黒猫の額

大河ドラマを見て半世紀。だらだらぐだぐだ考察します

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【豊臣兄弟!第33回「北庄城の別れ」ネタバレ感想】お市&勝家、愛のダイブは大屋根へ?

千田先生の優しい眼差し😿

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の魔の第33回「北庄(きたのしょう)城の別れ」は8/30に放送され、これ以上ない柴田勝家と織田家を背負って立つ力強いお市の方の、北庄城天守からの爽やかキラキラな飛び降りダイブの最期が描かれた。いや、こんなのは初めてだ。

 主人公小一郎は吠え、秀吉は血の涙を流しつつも、千利休にヒントをもらって笑顔で今回は締めくくり。小一郎はこれから秀吉の天下一統を笑顔で引っ張っていく。

 まずは公式サイトからあらすじを引用する。

(33)北庄(きたのしょう)城の別れ

羽柴軍の圧倒的な兵力の前に勝家(山口馬木也)は敗走、市(宮﨑あおい)の待つ北庄城に籠城する。小一郎(仲野太賀)は降伏を促すべきと言うが、秀吉(池松壮亮)は勝家が降伏するなどありえないと一刀両断。利家(大東駿介)に先鋒を命じる。羽柴軍が北庄城を取り囲む中、市は茶々(井上和)ら三姉妹を投降させ、自らは勝家と果てる覚悟を決める...。苦い戦ののち、大徳寺にこもっていた小一郎は、一人の茶人に出会う。((33)北庄(きたのしょう)城の別れ | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

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 戦いの後、小一郎が北庄城の焼け跡で吠え始めた時、もしかして9層の大天守から飛び降りて死んだお市と勝家の亡骸を見つけちゃって、そのスイカ割り後のスイカのような姿にショックを受けたのかと思ったが、イヤイヤそんなはずはなかった。

 専門家によれば、北庄城の天守から飛び降りればすぐ下には大屋根があるそうだ。だから、そこに引っかかったまま城と共にふたりは完璧に焼け死んだとの設定ではないかと思う。城をふたりの棺桶にしたわけで、飛び降りた勝家の首に群がりたい秀吉軍の手も届かない。

 だが・・・猛将勝家の最期が、知られた十文字の切腹じゃなくてお市とお手々つないでの飛び降り自殺なのはガッカリだとか、あれこれ言いたい。リアルの勝家は、わざわざ自分の天晴れな死に様を伝える係の老女まで用意していたというじゃないか。

 しかし、千田先生の目線がとびきり優しくて、感心した。

 そうそう、ジブリキャラだったら朝飯前で大屋根に着地できるね。そこから打掛を投げ捨て、ダダダと包囲網をかいくぐってどこに逃げたのやら。そうか、そのために秀吉側に投降したふりをして前田利家が先鋒になって攻めてきていたんだな。利家とまつが、親父様とお市の方を北陸のどこかに匿っているに違いない。たぶん。

 勝家=ランバラルじゃん!との声もあったので、どなたか懐かしの映像をアップしてくれないかと思ったらありました!素晴らしい!ありがとう!

 それにしても、早い段階で火矢も掛けられていたのに、小一郎はよく燃え上がる城の天守からあんなにきれいなままで戻れたものだ。若手の七本槍も(全員じゃなかったが)無事だったか。

 その天守まで追って来た若武者たちに対する、お市様の言葉が覇者織田家の姫って感じで堂々として良かったよね~みんな自分に槍を向けていたんだけどね。

お市:頼もしいのう。皆、良い顔をしておる。

 その言葉を聞いて、勝家は笑って太刀を捨てたよね。それで「よう見ておけ。これが戦じゃ」と、青空に向かって、お市の手を取って飛び降りた。完全にラブロマンスのワンシーンだった。

少女マンガ風、愛の逃避行

 このダイブに至るまでに、既にこちらは宮﨑あおいと山口馬木也の力技に圧倒されて涙ボロボロ。いつも少年マンガ風と揶揄される今年の「豊臣兄弟!」だが、今回は少女マンガ風味だったよね。

 だって、勝家は傷を負った手でお市の手をつかみ、もう片方の手で刀を振るって羽柴兵をバッタバッタと斬り倒しながら、天守まで逃げていくんだよ。途中「お市、見るな!」のセリフでキュンとした人はいたはずだ。

 少女マンガに切り替わったのは、お市の自害の刃を勝家が素手で止めたところからだよね。以前の浅井長政が焼けた鏡をお市のために炊き火から取り出し大やけどを負ったのも見ていて痛かったが、今回の勝家もなかなか痛い。普通は日本刀をつかんだら指が落ちるっていうもんね。秀吉が足の甲に刀を突きたてたのも加えて、今作3大痛いシーンの3位にしておこう。

 しかし、勝家は刃を握った手から血を滴らせても物ともせず、妻に対してというよりも、ずっと憧れだったお市様に対して「最後まで抗いましょうぞ」と丁寧語にして言ったのだ。カッコいいぞ~勝家!愛の逃避行のスタートだ。ヒューヒュー!

お市:(勝家の前で自害しようと小刀の切っ先を喉元に当てる)さらばじゃ。(目を閉じ、刺そうとするが、滴る鮮血。目を開けると、勝家が刃をつかんでいる)は・・・。(思わず涙が流れる)

勝家:やはり、そなたを死なせることなどはできん。(呆気に取られているお市を前に、涙涙の勝家)アハハハハハ・・・いま一度、抗いましょうぞ。(小刀を捨てる)この勝家が、最後までお守りいたしまする。(笑顔で市の手を握り、部屋を出ていく)

 この、勝家の「抗いましょうぞ」の決心を引き出したのは、お市の涙ながらも笑顔の感謝の言葉だったと思う。ここの夫婦のシーンが今回は出色、大好きだ。

 賤ケ岳から敗走し北庄城に戻った勝家に、お市は心づくしの膳を用意していた。たぶん織田家の姫様だから、手づから作ったことなど無いだろう。美味しくないかもしれない。

お市:侍女たちは皆逃がしましたゆえ、私が作りました。

勝家:すぐに羽柴の者どもが来よう。今はこのようなことをしておる時では・・・。

お市:せっかく作ったのに・・・。

勝家:(飯と汁物と煮物の膳。手を付ける)

お市:いかがです?

勝家:・・・美味しゅうござる。(食べ続ける)

お市:フフ・・・相変わらず、嘘が下手じゃなあ。

勝家:いや、儂は真に。

お市:そこが、あなた様の良いところです。あの秀吉と違っての。

勝家:(完食)はあ、馳走になった。はあ~。(座り直して)逃げよ、お市。

お市:・・・覚えていらっしゃいますか?私が浅井の家に嫁いだ日のことを。

回想のパッツン前髪のお市:いっそお前と一緒になる方がマシであったな。

回想の勝家:そそそ、そのようなことを、ととと、突然言われましても・・・。

回想のお市:戯言じゃ。(勝家、跪く)

お市:あの時の、狼狽えようときたら・・・。

勝家:フー(肩も視線も落として)。からかうでない。

お市:でも今は、戯言ではありませぬ。(目に涙を湛える笑顔のお市、ゆっくり顔を上げる勝家)長政殿もあなた様も、私にはもったいないお人でした。

勝家:あ・・・(激しくかぶりを振る。泣きそう)

お市:私は、良い夫に恵まれました。(顔を逸らし、泣く勝家)もう十分でございます。(涙の目で微笑む)私も、共に逝きます。

 こう言われてみたいよね・・・いや、相手に恵まれたと、感謝の言葉を今わの際には言いたいものだ。この勝家に向けられたお市の夫婦愛を見せられて、さぞリアルで宮﨑あおいの夫・岡田准一は嫉妬していることだろうと・・・そんなこたーないね。

お市、娘3人との別れ

 こうして、お市は勝家と共に逝く覚悟を固め、浅井長政の遺児である娘3人に別れを告げ、一緒に逃げてと願う娘には「そういう訳にはゆかぬ」と答えた。

 そうだよね、年齢的にどうなのかという意見もあるけれど、生き残れば秀吉の側室に形だけでもさせられるのは決定的だったと思う。「織田家」が秀吉に屈服したという生きた証に自らがなるのは、お市は耐えられなかっただろう。

 結果的に茶々が側室にさせられるが、じゃあそれは良いのかと言えば、茶々は織田の血を引いてはいるが「浅井長政の娘」だ。こう言っては何だが、浅井家ならば、秀吉の側室を出そうが、織田家代表のお市としてはどうでも良かったのかも。

 お市は、茶々の「共に残る」という願いも却下。その代わり、信長からの守り刀を渡した。ただし「守り刀は己の身を守るためのもの」であって「秀吉と刺し違えようなどゆめゆめ思うてはならぬぞ」と言い含めた。

 辛い選択だ。娘の幸せな将来を願えばこそ、秀吉に刃を向けたら全て終わるのは目に見えているからね。この守り刀、印象的な場面での登場が決定的なアイテムだ。茶々の生涯を考える時、大坂落城の時に・・・とも思うが、そこまでやるのかな?

 秀吉に投降してから、寧々の部屋に案内される時、茶々は一瞬守り刀に手をかけた。秀吉も気づき、立ち止まった。現れた蝶が茶々を止めなければ、秀吉は、いっそ斬ってほしかった?そんなことないか、その場で茶々を返り討ちに斬り捨てたか・・・。

 別れの場面に戻ると、お市は茶々と初、江にこう言い遺した。

お市:そなたは生きて、妹たちを守るのです。そなたがこのふたりの守り刀となるのです。そしていつか・・・父上のような御方と巡り会って良い子を産むのです。さすればその子が、きっとあなたたちを幸せにしてくれる。この母が、そうであったようにな。姿はなくとも、触れることはできぬとも、母はいつも傍におりまする。

 何と皮肉な、ずいぶんと楽観的だなお市。「父上のような御方」じゃなくて、茶々の相手は秀吉だ。ある意味、お市の身代わりに、とばっちりを食わされる悲劇の茶々なのだ。

 しかし、茶々は見事に「妹たちの守り刀」の役割は果たしていくんだよね。ここで、母に縋りつく妹にも「泣くでない!」と一喝。

茶々:これ以上、母上を困らせるでない。(市に、微笑んで)我らのことは何も心配要りませぬ。上様と父上にお伝えくだされ。織田と、浅井の血は我らが決して絶やさぬと。どうか、見ていてくだされ。

お市:それでこそ・・・それでこそ私の娘じゃ、娘たちじゃ。強く、しなやかに生きるのじゃぞ。(娘たちを抱きしめる)

 ううう・・・健気で涙が出る。確かにそうなるよね。現代の天皇家にまで血がつながるのだよね、天晴れだ。定番の話で内容は分かっているのに、戦国大河のたびに毎度毎度旬な女優さんが演じる浅井三姉妹の純な演技に泣かされるよ。

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お市を思い、秀吉も血の涙。皆が涙

 幼少期からおとぎ話を作って相手をしてきたお市の方が相手方となっての戦で、小一郎も秀吉も心は千々に乱れていた。お市の3人の娘たちが秀吉の下に投降したのを機に、最終的に落城させるための城攻めが始まった。

 秀吉は「これより城を攻め落とす」と一同に告げた後、小一郎に「お前は副将として儂の側を離れるでない」と言った。小一郎は秀吉を見たが、腑に落ちない顔だった。

 そもそも、仲良しのお市なら勝家との間を取り持ってもらえるのではないかと期待して、秀吉はお市と勝家の再婚を勧めたのだったっけ。それが、まさに織田家の盟主として自分たちの前に立ちはだかったのはお市その人であり、ある意味誤算だった訳だ。

 血の涙を流し震えながら「行くでないぞ」と、北庄城に向かいたい小一郎を止める秀吉。行かせれば、危険を顧みず小一郎は何とかお市を助けようとするのかもね。血の涙のメイクが・・・ちょっと・・・だったけど秀吉の気持ちはわかる。

 秀吉は、鬼柴田が降伏するなど有り得ないと言っていた。誇りを胸にお市と共に散るだろうと考えていたが、小一郎はそうじゃないね。降伏を促すべきだと青臭いことを言っていたよ。

 落城を迎え、秀吉は泣きながら勝ち鬨をあげていた。それは前田利家や皆も同じ。勝っても負けても、織田家中の身内同士の戦いが爽やかな訳はないが、あまりにも後味が悪すぎる戦いだった訳だね。これでは、秀吉は前に進めない。

 一方の小一郎は、北庄城を陥落させた後に、大徳寺にこもってしまった。そこで「茶嫌い」の茶人・千宗易(利休)に会うなんてねえ。これまた大茶人に対してずいぶんと奇をてらった設定だが、演じるのが純(「北の国から」の吉岡秀隆)だから、これも何とかしてくれるはず。

 茶嫌いは、苦く嫌いな茶を飲めるのもその先に甘い菓子が待っているからと、小一郎に指針をくれるための設定だったのだよね。苦い闘いの先には、笑える良き日も待っていると。山口馬木也も宮﨑あおいも去った今、吉岡秀隆はこれから楽しみな存在だ。

 そして今回の最後、秀吉を何とか笑わそうとしていた小一郎。何事に取り組むにしても、笑顔が大事なのは確かだね。特に秀吉は、ポスト信長の世の中を引っ張っていこうとするリーダーなんだから。それをまた笑顔で支えなきゃならん小一郎だってことだ。

 ・・・しかし、ふたりのキャッキャキャッキャは子どもっぽ過ぎる。ふたりとも、一体いくつなんだ。小学生じゃないぞ。

 このようにメンタル面で秀吉を支える話も良いんだけど、時代考証の黒田先生によると、小一郎の戦上手がかなり秀吉の天下一統の助けになっていたらしい。ならば、もう秀吉軍の副将であるはずの小一郎が刀を振り回してワーワー戦ってる場面ばっかりじゃなく、調略や戦略の方面での小一郎の活躍を見せてほしいかな。九州攻めあたりで、ぜひ。

奇をてらわず、もっと役者を信じてほしい

 小一郎は、侍の誇りを理解したくないのか、やっぱりまだ百姓気質に近いのだろうかと思わせるところがある。というか、小一郎は視聴者代表の現代人感覚の持ち主の設定なんだろうね。

 今回に限らずだけど、その過度にも見える現代人感覚って必要なのかなあ。邪魔だと思うんだけど。小学生にも分かりやすく、現代人目線の演技プランに従っているからなのか何なのか、それが学芸会の演技とか言われてしまう所以になっている気がするよ。

 いくらドラマはエンタメでありフィクションだとはいえ、今回のお市様と勝頼の天守閣ダイブといい、史実から離れたアレンジが目立つのでブーイングも聞こえてくる。が、せっかく良い役者が揃っているのだ。それはNHK大河ならでは、他の民放ドラマがなかなか望めないことだと思う。

 小一郎の仲野太賀も秀吉の池松壮亮も、かなり演技が上手な良い役者さんだと思う。お市の宮崎あおいも勝家の山口馬木也も・・・特に勝家は、これまでで一番エモい勝家を見せてもらったと思うぐらいで、言うまでもない。

 (個人的には、「おんな太閤記」の勝家がこれまでで一番ハマっていたなあ・・・名前が思い出せないが。「江」の勝家も、子煩悩で良かったよね。でも、今回の情熱的なラブストーリーは、山口馬木也だから成立したんだと思うね。)

 だから、彼らの演技力を以てすれば、あまり奇をてらわず、真っ当に分かっている史実に沿って物語を展開しても、十分面白く見られると思うんだよね。

 脚本家さんは、史実を一捻りも二捻りもしたりすると、考証の黒田先生が下の動画で言っている。それは脚本家の独断ではなく、NHKの制作側の要求だろう。そんなことをせず、今後の小一郎の真の活躍を期待しているが・・・もう遅いかな。

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お慶がコワイ

 吉岡秀隆の吉岡と言えば、吉岡里帆が演じるお慶が、またも恐ろしい鬼のような形相で大徳寺にやってきて、小一郎を縄で縛って連れ帰ろうとしていたね。ふさぎ込んでいると聞いて心配して来てみたら、小一郎はスッキリと立ち直っていて、それが面白くないのだと。

 え~💦何か自分勝手な子どもっぽい嫁だ。いいじゃない、心配だっただろうけど、夫が立ち直っているんだよ。相手を思えば「良かった」ってホッとしたっていいじゃん。自分が自分が言いなさんな。

 それに、この人の睨んだ顔は、どうも本当に恐ろしい。浅井三姉妹を相手ににっこりと笑顔を見せた寧々は、笑っても十分貫禄も見せていた。だから、今回のコメディーパート担当のお慶にも、ちょっと拗ねて冷たくとも、夫が立ち直った喜びがこぼれる笑顔の感じで小一郎を縛り上げてほしかったかな。

 さて次回、松下洸平の家康が楽しみだ。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第32回「賤ケ岳(しずがたけ)の決闘」ネタバレ感想】柴田勝家vs.前田利家!勝家は分かってる、最後の言葉にしびれた

