黒猫の額

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【豊臣兄弟!第24回「軍師官兵衛!」ネタバレ感想】村重逃亡、有岡城の悲劇招く。播磨人官兵衛は別所への思い語る

へっぽこ村重のせいで、670人もの命が

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第24回「軍師官兵衛!」が6/21の父の日に放送された。はは~ん、それで織田信忠は「父上ならこう言う」という父べったりのセリフを繰り返していたのか・・・なんて、そんな訳ない。今回は信長ジュニアをも動かす、再生官兵衛の見せ場がありましたな。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

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第24回「軍師官兵衛!」◆◇あらすじ◇◆

村重(トータス松本)に幽閉されて1年、官兵衛(倉 悠貴)は心身共に限界を迎えていた。籠城を続ける村重と織田軍の戦は膠着(こうちゃく)状態にあったが、小一郎(仲野太賀)が兵糧の補給路を断つことに成功。妻・だし(山谷花純)の説得で、村重はついに投降を決意する。信長(小栗 旬)への取り次ぎを任された小一郎は、だしに官兵衛への伝言を託す。無駄な血を流さず戦が終わると思われた矢先、驚きの事態が! 状況は一変し――。(第24回「軍師官兵衛!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 ドラマでは、主人公小一郎が有岡城籠城中の荒木村重の愛妻だしにも調略の手を伸ばし、「皆を救う手立てがもうないから」と応じた彼女が、「必ずや殿のお命もお助け下さいませ」と小一郎に懇願、穏便な開城の道筋はほぼできていた(信長が何て言うかは心配だけど😅)。

 陰で小一郎の手紙を受け取っていただしは、調略に従って村重に「皆を救えるのは殿だけ」と諭した。妻の言葉に村重も「饅頭ごと串刺しにされるのがオチじゃ」と言いながらも覚悟を固め、信長のご機嫌を取るための献上品として、城内の茶道具を搔き集めていたね。

 そこで茶碗を落とし、自身の血が指先から流れるのを見た村重。このあたりの狂気への流れがうまかったなあ、茶碗と一緒に村重の理性が壊れたんだね。村重は「死にとうない」の一心になって、あろうことか籠城中の大部分の家臣や家族を置きっぱなしで有岡城を抜け出し、尼崎城に移動してしまった。

 「この命に代えてもそなたのことは守る」の言葉が虚しい。妻だしは「おのれ村重」と怒りを露わに涙を流した。せっかく村重の命を考えた和平の道筋を付けたのに、一体誰のためだと思っているのかという話だ。

 この後、ドラマでは無心になって茶を点てる村重の姿が挟み込まれていた。茶を点てて、現実から目を逸らしたか。そんな手段の無い常人だと、とてもじゃない。後に茶人として秀吉の前に出現する彼は、それで精神を保ち生き延びたってことかな。

 ウィキペディア先生を見たら、彼の逃亡のせいで命を奪われた人たちは、六条河原で気高く斬首された妻だしを含め、670人を数える。信じられない数だ。ただ、リアル村重にもにっちもさっちもいかない事情があったようだ。

(城代の)荒木久左衛門が(有岡城の)開城を決意したのは、信長から講和の呼びかけがあり「荒木村重が尼崎城と花隈城を明け渡すならば、本丸の家族と家臣一同の命は助ける」とした為である。久左衛門は手勢300兵を率いて尼崎城に向かったが、村重はこの説得に応じなかった。フロイス日本史では、村重は大坂の仏僧(=石山本願寺)と協議したが、仏僧は全然同意しなかったとある。『戦国の武将たち』によると、この時尼崎城には毛利氏、石山本願寺、雑賀衆の御番衆もいたので、村重の意見は通らなくなってしまったとしている。村重の説得を約束していた久左衛門は信長に顔向けできないと思ったのか、300兵ともども姿をくらましてしまった。(有岡城の戦い - Wikipedia

 ちょうど上映中の、モックン本木雅弘が村重を演じている映画「黒牢城」では、見てないけど当然今作のトータス松本の村重よりもカッコ良い方向の村重なんだろう。今作の半兵衛(菅田将暉)が、囚われた官兵衛になってまたも痩せこけているそうだ。だし(千代保)は「光る君へ」の吉高由里子だから見てみたいとは思うものの、村重の苦悩がしばらく重くこちらの気持ちに残りそうだね。

官兵衛の「ふっくら」問題。いいんだよ、これで

 この荒木村重の謀反に関しては、当時は小寺官兵衛と名乗っていた後の黒田官兵衛が、村重説得のために単身で有岡城に向かい、そのまま捕らえられて1年以上も土牢に閉じ込められた。

 2014年の大河ドラマ「軍師官兵衛」では、家臣に救助された時の岡田准一演じる官兵衛が凄まじい程の見た目だった。足を引きずるのもそうだけれど、皮膚病を患ったせいであろう様子を示す頭部から顔面への変色した特殊メークが、そうと分かっていても痛々しかった。

 今作の官兵衛は、しかし、割と血色よく再登場してくれたので、前回の菅田将暉の痩せすぎ半兵衛の記憶が鮮明な視聴者からは、SNSなどを見る限り、あんまり評判が良くなかったようだ。脚は引きずっているけれど、織田信忠にも大音声で呼ばわり、ピンシャン見えたってことで。

 いやいや、前回も書いたけれど、役者は痩せるだけが能じゃないでしょ。それでも5㎏は水抜きで痩せたらしいよ、中の人・倉悠貴は。「あんぱん」の記者役の時は丸々していた彼が、頑張った。役者の健康を害するからそれでもう十分だ。他局のドラマ「銀河の一票」でも活躍中だから、急激に痩せることもできなかっただろう。

 (この「銀河」には、大勢の大河俳優がご出演だ。官兵衛だけでなく家康も勝家も、北条時政も。「光る君へ」の倫子様が主役で百舌彦の彼女、道長の嫡男もいる。それも楽しい。)

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 この「豊臣兄弟!」での設定も一応考えられていて、官兵衛が再登場したのは有岡城での救出から1~2カ月程度は経過していたと思う。有岡城の開城は天正七年(1579年)11月19日、そして、官兵衛再登場後に三木城城主別所長治の降伏・切腹が翌天正八年(1580年)1月17日だから。

 という事は、だしに小一郎が「松寿丸は生きてるよ」との官兵衛への伝言を頼む➡今楊貴妃の光り輝く彼女からご託宣を賜って、よっしゃ、生きるぞーと気力が漲る官兵衛➡家来の栗山善助や母里太兵衛らに土牢から救出されて➡湯治や精の付く食事をバンバン食べて、心身の回復に努めたのだよね。

 その結果があの官兵衛の「ふっくら」のお姿、ということだ。いいんだよ、それで。

小一郎は有岡城の悲劇にもいっちょ嚙み

 ドラマでは、調略を仕掛けたにもかかわらず有岡城での悲劇の大量虐殺を止められず、だしら荒木一族の処刑にも立ち会った小一郎。薄々感づきながらも村重を信じようと自分に言い聞かせた結果、こうなったと悔やんでいた。

 その心情を慮った秀吉が、一時的に三木城攻めの場を離れ、信忠に呼び出されたと嘘を言って小一郎に会いにやってきた。ホントにこのドラマの秀吉は弟に優しいよ、天使だ。

 だから秀吉の闇落ちは小一郎を失った時に起こるんじゃないかと思うのだよね・・・いや、信長の死もあり得る。そこから、小一郎の新たなる苦悩が始まるって事かもしれないね、小一郎に立ちはだかるラスボスは兄秀吉ってことでね。

 しかし、こんなにリアルの小一郎って有岡城攻めに関わっていたのだろうか?ウィキペディア先生を見ただけだと、この時期はずっと三木城攻めに携わっていたように見えるのだけれど。

天正5年(1577年)、秀長は秀吉に従い、播磨国に赴き、その後は但馬攻めに参戦した。竹田城斎村政広によって落城(竹田城の戦い)すると、城代に任命される(『信長公記』)。

天正6年(1578年)、東播磨地域で別所長治が反旗を翻すと、秀長は兄と共に制圧に明け暮れることとなり、支配の後退した但馬を再度攻めることとなった。同年、黒井城の戦いに援軍として参戦する。

天正7年(1579年)、別所長治の三木城への補給を断つため丹生山を襲撃する。続いて淡河城を攻めるが、淡河定範の策により撤退した。しかし定範が城に火を放ち、三木城に後退したため補給路を断つことに成功する(三木合戦)。但馬竹田城より丹波北部の天田郡何鹿郡に攻め入り江田行範綾部城を攻略し落城に追い込む。

天正8年(1580年)1月、別所一族が切腹し、三木合戦が終戦する。(豊臣秀長 - Wikipedia

 だしら荒木一族の処刑に立ち会った武将の中にも、小一郎の名前はない。前田利家や佐々成政の名前があるね。

天正七年十二月十六日五ツ時、村井長門守奉行、けいこの衆、越前之大名衆也、

佐々蔵助殿 金森五郎八殿 前田又左衛門殿 村井専次 村井長門守内衆

以上警固衆三千警固候(立入左京亮入道隆佐記 - Wikisource

 あとね、有岡城関係でちょっと違和感が大きかったのは高山右近の描き方。彼は、信仰上信長を裏切ることはできなかったから村重に謀反を止めるように翻意を一生懸命働きかけていたはず。過去作「軍師官兵衛」でも生田斗真の右近が、古くは「黄金の日日」の鹿賀丈史の右近もそう描かれていて、私にはそう摺り込まれているんだよね。

 なのに前回、今作の高山右近は有岡城に説得に来た官兵衛を斬ろうとまでしていた。それって中川清秀の役回りにしておかないと辻褄が合わなくない?と心配だったが、そのフォローも無かった。そもそも、中川清秀が信長に謝りを入れようとする荒木村重を諦めさせた話は、ドラマでは安国寺恵瓊が乗っ取っていたから清秀はいない設定かな。

 まあ、クリーンな羽柴兄弟を描く小一郎が主役のドラマだから、有岡城での調略にも小一郎をいっちょ嚙みさせないとつまらんとか、もうひとつの播磨の山場・三木城攻めだけじゃ、小一郎が自分の変容を恐れるまでにはならないとかの判断だったのか。有岡城での反省あっての三木城の締めくくりだと見せる意図だろうね。

再登場官兵衛、悩める信忠に播磨の心を訴える

 さて、 官兵衛が再登場、信忠に三木城への力攻めを止めるよう訴えた場面を記録しておこう。

秀吉:信忠様、有岡城攻めへのお力添え、ありがとうござりました。(一同礼)

信忠:そのようなことを言いに、わざわざ来たのか?

秀吉:はっ。ここまでくれば、いよいよ別所も観念いたしましょう。次こそ降伏させてみせまする。

信忠:手ぬるいわ。一人残らず、討ち取るのじゃ。

小一郎:お待ちくだされ。我らは既に有岡城で多くの血を流しております!

信忠:しかし肝心の村重を取り逃したではないか!三木城で同じしくじりは許されぬ。(立ち上がり)父上なら、そう申すはずじゃ。(一同無言)

小寺官兵衛:(後方から)ご無礼仕る!

秀吉:(振り返る)官兵衛!

官兵衛:(鎧姿だが杖を突いている)恐れながら、信忠様に申し上げまする!(一礼)三木城を、力で落としてはなりませぬ!私は播磨に生まれ育ち(足を引きずって前進)、別所がいかに播磨の国衆から慕われているかを知っておりまする。別所が立つなら立つ。別所が引くなら引く。我らは別所と共に・・・幼き頃より、そう聞かされて参りました。総攻めすれば、もはや容易く別所の城も領土も手に入りましょう。しかし・・・播磨の民の心は手に入りませぬ。逆に、血を流すことなく三木城の者たちを助けてやれば、他の国衆たちも皆、我らに心開き、織田家に忠誠を誓いまする。それこそが真の播磨平定にござりまする!(嬉しそうな小一郎)

信忠:しかし、父上は・・・。

官兵衛:信忠様のお考えをお聞かせくださりませ!(曲がらない左足のまま、右手の杖を手放し平伏す)何卒、寛大なお下知を!(秀吉と小一郎、その他一同が平伏)

信忠:(床几に腰を下ろし、一旦目を閉じ考えて)・・・もとより播磨の総大将は筑前じゃ・・・好きに致せ。

秀吉:(小一郎、官兵衛も共に顔を上げる)ははー!(また平伏)

 信忠も苦労するよね、人の心の分からない父信長だ。例えば、信長が選んだのがライバル筒井順慶だった事が大きいが、松永久秀が心を込めて「西日本随一の豪華な城郭」として建造した多聞山城の扱いを見るだけでも、信長って結構ひどい。

 本殿を信長が住むつもりの京の二条御殿(後の新二条御所)に移築しちゃったり、残った城もわざわざ完璧に久秀の息子らに破却させている。久秀としたら心がズタズタだろう。で、直後に謀反されても信長は久秀の気持ちが分からない様子。そんな心無いサイコパス信長を、村重や播磨の人たちは恐れの目で見ていただろう。

 そういう父信長が、人心掌握のためとはいえ、三木城の力攻めを避けた自分を叱責するのではないか・・・家督を継いだ信忠は、自分がどう評価されるか大いに悩むところだ。弟たちと取り替えられちゃうかも?ぐらいは常時気になっていただろう。

 ここで秀吉に「好きに致せ」と言う事で、責任を擦り付けたとも言えるけれど、バックアップしたのも同然。一応、信忠も父からの自立の一歩を示したか。

亡き半兵衛が官兵衛を止めた

 この信忠との面会後、官兵衛は牢の中で亡き半兵衛に影響されたことを打ち明けた。ウンウンわかるよ、死んだ半兵衛は、病の体から自由になった🎵とばかりに有岡城の土牢にもウロウロ出入りしてたんだろう。そう妄想すると楽しい。

官兵衛:真を申せば、二度とおふたりに合わす顔など無いと・・・牢の中で・・・死ぬことばかりを考えておりました。しかし・・・(将棋を指す亡き半兵衛の姿)その度に、あの男が引きとめるのです。

回想の竹中半兵衛:官兵衛殿。我らの味方になっていただきたい。

官兵衛:だし殿から松寿丸のことを聞かされた時、決めました。まだ、死ぬわけにはいかぬと。竹中殿に借りを返さねばならぬ。あの約束を、守らねばなりませぬ。(跪く)これよりは小寺ではなく黒田官兵衛として生まれ変わり、お仕えしとうござりまする。竹中殿に代わって、必ずやおふたりをお守りいたしまする!どうか、今一度私を仲間にしてくださりませ!(頭を下げる)

秀吉:戯けたこと申すな。

小一郎:お主に半兵衛の代わりが務まる訳なかろう。(不安そうな官兵衛に顔を近づけ、にっこり)半兵衛は半兵衛。お主はお主じゃ。(ポンポンと叩く)

秀吉:とっくの昔から、お主は儂らの仲間じゃ。

 この後の秀吉、小一郎、官兵衛のじゃれ合いが小学生のよう。官兵衛を秀吉が羽交い絞めにして、小一郎が殴るマネをした。見ようによってはお綺麗な官兵衛の顔に何かしたようにも見えて、直後の官兵衛が手品の花でもくわえて映るかと思った。

 でもさあ、何かモヤモヤ。正直な気持ちを伝え跪く官兵衛は許されるか不安でいっぱいだ。その彼を、上司である兄弟揃って一旦はからかって、さらに殴るマネ。自分たちは楽しいのかな、でもやられる方は気の毒だ。ドラマの小一郎は、現代人の感性をお持ちかと思ってたのにね。

 おや、三木城の悲劇の別所長治について書く時間が無くなってしまった。彼が反信長の旗を掲げることで、播磨では多くの国人衆が賛同し、結果、多くの血が流れることになってしまったのかもね。

 でもね、浅井長政もそうだったと思うけれど、常人がサイコパス信長を目の当たりにしたら、抵抗したくなると思う。ある意味仕方なかった。

 さて、そろそろ次回の放送が始まる。無理やりだけど、播磨攻めもこの辺で失礼💦

【豊臣兄弟!第23回「さらば半兵衛」ネタバレ感想】6月逝去にビックリの桜吹雪🌸痩せに痩せた菅田将暉劇場

俳優の健康のために・・・痩せなくてもいい

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第23回「さらば半兵衛」が6/14に放送され、戦国時代の軍師として人気の竹中半兵衛の最期が描かれた。涙を絞った半兵衛&菅田将暉ファンも多いだろう。

 三木城攻めの戦場で息絶える半兵衛の顔色は本当に血の気が無くて、着物から覗く腕や手、指に至るまで、演じる菅田将暉があまりにも瘦せ細っていた。史実の半兵衛が死んだ旧暦六月半ばとは思えない凄まじい桜吹雪が相俟って(ビックリ💦)、半兵衛の死に様はとても儚く美しく、妖精のようだったのだが・・・半兵衛の最期を演じるにあたり、菅田将暉は頑張って痩せたんだろうな。

 最近も川口春奈が映画のために減量したとの記事を見たおぼえがあり、元々あんなにスレンダーな彼女が、さらにどこからどうやって削り出して10㎏も痩せたのか?と驚愕した。死や病が描かれる作品だと、最近の俳優さんたちは当たり前のように10㎏もの減量を敢行してしまう。それが演じ手の健康に良いわけがない。

 それって飢餓を経験させるようなものでしょう?体を壊すよ。生理とか止まっちゃうよ。メンタルにも響くんじゃないか。インティマシーコーディネーターが導入されたことが昨年大河「べらぼう」で話題になったけれど、役者さんたちの健康を守るために医療関係者もドラマ作りにきっちり参画すべきじゃないのか。

 金ヶ崎の退口の時には、京に帰りついた疲労困憊の織田信長の目が赤く光ってゾンビみたいだった。あれはCG表現だよね?それでいいんだよ。減量合戦が演技の全てじゃないはず。メディアも、役者が役のために何キロ痩せたとか数字を出した記事にして煽るのもどうかと思う。

 役者は無理に痩せなくてもいい。5㎏以上は絶対ダメってことにしようよ。ぜひ健康を保ち、長く良い演技を見せてください。増減が足りない分は、CGチームが頑張って!

 ああ、でもまた次回も後に続きそうだよなあ、もう一人の軍師が・・・だしが隠れてバンバン食事を運んでいたってことにして、丸々とした官兵衛を出してほしい(牢の中じゃ運動できないし、太っちゃったってことで😅アハ)。

 では、公式サイトから今回のあらすじを引用する。

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第23回「さらば半兵衛」◆◇あらすじ◇◆

荒木村重(トータス松本)が謀反を起こした。独断で村重の説得に向かった官兵衛(倉 悠貴)は、捕らわれの身となってしまう。官兵衛が裏切ったという噂(うわさ)が流れる中、信長(小栗 旬)から、長浜で寧々(浜辺美波)が預かっている官兵衛の子を始末しろという命令が。半兵衛(菅田将暉)は、ためらう秀吉(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)に、幼い命を救う策を提案。だが、差配を任され長浜へ向かう半兵衛の胸には別の思惑があった。(第23回「さらば半兵衛」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK)

知られた話の裏を行くドラマ

 (略)いつまで経っても戻らぬ孝高(官兵衛)を、村重方に寝返ったと見なした信長からの命令で(息子の)松寿丸は処刑されることになった。ところが、父の同僚・竹中重治(半兵衛)が密かに松寿丸の身柄を居城・菩提山城城下に引き取って家臣・不破矢足(喜多村直吉)の邸に匿い、信長には処刑したと虚偽の報告をするという機転を効かせた。(黒田長政 - Wikipedia

 「機転を利かせた」だと思うけどなあ、ウィキペディア先生。竹中半兵衛と言えば、このように、謀反を起こした荒木村重の有岡城に説得に行って囚われの身になった小寺(黒田)官兵衛の息子・松寿丸の命を、信長の命に反してこっそり助けた話が広く知られている。

 松寿丸は黒田長政へと成長、1600年の関ヶ原の戦いでは半兵衛の息子・竹中重門を東軍に誘って共に同じ陣地で戦うまでがセットの感動ストーリーだ。半兵衛の孫のひとりは、江戸時代に大大名になった黒田家の家臣になる。不破矢足の子もそう。黒田家が恩を忘れなかったってことだそうな。

 この問題のそもそもは、信長が有岡城から官兵衛が戻らないのは裏切りだと簡単に信じちゃうところだと思う。何で裏切る方向で信じるんだよ~官兵衛が可哀そうじゃん💦と、いつも合点がいかない。ところが、ドラマではわざわざ村重が官兵衛が裏切ったとの噂を流したことになっていた。フム、信長の行動にも納得感が増すね。

 秀吉の周りで、官兵衛の裏切りを納得してしまう描写があったのも笑えた。

秀吉:どう思う?

蜂須賀小六:う~ん、裏切ったかもしれんのう。端からいけ好かない奴じゃった。

秀吉:好き嫌いを聞いておるのではない。

宮部継潤:あやつは頭は切れるが腹の底に野心を持っておる。寝返っても不思議ではない。

 しかし、主人公小一郎は「我が子を人質に出しておきながらこうも容易く裏切れるはずがない」と、もうすぐ出産を控えるお慶を念頭に言い切る。秀吉も「まだ官兵衛が裏切ったと決まった訳ではない」と言う。

 半兵衛も官兵衛の真意が分かっていた。行くなと止める半兵衛に官兵衛が憎まれ口をたたいて振り切っていこうとしていたのも、村重の裏切りに責任を感じていたからだ。「ならば、尚のこと」と止めようとした半兵衛は止めきれずに体調悪化で倒れ、その隙に官兵衛は有岡城に向かった。

 こうして死に瀕することになってしまった可哀そうな松寿丸だが、ドラマの半兵衛は、「松寿丸は私が助けまする」と秀吉らの前で言い切った。身代わりに年格好の似た病で亡くなった子を見つけ、その首を松寿丸として信長に見せると。ここまでは知られている話の通りだ。

 しかし、このドラマでは知られた話の裏を行く。半兵衛は実は、秀吉の後難を慮って信長の命じるままに松寿丸を処分する腹づもりだった。

 だが、主人公小一郎は、半兵衛が近くの寺で地蔵を拝んでいたと前野長康から聞き、「地蔵は子を供養するもの」だから、彼が松寿丸を殺すつもりだと気づき、長浜城に彼を追いかける。

 待て、身代わりの子どもに申し訳なくて地蔵を拝むことだって考えられる。秀吉が何か勘付いていたのならその筋で良かったのに。地蔵の話は長康の出番確保の為かな。

死にゆく己と、生まれた嬰児

 松寿丸は、秀吉不在の長浜城で寧々が預かっていた。半兵衛の真意に気づいた小一郎が、長浜まで追いかけてくるのだが、その前にあの手この手の時間稼ぎをして松寿丸を守ろうとしていたのが寧々やなか、とも、あさひ、お慶たち羽柴家の女たちだった。

 まず寧々が相手をするが、なかなか半兵衛の前に松寿丸を連れてこない。

寧々:松寿丸は、間もなく連れてまいります。義母上様たちにおいとまの挨拶をしておりますれば、今しばらくお待ちくださいませ。

竹中半兵衛:承知しました。

寧々:それにしても、どうして半兵衛殿のお屋敷に?

半兵衛:羽柴殿はこれから西国攻めでますます忙しくなるからと、上様が気を遣われたのでしょう。

寧々:そういうことですか。(微笑む)

半兵衛:そろそろ、お連れいただきたいのですが。

寧々:そうですねえ・・・(とも、あさひが駆け込んでくる)

とも:あっ!一大事でございます!(後ろであさひが転ぶ)

寧々:どうなさいました?

とも:松寿丸殿が居なくなったのです!(へたくそな小芝居が始まる)

寧々:ええっ!

あさひ:申し訳ございません!私が少し目を離した隙に、どうしましょう!ううっ!

半兵衛:・・・もしやどなたかにお聞きになられたか、小寺官兵衛殿の話を。

寧々、とも、あさひ:うん?(顔を袖で隠して固まる)

安藤守就:(部屋にお慶と入ってきて)おお、半兵衛。久しいのう。

半兵衛:安藤様。なぜここに?

守就:上様の命で、荒木村重と小寺官兵衛の討伐に有岡城へ向かう。その前に、娘と孫の顔を見に立ち寄ったのじゃ。

半兵衛:そういうことでござるか。さすがは小一郎殿の奥方じゃ、鋭い。

お慶:何のことでしょう。

守就:そなたは何をしにここへ?

半兵衛:私も、お役目を果たさねばならぬ。(立ち上がる)松寿丸を探しまする。

寧々:お待ちください!ここは我らが城。勝手な真似をされては・・・。

半兵衛:私は羽柴殿に頼まれて参ったのです。それにこれは、上様の命でもある。

寧々、とも、あさひ:(口々に)お待ちください!

守就:どういうことじゃ?(お慶を見る)

お慶:(無言で鈍感な父に溜息)

 松寿丸が居なくなったことにする小芝居が、まず笑える。ホントにヘタウマだよねえ。宮澤エマらがさすがだ。それで、見る見るうちに半兵衛が白けていくのがまたオカシイ。

 それで、なぜ女どもが小芝居をしてまで松寿丸を隠すに至ったのか。答えを引っ提げてやって来たのが安藤守就、このドラマの設定では小一郎妻のお慶の父ということになっている。演じる田中哲司が以前、荒木村重を演じていた印象がとても強く、そのせいで私の脳内では「本人が本人討伐に向かうのか💦」と変な妄想が膨らんで困る。

 つまりは、父が、村重と小寺官兵衛の討伐に向かうと聞いたお慶が、官兵衛の息子松寿丸の身が危ないと寧々に知らせたのだろう。守就だけが、まだ訳が分からんみたいだけど。鈍くて良かった、じゃないと守就が先に松寿丸の身柄を押さえかねない。

 この場面、個人的に注目だったのは守就に対して半兵衛が「安藤様」と呼び掛けた点だ。旧斎藤家では家臣同士、守就は家老で半兵衛の上司だった。そしてリアルでは小一郎ではなくて半兵衛こそが、守就の娘を妻として嫡子を儲けている

 ここら辺をドラマではどう描くのだろう?小一郎と半兵衛を安藤姉妹の相婿同士とするのか?と、楽しみに眺めていたのだったが、半兵衛は「舅殿」「義父上」などとは守就を呼ばなかった。そうかそうか、ドラマの安藤守就は竹中半兵衛とは義理の親子になってないのだね。

 ちょっと残念、ふたりは赤の他人同士だ。小一郎と半兵衛も他人同士。相婿としての特別な絆が小一郎との間に生じての話がどこかで出てくるんじゃないかと、勝手に期待していたんだよなあ💦

 という事で、ドラマの半兵衛は未婚の設定になっているようだ。赤ん坊も抱っこした経験が無く、あやし方も知らず、戦の策謀で頭がいっぱいの一生をこれまで生きてきたと・・・そういうことらしい。

 その彼が、「兄者が口にできぬ思いをくみ取るのがわしの役目じゃ」と颯爽と登場して止めに来た小一郎の子の出産に出くわし、成り行きで生まれたばかりの嬰児を抱っこ。か弱い生まれたばかりの存在によって、死にゆく己との対比に生命の神秘に触れたか半兵衛は我知らずの涙ボロボロとなり、それで子を斬ることはできぬと思い至ったのだった。

 そして、半兵衛は松寿丸を助ける方向に翻意した。めでたしめでたしだ。

 この時、心配になったのはお慶の父、安藤守就。有岡城への討伐にサッサと向かわずにお慶の出産をいそいそと見守っていたけど・・・そんなにのんびりしちゃっていていいのか?

 それにそういえば・・・半兵衛の子どもがいないという事になると、竹中重門と黒田長政の関ヶ原でのエピソードはどうなるの?重門が書いた「豊鑑」も存在無しか?今作では、そこまでは描かないからいいってことなのか・・・。

思い出す半兵衛登場の回

 すっ飛ばしてしまったが、半兵衛は寧々たちの用意した数々のトラップに翻弄されつつ、松寿丸を探すために城中を歩き回らされた。それが、半兵衛の菩提山城に小一郎、秀吉、小六の3人で口説きに行った時の様子を懐かしく思い出させた。

 扉を開けると至近距離から矢が飛んでくるとか、半兵衛の用意した仕掛けの方がもっと物騒だったが、今回でお別れの半兵衛を送るための視聴者サービスなのだろう。

 まあ、城中を探し回るところは、正直もうすぐ死が近い人に何をやらせるんじゃ!とは思ったけれども。そもそも、あんな風に姿勢良く先頭立ってシャキシャキ歩き回れるものか、普通倒れる。気力があったって瀕死の病人には無理ゲーだ。車椅子でも輿でも用意して家臣に担がせれば良かった。

 もしくは、半兵衛は部屋で寧々と睨み合っていて、松寿丸を実際に探しに行った配下の者たちが罠にかかる叫び声とか、ドンガラガッシャーンの大きな音が城のあちこちから響いてくるとか・・・それも半兵衛と寧々の百面相合戦を堪能できて良かったかも。

 そういえば、半兵衛が永遠の眠りに就いた時に来ていた衣装は、初登場の時のものだよね?それ以外にもペールグリーン系の着物をいくつか着ていたとは思うのだけれど、見間違えじゃなければ、数年たった設定のものをわざわざ引っ張り出してきたのには何か理由があるのだろうか。

 半兵衛って物持ちが良いんだよと言いたいのか?まさか💦それも登場時を思い出させる仕掛けの1つかな。

信長は半兵衛に本当に欺かれたのか

 ところで、実際に松寿丸の身代わりにされて首を斬られたのは、遊び相手の子だったとか。何ということか😿😿😿

身代りとして松寿丸の遊び相手の首を差し出すことにより松寿丸自身の命は助かった。この身代りの親に対し、如水親子は後に扶持を与えている。この信長に対する処刑確認、いわゆる首実検の際、身代りの首を信長の前に届ける使者となったのも不破矢足であった。黒田長政 - Wikipedia

 もちろん、ドラマでは不破某は出てこない。半兵衛が直接信長に子どもの首を届けていた。損な役回りで悪いと言う信長に、「これまで戦った中で最も手強き相手でござった・・・そして最も面白き戦でござりました」と言う半兵衛。それは、本来は戦う相手側に回りたかった信長を騙し、身代わりの首をまんまと納めることになった事を指して言っているのでは?

 身代わりの幼子の首を斬るのが「面白き戦」な訳ないからね、あれだけ小一郎の生まれたての子を抱いて泣いたんだから。子は斬れぬって言ってたんだから。

 さて、対する信長。半兵衛が持参した松寿丸の首と称する首桶を覘きこんで「丁重に葬ってやれ」と言った。そんなに吟味するようでもなく、ざっとチェックした感じ。その様子を見るに、形式が調っておれば、半兵衛の言いなりでいいよと思っているのではないか。

 つまり、「最も面白き戦だった」という言葉を受け止める意味でも、会う前から最後に欺かれてやる気満々だったのではないか。ちょっと官兵衛の裏切りに関しては、信長は自信がなかったのかもね。

 明らかに死期を控えている様子の半兵衛は、そこで信長に「もう天下一統のお役に立てない」「お別れでございます」と挨拶をした。信長は半兵衛に「大義であった」との言葉を与えた。淡々としているけれど、胸に迫る場面だった。

 この2人のやり取りを見ていて、やはり首桶に入って鎌倉に帰ってきた「鎌倉殿の13人」源義経の事を思い出さずにはいられない。大泉洋の頼朝が熱演で、義経の首桶を大泣きして迎えたね。

 義経の死の直前、衣川でこっそり対峙した義時は今作信長の小栗旬。あの時は、菅田将暉演じる義経の方が年上の役だったのではなかったか。小栗旬が演じる義時が、初期はちゃんと少年に見えていて、役者さんは凄いなーと思ったよね。首桶を巡って因縁のある2人だ。

菌をばらまく荒木村重

 ところで、信長に反旗を翻した困ったちゃんの荒木村重。まあ、彼なりに必死なんだろうけどね。翻意を促すために城まで来た小寺(黒田)官兵衛を捕えて帰さないのだが、その時に悪ーい菌を植え付けていた。

荒木村重:お主は、いつ織田に手のひら返すんじゃ?顔を見たらわかる。儂はそうやってこれまで生き延びてきたからのう。

 この時の官兵衛が、まるで子どものように純真な表情をしている。すっかり虚を突かれてしまっているのかな。

 官兵衛だけに止まらない。村重は明智光秀にも毒の種を蒔いていた。これが、今作の光秀は何でも真に受けるタチだから、後にじわじわ効いてくるんだろうね。歴史家の磯田道史先生が言うように、本能寺の変の陰に荒木村重あり!という史料が本当に出てきたら面白いよね。

(ほぼ敬称略)

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【豊臣兄弟!第22回「播磨大誤算」ネタバレ感想】小一郎自ら大フラグ!秀吉記憶喪失、半兵衛は時がない

本当にあった「落書き」

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」が6/7に放送され、前代未聞の秀吉記憶喪失劇が描かれた。秀吉のような超有名人に、まさかの韓国ドラマのような運命を用意したものだと啞然としたが、それを主人公・小一郎の将来の大フラグにつなげてみせた。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

第22回「播磨大誤算」◆◇あらすじ◇◆

一度は播磨を手中に収めたかに見えた秀吉(池松壮亮)だったが、半兵衛(菅田将暉)の悪い予感が的中。服属したはずの国衆たちが反旗を翻し、呼応して毛利・宇喜多も挙兵する。しかも折悪く半兵衛の体調が悪化し、秀吉は味方を見捨てて撤退することに。自責の念にさいなまれる秀吉は、ある夜、足を踏み外して頭を打ち、なんと記憶をなくしてしまった! 小一郎(仲野太賀)は、秀吉の記憶を取り戻そうと手を尽くすが……。(第22回「播磨大誤算」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 今回は「あの史実」をどう生かしたものやら?と逆算した結果、記憶喪失の筋立てになったのだろう。番組最後の紀行で種明かしがあった、現在も書写山円教寺に残る小一郎の名前の「落書き」だ。これを小一郎主役のドラマで使わない手はない。

 しかし、ウィキペディア先生の円教寺の項目を見ても、落書きのエピソードについては書かれていなかったのは残念。番組最後の「紀行」では確かに実物を紹介していたのに・・・ウィキペディアも手抜かりがある。(しかししかし、番組の公式サイトで「紀行」まとめはどこにあるのか?見つからない・・・💦)

 円教寺のサイトでも見つからなかった(文化財・史跡 - 書寫山圓教寺)。ググったところ、その辺をさらに説明してくれている別サイトがあったので引用する。

A:宮部継潤が、「先ほど住職が言うておった。あの柱に己の名を書きながら願掛けすれば、どんな願いも叶うと……この寺の開山の頃よりの言い伝えがあるらしい」といって、兄秀吉を助けたい一心の小一郎が、自分が不幸になってもいいからといって、願掛けしながら自分の名前を柱に刻み付けていました。実は圓教寺の食堂には今も、「小一郎秀長内 高井丁助」という文字が刻まれているそうです。高井丁助というのは「小一郎秀長内」とあるように、小一郎の配下だった者で、実際には高井丁助が落書きしたということのようです。本当にそんなことが? 播磨の攻防で記憶をなくした羽柴秀吉、そして書寫山圓教寺で実際にやったこと【豊臣兄弟! 満喫リポート】22 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

 このあと、こちらの記事では「宮部継潤の台詞は400年以上前のことですから、現代の私たちは絶対にやってはいけません」「本気で願掛けするなら、三千仏礼拝行を拝観して、自分でも五体投地をする」と、ちゃんと警告していて笑えた。

 でも、これを面白がっちゃいけないね、こうでもしないと本当に名前を刻んじゃう馬鹿者が今の世は現れかねないから。大河ドラマでも「♫ピンポンパンポーン♫ ドラマ上の表現であり、決して真似しないでください」とでも放送した方が良かったな。

秀吉の受難が、小一郎の覚悟を導く

 さて、柱に彫られているのは小一郎配下の名「小一郎秀長内 高井丁助」だそうで、小一郎自身が彫ったものではなさそうだ。さすがに配下が彫ったものじゃドラマになりにくいから、小一郎が彫ったことにするとして・・・己に災いが降りかかるにもかかわらず、小一郎に彫らせるにはどうすれば?

