で夕暮れの中、唇を噛み、手袋を握りしめて悔し涙)
三浦庄司:(田沼家)これは、どういったことになりますので?
意次:御三家、一橋ひいては上様をも後ろ盾にした老中が生まれるということになろうな。しかも、奴はとびっきり俺のことを嫌っておる。
三浦:あの、先だってのようにご老中様方の力を以て止めることは・・・。
意次:そもそも、大奥の反対を建前にしておったし、西の丸様は今や、上様。物事を決する力を手にしておられる。ハハ・・・忘れておったわ、お城の魔物どものことを(険しい顔)。
そうなんだよね。もう将軍家治はいないんだよ。それで勝負は決していたはずだった。が、まだまだ行けると思っていたんだ、意次は。
家基の死後、手袋が消えた時に、そんな危うい立場なのに高岳は情報共有されてなかったような・・・いきなり来られて、気の毒な。手袋を誂えた本人だもの、それに毒がべったりだったら言い逃れは難しいよね。表沙汰になれば、どんな処罰が待っているか知れない。手袋を引き取る代わりに、定信の老中就任にもう異を唱えるなと、大崎に黙らされたってことだ。
そして、定信と一橋治済との間にもバトルが。タダでは引き受けない、老中首座ならばと定信が返したら、じゃあ、田安の家を返上しろと白天狗治済。どうしてそうなるの?って、それが最初から白天狗の狙いなんだから。さも、会話の途中で思いついたみたいな振りをしていたけれど、ずっと狙っていたことだろう。
なんと言うか、一斉にオセロがひっくり返されていくように勝ちが決まっていく白天狗。想定外なのは「丈右衛門だった男」の死ぐらいか?それも大して気に留めることでもないか。
御三卿の三番手、だったら上の一番手二番手はつぶしておこうってずーっとあのただっぴろい家でひとり逆転のプランを練り、オセロゲームをするように手下を使って細々と作戦を実行してきたんだろう。
清水家当主の清水重好が体は弱いのは何故?第二、第三の丈右衛門に、長期間にわたって薬でも盛られているのかな?田安の亡き当主も体が弱かったね。田安家が消されるのも、一橋の目の上のタンコブだったから。定信が、そもそも生まれるのが遅かった。
おまけの半蔵
有吉弘行が、服部半蔵の子孫の役で大河ご出演。子孫は白河藩で永らえていたんだね。「どうする家康」で半蔵役は山田孝之だったものだから、その子孫が有吉とは、ちょっとイメージが結びつかない。でも、こういうのも楽しい。また出てね。
(ほぼ敬称略)