心が定まらない小一郎

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第32回「賤ケ岳の決闘」が8/23に放送され、これまで与力として従ってきた恩ある親父様・柴田勝家と、若い頃には隣同士で娘まで養女にやった仲の良い「犬猿の仲」の羽柴秀吉との間で揺れる、悩める前田利家が描かれた。その利家を受け止め、送り出す勝家が最高にカッコ良かった。

 ふたりの殺陣=「賤ケ岳の決闘」は必見。さすが『侍タイムスリッパー』山口馬木也は、『剣客商売』の大治郎として藤田まことに可愛がられただけある。見た目はワイルド、でも剣士としての品がある。

 

 その山口に利家役の大東駿介がよくついて行っていた。ただ、秀吉と対峙した時に、ピタッと喉元に刃を止めてもらいたかった気もする。でもフルフルしちゃうよねー、どうしたって。「麒麟がくる」で刀を突きだすポーズを決めたはずのハセヒロが、後ろ姿で見ても足腰がブルブルしちゃっていたのに比べれば全然力強かった。

 では、あらすじを公式サイトから引用する。

(32)賤ヶ岳(しずがたけ)の決闘

 

信雄(山脇辰哉)を味方につけた秀吉(池松壮亮)は信孝(結木滉星)との戦に圧勝、三法師(清水伊織)を奪還する。勝家(山口馬木也)が雪解けを待ちつつ秀吉との戦の準備を進める中、利家(大東駿介)のもとを、思わぬ人物が訪ねてくる。やがて春が訪れ、羽柴・柴田両軍は賤ケ岳で対峙。にらみあいが続く中、信孝が岐阜で再び挙兵したという知らせが! 秀吉は小一郎(仲野太賀)に後を任せ、岐阜へ向かうが・・・。((32)賤ヶ岳(しずがたけ)の決闘 | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

 いくら黒田官兵衛が「殿以外に前田殿を説き伏せることはできませぬ」と言ってもね、やっぱり主役なんだから、ここ一番の前田利家を調略する使いの役目は小一郎に担ってもらいたかった。しかし、ドラマで利家を訪ねて行ったのは、秀吉本人だった。

 そうだね、例えばいくら秀吉の手紙を持参して小一郎が誠心誠意尽くしてみせたところで、利家は鼻で笑って「儂をバカにするな」と思うだけかもな。頑張って脚本家が小一郎による利家の説得場面を書いたとしても、「そんなことで丸め込まれるかなー」と嘘くさく薄っぺらくなりそうではあった。

 しかしね、うっかり騙されそうになるが、ドラマのように秀吉が行く方が絶対にフィクション。大将が身をやつして敵方の城に出向くなんて、あり得ないでしょう。普通は首を取られて終わりそう。「言うても聞かんかったんじゃ!」と小一郎も頭を抱えている。でも、会いに行った方がドラマでは面白いもんね。

 そう考えると、リアルではどういった手練手管で人格者だという前田利家をリモートながらも秀吉が陥落させたのだろうか。その使いの大役を担えるのはやっぱり小一郎しかいなかったはず・・・リアルに素直に従っていれば、主人公のこれ以上ない見せ場になったよね。

 秀吉のリモート人たらしの真骨頂を、後世では想像しきれないのかもしれない。が、それこそが見たかった。ドラマの小一郎だって人たらしだ、やっぱり小一郎に利家を攻略してほしかったなあ・・・話が元に戻ってしまったね。

 ただ、人任せにせず秀吉が利家の下に行ったのには、ドラマではそれなりの理由があったようだ。蜂須賀小六がこう説明していた。

蜂須賀正勝(小六):なんぞ上様が死なれてから、何やら殿は変わったのう。前は儂らに散々無理をさせたくせに、今はひとりで無理をしておる気がする。

 そして、その言葉を聞く小一郎の脳裏に甦る、前回のお市の言葉。

回想のお市:そなたにはあるのか?今の兄を真に支える覚悟が。

 この時に、小一郎は目も曇り、手で顔を覆ってため息をついたりして、心が定まっていない。今回の冒頭の、信長三男・信孝の岐阜城に兵を差し向ける話を秀吉が皆にしている時も、不満そうな表情を隠しもしなかったね。

 だから、こんな状態の小一郎を使いに出したところで、お市の説得に失敗したように、利家の説得だってうまくはいかない。だから、秀吉自身が行かざるを得なかったのだろう。

 お市の言葉に揺さぶられて以来悩む小一郎は、まだ織田家を敵に回してまで天下取りに動く兄に納得していないね。(そして、それに気づいていないアホ信雄!弟に先を越されるのが癪だからって、家を滅ぼすのか。)

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笑顔の秀吉と、悩む利家

 その秀吉が、捨て身でわざわざ利家の居城・七尾城を訪ねた場面。仲良し「犬猿」のワンワン、ウキー!のじゃれ合いは、さすがに無かった。あさひの夫・副田甚兵衛の後ろに隠れて現れた秀吉が「又左!」と呼ぶと、利家は驚愕して「正気か!」と叫び、速攻で家臣を下がらせた。

利家:今がどういう時か分かっておるのか!

秀吉:わかっておる。だから来たのじゃ。じっくり話がしたくての。(満面の笑顔)

 呆れた利家。秀吉に酌をされた酒を飲みつつも「こんなものでは騙されぬ。話があるならさっさと話せ」なんて冷たい。秀吉とは視線を合わせようとしないが、でも会ってあげてるんだもんな。別に秀吉が今や織田家の筆頭家老だからという訳でもないだろう。

利家:このようなことが柴田の親父殿に知られてみよ、お前と通じていると疑われる!そうなったら、儂はすぐにお前を殺すぞ。

秀吉:ということは、少なくとも今は殺さぬという事じゃな。

利家:図に乗るな。いつ気が変わるかもしれぬ。

秀吉:真は儂が好きであろう。正直に申せ。

利家:はあ・・・やはり今すぐ殺す。(刀を抜き、刃を秀吉の喉元に突きつける)

秀吉:ワハハハ・・・儂はお前が好きじゃ(疑いのない笑顔)。殺されとうないし、殺しとうもない。そんなことをしたら、寧々にもお豪にも叱られるでよ。そなたらには、お豪を授けてもらった大恩がある。(突き出した刀を納める利家)寧々が申しておった。まつにはいつも腹が立つが、飾らずに物が言い合える唯一の友だと。あの二人を、敵同士の女房にはしとうない。又左、儂に力を貸してくれ。

 お豪の名を出されれば、利家は刀を納めざるを得ない。養女にやったとはいえ、現状では四女は秀吉の下で人質になっているようなものだ。人質とは秀吉は口が裂けても言わないが、お豪という利家の娘カードを握っているのは同じこと。利家は、実は苦しい立場だ。

 じゃあ、柴田勝家への人質はどうなっていた?史実では、利家夫妻は三女摩を勝家家臣と婚約させて北庄城に出していた(摩阿姫 - Wikipedia)。「利家とまつ」では、まつが産んでいない訳アリの娘として佐藤藍子が演じていたね。後に秀吉の側室になる。

 

 三女の姉は側室、四女の妹は養女・・・大名の子女は人質のご奉公があって大変だ。

利家:(キッと秀吉を見て)儂に、柴田の親父殿を裏切れと?

秀吉:お主が我らに下れば、流石の鬼柴田も諦めるであろう。戦となる前に、事を終わらせられるやもしれぬ。

利家:ハハハハハ・・・あの親父殿は、そんな玉ではないわ。儂が寝返ろうが寝返るまいが、降伏などはせぬ。・・・さては、恐れておるな?負けるのが怖いなら、お前の方こそさっさと降伏しろ。

秀吉:(笑顔は消えている)真に儂が怖いのは、儂自身じゃ。このまま戦となれば、儂はお市様まで討たねばならぬ。

利家:(首根っこを捕まえ)そうなるように仕向けたのは、己ではないか!(突き飛ばし)それが嫌なら、負けを認め我らに従うことじゃ。

秀吉:それでは何も変わらぬ。今の織田では何も変わらぬ。柴田殿は、今あるものを守ることはできても、新しき世を作ることはできまい。だから儂がやると決めたのじゃ。もう、こんな世はうんざりじゃからのう。又左、儂は天下人になる。

利家:(盃を取り落とす)思い上がるな!サルにそのような真似ができる訳なかろう!

秀吉:そうじゃ。百姓上りのサルには到底できぬ、大それたことよ。だからやるのじゃ。儂にしか作れぬ世を作ってみせたいのじゃ。(驚愕して立ち尽くす利家)前田又左衛門尉利家。儂と共にやろう。(息を呑む利家に、ひれ伏す)

利家:ふざけるな!(秀吉を廊下へつまみ出す)何でこの儂がお前に仕えねばならんのだ!

秀吉:まだ話が!(閉め出される)

 閉め出された秀吉だが、利家の心に楔を深々と刺すことには成功した。

 この時、従者として廊下にいた甚兵衛は、話を全部聞いていた。「皆も待っている気がいたしまする。殿の口からそのお言葉を聞けるのを」と言うクレバーな彼だから、後の苦渋の決断もできるのかもしれないよね・・・。

 さて、秀吉は「まだ誰にも言うでない。途方もない、儂の身勝手じゃ」と言う。お市様まで攻める自分が怖いと言ったり、何と言うか、今作の秀吉は、純だし、本当にまともだ。「どうする家康」のムロツヨシ版秀吉に、爪の垢を煎じて飲ませたいほど。闇落ちなんぞ、していない。

 いっそサイコパスだったら、気も楽だろうに。だから胃癌になるのかな・・・。

 

とうとうキター!勝家と利家の決闘

 秀吉に楔を刺されてしまった利家は、もう秀吉の言葉「新しき世」が頭に陣取っている。勝家との間がぎくしゃくし出し、それを勝家も感じ取った。

 士気を高めるための柴田陣営の腕相撲大会(腕押しって言うんだね)で、空気も読まずに利家は勝家に勝利、優勝した。褒美を、と言われた利家は、鼻息荒くこう言ってしまった。もうしっかり秀吉に毒されている。

利家:殿!天下人になってくだされ!天下人となって、新しき世を作って下さりませ!儂は!その手伝いがしとうござりまする。(え?となる勝家、佐々成政ら一同)

勝家:この戯けが!そのようなことをこの儂が望むとでも思うておるのか!上様の作られた織田家をお守りし、いずれ三法師様を天下人にする!それこそがこの儂の務めじゃ!(襟首をつかまれ、勝家を見あげている利家)つまらぬことを口にするな!(利家を放り出す)褒美は無しじゃ。

利家:(惨憺たる思い、でもすぐに気を取り直して平伏し)ははあ~!申し訳ござりませぬ!あ~、はあ、儂としたことが、つい余計なことを。(自分の頬を2度殴る)腕押しのせいで、悪酔いしてしもうたようじゃ。ふう~。頭を、冷やして参りまする。(頭を下げて退出。廊下で降る雪を見つめる)

 悪酔いしたのは秀吉に、だよね。ここで勝家との価値観の違いがあからさまになったが、勝家は「上様の作った織田家」を守るべきものと捉え、秀吉は信長の目指した「新しき世」が目標になっている。同じ上様信長を見ていたのに・・・。

 いや、勝家は秀吉と違って古参なだけに、お市もセットの集団としての織田家を見ていたんだと思う。誰だっけ、たぶん小和田哲男先生が、勝家は前途有望と見られていた信長弟・信勝(信行)の家老に元々は付けられていたぐらいだから、昨日今日織田家に仕えた秀吉のような新参者ではなく、勝家の父親の代にはもう織田家家臣だったのではないかって。

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 勝家は、信長に寝返ってかつての主である信勝を斬った。ドラマでは、勝家が直接手を下した表現になっていたぐらい。だから織田家を率いる信長に殊更に忠誠を誓うのも分かる気がするんだよな・・・弟を斬らざるを得なかった気の毒な信長を見捨てない、俺だけは上様の家族・織田家を守りきるんじゃーみたいな。大好きなお市もいるし。

 勝家との戦いが幕を開ける前に、秀吉は上杉との約定をまとめ、佐々成政を上杉対策として北庄城に張り付けさせることに成功。琵琶湖から北に伸びる北国街道沿いには、砦をいくつも造成した。やるべきことはすべてやった。

 春の雪解けとなり(「雪はこの北国に平穏をもたらしまする。いっそ、この日ノ本中にずっと雪が降ればいいのに」という、まつの言葉が染みる)賤ケ岳の戦いが始まると、腕押し大会の遺恨じゃないが、利家は軍を動かさなかった。

 田上山で小一郎が佐久間盛政の猛攻を食い止めていたため(それにしても、小一郎は前に出過ぎじゃないのか💦もうちょっと後ろに居てよ)、盛政を助けるよう向かえと勝家から指示があっても利家は無視。秀吉が大返しで到着し、小一郎はお陰で命拾いした格好だった。

 「前田を向かわせよ」と言った時の勝家の表情がね・・・「こりゃ、動かんな」と利家よりも先に分かっているようで既に寂寥感たっぷり。伝令を受けて「承知した」と答えた利家の足が止まり、手に平穏の象徴「雪」を受ける姿までもが見えていたんじゃないのか。

 佐久間盛政の軍が敗走して後、利家がふらりと勝家の陣にやってきた。玄蕃尾城か、柳ケ瀬か。利家の姿を認めた勝家は、「羽柴を迎え撃つ!備えよ!」と他の兵に告げ、去らせた。舞台は整った。

勝家:何故かは聞かん。もはや聞いたところで意味の無いことよ。

利家:仏門にお入りくださりませ。秀吉にはそれで手を打たせまする。

勝家:儂も見くびられたものよの。この戦、まだ負けるとは思うておらぬ。(刀を抜く)うぬの首を挙げて、奴らに見せつけてやるわ!(斬りかかる。刀で受ける利家、構え直す)腕押しのようにはいかんぞ!(斬り合い)死にたくなければ、儂を殺せ!

(刀の鞘を捨て、槍に持ち替える利家。降りやまぬ雪の中、戦うふたり。やがて勝家が利家の槍を叩き落とし、刀を首元で止める。見合うふたり)

勝家:うぬのような弱き者を斬っても、寝覚めが悪うなるだけじゃ。(刀を下げる)二度と、その面を儂に見せるな!(去っていく勝家、膝から崩れ落ちる利家)

利家:儂は!(勝家の足が止まる)親父殿に上様の後を継いでほしかった!親父殿と共に・・・新しき世を作りとうござりました!

勝家:(振り返り、戻ってくる)儂は織田家家老・柴田勝家じゃ!今更変わることなどはできん。(腰を落として利家と目を合わせ、穏やかに)その願いは・・・別の者と果たせ。(雪の舞う中、去る)

利家:(涙にくれる。涙を飲みこみ、平伏する)

 腕押しのようにはいかない、確かに。実戦に強い歴戦の勇者・勝家だ。その勝家を織田家の守護者として選んだのはお市。お市様に選ばれちゃったからには、勝家はもう後には引けないんだよ。泣ける。

 ただ、ちゃんと利家を手放してくれたのが、もうね・・・真の勇者はなんと優しいことか。この後、秀吉軍の先鋒として北庄城に攻めていく利家は、どんな気持ちなんだ。それが恩返しとか?きついな~。

 もうあと少しで次回の放送が始まる。勝家とお市が体現する覇者としての織田家の終焉を見届けねばね。今日は、朝から福井での豪雨が報じられていて、この日に当たったのは勝家が呼ぶものが何かあるのかと思ったりした。前もそんなことがあったような気が・・・。数日来の北陸での大雨、お見舞い申し上げます。

 あ、中川清秀については、今回の賤ケ岳での裏切り者にされちゃって、利家から秀吉への土産首にされたのは違うんじゃないかと思うけれど、荒木村重の時の裏切りがちゃんと片が付いていなかったからな・・・その分の裏切り者として、今回、始末を付けたという事なのだろう。なるほど。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第31回「これで、お別れにございます」ネタバレ感想】秀吉の覚醒と裏切り!小一郎の覚悟を問うお市

お市は秀吉を止めるために嫁いだ

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第31回「これで、お別れにございます」が8/16に放送され、信長死後の兄秀吉の覚醒に翻弄される、小一郎の苦悩が始まる見応えある回だった。前回「小一郎を活躍させてくれ~」と書いたので、まあ良かった。

 今回までで上様の志を継ぐ意欲にあふれた秀吉はある意味腹が座り、何をすべきか覚悟が定まったと言えると思うが、兄信長ラブのお市は「サルが兄を継ぐなど許さぬ」と怒り心頭だ。信長を継ぐのは誰か、秀吉かお市か、対立は鮮明化した。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

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(31)これで、お別れにございます

清須会議後の秀吉(池松壮亮)の行動が織田家中に波紋を広げる中、市(宮﨑あおい)は秀吉に対抗するため勝家(山口馬木也)に嫁ぐ。さらに信孝(結木滉星)が幼い織田家当主・三法師を岐阜へ連れ去ったことで、水面下の主導権争いが激化。小一郎(仲野太賀)は三法師を取り戻すべく重臣らの協力を仰ぐが、拒絶されてしまう。そこで「信長の葬儀を行う」という名目で関係者を集め、話し合いをしようとするが...((31)これで、お別れにございます | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

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 お市は、前回の秀吉との対面の時点で、秀吉の意図を見抜いていたのだったと今回の勝家との会話で分かった。秀吉の意図とは、黒田官兵衛が説明してくれていた。

 確かに、このドラマの設定では羽柴兄弟はお市と仲が良い設定で、どういうこと?と思っていたが、こういうことだった。仲良しならば、お市を通して柴田勝家をコントロールしようと秀吉が目論んでもおかしくなかったね。

 ところがどっこい。勝家に嫁げと言われた時点で、お市は秀吉の目論見を理解していた。そして、その策略を自ら利用して、織田家を主導的に守るために勝家に嫁ぐという、一枚上手の判断をした。目的はただ1つ、兄信長に成り代わろうとする秀吉を止めるためだ。

 さすが、前髪パッツンの幼い昔からサル兄弟の作り話を聞かせられてきただけのことはあり、お市は秀吉の考えなど全てお見通しだ。あの退屈な時の面白話は伏線だった。

お市:(柴田勝家に嫁ぎ、北庄城にいる。秀吉からの手紙を読み上げる)信孝殿が三法師様を手放さぬことは、明らかに清須での取り決めに反すること。取り決めを守るよう、私からも口添え願いたいと。もし万が一にも殿(勝家)が関わっているようであれば、すぐに手を引くよう、お諫めして下されと。

勝家:ぬけぬけと。先に勝手な真似をやり始めたのはあやつの方ではないか。

お市:それゆえに、私はここにいるのです。

(嫁ぐ前である2か月前の回想、前回の終わりのシーンの続き)

お市:勝家。私を娶れ。

勝家:お戯れを。何を申されますか。

お市:羽柴秀吉を止めねばならぬ。あ奴は兄上になろうとしておる。兄上が目指した世を自らの手で成そうとしておるのじゃ。そのためなら、織田をも滅ぼす覚悟であろう。私には分かるのじゃ。何度もあ奴の作り話を聞いてきたからのう。あ奴の嘘を見破るなど造作も無いこと。

回想の秀吉:この秀吉が、上様に代わって織田家をお守りいたしまする!