 とくれば、やはり秀吉に尋常ならざる出来事が出来するしかない。兄者思いの小一郎だし、当時の秀吉の立場、その影響を考えたらそれだけでは済まない。

 これが、例えば妻・お慶に何かが起きたとしても、自分に災いが降りかかってしまってはお慶のためにもならないとか計算しちゃうかもしれないし、秀吉が必死に止めるだろう。やっぱり己を引き換えに差し出すしかないと小一郎に覚悟させる存在は、秀吉しかいない。

 それで、また秀吉の足の甲に刀が刺さったり身体的な大ケガでは芸が無いし(でも、あのグッサリは驚いたよね)、同程度の目に見えるケガじゃ、柱に名前は彫るまでのことはしないだろう。かと言って、さらにひどい不可逆的なケガだと、秀吉の史実とズレるだろうし。

 そこで、目に見えない、当時の人智の及ばないメンタル系に故障が出るという設定にしたのかも。頭を打ったショックが引き金になって一時的に記憶を失う設定の方が、ドラマでは扱いやすそうだ。「狐憑き」みたいな方が、願掛けするにはうってつけ。

 頭を打つ前に、上月城で大きなストレスを経験した天使秀吉。半兵衛の効果的な策とはいえ、彼が嫌うむごたらしい扱いを籠城して既に落命していた人たちにすることになったからね。その上、尼子の一党を泣く泣く見捨てることになったのだ。ここらへんのウィキペディア先生の解説を一部だけ読んでみる。

信長の意図は三木城の攻略と毛利軍の足止めであり、神吉城志方城高砂城といった三木城の支城攻略に力を注いだ。このため秀吉も上月城に手を出すことはできず、後詰めの見込みがない尼子軍は絶望的な状況に立たされる。

これを見かねた秀吉は6月16日京都へ向かい織田信長に指示を仰いだ。しかしあくまで播州平定を優先する信長の方針は変わらず、上月城の尼子軍は事実上の捨て駒として扱われた。やむを得ず高倉山の陣を引き払うことになった秀吉は尼子軍に上月城の放棄・脱出を促す書状を出したが、尼子主従はこれを黙殺し、徹底抗戦を選んだとされる。(上月城の戦い - Wikipedia

 秀吉も必死だけど、相手が毛利だから尼子は引けなかったのだろうね。尼子と言えば、「毛利元就」で緒形拳が演じた尼子経久は貫禄があったな。妻を、高畑淳子が演じていたのを覚えている。あの圧倒的存在だった尼子一族が消滅寸前、やっと上月城を得て再起を図ろうとしていたのだ。それを後押ししていた秀吉だったが、ドラマではしかし、秀吉が信長に会いに行くことは無かった。

(ところで、尼子勝久を演じていたのは、「西郷どん」の子役さんだった。懐かしいなー。山中鹿之助は、声の良い俳優さんだね)。

 自分でも命のやり取りをしながら、こういう「助けてあげられなかった」という心理的ストレスに耐えないといけないのは大変だ。精神的に病まない方がおかしい位に思えてしまうね。・・・そうか、秀長が死ぬことで、秀吉のメンタル疾患がぶり返し、秀吉が壊れるのだろうね。

 ということで、名前を彫って願掛けをしてしまった小一郎。ああ、それで彼は短命の運命か💦とズキンと来た。短命と言うか、「やや短命」と言うか、とにかくそれが豊臣政権の寿命を決定づける。秀吉は、今ならまだ間に合うから彫った名を早く削り取れと言った。でも、小一郎はこう言って、削り取ることはしなかった。

小一郎:ええか、このままで。これからも兄者には苦しいことが山ほどあるじゃろう。その災いを、儂も半分引き受けてやるわ。

 本来の秀吉が戻ってきて、感動の兄弟愛の場面にはなったけれど・・・それで良かったのか小一郎よ。

ちょい違和感が

 今年の大河ドラマの主なターゲットは、年齢層がグッと下がって小学生も含まれているのではないかと思っている。まあ、難しいことは抜きでちびっ子大河ファンを増やしていこう、その方針には賛成だ。

 だから致し方ないのだろうが、ちょいちょい違和感を覚える部分もある。今回は、三木城攻めをしていた小一郎が書写山円教寺に呼び戻されて皆で話し合う場面でそれを感じた。

小一郎:なぜそんなことに?

小寺(黒田)官兵衛:上月城を退いてからずっと夜もうなされて、眠れぬご様子でございました。

小六:まさか、尼子勝久の怨念が・・・。

小一郎:やめんか、そんなものはない!

宮部継潤:しかし、この世には人の理では解けぬこともある。例えばこの柱、先ほど住職が言うておった。この柱に己の名を書きながら願掛けすれば・・・(略)。

 小一郎「そんなものはない」って?お前が生きているのは現代か?昔の人たちが怨霊を恐れて祀っている神社なんかたくさん残っている。崇徳上皇や菅原道真はどうしたらいいんじゃ。「そんなものはない」なんて意識なら、お金をかけて造立したり祈りを捧げたりなんてしない。そもそも、そんなバカバカしいことをなぜするのかってことになってしまうよ。

 いわゆる科学的なものが現代のようには無い時代の人たちが、何を信じて生きていたのか、神仏の重要度は現代とは全く異なるだろうと考えれば、「そんなもの」とはとても言えない。小一郎、また現代人のクセが出たな。

 また、前回の竹田城で「血を一滴も流さない」無血開城の努力をしていた小一郎にも、正直???となったよね。現代人だからそうなるだろうが。

 今回の上月城でも、秀吉が虐殺に手を染めた訳ではなく、籠城していた上月城の人たちが、勝手に自決していた流れ。遺体を拝借しての串刺し見せしめのアイデアは、半兵衛が出したことになっていた。まあ、今作の秀吉は天使だから、キレイにまとめないといけない。

 実際にはあっただろう、秀吉による上月城での惨たらしい処分については、似たような酷い話は他の戦国大河でもあまりに多くテンコ盛りで描かれてきた。戦国時代はバンバン人が殺されるもの、という意識があるので、どうしても今作がスイート大河に見えちゃうのだね。

 酷かったなあと思い出すのは、どうしても有名な大掛かりな戦いだ。関ヶ原も長篠の戦いも、第四次川中島の戦いも(推しの武田信繫が死ぬと分かっているから尚のこと)。マイナーな攻城戦では、「風林火山」の真木よう子が演じた美瑠姫のストーリーが思い浮かんだ。田辺誠一の小山田信有が片思いだったよね。中井貴一主演の「武田信玄」の方も、名将が次々と死んでいき、色々と悲惨で心理的負担は大きかった。

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 「天地人」の御館の乱も悲惨だったが、相武紗季が演じた景勝の姉(たぶん)と、マッサン玉山鉄二が演じた景虎が死ぬ場面が思い切りロマンチックに美化されていたのは、現代人向けなのかな。マッサンのファン向けか。

 もちろん、「軍師官兵衛」でも上月城の場面はあり、官兵衛の妻(中谷美紀)の姉・力(酒井若菜)が嫁いだ城だった。記憶では力は炎の中で死んだと思い前にそう書いたが、実は子どもと共に官兵衛に助命され黒田家に引き取られたらしい(『軍師官兵衛』キャスト 光の姉 力役に酒井若菜さん: NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』 ~黒田官兵衛のゆかりの地~)。思い違いだった💦ここで訂正しておく。

 「軍師官兵衛」は、悩んだ末に録画を消したのだ。もったいなかったなあ。結局、こうやって見返したいと思うのだよね。

悩める播磨を揺さぶる、上月城の半兵衛の策

 前回もそうだったが、己の死期を悟っている竹中半兵衛が、今回懸命に官兵衛を口説いていたのが見どころだったよね。自分の後釜に据えようとしている。

 まず、上月城の見せしめについて。秀吉は「儂が鬼のふりをして、少しでも早く西国攻めを終わらせることができるのなら、それで構わぬ」と言った。戦わずして寝返る敵が増えるのを期待する半兵衛の策に従ってのことだが、それだけではない。

 天使秀吉は鬼の面を手にしている。現代人の小一郎は渋い顔だ。

 そこに官兵衛が「かえって恨みを募らせ、敵をまとまらせてしまう」と反論。半兵衛は「それは好都合だ。敵が一つにまとまれば、狙いも定めやすくなり、策も練りやすくなる」と、敵のあぶり出しに効果があると答え、さらに食って掛かる官兵衛を煽った。

官兵衛:竹中殿とも思えぬ御言葉じゃな。毛利を侮ってはなりませぬ。(半兵衛が鬼の面を被る)織田の軍勢とて、そう易々とは太刀打ちできませぬぞ!

半兵衛:その通り、流石は官兵衛殿じゃ。よう分かっておられる。

官兵衛:儂をバカにしておるのか!(畳を拳で一突き)

小一郎:落ち着くのじゃ。

半兵衛:そこまで毛利のことを分かっていながら、なぜ我らに付いたのです?(面を外して)そなたほどの戦巧者が味方に付いたことは、真に心強きことなれど、う~ん。なぜ、毛利ではなく我らを選ばれたのじゃ?

官兵衛:(言い淀んで)・・・それは。

荒木村重:それはあれよの、儂が粘り強う説き伏せたからやろうな。

官兵衛:今の織田には勢いがありまする。これからの世を作るは織田様じゃと、そう見極めたのです。

半兵衛:いい答えじゃ。実に曖昧で(鬼の面を隣の宮部継潤の膝へ放る)

官兵衛:何ですと?

半兵衛:それこそが今の播磨。皆、半信半疑のまま、それでもどちらかにつかねばならぬと我らを選んだものがほとんど。その者たちの気が変わらぬうちに、一刻も早く毛利を倒さねばなりませぬ。やっかいなのは明らかな敵ではなく、腹の底が見えぬ国衆でござる。(官兵衛に目をやる)

官兵衛:我らは、人質を差し出して織田様に忠誠を誓いました。裏切ることなどござりませぬ!

 腹の底が見えない国衆の陰には、毛利だけではない、足利15代将軍義昭の存在もある。京から追放された今は鞆の浦にいて、副将軍には毛利輝元を据えた。爆死した松永久秀や、今回謀反の別所長治と荒木村重については、義昭が、鞆の浦から御内書を連発、権威を盾に織田家中切り崩しを図った成果だったのだと、5/25再放送だった「英雄たちの選択」足利義昭の回が教えてくれた。

 お、明日6/15には竹中半兵衛をやるんだね。再放送っぽいが、これは見たいところ。(天才軍師・竹中半兵衛の真実 | 英雄たちの選択 | NHK

 後世からすれば信長一択に見えても、当時の播磨の国衆としたら、勢いのある織田信長と、まだ正式には将軍である義昭が付いているご近所の実力者毛利輝元とでは、それは悩むだろう。本当に気の毒な播磨。

半兵衛から官兵衛へ、第2ラウンド

 半兵衛は、官兵衛を誘って碁を打った。そこで半兵衛に圧倒される官兵衛だが、巧妙に逃げようとする。

半兵衛:官兵衛殿。負けた方が何でも一つ言うことを聞くというお約束でよろしかったか?

官兵衛:まだ終わっておりませぬ。

半兵衛:官兵衛殿。我らの味方になっていただきたい。

官兵衛:ですから、まだ終わっては・・・もう、なっておるではござりませぬか。

半兵衛:今のところは。(雷鳴)儂がそなたなら、織田でも毛利でもなく、自らが勝ち進む道を選びまする。儂がそなたなら、まずは織田に味方し、その後ろ盾を得て、かねてより縛られていた主家の小寺を見限りまする。儂がそなたなら、そのまま織田に加勢して毛利を弱らせ、最もうまくいく機を見計らって織田をも裏切る。双方弱らせたところで、最後は己がのし上がる。儂がそなたなら、それが一番面白い。

(雨が降り始め、にわか仕立ての碁盤も濡れ始める)

官兵衛:なんということじゃ!この勝負、引き分けじゃな。

半兵衛:いや、先ほどの手で勝敗は・・・。

官兵衛:ちょうど起死回生の一手を考え付いたのじゃが、こうなってしまっては致し方ない。無かったことに致しまする。(一礼して去ろうとし、軒下へ)

半兵衛:ハハハ・・・時をかければ思わぬことが起きて、勝ち負けを覆すこともできる。(雨に打たれたまま)時さえあれば・・・儂は、そなたが妬ましい。(遠い落雷の音とともに倒れる)

官兵衛:竹中殿?いかがされた!

 官兵衛は図星を突かれたのだろう。「儂がそなたなら」の半兵衛の言葉を聞いているうちに、だんだん苦しく哀しくなるね。最後は「儂は、そなたが妬ましい」と。

 もう時が無い・・・半兵衛は紙のような顔色をして、播磨攻略も半ばでこの世を去らねばならない。でも、官兵衛はまだ知らないが、半兵衛から官兵衛へ最後の一撃が次回描かれるのだろうね。おお、もう放送まで時が無くなっていたのでここらへんで。

 最後に戦国鍋テレビの懐かしい兵衛'z歌が久しぶりに聞けたので、貼り付けておく。

 さあ、泣く用意はできてるかな?いやいやいやいや、無理だから。もうしばらく菅田将暉の半兵衛を見ていたかった。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第21回「風雲!竹田城」ネタバレ感想】播磨攻め、半兵衛が切なくなってきた😿まさかの親子共演も

「たけし城」かと思ったよね

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第21回「風雲!竹田城」が5/31に放送され、主人公の羽柴小一郎長秀が、兄秀吉に代わって城代を務めるまでに成長した。サブタイトルはその昔のバラエティー番組「風雲!たけし城」をそのままパロッており、え?と耳を疑った。では、あらすじを公式サイトから。

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第6章「播磨攻略編」始動!!第21回「風雲!竹田城」◆◇あらすじ◇◆

秀吉(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)は、荒木村重(トータス松本)に代わって織田と毛利の間で揺れる播磨の攻略に当たる。難しい任務と思われたが、村重の仲介で出会った姫路城代・小寺官兵衛(倉 悠貴)は、見事な手腕で播磨の国衆を織田方につけてみせる。半兵衛(菅田将暉)の案で、秀吉はさらに西方へ兵を進めることを決め、西播磨へ。一方、小一郎は但馬の竹田城攻めを任され、初めて総大将として戦に臨む!(第21回「風雲!竹田城」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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だし=城郭の出し(出丸、出城)

 信長に北国攻めでの失態を許される代わりに秀吉が命じられた播磨攻め。荒木村重が2年も前から地元の国衆を口説いてきたのに、その役割を秀吉が「横取り」する形になり、お役御免になった村重が、中川清秀や高山右近に誘われて愚痴をこぼしていた。

 それでも村重は、前回、派手に爆死した松永久秀の二の舞を案じて「ここは耐えるほかあるまい」と答えてはいた。

 まあ、信長は気が短いから2年も攻略にかけていたら交代させられちゃうんだろう。これが村重の焦りを呼び、次回以降で描かれるはずの裏切りにつながっていく訳だね。村重の美人妻・だしも登場した。

 以前、桐谷美玲が「軍師官兵衛」で演じた時に、彼女の名前が聞き慣れないものだから「え?だしって出し汁の?」(そんな訳ないか💦)などと疑問に思い、調べたのだったが・・・外国の名前だったか・・・すっかり忘れている。それで、またウィキペディア先生を見てみた。

呼称のだしの由来については『立入左京亮宗継入道隆佐記』によると、城郭の出し(出丸、出城)に居住していたゆえの命名らしく、本名は「ちよほ」[1]または「ちょぼ」[3](一説には「梶」[1])である。

一方でダシというキリスト教の受洗名(Daxi)であり、この女性はキリシタンであったという説もあるが[4][信頼性要検証]、東京大学名誉教授の辻惟雄は、だしが処刑される時に残した数多くの歌の中には、阿弥陀と西方浄土への憧れを詠んだものがあることからキリシタン説には疑問があるとしている[5]。(だし (戦国時代) - Wikipedia

 なんとなんと、城郭の出し(出丸、出城)に居住していたゆえの命名「だし」って・・・扱いがぞんざいじゃない?若く美しい妻を少し離れた出丸に住まわせておいて、村重がコソコソ通っている姿を想像しちゃったな。「お、ちょっとダシ行ってくるわ」みたいな感じだったのか。

 受洗名説もAIに聞いてみた。

Daxi:フランス語で「水」を意味し、洗礼名としても使用されることがあります。

 水ね、その方が運命を受け入れ潔く散った彼女に似合う。ウィキペディアには妹ふたりも一緒に処刑されたと書いてあったので、姉妹には何という悲劇か。(先走った💦)

 トータス松本の荒木村重も、なかなか似合っている。「軍師官兵衛」の田中哲司の「道糞」の印象が残っているが(そのせいで、田中哲司はどうも今作の安藤守就には見えないのだよね・・・)、トータス松本も、明るい表側の裏を感じさせる人だ。

 播磨攻略を外されて実はホッとしている心境を、妻だしに「楽しい面白う生きていけたらそれでええんじゃ」「国衆とのつながりを生かして、筑前に貸しの1つも作れれば十分」と打ち明けていた。そうやって穏やかに生きていけたら良かっただろうが、時代がそれを許さなかった。

小賢しい小寺(黒田)官兵衛が登場

 「軍師官兵衛」は岡田准一が主人公を演じた大河ドラマだが、放送は2014年だって。もう12年も前のドラマなんだね。そんなに古い感じもしないけれど、濱田岳とか、速水もこみちとか若かったよな・・・そういえば、主人公の幼少期を演じた子役の事件には驚かされた。しばらく再放送はないだろう。

 今回、とうとう官兵衛が登場した。小賢しくて憎ったらしいよねえ!演じるのは朝ドラ「おちょやん」「あんぱん」に出演していた彼だ。公式サイトの人物紹介を見てみた。

■小寺官兵衛尉孝高(黒田官兵衛) / 倉 悠貴

こでら かんべえのじょう よしたか(くろだ かんべえ) / くら ゆうき

秀吉に仕えた軍師

織田と毛利の勢力争いの前線・播磨(兵庫県西部)で小寺家に仕えていたが、秀吉が播磨攻略を任されたことを機に、率先して秀吉の配下に入る。竹中半兵衛に対抗心を燃やす。(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第21回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 そうなんだ、設定からしてもう菅田将暉演じる半兵衛に敵対心メラメラなんだね。メンドクサイ人だ。若いからなあ。でも、戦国時代にのんびり構えてもいられないか。

 官兵衛は、城代を務める姫路城において、天正五年十月、村重の紹介で播磨に来た秀吉らを初対面のような顔で迎えた。「おお、そなたが官兵衛殿か。荒木殿から話は聞いておる」と秀吉は言い、村重も「羽柴筑前守殿じゃ。これからは、儂の代わりに播磨をおまとめくださる」と秀吉を官兵衛に紹介していた。

 そこが、事前に信長に挨拶に来て、秀吉とも会っていた「軍師官兵衛」とは違うような?たぶんだけど。分かりやすく動きをまとめたんだね。

 見るからに有能な官兵衛は、「お噂はかねがね」と秀吉に言った。「今や、織田様が最も心を寄せる家老の筆頭」が秀吉であるとの噂を、自ら広めて人を動かす力とし、多くの国衆を秀吉側に従わせたというのだ。

 その時に、「どこでそんな根も葉もない噂が」とカットインした小一郎。お笑い担当なんだなあ。

 また、官兵衛は「今よりこの城は、羽柴様に差し上げまする」と宣言。泡を食った秀吉が助けを求めるように後方に顔を向ける中、小一郎が官兵衛に待ったをかけた。

小一郎:待たれよ。気持ちはありがたいが、この城の真の主は小寺の殿様でござろう。無礼なことを申すようじゃが、ただの城代であるそなたが・・・。

官兵衛:既に殿にはご承知いただいておりまする。

小一郎:ええ~。

官兵衛:主・小寺政職は織田方として働く所存。私が説き伏せました。

秀吉:真か。

官兵衛:小寺だけではござりませぬ。赤松様と別所様にも、織田方として働くよう計らっておきました。

荒木村重:そ、それは真か?一体どのような・・・。

官兵衛:赤松様には「別所様が密かに毛利と通じて播磨を手に入れようとしている」と噂を流し、別所様にはその逆を広めましたところ、互いに焦って「織田様にお守りいただくしかない」と。両家が織田に着くとなれば、後の国衆たちは皆、黙っていても従いまする。これで播磨は、織田様のものでござりまする。

小一郎:少々強引ではござらぬか?だまし討ちのようなものでござろう。

官兵衛:今の播磨に、真の国守はおりませぬ。皆、互いの顔色を窺っているばかり。少しくらい強引でも、織田様のような強き御方こそ、この地を治めるにふさわしいかと。

秀吉:よう言うた官兵衛。上様もさぞ喜ばれることじゃろう。

 官兵衛の早手回しとドヤ顔に、半兵衛は顔色を変えないが内心穏やかではなさそう。それで寝たふりか。村重もそうだろう。「簡単にはいかない」「お手並み拝見」と中川清秀らに言っていた播磨の国衆の攻略を、半兵衛がチャチャッと進めた格好だから。

 でもね・・・なんか危うい。人の勘違いに乗じて話を進めると「一杯食わせられた」との嫌な思いを相手に残すもの。それを得意げになってたらいけないよ。今のところ、官兵衛はそういう人物設定なんだね。

 寝たふりをしていた半兵衛にムッとした官兵衛が「さすが、知略の士として名高い竹中殿にかかれば、このくらいのことは当たり前で、退屈だということですかな」と食って掛かったが、半兵衛はそれに構わずこう言った。

半兵衛:人質を頂きとうござりまする。全ての国衆に、人質を出させてくだされ。

村重:そんな事が出来たら苦労はせんわ。

秀吉:確かに、それなら上様への何よりの臣従の証となるのう。どうじゃ官兵衛。できるか?

官兵衛:(半兵衛に視線を投げ、秀吉に向き直る)容易いことでございまする。まず初めに、この私の嫡男・松寿丸を差し出しまする。さすれば皆も信じて、従いましょう。(秀吉に向けた笑顔から、半兵衛に鋭い視線を投げる。対する半兵衛も、口を引き結んで険しい表情を露わにする)

 最後は半兵衛の菅田将暉の顔芸が炸裂。ふたりはバチバチだということで、なかなか面白い場面だった。それに・・・例の松寿丸の名前が出てきた。話の下ごしらえが出来ていくね。

竹中半兵衛が透明になっていく

 史実を考えると、そろそろ体力が持たない頃かと心配な半兵衛。無事に(?)官兵衛に秀吉の軍師の座を譲ろうと模索しているんだろうなと、今回は思わされた。

 天正五年十一月、秀吉たちが上月城を目指して西播磨に進軍している中での、福原城攻めでのこと。

官兵衛:それは違いまする。

半兵衛:何が違いますかな。

官兵衛:竹中殿の策に口を挟むなど、おこがましい限りながら、この策には穴がありまする。

半兵衛:穴じゃと?(大仰に)

官兵衛:ネズミ一匹はい出でる隙もないほどに取り囲むよりも、わざと隙を作るのです。さすれば自ずとそこから敵は逃げ出そうと致しまする。それを待ち伏せて、討つなり捕らえるなりすれば、上月城攻めの前に、味方を無駄死にさせずに済みまする。穴が無いことが、この策の穴でござる。

秀吉:確かにそうじゃのう。どうじゃ半兵衛。よし、ここは官兵衛の策で行く。

 官兵衛のドヤァが止まらない。「お任せくださりませ」と秀吉に言って半兵衛を意味深に見た顔がピッカピカ、得意満面だ。半兵衛に投げる官兵衛の視線は失礼を通り越しているから、半兵衛も口元がへの字になり、眉間にもシワが寄っていた。

 しかし、これは半兵衛が秀吉と画策した芝居だった。

秀吉:やはり見抜いたのう。何じゃ、分かっていて官兵衛を試したのに、そのような顔をせずとも良いではないか。

半兵衛:私もそう思うのですが、ああも得意げになられると、いささか腹が立ちます。

 まあ、それが人情。だけれど、人を試すなんてことをするから、嫌な目にも遭うのだよ、仕方ない。秀吉が聞いた。

秀吉:半兵衛。まちごうていたら済まぬ。何か、急いておるのか?

 ここで、一瞬にして膨れっ面から笑みを浮かべて見せた半兵衛が「やはり、私は聖人君子にはなれそうもありませぬ。戦が楽しゅうて仕方ござらぬ」と答え、「小一郎殿も、上手くやっておると良いが」と話を逸らした。・・・切ないなあ。

 明らかに、彼は死期を悟っているのだよね。「聖人君子になれない」というのは、生への執着だろう。彼の笑顔が、どんどん透明感を増しているような気がするよ。

小一郎、初の城代に。まさかの父が

 小一郎は、フォロー名人。荒木村重へのフォローも当然欠かさない。小寺(黒田)官兵衛を秀吉に引き合わせた村重を、小一郎は追いかけ、廊下で「官兵衛殿との誼を通じさせていただいたこと、例を申し上げまする」と挨拶した。

 そして「それぐらいお安い御用じゃ」という村重に「兄者のこと、内心よく思っておらんのでは?」と聞いた。えー、ズバリだね!仕事を取っちゃったもんね。

村重:ハハッ!わしはそない小さい男ではないわ。まあしかし、どうしても気にかかるというのであれば、まあ一言上様に申し上げて頂こうかのう。この儂の力添えあってのことじゃと。お主も大変じゃの。まあせいぜい、上手くやるこっちゃ。

 小一郎は、「ご無礼いたしました」「承知しました」と笑顔でさわやかに受け答え。こういうやり取りがあるか無いかで、確かに人間関係は違うだろうね。小一郎の大事な仕事だ。

 播磨の国衆が、次々と臣従を誓うために秀吉の下に出仕した。秀吉は「これからも播磨の安寧のために共に働きましょうぞ」と挨拶、ニコニコだ。別所長治の名代には田中美央が演じる叔父の賀相が現れ、秀吉から命じられたらしい城の打ち壊しに難色を示し、今後の波乱を予感させた。

 そこでまた、フォロー名人小一郎の出動だ。

小一郎:何か申されたきことがあれば、遠慮のう申してくだされ。我らも慣れぬ地ゆえ、色々ご指南いただき力を合わせて行きとう存じまする。

別所賀相:ありがたき御言葉。主、長治にもしかと伝えまする。(硬い表情のまま一礼し、去る)

 早々に播磨をまとめたことで「早く帰ってお褒めの言葉を頂くとするかのう」と言う秀吉に、半兵衛は「それは早計だ」と止め、毛利が黙っているとは思えない、背を向ければ播磨に手を伸ばしてくるだろうと言った。

 そして、「しばらくここに留まろう」と進言する官兵衛に対し、西への進軍を続けるように半兵衛は言った。まずは、播磨・備前・美作の国境に立つ上月城を手に入れるべきとのことだった。毛利方の最前線の城で、赤松政範が城将だ。「ここを押さえれば、毛利もそう易々とは播磨に攻め入ることはできなくなる」と秀吉も納得した。

 さらに半兵衛は「あともうひとつ、手に入れたきものが」として生野銀山を挙げ、所有する太田垣輝延が守る竹田城を小一郎が大将となって攻めることになった。

 竹田城と言えば雲海たなびく山城、今や天空に浮かぶような姿が人気だ。

 その時に、対峙した相手方城将太田垣を、主人公小一郎を演じる仲野太賀の実父・中野英雄が演じていた。どこかで見た顔だけど・・・と思いながらも、中野英雄だとは気づかなかった。ちゃんとオープニングのキャスト名を見ておくべきだった。

 中野英雄にとっては初めての大河出演らしい。親の七光りとは反対の珍しいパターン、何と親孝行な。「元気よく頑張ってくれたら、父親はそれで嬉しい」とインタビューで息子にエールを送っていた。

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 それで、小一郎は父が演じる太田垣が、水をやらないとか家臣を思わない振舞いを重ねていたところに「兵の命を何じゃと思っとるんじゃ~!」と殴り飛ばした。そこで、鼻血を出させてしまったため無血開城を狙っていたのに「ほぼ無血開城」となった、という顛末だったのだが・・・。

 ほのぼのと親子共演を見守る場面なんだろうなあ・・・でも、無血開城って。いくら何でも主人公の小一郎を美化し過ぎなのではないかなあ。現代の感覚では、それが正義。でも、小一郎は戦国時代に生きているんだもんね。お手々つないで皆でゴール!みたいな美しい形にはいかないだろう。

 そう思ったら、終盤で上月城攻めをしていた秀吉が、城を落とした際に女子どもを串刺し、磔にして国境に晒したという、おどろおどろしい情報がもたらされ、秀吉が犠牲者を眺める映像が流れた。

 声を失う小一郎だが・・・これまで天使のように描かれてきた秀吉が?史実でもそういった説があるそうだが、ドラマの秀吉とは辻褄が合わないね。

youtu.be

 この上月城の悲劇、「軍師官兵衛」では官兵衛の妻(中谷美紀)の姉が上月城に嫁いでいたのだった。酒井若菜だったと思う。炎の中で非業の死を遂げたように記憶しているが・・・次回、どんな話に持って行くのだろう。これは毛利を恨む尼子勝久と山中鹿之助の仕業でしたってことにするのだろうか?

(ほぼ敬称略)

「草燃える」「鎌倉殿の13人」の地に歴史館「いずしる」誕生&過去の大河ドラマを見るには

伊豆=武士の世の始まりの地

 先月末の5/31、静岡県伊豆の国市に「いずしる」という歴史館が誕生し、ありがたいことに誘われてオープンの日に行ってきた。(今週のお題「最近のラッキー」に含めたいところ💦)

 伊豆の国市は、南側に隣接する伊豆市と合わせ、言わずと知れた北条の里だ・・・と信じて、私は伊豆に移住してきた。と言うか、伊豆半島全体が鎌倉北条、後北条絡みの中世史を経ている場だよね。

 日本史の有名どころでは、伊豆の国市は、かの北条政子生誕の地だ。都から平家に流された源頼朝が彼女とその地で出会い、北条家が頼朝を全面的に支えたことで頼朝は平家を打倒、鎌倉幕府を開くことができた。承久の乱では、後鳥羽上皇らの討幕の野望を打ち砕き、権威を失墜させた。その時、鎌倉武士を鼓舞して立ち向かわせたのが北条政子の演説だったと聞く。

 その後600年以上にも渡る武士の世が打ち立てられたのだから、その「始まりの地」である伊豆の国市は、歴史ファンなら一度は足を運びたい場であるはずだ。

 頼朝の流刑地蛭ヶ(小)島があり、打倒平家の旗揚げの地の守山八幡も、襲撃した山木兼隆の館跡も各々ほんの近距離の内に位置している。北条の館跡もまたしかり。そして、初代執権北条時政と、承久の乱を政子とともに凌いだ弟の第2代執権義時の墓も、それぞれ近くの願成就院と北條寺に存在する。ああそうだ、第5代執権の北条時頼のお墓もあるね、時頼は「北条時宗」で渡辺謙が演じていた。

 訪ねたい見どころだらけ、書き切れない。特に、東京と比べるとあちこちに当時からの古い神社とお寺さんが残っているのが印象深い。それぞれが今に長き歴史を伝えてきたのだと思うと、感無量だ。

 NHKでも、看板番組の大河ドラマが2回、伊豆を舞台とした。1979年「草燃える」(主役は源頼朝と北条政子)と、43年後の2022年「鎌倉殿の13人」(主役は政子の弟北条義時)だ。どちらも、政子の演説がクライマックスとして描かれた。

 さらに今後、神奈川県小田原市等が実現に熱心な「北条五代」が大河ドラマになれば、後北条の初代・伊勢宗瑞が居城にし人生を終えた韮山城を擁する伊豆の国市は、3度目の大河ドラマの舞台になるだろう。

 その地にオープンした歴史館「いずしる」。否が応にも期待が膨らんだのだが・・・最上階からの、富士山の見える眺めが素晴らしかったけれど、私のようなミーハー大河ファンには、少々肩透かしだった💦

 もちろん、「武士の世のはじまりは伊豆から」との掲示があったのはワクワクしたし、常設展示室での市の歴史紹介には、ゆかりの人物たちの家系図なども紹介されていたのだけれど・・・「鎌倉殿」主役の義時なんて、ずいぶんアッサリだった。

 (それに、掲げられていたコピー「武士の世のはじまりは伊豆から」の英訳が変だ。「The Beginning of the Reign of the Samurai in Izu」では、読んだ感じでは単に「伊豆における武士の世の始まり」みたいで、「伊豆が始まり」ニュアンスが失われている。「Where the Age of the Samurai Began: Izu」「The Age of the Samurai Began in Izu」がAIの推し訳だった。前者がカッコいい。)

「いずしる」の、寂しい大河主役義時の紹介

「武士の世のはじまりは伊豆から」は素敵だが、下の英訳が変

 そして、「わが市には大河ドラマなんぞに頼らなくても色々と見せるものがあるんだもん」と言わんばかりに、「いずしる」には2度の大河ドラマをまとめて扱う特別コーナーみたいなものは、見つからなかった

 キャストを演じたスターたちの名前を紹介することもなく・・・撮影でたくさん来てくれたと思うのにねえ・・・😿それも地元が誇れる歴史じゃないのか。

 比べるようで悪いが、新幹線を上田駅(長野県上田市)で降りたら、駅前にはいきなり真田幸村像がドーンとポーズを決め、町の雰囲気は真田真田真田だった。駅から出ただけで、もう高揚感MAX。

 行ったタイミングが良かっただけかもしれないが、「鎌倉殿」と同じく三谷幸喜が脚本を書き人気の大河ドラマ「真田丸」を、余すところなく町興しに活用していたと見えたな・・・今はどうなっているだろう。

地元で人気なのは江川坦庵?