回想のお市:まこと、織田家の為か?

回想の秀吉:無論でござりまする!

お市:じゃが、私にはあ奴と渡り合う力はない。故に、お力をお貸しくださりませ。信長の妹であるこの私を旗頭とし、逆臣を討つのです。(両手をつき、頭を下げる)そのためならば、あなた様にこの身をお預けいたしまする。

 小一郎は兄に騙されたまま手伝っていたらしいが、秀吉は領地の分配などの諸将への差配をどんどん進めて味方を増やし、名代として並び立つはずだった他の家老らを出し抜こうとし始めている。恨みを買い疑心暗鬼を呼ぶのは当然で、三男信孝は三法師を岐阜城に連れ去り、名代のような顔をし始める。織田家の主導権争いは明らかだった。

「お市の法号」を無視?

 そこで主人公小一郎がひねり出したのが、皆を招いて信長の葬儀を行い、そこでもう一度話し合おうという、今更ちょっとお花畑な話だった。

 しかしその後、お市が法要を行ってそこに主だった織田家上層部の人たち(織田信孝、柴田勝家、丹羽長秀、池田恒興ら)が参加。もう話し合いなんぞできない、力を見せつければ反感を買うだけだから葬儀を止めようと小一郎は言い出していた。

 もちろん、秀吉はやると断言。葬儀の目的はただ一つ、信長を弔うためであり、盛大に弔いたいのだと・・・それが権力者の交代を人々に印象付けることになるからね。争いも決定的になるけれど。

 あるサイトに、信長の葬儀を巡るまとめが載っていた。引用させていただく。ドラマに無い法要がある。

◆天正十年(1582年)織田信長の葬儀

8月18日……妙心寺で信長の乳母だった養徳院(池田恒興の母)が追善供養

9月11日……妙心寺でお市の方が百箇日法要を行い、勝家と信孝陣営の後継者アピール

10月11日〜17日……大徳寺で秀吉が葬儀を挙行し、喪主は信長五男で秀吉の養子だった御次秀勝が務めた

法号……お市の「天徳院殿」を秀吉が拒否し、朝廷から「総見院殿」を賜る(信長の葬儀はなぜ二度行われたのか?お市と秀吉が争った法号と後継者の座

 ドラマだと、あたかもお市の方が秀吉による10月の葬儀のお誘いに対抗し、法要を先回りして9月に催したような印象だった。そこに、秀吉に反感を持つ織田武将らが参列したと。

 ところが、リアルでは信長の乳母(池田恒興の母)が8/18に追善供養の法要を行っていた。場所は妙心寺だ。同じ場所でお市が百箇日法要を行うのは、池田恒興母の行動に倣ってだと考えるのが自然だ。だって、同じお寺だよ?

 上のまとめには法号の争いも書かれている。「お市の」天徳院殿を秀吉が拒否とあるね・・・信長の乳母が法要を行った時にも法号は必要だったのではないのかな?同じお寺で、別の法号とは考えにくいから、きっと信長乳母の法要の時点で付けられた法号だったのではないだろうか。

 秀吉は朝廷から貰った諡号「総見院」を恭しく上様信長に使い、自分の権力継承パフォーマンスを派手やかにしたのだろうね。

 まあ、ドラマではお市 vs. 秀吉とぶち上げているので、恒興母の法要は出てこない。「お市の天徳院殿を秀吉が拒否」というのは、ドラマに触発されての言い回しかなと思うけれど、実際はまあそんなもので、恒興母とお市のいただいた法号を無視したってことなんだろう。

 ちょっと妙心寺について。ウィキペディア先生に面白いことが書かれていた。

当寺住職の妹の慈徳院織田信長の嫡男・織田信忠の乳母となり、その後に信長の側室になり、六女の三の丸殿豊臣秀吉の側室)を儲けている。本能寺の変で信長が討たれると、信長の妹のお市の方が信長の百箇日法要を当寺で執り行った。(妙心寺 - Wikipedia

 なんとなんと、信長&信忠親子ともども、関わりが深いお寺での法要だったんだね。

「これでお別れにございます」の意味

 てっきり、主導権争いが極まり、お市に秀吉側が申し上げる言葉が「これでお別れにござります」なのだと予想していた。しかし、これは秀吉が上様信長に伝えた決別の言葉だった。

 人生の全てを懸けて追いかけてきた主が信長だったから、ここから自分の足で歩み始める秀吉の覚悟の言葉だったのだね。自分の心の区切りのためにも、信長の盛大な葬儀は秀吉に必要だったのだ。

 秀吉は秀吉なりの真っすぐさで、信長の理想を現実のものとして見たい思いがあるのだと思う。上様を敬い慕う気持ちは変わらず、だからこそ後を継ぎたいと自分でも熱望している。これを「ブラック秀吉」とは、私は到底思わない。

 前回ブログでも書いたように、立場によって見方は変わろうが、本人としてはまだまだ天使秀吉のつもりじゃないかな。怒られそうだが、天使も結構残酷だし。

 ブラックに転じるのは、やっぱり小一郎が死んでからだと思うな。ちょうど小田原攻めで秀吉による天下一統が成る頃、小一郎は死ぬ。タイミングとしてはビジョンを転換させるために、壁打ちの話し相手として一番小一郎が秀吉に必要だったかと思うのにね。

 小一郎と一緒に翻弄されてくれる千利休も次回から出そうだよね?信長葬儀で大徳寺を手配したのは実は・・・と名前が挙がっていた。

 今後、これまでとは違って秀吉をある程度突き放した眼で見なきゃならない小一郎にとって、利休が良きバディになるのだろう。その千利休が、秀吉のブラック化を象徴して、血祭りにあげられるのだと思うのだよね。

 おっと、先走ってしまった。

 葬儀で、「これでお別れにござります」のパフォーマンスの一環として、秀吉が幸若舞を舞ったのには驚いた。これって史実なのか?

 幸若舞と言えば、信長が今川義元を討った桶狭間の戦いの出陣に際して舞ったような。このドラマでも、パッツン前髪のお市がそれを見届けていたよね?秀吉にとって、この信長の葬儀が「新しき世」への出陣式なのかもしれないね。

 あの、信長からいただいた草履の片方と、羽織はどうなったのだろう?香木製の信長像と一緒に燃やしてしまったのだろうか?信長像を燃やしたとは知っていたが、香木製だったのだね。

 香木と言えば、信長は蘭奢待を切り取ったとして名前が残っているぐらいだから、よほどの香木好き。それで像を作って燃やすなんて、やっぱり秀吉は信長を好きだったのだな。なんかキュンとしたよ。

 ただ、信長への尊敬の念と、織田家への考え方はまた別物だ。今後少々怖いと思っているのは、養子の秀勝の扱いだ。もうすぐ死んじゃうと思うのだが・・・まさか、秀吉が「織田家の血はもう用済み」と考えて処分されたりとか?自分の家族の血筋をやっぱり後継ぎにしたいと・・・いや、そこまではしない・・・やるか、あの秀吉なら?

小一郎は、これまでと同じだと思いたかったのか

 ドラマでは羽柴兄弟はお市を自分の側で利用できると信じるほど、お市とは親交が深い設定だった。お市を味方にはできなかったが、ある意味、そんな小一郎に敵方のお市が最後に情けを掛けてくれたのが、北庄城での対話だったと思う。物事の変化を分かろうとしない小一郎に、丁寧に、教えてくれたのだ。

 ここで、小一郎はお市に問われる。先ほども「今後、これまでとは違って秀吉をある程度突き放した眼で見なきゃならない」と書いたが、信長に決別した兄に従っていくなら、これまでとは違った覚悟が小一郎には必要なのだ。皆、万事円満じゃ~では済まないのだから。

お市:兄上はもういないのじゃ。そこで道は分かれた。こうなる道を選んだのは秀吉じゃ。

小一郎:我らは決して、織田家を蔑ろには致しませぬ。お市様を悲しませるようなことは致しませぬ!共に生きる道があるはずじゃ!

お市:ほう・・・では、羽柴の所領を播磨以外、全て我らに譲り、人質として身内のものを3人差し出せ。そなたらは実に仲の良い一家であったからのう。それができるのなら、私もそなたの言葉を信じよう。(言葉の無い小一郎)織田家を敬い、共に生きるとはそういう事じゃ。できまい。そもそもそなたらは、兄上に拾われ兄上と同じ夢を見てきた。その兄上を失った今の織田は、さぞ無様に思えるのであろう。それでも我らは守らねばならぬのじゃ。

小一郎:織田家の面目でござりまするか?

お市:面目?そのような薄っぺらいものではない。誇りじゃ。それを奪うことなど、誰にもできぬ。秀吉にはそれが分かっておるのじゃ。己が手で新しき世を作るなら、織田を滅ぼすしかないと。

小一郎の脳裏に甦る回想の秀吉:儂が変えるわ。信雄様でも信孝様でもない。この儂が、上様の思いを継ぐ。

お市:それが、あ奴の覚悟じゃ。(小一郎、腑に落ちたような涙目)そなたにはあるのか?今の兄を真に支える覚悟が。(立ち上がり、小一郎の前に小刀を置く)私を殺してみよ。織田家を滅ぼすとは、そういうことじゃ。それができぬなら、お前らに勝ち目はない。新しき世を作るなど、到底成し得ぬ。兄上の志は、私が受け継ぐ。お前らなどに渡さぬ。話はこれまでじゃ。(去ろうとして、振り返る)

 そなたらを止めることが、今一度生きる力となった。礼を申す。

小一郎:であれば!であれば、お市様!必ずや、また参りまする!(歯をむき出して笑顔を作る)

お市:しぶといサルじゃな。(立ち去る。ひれ伏したままの小一郎)

 自分たちを止めることがお市の活力になるのだったら、また会いに来ると・・・小一郎が次に会いに来るのは、ただ、お市の命を奪う時だろう。笑顔で言われても怖いわ。

 小一郎が言う「共に生きる道があるはず」というのは、確かに信長が居たら成り立つこと。信長の理想を胸に「儂が変える」と燃える秀吉が、信長の位置に立とうとしている以上、それをお市ら織田家が許せるはずもない。

 共に生きる形を、小一郎は信長時代から進歩させられていなかったのか。もう世の中は変わっちゃってるんだよ、小一郎。これまでの世の中の在り方に「お別れでございます」と言わねばならない時期なのだ。

 小一郎は、まだ腰が据わっていない。美濃で秀吉方に付く武将らが信孝に討たれようとしている状況から「織田家の御仁でも容赦しない」と信孝に兵を差し向けようとしている秀吉だが、その兄を見る表情が暗い。眉を顰め、とても両手を挙げて賛同とはなっていない様子だ。

 逆臣とならぬよう信雄を抱き込み、官兵衛を使って次々と手を討つ秀吉に完全に後れを取っている。

小一郎:しかし、信雄様は清須で三法師様を連れ去ろうとした御方じゃぞ!

秀吉:だから何じゃ!確かな証など無い。あるのは、信雄様は織田の正当なお血筋だということ。正義は我らにある。(なんだって?という表情の小一郎)

 不満をあらわにしている小一郎。このままだったら、小一郎は秀吉に粛清される側になりかねない。いや、主人公だからそうならないのは明白だけど、どう小一郎は変わるのだろうか。「長秀➡秀長」と名前を変える時が見ものになりそうだね。

丹羽長秀と前田利家に注目

 物事が見えている人だ。さすが、じっくりと考えるだけのことはある。丹羽長秀は「儂は羽柴に付く」と前田利家に宣言していた。秀吉の立ち回りを見て、いつの間にか立場が逆転していることに気づかされたのだった。

丹羽長秀:儂は羽柴に付く。済まぬと柴田殿に伝えてくれ。

前田利家:今一度、よくお考えくださりませ!

長秀:もう決めたのじゃ。

利家:羽柴が何を申したのか存じませぬが、サルの口車に乗せられてはなりませぬ!

長秀:そうではない。おい。(家来に巻物を持ってこさせ、広げて見せる。夥しい数の、並んだ血判。言葉を失う利家)羽柴に付くことを誓い、起請文を交わした織田家諸将の名じゃ。・・・儂の方が、はるか高みに居たはずであった。なのに気づけば今は・・・儂があ奴を見上げておる。口車に乗った訳でも情にほだされた訳でもない。儂は、羽柴秀吉に屈服したのじゃ。

利家:(口をパクパク、言葉なくガックリと腰が砕ける)

 長秀は、ただただ、秀吉の手腕に感服したのではないか。それを素直に受け入れられる人柄が凄いね。そうでも無ければ生き残れないのだが。

 昔、「利家とまつ」で梅沢富美男が演じたのが実はピッタリだったなと思っていたのだが、今作の長秀もかなり良いね!切れ者なんだけど情がある感じ。今後の秀吉陣営に来ての立ち回りが楽しみだ。

 ガックリしていた利家は、次回の行動が定まっていくような今回だったと思うのだけれど、秀吉が挙行した信長葬儀も、裏で見ていた。滝川一益の刺客を許す秀吉のパフォーマンスにも接していたね。

 あの時、本来は三法師を抱え込んでいる織田信孝への勝家&お市からの使者として、北庄城から差し向けられていたのだろうね、信孝は顔も見せなかったが。そして丹羽長秀の「秀吉に屈服した」との言葉。勝家のために色々と情報収集をしていく中で、彼も気持ちが秀吉に傾き、厳しい判断をすることになっていったのだろう。

 なにしろ、秀吉の手元には自分の娘である豪姫が養女としているのだ。いわば人質だ。それを考えたら気が気でないはずで、次回はおまつが「豪姫をどうする気なのよ!」と一発かまして利家を秀吉側に付かせるような気もするのだけど・・・と言うか、期待するのだが。

 今作のおまつ、どう動くのかな。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第30回「清須会議」ネタバレ感想】信長の後を継ぐため、秀吉が勝家らを騙し討ち!

とんでもない人だから、とんでもない事ができる

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第30回「清須会議」が8/9に放送され、秀吉が主家である織田家からの権力簒奪の兆しを見せた。

 主人公小一郎の「お待たせいたしました。上様の御成りにござりまする!」というアナウンスの直後に現れた、織田家新当主の三法師は、秀吉に抱っこされ「こちらが織田家当主、三法師様にござりまする」と紹介された。上段の席に着いた三法師の横には、そのまま秀吉が着座し一同は啞然。ことに「4人で力を合わせて後見する」と思わされていた柴田勝家らは歯噛みして、頭を下げるしかない。

 しかし、権力簒奪がすんなりとはいく訳がない。兄信長からの手紙に囲まれ閉じこもった部屋で、幽鬼のようになっていたお市の方が、過去、「サル」と呼んでいた羽柴兄弟の前に自ら立ちはだかるつもりのようだ。ひえー。

 大河ドラマで描かれるお市は、「どうする家康」でも少しそんな風味だったが、戦国一の美女と言うよりも、今後は雄々しい武将のような描かれ方になっていくのだろうか。時代だよね・・・今作のお市は、夫・浅井長政の首を介錯した人なんだもんな。秀吉 vs. お市か、すごいことになってる。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

(30)清須会議

天下人を目指す覚悟を固めた秀吉(池松壮亮)は、織田家の名代を決める評定に参加するため、小一郎(仲野太賀)を伴い清須城へ向かう。小一郎は重臣たちを訪ね、名代に誰を推すつもりか探りを入れる。一方、秀吉は憔悴する市(宮﨑あおい)に会い、内々にあることを頼む。それぞれの思惑が入り乱れる中、秀吉は評定の前夜に勝家(山口馬木也)ら重臣だけを呼び集め、織田家の人間抜きで話し合いをしたいと言い出す。((30)清須会議 | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

 

 史実がこのドラマの通りとは思わないが、秀吉は、この清須会議でドラマで描かれたのに近いことをやらないと、織田家からの権力奪取は難しかったのではないか。つまり、これに近いことをやったはずだ。

 とんでもない人だよね、秀吉・・・他の人達は、織田家の中の誰を信長の後継者または名代にしたらよいかと頭をひねっているのに、秀吉だけが自分こそがどうやったら信長の後継者になれるかを考えていた。織田一族の人物を差し置いて、百姓から成り上がった秀吉が・・・とんでもない事じゃないか。

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頼りない一門衆筆頭・信雄

 まず、ドラマの秀吉は、柴田勝家・丹羽長秀・池田恒興を前に、勝家の言葉をうまいこと最大限に利用した。そうできたのは、本能寺の変の後、一門を率いるべき立場にあった信雄が頼りなかったからだ。

 信長が、自分の後は嫡流が継ぐと決めていたから、わずか3歳の三法師(亡き信忠の嫡男で信長の嫡孫)が当主になるのは重臣の間では決定事項だった。ドラマのように、これが定説になったらしい。「後継ぎは三法師で決まりだった、揉めていたのは名代が誰か」というのは、ちょっとこれまで広く知られていた「後継ぎは誰かで揉めた」という話とは違う。

 そして、三法師の名代に信長三男・信孝を推す勝家は、こう言ったのだ。

柴田勝家:家督を継ぐのは三法師様じゃ、その名代が誰であろうが身の程は関わりあるまい。

 この言葉を勝家が言ったのは、池田恒興が、信長次男・信雄を名代に推すのを牽制するためだった。勝家の頭の中では、信雄か信孝かを考えた時にどうしても信孝。その信孝を名代にするための戦略としての言葉だったに違いない。

 恒興は「一門衆筆頭の信雄様を差し置いて、信孝様を推すのは筋違い」と言った。が、ドラマでは、陰で摂津を領地としてやると恒興に信雄が確約したから、私利私欲によって・・・という事になっていた。恒興、そんなキャラにされて可哀そうに。

 信長の嫡男信忠が死んでしまった以上(これって返す返すも本当に大きな失策だったよね、信忠は何としても生き残るべきだった)、一門筆頭の信雄を名代に推さないのは本来は不自然。結果的に、この名代争いがあったために秀吉に付け込まれ、織田家は権力を失ったのだ。

 信長の乳兄弟の恒興だから、幼い頃から信長の子どもたちの成長具合は織田家の奥に近い母情報で薄々知っていたのでは。その彼が信孝ではなく信雄を推したのだから、信雄でも支えれば何とかなる程度との判断があったのだろうか。

 いやでも、三男信孝を推す案が勝家から出たり、重臣らが名代として支える案に話が傾くぐらいだ。やっぱり定石通りの一門衆筆頭なのに、信雄が相当頼りにならなかったに相違ない。

 三谷幸喜の映画「清須会議」の妻夫木聡の突き抜けたような信雄、「どうする家康」の浜野謙太の信雄もアホで良かったよね。秀吉の意図なんぞ何も読めていなくて、織田家を残そうと頑張る人たちを信雄も手を出して滅亡させた後も、秀吉が自分を担いでくれるものと信じて疑ってなかったような。お坊ちゃん育ちなんだよね。

勝家の言葉に乗っかり、動く秀吉

 ということで、筆頭の信雄が頼りなかったばっかりに、「名代は信孝」という案が出た。その案を導いた「名代が誰であろうが身の程には関わりあるまい」という、勝家の手法に乗っかった秀吉が、今度は「重臣で支える」と言い出した。

 その時の甘言がうまかったよね。丹羽長秀が、信雄にも信孝にも良いところも悪いところもあって、決められぬと言った後だ。

柴田勝家:もうよいわ。サル!うぬはどうなのじゃ。

秀吉:儂か・・・。

勝家:上様ならば信孝様にお任せになるはず。それ以外の答えなどは認めんぞ。

秀吉:儂は、柴田殿が良いと思う。

勝家:何!?

池田恒興:何を訳の分からんことを!

秀吉:池田殿でもいい。丹羽殿もうってつけじゃ。

勝家:気でも触れたか!

秀吉:柴田殿の力強さ、池田殿の虚を捨て実を取る性分、丹羽殿の慎重に見極める目利き、そして儂の調子の良さ。これらが合わされば、何者にも勝る後見役として三法師様をお支えすることができましょう。我ら皆でやりませぬか!

(略)

勝家:口車に乗せようとしているのはお主であろう。名代には信孝様が成り、我らが信孝様をお支えするのが筋じゃ!織田家のお血筋でもない我らが出しゃばることではないわ。

秀吉:これは異な事を。名代が誰であろうと身の程は関わり無いと仰ったのは柴田殿ではござりませぬか。

 当然、その言葉には裏がある。自分も重臣の内だから、「皆で後見役をやる」と言っておいて➡その実、他の重臣を蹴落として自分が権力を握る・・・という道筋が見え見えだ。その裏の考えを急転直下、三法師のお披露目の席で秀吉は示してみせた。

 当時の人達は、でも、まさかまさかだったろうな。

 三法師を抱えて出てきた秀吉に、皆が頭を下げる格好になった時、とんでもなさ過ぎて、冗談にしか思えなかったのでは。「そんなつもりはなかったけど、ちょっと調子に乗りすぎちゃった、ごめんねごめんねー」という謝罪の言葉が秀吉から出てくるものと、あるいは勝家ら重臣らもその時は思ったのではないか。

 秀吉は「大事なのは織田家の安泰じゃ。そのような私利私欲は捨てねばなりませぬ」と大真面目に摂津一国で釣られた池田恒興に言っていたぐらいだもんね。

 これで秀吉が闇に転んだという意見もネットで見るが、果たしてそうだろうか。秀吉はそもそもが信長様に心酔しているし、秀吉本人は今のところ、そんな心理状況にはないのではないだろうか?騙されてるかな?

お市が今、立ち上がる

 秀吉が私利私欲を捨てて信長の遺志を継ごうと立ち上がったのか、それとも私利私欲にまみれて己が世にするためにブラック秀吉と化して動き出したのか、まだよく分からない。が、このドラマの場合、秀吉はまだ天使なのでは?まだ邪悪な考えは無いのかもしれない。

 邪悪なものがあるとすれば、それは、秀吉を悪と見做すお市との戦いを経て、「そういう見方もあるか」と気づき、遅まきながら形成されていくのかもしれない。

 でも、秀吉が悪に転じるのは、やっぱり小一郎を失う頃なんじゃないか。小田原攻めで天下一統(いつから「天下統一」がメジャーじゃなくなったのかな?)が成り、信長が掲げた目標も達せられて後の見通しを失う時期でもある。そこまでは、秀吉は上様・信長に忠実な「天使」で、小一郎の良き兄者であり続けるのではないだろうか。

 ドラマがどの時点までの歴史を追うのかはわからないが、もし秀長が最終回で死ぬとしたら、その後の秀吉の「悪魔化」が駆け足で描かれるのかも。

 さて、お市は、ラストで勝家に「私を娶れ」と命じた。痺れたねー、この迫力は「篤姫」を彷彿とさせる。こんな風に憧れの人に命じられたら、勝家としたら否やも無く従うのみだ。

 お市は再度嫁いでまで、自分の手で織田家を守ろうとしているのだろう。織田家の中ではまだまともに秀吉と戦えそうな三男信孝を立てるのも、信雄じゃダメだ、秀吉に飲みこまれるとの危機感があるのだろう。それだけ、サル兄弟を昔から買っていた。そんな意識は信長から受け継がれてもいるだろう。だからこそ手強いと思っている。

 勝家とお市の再婚話は、ドラマの中では重臣たちの話し合いの中で、秀吉がそれぞれの織田家とのつながりのバランスを考えてむしろ言い出していた。そういう説が最近は有力だそうで、ドラマではその通り。

秀吉:しかし、柴田殿が案じられるお気持ちもよう分かりまする。儂には上様より授かった秀勝がおりまする。丹羽殿の奥方は上様のご親族。池田殿は上様と乳兄弟の仲じゃ。となれば、柴田殿にも織田家とより深いつながりを持っていただく方が良いやもしれぬ。

勝家:何が言いたい。

秀吉:柴田殿。お市様を娶られよ。(略)お喜びなされ。お市様は既にご承知ゆえ、後は柴田殿が・・・。

勝家:(秀吉の胸ぐらをつかむ)うぬという奴は!今のお市様がどのようなお気持ちなのかが分からんのか!

秀吉:だからこそ、夫婦になってくだされ!お市様にも織田家にも、柴田殿が無くてはならぬのじゃ。我ら4人で三法師様をお支えし、織田家を守りましょうぞ。

勝家:断る!どのようなことになろうとも、うぬの言いなりにだけはならぬ!儂は、うぬが大嫌いじゃ!この・・・サルめが!

(この後、三法師が居なくなる騒動を経て、丹羽長秀と池田恒興が秀吉の「重臣による後見役」策に同意。勝家も「好きにしろ」と決着)ただし、お市様とのことは無かったことにする。儂は、あの御方を娶れるような男ではない。

 皆さんご存知の通り、ドラマでは最初から勝家はお市にぞっこんだ。お市を娶れなんて言われたら、勝家だって理性を失いそうだよね。秀吉ってば、なんて意地悪な策士なんだ。人の恋心を利用するなんて。「儂はあの御方を娶れるような男ではない」にも、恋心が滲んでいるよね。勝家ー。

 もちろん、勝家に持ちかける前に秀吉はお市には承諾を得た。そこは、小一郎を清須に行かせる話をする前に、お慶に話しておくぐらいのことはする人だ。勝家を安心させ、重臣らが後見役となる話に乗ってもらうにはこれ以外に無いと考えてのことだろう。

 が、「ふざけるでない。お前は母上を何だと思っておるのだ」と茶々が怒るのも無理はない。ああ、何かこのセリフ、自分の身の上を語る時に、将来の茶々がリフレインしそうだよな・・・「私を何だと思っておるのだ」って。その後のセリフ「許さぬ。お前ら男どもはどれだけ母上を泣かせたら気が済むのじゃ!」もセットで覚えておきたい。

 お市がどうしてここで秀吉の話を承諾したのか。「まこと、織田家の為か?」の問いに「無論でござりまする!」と答える秀吉の目を見て、多くの重臣が後見役になるという話を信頼できると踏んだのか。

 それが三法師のお披露目の席での秀吉の振る舞いを耳にして、裏切られたと思い、怒り百倍で立ち上がるか。

 怒らせたらお市は怖いぞー、ズシンと重みをもって振り下ろされる刃のようだぞ。信長の手紙に囲まれていたお市、凄まじかったもんね。身体的には参っていたかもしれないけど、精神的にはかえってすごく覚醒していた感じ。自分では命とも思って慕っていた兄を亡くし、研ぎ澄まされた感じで。宮﨑あおいのお市、侮れないね。

今回の主人公小一郎、もっと活躍させてくれ

 重臣らの思惑を清須会議の前に聞き出し地ならしするのが、今回の主人公小一郎のお仕事だったようだ。当時の名前「羽柴長秀」が丹羽長秀と同じだから、その話が出てきたのは待ってましたと思ったが・・・。ドラマでは、養子の話は出るのだろうか?今後、名前に絡めて丹羽からお許しが出るかな。

 信雄による三法師のかどわかしについては、小一郎が出てきて清須城内を秀吉らと一緒に探し回ることになり、無事発見。秀吉による狂言を疑う黒田官兵衛にも「そこまではせぬ。ただ、信雄様の企てを敢えて見逃し、我らの助けとしたまでじゃ」と小一郎が説明した。

 ええ、そうだったの?そこら辺の騒ぎを見せてくれたら、主人公の見せ場になったんじゃないのかな・・・そういうの待ってるんだけど。

 お披露目の席で、三法師を抱えて現れた秀吉を、引き締まった顔で迎えた小一郎。秀吉は「これからは、織田家筆頭家老となったこの羽柴秀吉が、ここにいる者たちと共に力を合わせ三法師様をお支えいたしまする」と宣言。事前に稽古して「うむ。頼りにしておるぞ、秀吉」と三法師に言わせた秀吉に、丹羽長秀らは目を剥き、怒りに震えた。

 一体、小一郎はどこまで秀吉の考えに同心しているのか?兄者を空恐ろしい、と思う気持ちも多少はあるのだろうか。兄者を信じるだけなのかな。

 しかし、今回も影が少々薄かった小一郎。与一郎を失ったばかりで涙目だから、仕方ないかもだけれどね、清須会議の裏での暗躍の場はあると思うんだな。三法師の母や周辺を取り込むとか、小一郎が、ここで羽柴家女子を動員するとかね。そんな話も無くてどうも肩透かしだった。そうそう、昔の「秀吉」「おんな太閤記」がそんな風に描いていたかもしれない。

 羽柴家女子が与えられた、やらなきゃいかんこと=三法師の瓢箪柄の小袖を頼まれて作る話も、もっと小一郎を絡ませてもね。そもそも、いきなり子ども用の小袖が手元に出現、疲れたーと言うあさひ、一体何をどうして疲れたの?彼女たちの前には裁縫道具も置かれていないし、案を出して別室の侍女にでも縫わせて待ってたのか?疑問だ。

 秀吉がどんどん自分の道を行く。ただただそれを心配しつつ見守る小一郎か。せっかくの小一郎が主人公のドラマだ、あまりに表の秀吉の話ばっかりになるのもどうかと思うんだけどな。フィクション上等!小一郎を活躍させてくれ~。

(ほぼ敬称略)

心奪われる大河ドラマテーマ曲ベスト10!ハズレ無しの傑作揃いで選べなーい!だけど選んでみた

作曲者は全身全霊を注いでいるはず

 前回ブログで、NHK大河ドラマは「世界に誇れる総合芸術作品、見なかったら人生の損だ(確実に受信料の損だよ)ぐらいに私は思っている」と書いたのだが、特に毎年感動させてもらっているのが、テーマ曲だ。本当にハズレが無い。それってすごいことだ。

 作曲者のキャリアの全て、全身全霊が注がれている気がする。傑作が毎年のように生み出されていると思うから、テーマ曲は自分的には特に楽しみだ。

 ここだけの話、ドラマの内容としてはイマイチどうなんだろう😅と残念ながら感じても、テーマ曲だけは安心して聴いていられる。それどころか、聴いただけで涙が出たり背筋ぞわぞわする感動曲が目白押し。素晴らしい✨映像を見なくとも、耳から入る曲だけで心が持っていかれたりする。

 大河テーマ曲が好きなだけに、自分のベストテンとかそもそも選べないよな・・・と思ったのだが、敢えて選んでみた。時代が遡ると、作曲の技術面というか技巧的な部分では現代の方が有利なのかもしれないとは思ったが、そこは選ぶのが素人の私。技術的な工夫などは云々できないし、美しいメロディラインは不滅だよね。

 今回は、「ただただ美しい旋律に魅せられて」とか「とにかく聴いてると背中がゾクゾクするから」といった素人の一般個人の印象で選ばせてもらった。うん、背中のゾクゾクは大事だ。

まずは、Geminiの力を借りて全65作品をまとめ

 では、さっそくベスト10に行きましょう!・・・と言いたいところだが、まずはどんな作品がこれまで作られてきたのかを並べて見てみたい。第1作『花の生涯』(1963年)から最新作『豊臣兄弟!』(2026年)までの全65作品すべてを、作曲者別にGeminiにまとめてもらった(ソースはこちら➡大河ドラマ全史|番組|NHKアーカイブス)。 

 ちゃんと合っていると良いけど。先に頼んだCopilotは変なことを言い出して中途半端なリストしか作れなかったからなー。AIにもまだまだ難しいのか、私のプロンプトがダメだったのか。


<大河ドラマ 全作品・作曲者別一覧>

複数作品を担当した作曲家

  • 冨田勲(5作品)

    • 『花の生涯』(1963年)

    • 『天と地と』(1969年)

    • 『新・平家物語』(1972年)

    • 『勝海舟』(1974年)

    • 『徳川家康』(1983年)

  • 池辺晋一郎(5作品)

    • 『黄金の日日』(1978年)

    • 『峠の群像』(1982年)

    • 『独眼竜政宗』(1987年)