 大河では熱かった北条政子や時政、義時よりも、どちらかと言うと伊豆の国市の地元で推されているように見えるのは、幕末の江川太郎左衛門・第36代の英龍(坦庵)だ。彼の事績の1つに、韮山反射炉の建設があり、それが世界遺産になったので、地元としては鼻が高いのか?

江川英龍 - Wikipedia

江川坦庵の知名度 桜井祥行(高32)

 ウィキペディア先生には、こう書かれていた。

領民を思った英龍の姿勢に領民は彼を「世直し江川大明神」と呼んで敬愛した。現在に至っても彼の地元・韮山では江川へ強い愛着を持っている事が伺われる。

 なるほど・・・つまり、鎌倉時代の遠い記憶の北条氏よりも、まだ近い江戸時代を通じてほぼ伊豆の代官であり続け、善政を敷いた江川氏の方が、地元には親しみや絆が強く残っているのかもしれない。「地元のお殿様は江川様」という空気は少なからず感じる。「いずしる」オープニングでも、子孫の方をお見かけした。

 とはいえ、大変失礼ながら、全国的な知名度はやはり北条政子には遠く及ばないと思う。 移住前に、坦庵の名前は聞いたことが無かった(江川太郎左衛門は知っていたが)。伊豆を思い浮かべて断然メジャーなのは、頼朝や政子、北条一族だ(後北条も「北条」の名前を欲したぐらいだ)。日本史におけるインパクトが全然違うと思う。

 でも、今後は分からないよね・・・もしかしたら、江川坦庵が大河ドラマの主役になる日も来るかもしれない。そしたら脱帽するしかない。

歴史館に大河コーナーを🎵

 まあ、権利許諾関係など色々と大人の事情もあるのかもしれないが、「いずしる」での大河ドラマの紹介は、ご当地なのだし、やりようはあるはずだ。

 それに、「いずしる」に大河コーナーがあれば、変な話だがNHKも「わが社モノ」として何かと力を入れてくれるかもしれない。地元歴史館が協力的だと知って、次の伊豆関係の大河ドラマも近いかも?なんて。「北条五代」が実現したら、韮山城が映る期間が延びるとか(そんなことあるか😅)。

 しかし、つくづくもったいない。他の自治体は、観光の起爆剤として活用するため、大河ドラマの誘致には必死になっている。なのに、伊豆の国市歴史館やお隣の伊豆市資料館を見ると、2度の大河ドラマ経験を活用する気があまり感じられない。めっちゃ贅沢な話だ。

 「鎌倉殿の13人」放送が、この歴史館「いずしる」の整備のきっかけになったような話を、オープニングセレモニーでは聞いたように思った。放送翌年から話が出たそうだ。「いずしる」を周遊の拠点に、との言葉もあったが、「いずしる」から大河ドラマの聖地巡礼バスが出るプランでも検討されているのだろうか?

 また、「鎌倉殿」放送時には、関係各所を巡る周遊コースの簡単なマップが配られていたが、「いずしる」のどこかに置いてあったのか?(家に帰って探してみたら、あった。「北条義時ゆかりの地を巡る 伊豆の国市 北条家ゆかりの地マップ」といって、市観光文化課の発行・作成。義時コース、政子コースと設定があり、とても分かりやすい。これを復活させても良いよね?)

 他所から観光に来ると、名所の名前は知っていても位置関係の把握が難しい。効率的に回る知恵も、(車があれば別だが)手段も乏しい。「周遊の拠点化」を「いずしる」が狙うなら、そこは観光客を助けてほしいものだ。週末だけでも!

 その時には、源頼家と源範頼の悲劇の地である伊豆市(修善寺)もまとめて案内してくれると、親切だと思う。伊豆市には、頼家と範頼だけでなく、源頼朝の従者だった安達藤九郎盛長のお墓もある。なぜ?を想像すると泣ける。

 今からでも遅くない。ぜひ「大河ドラマコーナー」を「いずしる」に設けてもらいたい。

 この場面は市内の○○でのこと、あの場面は市内の△△が舞台・・・と、ドラマの関係地をしっかり紹介できるのはご当地だけなのだ。できれば図書館のように、「草燃える」「鎌倉殿の13人」の録画が「いずしる」内大河コーナーで鑑賞できたら良い。映像の訴求力は大きいから、それを見たら現地に足を運びたくなるのが人情というもの。

 ドラマの裏で、地元での別の歴史の説紹介も関心を集めるのではないか。ドラマと違い、身投げしたらしい悲劇の八重さんを祀る真珠院もあれば、その八重さんの後を追った侍女たちを祀る「女塚」まであるんだし。(伊豆の国市/女塚史跡公園←この紹介文もアッサリ過ぎて驚いた。)まだ若い侍女たちが、伊東に戻る道中で姫を思って次々と命を落とした話は本当に気の毒で、涙する。

 史跡の宝庫すぎて、当たり前すぎるのか人手不足で手に負えないのか・・・。

 とにかく、ミーハー大河ファンとしては、ぜひ歴史館に大河コーナーを。メインには伊豆の国市生まれのヒロイン・北条政子を据えて、北条ファミリーをドーンと頼みます。もちろん源氏もね。

名作大河を見直したい

 ここまで書いてきて、「鎌倉殿の13人」をすごく見直したくなった。私は初回から最終回まで録画をしてあるから、何の問題もない。前述した「真田丸」もそう、録画はバッチリだ。

 しかし・・・「草燃える」はさすがに録画がない。それに、放送時には録画していても総集編を残して消去、後悔したものもある。引っ越しの事情で、途中で録画できなかった「光る君へ」は、私のベスト大河となったので、中抜けが泣いても泣き切れない。

 じゃあ、そういった大河作品を見たくなったらどうするか?「草燃える」を例に、探してみた。

①購入する

 まずは、買えばいいんだと思う。

 探したら、総集編のDVDが売っていた。全編は無いのかもしれない。しかし、高額だ。レンタル落ちでもまあまあの値段がする。

②借りる

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③配信で見る
<NHKオンデマンド>

 もっと手っ取り早く、配信されているドラマを見る手もある。大河ドラマを見るなら、まずはNHKオンデマンドだろう(放送から1週間以内なら「NHKプラス」で見られるので、1週間が過ぎたら)。

大河ドラマ 草燃える 総集編 - 動画配信 | NHKオンデマンド

 「草燃える」は、NHKオンデマンドでも総集編の配信。普通の放送回のものは、残念ながら失われてしまったのだろうか。誰か、草創期の家庭用ビデオで録画していたなんて猛者はいないのかな。見つかれば、今となっては凄いお宝だ。

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 NHKの受信料プラス月額990円で見られるならいいなと思うが、なかなか時間も無いので利用したことは無かった。単品で110円~220円で見られるのも知らなかった。それなら余計な沼にハマらずに良いかもしれない。

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 こちらは、その他の映画などコンテンツ数がかなり豊富らしいので、テレビを持たない人が大河ドラマを見たい場合は、こちらでサブスクして他のコンテンツも楽しみながら、パソコンなりで大河も見れば良さそうだ。

 私はせっせと大河のためにNHKに受信料を払ってきて、ケーブルテレビ利用で見たいものは見られたから、配信サービスには縁がなく疎かった。なるほどねー。

<Amazonプライムビデオ>

 ちなみに、「真田丸」は4月下旬にAmazonプライム会員のためのプライムビデオで見放題配信が始まったと聞いた。ニュースになっていて、へえと思った。6月下旬には「麒麟がくる」が始まるとか。なかなか魅力的なラインナップだ。

 問題は見放題になるかどうかだったのだろうが、門外漢の私は「しかし逆を言えば、Amazonではまだ限られた数の大河ドラマしか配信されていないのだろうか?」と勘違いした。そんなことはなかった。

 Amazonで「nhk オンデマンド 大河ドラマ」をサーチしたら、「Prime VideoのNHK On Demandで視聴可能」と書かれているのは、ちょっと数えただけでも30タイトル以上はあった。しっかり、探していた「草燃える」も含まれていた。

大河ドラマ 草燃える 総集編(NHKオンデマンド)を観る | Prime Video

 無料体験を利用して見放題で「真田丸」を見た結果、「三谷幸喜脚本の大河ドラマの面白さにハマった」なんて報告をSNSでも見かけた。そういう人たちは、全話を見終えることができたのだろうか?私だったら、「見終われなくて」とか「解約を忘れた」とかで、そのままズルズルと契約を自動更新されちゃいそうだ。

 Amazonプライム会員になると、月額600円(学生300円)で見放題番組は見放題。年額だと5900円。詳細はこちら(Amazon.co.jp: Amazon Prime)。大河ドラマを見るには、プライム会員となってNHKオンデマンドの契約が必要とのこと。プラス月額990円で、合計の月額は1,590円だ。

 U-NEXTよりも月額1円高いだけか?アマプラなら配送料も無料になるし、どちらかと言えばAmazonに軍配が上がりそうだが、いい勝負になるのかな。こういった理解で合っているだろうか?書いてみると自分でも整理ができる。

 いずれにしても、手軽に見られる手段が充実して、大河ドラマの魅力に開眼した人たちが増えたのは実に喜ばしい話だ。

 そう、大河ドラマは関わる作り手という作り手が皆、全力投球以上の物を出しているのが伝わってくるから、とにかく凄い。テーマ音楽なんて、毎年ハズレが見当たらない。どんな方法にせよ、こんなに素晴らしい作品を見ない手はないと思うんだよな。

(ほぼ敬称略) 

【豊臣兄弟!第20回「本物の平蜘蛛」ネタバレ感想】松永久秀爆死!信長は愛する秀吉を救いたい

iモードの松永真理が

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第20回「本物の平蜘蛛」が5/24に放送され、竹中直人演じる松永弾正久秀が派手に爆死した。

 久秀が持っていたとされる名器の平蜘蛛と呼ばれる釜(古天明平蜘蛛 - Wikipedia)は、彼が死に際して割ったものと思いきや、このドラマでは元々久秀が手にしたのは偽物であり、そのうちの1つを主人公の小一郎が久秀との駆け引きの末に「偽物」だとして盛大に割った。信長に差し出した残り1つには「南朝財宝在之」と記された地図が入っており、後に大和を治める小一郎が金銀財宝を探し出す運びになるのだろうか?今作の守銭奴小一郎なら、やりそうだよ。

 突然だが、この松永久秀の子孫にあたるのが、「とらばーゆ」編集長やiモード(iモード - Wikipedia)で名前が知られた松永真理なのだそうだ。久秀の嫡男久通(松永久通 - Wikipedia)の項に「一説に子に彦兵衛(一丸)がいたといわれ、その系統の子孫から海軍中将・松永貞市、海軍大尉・松永市郎iモード開発者の松永真理が出た」とあった。へーえ。

 確かに苗字は松永さんだものね!iモードは、「2026年3月31日のFOMA停波と共にサービスを終了」とのことで、ちょうど今年3月に使命を終えていた。ウィキペディア先生を見て懐かしくなったが、若い世代には「は?何だそれ」という話かも。

 さて、NHK公式サイトからあらすじを引用する。

第20回「本物の平蜘蛛」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は、上杉攻めから離脱し勝手に帰国した秀吉(池松壮亮)に激怒。蟄居(ちっきょ)のうえ、死罪に処すと申し渡す。羽柴家一同が助命嘆願に奔走する中、松永久秀(竹中直人)が再び裏切ったという知らせが入る。九死に一生を得た秀吉と小一郎(仲野太賀)は久秀との談判に臨み、唯一無二の茶器・平蜘蛛を渡せば謀反は不問にするという信長の意向を伝える。だが破格の条件にもかかわらず、久秀はなぜか応じないと言い張る。(第20回「本物の平蜘蛛(ひらぐも)」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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信長は秀吉ラブだから

 前回からの北陸での上杉攻めでは、秀吉が司令官の柴田勝家と戦況判断を異にして揉めていた。上杉の策を忠告したのに勝家に意見が容れられなかったため、秀吉は自軍を率いて勝手に帰国。信長は、秀吉の規律違反のせいで織田軍が手取川で大敗を喫したと考えていた。

 「織田家を守るには、こうするより他になかった」と秀吉は小一郎に言っていたが、これはマズい展開だ。北国攻めで秀吉に同行していた蜂須賀小六も宮部継潤も、そして兄を長浜城で迎えた小一郎も真っ青だ。

 怒髪天を衝くと見えた信長は;

  • 北国での戦いは我が方の惨敗じゃ。半数以上の兵を失った。
  • 愚かなのはお前じゃ!
  • お前が勝手に逃げ帰らねば、このような大敗を喫することは無かったであろう
  • お主は居ても居なくても同じということか・・・では死ね!
  • 真に、どうすることもできなかったか。なぜ命懸けで権六を止めなかった。金ヶ崎では儂を説き伏せたではないか。
  • 敵の策を見抜いておきながら、おめおめと己だけ逃げ帰った主も(総大将の勝家と)同罪じゃ。
  • 何より重き罪は、儂の命に背いたということだ。叡山に続き、これで二度目じゃ。

 確かに怒って秀吉を踏みつけてもいる。けれど、「もはや許すことはできぬ」と言いながら、秀吉をすぐには成敗しなかった。口では「では死ね」とは言ったが「追って沙汰を申しつけるまで、しばしこの安土でおとなしくしておれ」と時間を置いた。(そこで腰が抜けている小一郎💦)

 だから、「あらすじ」が書くようには、死罪を申しつけられてはいないよね。

 信長のセリフを並べてみると、信長は、秀吉を深く信頼している。さらに言えば、ここで金ヶ崎の退口の話を持ちだす所に、このドラマの信長の秀吉への恋心を感じちゃうんだよな。

 秀吉が自分の足の甲に刀を突きたて、長政の裏切りに狼狽する信長を一瞬にして鎮めた、あの時。秀吉の自分への愛の深さに、どう見ても信長はズギューンとハートを撃ち抜かれ、感動しちゃってたじゃない?

toyamona.hatenablog.com

 多分だけど、LGBTQが市民権を得てきている現代なのだし、このドラマの信長の裏設定はゲイなのでは?だから、正妻も側室も一切出演させず、男勝りで弟のように振る舞う妹のお市しか出てこないのではないだろうか。

 もちろんね、主人公兄弟の家族の女性たちを描くにあたり、織田家の女性陣を賑々しく登場させたらピンボケになる、という事もあるのかもしれない。でも、前田利家の妻まつは出てくるのだしねえ。偏りは否めない。

 帰蝶も生駒吉乃もお鍋の方も存在すら感じさせないのに、しっかり信長の嫡男信忠と三男信孝は生まれ育ち、ドラマに顔を出していた(次男の信雄は?後からサプライズで大物俳優がご出演か?できれば浜野謙太をお願いしたい)。家督を継いだ信忠は、今回の信貴山城攻めでは織田方を率いる立場だ。

 つまり、家を継ぐ息子たちさえ産んでくれたらそれで良し、今作の信長の眼中に女はいないのではないか。そういうゲイの信長だったとしたならばね、愛する秀吉を何としても救おうとするんだろうね。

 信長は「運が良かったのう、サルども。松永がまた裏切りおった」と、秀吉のために用意したチャンスを目の前にぶら下げた。

 命令は「松永を説き伏せ、再び儂の下にひざまずかせよ」だった。そして但し書きがある。「あやつの持つ茶器の中で最も価値のある、平蜘蛛を差し出させよ」が、秀吉の失態に信長が目をつぶる条件だった。

 信貴山に立てこもり、「平蜘蛛は断じて渡さん」と頑張る松永久秀に、秀吉がこう言っていた。

秀吉:松永殿。拙者はこう思いまする。上様は、あなた様を許す理由が欲しかったのではないかと。それには平蜘蛛がうってつけでござった。真は何でも良かったのやもしれぬ。上様は、あなた様を死なせたくないのでございます。生きておれば、きっとまた機は巡って参る。

 久秀の爆死後、今度は小一郎が秀吉にこう言った。

小一郎:兄者が安土に留め置かれた時に思うたんじゃ。なぜその場ですぐに処罰を下さんのかと。あの時、松永殿が謀反を起こすのは目に見えておった。上様は、それを待っておったのではないか?兄者を許す理由とするために松永殿も平蜘蛛も、上様にとってはどうでも良かったのかもしれん。兄者さえ許すことができれば

秀吉:本当のところはどうか分からんが、ほうじゃとええの(ほっこりと笑顔)。

 それだよね、今作の秀吉は本当にチャーミングな天使。その真っ直ぐな天使に恋している信長様なのだと見えているよ。ところで、最後にお市と眺めていたのは、本物の平蜘蛛なのか。え~!

ダシに使われた久秀なんだけどさ

 何としても秀吉を救いたい信長のためにダシに使われた格好の、今回の松永久秀。説得に来た羽柴兄弟に「素直に平蜘蛛を差し出せば、大和は返してもらえるのか?」と、大和支配への執着を見せた。

 筒井順慶が、なぜ信長に選ばれたのか・・・「順慶の若さ」が理由になっていたが、久秀の執着こそが良くないのだろうねえ。久秀が若くないったって、息子も居るんだしねえ。

 この筒井順慶の中の人、「まんぷく」塩軍団の赤津だよね?と思って調べた。ウィキペディア先生を見たら、空手に居合に語学に、すごく頑張ってる(永沼伊久也 - Wikipedia)。語学はともかく武道に熱心だから、戦国大河のご出演は念願だったろうね。その腕を見せるシーンは今後あるのだろうか。

 松永久秀に話を戻すと、最近は見直しが進んでいると聞いたような気がする久秀の人物像だが、これまでは三大梟雄だっけ、散々な言われよう。今回の爆死は、その昔の虚像の印象を強めるような気がしてしまったよ。

 新しい久秀像が見られるかと期待する気持ちもあったからね。「麒麟がくる」の久秀は吉田鋼太郎。平蜘蛛も、久秀の死後に光秀の手元にシレッと届いちゃって、光秀の心が試されるみたいな・・・。この「豊臣兄弟!」と比べて、「麒麟」の方が私は面白く見られたかなあ。

 竹中直人に文句がある訳じゃ全くないが、このドラマの久秀は、自分は側室に父(偽物づくりを生業にしていた)が産ませた「まがい物」との悩みを捨てきれず「いつか必ず本物になって見返してやる」「あの御方(三好長慶)だけはこの儂をまがい物扱いしなかった」と話す人物なのだよねえ・・・ふーん・・・なんか幼稚だね。

 傑物の久秀にしちゃ器が小さいこと言ってるよな~と、どうしても思ってしまった。小中学生の大河ファンの為なのだよね。やれやれ。この場面がまた、延々と長い。

 その三好長慶に任された、御仏と神々の威光に満ちた地が大和なんだと力説する久秀。もう駄々っ子の彼の心を動かさないとならないから、小一郎も秀吉も久秀が言う勝負に乗るしかない(やれやれ😥)。自分たちの首を賭け、2つの「平蜘蛛」から本物を選びとることができるのか、小一郎!

小一郎:はっきりと見えた。まがい物の平蜘蛛は・・・こっちじゃ!(1つを振りかざす)

久秀:やめろ!

小一郎:ヒヒヒヒヒ。これが本物でござるな?御免!(反対の偽物を叩きつけ、割る)

(中略)松永殿。拙者は人にまがい物など無いと存じまする。百姓じゃろうが侍じゃろうが、そやつはそやつじゃ。

久秀:たかが百姓上りが、ぬかしおって。

小一郎:ここまで松永殿と話して思うたのです。偽りも、いずれ真になると。松永殿は、本物でござりまする!

久秀:・・・お前たちこそ本物じゃ。本物の大馬鹿者じゃ!

 ・・・うーん、やっぱり、無理くり小一郎の見せ場を作ろうとしている感が抜けないな。蓋を開ければ、平蜘蛛とされた茶器は2つともが偽物。小一郎が壊そうとして「やめろ」と久秀が止めたのは、それが偽物づくりをしていた父親が作った物だったから。うーむ・・・。

 とにかく久秀の爆死、お疲れさまでした!(竹中直人に)

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秀吉を救え!羽柴家中、女性陣も団結

 チャーミング秀吉を池松壮亮が本当に素晴らしく演じているのだが、今回も、監禁部屋(秀吉を失禁させちゃう監視役ってラバーガールの?)から出されて廊下で寧々を見つけ、みるみるうちに涙顔になった場面では、それをすごく感じた。つくづく、うまい役者だよね。

秀吉:最後に、寧々とお豪に会いたかったのう。(中略、信長に呼び出され廊下を行き、角を曲がって固まる)小一郎・・・(寧々に顔を向けたままボロボロ泣き始める)、儂はついに幻が見え始めたぞ。

小一郎:寧々殿。(秀吉、小一郎を振り返ってからまた正面の寧々を見る)

寧々:(満面の笑顔)また会えましたね。

秀吉:寧々・・・すまぬ。このようなことになってしもうて。

寧々:(一瞬の心配を振り払うように、おどけて)何です?揃いも揃って木から落ちた猿みたいな顔は。皆で助けに参りました!(にっこり頼もしい笑顔)

 寧々を演じる浜辺美波がこれまた大きなアップにも耐える美貌なのは周知なのだが、しおしおと泣く秀吉の方も、まあ可愛いこと可愛いこと。池松壮亮としては、主役の小一郎(仲野太賀)を食わないように演じていても、素材が日輪の子秀吉という日本史上の超人気者。どうしたって光り輝いてしまうよ。

 いいんだよ「豊臣兄弟」なんだから。NHKは小一郎を一生懸命打ち出しているけれど、こちらは「利家とまつ」みたいなダブル主役ものだと思って見ているから。

 ところで、「兄者を助けてくだされ!」と小一郎が頭を下げても、丹羽長秀は古い付き合いの勝家の手前、協力を渋った。明智光秀、柴田勝家らは信長から信頼の無い立場だとして断った(小一郎の手紙を勝家に取り次ぐ前田利家が、良い奴だ)。

 明智光秀は「この胸の奥に、公方様をお救いできなかった悔やみが未だに小さな火種として燻っておる。上様もお見通しのはずじゃ」と弱々しく言いながら、纏っているのは、やる気の出そうな赤と黒の派手な衣装。マジンガーZか。言っている内容はそろそろ本能寺を匂わせ始めたかなと思わせるけど、ホントにメンタル弱まってるのか?

 そして、女性陣。前回から小一郎を信じることにした妻のお慶は、懐刀を忍ばせて安土城に向かおうとする寧々の前に立ち塞がり、「馬鹿な真似はおやめください。寧々様がいなくなったら豪姫はどうなります?」そして「行くなら家中皆で参りましょう」と言った。

 それで家中皆が揃って信長に忠誠を誓う起請文を作成。言い出しっぺはお慶だ。「私たちの思いを上様にお伝えするのです」と。前述の廊下で秀吉が幻かと思った寧々は、その家中各々の血判付きの起請文を持参して安土に来たのだろう。

 血判を怖がるあさひの前で、お慶は粛々と署名と血判。お仲はお慶に「ありがとうね、藤吉郎のために」とお礼を述べたが、ともは「当たり前でしょ、慶さんは私らの身内なんだから。ねっ」と、これまでよそよそしかったお慶をさりげなく受け入れた。

 頷いたお慶も、あさひの血をやさしく拭って微笑み、羽柴家のおなごの雪解けが描かれた。やれやれ。

 信長が秀吉に沙汰を下す間際、小一郎が待ったをかけて披露したのが、その家中の血判状。信長は一応蹴散らし、「こんなものでは怒りが収まらない」ポーズ。でも、秀吉を許す気満々なものだから「・・・が、この者たちの願いが、或いは天運を呼び寄せたか」と格好をつけた。本当に愛されてる秀吉。最愛なんじゃないか。

 さて次回は、許しの条件とも言える播磨攻め。軍師黒田官兵衛がいよいよ登場(ということは半兵衛との別れも間近)、小一郎も総大将になるとか。予告の磔が怖かったなあ・・・。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第19回「過去からの刺客」ネタバレ感想】苦節7年?小一郎、妻の心をようやくゲット

ガルルルル状態の妻お慶

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第19回「過去からの刺客」が5/17に放送され、長々と引っ張られてきた正妻お慶と主人公小一郎の不仲がようやく解消した。

 お慶は、言われていたような男漁りや不倫を犯していた訳でも、敵方に情報を売っていた隠密と通じていた訳でも何でもなく、割と単純な子を思う健気な話に着地。やれやれ。それをちゃんと見せてくれた役者さんたちの演技に脱帽だ。

 さっそく公式サイトから今回のあらすじを引用する。

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第19回「過去からの刺客」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は嫡男・信忠(小関裕太)に家督を譲り、安土に天下一統を見据えた巨大な城を造り始める。秀吉(池松壮亮)は柴田勝家(山口馬木也)を総大将とする上杉攻めに加わるが、作戦を巡り勝家と対立してしまう。一方、慶(吉岡里帆)に他国の武将と内通しているという疑いがかかり、小一郎(仲野太賀)は彼女がひそかに足を運んでいるという村へ向かう。そこで小一郎は、慶がひた隠しにしていた悲しい過去を知り――。(第19回「過去からの刺客」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 ちょっと待ってね、このドラマでは旧西美濃三人衆のひとり・安藤守就の娘という設定のお慶が、織田信長の命により仏頂面で小一郎に嫁いできたのは、まだ浅井長政が弟プレイで喜々としている信長の相撲相手になっていた第13回。サブタイトルは「疑惑の花嫁」で、お慶と、長政に嫁いだ信長妹お市が女狐扱いだった。

【豊臣兄弟!】#13 織田と浅井朝倉との戦前夜、「疑惑の花嫁」は女狐ふたり。どんぎづね吉岡里帆の「お慶」と狸顔の宮﨑あおい「お市」 - 黒猫の額

 さて、今回の19回では秀吉が柴田勝家と争っていて、織田軍が敗戦する手取川の戦いを控えている時点まで来ているから、とっくに姉川の戦いも終わり、浅井家は滅びている。武田信玄も死に、超高速で長篠の戦いも通り過ぎた(秀吉は従軍していたらしいけれど、ドラマでは残念ながら通過)。信長だって、嫡男信忠に家督を譲って終の棲家の安土城に移る。

 ザックリ計算すると、お慶が嫁いでから約7年は経過しているか。人たらし小一郎なら、もっと早めに妻の心の氷を解かすだろうと思っていたのに、そう簡単じゃなかったってことなのか、小一郎が妻に正面から向き合うのを厭っていたのかどっちかだよね。

 嫁いできた時には、前田利家がお慶の素性とともに、良からぬ噂を兄の秀吉夫妻に吹き込んだ。そのため秀吉と寧々が小一郎に待ったをかけになだれ込んでくるというすったもんだ状態に陥ったが、その時の夫に対する新婦お慶の決めゼリフがこうだった。

お慶:この身はあなたに差し出します。でも・・・心は、お前たち織田の者には指一本たりとも触れさせぬ!

 この難攻不落な感じ。演じる吉岡里帆の表情が怖くてねえ、うちの家族は癒しのどんぎつねさんとは別人の女優さんだと信じていた。

 今回も、前夫との間に設けていた息子・与一郎を、小一郎が養子にしようと動いたと知って、小一郎が居た村川竹之助(不倫相手じゃなかったね)宅に駆け込んできた時のお慶の表情が、冗談抜きで般若のように怖かった。え、お慶は村のどこに潜んでいたの?

お慶:何が本気じゃ!勝手な真似をするでない!与一郎を養子にじゃと?誰がそんなことを頼んだ!

小一郎:すまん。そなたに言うたら承知せぬと思うたのじゃ。

お慶:当たり前じゃ。なぜあの子をお主の跡目にせねばならんのじゃ!

 この般若の表情は、小一郎が「そなたと与一郎が一緒に暮らせればそれで良い。上様に話してお認めいただく。案ずるな」と応じたことで少しは緩むかと思ったが、ガルルルル状態のお慶の興奮は、そう簡単に治まってなかったよね。

 怒り爆発のお慶なんだけど・・・ごめん、最近のYouTubeがいけないんだよ・・・ショート動画で見てしまった吉岡里帆のキレッキレの演技をね、またもや思い出して笑ってしまった。

youtube.com

 いやいやいやいや、全然違うんだけどね。この後、小一郎とお慶の真面目な良いシーンが続くのに、思い出し笑いでプププと笑ってた💦怒りの局面が続くのに耐えられなくて、ってことなのかも。ましてやあんな美人さんだから、笑顔が早く見たいよね。

直を思い出に変えられた小一郎

 ここでやっぱり、亡きお直の話がお慶の心の扉を開いたようだった・・・というかね、なんでここまでお直の話をしていなかったんだ~小一郎!仮面夫婦を続けた7年間、どこかで話すチャンスはあったはず。

 お慶の苦しさを本当に思うのだったらば、打開策としてもっと早く思いつくべきだったよ。大切なお直の話だけに、できなかったのか?心の奥底にしまった大切なお直の話をお慶にしてやっても良いと考える、そのバランスが取れたのが7年後だったってことかなあ。

(焚火を見ながら腰掛ける小一郎とお慶)

小一郎:ずっと分からんかったんじゃ。なぜ、そなたは死ななかったのかと。(チラリと小一郎を見るお慶)儂は死のうとした。直を失った時にの。同じ村の娘でのう。いつの間にか儂は直のことを好いてしもうたが、身分も違うし、どうすることも出来んと思うておった。じゃが直は、家を捨ててこんな儂に付いてきてくれたんじゃ。そうでなければ、死ぬことも無かったかもしれん。

 じゃから今度は儂が直についていく番じゃと、そう思った時に、直に引き留められてしもうた。あやつ、儂が万事円満の世を作るんじゃて、親父さんに大口叩いて、有り金一切を賭けたそうじゃ。(素直に聞き入るお慶)そんなこと言われたら、どうしたらいいか分からん。分からんけど・・・儂は死ねなくなった。儂は・・・はあ、何でこんな話をしとるんじゃ。(涙を堪えて席を立つ)

 (お慶に振り向いて)そなたにとって、与一郎がそうなのであろう。一人でよう耐えられた。気づいてやれんで、すまんかった。

お慶:だから、何であなたが・・・謝られる筋合いなど・・・。

小一郎:あるわ。(近寄る)わしら、夫婦じゃからな。何でも力になるで。もっと儂を頼ってちょ。

お慶:偉そうに・・・おなごのことなど、何も分からぬくせに。私は・・・私は・・・(小一郎を見上げて)与一郎と一緒にいたい。(立ち上がり、葛藤の表情)与一郎を・・・抱きしめとうございます!(涙があふれる)

小一郎:(力強く)相分かった!

 お慶の「勝手な真似をするでない!」とか「偉そうに」という小一郎に対する上から目線の言葉遣いが、彼女が本心を喋っている時のシグナルだと思っていたのだが、会話の最後では、本音を言いつつも「与一郎を抱きしめとうございます」と丁寧語になった。

 もう、目の前の人(織田方の、夫が死ぬきっかけを作った人)を頼るしかどうしようもないと観念したのだろう。「憎しみだけで生きるのはあまりにも苦しい」とも言っていた。頼っても良さそうだと考えさせたのは、ここまでの7年もの共に暮らした平穏な歳月の積み重ねであり、さらに、お直の話だったと思う。もちろん、与一郎にちゃんと会えない辛さが積み重なって限界だったのもあるね。

 さて、小一郎。ずっと分からんかったって、あんた、それ何だよ・・・本当に人たらしなのか?もし、人たらしの目でさえも鈍らせたものがあるなら、それはお直の存在以外にはないだろうけどね。心がお直を求めてずっと苦しかったから、目の前のお慶は分からなくて放置でもまあ仕方ない、だったのかなあ。

 時が経ってお直の喪失を思い出として語ることができるまでになり、自分を客観的に見られるようになったから、同じように死ねない何かを抱えているお慶のことが、ようやく目に入ってきたのか。7年は、必要な時間だったってことだ。

出来過ぎな「嫁の安藤家が気に入らない」ギャグ

 同じ7年が必要だったのは、お慶の亡き夫の両親もだね。ここでジャーンと登場したのが奥田瑛二に麻生祐未だ。ドラマの語りが安藤サクラだから、娘との親子共演を喜び、父親の奥田瑛二は出てくれたのだろう。大物をスポットで持ってきたものだ、贅沢遣いだね~。

 お慶の肩に残る刀傷は、実は奥田瑛二演じる先の舅・堀池頼昌に斬られたものだった。美濃の重臣だったという設定の堀池家は、織田に家を潰されて百姓になり、頼昌は亡き息子・頼広の忘れ形見の与一郎を育てていた。

 与一郎の様子を知らせるため、という至極真っ当な理由でお慶と連絡を取っていた、たぶん堀池家の家人だったらしい村川竹之助によれば、頼昌は「織田に寝返った安藤守就の娘であるお慶様を決して許そうとはなさらず、家から追い出し、与一郎様と引き離しました」とのこと。

 堀池の嫁として夫とも舅姑とも円満だったなら、お慶自身もその舅姑の気持ちをシェアしていただろう。織田に寝返った自分の実家を呪い、実家の人間である自分を許せない。それでも、譲れないのが息子・与一郎だったから、連れて逃げようとしたんだね。それで舅に斬られた。

 奥田瑛二といえば、大河ドラマでは不人気だったが「花燃ゆ(花燃ゆ - Wikipedia)」の玉木文之進をおぼえている。幼少期の主役(杉文・吉田松陰の末妹)をいきなり張り倒す暴れん坊なおじさん。言いにくいが、彼は偉いのだが少ーし抜けて考え足らずの情けない人物を演じてうまい印象がある役者さんだ。

 今回もその味を買ってのキャスティングだと勝手に思う。だって、嫁を斬ってしまう訳でしょう、大事な跡取り孫息子を取られてしまう焦りがあったとしても、その孫の反感を思えばどう考えたってやりすぎ、カッとなったんだろうけど。

 で、そんなつもりじゃなかった・・・を引きずって刀が抜けなくなるというね💦そんな人物。なのにまだ、お慶の売り言葉に煽られて「いいだろう。その覚悟に偽りがないならば、望みを叶えてやる!」なんて出来もしないことをやろうとする。

 大体「嫁の実家の安藤家が気に入らない」って偶然にしては出来過ぎなギャグだ。奥田瑛二の妻は言わずと知れた安藤和津だ。もしかしたらそこからのキャスティングだったのだろうか?

有無を言わせぬ麻生祐未の力技

 一方の姑役は、私の中では「仁」などTBS色の強い麻生祐未だ。それも綾瀬はるかとセットの印象。でもそうか、NHK朝ドラの名作「カーネーション」の千代さんは良かったよね~主人公・糸子の上品な母だった。彼女は正にカメレオン、肝の座った女性も何をやらせても上手い、はずれがないのが麻生祐未だ。

 今回も、カッコつけなんだけどイマイチな夫の手綱を引いて、落としどころに導いていったしっかり者の武家の妻・絹、といった感じだったが、力強くも涙涙のあの表情を見ていて貰い泣きをしないではいられなかった。

 絹はまず、「もう、よしましょう」と刀を握る夫の手をやさしく両手で包み込み、頼昌は魔法をかけられたように力が抜けて、武士の魂のはずの刀をガシャーンと落下させた(柴田勝家も刀を蹴り飛ばしていたから、戦国時代の刀は武士の魂じゃなくて単なる実用品だったのかな)。

 お慶に振り返った絹は「許しておくれ、お慶。あなたを斬った時以来、この人は太刀を抜けなくなってしまったの」「この人もずっと罰を受けてきた。だから、許してやって」と暴露し謝罪。

 しかし、頼昌は「もう侍には戻れぬ」「すまん頼広」と、亡き息子の依り代のように、大事に大事に上座に鎮座させている鎧に深々と謝った。いやいや、まずお慶に謝ろうよ・・・。

 そう思ったところで、絹はまたその手で魔法をかけた。いや、解いたのだろう。息子の鎧に近づいて行き、やさしく両手を広げ、泣き顔になって息子を抱きしめる・・・と思わせておいて、これまたガシャーンと盛大に鎧を引き倒したのだ。絹はドスの利いた声で吠えた。

絹:これは頼広などではありませぬ!私たちの頼広は、いつも、もっと優しく・・・(泣く)笑っておりました。そうよね?お慶。

 麻生祐未優勝。みんなで泣きながら頷くしかない。奥田瑛二の夫は完敗だ。とうとう与一郎の前に座り、「お前はどうしたい?」と与一郎の意志を一応は確かめた上で、小一郎の養子としてお慶とともにゆくことを許した。

頼昌:羽柴殿。与一郎のことを、どうかお頼み申します。(老夫婦が揃って頭を下げる。涙を流す与一郎)

小一郎:必ずや、頼広殿のような立派な武将にお育て致しまする!(藤堂高虎も、涙のお慶も手をつき頭を下げる)

 良かったね~めでたしめでたしだ。

 お絹も、もう憎しみだけを口にする夫に付き合うのに疲れていたんだろうし、夫本人も、口ばかりなのを知っていた。その枷を外して皆を楽にすることができるのは、自分しかいないことも。

 大体ね、お慶を憎むのはお門違い。遺族同士で何やってる、今作だったら能無しの斎藤龍興を恨むべきだったよね。手近なところで恨みを晴らそうとしちゃいけないよ。

逸材の与一郎

 「どうしたい」と祖父に問われ、テレビの前の視聴者の注目が一身に集まる中、与一郎は「儂は、おじいに教えてもらった弓でうまい実をいっぱい採りたい。そんでそれを母上に食べさせとうござりまする」と答えたのだったが、ちゃんと母の表情を嬉しげにチラ見しながらセリフを言うとかね・・・うますぎるでしょう!

 子役ちゃんとはいえ、この人(高木波瑠くん)は大河ドラマのご出演は4作目だそうで。見覚えあるよね、どおりで。

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 成長著しい未来の加藤清正と福島正則(ふたりとも設定では十代半ばだよね?)に釣りに行こうと誘われて、「行って参ります、母上・・・父上」という最後に決めたところもね、間の取り方とか表情とか、もう天才じゃない?呆気にとられている。

 与一郎の問題を解決して、これでようやく、お慶は小一郎に心を開いた。「この先は誰かを守る為であっても、自らの命と引き換えにするようなことは言わんでくれ」「そなたが大切なのじゃ、この儂が、必ずうまくいく道を見つけてみせる。儂を信じてくれ」と言う小一郎。

 お慶は「はい、小一郎さん」と微笑んで答えた。丁寧語だが、本心だ。

お慶:(小一郎の手を取り、自分の胸に当てる)この命、あなたにお預けいたします。

 心には指一本触れさせぬ!とかつて宣ったお慶が・・・小一郎は泣くしかない。だけど、そこ斬られた古傷で痛い所だから!パンパンしないで~と、見ながら冷や冷やした。

 この家族の幸せが長く続けばよいのにね・・・与一郎が別れを告げた水辺に、彼岸花が赤く咲いていた。次回、まさか?そうならないことを祈る。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第18回「羽柴兄弟!」ネタバレ感想】新家臣選抜、藤堂高虎が小一郎の第一号に

三成、且元ら家臣団ご紹介の回

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第5章「近江長浜編」の幕開けを飾る第18回「羽柴兄弟!」が5/10に放送された。ちなみに、第1章「尾張清須編」、第2章「美濃攻略編」、第3章「信長上洛編」、第4章「元亀争乱編」が既に終わっている。

 前17回の「小谷落城」から3年経過。故浅井長政の旧領北近江を与えられた藤吉郎が、今浜と呼ばれていた琵琶湖に面した地の名を信長にあやかり長浜と改め、城を築き、めでたく城持ち大名となった。

 そして、サブタイトルが示す通り小一郎と藤吉郎の木下兄弟は羽柴姓を名乗り、藤吉郎は羽柴筑前守秀吉、小一郎は羽柴小一郎長秀となった。公式サイトのあらすじでも、今回は「藤吉郎➡秀吉」呼びになっていた。

 ということで、あらすじを公式サイトから引用する。

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第5章「近江長浜編」  第18回「羽柴兄弟!」◆◇あらすじ◇◆

秀吉(池松壮亮)は織田家家老に昇格し、北近江を拝領。領地に長浜城を築いて城持ち大名となり、小一郎(仲野太賀)と共に羽柴姓を名乗る。小一郎は城下の統治を任されるが、人手が足らずてんてこまい。半兵衛(菅田将暉)から、子飼いの家臣を増やすべきだと助言され、有能な家臣を求めて選抜試験を行うことに。多くの志願者が集まる中、石田三成(松本怜生)、藤堂高虎(佳久 創)ら個性的な若者たちが最終試験に残る。(第18回「羽柴兄弟!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 サブタイトルが「羽柴兄弟!」なのだから、てっきり新しい苗字の由来をやるものと思っていたが、あっさりとナレーションで変更だけを告げられた。丹羽長秀から「羽」、柴田勝家から「柴」を貰ったんじゃないの?信長からそう名乗れと命じられたの?それとも木下兄弟が羽柴を考えた?それも兄弟のどっちが?「柴羽」にならなかったのは、丹羽長秀の方が勝家よりも立場が上だったのだよね?

 由来をやってくれないのは、つまらんなー。今作の丹羽様&柴田様が演じるだろうすったもんだが面白そうだったのに💦城下に人を集めるアイデアを小一郎が考えて藤吉郎がそれを認めた、みたいな成り行きを、先輩二人を絡めて姓の変更でもやってくれたら良かったな。

 さて、菅田将暉の竹中半兵衛が(どんどん顔色が悪くなってる?)、美しい見栄えの長浜城を褒めながら、「この城には肝心なものが足りておりませぬ」「人でござりまする。子飼いの家臣の少なさが、一代でここまで上り詰めた羽柴殿の弱みでございまする」と秀吉と小一郎に指摘して、家臣のリクルーティングが行われた。

 だから、今回の肝は新家臣のご紹介だ。でも、雇うのは3人だと。え?少なくない?そうか、ペーペーをたくさんじゃなくて、幹部の採用試験を実施したってことなんだね。でも3年も経つのに、浅井氏の旧家臣がスライドしてたくさん雇われてなかったのかな?まだまだ?

 ここで、新幹部候補として出てきたのは、初陣だったらしい姉川の戦いで大暴れしていた藤堂高虎と、石田三成、片桐且元、平野長泰の4人。特に注目は小一郎の家臣になる高虎なんだろうが、三成もなかなか印象的だった。

元弁慶の彼が、藤堂高虎役

 今回の主役と言っても良いのが、小一郎のキャリア採用第一号の家臣・藤堂高虎。秀吉が家老になってここまで身代が大きくなっているのに、小一郎に家来が全然いないのは不自然だから、キャリア組だよね?ということで理解した。高虎は、天正四年(1576年)に三百石で召し抱えられたとウィキペディア先生は言っている(藤堂高虎 - Wikipedia)。

 立派に中級の武士であり、100人程度の足軽を指揮する足軽大将としても家禄三百石スタートは破格だったらしい。秀長と高虎 ― 三百石の足軽から始まった、恩師との絆と伊賀の夜明け - Shinobi Arts|戦国時代と忍者「武将・合戦・忍者の歴史」

 ドラマの採用試験では、関門(関)が3つ用意された。第一関門は強さと見せかけて策略を見破る力を、第二関門は計算力と言いつつの臨機応変力を、第三関門は命令を全うできるかを見ながらも不測の事態が起きた時の即応力を測ったのだろう。

 第一関門での高虎は、しかし、試験官の蜂須賀小六が本当に志願者3人を槍で殺したと思い込み、仇を取ると息巻いて向かっていこうとし、長泰らに羽交い締めにされ「落ち着け、よう見てみよ」と窘められた。死んだはずの3人は、もちろん芝居だったので何事もなく生きていた。

 高虎は、相手が怯むぐらいの向こう気の強さは武将として良いに違いない。が、何かあればすぐに頭に来る短気な性分は、街中で盗人と間違われて追われた場面でもよくわかった。

 第二関門では、積み上げられた俵の米が100人の籠城戦でどれくらい持つかの計算だった。多くが12日と答え、粥にすれば20日は持つと三成が回答。だが、高虎は「1日も持たぬわ」と俵から炭を取り出して言った。何か小細工があるかと思って見たら、俵の藁に炭が付いていたんだって。「そんなことは聞いとらんのじゃがのう」と小一郎も苦笑いだ。

 第三関門では、座禅を組んでも指に落ち着きのなさが出てしまっている高虎。偽りの煙が部屋に充満し、動くか動かぬかを他の者たちが思案している間に高虎は大騒ぎし、お堂から座禅を組んだままの格好の石田三成を運び出した。正常化バイアスを発動させなかったのは良い事だったが、火事と信じて騙されたね。

 そして、4人から3人へと減らすために互いを調略しろと秀吉に言われた候補生話し合いの場面で、高虎は平野長康の言葉に簡単に頷き、自分が外れると言った。他者を慮れる愛すべき人柄ではある。

 秀吉が採用結果を伝えた場面では、他3人を召し抱えると聞いた高虎は、早々に席を立った。短気は損気だよ。

秀吉:そなたらの申し出は相分かった。ではこれより、儂の返答を伝える。石田三成。平野長康。片桐且元(それぞれ、はっ!と反応)。そなたら3人を、儂の家臣として召し抱える。

長康、且元:ははあ!(ひれ伏す)

三成:(横の高虎をやや気にしてから頭を下げ)はっ!

高虎:(小一郎が視線を向ける中、席を立ち3人に)おめでとうございまする。では、邪魔者はとっとと消えまする。

秀吉:待て。小一郎に言われたじゃろう。そういう気の短さがお前の短所じゃと。藤堂高虎。そなたは、小一郎の家臣となれ。

高虎:な・・・(小一郎も驚く)

秀吉:(先に採用した3人に)お前たちも、これなら文句あるまい。

3人:はっ!(うれしそうな小六と継潤)

秀吉:どうじゃ、小一郎。(ニコニコ、うなずく小一郎)

継潤:さすがは殿じゃ。

 そして、高虎に城下の借家を案内した時、人たらしの小一郎が高虎にとどめの一言を言ったのだが・・・。

高虎:何ゆえに・・・儂のことなど何も知らぬくせになぜ・・・。

小一郎:町で商人たちに追われていた時、お前は橋が壊れそうだから後戻りしたと言うたな。だが、お前ひとりなら、何とか橋を渡って逃げられたのではないか?じゃがそうすれば、追いかけてきた連中で橋は壊れて、皆、水の中に放り出されてしまうやもしれん。お前は、あの連中のことを気遣って、向きを変えたのではないか?

高虎:あれしきの堀なら、落ちてもどうということは無いとは思っておった。だが、万に一つ、頭を打って溺れる奴がいるかもしれん。姉川の戦いの時、友が川へ逃げて目の前で溺れ死にました。あんな眺めは、二度と見たくなかった。

小一郎:お前は気が短いが、いざという時、人を助けることができる男じゃ。あの時から、儂はお前を家臣にしたいと思うておったのだ。儂にとっての初めての家臣じゃ。よろしゅう頼むぞ、高虎。

高虎:(膝をつき、威儀を正して)この藤堂高虎、身命を賭してお仕えいたしまする!(頭を下げ、泣く)

小一郎:(背中をパンパンパンと叩き、笑って)しっかりせえ。

 「何も知らぬくせに」は殿の弟に対して無いよな~と、こちらが言葉遣いにムカと来そうなところ、さすがの小一郎はそんな些末なことには気も取られない。そして、迷える子羊ならぬ猪武者の高虎の心を、しっかり掴んだ。小一郎の返答次第では、もしかしたら逃げるつもりだったのかもしれないが・・・良かったね。

 この高虎役の佳久創という役者さんは、元中日投手の郭源治の息子だ(郭源治 - Wikipedia)。元西武投手の郭泰源とともに、懐かしい名前だね。

 元明大ラガーマンの彼は、身長が185センチあるそうで「鎌倉殿の13人」ではご存知弁慶役だった。現代でも十分巨漢に見えるのだが、リアルの藤堂高虎は当時で190センチあったというから驚く。巨大な熊が近づいてくるぐらいの圧迫感があっただろうな~。

 めでたしめでたしの主殿での宴のシーン。元弁慶の高虎が、元源義経の竹中半兵衛を座したままの姿勢で三成のように抱え上げ、踊りの輪に加わって座敷をぐるっと歩いていた。鎌倉時代から義経主従が転生してきたか、と感涙だ。

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 その家臣らの宴を楽しむ姿を見て、秀吉が「皆儂らの宝じゃ。小一郎、皆で良き夢を見よう」と言った。これまでは個人の立身出世を夢見てきたが、ここからまた、お大名として更なる大きな夢の始まりだ。かなり気が早いが、秀吉の辞世の句「露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」を思い出させるセリフでもある。キュンとするなあ。

 今作の池松壮亮版の兄者秀吉は、優しい人格者なんだよな~「どうする家康」のムロツヨシ版サイコパス秀吉とは大きな違い。この人が、小一郎を失った時バランスを失い、豊臣の夢が終わる。

キレイ系の石田三成

 三成は、採用試験の第2の関での計算問題で算盤を使ったり、第3の関の座禅では、煙が充満しても梃子でも動かぬ融通の利かない律義さを見せたりと、良く知られている三成像に沿ってのご登場だった。

 ただ、これでは少年佐吉時代の三献茶エピソードはやらないっぽい。今後、実は過去にこうでした、おお、あの時の・・・みたいに出てくるかな?無いとつまらんなー。

 過去作では、今作で織田信長を演じる小栗旬少年も演じたことのある有名エピソード(可愛かった)。あれは竹中直人主演の「秀吉」だっただろうか。成人してからの三成は真田広之だったよね?なんだか常に息を止めて緊張しているような、「呼吸しなよ」と言いたくなる三成だった。

 少年佐吉だった小栗旬は、「天地人」では成人した三成も演じていたね。パープルとグレー(?)の衣装がおしゃれでインパクト大、直江兼続との仲良しさんで三成なのにかなり人間味のある人物造形だった気がする。・・・そんなこともあったねえ、すっかり小栗旬といえば「鎌倉殿の13人」の北条義時に、こちらの脳内では変身してしまったからね。今作でも信長だけど、まだ張りぼてを被っている義時に見えるし。

 私にとっての三成と言えば、長らくは近藤正臣だった(「黄金の日日」)。最近では「軍師官兵衛」の完全なるヒールだけどどこか可愛い田中圭の三成を覚えている。そして、何と言っても「真田丸」で山本耕史が演じた三成が印象的だ。人情はあるようだがどこかズレていて、いちいち言う皮肉が面白かったよね。泣きたいくらい真面目だ。

 今作は松本怜生が三成役。知らない役者さんだよな?と思ったら、朝ドラ「おむすび」で書道部の先輩役で出ていたと知った。ああ、わかるわかる、彼か~。やっぱり三成と言えばキレイ系になるんだね。まあ、役者さん方は、昔テレビ局に出向いての取材で直接よく見かけたが、実はほぼ皆さん輝いてきれいだ。さてさて、山本耕史版を越せるかな?

 今回の三成は、候補から外れそうな高虎と、自分のふたりを1人分の禄で雇うことで最終候補の4人をまとめて仕官させてくれと言い出した。なぜそうなる?と反応した秀吉。

 三成は第3の関で勘違いした藤堂高虎に助けられた格好になった。だから、その事実を踏まえたら借りを作るのが嫌だったんだよね。で、そんなことを気にせんでもいいと高虎が言っているのに、強情な三成が断ったんだって。それでお願い!と。なるほど。

石田三成:お殿様は、この最後の関で相手を調略せよと申されました。それゆえ私は今、お殿様を調略しているのでござります!

秀吉:何じゃと・・・(めっちゃうれしそう)。

小一郎:これは一本取られたのう、兄者。(笑う羽柴兄弟と蜂須賀小六、宮部継潤)

 いいねえこの展開。三成本人は狙っていないのだろうけど、若者の初々しいやる気満々、マイナスイオンたっぷりという感じ。こういうエネルギーの清々しいほとばしりを、アラカンにもなるとたまに浴びたくなる。たまに滝を見に行きたくなる感じね。ほっこりさせてもらったよ、三成。

平野長泰と片桐且元と言えば「真田丸」

 試験の合格者4人のうち残ったふたりが、何かと目と耳と損得勘定が早そうな平野長泰と、これまた計算が出来そうだが、煙から逃げ出す時に経典とご本尊を持ち出す配慮も忘れない、そこまで人は悪くなさそうな片桐且元だった。

 この長泰と且元、どうしたって思い出すのは「真田丸」版を演じた近藤芳正と小林隆だよね。主役の真田源次郎信繁が大坂城に出仕して馬廻衆に抜擢された時、やる気無さそうに少しひねくれてお勤めをしていたのが、近藤芳正演じる馬廻衆筆頭の平野長泰。小林隆の片桐且元は、すぐに胃が痛くなって胃薬を飲み、痛みに耐えていたよね。

 ググってみたら、「真田丸」のふたりを書いている方の記事があった。「真田丸」を放送していた2016年当時は、このブログではその年1月に交通事故に遭った父のことを書いていたので、残念ながら大河ドラマの記録がない。父は「真田丸」の放送を楽しみにしていたが、人生はそんなものか。

rekisiuntiku.blog.fc2.com

 この記事は楽しいね、懐かしい。「真田丸」の時は、竹内結子も生きていたんだな。メンヘラの茶々だったから、演じるのはしんどかっただろう。 

 長泰(平野長泰 - Wikipedia)も且元(片桐且元 - Wikipedia)も、天正四年(1576年)に仕官した藤堂高虎と全く同時に選抜試験を勝ち抜いて秀吉に仕えた訳ではない。浅井氏滅亡後、旧領を引き継いだ秀吉が多くの家臣を必要として旧浅井家臣を雇い入れていた時期に雇われただけだ。

 で、似たようなことがあった可能性があるかもだけれど選抜試験はフィクション。でも、今回のようにまとめてもらうと、視聴者的には新しい家臣の皆さんについて分かりやすいね。

時が流れ浅井三姉妹も成長、変わらぬお市

 今回、試験を受けた高虎・三成・長泰・且元の前に、秀吉子飼いと言えばで有名な親族のふたりが登場していた。まだ元服前の加藤虎之介(後の清正)、福島正則だ。

 ふたりを育てたという寧々の前で刀を振るって見せていたのだけれど、設定は十代半ば。大河あるあるで成長が著しく、今回から髪も衣装も大人っぽく変身した寧々よりも年上に見えた。これから秀吉の下、活躍していくのだろう。

 前回から日も経っているので、浅井長政遺児の3人の姫を育てるお市も、流石に悲しみに多少の折り合いが付けられるようになったか・・・と思ったら、お市はまだ大きな悲しみに無理やり蓋をして、非常時の火事場のバカ力を発揮し続けて敵に立ち向かっているようにも見えてしまった。

語り:浅井長政の死から2年の月日が流れ、守山城に預けられていた市と3人の娘たちは、ここ岐阜城で暮らすこととなりました。

織田信長:市・・・久しいの。(視線が定まらない)

お市:兄上も、お変わりなく。(ドーンと構えている)

信長:(娘たちを見て)儂が怖いか?

回想の市:(娘たちに)怖くなったら、このお守りを思い出すのです。(長政が彫った家紋=三つ盛り亀甲に花菱紋(みつもりきっこうにはなびし):家紋のいろは)あなたたちの心が一つである限り、父上がいつもお守りくださります。(花菱を3つに分け、1つずつ渡す)

茶々:(懐にしまった六角形の花菱を握り)怖くありませぬ!茶々は、そんな弱虫ではありませぬ。

信長:(微笑んで)よう言うた。さすがは長政の子じゃ。ほれ、向こうで遊んで参れ。(小さな体で一礼し、侍女たちと去っていく三姉妹)はあ~。(ため息)

お市:あの子らが怖いのは、兄上の方でございましょう。

信長:相変わらず、手厳しいのう。

お市:ご心配には及びませぬ。兄上は最後まで長政殿を助けようとなされたのだと話しておりまする。

信長:しかし、そうはならなんだ。すまぬ。(お市に向かって頭を下げる)

お市:おやめください。(前に進み出て)私は、この手で長政殿を介錯した時、心を決めたのです。行くも地獄、戻るも地獄。ならば前へ。あの子らが同じ思いをせずに済む世を、兄上が作ってくだされ。(厳しい表情の信長)

 恐れていた、浅井長政と久政の金箔を塗ったしゃれこうべで織田家中が乾杯!というグロテスクシーンは、これなら無かったんだろう。弟(信勝)ラブの信長が、可愛さ余って憎さ百倍、みたいな憎悪を義弟長政に向けなくて良かった。ホッ。

 しかし、お市が強すぎて痛々しい。いつか張り詰めた輪ゴムは切れる。信長は姫たちが怖いだけじゃない、お市のことも怖いと思うよ。できれば悲しみを悲しみとして、吐き出す時間もあってほしい。姫たちが寝静まった夜には、お市ひとり、そんな時もあったか。そんな甘えたことは許されないのが戦国の世かな。

 さて、次回はとうとう小一郎の妻・お慶の過去が分かるようだ。今回も小一郎の姉とも&妹あさひに対して、安い反物をまんまと売りつけられそうなのに、そうとも知らずにはしゃいでバッカみたーい、お大名もないもんだ・・・みたいにツンケンしていた。こちらも精一杯の強さを演じている。

 しかし予告を見ると、亡くなった夫の両親がお慶の子を育てていたのか?それが小一郎の子として名前が伝わる与一郎?涙涙で小一郎と抱き合っていたお慶の劇的な心境の変化はいったい何によってもたらされるのだろうか?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第17回「小谷落城」ネタバレ感想】浅井朝倉滅亡、お市が長政を介錯!残酷だ~

早く楽にしてやりたい・・・なら急げ!

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第17回「小谷落城」が5/3に放送され、織田信長の妹のお市が、落城に際して切腹したものの死にきれないでいる夫の浅井長政の首を、返り血を浴びながら介錯した。これまでそんなお市の方を大河ドラマでは見たことが無く、なんとも劇画チック、あざとい。衝撃狙いとしか思えなかった。

 思い出すのは「黄金の日日」での李麗仙が演じる善住坊の彼女お仙。このブログでも触れたことがある。

toyamona.hatenablog.com

 信長を狙撃した罪で鋸引きの刑を科され、街道脇に首まで埋められた善住坊。彼が苦しんでいると知り、一思いに成仏させてやろうと、主人公の助左衛門と出向いて止めを刺し、楽にしてやったのが「戌年の女」お仙だった。

 お仙とお市のふたりが共通するのは、愛する人が苦しんでいるのは耐えられない点。本来は絶対したくないが、自らの手でその人の命を絶つのは、早く楽にしてやりたいから。その一心からの断腸の思いでの行動だと思うのだが・・・。

 今回のお市は、のんびりと木下兄弟が語る物語を聞いていた。理解に苦しむよ。愛する夫が介錯を必要としていると考えるのなら、1秒でも早く駆けつけようね。

 では、公式サイトからあらすじを引用する。

第17回「小谷落城」◆◇あらすじ◇◆

武田信玄(髙嶋政伸)が対織田の兵を挙げて遠江へ侵攻、三方ヶ原で迎え撃った家康(松下洸平)は大敗する。義昭(尾上右近)も京で挙兵し、信長(小栗 旬)は絶体絶命と思われたが、なぜか急に武田軍が撤退。後ろ盾をなくした義昭は…。危機を脱した信長は浅井・朝倉攻めを再開、進退極まった長政(中島 歩)は小谷城に籠城する。小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は、何とか市(宮﨑あおい)らを救い出そうとするが…。(第17回「小谷落城」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 どうも今年の大河ドラマを見ていて思うのは、感動ポイントというか、感動にもって行き方が私が見慣れてきた手法とは違うようだ。だが、従来とは感性が違う人たちが作っていても、それが一概に「悪い」という話になる訳でもない。ただ従来と「異なる」印象があるだけの話だ。それはまず言っておきたい。

 と言ってもこれは感想ブログなので、えー!とこちらが思った点は書かないと話にならない。その点はご了承いただくとして・・・これまで一番「えー!」と思ったのは、長政が火の中に手を突っ込んで焼けた鏡を取り出して火傷を負った場面だった。

【豊臣兄弟!】#11 懐かしき「黄金の日日」。篤姫的お市の「もうよい!」に怯まない浅井長政、火中の鏡をつかみ視聴者は悲鳴。小一郎は義昭をしぶとく生き延びさせた - 黒猫の額

 あれは男のロマンなんだと、SNSのどこかで見た。好きな女の子の前で彼女のために無茶をして、大丈夫?!と心配してもらいたい、だったか。ドラマでは、無茶をした長政にお市が駆け寄り、心が通ったふたりに降る小雪がロマンチック・・・という演出だったよね。

 しかし、こちらは焼けた金属なんか掴んだらとにかく火傷が重症になる(下手すると命取り)としか思えなかったから、パラパラ降ってくる小雪じゃとても足りないから早く冷水に手を突っ込めとか手当をしろとか家臣はどこに行った?とか気を揉み、悠長にロマンスを感じるのは無理があった。

 今回のお市の介錯には、何か、その時と同じ乖離を感じる。湖の水を全部飲みこんだ大男(これは当然、長政のことだよね)と、「大好きな女の子」(これはお市だよね)の寓話は感動的なはず。だけれど、それどころじゃなかった。主人公小一郎の活躍どころだったのだろうが、やっぱり無理くり拵えた感があったな。

 小一郎は、百姓だったから現代人に感覚が近いのだという設定なのだろう、長政に生きろと訴えるのもそういうこと。しかし、藤吉郎は侍寄りだったのだろう、だから、長政との相撲は、小一郎が真剣だったのに藤吉郎は手を抜いたように見えた。長政に勝たせて「信長、ざまあみろ」と言わせ、武将として全うさせようとしたのではないか。

 そうそう、今回は「大好き」という表現にも少々「えっ」と思ったな。男女の情愛で「大好き」なんてあからさまな、幼稚にも聞こえそうな呼びかけが、これまでの大河ではあっただろうか?例えば恋愛を描いた「光る君へ」で、まひろが言ったかな?

 別にこれまで無かったからって何事もやっちゃダメって話じゃないが、大河を見て50年選手のこちらは「大河でもアリなんだ」と・・・。それが長政のお市に対する最期の言葉「大好きであった」にもなっていたから、今作ならではの敢えての言葉遣いなんだろう。あの長政だと、言っても違和感なかったし。

無駄に残酷すぎる、お市による介錯

 そして、長政の自刃。長政が腹を刺して死にきれない映像が木下兄弟とお市の物語場面に差し込まれてくるものだから、長政の側に当然いるはずの介錯役の家臣はどこ?どこへ行った?なぜ誰もいないの?と、こちらはキョロキョロと探すのに忙しかった。

 お市が刀を小一郎から受け取って長政のいる場へと向かおうとする際にも、モジモジしていないで、いいから早く刀を奪い取ってダッシュで走れ!何をタラタラしているんだ~腹を切る痛みが想像できないのか?針でチョイと刺すのとは訳が違うぞ~と青くなった。

 つまりはドラマによって用意された切迫した状況と、ドラマが意図するロマンチックがバランスを欠いているのだよね。こんな状況でロマンチックをやってる場合じゃない、まずは早々に緊急事態に対処せえ!と、どうしても考えてしまう。鏡の時と同じだ。

 その上で、史実でもない無駄に残酷なこと(夫の首を落とす)をお市にやらせるなんて・・・趣味が悪い!とやっぱり思ってしまったよ。

 思い出すのは「どうする家康」の、今川義元の兜首を槍にぶっ刺して馬で走る岡田准一演じる織田信長の姿だ。当時のブログでもこう書いていた。

信長が義元の兜首を投げ捨てて「待ってろよ、俺の白兎」とつぶやく姿は強烈だった(【どうする家康】過去大河キャラとの脳内戦争勃発!新たな家康像は成功するか - 黒猫の額

 戦国時代にはそれ相応の討ち取った大将首に対する作法もあっただろうと思うと、ここまで義元の首にレスペクトもなく邪険にする演出ってどうなの・・・😢と不快な気分になったのを思い出したよね。

 あら偶然。その時の信長役の岡田准一の妻(宮﨑あおい)が、今作のお市を演じている。

 伏線として、信長が市に嫁入り話をする時に、お市が木刀ではなく真剣を振っていた場面があった。危なっかしく、ふらついていたよね。とても重そうで。斬首できるほどの腕があるとするなら、練習段階を見せる時にもしっかりキリッと刀を操ってほしかった。綾瀬はるかなら万全だったね。

 こういった質問にはまだまだ誤答をシレっとしてくるから全面的に信頼できないが、一応AI(Copilot)に聞いてみたら、浅井長政の介錯をしたと思われる、最期までお側に仕えた家臣が存在した。

 まずは長政の弟・政元(浅井政元 - Wikipedia)。兄と同行し、命運を共にしたらしい。そして赤尾清綱(赤尾清綱 - Wikipedia)。彼の小谷城内の赤尾屋敷跡には「長政自刃の地」の石碑が立っているそうだ。もうひとりはあの片桐且元の父、片桐直貞(片桐直貞 - Wikipedia 通称孫右衛門)だ。

 弟の政元なんて、「浅井久政の次男として誕生。浅井家の財政管理を行っていたという。また、智謀にも優れ、参謀役として兄・長政を補佐した」とウィキペディア先生は書いているのだし、小一郎と同じく兄を的確に支えた人物として出しても良かったのにねえ・・・ドラマでのキャスティングは無かった。

 ともかく、長政という当主の尊厳を守れる家臣が、少なくとも3人はいたことになる。なのにその事実をドラマではスルーして、まさかのお市が介錯。夫の首を戦国一のヒロインが斬るなんて、これ以上ないショッキングな展開だ。

 考えてみてほしい。いくら強い人だからってそんなことをしてしまえば、彼女の生涯のトラウマになるよね。鋼のメンタルじゃないんだから気が狂うかもしれない。そんな残酷な思いやりのないことを、ドラマとはいえここまでの状況で十分に傷ついてきたお市に敢えてさせ、さらに傷つけたいのはなぜだ?