    • 『八代将軍吉宗』(1995年)

    • 『元禄繚乱』(1999年)

  • 林光(3作品)

    • 『国盗り物語』(1973年)

    • 『花神』(1977年)

    • 『山河燃ゆ』(1984年)

  • 湯浅譲二(3作品)

    • 『元禄太平記』(1975年)

    • 『草燃える』(1979年)

    • 『徳川慶喜』(1998年)

  • 坂田晃一(3作品)

    • 『おんな太閤記』(1981年)

    • 『いのち』(1986年)

    • 『春日局』(1989年)

  • 山本直純(2作品)

    • 『風と雲と虹と』(1976年)

    • 『武田信玄』(1988年)

  • 佐藤勝(2作品)

    • 『三姉妹』(1967年)

    • 『春の波濤』(1985年)

  • 三枝成彰(2作品)

    • 『太平記』(1991年)

    • 『花の乱』(1994年)

  • 小六禮次郎(2作品)

    • 『秀吉』(1996年)

    • 『功名が辻』(2006年)

  • 渡辺俊幸(2作品)

    • 『毛利元就』(1997年)

    • 『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(2002年)

  • 岩代太郎(2作品)

    • 『葵 徳川三代』(2000年)

    • 『義経』(2005年)

  • 服部隆之(2作品)

    • 『新選組!』(2004年)

    • 『真田丸』(2016年)

  • 佐藤直紀(2作品)

    • 『龍馬伝』(2010年)

    • 『青天を衝け』(2021年)

  • ジョン・グラム(John R. Graham)(2作品)

    • 『麒麟がくる』(2020年)

    • 『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2025年)


1作品を担当した作曲家

  • 芥川也寸志『赤穂浪士』(1964年)

  • 入野義朗『太閤記』(1965年)

  • 武満徹『源義経』(1966年)

  • 間宮芳生『竜馬がゆく』(1968年)

  • 依田光正『樅ノ木は残った』(1970年)

  • 三善晃『春の坂道』(1971年)

  • 宇崎竜童:『獅子の時代』(1980年)

  • 一柳慧『翔ぶが如く』(1990年)

  • 毛利蔵人:『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)

  • 谷村新司:『琉球の風』(1993年)

  • 菅野由弘:『炎立つ』(1993年)

  • 栗山和樹:『北条時宗』(2001年)

  • エンニオ・モリコーネ:『武蔵 MUSASHI』(2003年)

  • 千住明『風林火山』(2007年)

  • 吉俣良『篤姫』(2008年)

  • 大島ミチル『天地人』(2009年)

  • 吉松隆:『平清盛』(2012年)

  • 坂本龍一:『八重の桜』(2013年) ※メインテーマ(劇伴は中島ノブユキ)

  • 菅野祐悟『軍師官兵衛』(2014年)

  • 川井憲次:『花燃ゆ』(2015年)

  • 菅野よう子:『おんな城主 直虎』(2017年)

  • 富貴晴美『西郷どん』(2018年)

  • 大友良英:『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)

  • エバン・コール(Evan Call):『鎌倉殿の13人』(2022年)

  • 稲本響:『どうする家康』(2023年)

  • 冬野ユミ:『光る君へ』(2024年)

  • 木村秀彬『豊臣兄弟!』(2026年)

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 えーと、抜けを見つけてしまったな。『江』(2011年)の作曲者は『篤姫』と同じではなかった?「吉俣良:『篤姫』(2008年)」しか書いてなかった。リストに『江』自体が無いし。計65作品なのに、数えたら64しかなかった。

 こういう漏れをしないのがAIかと思っていた。「自分でやります💦」と最後には答えることになったCopilotのハチャメチャよりはGeminiの方が全然良いけど、きちんとしていると思ったらやっぱり抜けてました!というのも罪深い気がする。

 今回の本題はそこじゃなかった。ただ自分のベストテンを考える参考になるかと思い、作曲者別に並べてみただけだったので先に行こう。

草創期は見られなかった💦

 私が生まれ、大河ドラマを自分の意志で見始めたのは第10作「新・平家物語」(1972年)だった。昭和だったら47年。それ以前にも親が見ていたし、つられて見始めた・・・という部分もある。けれど、見ると決めたのは学校で話題の郷ひろみが出ると聞いたからだった。ファンだった訳じゃないが。

 そこから半世紀以上に渡る大河ドラマファン歴の第一歩が刻まれたと思うと、アイドルを起用するのを全く笑えない。ファンの裾野を広げるには、アイドルだ。

 ということで、「私が好きな大河ドラマテーマ音楽ベスト10作を選ぶ」という趣旨から、草創期の9作までは見ていないので申し訳ないがカウントに入れなかった。第10作以降で考えたい。ごめんね。

 まず、ランダムに好きなものを選んでみた。以下の通り。この第一次予選の段階で、既に結構悩ましかった。みんな傑作揃いなんだもんな。

第一次予選通過組

  • 冨田勲(5作品の1)『勝海舟』(1974年)
  • 池辺晋一郎(5作品の4)『黄金の日日』(1978年)、『独眼竜政宗』(1987年)、『八代将軍吉宗』(1995年)、『元禄繚乱』(1999年)
  • 林光(3作品の3)『国盗り物語』(1973年)、『花神』(1977年)、『山河燃ゆ』(1984年)
  • 湯浅譲二(3作品の1)『草燃える』(1979年)
  • 山本直純(2作品の1)『風と雲と虹と』(1976年)
  • 三枝成彰(2作品の1)『花の乱』(1994年)
  • 小六禮次郎(2作品の1)『功名が辻』(2006年)
  • 岩代太郎(2作品の2)『葵 徳川三代』(2000年)、『義経』(2005年)
  • 服部隆之(2作品の2)『新選組!』(2004年)、『真田丸』(2016年)
  • 佐藤直紀(2作品の2)『龍馬伝』(2010年)、『青天を衝け』(2021年)
  • 千住明『風林火山』(2007年)
  • 吉俣良(2作品の2)『篤姫』(2008年)、『江』(2011年)
  • 菅野よう子おんな城主 直虎』(2017年)
  • エバン・コール(Evan Call)『鎌倉殿の13人』(2022年)
  • 稲本響『どうする家康』(2023年)
  • 冬野ユミ『光る君へ』(2024年)

20世紀枠の名曲のみなさん 

 ここからさらに絞っていく。まず20世紀枠を選んでみた。どうも昔だと最近のに押されて印象が薄くなりがちだが、20世紀の作品にも名曲は確実にある。あり過ぎる。なのに新しい曲に目が眩んで取りこぼしてしまっては申し訳ない。「20世紀」設定なので、2000年『葵徳川三代』はこちらへ。

  • 山本直純(2作品の1)『風と雲と虹と』(1976年)
  • 林光(3作品の1)『花神』(1977年)
  • 湯浅譲二(3作品の1)『草燃える』(1979年)
  • 池辺晋一郎(5作品の3)『独眼竜政宗』(1987年)、『八代将軍吉宗』(1995年)、『元禄繚乱』(1999年)
  • 三枝成彰(2作品の1)『花の乱』(1994年)
  • 岩代太郎(2作品の1)『葵 徳川三代』(2000年)

 まだまだ絞り切れない。特に池辺晋一郎の3作品が私的には横並び。みんな好き。『元禄繚乱』は華やかでいいね、キナ臭い戦国時代の残り香にも別れを告げ、文治政治の風が吹き始める江戸時代と言えばこんなイメージだ。『べらぼう』も良かったなあ。

 林光の『国盗り物語』はダイナミックで、まさに戦国時代の雰囲気を味わえる名曲だが、泣く泣く落選。この段階なら、まだ入れておいても良かったか・・・未練じゃ。

21世紀枠の名曲たち

 さて、次は21世紀枠と行こう。今世紀に入ってテーマ曲はどんどん華麗にもなり、これまでの傑作に負けるものかと言うかのように何かしらの驚きが忍ばせてあったりもする。心を打たれるよね。こんな傑作揃いから、どうしてベストテンを選べるなんて思っちゃったのか・・・選ぶのは全然簡単じゃなかった。

  • 千住明『風林火山』(2007年)
  • 吉俣良(2作品の1)『篤姫』(2008年)
  • 服部隆之(2作品の1)『真田丸』(2016年)
  • 菅野よう子おんな城主 直虎』(2017年)
  • 佐藤直紀(2作品の1)『青天を衝け』(2021年)
  • 稲本響『どうする家康』(2023年)
  • 冬野ユミ『光る君へ』(2024年)

 この段階で『鎌倉殿の13人』『龍馬伝』『江』が落ちているなんて信じられない!とお𠮟りを受けそうだ。佐藤直紀作品は、2つとも選びたかったがガマンガマン。20世紀枠に入っている岩代太郎『葵徳川三代』を選ぶために、2005年作品の『義経』を落としたのも未練が残る。

いよいよ発表、大河ドラマテーマ曲のマイベスト10!

 さて、お待たせいたしました。いよいよ自分勝手なマイベストテンを発表する。冒頭に書いたように「私が好きな曲」ということで、ホントだったら全部好きなんだけれど・・・決して優劣という事ではないので、誤解なきように願います。

 では、10位から1位へと発表しましょう!ジャジャジャジャーン!(ドラムロール~)

10位:山本直純『風と雲と虹と』(1976年)

 何とも懐かしい。この曲は、山本直純作品の金字塔だと私は勝手に思っている。幼かったころ心奪われた大河ドラマだったが、この平将門や藤原純友の力強さ、躍動感を表すテーマ曲はその点にも大いに貢献していたと思う。悪いが、もう1つの山本直純作品『武田信玄』テーマよりも抜群に好きだ。

9位:湯浅譲二『草燃える』(1979年)

 『鎌倉殿の13人』を泣く泣く選外にした。だから、せめて『草燃える』を入れておかないと北条政子&義時に申し訳ない・・・と地元の忖度が働いた結果では、ない。馬を駆って草原や海辺を走り抜けるような爽快感、伸びやかさがある。ドラマはドロドロの暗殺劇もあって子ども心には恐ろしかったが、曲が一服の清涼剤だった。

8位:服部隆之 『真田丸』(2016年)

 何と言っても素晴らしいバイオリンソロ。心を揺さぶられる、というのはコレでしょう。もう1つの服部隆之作品『新選組!』も捨て難かったが、こちらのバイオリンのポイントが高かった。ドラマとしても質の高い『真田丸』オープニングに相応しい、ワクワク感をくれる曲。各々、抜かりなく!と言いたくなる策謀まで感じさせる。

7位:千住明『風林火山』(2007年)

 戦国時代に勇名を轟かせた武田の騎馬隊の疾走感をこれだけ音楽で表現できるってすごくないか。そして、滅亡すると分かっている武田家と山本勘助の哀しき運命を示唆するような儚さを力強さと同時に感じさせる。心に刺さるテーマ曲だ。

6位:佐藤直紀『青天を衝け』(2021年)

 こちらの『青天を衝け』を聴いていると、ドラマで描かれた江戸幕府の終焉から明治の新しい国家へと、激動の転換点に人々がどう力を尽くしたのかが頭に次々と浮かび、目頭が熱くなる。多くの血が流れたが、新時代のために身を引いた徳川慶喜と、推進役として大いに活躍した渋沢栄一。41回と少なかったのが惜しまれる。ドラマの素晴らしさを遺憾なく感じさせる。

5位:稲本響『どうする家康』(2023年)

 今思うと、『どうする家康』は結構面白かった、本能寺の変のあたりのやり過ぎを除くとね。今年放送中の『豊臣兄弟!』の品格がありつつもボーっとしている明智光秀(そんなのでやっていけるのか?)と違い、徹底的に小者で目端の利く光秀がまた面白かったねえ。・・・おっと、曲としては、神君家康公の輝かしき人生を表現するようなこのテーマ曲自体が、オーラが大きくて眩しくて仕方ない。キラキラと聴く万華鏡のように豪華だ。

4位:三枝成彰『花の乱』(1994年)

 ここからは、自分の中では1位でもおかしくない皆さん。この曲の導入部のピアノが聞こえてくるたび、息が止まるように動きを止めて聞き入っている自分に気づく。あくまでも美しいピアノによって、まるで、心に広がる寂寥感で身動きが取れない主人公の日野富子の心情を体感させられているようだ。そして応仁の乱の動乱を感じさせるような荒々しさで終わる。祖母も大好きだと言っていた曲。素晴らしい。

3位:冬野ユミ『光る君へ』(2024年)

 今回のマイベストを選んでいて、私はピアノに惹かれるのだと自覚した。この曲はもう、そのピアノ好きを満足させてくれる極みと言っても良い作品なんじゃないだろうか。 反田恭平のゴージャスなピアノの演奏に心身を委ねて聞いていると、風の中で平安装束を翻らせて立つまひろと道長のふたりが頭に浮かんでくる。ため息の内に終わり、言葉は要らない。

2位:岩代太郎 『葵 徳川三代』(2000年)

 西田敏行が演じた徳川秀忠。そして津川雅彦の家康。その後ドラマでは見ない尾上松緑が演じた家光。3人ともピッタリを超越していたが、女優陣も重量感たっぷりのすごいドラマだった。それに負けないテーマ曲は、本当は1位でも全然おかしくない。

 聴いていると、重い責任を背負った3代の徳川将軍が、歴史という川の抗えない流れの中を翻弄され転がっていくようにも思えてくる。しかし、彼らは悩んで流れ落ちて行った最後には昇天するのだろう。天上での平安や大いなる宇宙までを感じさせる曲だ。(映像の北極星と周りを巡る星々が美しかった。)

1位:林光 『花神』(1977年)

 子どもの頃から大好きだった曲だ。これは外せない。心臓の奥の深いところをつかまれ、頑張れ、しっかり生きろと言われている気がする。ただ聴いてほしい。大村益次郎、シーボルトの娘イネ、吉田松陰、高杉晋作らの顔が浮かんでくる(もちろん、演じた役者さんたちの顔だけど)。

まとめとおまけのランキング

 ここまで書いただけで結構体力を消耗した。こんなにテーマ曲についてしっかり考えたことが無かったが、自分の「好き」のランキングを付けるのって難しいものだ。本当はみんな違ってみんな良い、って奴だもんねえ。とりあえず、まとめるとこうなった。 

  1. 『花神』
  2. 『葵徳川三代』
  3. 『光る君へ』
  4. 『花の乱』
  5. 『どうする家康』
  6. 『青天を衝け』
  7. 『風林火山』
  8. 『真田丸』
  9. 『草燃える』
  10. 『風と雲と虹と』

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 1~4位は、本文でも書いたが私的にはみんな1位の横並びでも良い。5~10位も上位グループだけあって、みんなお気に入り。一応数字は付けてみたよ、程度のランキングだ。

 番外も書いておこうかな。⑪『八代将軍吉宗』、⑫『篤姫』、⑬『おんな城主直虎』。⑪には、気持ちの上では同じ作曲者(池辺晋一郎)の『元禄繚乱』『独眼竜政宗』もマルっと込みで。同じく⑫には『江』もおんぶさせたい。

 ちなみに、家族もベストテンランキングを作ってみたそうだ。昔の大河ドラマは見ていないから、最近の作品の曲が目立つ。『べらぼう』の10.0を基準に点数も付けたそうだが、点数の要素は「大体の勘」だそうだ。

  1. 『西郷どん』10.5
  2. 『鎌倉殿の13人』10.3
  3. 『青天を衝け』10.2
  4. 『どうする家康』10.1
  5. 『べらぼう』10.0
  6. 『真田丸』9.7
  7. 『篤姫』9.5
  8. 『元禄繚乱』9.3
  9. 『八重の桜』9.1
  10. 『葵徳川三代』9.0

番外:『龍馬伝』8.8、『いだてん』8.5

 家族のお気に入りは『龍馬伝』だといつも口にしていたから、番外になっているのはビックリだ。古いのは『元禄繚乱』『葵徳川三代』、あとは21世紀の作品になる。私はピアノ好きだが、家族は吹奏楽が好き。そんな傾向も見えるだろうか。

 うーん、こちらの方が良く見えてきちゃったなあ。新しい人たちには敵わないや。

(敬称略)

気をつけよう!著作権侵害💦・・・でも、代替物に成れるもんじゃない

朝刊を見て、冷や汗

 今週は8/2の「豊臣兄弟!」放送がお休みだったので、何を書こうかなと考えていた。そしたら、ある記事が8/4の朝に降ってきて思わず冷や汗、朝ご飯もそこそこにネットで確認することになった。

www.nikkei.com

 判決で認定された事実は、この記事によると「判決によると2021〜23年、被告は従業員らと共謀し、映画の登場人物の名前や情景、場面展開を説明した記事を作成し、インターネット上に無断で公開して著作権を侵害した」だった。

 記事を読んで、すぐにAI(Copilot)に聞いてみた。「ネタバレ感想」だと銘打ってブログを書いている身としては、詳細や手前勝手でない考え方が知りたい。こういう時に本当に便利になった。

 AIはアレコレ説明してくれたが、要するにこういうことだった。

「感想ブログ」との決定的な違い

  • 感想ブログ(適法になりやすい)

    • ストーリーはごく一部の場面にとどめる

    • 自分の感想・評価・分析が本文の中心

    • 読者は作品を見ないと全体像が分からない

  • ネタバレ翻案記事(違法になりやすい)

    • 冒頭〜結末までの流れを通しで説明

    • 場面ごとの展開・セリフ・行動を詳細に記述

    • 読者が作品を見なくても内容を把握できる

この「作品の代替物として機能しているかどうか」が、翻案権侵害かどうかの実務上の決定的な分水嶺です。

一言でまとめると

“作品を見なくても済むレベルで、ストーリー全体を別の形に再構成したら、それは翻案”

だから、ネタバレ記事が「作品の代替」になった瞬間、 単なる感想や引用ではなく、**翻案権侵害として扱われる、という整理になります。

 ・・・気をつけようとは思うが、でも「作品の代替物として機能しているかどうか」という点なら、それはこのブログでは敵いもしないね。

 自己ベストの名演を見せようと心血を注いでいる各俳優の素晴らしい演技もさることながら、歴代大河ドラマの外れの無い音楽、美術、衣装などなど、この世界に誇れる総合芸術作品は見なかったら人生の損だ(確実に受信料の損だよ)ぐらいに私は思っているので、そういったさすがの大河ドラマ作品に、このブログごときが敵うはずがない。

 この大河ドラマブログでは、自分の感想や見方を中心に書いているし、ドラマの流れのままには敢えて書かないようにして取り上げる場面を前後させたりしている。ドラマを見ないと、このブログの読者はドラマの全体像は分からないだろう。けれど、

  • 場面ごとの展開・セリフ・行動を詳細に記述

という点が自分的には心配になってきた。

 そういえば、前にブログをチェックしてもらった人にも「長い引用には気をつけて」と言われたんだったな・・・思いつくまま書いてきたけれど、あんまり長く詳細に会話を引用して書くのは止めた方が良い。気をつけます!