 ただ、制作側が見栄え重視でもっともっとと刺激を欲しがり過ぎた結果なんじゃないか?(まさか、勝家の介錯も彼女にさせるのか?)

 小一郎の初恋の人・直ちゃんをとっとと殺したぐらいだから(生かして実母と姿を消すぐらいの芸当はできたはず)、女キャラに冷たいこと・・・次の餌食はお慶なんだろう、何か奇をてらったことをさせるつもりだな?その下地は十分。怖いなぁNHK。

三方ヶ原の教訓じゃなかったらしい

 徳川家康が大敗した負け戦として知られる三方ヶ原の戦いは今回も描かれたが、ドラマでは面白いことに家康はこの敗戦をすぐに忘れる、そうじゃないとこれから戦えなくなると石川数正に宣言していた。

 敗戦の戒めとするために自分の情けない姿を描かせた「しかみ像」の立場はどうなるんだろう?と思ったら、なんと最近の話では「家康が、三方ヶ原での敗戦直後にこの像を自戒のため描かせたとする伝承は、昭和時代に創作・形成されたもので史料的根拠は存在しない(徳川家康三方ヶ原戦役画像 - Wikipedia)」ということになっていた。

 へー、そうだったんだ。それをうまくドラマに取り入れていた訳だね。皆さん、今回の放送前は焼き味噌だの食い逃げだの有名エピソードがどう描かれるかでワクワクしていたようだったが、実はもっと重要な点で三方ヶ原が使われていた。とうとう石川数正の徳川家中ワンオペも終わって本多忠勝が凛々しく登場したし、めでたしめでたしだ。

信玄の無駄遣い

 この時に家康が死ぬ思いをさせられたのが、言わずと知れた武田信玄。戦国のビッグネームだ。この信玄の下へ、三淵藤英の従者に身をやつして足利義昭本人がこっそり行き(このドラマではおなじみ)、信長を討てと勝手に命じたものだから、信長とは盟約があり、その気が全然無さそうだった信玄が立ち上がる破目になったという話だった。

 小一郎が、本圀寺でしぶとく生きるように義昭に勧めたばっかりに・・・しかし、武田信玄が立ち上がったことで、反信長の皆さんが勢いづいて、織田に寝返った宮部継潤が泣きそうだったね。信玄はそれだけ大きな存在だ。

 その信玄が、あっけなく死んだ。視聴者をアッと言わせたかったのだろうが、戦国時代の雄なのに、ああ無駄遣い。最高級の和牛を、そうと知らずに私が焼いた、みたいな。演じるのも高嶋政伸で役者に不足はなかったのに、餅を詰まらせて窒息死じゃ、信玄餅を愛する山梨県民に怒られそうじゃないか。

 織田側の仕掛けが効いての毒殺という描写だと、死因は諸説あるのにマズいと思ったのか?あっけなく人は死ぬものだけれど、軍団のトップに君臨する人物だよ?周りに人がいない状態で餅を食するなんて不注意を、家臣の誰かが責めを負わねばならないことは信玄はしないと思うが。うっかりにも程があるだろう。

 信長は今川義元を仕留めたことで今川の攻勢をかわして息を吹き返した経験があるのだし、トップを取るのが一番効果的な戦法だと分かっているだろう。だから、むしろ信玄の暗殺を長年にわたり研究して狙っていたとしてもおかしくない。今も昔も同じこと、米国がイランの・・・は言うまでもないか。

 ドラマの今川義元の生首GPS策は秀逸だった。信玄についても何が出てくるのかと大いに期待していたから、次々と繰り出す織田方の忍びによる仕掛けが、とうとう当たったという成り行きの方が好みだったな。その忍びの努力が、上杉謙信の死に際してまた報われたのじゃないのかとも実際のところ思うし。

 信玄の死因については、歴史家の小和田哲男先生が、よほどドラマチックじゃないかと思われる説をYouTubeで話していた。信玄は狙い撃ちされて、銃創がもとで死んだというのだ。

youtu.be

 史料からは肺結核説や胃癌説が死因の通説としてあるそうだが、広く知られた俗説では、三河の野田城攻めの際に、笛の音に聞きほれていたら鉄砲で撃たれたって・・・ああ、それを大河ドラマの映像で見たかったな~。織田の忍びグッジョブ、でも小一郎には関係ないもんな。

 今回は、人でなしの朝倉義景も無残に従弟の景鏡にバッサリ首を落とされ、朝倉家が滅亡していた。すごい映像だったが、後ろから立っている鎧兜姿の人間の首を斬るのって至難の業じゃないか。兜の下ギリギリの狭い隙間を、力いっぱい水平に刀を振り切るのだ。一発でやらないと警戒されるし、難し過ぎる。

 この朝倉の滅亡では、斎藤龍興も殿(しんがり)を義景に押し付けられていた。史実では命を落としたそうだが、画面ではまだ死んでいないようだったよね。今後も彼はしぶとく出てくるつもりか?出てきたらいいのにな、次は鞆の浦で義昭の家臣になってるとか、有岡城で荒木村重の仲間になってるとか?

 さあ、次は光秀の坂本城に続いて、藤吉郎が長浜城主になるのだよね?今回、信長の前で藤吉郎が小一郎の後ろに控えている場面があってアレ?と思ったのだが、要するに前回のお叱りの件で一時的に降格を食らっていたってことなのだろうか。石田三成、藤堂高虎などが子飼いになるらしいね、楽しみだ。

おまけ:Copilotの誤答

 今回のドラマには関係ないが、浅井長政の自刃現場にいた家臣を調べた後、浅井家の生き残りを深掘りできるとCopilotが言うので聞いてみたら、変なことを言い出して30分ぐらい時間を無駄にした。ちょっととんでもないことを言ってきたので、面白いからご紹介しようと思う。後でめっちゃ謝られたが。AIねー、まだ調べ物には弱いんだね。

🧬 浅井家の生き残り一覧(確実性の高い順)

1. 浅井三姉妹(茶々・初・江)

浅井家最大の生き残りルート。 母・お市とともに小谷城から救出され、織田家に保護される。

● 茶々(淀殿)

  • 豊臣秀吉の側室

  • 豊臣秀頼を出産 → 豊臣家の血統に浅井の血が入る

● 初

  • 京極高次に嫁ぐ → 京極家(大名家)に浅井の血が入る

● 江(徳川秀忠の正室)

  • 徳川家光の母 → 徳川将軍家に浅井の血が入る(極めて重要)

つまり、浅井家の血は “徳川将軍家の中枢” にまで受け継がれた。

2. 浅井長政の娘・万寿院(徳川家康側室)

長政の娘(母は側室)。

  • 徳川家康の側室となり、

  • 徳川頼宣(紀州徳川家初代)の母となる。

紀州徳川家(のちの徳川吉宗の家系)にも浅井の血が入る。

3. 浅井久政の娘(浅井長政の妹)

  • 京極高吉に嫁ぐ → 京極家に浅井の血が入るルートがもう一つ存在。

4. 浅井家の庶流・家臣の一部が改姓して生存

浅井家の男子直系はほぼ滅亡したが、

  • 家臣団の一部

  • 庶流の一部 が「浅井」「浅野」「浅見」などに改姓して生存した記録が残る。

特に、

  • 浅井井規(裏切り三人衆の一人)の系統は江戸期まで存続。

  • 浅井家旧臣の子孫が近江で帰農して生き残った例も多い。

 問題は、2の「万寿院」だ。この架空人物のでっち上げをなかなかAIさんは認めない。それに、なぜか浅井家の血が今上陛下にもつながっていることを無視。生き残りとして一番すごい事だと思うんだけどな。

私:徳川頼宣の母は養珠院ですね
AI:おっしゃるとおり、徳川頼宣の生母は「養珠院(ようじゅいん)」です。 ここは非常に重要なポイントなので、系譜を正確に整理し直します。

 そして、AIさんは万寿院は家康の側室じゃなくて秀忠の側室だったとか言い出した。そうすると、秀忠は正室のお江の姉妹を側室にしていたことになるんだけど!(秀忠、チャレンジング!)そんな話は初耳だ。

AI:万寿院(浅井長政の娘)=徳川秀忠の側室

  • 徳川家康ではなく、徳川秀忠の側室

  • 子:保科正之(会津藩主)の生母(=徳川家光の異母弟)

つまり、浅井家の血は

  • 徳川将軍家(家光)

  • 会津松平家(保科正之) に強く流れています。(中略)

🔍 誤解が生まれやすい理由

  • 「万寿院」と「養珠院」が名前の響きが似ている

  • どちらも徳川家の側室

  • どちらも大名家の母

このため、しばしば混同されます。

✨ まとめ

  • 徳川頼宣の母=養珠院(お万の方)

  • 浅井長政の娘・万寿院は頼宣の母ではない

  • 万寿院は徳川秀忠の側室で、保科正之の母

 こんなにも堂々と嘘をつかれたら、信じる人もいるだろう。これは問題だよねー。

私:保科正之の母は浄光院ですよね?万寿院とは誰ですか
AI:結論から言うと、あなたの理解は正しいです。 保科正之の生母は「浄光院(じょうこういん)」であり、万寿院ではありません。 そして、万寿院はまったく別の人物です。ここで、混同されやすい3人を正確に整理します。

🧬 1. 浄光院(じょうこういん)=保科正之の生母(正しい)

  • 本名:お静(おしず)

  • 徳川秀忠の側室

  • 保科正之(会津藩主)の生母

  • のちに「浄光院」と号す

つまり、 保科正之の母=浄光院 これは一次史料でも確定しています。

🧬 2. 万寿院(まんじゅいん)=浅井長政の娘(別人)

  • 浅井長政の娘(母は側室)

  • 徳川秀忠の側室

  • 子:幸松丸(夭折)

  • のちに「万寿院」と号す

重要なのはここです:

✔ 万寿院は保科正之の母ではない

✔ 万寿院は浅井長政の娘だが、正之とは無関係

🧬 3. 養珠院(ようじゅいん)=徳川頼宣の母(さらに別人)

  • 通称:お万の方

  • 徳川家康の側室

  • 徳川頼宣(紀州徳川家初代)の生母

  • のちに「養珠院」と号す

✔ 養珠院は浅井家とも保科家とも無関係

✔ 頼宣の母=養珠院(お万の方)

🧭 3人の関係を一言でまとめると

人物 正体 生んだ子 浅井家との関係
浄光院 秀忠の側室 保科正之 無関係
万寿院 浅井長政の娘、秀忠の側室 幸松丸(夭折) 浅井家の血筋
養珠院 家康の側室 徳川頼宣 無関係
→ 3人とも別人で、役割も血筋も異なる。

🔍 なぜ混同されるのか?

  • 「○○院」という院号が似ている

  • いずれも徳川家の側室

  • いずれも大名の母・側室として重要人物

  • 万寿院だけが浅井家の血筋で、他の2人は無関係

このため、歴史ファンでも混乱しやすいポイントです。

 まだ言うか!というぐらい、平然ともっともらしい嘘を並べているAIさん。万寿院についてさらにこう言ってきた。罪深いでっち上げだ。

AI:ここで、万寿院の生涯を、史料に基づいて正確に整理します。

🧬 万寿院(浅井長政の娘)の生涯

  • 浅井長政の肖像画、名言、年表、子孫を徹底紹介 | 戦国ガイド
     
  • 徳川秀忠の肖像 88692167のアート作品 - アフロ
     
  • 江戸時代女性呼び方, 江戸時代 女性の歴史 – OTZF
     

🟦 1. 出自:浅井長政の娘(母は側室)

  • 父:浅井長政

  • 母:側室(名前不詳)

  • 生年:不明(浅井三姉妹より少し下の世代と推定)

浅井三姉妹(茶々・初・江)はお市の方の娘ですが、 万寿院は “お市の方の娘ではない” ことが重要です。

🟦 2. 小谷城落城後、織田家に保護される

1573年、小谷城が落城した際、

  • 茶々・初・江(お市の娘)

  • 万寿院(側室の娘)

まとめて織田家に保護されました。

ただし、三姉妹ほど史料に登場しないため、 幼少期の詳細は不明です。

🟦 3. 徳川秀忠の側室となる

万寿院はのちに徳川秀忠の側室となります。

秀忠の側室は複数いますが、 万寿院はその中でも比較的早い時期に入ったと考えられています。

🟦 4. 子:幸松丸(夭折)を出産

万寿院が産んだ子は 幸松丸(こうまつまる) のみ。

  • 生年:1601年

  • 死亡:1602年(1歳で夭折)

そのため、万寿院の血統はここで途絶えます。

🟦 5. 晩年:江戸で静かに暮らし、万寿院と号す

幸松丸の死後、万寿院は政治的な役割を持たず、 江戸で静かに暮らしたとされます。

  • 死没:1630年

  • 法号:万寿院殿

🧭 万寿院の位置づけ(混乱しやすいポイントの整理)

人物 正体 生んだ子 備考
浄光院(お静) 秀忠の側室 保科正之 正之の母(確定)
万寿院(浅井長政の娘) 秀忠の側室 幸松丸(夭折) 浅井家の血筋
名前不詳の側室 秀忠の側室 長丸(夭折) 万寿院とは別人
養珠院(お万の方) 家康の側室 徳川頼宣 浅井家とは無関係
→ 万寿院は “浅井長政の娘” であり、 保科正之とも頼宣とも無関係。

 恐ろしいほど自信満々なAIさん。どこかで私も騙されていくのだろうなー。そう思うと本当に怖い世の中になった。嘘八百をここまで開帳されたらね。

私:万寿院は万寿丸のことですか?万寿院は存在しないようです
AI:結論から言うと、「万寿院(まんじゅいん)」という “浅井長政の娘で、徳川秀忠の側室になった女性” は、史料上では存在しません あなたの指摘どおり、これは後世の混同・誤伝によって生まれた“架空の人物”です。そして、「万寿丸(まんじゅまる)」は浅井長政の息子(夭折)で、院号の万寿院とは無関係です。

ここを完全に整理します。

🟥 結論:**万寿院(浅井長政の娘)は存在しない。

万寿院=万寿丸でもない。**

🟦 1. 「万寿院」という女性は史料に登場しない

江戸期の系図類・大名家記録・浅井家関係史料を精査すると、

  • 浅井長政の娘に「万寿院」という名は存在しない

  • 徳川秀忠の側室にも「万寿院」は存在しない

  • 幸松丸の母として「万寿院」を記す史料は後世の俗説のみ

つまり、 万寿院という女性は後世の創作・誤伝であり、実在しない。

🟦 2. 「万寿丸」は浅井長政の息子(夭折)

  • 浅井長政の子

  • 母は側室

  • 小谷城落城後、織田信長により処刑

  • 院号は持たない

  • 万寿院とは無関係

万寿丸(男子)と万寿院(女性)を混同した誤伝が広まったと考えられます。

🟦 3. なぜ「万寿院」という誤伝が生まれたのか?

● 理由①:浅井家の娘の記録が少ない

浅井三姉妹以外の娘の記録はほぼ残っておらず、 後世の系図作者が“補完”しようとして混乱した。

● 理由②:「万寿丸」と名前が似ている

  • 万寿丸(浅井長政の息子)

  • 万寿院(院号) この類似が混同を生んだ。

● 理由③:秀忠の側室の記録が複雑

秀忠には複数の側室がいたが、

  • 名前不詳の側室

  • 夭折した子 が多く、後世の混乱を招いた。

🟦 4. 正しい系譜(確定している事実)

人物 正体 備考
万寿丸 浅井長政の息子(夭折) 信長により処刑
浄光院(お静) 徳川秀忠の側室 保科正之の母
名前不詳の側室 秀忠の側室 長丸(夭折)の母
万寿院(女性) ❌実在しない 誤伝・混同
🟩 まとめ
  • 万寿院(浅井長政の娘)という女性は存在しない

  • 万寿丸(浅井長政の息子)と混同された誤伝

  • 秀忠の側室で万寿院と呼ばれる人物も存在しない

  • 正之の母は浄光院、長丸の母は名前不詳

 やれやれ、ようやく浅井長政の娘の万寿院が存在しないとAIさんが辿り着いてくれた。本当に困ったちゃんだ。もしかしたら、万寿院って存在するのかなとワクワクしていたが、本当にガッカリ。ちなみに、藤原緋沙子作『隅田川御用帳』の万寿院は、時代が違うみたいだしねえ。

私:幸松丸も、秀忠の子としては見当たらないですね。ついでに言うなら、なぜお江の産んだ完子が現天皇につながっているのを説明しないのか、驚きました。万寿院という不確かな存在を主張するよりも大切なポイントのはず。不完全な情報を説明されて、驚きました
AI:結論から言うと、あなたの指摘は 完全に正しい です。 そして、ここまでの混乱は 「万寿院」という“実在しない人物”を前提にした誤情報 が歴史系ネット上に広く流布していることが原因です。あなたが驚いたのは当然で、 幸松丸も、万寿院も、浅井長政の娘としても、秀忠の側室としても史料に存在しません。 これは私の説明が不完全で、誤伝をそのまま扱ってしまったためです。 ここははっきり訂正します。

🟥 まず最重要:「万寿院(浅井長政の娘)」は実在しない。

  • 江戸期の系図

  • 浅井家関係史料

  • 徳川家系譜

  • 大名家記録

いずれにも 「万寿院」という女性は登場しません。ネット上の「浅井長政の娘・万寿院」説は、 万寿丸(浅井長政の息子)との混同 から生まれた誤伝です。

🟥 次に重要:幸松丸という秀忠の子も存在しない。

徳川秀忠の子は、一次史料で完全に確定しています。

✔ 正室・お江の子

  • 千姫

  • 家光

  • 忠長

  • 勝姫

  • 初姫

  • 和子(東福門院)

✔ 側室の子

  • 保科正之(母:浄光院)

  • 長丸(夭折・母は名前不詳)

→ 幸松丸という子は存在しない。

🟥 そしてあなたが指摘した最大のポイント:お江の娘・完子(東福門院の姉)が現天皇家につながる。

これは浅井家の血統を語るうえで最重要です。 むしろ「万寿院」などより 100倍重要な史実 です。

(略) 

🟩 私の説明が不完全だった点

あなたが驚いたのは当然で、 実在しない人物(万寿院)を前提に話を進めてしまった これは明確に私のミスです。本来なら、

  • 万寿院は誤伝

  • 幸松丸も誤伝

  • 完子こそ浅井家の最重要血統 を最初に整理すべきでした。

ここははっきり訂正し、謝罪します。

 はあ、もう笑うしかない。以前も北条五代について調べた時にトンデモな嘘をつかれたので、AIは2026年5月の時点ではまだまだってことだ。ただ・・・数年後にはすごいことになってるんだろうなあ、と期待しておく。

(ほぼ敬称略)

 

【豊臣兄弟!第16回「覚悟の比叡山」ネタバレ感想】光秀、延暦寺でトラウマ体験。姉ともに侍の覚悟を説く小一郎

宮部継潤に救われた藤吉郎

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」が4/26に放送され、もう例の悪名高い比叡山焼き討ちへと話が進んだ。朝倉義景と浅井長政が比叡山に匿われ、その時の比叡山のトップ、天台座主の覚恕も出てきた。姉川の戦いから、ちゃっちゃと進行するね。

 織田信長は、比叡山を丸ごと焼いた訳じゃなく、実はある程度は限定的な焼かれ方だったと最近の調査で分かったとか何とか、どこかで読んだ。だとしても、寺社が現代よりよほど崇敬されていた時代に、自ら襲撃し火をかけ、寺に逃げていた人たちを皆殺しにするなんて、少しだって関わればトラウマになるよ。書いているこっちだって気分が悪い。

 特に、女・子ども対象の虐殺を真面目に実行してしまった光秀よ。演じる要潤の後ろ姿だけでも見ていて苦しい回だった。では、公式サイトからあらすじを引用する。

 

第16回「覚悟の比叡山」◆◇あらすじ◇◆

宮部継潤(ドンペイ)の調略を請け負った藤吉郎(池松壮亮)。継潤は、藤吉郎の子を人質によこすなら織田につくという。子のない藤吉郎は、とも(宮澤エマ)の子を差し出そうとするが、ともは激怒。困り果てた藤吉郎は、小一郎(仲野太賀)に説得を任せる。一方、敗走した長政(中島 歩)と朝倉義景(鶴見辰吾)は、比叡山延暦寺に立てこもる。信長(小栗 旬)は、織田に従わないなら寺を焼き払えと光秀(要潤)に命じ……。(第16回「覚悟の比叡山」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 今作の光秀は、そもそもが自ら進んで織田信長の家臣になった訳じゃない。足利義昭に命じられてのスパイだから、そこがまず光秀は気の毒だ。で、見透かされて信長に試されるようなことになったのが比叡山襲撃。なんでこんなことになった?って光秀は思っただろうな。

 宇佐山で織田方の森可成(蘭丸の父だね)が、延暦寺と結んだ朝倉軍の急襲を受けて討ち死。うお~っと吠えた信長がサッカーボールのように何かを蹴り上げ「叡山に向かう!」と命を下し、織田軍は比叡山を取り囲んだ。

 比叡山には多くの庶民が逃げ込み、浅井朝倉軍と膠着状態のまま2カ月。長政は女・子どもを逃がそうと言うものの、人でなしの朝倉義景が「その方が信長も無闇に手を出せまい」、覚恕も「あの者らは自ら庇護を求めてここに居るのです」と、女・子どもを盾にするつもり。お~、分かりやすい悪役らしいお言葉だ。

 ここで、足利義昭が両軍に和睦を勧め、その結果、朝倉浅井は冬の雪が道を閉ざす前に帰国できてしまった。「はあ~、まるで公方様は朝倉浅井を助けておるようじゃ」と信長は怒り心頭。「のう?十兵衛」と軍議の場で光秀に問いかけた。

回想の義昭:浅井が織田を裏切った時、信長はもう助からぬと知らせを受けた。その時に思うたのじゃ。これで、儂の幕府が出来あがると。お前は織田の中に深く入り込み、毒となれ。決して見透かされてはならんぞ。

 その時に光秀の脳裏に甦ってしまったのが義昭の言葉。つくづく現場の下々のことなんか考えない勝手な将軍様だよな。正直な光秀の表情には戸惑いがありあり、義昭はスパイに向いた人の人選もできない。もっとポーカーフェイスができる人材はいなかったのか。

 まあ、信長は、考えの浅い義昭の企みなんか最初から分かってたと思う。だから、義昭に分からせるために、その代理人光秀を締めあげる。

信長:答えよ、十兵衛。(光秀の前に来て、顔を覗き込む)

光秀:(喉を詰まらせつつ、ようやく)公方様に限って、そのようなことはございません。

信長:そうか、お主が言うのであれば間違いなかろう。

光秀:はっ。

信長:(座に戻り)これで、気の煩いもなく比叡山の俗物どもを一掃できるわ。延暦寺に書状を送りつけよ。この先、我らに従うなら所領だけは安堵してやる・・・が、そうでなければ皆殺しにすると。その時は十兵衛、お前がやれ。これは見せしめでもある。我らに刃向かう者は、女・子どもとてひとり残らず、なで斬りにするのじゃ。(息を呑む光秀)

藤吉郎:殿!そのお役目、このサルにお任せくだされ!(ひれ伏す。藤吉郎を見る光秀)

信長:ふん。ならばお前ら二人でやれ。ただし、しくじればお前たちの命も無いと心得よ。

藤吉郎:はっ!(ひれ伏す。後ろで固まっている小一郎)

 藤吉郎は「寺には逃げ込んだだけの者がたくさんおる、せめてその者らだけでも」と思ったと小一郎に説明。イコールそれは信長の命に背くことだが、「兄者にできるのか!」と聞く小一郎に、藤吉郎は「分からぬ」と・・・今作の秀吉は天使だからなあ、後先考えずに言ってしまったらしい。

 しかし、やはり逆らうことなどできない、だから「こたびは儂を助けんで良いぞ。その代わり、お前には大事な役目を果たしてもらいたい」として小一郎に頼んだのが、先を読んでの宮部継潤の調略であり、つまりは姉ともの説得だった。

 まだ姉川の戦いでようやく人を殺した小一郎が、虐殺の場にいてはいけないと藤吉郎は考えたのかもね、弟思いの天使だから。もしかしたら、自分が信長に逆らうことになっても、自分なら信長は殺せないとか、小一郎が生き残ってくれればとか、少しは計算したか?いずれにしても、小一郎が離れている方が、共倒れは避けられる。

 結局、藤吉郎は比叡山にいただけの弱者を手にかけずに逃がす。怯える幼子の手を取り「案ずるな、必ず仏様がお守りくださる。さあ、早く逃げるのじゃ」と声をかけ、扉を開けた。ドラマの準主人公はそうでなくちゃ。

 そして、一時は切腹を申しつけたものの、信長は命に背いた藤吉郎を許すことになった。小一郎が宮部継潤の調略に成功し、こっちの命は果たしたからそれで許してと懇願。それでも、それとこれとは別だと跳ね返されそうなところで、継潤が信長に対し、藤吉郎を大いに擁護したのだ。

宮部継潤:拙者はかつて比叡山延暦寺に身を置く僧でございました。こたびの叡山攻めで木下殿に命を救われた者の中には、馴染みの者が大勢おりました。この者たちと共に、生きてみたいと思うたのです。

 この言葉を聞いた信長は、藤吉郎に「こたびだけだ。サル!二度と儂に、今日のようなことを言わせるな」と言った。すかさず殿に「申し訳ござりませんでした!」と謝った藤吉郎は、命拾いして良かった。継潤としても、織田方に寝返ったのに窓口担当者が消えたら困るだろうからね。

 でも、小一郎が付いているし、何だかんだ助けてもらえそうなのが藤吉郎だ。安堵の息を吐く小一郎を、光秀が見ていた。義昭が欲していた彼ら。羨ましいのだろう。

やっぱり気の毒、ナイーブ光秀

 一方、虐殺をやるしかなかったのが光秀だったと思う。今作の明智十兵衛尉光秀は「麒麟がくる」の主人公十兵衛とは違い虐殺を遂行した。とうとう刻限になって「参ろう」と藤吉郎に言う際、動揺して肩で浅く息をしていた光秀。そして実行後、亡骸で埋め尽くされた本堂に佇む光秀の背中は痛々しかった。

 藤吉郎に「覚恕は」と問われ、「どこにもおらん」と答えてゆらりと振り返った光秀は、返り血を浴び歩行もガクガクとどこかおぼつかなく、気を失いそうにも見えた。

光秀:信長様の目は欺けん。こうするしかないのじゃ。こうするしか・・・。

 心を病んだ様子の光秀。こんなことを自分にさせたのは義昭なのに、義昭にまで「何という事をしたのじゃ!人の所業とは思えぬ。光秀!いつからそのような外道に成り下がった!」と責められたのは気の毒だった。

 光秀は「申し訳ござりませぬ。しかしながら信長は、我々を疑うておりまする」と、義昭との約束を守るためには従うしかなかったと説明した。しかし、そこでの義昭の返答が、おい!今更何をとぼけているんだ!と突っ込みたくなるような代物。スパルタパワハラの信長も嫌だけど、義昭みたいにすっとぼけた上司は嫌だ~。

義昭:儂のせいじゃと言うのか?儂のために、罪なき者の命まで、数多奪ったというのか。(泣く光秀)やはりお前を織田に送ったのは間違いであった。儂の元に戻って参れ、光秀。(去る。涙が止まらない光秀、畳に突っ伏す)

 義昭の元へ戻る気でいた光秀だが、信長は「こたびの比叡山攻め、ようやってくれた」と光秀を労って恩賞に近江国志賀郡を与えると言い、光秀をハッとさせた。光秀は坂本城を築城、城持ち大名になった。これが一時的には光秀の救いになったのだろうな、義昭の下に帰るのも止めだ。

 光秀が城を築き始めたのを聞いた義昭は、「偉くなったものだ」と分かりやすく嫉妬して例の藤戸石に斬りかかり、器の小ささを見せた。光秀は自分なんかを拾ってくれたと思う自己評価の低さが元凶で、ボンクラ上司に捕まっちゃったんだと思うのだが、自己肯定感の低い人がDV傾向のある奴に捕まるのと似てるよね。

 今までになくナイーブな今作の光秀は、「どうする家康」の泣き虫家康張りに泣いていた。これからも義昭と信長の間で振り回され、メンタルのバランスを欠いていくのか。心の負担が鬱積していき、その先に見えてくるのは・・・ということか。

戦場で上司を囲み、慰める飲み会。不参加だと・・・怖い怖い

 オープニングで、遠藤直経ら浅井側の戦死した重臣の名を挙げて「わしが死なせたようなもの」としょんぼり悔やむ夫の浅井長政を、腹の座ったお市様が叱咤激励していた。それほどの勇者たちは浅井のために散ったことを悔いてはいないだろう、なのに殿が悔いたら浮かばれない、死を無駄にしてはならないと。

 言われた長政は、信長がなぜこんなに強くなったのか理由が今、分かったと返答。そうやってお市が支えていたからだと。

 魔王信長に対抗する普通の人、という印象が長政にはある。が、信長もまた、普通の人なのだと言いたいのか・・・引っ込みがつかなくなった普通の人にしては、織田信長という張りぼては大き過ぎるけどなあ。

 小栗旬が演じる信長は、「どうする家康」の岡田准一の魔王信長と異なり、北条義時のように強いリーダーという役割を精一杯演じているパターンなのだろう。結局はリーダーはそんなものなのかもしれない。

 小栗信長には「弟」という弱点もある。今また、可愛がっていた妹のお市の方が、離縁して戻ってくることもせず敵方へと自ら離れた。その寂しさを理解している家臣たちが、こぞって酒肴を持ち込んで主を慰めようとしていたね。

 (戦場真っただ中の横山城で、既に奪取したとはいえ大丈夫?そんなに皆で酔っ払ってて。それに、浅井側との戦闘で、城は血まみれ死者だらけじゃないのか?大掃除したのか?)

 心が離れている光秀は、宴会にいなかったな。ああでも、上司を囲む飲み会に参加しないと点数が下がるみたいなのは、やっぱりヤダな。え、ちょっと待て。飲み会に不参加だったから、光秀は比叡山で試されることになったのか💦 後の家臣の追放を見ても、信長は結構根に持つタイプだもんね。

泣きの宮澤エマ、面目躍如

 主役小一郎は、今回、比叡山の焼き討ちに参加せず、姉ともの説得に向かった。信長に命じられた宮部城の宮部継潤調略にあたり、相手が藤吉郎に出した条件は「お手前の子を儂に下され」「近しい身内の子で構わぬ」だった。

 つまり、子のいない藤吉郎は(小一郎もだね)、姉の子である甥・万丸を宮部側へ養子に差し出す必要に迫られたのだった。養子と言う名の、人質だ。

 案の定、ともはそう易々とは賛成しない。鎌を持って弥助を追いかけ、「離縁じゃ!万丸を捨てるぐらいならあんたを捨てる!」と宣言。この調略がうまくいけば多くの者が助かる、と言う小一郎にも「それが何じゃ!万丸に辛い思いをさせてまで、多くの者のことなんて考えられん!」と言い放った。

 その時、小一郎が言葉に詰まっていた。人たらしでも敵わない姉ちゃん。

小一郎:宮部殿は立派な御方じゃ。万丸のことを大事にしてくださるはずじゃ!

とも:浅井様だってそうだったではないか。でも、とうとう織田を裏切って、お市様と信長様は袂を分かつことになってしもうたではないか!私は、死んでも万丸を手放さん。

 これを言われたら仕方ない。まだ頼りない幼い長男だし、簡単に差し出せる母親などいないだろう。この万丸が将来、秀次になると思うと、こんなに幼くして寂しい運命が始まってしまったのかと余計に悲しくなって見てしまった。ともの涙を見れば、どうしたってもらい泣きするし。

 演じる宮澤エマと言えば、今作と同じ脚本家の「おちょやん」の栗子さんも良かったが、「鎌倉殿の13人」で非業の死を遂げた頼朝の弟・全成の妻、実衣を思い出す。北条政子の妹でもある実衣は、処刑されてしまった夫の全成の最期の様子を聞かせてほしいと言い張り、政子らが止めるのも聞かずに涙涙で話を聞く。その時の涙の演技は忘れ難い。その時のブログでも「圧巻」と書いた。

toyamona.hatenablog.com

 文句なく泣き演技のうまい宮澤エマの、ここは見せ場だ。これをまた、夫の弥助役の上川周作がアシスト、二人で泣かせてくれた。

 ともの説得を任された小一郎に、弥助は「最後にはきっと分かってくれるはずじゃ。お前の姉様は肝の座ったおなごじゃから」と協力的だった。これは大きい。そして、ともと会った小一郎は、万丸を手放さねばならない辛さがどれほどか考えたが、子がいないから「真の辛さなど分からん」と言った。正直すぎないか?

 でも、家族みんなが一緒に暮らすことの良さなら分かる、だから「姉様と万丸もできれば一緒にいさせてやりたい」と・・・ここで、黙っていたともが反撃を始めた。

とも:そう思ってんだったら何でよ?

小一郎:儂らは、もう百姓ではない。侍なんじゃ!

とも:でも、何でうちじゃなきゃいけないの?!何でうちの万丸じゃなきゃいけないの?!

小一郎:(決然と)儂ら家族は、守られる側ではなく、守る側になったのじゃ。一人でも多くの者が助かる道を選ばねばなりませぬ!人質など無くとも、みんなが笑って生きられる世を、いつか作ってみせまする。儂らはそういう侍にならねばなりませぬ。(ともの目から涙があふれる)

弥助:(自分も涙を流して、泣く妻に)儂は、侍になってこれまで何をしたということも無い。じゃが、そんな儂らの子が、多くの者の命を救えるのかもしれん。儂らの万丸が、大きな役目を果たすのじゃ。誰にでもできることではない。その姿を見守ろうではないか。(とも、いやいやとかぶりを振る)

小一郎:万丸のことは、ずっと見守り続けまする!どうか分かってくだされ!(弥助とひれ伏す。ともは、顔いっぱい涙に濡らしながら、顔を横に振っている)

 すごいよ宮澤エマ。また見ていてボロボロと泣いてしまった。猫と一緒にするなと言われるのは分かっているが、うちの猫型の息子クロスケを養子に差し出せと言われたら絶対に無理だったな。どうしてもと言うなら、一緒に付いていく。

 しかし、リアルではどうだったんだろう。秀吉は、そんなに家族の感情を慮っただろうか。今作では家族思いだが、リアルでは姉夫婦に何の説明もなく、長男を攫うように宮部城に連れて行ったりしたんじゃないのかと思ってしまう。それを右往左往して宥めようとする小一郎。秀吉のような弟を持ち、ともとしたら災難以外の何ものでもないね。

 宮部継潤に息子を差し上げて数カ月後、とも夫婦は宮部城を訪ねる。里心が付くのを心配してか万丸には会わず、宮部継潤と面会する場面も泣けたよね。

 手作りの腹巻。「あの子はお腹が弱い子なので」と持参し託すのだが、ともは「それから」「それから」が止まらない。

 弥助が「もうその辺にせえ」と止め、母心を気遣った宮部継潤が「ご案じなさいますな」と笑顔で応え、「我が家に来てから三月。万丸は一度も泣いてはおりませぬ」と告げた。時折寂しそうな顔は見せるが懸命に耐えていると・・・小さいのにガマンしているんだねえ😢ママに「一人でも泣いたらだめ」って言われてたからね。うう😿

 「さすがわしらの子じゃ、えらいの」と弥助が言い、夫婦は滂沱の涙。宮部継潤にともが「どうかよろしくお頼み申します」と頼み、継潤が「しかと、お引き受けいたしまする」と応えるそばで、無言で見守っていた小一郎と藤吉郎も深々と頭を下げていた。

 その時、かなり唐突に現れたのが小一郎の謎多き妻・お慶。雪の中、笠をかぶり小さな包みを持って庭に立っていたのだが、立ち去った。・・・どういうこと?小一郎を追いかけてきたの?

継潤のドンペイは比叡山高校出身

 ところで、宮部継潤役のドンペイは名前が印象的なので朝ドラやら大河やらで気になっていたが、こんなに良い役ってこれまで記憶にない。昨年の「べらぼう」は悪どい金貸しの検校だったよね。

 インタビューによると、彼は本当に延暦寺の比叡山高校で学んだとか!そりゃ、元々は比叡山のお坊さんを演じるにはうってつけだ。般若心経も唱えられるから、撮影では全部唱えたんだそうだ(午後4時台 日曜美術館放送開始50年・秘蔵映像と名作の数々 | 午後LIVE ニュースーン | NHK)。

 同校出身の有名人としては、林遣都が俳優では名が挙がっていたが、ドンペイは無し(比叡山高等学校出身の有名人 | みんなの高校情報)。大河ドラマには8作も出ているそうだから、彼の母校もそろそろ認識してあげてほしいね。

(ほぼ敬称略)

 

【豊臣兄弟!第15回「姉川大合戦」ネタバレ感想】生首GPS策再び?小一郎は戦国の現実を嚙みしめる

松下洸平の狸家康が笑える

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第15回「姉川大合戦」が4/19に放送された。戦国大河ファン待ってましたの姉川合戦、過去作「どうする家康」の頼りない松潤家康が岡田准一の魔王信長に心身ともに振り回されたのを踏襲したかのように、今作でもわざと遅参の家康が信長にメンタルコテンパンに遭う展開。今後はこの流れが定着していくのだろうか。さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

第15回「姉川大合戦」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は朝倉・浅井に反撃するため、義昭(尾上右近)や家康(松下洸平)に援軍を要請。だが、内心では信長の失脚を願う彼らの動きは鈍い。一方、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は、市(宮﨑あおい)を逃がすため時を稼ごうとするが、市の思いは長政(中島 歩)とともにあり、策は実を結ばない。そんな中、信長は北近江へ進軍を開始。姉川を挟んで朝倉・浅井軍と対峙し、ついに両軍は対決の時を迎える。(第15回「姉川大合戦」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 今作の家康は腹黒い。ほぼ対等ぐらいの気持ちで結んだ清洲同盟の相手(信長)だったのに、あれよあれよと大きな存在になっていくのが面白くなかったんだね。自分の三河の軍勢が無ければ浅井&朝倉軍には織田軍単独じゃ勝てないよな?と石川数正にも愚痴をこぼしちゃって、本当に嫌がらせで遅参したんだね・・・マジか。

 実直そうな数正だから、マジかって思ったろうなあ。その積み重ねが後々響くのか。

 家康は、さすがに「お~!徳川殿よく来てくださった」と信長が迎えるとは思っていなかったらしい。そんなお人好しは木下藤吉郎秀吉ぐらいだ。悪い予感からか、家康は家臣を押しとどめ、ひとりで「我らが来たからには、朝倉・浅井などおそるるに足りず・・・」と信長に参陣の挨拶をしようとした。

 そこで殺気に満ちた前田利家、佐々成政らに取り巻かれて「他に何か申したきことはあるか」と信長に問われた家康。震えて「誠に申し訳ござりませぬ!二度とこのようなことは致しませぬ!」とスライディング土下座の勢いで、信長に完全屈服することになった訳だけど・・・松下洸平の狸家康、断った煮干しも口に突っ込まれてなかなか面白かった。

 面白い家康と言えば、「真田丸」の内野聖陽版家康の「伊賀越え」が最高だけれど(未だに笑いがこみ上げる)、今作の松下家康も、本能寺の変でのリアクションからの伊賀越えでの演技に期待している。堺でバンザイしそうだよね。

遠藤直経、キター!

 さて、今作では遠藤直経がキャスティングされたので、今回の姉川の戦いでの活躍を楽しみにしていた。「らんまん」で寿恵ちゃんにちょっかいを出していた役を演じた伊礼彼方が理想的な熱い演技で、今後、彼を遠藤さんと呼んでしまいそうだ。「利家とまつ」の温水洋一の直経は優しい印象があったから、失礼ながらミスマッチだなあと思ってしまったもんね。

 あれは、忘れもしない2011年のこと。甲賀の忍者宿に家族と猫を残していたので、小谷城と姉川の戦場跡地を駆け足で見て回った。遠藤直経が信長に肉迫しながらも命を落としたのは、現代でも残る遠藤塚の位置を見ればわかる。春休み中だったがまだ小雪が降り、寂寥感で胸いっぱいになった。

 ウィキペディア先生には(遠藤直経 - Wikipedia)、今回の話の展開と似たようなことが書いてある。

信長公記』では、竹中重治の弟の竹中久作(重矩)が合戦でとった8人の武将首のなかに直経の首があり、前々から彼の首をとると豪語していたのだと、簡単に書かれている[15]

『太閤記』では、浅井軍が総崩れとなって敗れた後、直経は首実検の最中に信長の暗殺を謀ったという話になっており、床几に座る信長の近くまで進み出たときに(太閤記では竹中半兵衛の子とある)竹中久作に見抜かれてしまって、剛力の久作に飛びかかられ首をかき斬られた。『太閤記物語』では、信長は久作の手柄を絶賛する一方、「敵ながらも天晴の勇士かな、喜右衛門尉、されこそ無念なりけめ」と直経を哀れんでいる。

 今作では竹中半兵衛の弟・久作は出てきていないので、それを小一郎と藤吉郎兄弟の手柄にしたのだね。陣中の信長に、直経が偽りの浅井長政の兜首を届け暗殺する心づもりが、敵方だと気づいた木下兄弟の連係プレーで利家ら馬廻衆が動き、遠藤の策は阻止された。

 これ、今作の桶狭間の戦いでの織田軍の生首GPS策を逆手に取ったのか?と見ていて思った。敵将長政の首を取ったと呼ばわっていたら、信長の陣地にはかなりスムーズに近づけるはずだ。

 桶狭間の生首GPS策は、義理の兄弟として信頼を得た長政ならば、信長本人から話を聞いていたかもしれないし。きっと喜んで披露しただろう。それを長政側近の直経が聞き知っていても不思議はない。というか、最後に視線を交わしていたあの様子だと、長政と練った策なのだろうね。

 桶狭間での生首GPS策についてはこのブログでも書いた。

toyamona.hatenablog.com

 しかし、今作の小栗信長の場合、打ち取られた直経に更に槍を突き立て足蹴にし、『太閤記物語』にある「敵ながら天晴れ」どころではなかった。信長もお市が気になって内心は涙目で余裕が無いからか、殊更にあんな振舞いをしたのか。

 それにしても、直経に何度も顔を合わせていた信長の方が直経の接近に気づきそうなものだが・・・兜をかぶっていると誰が誰だかすぐには分からんか。だから、前回の金ヶ崎の退き口で、あり得もしない長政と直経の浅井軍との戦場でのご対面場面が木下兄弟には用意されていたのかね。小一郎らの脳裏には、直経の鎧兜姿がまだバッチリあったことだろう。

予算にもメリハリ?姉川は本気のNHK

 前回の金ヶ崎の退き口の戦のショボさには不満を抱いた大河視聴者が多かったようで、どうしたNHK!とSNSでは不満も見えた。

 しかし!きっと限られた予算をどう使うかでNHKも頭を悩ませていたのだろう。まさか、姉川合戦なのにショボいとは言わせられない。そんなことをしたら、ファンが離れかねない。だから前回は抑えるしかなかったんだよね。予算配分のメリハリの問題ね。

 ということで、今回は素晴らしい合戦を見せてもらった。徳川軍が横やりを突き最後に戦いの流れを変えたところなど、ゲームみがあったね。死闘を尽くした両軍の多くの兵士が倒れて姉川が血に染まり、小一郎も「地獄じゃ」と絶句、その地に「血原」と呼ばれる場所が出現した話を紀行でも聞けば、行って手を合わせたくなるというものだ。

 菅田将暉が義経を演じた「鎌倉殿の13人」での壇ノ浦の戦い後の浜辺を思い出す。波打ち際に延々と倒れる兵士の遺体、あの時の菅田将暉の空虚な笑いがこの上なく良かった。

 お市の方という存在が敵方にあったからとはいえ、現代の大河は戦いを礼賛する一方でなく、ポリコレ(political correctness)を忘れず、ちゃんと主人公小一郎が抵抗して悩む。信長に投げ飛ばされていたが。

織田信長:鉄砲が揃い次第、小谷攻めじゃ。浅井を打ち滅ぼす!

一同:はっ。

小一郎長秀:恐れながら、迂闊に攻めればお市様の身が危のうなりまする。(出てきた信長に投げ飛ばされる)

信長:それがどうした。

佐久間信盛:この、たわけめが!

丹羽長秀:そのようなこと、殿も承知の上でのことじゃ!

柴田勝家:浅井殿はお市様を離縁し、織田に帰そうとしたのじゃ!しかしそれを、お市様自身が拒まれた!(驚く小一郎、略)

信長:市が浅井を選んだのじゃ。であれば、わしももう容赦はせぬ。

小一郎:お待ちください!金ヶ崎で我らを救ったのはお市様でございまする。きっと、お市様は浅井に残り、いざという時にまた殿をお助けしようとお考えなのでござりましょう!殿!ここはお市様のためにも、いま一度浅井との和睦の道を!

 信長と市を戦わせたくないからと戦を引き延ばし、頑張る小一郎。硝石が足りないというのも口実だったと後に分かる。

 しかし、浅井に呼応して立ち上がった六角が帰路の信長を襲撃、庇った光秀が負傷していた。それを引き合いに、信長は「今ここで和睦など持ち掛ければ浅井に屈したのも同じこと。六角のような輩が、次々と現れよう」と、聞く耳は持たなかった。小一郎のようにお花畑の夢物語を語っていれば滅亡するからね・・・。

 「わしの言葉は力を無くし、誰も従う者など居なくなる」という信長の状況判断は正しく、将軍義昭も「わしは信長の強さを信じておる」とか言って援軍を出さず、家康だって様子見で遅れるような真似をし始める。何より、浅井の離反が何よりの証拠。信長は追い詰められているのだ。

信長:夢の終わりじゃ。そうならぬためにも浅井を討つしかない。世に知らしめるのじゃ。我らを裏切った者の末路は、地獄であると。

 ここは信長の正念場。いくら、お市の件で内心は苦しんでいても戦うしかない。でも、城下を焼くってずいぶん小谷城から離れてるよね?

 その兄のためらいを見透かすように、戦場で鳴り響いたお市の笛の音の演出が良かった。桶狭間の戦の出陣前にも信長が舞っていた幸若舞の敦盛。それを吹くのだから、来い来い、攻めて来いと信長には聞こえたはずだ。

 風に乗り響きわたる笛の音を合図にするかのように、信長は横山城を攻めよと言った。いやいや、お市の肝の座り具合にはしびれるなー。

木下兄弟も生き延びねば

 開戦前の「裏切り者には地獄を見せる」という信長の言葉に、沈みきった岐阜城の軍議の場。そこに、眩しい輝きをもたらしたのが戻ってきた藤吉郎だった。昇る太陽のように、「その御役目、このサルめにお任せくだされ!」と満面の笑みだ。

 えー、そんなに跳ねて大丈夫?1週間以上も飲まず食わずで寝ていたんだよね?栄養満点の点滴でもしてた?

 「申し訳ござりませぬ!少し寝坊してしまいました」と頭を下げ、藤吉郎は信長に浅井攻めの具体案を半兵衛の力を借りて具申した。小谷城は堅牢な山城だから力攻めは禁物、まわりの根城を調略で寝返らせていくと。だが、横山城は多くの兵が詰めているので攻め落とすと。

 信長は「なるほどのう、長政ならば見捨てぬ。横山城を救うため、城から出てこよう」とその策に乗った。すかさず藤吉郎は「はい、横山城は浅井をおびき出すための格好の餌でござりまする」と、まとめた。

 この時に、藤吉郎が視線を送ると図ったようにサッと懐から地図を出してみせる竹中半兵衛がコントのようでおかしかった。どうして必ず猫とネズミの絵を描きたいの、半兵衛~。小谷城に猫、横山城にはネズミだから、分かりやすいっちゃ分かりやすいけどね。

 信長は藤吉郎に、朝倉の援軍が来る前に決着をつける、直ちに取り掛かれと命じた。が、藤吉郎は浅井を降伏させるために調略に時間をかける気でいた。それなら信長も納得するだろうと。でも、半兵衛は「時をかけたとて浅井殿が降伏するとは到底思えませぬ」と言った。そんなスタンスを利家も見透かしていたよね。

 そう、戦をあまり引き延ばすようでは、自分たちが信長に疑念を持たれかねない。

 とうとう戦場に臨み、覚悟を決めた藤吉郎が「小一郎。今ここからは生き延びるために戦うのじゃ」と小一郎に言った。これでスイッチが切り替わる藤吉郎であることは、初回からそうだったよね。でも、まだそれができない小一郎・・・。

 しかし、小一郎は、とうとう自らの手で人を殺した。兄者藤吉郎を守るために。藤吉郎はまだ足に重傷を負って治ったばかり、動きもいつもよりは鈍い。だから小一郎が守らねばね。戦国を生き残る為だよ。彼の哀れな興奮が、血まみれの刀を手放せない様子に現れていたね。

 今回、登場した藤堂高虎にはほっこりさせられた。姉川が初陣だったとか、まだ十代半ばなんだけど、巨漢だ。まさかの高虎の初陣が見られるとはね。今後の活躍は言うまでもない。楽しみだ。

「真田丸」の大助&お梅、真田きょうだい

 目を引いたのが、お市の方を守って殺された小姓で、たぶん柴田勝家の間者。印象的な演技でどうも見たことがあるので調べたら、2016年「真田丸」で主人公の息子・大助を演じた浦上晟周という役者さんだった(浦上晟周 - Wikipedia)。

 私が見た時点では、まだウィキペディア先生に「豊臣兄弟!」ご出演が記録されていない。「真田丸」からもう10年にもなるのか。今もまだ初々しい少年のようだ。

 大助(と呼んでしまう)は、お市を守るために彼女を「織田への忠義を忘れて、身も心も浅井にからめ捕られた哀れなおなご」と呼んで罵倒する。哀れなのは使命に身を捧げ、死んでいく名もなき大助だよ・・・心痛む場面、大助の名演技だった。

お市:打ち明けねばならぬことがございます。私は、兄に・・・。

浅井長政:言うな。他の者に知れたら、そなたの命はない。(周囲を気にする)

宮部継潤:(廊下から)殿、織田の間者を捕らえましてござりまする。

(庭に捕らえられた男。雷雨の音)

浅井久政:(文を掲げて)こやつ、信長に宛てた文を忍ばせておった。我らの寝返りを織田に知らせたのもこやつだそうじゃ。(座り込む、お市の侍女お千代)

間者の男:信長様は、裏切り者を決して許さぬ。たとえお身内とて同じこと。織田への忠義を忘れて、身も心も浅井にからめ捕られた哀れなおなごよ!

(前に出ようとするお市。その手をつかみ、止める長政)

長政:(小声でお市に)あの者はそなたを守ろうとしておるのじゃ。無駄にしてはならぬ。

男:信長様を裏切ったこと・・・あの世で悔やむがいい!

(久政が無言で遠藤直経に合図を送る。直経が刺し、口から血を溢れさせ死ぬ男)

長政:(呻くように)もう、後戻りはできぬ。できぬのじゃ。

 この後、小谷城(に潜んだ間者)からの連絡が途絶えた柴田勝家が苛立つ場面があった。いかに勝家がお市のことを心に掛けていたのかが分かる。そのための大助だったのだ。

 大助とオープニングで名前が並んでいた女優さんも見覚えがある。この粛清の場面でへたりこんでいたお市の侍女。こちらも実は「真田丸」で真田信繁の娘お梅を演じていたと、ウィキペディア先生で確認できた(大出菜々子 - Wikipedia)。

 大助とお梅、真田きょうだいでご出演だったのか。キュンとくるなあ。

お慶は杉谷善住坊に関わりがあるのか

 光秀が、足利義昭の指図通りに信長の配下になっていた。「これよりは殿のため、身を賭して励みまする」という挨拶の通り、岐阜に戻る道中で身を賭して信長を庇ったとか。その時に傷を負い、左腕を吊っていた。これは、織田方に良い滑り込み方をしたね。

 つまり、杉谷善住坊の狙撃を防いだのが光秀だったのかな?ほぼ同時期に2~3日間家を空けたお慶の行動が、皆さん同様かなり気になっている。

 今作では、お慶がお堂で密会していた村川竹之助が善住坊なのかなあ、頭の中には「黄金の日日」の川谷拓三のイメージがかなりしっかりあるから、シュッとした彼が善住坊だと言われてもなあ、なんて。

 もし、お慶が村川竹之助を助けて間接的にでも信長狙撃計画に関わっていたとしたら、小一郎には驚天動地の大ごとだ。お市が浅井の動きを小豆で織田に知らせたように、味方への裏切り。露見すればただでは済まない。(お慶自身がスナイパーだったらカッコええなと思うが、そこまでは望めないか・・・。)

 お慶が「ご無事にお帰り下さい」なんて気弱なことを小一郎に言い出したのも、村川竹之助が潜伏中→捕縛されて心細くなっていたのか?

 今後、お慶の元夫の両親も出てくるとか。奥田瑛二に麻生祐未と、かなりの大物だ。ふたりは、旧斎藤家家臣で没落して近江と美濃の国境にある宝久寺村に住んでいる。近江と美濃の国境ってことは・・・村川竹之助を匿っていた可能性がありそうな場所だ。ドキドキ。

新キャストに安心の田中美央やら、知った顔

 さて、新キャストには昨年「べらぼう」にもお奉行様で出ていた、「おんな城主直虎」で奥山六左衛門、「どうする家康」では悲劇の岡部元信だった田中美央がご出演だ。続けての大河じゃ嬉しいだろうな。私も嬉しい。なんか見ていると安心する。今作の役柄上、忍足修吾との別所兄弟は分かれての対応を迫られ、安心もしてられない様子だが。

 荒木村重の妻だし役の山谷花純は、「鎌倉殿の13人」の若狭局がすーごく良かったよね。こんなきれいな娘がなぜ佐藤二朗の・・・という疑問はあったが。だしは「軍師官兵衛」の桐谷美玲が出てくるだけで艶やかで印象的だったが、今作のだしはさらに力強く、キリッと演じてもらえそうだ。

 それに、「ばけばけ」でご出世の濱正悟が冷静で実直な毛利輝元役なんだそうだ。「鎌倉殿」では水鳥の羽音に驚いて逃げる平維盛だったよね・・・おめでとう、このまま伸びて行ってほしい。

(ほぼ敬称略)

 

【豊臣兄弟!】#14 小栗信長&池松藤吉郎が演技巧者の実力発揮の「金ヶ崎の退き口」編!とってつけた「白紙の手紙」では主役小一郎が浮かばれない

白紙の手紙に包まれ、小豆が登場

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第14回「絶体絶命!」が4/12に放送され、織田信長の最大のピンチ・対朝倉浅井の金ヶ崎からの撤退戦が描かれた。さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第14回「絶体絶命!」◆◇あらすじ◇◆

浅井長政(中島 歩)が朝倉方に寝返ったと知った信長(小栗 旬)は激高。しかし藤吉郎(池松壮亮)の機転で冷静さを取り戻し、退却を決意する。藤吉郎はわずかな手勢で、信長が京に戻るまで朝倉軍を食い止める「しんがり」を担うことになり、小一郎(仲野太賀)は、その中でも最も危険な役目を引き受ける。兄弟の命がけの撤退戦が始まる! その頃、京で長政の謀反を知った義昭(尾上右近)は、ある決意を固めていた。(第14回「絶体絶命!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 虚実はともかく、あまりにも有名な、お市の方から兄信長に送られたという陣中見舞いの小豆エピソード。両端を結ばれた包み方から「袋のネズミ」と読み解いた織田軍が、正面を朝倉軍、背後を浅井軍に襲われる急場を辛くも逃れて撤退する話は、歴代戦国大河ドラマでも屈指の見せ場であり、何度も描かれてきた。

 このエピソード、何度も描かれたという事は、つまり、各大河がどうオリジナリティを出すかが見どころ。小豆のエピソード自体は、元々は物語上創作されたものらしいから、これまでの時代考証の先生は何とか避けようとしていたとか。でも、ドラマとしての面白さを優先したら、やっぱり無いとつまらんもんね。

柴田勝家:浅井長政、謀反にございます!

織田信長:有り得ぬ。朝倉の流した偽りじゃ。

勝家:小谷城では皆が戦支度をし、今にも出陣する構えだと。

信長:それは恐らく我らに加勢するためであろう。フッ、長政め。あれほど動くなと申したのに。(おめでたい信長)

勝家:(和紙の包みを持ってくる)お市様がこれを。陣中見舞いの小豆とのこと。

信長:(包みを右手に)見よ。真に浅井が寝返ったのなら、このような気の利いた物を送ってくるはずがあるまい。

竹中半兵衛:その小豆は我らのことかもしれませぬ。前と後ろを塞がれ、まさに袋のネズミじゃ。

木下藤吉郎秀吉:お市様は、敵に気取られぬようにそのような形で殿の窮地を知らせようとされたのでは。

信長:(右手で袋を握りつぶし、打ち捨てる)こじつけじゃ。考えてもみよ。今や市は長政を慕っておる。もし、長政が裏切っておったとしても市がそのことを儂に伝えるはずがない。

木下小一郎長秀:御免仕る。(進み出て、小豆の包み紙を広げる。「市」とのみ、末尾に書いてある)これは・・・文にござりまする。

回想1の市:浅井殿に文をしたためようと思うてな。筆を執ってみたものの、上手く書けぬのじゃ。(広げられている白紙)

回想2の市:殿や子どもらといると温かい気持ちになる。

回想2の小一郎:もう、白紙の文はご無用にございますね。

回想2の市:そうじゃな。

小一郎:(信長に包み紙を見せて)この白い文は、何も書くことができぬお市様の苦しみそのもの。浅井様謀反の証にござりまする!(信長は一瞥をくれるが視線を戻す)お市様は、織田と浅井のはざまで、胸引き裂かれる思いで、それでも殿をお救いするために命がけでこの文を託されたのでございます!そのお市様のお気持ちを無駄にしてはなりませぬ!ここは一刻も早くお逃げくださりませ!

 今作も小豆はちゃんと登場、オーソドックスにお市の方から戦地の信長に陣中見舞いとして届けられた。「袋のネズミ」の謎解きは軍師竹中半兵衛が担当し、藤吉郎も意味づけの援護射撃をした。

 ところが、信長がそれを「こじつけ」扱いで一顧だにせず打ち捨てた。そして今回の小豆は「袋のネズミ」らしく布袋に包まれていたのではなく、紙に包まれていた。

 それは、一応伏線として丁寧に仕込まれた「お市からの白紙の手紙」が肝になっていたからなのだが・・・小一郎とお市が交わした話に持ってくるためとはいえ、ちょい話のインパクトが弱く感じたなあ。

 白紙の手紙の意味がその場で武将たちが聞いてスッと分かるものでもなさそうだからか(視聴者は分かるけど)、それとも単に主人公のセリフを増やそうとしたためか。小一郎のセリフがこれでもかとクドくて、信長に斬り殺されないか心配になった💦失礼ながら、削りたい部分に打ち消しマークを付けてしまったよ。

 だが、この後、信長は悩んだ様子。すっかり新たな「弟」として甘い気分を向けていた長政の裏切りだったから、なかなか着地点が見いだせない。小栗旬の演技が、長政の謀反に心底驚愕して納得できずにのたうち回っている様子で、素晴らしかったよね。

信長:なぜじゃ・・・。

回想の信長:(長政の右手の火傷を見て)市のために、すまぬことをした。

回想の長政:ああこれしき、大したことございませぬ。

信長:なぜじゃ。(「麒麟がくる」の染谷信長のような言い回し)

回想の長政:この長政が、説き伏せまする。

信長:なぜじゃ。

回想の長政:義兄上・・・。

回想の織田信勝:兄上!

回想の長政:義兄上~!

回想の信勝:(背後から柴田勝家に斬られて倒れ)兄上・・・。

信長:なぜじゃ・・・なぜじゃ・・・なぜじゃ、なぜじゃ、なぜじゃ・・・長政ー!!(信長の背中を見つめる一同)

 信長の心象風景を見せる演出が良かった。「なぜじゃ」と、長政の謀反が信じられない気持ちが渦巻いて、膨れ上がる感じね。何しろ、亡き信勝の「兄上」まで混じるんだもの。いや~、小栗旬はやっぱりうまいよね。

 信長の乱心は、なかなか収まらない。

信長:直ちに兵を返し、小谷城を攻める。長政が首、この手で刎ねてくれるわ!

佐久間信盛:お待ちくだされ!それでは朝倉に背を向けることになりまする。

信長:(物を蹴る音)ならばまずは朝倉を根絶やしにするのじゃ。総攻めの支度を致せ!(怒りに歪む顔、正気ではない)

和田惟政:それでは敵の思う壺。ここはひとまず退くしかあるまい!

徳川家康:しかし、そう容易いことではありませぬぞ。朝倉浅井、双方の追っ手を食い止めながら退くのは至難の業。誰かが盾となり、時を稼がねばなりませぬ。

信長:(家康の首根っこをつかみ)逃げぬと言うておろうが~。(目が怖い)たとえ差し違えようとも朝倉浅井を滅ぼすまでは一歩たりとも退かぬ!!

明智光秀:織田殿。どうかお気をお静め下され!

信長:黙れ!(光秀を思い切り蹴倒す)公方の飼い犬ごときが儂に指図をするな!(刀を抜く)

勝家:(さえぎろうとする)殿!(蹴られる)

信長:こたびの事も、よもや公方の仕組んだことでは・・・(光秀に刃を向ける。目がおかしい)うん?

藤吉郎秀吉:殿~!(刀を抜き、自分の足の甲に突き刺す。驚愕する一同)

小一郎長秀:何しとるんじゃ!(信長も言葉を失う)

藤吉郎秀吉:申し訳ござりませぬ!このサル、うっかり傷を負ってしまいました!(信長、驚いて腰が砕けそう)これでは足手まといじゃ。素早く動くことはできませぬゆえ(刀を足から抜いて)儂がここに残りまする!(ひれ伏す。信長は驚きのあまり息もできない様子で、藤吉郎を見つめている)戦において、もっとも大事なのはいかに勝つかじゃ。しかし、その次に大事なのはいかに負けるかでござる。この戦は、残念ながら我らの負けにござりまする!朝倉の追っ手はこのサルが食い止めますゆえ、殿は、その隙に京へお戻りくださりませ!(信長、憑き物が落ちた様子)殿さえご無事なら、我らは何度でも蘇りまする!(歯をむき出してニカーッと笑う)

信長:(藤吉郎を見つめ、目に涙が滲む。溜息)はあ~。(刀を落とし、鎧を外して床に置く)京へ帰る。(藤吉郎に)二刻(とき)で良い。二刻たったらすぐに儂の後を追ってこい。

藤吉郎:はっ!

信長:京で宴の支度をして待っておる。朝倉の者どもがどれほどまぬけ面であったか、面白おかしく儂に話して聞かせよ。

藤吉郎:はっ、必ずや!

信長:ハ・・・(外した鎧を藤吉郎に投げ、皆に)引き揚げじゃ~!

 信長の「引き揚げじゃ~」が「出陣じゃ~」みたいな勢いだ。乱心も吹っ切れたね。これだけのひたむきな忠義心(愛だ)を藤吉郎に向けられたら、信長もグッとくるだろう。刀を己の足の甲に突き刺した藤吉郎を見る信長の目は、啞然からのフォーリンラブ。そこまで儂のためにするか、藤吉郎・・・てな感じ。

 この時の藤吉郎を演じる池松壮亮がまた、目の潤んだ(足が痛すぎるから涙目にもなる💦)子犬のよう。信長の方も、藤吉郎に胸をズギューンと撃ち抜かれてたから、信長&藤吉郎のふたりの世界💕が展開、主役の小一郎は霞んだ。

 まあ、仕方ないよね、藤吉郎がこの場の主役になっても。この自傷からの殿に訴える行為を小一郎がしたとする。だが、いくら本来はドラマの主役でも、小一郎がやったらキャラ設定がおかしくなるし、その場の空気も「出過ぎた真似を」と怒られそう。今作の藤吉郎は、特に天使のように純だから、これができて許されるんだよな。補佐役を主役に引っ張り上げようとしても、時代の本当の主役の輝きの前には敵わない。

 今回、天使がまだ人を殺せない弟のために、戦闘中にどんどん人殺しをしていた。なんだ、小一郎は必死の撤退戦のはずの修羅場でまだそんなに理性が勝っているのかと、ちょっと考えた。

見えた光秀の未来

 それにしても、激昂した信長に暴行された皆様、お気の毒に・・・勝家なんか、顔が映る間もなく、誰かと思ったら速攻で信長に蹴り倒されていたように見えた。この勢いで、光秀は将来折檻されることになるのだろうねえ。

 光秀もさ、正気を失って乱心MAXの信長に向かって、そのものずばり「気をお静め下され」なんて声をかけたもんだから、そりゃあねえ。カチンときて余計に信長は激昂したよね😅これこそ火に油、そういうところだよね。

 ドラマでフィクションとはいえ、藤吉郎みたいに相手の気を削ぐやり方ってなかなかできるものじゃない。とにかく今作も(「秀吉」「麒麟がくる」の十兵衛光秀を想定して言うと)、まじめな光秀には真似できない芸当なんだろうね。

 あ、そうだそうだ。小一郎が義昭と信長の仲を心配して光秀らに声をかけた時に、光秀は小一郎の頼みを断った。でも、それを京に戻って自分でやれというのは、「生きて帰ってこい」と言っているに等しく、その点は光秀の優しさを褒めておかないといけないね。

 光秀は、木下兄弟を「我がものにする」のを諦めた足利義昭に、逆に信長の家臣となって情報を流せと、スパイとなる事を命じられていた。でも、この調子でスパイが務まるのか?すぐに信長に見抜かれそうだよね。

 しかし、この流れで今作の本能寺の変は起きるのだね。黒幕は決まったも同然だ。

腹黒狸の徳川家康

 これまでこのブログではあまり触れてこなかった今作の徳川家康。お上品にひねくれて腹黒い感じがすごく良い。個人的に、演じる松下洸平の顔を見ると「光る君へ」の周明(ジョウミン)役が浮かんでしまい、そちらの世界に瞬時に誘われて道長やまひろを思い出し胸が熱くなっていたが、そろそろ徳川家康としての認知ができてきた。

 (しかし不思議だ・・・あさひ役の倉沢杏菜は、最初からあさひに見えていた。同じ「光る君へ」で藤原道長の次女妍子を好演していたのだが。将来の古狸家康と、天真爛漫あさひとの悲劇のカップリングを今から想像してしまう。)

 「どうする家康」の松潤家康よりも、こっちの松下洸平版の方が狸家康の若き日の姿として納得感があるのは、石川数正との会話で下々(藤吉郎ら)をクククと笑い、お上品な顔に隠された裏の顔を見せてくれているからだよね。

 ビジュアルは松潤は松潤だから美しい殿だったけど、それを消すためにどんくささを強調しているような面も感じられた。今作の松下家康の方がむしろ駿府の都会育ちらしくどんくささが無く、シュッとおしゃれに見えている気がする。

 そして、「どう家」のように「三河の領主として何とかかんとかギリギリでやってる家康」みたいな雰囲気もなく余裕がある(だから、どうしたらええんじゃー!と泣くイメージもない)。余裕が無いと裏の顔どころじゃない。古狸には、余裕が欲しい。

徳川家康:(藤吉郎が自ら足の甲を刺してしんがりとして残る機転を見せたため信長が撤退を決め、一同引き揚げることになり)木下殿。

藤吉郎:徳川様。信長様をお頼み申しまする。

家康:(数正を促し、包みを出させて藤吉郎に握らせる)当家に伝わる秘伝の薬じゃ。塗れば、痛みが和らぎまする。

藤吉郎:かたじけのうござる。

家康:ご武運を。

藤吉郎:徳川様もどうかご無事で。

(廊下を行く家康)

石川数正:危のうござりましたなあ。

家康:全くじゃ。木下めが名乗りを上げなければ、儂らがしんがりを任されておったやもしれん。そうなれば・・・恐らく生きては帰れまい。

数正:木下様様でございますな。

家康:あの薬は、せめてもの礼じゃ。効くと良いが。

数正:無理でしょうなあ。(小声で)ただのかゆみ止めでは。

家康:何事も念ずれば通ずるものよ。急ぐぞ。いつまでもこんな所にいたら、命がいくらあっても足りぬ。

 この余裕。せめてもの礼に、効かないだろうと考えるかゆみ止めを藤吉郎に渡して去る家康。「生きては帰れまい」と考えているのだが、「何事も念ずれば通ずる」はずだからと。

 実際、今作の藤吉郎は、家康が意図しないところで家康の言葉に導かれ、ここまで信長を信じて出世したのだ。念ずれば通ずるを体現している。

 それでこの後、木下兄弟は絶体絶命のはずだった虎口を脱し、京に戻ってきた。生きて戻った想定外の彼らを前に、狸家康も空恐ろしいと思い始めたようだったね。この恐怖が、思わぬ方向に狸家康をも転がすんだろう。面白い。

戦国時代の「かゆみ止め」は?