【豊臣兄弟!第29回「天下への道」ネタバレ感想】小一郎と自らの悲しみを原動力に立ち上がる秀吉、信長の遺志を継ぐ

本日8/2は放送休止!

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第29回・・・の前に、第30回の放送は今日はお休み、次週8/9に放送となるんだそうな。このように公式サイトに掲載されていた。

おことわり 8月2日(日)大河ドラマ「豊臣兄弟!」放送休止のお知らせ

8月2日(日)の「豊臣兄弟!」は、BSP4K午後0時15分、BS・BSP4K午後6時、総合夜8時のすべてで放送を休止します。 次回、第30回「清須会議」の放送は 8月9日(日)となります。どうぞご了承ください。

 お休みかー。働き方改革の関係か?スタッフも夏休み?その時間帯にはスペシャルが放送されるらしい「ダーウィンが来た」は、可愛いなと思って見始めると捕食されたりするものだから、残酷😿でヒエーとなってしまって見てられない・・・録画の「どうする家康」の総集編でも見ようか。今思えば「どう家」もなかなか面白かった。

 いや、そっちを考え始める前にこのブログの仕上げを目指そう。今日はタイムリミット(自分勝手な設定だが、総合での放送開始の午後8時)が無いのか・・・ダラダラしちゃいそうでコワイ(本当にダラダラ書いてしまった)。

 さて、改めまして。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第29回「天下への道」は7/26に放送され、山崎の合戦、破れた明智光秀と秀吉との対話(!)、主人公小一郎の妻お慶の息子・与一郎の死が描かれ、涙にくれる小一郎に秀吉がとうとう天下取りへの覚悟を告げた。早速あらすじを公式サイトから引用しよう。

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第8章「天下一統編」第29回「天下への道」◆◇あらすじ◇◆

織田信孝(結木滉星)から明智討伐の差配を任された秀吉(池松壮亮)。焦らず敵を追い詰め、光秀(要 潤)を生け捕りにすべきと考えるが、信長を失った織田勢の足並みはそろわず、逸(はや)った高山右近(市川知宏)らが敵陣に攻め入る。小一郎(仲野太賀)は初陣の与一郎(大西利空)を残し、自身は援軍として戦場へ。だが与一郎は、刺客から信孝を守って負傷してしまう。一方、小一郎は秀吉に、どうしても光秀と話したいと頼まれ…。(第29回「天下への道」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 第8章「天下一統編」が今回から始まったそうな。その勢いで次回も今日見たかったが、お休みは仕方ない。こっちも暑いからとダラダラ休んでばっかりだ。仕事をしていられる暑さじゃない。地球温暖化を認めない某国大統領のせいだな。

 その暑さの中で「令和8年熊本地震」の被害を受けた被災地の方々が、早いところ遠隔の避難所的ホテル等でゆっくり涼めてリラックスできますように。アジア大会で使うのだと聞く、海に係留した大きな客船(風呂もトイレもプールだってある)でもいい。

 災害関連死が今や声高に恐れられているのに、どうしていつまでも日本は避難所の体育館で汗だくで雑魚寝なんだろうか。現地に視察に行く政治家は、そこで一晩でも過ごしてみたらいいと思う。速攻で客船を避難所として手配する気になるだろう。

 なかなか大河ドラマの話が始まらなくて申し訳ない💦

与一郎の死と干し柿

 史実の小一郎には早世した嫡男与一郎がいる。主人公の息子なのだからドラマではどう扱ってくるのかなと思っていたら、山崎の合戦の陣中で、信長三男の織田信孝を身を以て守り重傷を負うという運びになり、父母の小一郎とお慶に看取られて死んだ。

 与一郎は、父小一郎から信孝への伝言を頼まれ、そのまま「信孝様をお守りせよ」とのことで、側近くに控えていた。その陣中に潜んでいた明智方の刺客が信孝を殺そうと矢を放ち、与一郎は自ら盾となって信孝への矢を受け止めたのだった。

 その場では死ななかった与一郎。羽柴一家は与一郎のために精を付ける食事を整え、薬草を山のように摘んできたり、好物の干し柿を夏にも関わらず搔き集めてきたりと手厚い看護を施した。

 だが生真面目な与一郎は、それを無駄にするように床で起き上がって熱心に木刀を振って鍛錬し始めるという無茶を行い、矢傷からの感染だろう(破傷風?)、発熱して命を落とす結果に。あさひ夫婦がお札を貰ってきて祈願もしたが、一家が悲しむことになった。

 自分では死ぬなんて思ってもみなかっただろうね。「まだ無理をするな」と止める父母の言葉も聞かず・・・こういう若者の良かれと思っての無茶を笑えない。現代でも深い傷を負った足を、校庭の水道で洗い続けて失血死した生徒がいたね。なんてことを・・・と大人は悲しんで思うけれど、若いから分からないのだ。本当に惜しい。

 ただ、こういう生真面目ゆえの死に方は、劇中の与一郎のイメージに合っている。

 与一郎好物の干し柿だが、ただの好物ではない。「柿を見ると思い出すのです。父上と初めて会うた時のこと。(矢が命中してもらったご褒美の干し柿)あの時、私は初めて己に自信が持てたのです。父上のお陰じゃ」と言うように、小一郎との出会いにおいてふたりのつながりを形成する、大切な食べ物だった。

 回想で出てきた「光る君へ」「べらぼう」にもご出演の子役(高木波瑠)が演じる幼い与一郎が可愛かったよな。干し柿は、「麒麟がくる」でも光秀と囚われの竹千代を将来までつなぐ重要アイテムだったね。「どう家」でもそうだった。大岡弥四郎による岡崎クーデターでの話だ。過去のブログではこう書いていた。

 決行前、弥四郎は村はずれ(?)の小さい祠にお参りする振りをして置き文を交わすやり方で、武田の歩き巫女・千代と連絡を取っていた。千代は、文の抑えに干し柿を使い、文を読んだ弥四郎は柿を食べ、甘美な甘さを堪能していた。

 砂糖が貴重だったろう当時、自然な甘みの供給源だった干し柿。甘い物なんかふんだんにあるわけじゃないから痺れただろう。今も、私を含めて多くの人間は甘い物につられるが、昔なら尚更。武田からの指令は「甘言」として弥四郎の脳を揺さぶったかもしれない。(しかし、柿を祠に置いた途端、鳥に攫われたり悪ガキに盗まれたりしないか?)

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 その甘さで、当時の人達の脳に強い印象を残すものが干し柿だったのだろうね。食いしん坊の私の記憶にも良ーく残っていますとも。

秀吉の覚悟を最初に聞かされる小一郎

 嫡男与一郎の死で深い悲しみに沈む小一郎。「儂のせいじゃ。儂が命じたのじゃ、信孝様をお守りせよと」と言い、お慶も「ならば私も同じです。父上の言いつけを必ず守るようにと、強く言い聞かせて送り出しました」と、夫婦で自らを責め、泣いた。

 気持ちは分かるけど・・・それをやったら余計に心の傷が酷くなるだけだよね。小一郎は分かっているはずだが、止められるもんじゃないね。

 秀吉が小一郎を慰めに来た。その直前、姉のともは初陣だった与一郎への配慮が足りなかったと、秀吉を「ひっぱたいてやる」と意気込んでいたが、秀吉とは思えぬほど小さい背中を見て、戸惑った。秀吉は小一郎の悲しみを全身で感じているようだ。・・・いや、それだけじゃないか。覚醒するんだもんね。

 小一郎は、涙にむせびつつ残された干し柿を食べ続けている。

小一郎:うまい。うまいのう、与一郎・・・(泣きながら干し柿を食べている)お前が食わんのなら、儂が皆食うてやるわ。(口に押し込む)

秀吉:・・・喉に詰まるぞ。

小一郎:そのくらいなんじゃ。与一郎の痛みに比べたら、どうということないわ!儂ら、いつの間にか偉くなって、いいもん着て、うまいもん食って、けど、何にも変わっとらん。あの頃から何も変わっとらん(回想:友の切断された首を抱きしめて泣く、百姓の頃の小一郎。見つめる藤吉郎)・・・儂らは何のために侍になったんじゃ!(泣き止まない)

秀吉:(両手で小一郎の顔を包み込み、涙を指で拭う)お前が儂に言うたのじゃぞ。己を責めても何も変わらぬと。この世は、何かが間違っておると。だからのう、小一郎。儂が変えるわ。(小一郎を抱きしめ、背中をポンポン)これは、まだ我らだけの秘め事じゃ。信雄様でも信孝様でもない。この儂が上様の思いを継ぐ。(戸惑い泣き止む小一郎)

 子を失った弟の悲しみと、敬愛する信長を失った自らの悲しみを原動力に、秀吉が立ち上がろうとしている。自分の為でなく誰かのために動こうとするとき、人間は強くなるよね。俺が俺がじゃ人もついてこないし。

 秀吉が作る世を後押しする存在の小一郎、泣いている場合じゃないみたいだと、自分でも気づいたね。

決戦前にも落ち着いた光秀、まとまりに欠ける織田方

 少し時を遡る。山崎の合戦での敗戦を経て、坂本城での再起を期して逃亡する途上、小栗栖の竹藪の中で落ち武者狩りに遭って落命するものと、明智光秀の最期はこのように理解している。ここに、ドラマは面白いアレンジを加えてきた。光秀と秀吉とが戦の後に対話するというのだから、びっくりだ。

 光秀には、信長の首級が挙がらず生死が判然としない状況で諸将が怯んだか、盟友の細川藤孝(幽斎)を始め、中川清秀も高山右近も筒井順敬も誰も味方しない。しかし、斎藤利三の心配をいなして光秀は「まだ、儂の手の内じゃ」と言った。どんなにあっちが頑張っても信長は死んじゃってるからさー、ということだ。

 しかし、「上様は生きておられる」との秀吉の宣伝を当座のところ、ひっくり返す術がない。いくら「信長はおらぬ」と光秀が言い張っても、それを信じてもらえなければ「信長+秀吉>光秀」のまま。味方は増えない。

 ただ、この光秀の落ち着きは不気味だ。

 他方の織田軍。堺で織田信澄の首を晒したと意気軒昂な信長三男・信孝は、兄の次男・信雄が待ったを掛けて「共に討とう」と言ってきたのに、総攻めだと躍起になっている。「悠長なことを言っていては明智を取り逃がすやもしれぬ」と。

 信雄が次男で兄と言っても、正室扱いの生駒吉乃を母に持つからで、信孝の方が20日ぐらい早く生まれたとの話もある。どちらも、相手を出し抜いて己が織田家当主にならねばと思っている。「このままでは、織田は2つに割れまする」と黒田官兵衛が言う通りだ。

 秀吉は、不用意に攻め込んだら危険だと進言していた。それが明智の思う壺ではないかと。よく分かってるねー。まさにそんな会話を光秀が利三に言っていた。テレパシー?

 光秀は冷静で、秀吉並みに物事がよく見えている。ふたりはさすが織田家中ツートップだ。しかし、光秀でも援軍の少なさは跳ね返せなかったね。織田軍は数的に優位であるだけでなく、質的にも上様愛に燃える秀吉がいるし、忠臣丹羽長秀も負けず劣らず。信長と乳兄弟の池田恒興も、そうだろう。

 信孝は再度総攻めを主張、秀吉に戦での采配を任せた。これって後からジワジワ来るような話。理由は秀吉軍がその場では最も多かったから。いいのか?信孝。

 そして、運命の天正十年(1582年)六月十三日。

語り:秀吉は、山崎において明智軍と対峙しました。中央最前列に高山右近、中川清秀。右翼に池田恒興。左翼の山に小一郎と黒田官兵衛を配し、秀吉は中央最後尾に本陣を敷きました。

 ドラマで示された図には、敵陣に向かって秀吉よりも前方右側に丹羽長秀と織田信孝の陣が描かれていた。

 総大将の信孝が最後尾じゃないの?と、陣形などには全く疎い私だが、疑問に思った。だって、心理的にも最も守られなきゃいけない人が奥にいるものじゃないのか?信孝の位置って中途半端だし不自然じゃない?

 これについては、番組最後の紀行が興味深い話をしていた。今年3月に発見された史料で、秀吉がその場にいなかった可能性が指摘されたというのだ。なるほどねー、それで秀吉は最後尾に奥ゆかしく書かれていた訳か。本当は居なかったんだ!となると、信孝の位置取りも分かる。彼こそが本当は最後尾にいたんだ、丹羽長秀と並んでね。

 3月じゃもう放送は始まっている。ドラマ制作には当然間に合わない。では、紀行でちゃんと知識を入れておこう・・・といったところかな。

秀吉の後悔と、光秀との対話

 池田恒興に、上様が討たれたのによくも平静でいられるものと責められた時、秀吉は震える手を抑えきれぬほどで「平静?儂のはらわたは煮えくり返っておりまするぞ。今すぐにでも明智の目をくりぬき、爪を剥ぎ、頭から足の先まで串刺しにしてやりたい気分でござる」と目を剥いた。

 しかし、光秀を生け捕りにするとも言った。

秀吉:(光秀を)生かすつもりなど毛頭ありませぬ。だが儂は知りたいのじゃ。なぜこのようなことになったのか。

 戦直前にも、小一郎に「上様は真にもうおらんのじゃなあ」とぼんやり言って意気消沈の秀吉。今作の秀吉は、本当に信長に心酔して、心より慕っていたんだね。上様が人生そのものだったと言って良かったのかも。

 心の拠り所として、敵討ちの戦場には国譲りのように渡されたあの形見の羽織でも持ってくるかと思ったが・・・与一郎が持ってきた、信長の草履があれば十分か?でも、草履は一対で、片方ずつを小一郎と貰ったのであって、ふたりで同じ扱いだ。

 しかし、羽織は秀吉だけが貰った宝物だろう。青空の下、長浜城の天守での信長と秀吉だけのやり取り、秀吉にはかけがえのない大切な時間だった。

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 羽織と言えば。将来、徳川家康を秀吉に臣従させる時の話だが、家康の手で羽織を自分に着させたのではなかったっけ・・・思い違いか。皆の前で家康が秀吉の陣羽織を所望して、自分が代わりに戦うからもう戦には秀吉を出さぬって、そっちの方だっけ?

 いつかここぞという場面で信長の羽織が出てくるんじゃないかと思うんだけれど・・・家康なら、元の所有者が誰なのか気づきそうだし。いつかなあ。今回、秀吉が最後の場面で羽織を着ていたが、あれは関係ないよね?