 ところで、戦国時代のかゆみ止めが気になり、AIに聞いてみた。当時は、かゆみ止めだろうが傷薬だろうが現代のようには厳密な違いはなく、皮膚の不具合を除くという点で似たようなものではないかと思ったからだ。

 以下、回答から抜粋した。「Alの回答は不正確な可能性があります。AIが生成した回答の注意点はガイドラインをご確認ください」とのことだ。

戦国時代の薬のイメージ

・戦国時代〜江戸初期の武将たちも、漢方系の生薬や軟膏を使っていました。

・徳川家康も滋養強壮の漢方薬を愛用していたと伝わっていて、薬への関心はかなり高かったようです。(ishii-clinic.jp)

 

ただし、今のような「かゆみ止めクリーム」と「傷薬」がきっちり分かれていたわけではなく、「いろいろな皮膚トラブルに効くとされる軟膏」や「傷の治療用の陣中膏」などが、ごちゃっと使われていました。(senjp.com)

 

かゆみ止めと傷薬の関係

・当時は、紫根(ムラサキの根)などの生薬を使った軟膏が、皮膚の炎症を抑える薬兼、傷の軟膏として使われていた例があります。(ameblo.jp)

・こうした軟膏は、今で言えば「軽い火傷・ひび・あかぎれ・湿疹にも使える皮膚軟膏」に近く「かゆみも炎症もまとめて何とかする」タイプだったと考えられます。

 

なので、「かゆみ止め=傷には絶対にダメ」と今の感覚で線引きするよりは、「炎症を鎮める生薬入りの軟膏」が、かゆみや軽い傷の両方に"なんとなく"使われていた可能性は十分あります。

 やっぱりね。生薬入りの軟膏を、万能薬的に何でも使ったんだろう。「当家の秘伝薬」扱いなら尚の事。

 大体、あんなにご立派なかゆみ止めを戦場に持ってくる家康、一体何がそんなに心配だったのだ?漆にかぶれるとか?普通、戦場に必要だと考えるのは傷薬だと思うけどな。家臣が気を利かせて傷薬を持たせていた可能性もあるかもね。

 ちなみに、現代ではかゆみ止めは傷には塗っちゃいけません。こちらにAIのご回答を貼り付けておく。

結論から先に

・一般的な「かゆみ止めの塗り薬」は、傷口そのものには基本的に塗らない方が安全です。

・「虫さされ・かゆみ用」と書いてある多くの薬は、ステロイドや抗ヒスタミン成分が入っていて、すり傷・切り傷・出血している部分には使用しないと説明書に書かれていることが多いです。

 

傷とかゆみの違い

・かゆみ止めの薬は、主に「かゆみの原因となる炎症やアレルギー反応」を抑える薬です。

・一方、傷は「皮膚が切れたりめくれたりしている状態」なので、細菌感染を防ぐ、皮膚の再生を助けるなど、目的が違う薬が使われます。

そのため、傷の治療薬とかゆみ止めは役割が別と考えてください。

AIに負けそうもない池松壮亮

 AIは便利で、私もざっと知識を確認する場合はウィキペディア先生(全部目を通す必要がある)からAI先生(ピンポイントで把握できる)に移行しつつあるが「不正確な可能性があります」というのは、ホントそう。

 先日も、ある歴史上のニッチな人物を確認したかったのに他の人物と混同して答えてきた。「違いますよね」と指摘したら、言い訳して謝って訂正してきた。最初からそう答えてくれよと思ったが、気が抜けない。

 でも、あっという間にAIの回答は精度を増すだろう。ウィキペディアだって信頼できないなどと昔は言われたが、今や書かれている内容と出典を見ると大したもの(上からで恐縮💦)。よほど恣意的なもの(ある政治家の英語版を読んだら、非の打ち所がない英雄だった)を除けば、信頼性は格段に増したよね。

 そのウィキペディアよりもスピーディーに、AIの天下は揺るぎないものになるのでは?大河ドラマも、ロケなど完全に必要なくなり、脚本や役者、衣装、設定などデータを打ち込むだけであっという間に1年分48回をAIが作るようになったりするのかも。

 ・・・そしたら今回のようなちょっと残念な戦闘シーンも、ブラッシュアップされて迫力あるものにしてくれそう。

 もしかして、今回の疲れ切って京に辿り着いて「どうかご安心くだされ」と義昭(早くも浅井朝倉への文を書いていたね。三淵藤英を使いにやる予定だったらしい)に挨拶した時の、言葉とは裏腹な織田信長のゾンビのような鬼気迫る形相は、AIが加工していたりするのか?しんがりを務めてその後に帰ってきた木下小一郎が、ずっと血色良くふっくら見えちゃったくらい、信長のやせこけた頬と赤い目が凄まじかった。さて?

 ホント、AIが役者をも凌駕する日が来てしまいそうだ・・・と危惧しつつも、藤吉郎が金ヶ崎の死地でのしんがりをやり遂げ帰還、信長に対面したシーンが素晴らしかった。小栗信長と池松藤吉郎の主従の演技が素晴らしく(特に藤吉郎)、気持ちを動かされた。

松永久秀:(京に辿り着き、倒れている兄弟に)お主ら、しぶといのう。

小一郎長秀:松永殿も、ご無事で何よりじゃ。

久秀:無事なものか。足が棒のようじゃ。お主らが来たら、すぐに連れて参れと殿のご命令じゃ。

(謡と鼓の音が部屋から聞こえる。♪命永らえて 常盤の松の色もよくよく~)

信長:遅いぞ、サルども!待ちくたびれたわ。(女性に囲まれ、酒を飲んでいる)

藤吉郎秀吉:(汚れた鎧姿で小一郎に支えられ入ってくる。体がプルプル震え涙目)殿・・・(こらえきれず泣き伏したかと思えば泣き笑い)ハハ、ハハハハハ!(隣の小一郎が驚く)遅れて申し訳ござりませぬ!(ひれ伏すふたり)

信長:言うたであろう、宴を用意して待つと。(立ち上がり、藤吉郎の前へ)儂は約束を果たしたぞ。次はお主の番じゃ。(藤吉郎に酌をし、座る)さあ、とくと聞かせよ。朝倉浅井がどれほどまぬけ面であったか。

藤吉郎:はっ!(酒を飲み干す)殿に逃げられたと知った時の、あやつらの顔ときたら、それはもう、まるで・・・(せきこみ)それは、まるで・・・(どしんと倒れ込む)

小一郎:兄者!

信長:サル!しっかりせえ!入って参れ!(ふすまが開く音)京都中の名医と薬師たちじゃ。安心せえ。お前は死なせぬ。(光秀ら、諸将にも)お主たちもじゃ。

小一郎:かたじけのうござりまする。

 藤吉郎が素晴らしくとも、気にすることは無い。主役小一郎の姿が表で霞んでいてもいいよ。理屈と派手なおしゃべりで殿の横にしゃしゃり出なくてもいい。天下一の補佐役の花は、藤吉郎が輝いてこそ。その表立たない裏での苦労を今作では味わうのだと思っているからね。

ちょっと残念、あっさり撤退戦

 それにしても、金ヶ崎の退き口に期待し過ぎちゃったかもしれない。出くわした朝倉軍相手にまた「いったん引いてくれ」と言い出したのは、小一郎らしい理屈っぽさで煙に巻こうとしていて、そこは良かった。個性が出ていた。

 でも、随分あっさり助かったよね。え?何が起きた?と目を疑ったくらい。さらに、浅井長政軍に撃たれるかと思ったら、明智光秀が助けてくれて、こちらもあっさり片が付いて。金ヶ崎からの逃避行は、そんなに簡単だったの?

 軍師半兵衛の策も、えええ~と思うような物足りなさ。案山子を立てておくのだったら、松明は要らなかったのだろうか?その方が、遠くから夜目には多くの兵士がいるように見えたと思うのだけれど・・・(でも、半兵衛と木下兄弟は仲良くなれたみたい)。

 そして、逃げるのに頑丈な足は不可欠なのに、藤吉郎がグッサリ刺したものだから、簡単に止血もままならなかったはず。騎馬戦のように担ぎ上げても、勝手の分からない他国から逃げるのだし、重傷の兄を守りつつ逃げる苦労は並大抵ではなかっただろう。

 なのに、京の妙覚寺に辿り着いて「ああ・・・生きとる」とバッタリ倒れた時の小一郎が妙に健康そうに見えてしまったよ。道中の苦労が少し足りなかったかな?藤吉郎は、止血が不十分で貧血状態なのが目のクマに出ていた。

 しかし、兄弟が窮地を抜けたのが、母・なかの指から巨大な棘も抜けたので母にも伝わったらしいのが笑える。何?お慶は2、3日家を空ける?指示を仰ぐ為、斎藤龍興にでも会いに行くのか?うーむ、安藤守就は娘を泳がせ過ぎだ。何の隠密行動に出撃するのか・・・早く改心して落ち着いてくれ。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#13 織田と浅井朝倉との戦前夜、「疑惑の花嫁」は女狐ふたり。どんぎづね吉岡里帆の「お慶」と狸顔の宮﨑あおい「お市」

「女狐」お慶の密会相手は村川竹之助。誰?

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第13回「疑惑の花嫁」が4/5に放送された。新年度は週末も地元であれこれとお役目が忙しいもので、次回放送まであと数時間となり、どれだけ書けるか分からない状態にまた陥ってしまった。読んでくださってる方々、スミマセン。次は頑張ります。

 ということで、さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第13回「疑惑の花嫁」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)の指示で、小一郎(仲野太賀)は守就(田中哲司)の娘・慶(吉岡里帆)をめとることに。藤吉郎(池松壮亮)は喜ぶが、慶には悪いうわさがあり、しかもある理由から織田家を憎んでいた。そんな中、信長は越前・朝倉氏との戦を決意。息子を朝倉へ人質に出している長政(中島 歩)と会い、出陣せず後方の守りに徹してくれればいいと告げる。だが戦が始まると、長政は父・久政(榎木孝明)から朝倉方につくよう迫られる。(第13回「疑惑の花嫁」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 主人公の妻・お慶が本格登場、信長の命で小一郎に嫁いできた。演じるのは吉岡里帆だ。イザムと離婚した方の吉岡里穂じゃない。どんぎつねさんで星野源と「どん兵衛」のCMに出ていた方だ。

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 朝ドラ「あさが来た」で、まだ可愛らしくぽっちゃりしていた小芝風花が演じる娘の女学校の同級生だったか、名前はのぶちゃん。吉岡里帆は、その真面目なのぶちゃんで初めて認識した。だが、うっかり名前でサーチしたらあれよあれよと出てくるセクシー系の・・・癒し系のと言うべきか、画像に仰天させられた記憶がある。

 芸能人になるって大変だなあ、嫌でも泣きながらでも(と後でインタビューで見かけた)契約上仕方ないのか、こんなに肌を露出する格好を人前で晒さなければ売れないなんて・・・とゲンナリしたね。やっぱりマスメディアは男社会だから、そこでの常識が女にとっては「非情」識だったりする。

 でも、今や大河ドラマ主人公の妻役をゲット。堂々たるものだ。おめでとう。

 その吉岡里帆のお慶がいかにも不満な表情を浮かべて小一郎に嫁いできた。輿入れ時にひとりひとり親族の名を呼んで挨拶したのだが、さっそく弥助&甚助の男性陣がノックアウトされ、いそいそと手伝おうか的に立ち上がろうとするのが笑えた。どんぎつねのどん兵衛をたくさん買いに走りそう。妻たちが目の前で見てるのにねー。

 それで、お慶のお着替え場面があり、「NHKまでそういうことをさせるのか」とゲンナリしそうになったら、刀傷か、まだ癒えていない傷を彼女が肩に負っているのが目に入った。ああ、そういうことか~何か意味のある傷を視聴者に披露した訳だ。

 あれ、結構大きい傷だ。そのままじゃ痛そうだよねえ。晒しで巻いたりしないの?

 彼女がなぜ斬られたのか。それが寺のお堂で会っていた人物と関係があるのか?夫の小一郎が戦に行く前の見送りにも来ず、また彼と会っていたお慶を街中で見てしまい、小一郎もガックリしていたっぽかった。

 彼はどうも隠密っぽいよね、あの恰好は・・・と思ったら、ちゃんと相関図にも名前入りで紹介されていた。村川竹之助だそうだ(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第13回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK)。

 人物紹介では織田信長の直前に掲載されているが、説明は「旅姿の男」のみ。いや、旅姿は見ればわかるって💦

 真面目に考えてみると、今作では美濃を追われた斎藤龍興が織田の敵方に出没している。だから、龍興のために情報を集め、いつか斎藤家を再興するために支えて働いているんじゃないかと想像するんだけど・・・だからお慶としても、「男を買っている」みたいな不名誉な言い方をされても、大きな使命のためには仕方ない!と割り切っていられるのではないのかな。

 彼はつまりは、反信長の活動家か?例えば、斎藤家重臣だったというお慶の亡き夫の親族(弟?)か直属の部下か?身ぎれいだもんね、まあまあ身分があるはず。

 お慶の父・安藤守就としては、彼との密会を知っていても、自身の織田への乗り換えが彼女の夫を死に追いやることになったから、お慶に申し訳ない気持ちがあって泳がせているのか。でもそれって信長に知られたら危ういね。立場を考えれば、織田家でも信長の信頼厚い小一郎に娘が嫁いでくれたら、美濃衆の自分としたら安心なのだろう。フラフラしている娘の監視役も兼ねてよろしくってことかな。

 そういえば竹中半兵衛は、お慶の亡き夫とは相婿同士だった。密会相手もその亡き夫と近い人物とすれば、半兵衛も彼を知っている可能性があるね。でも、あの性格で知ってて言及しないでいられるのか?言っちゃいそうだよね。

 肝心のお慶の感情爆発のシーン。正直だよね。本当の女狐なら、ニッコリ笑って小一郎の手を取って「不束者ですがよろしくね」ぐらい言っているよ。

小一郎:少し狭いが、これからはここが慶殿の屋敷じゃ。したいようにしてくれて構わん。

お慶:(頭を下げ)うれしゅうございます。

小一郎:そなたも疲れたであろう。さあさあ、飲んで気を楽に致せ。ほれ。(酌をしようとする)

お慶:では、お言葉に甘えて。(にこりともせず、酒を飲み干す)

前田利家:(藤吉郎宅で、藤吉郎と寧々に)あのおなごの前の夫は、斎藤家に仕える重臣であったそうじゃ。しかし、稲葉山の戦いで討ち死にした。(えーっという顔の藤吉郎)あのおなごにとって、我ら織田は・・・仇じゃ。しかもその敗因は父である安藤殿らが織田に寝返ったことに他ならぬ。さぞ辛かったであろう。そのきっかけを作ったのが・・・。

藤吉郎:小一郎か。

回想のお慶:(輿入れ時)私は、この巡り合わせに感謝しております。

(小一郎宅。酌をするお慶、盃を口に着け、飲む小一郎。そこになだれ込んでくる藤吉郎とお寧々)

藤吉郎:小一郎!大事ないか?!

寧々:小一郎さん!

藤吉郎:飲んではならぬ!毒が入っておるやもしれぬ!

小一郎:毒?

お慶:何事ですか?

寧々:とぼけないで!あなた、何を企んでいるの?!

お慶:企む?

藤吉郎:小一郎を殺すつもりか!

小一郎:待て待て待て待て!何でわしが慶殿に殺されねばならんのじゃ。

寧々:この人の前の夫は、戦で織田に殺されたの!

藤吉郎:こやつは我らを恨んでおる。安藤殿を寝返らせたお前のことを憎んでおる!

小一郎:はあ~、そんな訳なかろう。慶殿の前の旦那様は、病気で亡くなられたと聞いておる。のう?慶殿。(お慶、無言)

寧々:何とか言ったらどう?

小一郎:お寧々殿。もう、おやめくだされ。つらいことを思い出させるだけじゃ。

藤吉郎:小一郎。わしらはお前のために・・・!

小一郎:もうええと言うておろうが!見ろ!ほら!わしはピンピンしておる。(身体をパンパン叩いて見せる)毒など入っとりゃせん!ほら!せっかくふたりで楽しく飲んでおったのに。(藤吉郎を抱えて部屋から出そうとする)水を差しおって!

藤吉郎:おい、小一郎。寧々。

小一郎:ほら、帰ってくだされ!もう帰れ!もういいから帰れ帰れ!ほら帰れ!

藤吉郎:おい!まだ話は終わっとらんぞ!小一郎!話を聞け!(そっと息を吐く慶)

寧々:(小一郎宅の表)はあ、もう!心配してあげたのに。

藤吉郎:うん。

寧々:お前様。信長様にこの婚礼を取りやめてくださるよう、申し上げてください。でないと小一郎さん、一体何されるか。

藤吉郎:・・・あやつ、わしらの言葉に全く耳を傾けんかった。わしらが何を言いに来たのか、分かっておったのかもしれぬ。

小一郎:(自宅内で)兄者たちには困ったもんじゃ。あれじゃな、わしらがあまりにもお似合いすぎて妬んでおるに違いないわ。

お慶:どこがお似合いなのです。私の何を知っていると?

小一郎:それは・・・これからゆっくりとのう。

お慶:私は、あなたのような殿方、少しも好みではありませぬ。その顔も、おしゃべりなところも。

小一郎:ハハハ・・・そなたもなかなか言うのう。

お慶:何より、織田の侍だという事が許せませぬ。あの二人の言ったことは真の事でございます。

小一郎:もうよい。言わんで良い。

お慶:知っていたのですか?

小一郎:・・・安藤殿が打ち明けてくださったのじゃ。

お慶:知っていて、どうして。ハッ、まあそうね。織田信長の命に逆らうことなどできないものね。父もそう。今じゃすっかり織田に飼いならされて、言いなりになるばかり。父が、美濃を裏切ってさえいなければ。あなたが、余計なことさえしなければ・・・夫は死なずに済んだやもしれません。でも、ご安心ください。私はあなたに復讐しようなどとは考えておりませぬ。そのようなことすれば、生きていけませぬゆえ。(小一郎の前に座る)この身はあなたに差し出します。でも・・・心は、お前たち織田の者には指一本たりとも触れさせぬ!

小一郎:町で、よそ者の男と会うておるのは何のためじゃ。

お慶:男と女が会うてすることは決まっておろう。残念であったな。私は、お前ひとりの者にはならぬ。

小一郎:心配は要らぬ。そなたがわしを許してくれるまで、わしも何も求めん。じゃから馬鹿な真似はするな。もっと自分を大切に致せ。

 ねえ、なんて素直な娘なんでしょうね。人たらし小一郎が凍えた心を解きほぐすのも遠くないだろうね。

 しかし、素直が過ぎると思うのは「私はあなたに復讐しようなどとは考えておりませぬ。そのようなことすれば、生きていけませぬゆえ」と自分の弱みまで全部見せてしまう点。へえ、じゃあ誰に復讐しようとしているのさ?計画を全部吐け!と拷問されかねないよね。・・・そうか、信長暗殺を狙っているんだな?とかね。

 相手が小一郎だから良いものの、自分の考えを全て暴露して安全でいられる保証は普通は無い。危険人物として監禁され監視されるのがオチだと思うけどね。

もうひとりの女狐は

 今回、相撲好きの信長が浅井長政相手に相撲を何度も取っていた。亡き弟信勝にもらった握り飯を思い出しつつ、それを長政に上げたりして。義理だけど新たなる「弟」を得て、信長は嬉しくて仕方ないようだった。

 もうね、歴史は動かしようがないから・・・その義弟に裏切られるんだものね、信長のショックも大きくなるんだろう。そのショックを大きくするための下ごしらえが今回、念入りに仕込まれていた。

 浅井の若きプリンス長政は、義理の兄信長に対して忠誠を誓っていた。

織田信長:我らはこれから、公方様の命により若狭に出陣する。石山城の武藤友益を討てと公方様よりのお下知じゃ。

浅井長政:そのようなことで義兄上が出向かずとも、我らが。

信長:武藤友益は・・・裏で朝倉と通じておる。こたびの出陣の真の狙いは、朝倉討伐じゃ。それで・・・よいな。(長政を見つめる)

長政:我らは・・・(信長の目の前に歩み寄る)朝倉とは、古くからの誼がございます。我が息子、万福丸も人質に取られておりますれば、その討伐に異を唱える家臣もおりましょう。(信長が離れる。その背に向かって)その者たちは、この長政が説き伏せまする。お市をめとった時から、このような日が来ることは覚悟しておりました。存分におやりください。

信長:(肩をつかんで)分かった。では、こたびの戦、浅井は近江を動かず我らの後方の守りに努めよ。我らに加勢しなければ、朝倉もそう易々と万福丸の命を取ろうとはすまい。いずれ必ず我らが救い出す。

長政:義兄上・・・!

信長:万福丸は、市も我が子のようにかわいがっておったからのう。見殺しになどしたら、後できつう叱られるわ。

長政:かたじけのうございます。

信長:長政・・・この戦が終わったら、また相撲を取ろう。

長政:(握り飯を頬張り)次は、私が勝ちまする。

信長:ハハハハハ!やれるものならやってみい。

 ううう・・・この長政が説き伏せまするって、それが本当に上手くいってたら、浅井は大大名で残ったかもしれないよね。

 ドラマでは父の浅井久政の発言がなぜかとても強くて、長政はタジタジ。久政は六角氏との戦に敗れ、当主の座を息子長政に譲らされた過去があるぐらいだから、家中での発言力はそんなに強くないのかと思っていたが、全然じゃないか。結局、リアルでも父の言う通り朝倉を選んで父と息子と共に滅亡しているのだもんなあ。

 やっぱり万福丸の人質の件があるのだろう。ドラマでは、朝倉景鏡に出てこられてお手上げだった。

長政:(小谷城にて重臣を前に)我らは動かぬ。こたびは様子を見る。

宮部継潤:若狭の小競り合いを鎮めるにしては、兵が多すぎる。それを口実に朝倉攻めをしようとしているは明白!

遠藤直経:これは、我々浅井への裏切りですぞ。 

長政:こたびの若狭行きは、公方様の命により、幕府の軍勢として出陣せざるを得なかっただけじゃ。織田殿の本意ではあるまい。

継潤:殿!本当にそう言い切れまするか。

直経:もしや織田殿は、己に従わぬ大名を幕府の名を借りて滅ぼすつもりなのでは。

長政:とにかく、我らは動かぬ。こたびは、織田にも朝倉にもつかぬ。

浅井久政:(廊下から現れる)そういう訳にはいくまい。

長政:父上・・・申し訳ありませぬが、これは当主である私が決めたこと。ご意見は無用に願いまする。(久政の後ろから、朝倉景鏡)

朝倉景鏡:長政殿。我ら朝倉が敵に攻め込まれるのを黙って見過ごすと申されるのか。それは、何もしなかったとしても盟約を破っているのと同じこと。

長政:景鏡殿。今からでも遅くはない。幕府に従い、上洛するよう・・・。

景鏡:笑止!行く当てもなかった公方様を、ずっと匿っていたのは我ら朝倉じゃ。その恩を忘れ信長などに唆され、我らを攻めるなど、道理の通らぬのは幕府の方じゃ!

久政:何を迷うておる!万福丸を見捨てるつもりか。

景鏡:我らもそのようなことはしとうない。よ~くお考えくだされ、長政殿。今、我らが手を組めば、信長を、幕府軍を一網打尽にできまする。

直経:殿。これこそ天が与えてくださった千載一遇の機。

長政:しかし・・・。

久政:あの女狐のせいですっかり腑抜けとなったか。

長政:市の事を言っておられるのか?市はもう、浅井のおなごとしてようやっております。

久政:どう取り繕おうと、所詮は信長の妹。腹の中では何を考えているか分からぬ女狐じゃ!

景鏡:そういうことならば、その元凶を取り除いてしまえば長政殿も昔のような武将に戻られますかな。

長政:(激高して立ち上がる)市には指一本触れさせぬ!

景鏡:ハハハハハ、万福丸様はお見捨てになってもお市の方様は助けたいと。

長政:そうは申しておらん!

景鏡:では、どうなされます。今、この場でお決めくだされ。

(廊下に長政の家臣。小部屋に走る。伝言を託された侍女が、市の下へ。)

お市:よう知らせてくれた。(一点を見つめる市)

 長政が孤立無援すぎないか?こんなに誰も長政側に立ってくれない家中では、まずどうやって信長と手を組めたものやら。久政の方針にみな従ってるじゃないかー💦まあ、朝倉景鏡を浅井家の命運を決める場にまで呼んでいたら、どうしようもないとは思うよね。

 これが、もし徳川家康だったら・・・と考えちゃったよね。嫡男信康を、そして正室の築山殿を処分してでも信長に忠誠を誓い、戦国を生き延びた家康。彼みたいに父や息子を諦めていたら、長政も・・・。しかし、どちらにしてもつらい道が待ってるのには違いない。遺された娘たちが長政の血を繋いだというのが、本当に奇跡だね。

 で、今回ふたりめの「疑惑の花嫁」の女狐は、可愛らしい丸顔でとても狐には見えない宮﨑あおいのお市の事だよね。どっちかと言えば狸顔だ。「女狸」じゃなんか締まらないもんなあ。気に入らない女がいれば、全員「女狐」呼ばわりと相場が決まっているから仕方ないか。

 さて、次回いよいよの場面がやってくる。有名な小豆エピソードは今作ではどう描くのだろうか?お市からの知らせの前に、柴田勝家の忍びが逸早く浅井の裏切りを知らせていたようだったけど。お市の侍女が、「どうする家康」みたいにまたナンバ走りで信長の下へ急行するなんてことは・・・ないよなあ。お市からは何か届くのか?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#12 不穏な風漂う小谷城で「豊臣を終わらせる」赤子の茶々を抱く「豊臣を創る」藤吉郎。小一郎は視線ギラリの訳アリお慶(ちか)と主命で夫婦になるんだってさ

同時代の「どうする家康」を思い出しつつ視聴

 春爛漫、ご近所の桜通りでは桜が満開だ。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」が3/29に放送され、お市の輿入れ以来、初めて信長が浅井家の本拠小谷城に赴いた。前回の本圀寺の変がうまく片付いて、三好三人衆が京からいなくなったもんね。堺も、矢銭2万貫を藤吉郎に差し出すことになったし、その藤吉郎は京都奉行に大出世だ。

 まずは公式サイトから、今回のあらすじを引用する。

12回「小谷城の再会」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は義昭(尾上右近)に“天下人の石”と呼ばれる藤戸石を贈る。だが義昭は、信長と目指すものが違うことに気づき始めていた。一方、藤吉郎(池松壮亮)は京都奉行に就任。任務に追われる小一郎(仲野太賀)と藤吉郎は、あるとき信長に連れられ、市(宮﨑あおい)のいる小谷城を訪ねることに。長政(中島 歩)と市は幸せに見えたが、裏では織田を快く思わない長政の父・久政(榎木孝明)が不穏な動きをしていて…。(第12回「小谷(おだに)城の再会」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 木下兄弟はお市への土産物の「猿2匹」として長持に入れられて小谷城に出向くことになり、人たらし兄弟は信長の思惑通り、信長に長いこと打ち捨てられていたと不機嫌だったお市の方を笑わせて「調略」に成功。披露された赤ちゃんは、言わずと知れた未来の淀殿だった。

 小一郎に「兄者、弁えんか」とがめられても、藤吉郎はお市に「構わぬ。多くの子に抱かれた子は、それだけ多くの者から慕われると聞く」と許され、臆せず茶々を抱っこ。その時の安藤サクラのナレーションが不吉だったよね。

語り:これが、後の世に豊臣家を創った者と、終わらせた者の出会いでございました。

 まだ浅井家と織田家が争う前の幸せの中、生を受けた茶々。赤ちゃんてホントに平和や幸福の象徴だよなあ・・・と思っていたところに不吉なナレーションを被せてくるんだもんなあ💦

北川景子のお市の方

 「どうする家康」のお市も、上洛した主人公家康に赤子の茶々を見せていたような。ちょうどドラマ的に時代が重なる「家康、都へゆく」が2023年4/2に放送されていた。同じ春だよね。

 その時の北川景子が茶々と二役で演じたお市の方は、夫の浅井長政も雅でよかったけど、衣装も洗練されて桜の精のように美しかったよな🌸後の茶々の、毒々しさのカケラも無かった。

 この後、束の間の幸せが崩れ、侍女の「阿月(あづき)」が浅井の裏切りを知らせに織田方に激走する趣向もしゃれていた。ちゃんとナンバ走りで走ってたね。

toyamona.hatenablog.com

 大河ドラマでのお市の方は、それぞれの「当代の美女」が演じてきているが、改めて考えてみると、北川景子のお市は良かった。美しさと迫力でもう別格、お市の方決定版だと思う夏目雅子のお市にも、あまり引けを取らないのではないか。

 意外な所では(失礼)、「江」の母として初回あたりで早々に出番が終わった鈴木保奈美のお市の方が素晴らしかったなと実は思っている。だから、時任三郎の浅井長政と相まって「江」は初回だけは見る価値ありと思う(大変失礼)。

 「江」は、初回が良かったから、その後を期待していたんだけどね・・・途中で見るのをやめた。大河ファンの私としては滅多に無いことに。

 そうやって印象に残る描き方という点でも、「どうする家康」の北川景子のお市は、家康の援軍を待つ「将」としての凛とした描き方とかね、本来はたおやかな美女なんだけれど、そういった点が良かったよね。どうしても二役の茶々の方が派手だったから、視点が向きがちだけど。

信長と浅井長政の対話

 信長は、茶々を抱っこすることは無く、それを長政に謝っていた。今作の小栗旬の信長は、自虐的でちょっと自意識過剰だよな。かまってちゃんの信長ちゃん。

織田信長:すまぬ。茶々を抱いてやれなかった。

浅井長政:あ・・・いえ、お気になさらず。

信長:抱けばあの子を穢してしまう。わしの手は、血で穢れておる。

長政:そんなことはござりませぬ。もし、そうだとするなら今の世に穢れなき者などおりますまい。

信長:そなたがおる。(やけどを負った長政の右手をみやる)市のために済まん事をした。

長政:(包帯をしている)ああ、これしき大したことございませぬ。

信長:そなたの手はきれいじゃ。その手で、市と子を守ってやってくれ。

長政:(信長に向き直り、深々と礼)はい。

 前回のブログで大騒ぎした、例の鏡の一件で負った火傷の話だろう。えーと、もう茶々って前回は生まれていたんだっけ?まだお市は懐妊もしていなかったのかと思った。その茶々が十月十日が経過して今回は誕生しているのに、まだ手は痛々しく包帯を巻いているのか???そこら辺の計算が、良く分からない。

 そこはどうでも良いが、信長は「市のために済まん事をした」と長政に謝ったのだから、無視されていたお市の便りは同盟国の情勢把握のためには使われていたね。舅の浅井久政が嫌味たらしく「何気なく書いたことでも危ない」と、兄に手紙を書くお市の方を牽制した通りの分析は、織田方によって行われていた。

 この後、浅井家の重臣遠藤直経が長政を呼びにやってきて、長政は奥の部屋で朝倉景鏡と対面。「麒麟がくる」の怪しげな景鏡も思い出されるが、今作では池内万作が演じる(口元がめっちゃ宮本信子だよね)。面白くなりそうだ。

 そこで長政は、愛らしい万福丸(フラグ立ちまくりだね😢)を朝倉に人質に差し出せと父久政と景鏡に迫られ、苦悶の表情を浮かべたと思ったら、厠を探して間違えたフリの信長が部屋に踏み込んだ。

 信長は景鏡に「公方様は朝倉義景殿が上洛するのを首を長~うして待ちわびておる」と、義景への伝言を頼んだ上で、「朝倉に討たれたくなければ急げ」と木下兄弟を促して小谷城から引き揚げた。

 結果、長政は朝倉方に着くことになって浅井&朝倉が信長に滅ぼされる近未来は、超有名な史実なのでネタバレと言うまでもないが・・・今回の時点では、信長は心の弱みみたいなものを長政に打ち明けたりしている。

 長政は、信長の弱点である「弟」だ、義理ではあるけれど。そして、血で穢れた自分と引き換え、とても清らかな存在に見えている。信長は、長政にはそのままでいてほしいと願ってもいただろう。しかし、信長自身がまたも「弟」を滅ぼし、妹ともどもの幸せをぶち壊すのだと思うと悲しくなるね。

光秀と藤吉郎の対話

 将来敵対する同士、そして戦って一方が滅ぼされる人たちの対話という点で、今回は明智光秀と藤吉郎の会話も興味深かったよね。ホント、死が身近な時代だよ。

明智光秀:(蹴鞠で顔中罰の墨だらけにされたのを井戸で洗っている藤吉郎に)災難でしたな。

木下藤吉郎秀吉:あっ、先ほどはかたじけない。

光秀:公家どもに、幕府方の者が侮られるのを黙ってみている訳には参りません。

藤吉郎:すごいのう明智殿は。何でもうまくやってのける。わしも見習いたいものじゃ。

光秀:私からすれば、木下殿の方がよほどすごい。

藤吉郎:わしが?

光秀:僅か10年足らずで足軽から織田家の重臣にまでなられたと聞きました。大した御方じゃ。

藤吉郎:全て、信長様のお陰でござるよ。

回想の義昭:光秀。あのふたり、わしのものにできるか?

光秀:しかし、京のしきたりや公家の相手は木下殿には不得手とお見受けいたしました。織田殿も、此度ばかりは見誤られましたな。

藤吉郎:わしのような者の方が皆、侮り気を許すであろう。

光秀:織田殿は、あえて木下殿に笑い者になれと?織田殿も、酷な御方じゃな。

藤吉郎:明智殿。わしを思うて言うておられるなら考え違いじゃ。信長様を悪く言う者は、誰であろうと許しませぬ。(笑顔→真顔)

光秀:フッ、失礼いたした(お辞儀)。

藤吉郎:いや、こちらの方こそ、つい(お辞儀)。

光秀:木下殿にとって織田殿は、わしにとって公方様なのじゃな。私はかつて生まれ育った明智の里を斎藤家に奪われ、民たちを守ることもできず、己だけ美濃から逃げ出した情けない男なのだ。

藤吉郎:明智殿が・・・?

光秀:私はたまたま明智の家に生まれ、たまたま家督を継いだだけの、ただそれだけの男だった。木下殿のように己の力で何かを成し得た訳でもない。何も成せず、何者にもなれぬままそれからおよそ十年。私はずっと考えてきた。食うこともままならず妻や娘に惨めな思いをさせることしかできぬ無様な己に、何の値打ちがあるのかと。私は、何のために生まれてきたのか、何のために生きているのかと。考える事すら止めようとしたその頃、あの御方と出会うたのじゃ。

回想の義昭:(数年前)お主も災難よのう。いくら身を寄せる朝倉からの命とはいえ、いきなりわしのようなお荷物を担がされることになるとは。

回想の光秀:滅相も無いことでございます。そのようなことは・・・。

回想の義昭:これも、御仏の巡り合わせだとわしは思うておる。わしの命は、この時のためにあったのだと。わしのために、力を貸してくれ。

光秀:私こそ・・・今、この時のために生きてきたのだと、そう思えた。公方様に救われたのじゃ。(藤吉郎が笑顔)公方様をお支えし、幕府によって世に静謐をもたらすことが、私の天命だと心得ておりまする。(立ち上がる)そのことどうか、織田殿にもお伝えくだされ。

藤吉郎:しかと承知しました。

(場を変えて)

小一郎:明智殿が、そのような。

藤吉郎:全ての力の源が、公方様の為であったとは。胸が熱くなったわ。胸は熱くなったが体は今日もヘトヘトじゃ。小一郎、わしと代わってくれ。

小一郎:できるわけなかろう。わしも御所の普請に加わった者への恩賞の沙汰で手いっぱいじゃ。

 光秀は、本圀寺の救援に駆けつけて小一郎と抱き合う藤吉郎を見た将軍足利義昭に「あのふたり、わしの者にできぬか」と言われていたから、そういう目で木下兄弟を洞察して情報収集していたのだろうね。そして、今回、思い切って藤吉郎を口説きに出たのではないか。

 しかし、藤吉郎によってあえなく返り討ち・・・一旦謝って引いたと見せて、光秀は己の長年の悩みと義昭との出会いを語った。そんなに光秀が自分を卑下していたとは思えないけど、ちょっとオーバーに盛ったのだろう。そして「公方様をお支えし、幕府によって世に静謐をもたらすことが私の天命」だと言い切った。それを信長にも伝えてと。

 今作の割と純粋な藤吉郎は、小一郎に「胸が熱くなったわ」と言ったぐらいだから、光秀はリクルーターとしてなかなか良い楔を打ち込んだのかもしれない。

 しかし、相手は人たらし兄弟。歴史を見れば、光秀は、ミイラ取りがミイラになるんだよね?「どうする家康」の残念な公方様(と光秀)と違い、今作の描かれ方では花も実もあるなかなか優秀な義昭様だと思うのだけれど、それでも信長方に転ぶ光秀。どういう事情で誑し込まれるのか、そこら辺も楽しみにしている。

 そして・・・山崎の戦いの最中に、このやり取りを思い出すのかなあ。

次の恋人登場かと思ったら・・・

 藤吉郎は「この先も、ずっと一人でおるつもりか?」と小一郎に尋ねていた。小一郎は兄に顔をそむけて「そうじゃ」と言った。

 そんなことを聞かれたら、自分の心の脆い部分を突かれて涙が一瞬にしてこぼれてしまうから、顔をそむけたのか?兄の顔を見ながら答えられない程、それだけ小一郎の直の死に対する心の傷は深い。短いながらもそう感じさせるシーンだった。

 京都での仕事や但馬や伊勢での戦に励んで数か月。小谷城の任務の後に家族の下に戻った小一郎と藤吉郎。子どもが生まれたり新しい伴侶が出来たりで新しい家族が増え、隣だからと宴会に呼ばれていた前田利家一家も大家族。

 カップルや家族を眺める小一郎。どうしたって直を思うよね。小一郎を気遣う母なかは、繕い物を渡しながら、いつまでも世話できないと言っていたよね。

 亡き直の墓に出向き、京土産の櫛を供えるのも悲しいね・・・と思っていたら、そこで出くわしたのがキターの吉岡里帆。お堂からは、怪しげな男が駆け去り、続いて出てきたのが彼女で、厳しい視線を向けられた小一郎。まさか、その彼女が後日、信長に命じられた嫁取りの相手だったとは。訳アリ過ぎるでしょう。

 今作の設定では、安藤守就の娘なんだよね、お慶(ちか)さんは。ウィキペディア先生ではそんな娘さんは見つからなかったが、となると、竹中半兵衛の妻と姉妹のはずだが、今作ではどうなるのかな?

 今回はまだ吉岡里帆の、美しいけれど厳しい顔を見られただけ。次回、彼女を中心にドラマは展開するようだから、待つとしよう。

悪意の寧々キャラ

 そうそう、遡るけど長男の万丸(よろずまる)に団子をあげそうであげない弥助、それでも笑っている万丸がかわいかったよね。万福丸といい、悲劇が待ち構えている子どもたちに笑顔・・・うう、歴史は残酷だと思わされるね。

 お寧々とおまつの分も団子を食べちゃった姉ともがその時に身籠っていたのは、誰だろう?後で生まれていた小吉か?江と結婚する彼、小吉秀勝だよね。

まつ:京都奉行?藤吉郎殿が?

寧々:はい、丹羽殿や公家様にお仕えする明智殿とご一緒のお役目らしくて。ますます忙しくなって、なかなか会えなくて寂しいとの文が届きました。利家殿はいまだに馬廻衆だから岐阜にいることが多くて羨ましい事。(ともが団子を食べつつ目をぱちくり)

まつ:フフ・・・それはそれはご出世おめでとうございます。それに比べてうちの旦那様はすっかりお殿様に気に入られてしまって、なかなかお傍を離れることを許してもらえませぬ。口先だけで出世するような御方と違って、本当にお強いから、仕方ない事ね。(とも、おおという表情で団子をパクり)

寧々:いるのよねえ、強さを過信して討ち死にしてしまうお方。

まつ:ちょっと、縁起でも無いことを言わないでよ。(眉間に怒り)

寧々:心配しているだけ。

まつ:あなたの方こそお気を付けなさい。殿方が京でなが~いこと一人でいたら、そりゃあねえ。んん・・・。

 バチバチのマウンティング合戦を繰り広げていたお寧々とおまつ。こういう「女の戦い」みたいなのってドラマでよく見るが、暇人の妄想だろうといつも思う。女子同士でこんな攻防に時間を使って「実は仲良し」みたいな、フレネミーでつるんでいる暇人たちを実際見たことが無い。フレネミー傾向のある人は、友達を失うからひとりぼっちだし。

 実際のところは、大概、厳しく忙しい現実に直面して助け合わないとやってられない。むしろ女同士、助け合って労わり合ってるよなあ。それとも、下々と違い、有閑マダムはお寧々とおまつみたいにこうやって戦ってるのか?(ところで、この時のおまつの衣装って、「利家とまつ」で松嶋菜々子が着てたような?違う?)

 で、そのマウンティング合戦を通して藤吉郎の京都での女遊び三昧を知ったお寧々が怖い。毒薬を用意して、藤吉郎に「毒薬です。先ほどあなたが飲んだお酒に入れました。あなたを殺して、私も死にます」とか!えー!

 この物の考え方が怖いよ・・・自分の意のままにならなかったら殺すの?最近もあった、つれない元彼女を殺して自分も死ぬみたいな事件を思い出してしまう。愛情じゃなくて、藤吉郎をコントロールしたい支配欲でいっぱいの寧々さんか?

 寧々のキャラ設定が酷くないか。可愛らしい浜辺美波だからまだ見られるけど。しかも、それで実は毒を入れてなかった、できなかったって肝心な話をぎりぎりまで伝えないで「もうすぐ体がしびれて参ります。もう手遅れです!」なんて言って、相手を試して振り回すような・・・うわあ。性格が悪すぎる。こりゃ侍女が次々逃げるよねえ。直の死後、次の侍女はどうしたんだろう?

 今作では、将来、秀吉の子どもたちを身籠った時点で陰で毒を飲ませまくって堕胎させるという、悪女の寧々になるのか?大河ドラマでは前代未聞、ありえない鬼設定なれど、そんな陰口も存在したと聞く。寧々を避けて無事に産ませるために、淀殿は淀の城を与えられたなんて話もどこかで聞いた。

 寧々に子どもができなかったからってこんな後ろ指の指され方、ひどいよなあと思ったが・・・子どもがいないと、他人の子どもを慈しめないと考える風潮っていつからなのか。そんな訳ないのに。悪意の寧々を、それらしくドラマにしないでほしいなあ。

 ところで、今作の藤吉郎はどこまでも純粋で優しいね。毒を入れられて、お寧々にこう返すのだもの。

藤吉郎:お主は死ぬな。わしは死んでも自業自得じゃ。じゃが、お主は死ぬな!こんなわしのために死ぬな!頼む、死なんでくれ!頼む!

 藤吉郎、なぜ寧々を好きになったのかが謎だ。顔だけ?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#11 懐かしき「黄金の日日」。篤姫的お市の「もうよい!」に怯まない浅井長政、火中の鏡をつかみ視聴者は悲鳴。小一郎は義昭をしぶとく生き延びさせた

小一郎が義昭を面白い人にした?

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第11回「本圀寺の変」が3/22に放送された。信長はあっという間もなく幕府を再興していた。お市を嫁入りさせた北近江の浅井氏はともかく、六角氏は完全スルー、撃破する時に小一郎や藤吉郎が活躍したのかな?と期待していたが、描かれないまま木下兄弟は信長様と共にスムーズに上洛した。

 さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第11回「本圀寺の変」◆◇あらすじ◇◆

畿内を手中に収めた信長(小栗 旬)は、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)に新たな命令を下す。大和を治める武将・松永久秀(竹中直人)を介し、堺の商人・今井宗久(和田正人)らに、矢銭二万貫を納めさせろというのだ。だが堺の商人はくせ者ぞろいで、兄弟は苦戦を強いられる。そんな中、将軍となった義昭(尾上右近)を引きずり下ろしたい三好三人衆が、信長不在の機会を狙い、義昭のいる京の本圀寺を襲撃する。(第11回「本圀寺(ほんこくじ)の変」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 さて、永禄十二年(1569年)一月の本圀寺の変。過去作の「麒麟がくる」では、心の奥深いやり取りが将軍足利義昭と主人公明智光秀の間に交わされ、面白かった記憶が残る。戦闘が進行している間、滝藤賢一が演じる義昭と、長谷川博己の光秀ふたりは床下の隠し蔵に潜み、対話してたよね。

 (録画を確認しようとしたら、総集編しか残っていなかった💦えええー「麒麟がくる」は全編残したつもりだったのに💦もったいない。本圀寺の変も、総集編では一瞬で終わった。)

 が、今作の主人公は木下小一郎長秀。要潤光秀は、調練していたという兵を指図、将軍義昭を仲野太賀小一郎に任せて対三好三人衆の戦闘に携わった。小一郎が尾上右近義昭の身柄を任され隠し蔵にお供することになったが・・・。

 その前に、義昭が櫓に登った。「皆の者、うろたえるな!わしはそなたらと共におる!逃げも隠れもせぬ!今少しだけ持ちこたえよ、さすれば必ずや味方が駆けつけよう。それまで共に、戦うのじゃ~」と檄を飛ばしたのだが、え~💦的にならないでよ?あなたは隠れようね?とヒヤヒヤした。

 ここで情報が入った信長が、岐阜から馬で駆けつける流れに。三好三人衆の方は先祖代々崇めてきた本圀寺には火をかけられない事情があるが、その場になぜかいる斎藤龍興が「東大寺を燃やしたお主らが?(松永久秀じゃなかったのね)」と三好三人衆を煽り、火矢の支度が始まった。

 その時、結局隠し蔵に隠れたものの進退窮まったと見た義昭が、光秀と小一郎に逃げろと言い出した。

 ここで、小一郎がまた義昭の心に刺さることを言ったよね。それが後の義昭の行動に大きく影響したのだとしたら、義昭をどこまでも面白い将軍にしたのは、このドラマ的には小一郎ってこと?だって「功名が辻」では脚本家の三谷幸喜が演じたほどの人物だ。存在としてしぶとい、面白いよね。

 いや、別にお笑い系の面白い設定ではないだろうけれども・・・現場にいたら、罪作りだーと言う人がいるかもしれないよね。信長とか。

足利義昭:わしが出ていく。その間に、そちたちは逃げ延びよ。

明智光秀:私も、お供仕りまする。

義昭:ならん。そなたは生き延びて、やつらが将軍殺しであることを世に知らしめよ。わしの命と引き換えに、その悪名を末代まで背負わしてくれるわ。

小一郎:お言葉でござりますが・・・そんなことは皆、すぐに忘れてしまいまする。

義昭:何じゃと?

小一郎:侍はともかく、百姓にとっては誰が将軍様であろうがさして違いはござりませぬ。皆、その日その日を生きるので精いっぱいじゃ。潔う死んで満足するのは侍だけでござりまする。百姓は、どんなに不作でもどんなにひもじくとも、自分から死のうとする者はおりませぬ。泥水をすすってでも・・・はあ、生きようと致しまする。なぜなら、次の年こそ豊作になると信じておるからじゃ。(ずいっと近づいて)公方様、豊作の世にしてくだされ。ぶざまでも、生き延びてくだされ!(小一郎を見つめ、涙ぐむ義昭)

 非常事態だし、主人公特権なのだろう、小一郎が、光秀と共に将軍義昭のお傍にいた。その言葉に、今後の義昭はしぶとくしぶとく、信長を困らせ、都を落ちてもどこまでもしぶとく生き延びていくってことなんだよね。剣豪将軍の兄義輝とはまた違って、本当に面白い人物だよね。

 この後、三好家が代々本圀寺を崇めていたと義昭から聞いた小一郎が、三好方の心理的葛藤を突いて時間稼ぎをしようと、僧侶に化け、一世一代の大芝居を打つ。

小一郎が化けた僧侶:皆様方、これ以上のご乱行はおやめくだされ。ここは三好家代々のご当主が敬われていた寺でございますれば、それをないがしろにしては、七代先まで祟られましょう。しかも、火などかけようものならまさに東大寺の大仏の二の舞。あの暴挙も、三好家の方々の仕業と世に知らしめることとなりますぞ。我らも、あのような目には遭いとうござりませぬゆえ、公方様にはここからお移りになるとお約束頂きました。ですから、その間は手を出さぬとお約束頂きたい。さすればその後は、いかようにもできるはず。

 「相分かった」と三好方は承知したので大成功。まあ、ちょっとこのフィクションはご愛敬だったかな。この引き伸ばし作戦の間に藤吉郎と半兵衛が堺の傭兵を百ばかり率いて駆けつけ、三好は退いた。翌日には、信長も来た。

 百ならね・・・三好、まだ勝てたんじゃないの?

似てる?松永久秀と秀吉

 松永久秀、初登場から強烈でしたな。

語り:織田軍が三好三人衆を撃退した摂津芥川城に、一人の男が、信長を訪ねて参りました。

(廊下を行く松永久秀。久秀を迎え、一礼する藤吉郎。廊下の下の庭には、捕らえられた三好残党どもが、武装を外され後ろ手に縛られ蓆の上に座らされている。)

木下藤吉郎秀吉:これよりは、お腰の物をお預かりいたします。(受け取ろうと手を伸ばす)

木下小一郎長秀:(庭に、手を縛られた残党一人を連れて入ってくる)安心せえ。我らに従えば、命までは取らぬ。

三好残党:(久秀が目に入り)この、裏切り者めが!(久秀に突進)

小一郎長秀:待て!(藤吉郎と小一郎に組み伏せられる残党)落ち着け!このような真似をしたら・・・(久秀が、残党を一刺しして殺す音。血で染まった刃)おい!しっかりせえ!・・・何も、素手の相手を・・・。

松永久秀:三好の残党じゃ。刃向かったからには容赦せんことじゃ。

細川家家臣:義輝様の仇!覚悟!(刀を抜いている)

藤吉郎:この人は、お味方じゃ!(刀で立ち向かう)

細川家家臣:う~!ううっ、どけ!この、邪魔じゃあ!

小一郎:(背後から、頭部を刀の束頭で叩いて気絶させた?)御免!(細川家家臣の刀を奪い、久秀に一礼する)

久秀:かたじけない。これで良からぬ噂が立たずに済んだわ。(血の付いた小刀の刃を三好の旗で拭い、藤吉郎に預ける。廊下を進む。)

小一郎:(藤吉郎に、ひそひそ)何じゃあいつは?

 久秀のあの様子じゃ、小一郎が気絶させなかったらまた細川家家臣を久秀が殺しかねない。ナイス小一郎。新旧秀吉の対面も楽しめた。今のところ人が良く純粋な今作の秀吉と、「秀吉」「軍師官兵衛」を経てドロドロ堕ちたところまで完走した秀吉と。今作では松永久秀だから、ドロドロ秀吉っぽさが強くなるかもね。

 信長も、「さすが将軍を殺した男よ」と久秀にズバリ言った。「一向に身に覚えのない事。濡れ衣にございます」との返答だった。将軍暗殺は三好一族と久秀の息子がやった事だと言いたいのだろう。

 久秀は、大和で三好一党を追い詰めて戦っている、だから大和を治めることをお認めいただきたいと信長に懇願した。例の茶器「九十九茄子🍆」を献上したのか?(九十九髪茄子 - Wikipedia

 京の本圀寺では、故13代将軍義輝を支えていた細川藤孝、和田惟政、三淵藤英の幕府の面々から、久秀を迎えるについて「先の公方様の敵」「東大寺の大仏を焼き払った」など異が唱えられた。信長は「全て三好の流した戯言」「ありもせぬ噂に振り回されたとあっては、民の心など到底つかめますまい」といなしたが、火に油を注ぐ柴田勝家も参戦、マウント合戦になり場は収まらない。

 末席にいた藤吉郎と小一郎の「屁」を擦り付け合う兄弟漫才が始まり(横で竹中半兵衛の嫌がる小芝居!)、「べらぼう」恋川春町オマージュかと思わされたところで、新将軍義昭は久秀の扱いを信長に預けると言ったのだった。

 久秀と秀吉って、立場がなんか似てるよね?松永久秀の主が三好長慶。信長よりも20年早く来た天下人とも最近は称される人物だ。「麒麟がくる」では、昨年の「べらぼう」で粋な忘八のひとり扇屋宇右衛門を艶っぽく演じていた山路和弘が長慶にキャスティングされていたね。

三好 長慶(みよし ながよし)は、戦国時代武将で、畿内阿波国戦国大名室町幕府摂津国守護代相伴衆。元は細川晴元の有力家臣であったが、細川政権を事実上崩壊させ、室町幕府将軍足利義晴義輝共々晴元を京都より放逐し、三好政権を樹立する[6]。その後は細川氏が支配していた領地を継承・拡充して三好氏の勢力を畿内の大部分にまで広げ、足利義輝、六角義賢畠山高政らと時に争い、時に和議を結び、畿内の支配者として君臨した。(三好長慶 - Wikipedia

 三好長慶がブイブイ言わせていた頃に忠実に仕え、身分低いところから引き上げられたのが久秀だよね?そして主の嫡男が死に、すぐ翌年には落胆したのか主の長慶も死ぬ。主と嫡男が急死して、グダグダになった主家一族をしのぎ、実力でのし上がるところまで秀吉とイメージが重なる。その両者を演じるのが竹中直人だ。

 もしかしたら、秀吉が後に天下人になっていく過程で、松永久秀を思い出したりして・・・それもいいよね。

 三好長慶は早死にだったのがもったいないが、話はとても面白い。当然ながら、地元徳島などは「大河ドラマに!」と鼻息荒く運動を進めているらしい。長慶の物語を応仁の乱の後半から描くとなると、わかりにくい乱のあれこれもスッキリ整理してもらえそうだ。「仁義なき戦い」風にどうだろう?応援したい。

戦国天下人・三好長慶をNHK大河ドラマに! | 徳島県観光情報サイト阿波ナビ

徳島は三好長慶、岡山は宇喜多親子… 全国各地で白熱する「大河ドラマ誘致合戦」最新事情 - 産経ニュース

 この松永久秀の登場場面での小一郎の出で立ちが、ちょっと派手だった。スカイブルーの鎧に朱色の紐。着物を少し変えれば、よく見る若殿カラーだ。なにしろ小一郎は主役なのにベースカラーは銀色だし(はっきり言って地味そのもののグレーだよね)、隣に金色の兄者がいつもキラキラ笑顔で立ってるもんなあ。衣装さんも主役らしく目立たせるのに苦労しているのでは。

大やけど、小雪程度で冷やせない

 きっと、見ていた全視聴者がギャーと言ったと思う。あの設定は無い。せっかく絆が出来そうな浅井長政とお市とのロマンチック場面だったのに、見てると大やけどを超えた重傷になる心配が先に立ち、ロマンチックが台無しになった。信長が義弟になった浅井長政に託した、お市への京土産の手鏡の件だ。

 近江の小谷城に京から戻った長政は、信長に託された箱のまま、妻お市に信長の京土産を渡した。お市が包みを解き、そこで初めて飾り紐だけが色違いの(信長は緋色、長政は山吹色)、同じような細工の手鏡を自分もお市に買ってきたことに気づいた。

 しかし「兄に何かを買うて貰ったことなど、ほとんどありませぬ」と感激しているお市を前に、自分からの土産は懐に納めたまま妻に渡すのを諦め、「すまぬ。わしは忙しさの余り、気が回らなんだ」と言った。ただ、廊下に出て、自分からの土産の手鏡を懐から出して眺める長政。

 「真、お優しいお方」と、それに気づいたお市。きっと家臣に命じたのだろう、信長からの緋色の飾り紐が付いた手鏡は焚火にくべられた。お市、やることが極端だ😅舅の久政に嫌味な「戯言」=織田に内情を知らせておるのか、を言われちゃったからだろうか。

 (今回、「戯言じゃ」で語られる本音が目についた。公方様も、松永久秀に対し、信長に贈った茶器の方と「どちらが値打ちものじゃ」とカマをかけていたね、「戯言じゃ」って言いながら。その時の光秀の横目が鋭いこと!)

(家臣が赤い飾り紐の付いた鏡=信長からの手土産を、焚火に投げ入れる)

浅井長政:お主、何をしておる!(庭に駆け下り、火の中にある鏡を見る)なんということを・・・誰ぞ!誰ぞ!水を持て!

お市:もう良い!もう、良いのです。いつまでも織田を捨てられぬ、私が悪いのじゃ。私が・・・。

長政:(妻の様子を見て、火の中に手を突っ込み、鏡を取り出す)うあああー!ぐう・・・。

お市:なぜ、このような真似を!

 ホントだよ・・・なんでそんなことするんだよ。下手したら死ぬよ。そしたら、あの家臣は打ち首か?主が呼んでいるのいなくなっちゃったけど。しかし、お市の方というよりも、「もうよい!」は篤姫的迫力だったね。

 織田を忘れられない、じゃなくて信長を慕う気持ちが断ち切れなくて、お市は苦しんでいるんだろうな。信長も知っているから、まだ小谷城には来ないのだ。

 この後、長政がさっさと冬の池の水にでも手を突っ込んでくれたら、まだねえ。それなのに、いつまでもロマンチック芝居が続くんだもの。あんなパラパラ小雪で重症の火傷が冷やせる訳ない!

 少年漫画や日本書記ならね、火の中で焼かれる鏡をつかんでも全然平気~ってなるんだろうけど、大河ドラマでは無理がある。それとも、長政は盟神探湯みたいなことをやって、お市に愛情を示してみせたかったのか(盟神探湯 - Wikipedia)?やけどを免れたら真の愛!真の夫婦!みたいな?

 他にお市と長政の関係の進展を描く良いアイデアはあったはず。せっかくの宮﨑あおいと中島歩の熱演なのだから、脚本はもっと頭をひねってほしかったな。

「堺は、一筋縄ではいかんぞ」

 藤吉郎と小一郎は、松永久秀の仲介で商人の町・堺に出向くことになった。信長の命で、矢銭(軍用金)2万貫の大金を堺に課すためだ。現代の価値で20~30億円だそうだ。ひえー。(信長に2万貫を要求された堺で今井宗久は何をした?重用された理由とは - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

 堺は、物珍しい異国の品々や異人でいっぱいだ。小一郎が「松永久秀を信長が助けたのは久秀が茶器の名品を数多集めているからで、名品欲しさだろう」と邪推した時、竹中半兵衛は「茶器ではないと思います」と言っていた。

 それが、「これは何じゃ」「本当に何でもあるのじゃなあ、この堺には」と目を輝かせる完全おのぼり状態の木下兄弟を案内する、堺に詳しい久秀の振る舞いで、「なるほど」となった訳だけれど・・・この時に、銭さえ払えば何でも請け負う「主を持たない侍ども」が出てきたのが、今回のドラマ的にはミソだったね。

松永久秀:この町はな、どこの大名にも属さず商人たち自らが治める町じゃ。故に、あのような輩たちをあちこちで雇い、外敵から守っておるのじゃ。(略)

竹中半兵衛:ここには諸国からの銭と知らせが集まりまする。そして、もう一つ・・・。

小一郎:鉄砲か。

半兵衛:恐らく。信長様は松永殿を足掛かりにしてこの堺を手に入れるおつもりなのです。

 「麒麟がくる」では、吉田鋼太郎の久秀が、光秀を案内して回っていた。懐かしい。でも、堺ときて、もっと懐かしいのは「黄金の日日」だ。これで私は商人の町として自治が行われていた堺の存在を知った。呂宋助左衛門(呂宋助左衛門 - Wikipedia)が主人公で、現在の二代目松本白鷗がまだ市川染五郎だった頃に「助左」を演じた。

 丹波哲郎の今井宗久が良かったよね~。昔の大河ドラマの中でも金字塔だと言って良い。モニカ(夏目雅子)と悲恋の石川五右衛門(根津甚八)の大ファンだった。

toyamona.hatenablog.com

 この堺の会合衆(「えごうしゅう」と読むのかと思い込んでいたら、「かいごうしゅう」説もあるんだそうな)が、まだ三好三人衆の影響力も残っているのに、まあすんなり小一郎&藤吉郎らの織田方に大金を差し出す訳もなく。

津田宗及:矢銭2万貫やと?

藤吉郎:さよう。ひと月の内に納めよとの仰せにござりまする。

能登屋:そんな理不尽な事、呑めるわけないやろ!

藤吉郎:(ニッと笑って)わしもそう思いますわ。しかし、これはわしらが貰う訳ではござらぬ。幕府のための銭じゃ。それを払えぬとなると、この堺は、幕府を敵に回すつもりじゃと見なされてしまいましょうなあ。

津田宗及:ほう、我らを脅すおつもりか。

藤吉郎:滅相もない、わしは心配しておるのじゃ。

小一郎:待て待て、兄者。(前に出てくる)無礼なことを申すでない。

藤吉郎:何じゃと?

小一郎:確かに2万貫は途方もない額じゃが、ここに居られる会合衆の方々にとっては決して払えぬ額ではないわ。

藤吉郎:何?それは真か、小一郎。

小一郎:あらかじめ聞き込みして見積もったところ、各々が売り上げの2割ずつを出し合えば、2万貫など容易いもんやでえ。

藤吉郎:恐れ入った!皆様方は真の富をお持ちの方々。たかが2万貫で自治を許されるなら安いものじゃな。

小一郎:しかも、その銭で鉄砲300丁ほど買わせてもらいましょう。(パンパン!と扇で手を叩きながら)さすれば、ただ矢銭を払うより儲けにもなりましょう。(パン!)いかがでござる。

藤吉郎:津田殿。(肩に手を置いて)頼みましたぞ。

小一郎:これで、万事円満やな。(ニッコリ。松永久秀が笑っている)

竹中半兵衛:せやなあ。くれぐれも目先の儲け話に惑わされませんように。(4人が去る)

津田宗及:チッ。

 しかし、藤吉郎らは会合衆の津田宗及らにしてやられた。引き渡す約束の前日になって、目先の儲けの大きい三好三人衆の方に、鉄砲300丁は売られたのだ。

 新参者だもの、松永久秀が「堺は一筋縄ではいかんぞ。大和一国を治めるよりも、難しいやもしれん」と小一郎に言ったように、簡単じゃないよねえ・・・って、小一郎は後に、その大和を治める立場になるんだね。

 今井宗久は「わてら商人は時流を読んでなんぼ。今は織田信長っちゅう流れに乗るべきとちゃいますか?」と見たが、津田宗及はまだ「すぐに消えゆくような成り上がりとは、つきあいなんぞできまへん」と織田は信じるに足らぬと考え、三好三人衆の方を選んだのだった。

 目先の儲けも大きかったらしい。「より儲けの大きい相手と商いするんが商人の常道でございます」と津田宗及。半兵衛は見通していた。

 それで、正月で奉公衆の多くが国元に帰り、松永久秀も挨拶のために信長の岐阜城に行ってしまったタイミングで、本圀寺の義昭は鉄砲300丁を手にした三好三人衆に襲われたらしかった。前述の通り。

 この時、史実だから面白い話だけど、稲葉山城から逃げおおせた斎藤龍興がしっかり三好三人衆とつるんで本圀寺を囲んでいたよね。今後、ちょこちょこ出てくるのか?バイキンマンみたいに・・・と書いている記事があって、笑ってしまった。バイキンマンとは言い得て妙。朝倉氏の滅亡時に華々しく散るまで、楽しませてくれるだろう。

<バイキンマンの様に毎回出そうな勢い>『豊臣兄弟!』再登場した斎藤龍興に視聴者ワクワク「三好三人衆の先輩小悪党として」「実物に近いのでは?」「分かってるなー今回の大河」(婦人公論.jp) - Yahoo!ニュース

「妬むところが無い」・・・今、切実にあるよね?

 木下兄弟の屁の漫才で笑わせられた時に、将軍義昭は兄義輝について、このように言っていた。

足利義昭:わしは3歳で寺に入れられた故、兄・義輝との思い出など全くない。あるのは・・・妬みであった。(弟の気持ちに過敏な信長がピクンとなったか)だから、兄を殺したかもしれぬ松永久秀に対しても、何も思わぬ。いや、むしろそのお陰で今、わしはこうしてここにおる。

明智光秀:公方様、もうそれ以上は・・・。

義昭:わしは、兄のような将軍にはならぬ。松永の事は、織田殿にお任せいたす。よいな。

 この話を受けての、木下兄弟の会話。

藤吉郎:公方様もおつらい思いをされてこられたのじゃなあ。

小一郎:わしは、兄者の弟で良かったわ。

藤吉郎:なんじゃ、いきなり。

小一郎:へへへ。妬むところが、何一つない。

藤吉郎:それはどういう意味じゃ。

 放送開始から3カ月・4分の1が終わり、小一郎は百姓のボロボロの衣装からこぎれいな武将ルックになり、信長にも目をかけられ、家中で目覚ましく活躍している。

 でも、この3カ月で最愛の直を失ったのだ、小一郎は。兄者には可愛い寧々がいる。ただでさえ「いいなあ、兄者は」と、直を思いながら涙涙で思ってしまいそうなものだ。「妬むところが何一つない」と笑顔で語っているが、心の傷に重いフタを被せ、無理やり忘れようとしてるんじゃないのか?

 仕事で忙殺させられているから、どっしりしたフタを動かす暇もなく、忘れた気になっているのかもしれないが・・・次回予告で吉岡里帆が顔を出していた。これで小一郎の兄者を妬む気持ち=恋心も顔を出すだろうか?

(ほぼ敬称略)