 先走った。上様信長の不在を悲しむ秀吉は「儂が信澄様をお助けするよう、お頼みしなければ・・・儂が上様を殺したようなもんじゃ(涙)」と悔やんだ。

 良かった、このエピソードがスルーされなくて。あの上様おもてなしの大宴会をやってまで羽柴兄弟が信長に頼み込んだ信澄の赦免。信澄は前回にもう処刑されたが、信澄の挙兵時に明智光秀との連携は明々白々だったのだろうか。

 それなのに・・・赦免を頼んだ小一郎も秀吉も、なぜ信澄の件に触れないのか、自責の念はないのかと疑問だった。自分たちでは怖すぎて触れられないのかとも思ったが、陣中では他の武将も誰も言わないし。言ったのは、後で触れるように光秀だけだ。

 泣く秀吉を、兄者だけのせいじゃない、自分を責めても何も変わらんよと小一郎は慰めた。小一郎も信長に対して信澄の赦免を一緒に頼んだ立場だけどなあ・・・これが今回のラストでブーメランになる部分だ。

 そして大事なポイントとしてこれもある。

小一郎:この世は、何かが間違っておる。儂は、明智殿のことが嫌いではなかった。

 そうなんだよ、何かが間違ってる。これをどうにかしなくちゃね、と秀吉は考えているんだね。こんなに最愛の弟を泣かせるんだから。

 秀吉が光秀と話がしたいと希望したため、山崎の合戦に敗れ勝竜寺城に立てこもった光秀を逃がす道筋が意図的に作られ、そこを逃げた光秀は石田三成ら秀吉家臣にまんまと捕らえられた。茶室でふたりきりで話す秀吉と光秀。今回の大きなフィクション、見どころだ。

 この場面の光秀、本当にカッコイイね。秀吉に「儂が見たかったのは、足利義昭様の世じゃ。儂が真にお仕えしたかったのは生涯ただ一人、公方様だけじゃ。信長に奪われた物を、今一度取り戻したかった」と告げ、悔いはないから存分に恨みを晴らせって秀吉に言ってさ・・・この言い分は凄く自然だな。

 光秀はさ、最初から義昭ラブだったもんね。信長を排除して、また義昭をてっぺんに座らせたかったのだろうね。義昭一途な光秀が、誰にも相談せずにいわばサプライズでやってみて、成功したら義昭を招き入れるつもりだった・・・というのは本能寺の変の筋として、とても納得できる。

 ラブは言葉で説明できるものじゃないとは思うけれど、なぜそんなに義昭に惚れこんだのか、光秀よ。義昭の何がそんなに良かったのか。血筋という権威かな。ブラック企業のトップ張りに信長が怖すぎるのは分かるし、血筋の話だったら信長は義昭に完敗だもんね。

 また、光秀は「お前など関わりなきこと、思い上がるでないわ!」と秀吉に罵倒するように言ってやっていた。秀吉が信澄を救うために動いた後悔の念を軽くしてやるために言ってるんだろう。すごく秀吉に配慮している。

 そして、その配慮が分からない秀吉でもない気がする。さて、どうする?池松壮亮と要潤、このふたりの秀吉と光秀の名演を繰り返し見たいし見てほしい。

 光秀との対話を終えた秀吉は、ひとりお堂を出て家臣の福島正則&加藤清正にこう言った。

秀吉:明智殿の首は、百姓の落ち武者狩りに遭い、我らに届けられたことにする。

 ここで史実に寄せてきたと考えるべきか?お堂の中で、既に光秀は腹を切り、首を刎ねられたのかもしれない。ただ秀吉の衣装に返り血は見えないか。それとも、この後、光秀は首を刎ねられる運命か・・・斎藤利三と共に、遺体は京で磔になるはずだが。 

 しかし、今回のドラマでは光秀の死の場面を見せなかった。ということは?最期の最期に秀吉に配慮を見せるほど羽柴兄弟が嫌いではなかった光秀は、もしかして秀吉によってどこかに逃がされる?光秀が主役の「麒麟がくる」なら分かるが、そこまで今作でやるのかどうか。

 逃がした光秀を匿い、家康につなぐのが小一郎の役割だったら面白いな。

「伊賀越え」なし、既に岡崎城の家康

 そういえば、堺で船を用意しろと言っていた家康は、今回シレッと岡崎城に居た。やっぱり、今作では伊賀越えはスルーだったか・・・「真田丸」のが傑作だっただけに、今作はどうなるんだろう?とワクワクしていたので残念だけれど、それもまた今作の家康には合っている気がする。

 でも、堺から船で帰還する家康主従の様子も見たかったなあ。ま、そうと決まった訳でもないか。

 今作の家康はあくまで汗を見せないというか、とぼけている。いつでも明智討伐に出陣するぞ!と鍛錬に励む本多忠勝とは対照的。腹黒さをオブラートに包んでこう言っていた。

家康:既に羽柴殿が備中より戻っておる。今から駆けつけたところで何のお役にも立てまい。我らは我らのすべきことをする。甲斐信濃をお守りしようではないか。

 なになに、「お守りしよう」って?簒奪の間違いじゃないの?織田家がすっぽり抜けて空き家になったところを、ちゃっかりせしめに行くんだよね?それを綺麗に仰ってらっしゃる。さすが徳川殿。

 「どう家」では殿を演じるのが松潤だったから、悪く描くのは力技と言うか、少々理屈をつけるのがぎこちなくなって大変だったけど、この甲斐信濃の件でも悪者になっていたのは家臣だった気がする。リアルの家康は今作の方が近かったろうね。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第28回「急げ!秀吉」ネタバレ感想】小一郎は「嘘」をつき、兄秀吉の中国大返しをお膳立て

なぜ森乱がそこに来た

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第28回「急げ!秀吉」が7/19に放送され、第六天魔王信長が本能寺で明智軍によって滅したその後の騒動が描かれた。皆の暑苦しさはちょい高めながら、柴田勝家と前田利家のやり取りには貰い泣きした。

 まずは公式サイトからあらすじを引用する。

第28回「急げ!秀吉」◆◇あらすじ◇◆

信長を討った光秀(要潤)は家臣の斎藤利三(内藤剛志)に、小一郎(仲野太賀)を捕らえるよう指示。京に潜伏する小一郎は、備中の秀吉(池松壮亮)と、家族のいる長浜に急を知らせるとともに、畿内周辺の諸将が明智方につかないよう足止めをはかる。事態を知った家康(松下洸平)、勝家(山口馬木也)らもそれぞれの思惑で動く中、秀吉は信長の生存を信じ、毛利との和睦を急ぐ。そしてついに“中国大返し”が始まる!!(第28回「急げ!秀吉」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 これはどうなんだろう!と思ったのは、信長の近習の森乱が明智兵の格好をして燃え盛る本能寺から脱出してきたところ。門前にいた小一郎が瀕死の森乱を抱きとめ、彼は小一郎の腕の中で息絶えた。えー?そこで、森乱は決定的なことを小一郎だけに告げることになった。

森乱:すみませぬ・・・上様を・・・お守りすること・・・かない・・・ませんでした・・・。(絶命)

 なぜに森乱は脱出してきたのか。信長に、決して儂の首を敵に渡すなと命じられ、お任せ下されと請け負ったのだから、そのために脱け出してきたのだよね?

 傍で殉死したかっただろうが、森乱らしき近習の死骸があったら「近くに信長の死骸もあるはず」と、探索の手掛かりになってしまう。自分の感情よりも、そのくらいのことは配慮できる森乱だ。

 前回のブログで書いたように、もし富士山麓に信長の首が葬られたのだとしたら?首を運んだ人物を守るための、カモフラージュのひとりとして、森乱は炎の中から飛び出してきたのか。

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 せっかく前回、上様との泣かせるラブシーンを演じてくれたお乱、蘭丸だよ・・・お命をお守りできなかったとしても、やっぱり上様と共に死にたかったろうな😿

 そして、何でまた小一郎はそこに見物に来ているんだ?森殿!と大声で呼ばわるのもどうなんだろう?寺は明智の大軍に囲まれているのに、見つかったらふたりとも危ないよね。

 小一郎は曲がりなりにも主人公だから、仕方ないか・・・でもねえ。

 現地で明智軍を率いて信長を襲撃した斎藤利三は、信長の首を配下に探させながら「思いのほか火の周りが早かった」と主の明智光秀に謝罪した。光秀は、焼け落ちた本能寺で合掌しながら「御首級(みしるし)がなければ、従わぬ者もおろう」と危惧していた。

 この時に、光秀は京にいるはずの小一郎を捕らえよと利三に命じた。利三は「筑前の弟にござりまするか?」と返し、光秀は「災いの芽は早々に摘まねばならん」と穏やかに言ったのだけど・・・。

 ん~💦こんなに鈍い利三で大丈夫なのか?まさか、小一郎を知らない訳じゃないだろう。秀吉の弟を捕えることぐらい、そうですね!とササッと取り掛からんかい~と思ってしまったな。

 まあ、ドラマでは鈍そうな利三だから、信長の首級も見つからなかったということか。が、それは織田方の森乱ら、その場に残った者たちが懸命に細工した証だね。

小一郎は嘘をついたのか?

 京の市中の様子を見てきた浅野長吉が「未だ信忠様の亡骸は見つかっておらぬ様子。もしや、上様とおふたりでどこかに・・・」と言ったように、襲撃された織田親子の生死のほどは分かっていなかった。しかし、小一郎だけは信長の死に対して確証を持っていた。森乱が「お守りできなかった」と告げたからだ。

 文面に悩んでいたようだったが、小一郎は、前野長康に託した秀吉への知らせの文に何と書いたのだろう。「六月二日卯の刻、本能寺にて上様が」、映された文面からはその前には惟任日向守(光秀)が謀反と読める。この手紙は小一郎がポイと捨て、匿ってくれているとはいえ遊女屋の女将・吉祥が拾って読んでいた。おっと、情報管理は大丈夫か?

 それ以降の文面はハッキリしなかった。ドラマの流れとしては、この文で小一郎は兄秀吉に嘘をつき、大いに良心が咎めていたようだったが・・・見ているこちらは引っ張られてモヤモヤしてしまったな。

 備中高松城近くの秀吉の陣で、小一郎からの手紙を読んだ秀吉は「ハハハハハ」と笑い出した。

秀吉:何じゃこの文は。長康。小一郎とふたりで、儂を担ごうとしておるな?

前野長康:そこに書かれていること、全て真のことにござりまする。

秀吉:嘘をつくでない!(激高)そのような小芝居に騙される儂ではないわ!

蜂須賀小六正勝:殿。長康は戯言を申すような男では・・・。

秀吉:黙れ!上様が討たれるなど、あるはずがなかろう!(小六に体当たりして倒す)(中略、官兵衛に)ならば申してみい。何故、明智殿が上様を討たねばならぬのじゃ。

 え?じゃあやっぱり小一郎の手紙には「明智に上様が討たれた」って書かれていたってことだよね。どこが嘘なんだ?

 文面を見直した秀吉が「真に上様の亡骸はまだ見つかっておらんのか?」と長康に聞いた。「はい」との返答に、秀吉はこう言った。

秀吉:やはりそうじゃ!上様は必ずや生きておられる!逃げ延びて、我らの助けを待っておられるに違いない!

 これは秀吉がそう思い込んだからで、小一郎が秀吉を騙したり嘘をついたことにはならないんじゃ・・・と思ったら、ここでようやく種明かしがあった。

 小一郎は、使いの長康を送り出す前にこう言っていた。

小一郎:真のことを森乱殿から聞いたこと、兄者には伏せておいてくだされ。

 なるほどね、その不作為を悔いていたってことなんだね。森乱との偶然のやり取りが、今回の鍵になっていたのか・・・うーん、やっぱり森乱には小一郎なんかじゃなくて上様の腕の中で死なせてやりたかったが、ドラマ上どうしようもないか。

 尼崎城で合流した時に、それであんなに泣いていた小一郎。兄の一縷の希望を打ち砕いてゴメンだけじゃなくて、さらにその希望を利用して中国大返しの進軍をさせたってことでね。しょうがないじゃん、小一郎。それは兄の為でもある。そんなに泣くなよ。

 それから、手紙を貰った秀吉は、小六に体当たりしたり黒田官兵衛を叩いて突き飛ばしたり、目を剥いて暴れに暴れた。敬愛する信長の危機に我を失っているのだが、この態度が小一郎死後の秀吉のスタンダードになるのかと思うと・・・恐ろしいね。

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小一郎がアレもコレもしました

 そうそう、吉祥は苦労をかけて済まぬという小一郎に「あんさんらご兄弟にはぎょうさんご贔屓にしてもらいました。またお二人で遊びに来とおくれやす」と返答。えー、そうなの?秀吉は分かるけどなあ、小一郎は秀吉のお供と称して遊女屋で散々遊んでいたのか。

 ところで長康。「年は取っても夜目はちゃんと利く。昼夜問わず、走り続けまする」と言って、京から秀吉への陣へと小一郎からの文を持って行き、往復したんだよね。つまり秀吉の中国大返しの2倍の距離の移動だ。恐るべし川並衆だ。彼らは忍び設定なのだろうか。

 しかし、役者さんが若々しくて、年は取ってないみたいに見えてしまうな。中の人は「ひよっこ」の時子の兄さんを演じていたね。

 さて、小一郎は秀吉への使いを前述の通り前野長康に頼み、浅野長吉には長浜城に走って皆を逃がすように言った。藤堂高虎には、畿内の諸将が明智方につかぬように「足止め」を頼んだ。明智方に狙われているからと、小一郎本人は遊女屋の2階に隠れているのだが、どうやって足止めするつもりか。

 小一郎は、長康・長吉・高虎にこう言った。

小一郎:上様は生きておられる。そう諸将には広めるのじゃ。御首級が見つからなければ、明智に付くか迷う者もおろう。兄者が来るまで、時を稼ぐのじゃ!

 どうやって思いついたのかな・・・💦スッとベストなアイデアを出してきた小一郎。まるで本能寺での光秀の心を読んだかのようにセリフもシンクロ。どうしたらええんじゃ~(それは「どうする家康」のヘタレ殿)とはならないんだね。

 この後、小一郎は遊女屋に光秀の盟友・細川藤孝(細川幽斎になる人)を呼び、明智に付かないよう、まさに「足止め」に成功した格好になった。細川親子(息子の嫁は光秀の娘・細川ガラシャだもんね)は信長を悼んで髻を落とし、世間にはインパクトもあっただろう。

 これが小一郎の手柄だとしたら、反明智の風を作るには最も大きな成果だと思うが・・・光秀も助けたいなんて、なんか話の中身がいつもの少年漫画風で軽く感じちゃったなあ。小一郎にしては、忠興の前で過労で気絶もしてみせ、表情もキリリとカッコ良かったのだけど、ね。

 そうだった、秀吉の中国大返しの道中を可能にした小一郎のこっそり手配の件も書いておかないと。小一郎が、進軍してくる秀吉の軍のために食事だったり、替えの馬を事前に宿場(?)に手配していたので、流石小一郎殿!という流れだったよね。

 が・・・上様が毛利討伐のために出陣してくるから、そのために道中で用意されていたものが大返しでは役に立ったとの説があると聞いた。その説だと、上様の御座所として、道も宿も相当の手が入れられていたらしく、証拠らしき物が発掘されてもいるとか?(かなりザックリな紹介でゴメン💦もう時間切れなので💦)

 ただ単に、こっそり馬や食事を用意していた・・・じゃなくて、土木工事を含めて力を発揮する小一郎の話が見たかったな~。細川殿とのあれもこれもじゃなくて、その方が嘘っぽくなくて全然面白そう。そしたら、築城など得意な藤堂高虎の腕も活きるし、ねえ。

三男・織田信孝と忠臣・丹羽長秀、そして黒幕・織田信澄

 信長の死に対して、ドラマで最初に反応があったのは、摂津の住吉で四国攻めに備えていた信長の三男・信孝。「おのれ明智!」と吠え「直ちに引き返し明智を討つ!」と宣言した。瞬発力がある。信長の息子として正統派の怒りだね。

 しかし、同席していた丹羽長秀は言葉を失っている。信孝に「丹羽。丹羽~!聞いておるのか!」と食らいつかれて、ハッと我に返っての万感にじむ「はっ」に彼の信長を失ったショックが見えた。信孝の手を握ってようやく絞り出した「は」だった。一番信頼されたという忠臣だもの。

 四国攻めの副将として、この信孝と長秀と共に摂津にいた信長の甥・信澄は、大坂城で兵を挙げた。「もはや織田信長はこの世にはおらぬ。我は明智殿と合力し、正しき世を取り戻す!志ある者は我に続け!」と、ドラマでは光秀を唆した黒幕の信澄は、声も明るく家臣らを前に言ったのだったが、信孝と丹羽の軍に敗れて切腹する羽目に。

 上様はあなたを許すつもりだった、との丹羽長秀の言葉をどう聞いたのだろうね。前回も書いたように、リアル信澄の場合、謀反は濡れ衣だったようだ。それも立場を考えたら避けられなかったのでは・・・忍従の人生だったね。

 だったら、せめてドラマでこのように明るい表情で反旗を翻せたのは良かったのかもしれないと思ったりもする。それとも、濡れ衣なんだから、それを本当にはしないでほしかったかな。

狸・家康は伊賀越えなしか

 本能寺での変事を知り、堺の津田宗及の屋敷に滞在していた家康は「見誤ったわ。織田信長も死ぬのじゃのう」と、のんびり言った。松下洸平の家康は、「どう家」松潤家康にも負けずに品があるね。いかにも今川の駿府の文化で磨かれた殿の品格があるのだけれど、本性をつかませない狸っぷりもしっかり身に付けた感じ。

 本多忠勝のように正直すぎたら身が持たない。保身のためには狸になるのも仕方ない事だ。

 家康が「この儂が、上様の敵を取って差し上げたいものよのう」と口にするのは、これはもう狸芝居の嘘っぱちにしか聞こえないが、津田宗及の屋敷の者たちを意識しての発言だろう。それに対して、石川数正が「我らだけではどうすることもできませぬ。織田の重臣たちも皆、遠方におりますればすぐには戻れますまい」「ここは一刻も早く岡崎に戻り、軍勢を整えてからでも遅くはないかと!」と答えるのも気の毒になる。

 この後、家康が「よし!そうと決まれば最も早い道を行くぞ。伊賀じゃ」と言うと、数正は「はあ?あそこを越えるのでございますか!」と大仰に驚いてみせた。宗及が現れ、餞別に砂金の包みを家康に渡したが、家康のお礼はテキトーにしか聞こえない。うまいよね~、ここらへん。最近は政治家の役もやってたから。

 宗及も狸で、明智に「家康は伊賀を越える」と知らせを入れる気だ。「誰に風が吹くか分からん。皆に恩を売っておくんや」との考えは商人としてたくましいばかりだが、それを見越した家康は「すぐに船を調達せよ」と数正と忠勝に言った。

 「船で山を越えるのですか?」の忠勝のセリフには笑ったが、「生きて伊賀越えなどできる訳なかろう。見せかけじゃ」と家康。そう、化かし合いなら殿の方が上なのだ。家康の家臣は臨機応変力が試されるね。

 家康主従のやり取りは楽しいが、今作では家康名物・伊賀越えは見られないのか・・・「真田丸」の内野家康の伊賀越えは爆笑だった。あれはなかなか超えられそうもないもんね。

 ああ、肝心の前田利家の話が書けない~時間切れ。また書きます。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第27回「本能寺の変」ネタバレ感想】森乱と秀吉の愛に包まれ「是非もない」人生を終えた信長

死の間際、ラブラブの瞬間

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の前半クライマックス、第27回「本能寺の変」が7/12にとうとう放送された。本物の炎に焼かれる本能寺のセット、そこで炭に汚れた白い寝間着をまとった小栗旬演じる織田信長が割腹自殺を遂げた訳だが、なかなか見せ場の多い本能寺だった。

 まずは、公式サイトからあらすじを引用する。

第27回「本能寺の変」◆◇あらすじ◇◆

信澄(緒形敦)は光秀(要潤)に信長(小栗旬)への積年の思いを打ち明ける。光秀は驚がくしつつも、表沙汰にしないことを決める。一方、備中で毛利攻めの任にあたる秀吉(池松壮亮)は、戦の総仕上げのため信長を連れてくるよう小一郎(仲野太賀)に依頼する。折しも安土城では信長が家康(松下洸平)を接待していたが、食事に毒が盛られていたことが発覚。饗応(きょうおう)役の光秀が首謀者をかばっていると察した信長は逆上する。(第27回「本能寺の変」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 話を先に進めてしまうが、印象的だったのはこの場面。明智軍の襲撃に対して本能寺で戦い尽くし、奥でふたりになった時、市川團子演じる森乱が「上様。お気を確かに」と信長の脚に触れながら跪いて見上げる。現実に引き戻され気を取り直した信長は、そこで「脇差を貸せ・・・頼む」と言うのだ。

 もちろん、脇差で主が何をするのか、森乱は理解している。躊躇いながらも震える手で脇差を差し出す森乱・・・この辺りの演技、良かったよねえ。本当は渡したくなんかないよね!森乱の上様への愛を感じたよ。

 信長の方も愛情たっぷりのまなざしで森乱を見やり、頬を撫でながら言った。

信長:良いか。(左手で森乱の頬に触れる)儂の首・・・決して敵の手に渡すでないぞ。

森乱:(嗚咽を堪えるように)お任せ・・・くださりませ。(信長、満足そうに軽く頬を叩き、自決のために背を向け腰を下ろす。深々と頭を下げて走り去る森乱)

 信長の手の感触を頬に感じながらだっただろう、森乱の精一杯の返答。これはもう、ラブシーンだね。NHKの大河ドラマだから表立ってはあれこれ語られずとも、主従の深い絆を示す一場面だったのではないか。

 森乱は信長にぞっこんなのだろう、秀吉にも負けないくらいに。なんだ信長よ、こんなに愛されてるじゃないか。弟の故信勝に気を取られてばかりだが。

 飼い主を見つめる子犬のような純真無垢な眼差しの森乱が、「お任せくださりませ」としっかり頷き、信長をひとり残しその場を離れた。そうしたのはこれから腹を切る主の尊厳を守るためだと思うが、主を無用に苦しませないよう「介錯仕りまする!」とはならないのかと少々思った。このドラマのお市による夫・浅井長政の介錯は衝撃的だったからね。あれは、愛からの行動だった。

 その後、ドラマでも見事に信長の首は明智軍の探索によっても見つからないのだろうから、森乱は良い仕事をしたに違いない。

 リアルでは、「信長公首塚」が静岡県富士宮市の西山本門寺にあると注目されている。その流れでストーリーを追いたい方は、今村翔吾作『未だ本能寺にあり』がお勧めだ。(【新連載のお知らせ】新聞連載『未だ本能寺にあり』が始まります!! | 新着情報 | 歴史小説・時代小説家「今村 翔吾」)新聞連載で読んだのだが・・・あらら、まだ書籍になっていないのかな。しばし待たれよ、きっと出版される。

 首塚は、地元富士宮市のウェブサイトにも謂れなど詳しく紹介がある。そして、担当者はこう書いている。

本能寺で明智軍の大軍に囲まれ絶体絶命になった時、当時としては革命児であり奇抜な発想豊かな信長公であれば、「是非も無し・・・」の後に「我が首を富士の麓へ・・・」と僅か1ヶ月半前の、霊峰富士を眺めた凱旋紀行を思い出し、日本一の富士の麓から今後の戦国の世の行方を見守ろうとしたのでは!?と考えるのは、私だけではないような気がします。(信長公の首塚と足跡 | 静岡県富士宮市

 2023年の大河「どうする家康」で「ぶらり富士遊覧」という、アイドル松潤の体幹しっかりダンス(海老すくい)が見られる面目躍如の回があったが、信長は1582年春に武田家を滅亡に追いやった後、ゆっくり富士山を眺めてから安土城に戻っている。その後、割とすぐの本能寺の変だから、確かに記憶に新しい富士山の麓に我が首を埋めてほしいと望んだかもしれないね。

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 「ぶらり富士遊覧」は「どう家」の第26回だというから、まあまあ同じ夏の時期に本能寺の変を迎えているんだね。どうしたって戦国大河のクライマックスだから華々しい。

信長を襲うのは、光秀じゃない?

 森乱との最期の対話が始まるまでに、信長は本能寺での戦いの最中に過去、心残りがあった人たちと対峙した。全て、信長の脳が生み出した想像の産物ではある。

 最近の大発見として、本能寺の変の際に明智光秀は実は鳥羽にいたと記す文書が見つかっている。大坂にいた織田信孝と丹羽長秀軍に対する備えだと考えられるそうだが、今回の紀行でも触れられていた。

 その新説に従い、ドラマで本能寺を急襲した明智軍を指揮していたのは、斎藤利三だった。春日局のお父さん。内藤剛志が利三で、急に「科捜研の女」が始まったのかと・・・なんて。

 だが、それじゃ物足りないでしょ?と言わんばかりに、信長の脳内の産物として現れたのが甲冑姿の明智光秀だった。しかし、光秀に信長は「お前じゃない」と呟き、にべもない。信長に首を水平に斬られ殺された「光秀」は、無名の明智方の兵士だった。

 次に現れたのは、浅井長政の幻。「早うこちらへ参られよ。相撲の決着を付けましょうぞ」と信長を誘ってくる。信長は、切り結んだ相手の刀身を左手で押さえながら(!指切れるって💦)刀をずらして相手を斬ってとどめを刺し、決着は簡単についた。また殺された「長政」は無名の兵士になっている。

 事前に妹のお市との衝突があったから、長政が想起されたのだろうか。いや、義理とはいえ「弟」だ。それを殺した過去は、信勝と重なるのだろう。「弱味が弟」の信長の深層心理からすると、長政の幻が現れるのも自然な流れだ。そして、これまで虐殺されてきた赤子を含む老若男女の幻が信長の前に立ち並んだ。

 さて、とうとう現れたのは信勝の子・織田信澄の幻だ。本命の信勝に近くなった。長政、信澄のふたりは、本丸である弟信勝の代理みたいなものか。

 しかし、信長は信澄は大坂に居ることを知っているはず。極限状況で気がおかしくなっている信長はそんなことは忘れ、ようやく甥が自分を殺しに来たと思って、殺されてやる気満々に見えた。「もういいか、疲れたわ・・・」と言う信長は、むしろ、これで信勝への贖罪を果たせるとウェルカムだったのだろう。

 ここで面白かったのが、「父の敵。死ね~!」と大音声で向かってくる甥信澄の気合の一太刀を防いだのが誰あろう、弟信勝その人の幻だった点だ。弟代理の甥は襲ってきたのに、当の弟は信長を守るか・・・信勝は、信澄の刃を止め、信長に微笑んだ。「信勝・・・」と呟く信長。

 やっぱりね、信長は、信勝に許されたかったんだよね。兄を憎んだことはあるか?殺したいと思ったことは?と小一郎を問い質した時の、小一郎のこういう返答もあった。

小一郎:どうでもいいと思うておったら、腹など立ちませぬ。憎いというのは慕ってることの裏返しでござります。信勝様もきっと、そうだったのでございましょう。信勝様は、上様を恨んではおりませぬ。(略)手前にはよう分かるのです。到底かなわぬ兄を持った、弟の気持ちが。信勝様は、上様を恨んではおりませぬ。

 自分が殺してしまった弟の気持ちを、そう解釈したかったんだろう。人たらしの小一郎はそれを理解して、信長に言ったのだ。

 現実に信長を守ったのは、しかし、信勝ではなく森乱だった。信澄の幻も、実は明智方の兵士。鮮やかな刀捌きで、森乱は瀬戸際の主を守った。そして、前述の森乱と信長のラブシーンに続く。

 信勝の幻影は、最後に戻ってきた。腰を下ろし、着物をはだけて脇差を腹に当てた信長に、正面からこう話しかけてきたのだ。

信勝:兄上。我らの一生・・・ろくなものではござりませんでしたな。

信長:(ハハ、と軽く笑いながら、「殿!」と自分を呼ぶ秀吉、小一郎の姿を思い浮かべる。「儂が太陽になって、上様が作り上げたこの国を照らし続けまする」という秀吉の言葉と、羽柴兄弟の笑い顔。信長、歯をむき出して笑う。)是非も無し。(切腹)

 愛すべき秀吉&小一郎兄弟を家臣にできた人生は、悪いだけではなかったという事だろう。いや、愛情たっぷりなら森乱もいるからね。この辺りの見せ方は面白かった。ベタベタドロドロの信長と家康の関係を反映した「どう家」の、ちょっと後味の悪い本能寺の変の見せ方よりは、楽しめた。

小一郎、後悔しないのか?

 前回の長浜城での大宴会で、自分たちは何をしたのか。小一郎はすっかり忘れてしまったようだ。ブログではこう書いていた。

・・・信長が信澄への疑いを抱いたのも、羽柴兄弟は信長が心身の疲れを高じさせてのものだと考えた。それでお市まで巻き込んで、上様をいたわれ、上様をもてなせ、の号令一下、羽柴家一同が信長を長浜城に招いて大宴会を挙行した。

 秀吉と小一郎は、信長のご機嫌を見計らって信澄を許してちょーとお願いした訳だが・・・そんな怖いことが良くできたものだよ。結局、寧々までが酒を飲んでの大芝居を打って空気を作り(浜辺美波がサイコー)、飲み比べで勝った秀吉の言うことを信長は聞くことになった。つまり、信澄を許すとね・・・余計なことをしちゃったよね。(【豊臣兄弟!第26回「信長を笑わせろ!」ネタバレ感想】まさかの信長甥・信澄黒幕説!羽柴兄弟の誤算が悲劇を招く? - 黒猫の額

 だから不思議なのだ。信長の毒殺騒ぎになった時、それが信澄の指示によって台所方が信長が食べる鯉の煮付けの皿に毒を混入させていた、という点まで小一郎は把握していたのだろうか?

 思い当たる犯人について口を割らなかったために、家康接待役の光秀がどれだけの激しい暴力を信長から受けたか。台所にいた人間を皆殺しにすると信長に言われ、慌てて中途半端に匂わせちゃったのが、今作の少し抜けている光秀らしい💦

 信長も、まさか飛び蹴りまで繰り出そうとは。リアルで光秀役の要潤は病院のお世話にはならなかったのだろうか?信長役の小栗旬は、「鎌倉殿の13人」でも畠山重忠役の中川大志とボコボコの殴り合いをしていて面食らった。今回の本能寺の殺陣もキレキレだったね。

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 小一郎は、光秀が暴力を振るわれたことは、既に耳に入っていたような口ぶりだった。が、「信澄を追って腹を切らせよ」と信長が丹羽長秀に命じていたことまでは知らなかったのだろうか?

 すべての元凶は信澄だよ、前回おたくたち羽柴兄弟がむりやり信長に頼み込んで許してもらった彼ね。信長の信澄に対する危うい勘は当たっていて、おたくたちが余計なことをしちゃったんだけど?それで光秀もボコボコにされた。なのに小一郎、まるで他人事だった。

小一郎:(廊下で)明智殿。あ~、災難でございましたな。

光秀:(信長に殴られ蹴られ、あざが見える)はあ・・・。徳川殿のもてなしはお役御免となった。代わりに、そなたらと共に西国攻めを命じられた。

小一郎:明智殿が?それは心強いが・・・。

光秀:上様は、しばらく儂を遠ざけたいのであろう。(腫れあがった顔)

小一郎:なかなかの・・・優男になられましたな。

光秀:フッ。弟猿に言われとうないわ。

小一郎:ハハハハハ。

光秀:儂はこれより、坂本城に戻って支度を致す。また、備中で会おう。

小一郎:はい。共に毛利を討ちましょう。

 ふたりの会話に信澄の話題が出ないのは何故?わざと話題にするのを避けたのか、小一郎?この直後の場面でお市は「信澄め。兄上から受けた恩を仇で返す様な真似を」と言っているのだから、光秀と小一郎の会話としてかなり不自然だよな・・・。

 というか、光秀もね。これで謀反を起こす気か?

「敵は本能寺にあり」となるまで

 光秀が本能寺の変を起こすまでの彼の心持ちなのだが、あまり腑に落ちなかった。

 先ほど引用した小一郎との会話は、信長からの折檻の直後で接待役のお役目を解かれたところ。あれだけ殴る蹴るをされたのにねえ、この時点では光秀の思考には全然響いていない様子。小一郎にも「備中で会おう」なんて言っちゃってる。

 信澄に感化されて義昭に手紙を書いたのはいつの時点なのだろう?少なくとも、この小一郎との会話以前じゃないと、辻褄が合わないような気がするのだが。だとしたら、義昭にバックアップしてもらって信澄を旗頭に謀反を起こす考えは、会話の時点で既に念頭にあったことになるよね?違うか?それなのにあの反応?

 義昭への使いに立った斎藤利三が戻り、「もう儂を巻き込むな」という義昭からのつれない返事で光秀は逆上した。義昭のために、イヤイヤ信長の家臣となったのに・・・義昭が言うから、どんな信長からの仕打ちにもこれまで耐えて頑張ってきたのに・・・の辛い気持ちまでは分かる。

 これは、義昭を恨んでもいい話だよね?もう二度と義昭には関わらないとワナワナ震えて誓うなら分かる。それがどうして信長にベクトルが向くのだろうか?義昭ショックで心のタガが外れ、自分は抑えに抑えていたけれど、実は信長が大っ嫌いだった、との事実に気づいたってことなのかなあ・・・。

 本当は心から好きな義昭だから、義昭に対しては攻撃のベクトルが向けられず、無意識で抑えてしまっているのか。さらに、義昭のために、「これは上意だ」ということにして、義昭さえヤレとは言っていない反信長の行動に踏み出すということなのか?

 ・・・分からないなあ・・・利三は上意じゃない事だって知っている。これで「敵は本能寺にあり」となるのは弱い、説得力に欠ける気がした。いや、要潤は熱演してたよ~💦ロジックの問題ね。そうか、破れかぶれでの行動か!

家康のガマンと、信澄の安易な企み

 ところで、安土に招かれ信長から饗応を受けていた家康は「自分を抑えるため」に毒を所持していた。3年前の築山殿事件で、信長の指示で妻と嫡男信康を処分せざるを得なかった悔しさを抱えていたので、毒を持つことで「その気になればいつでもやれると思いたかった」と。わかるよ・・・。

 当初、このドラマの石川数正は家康が自ら食事に毒を入れた自作自演を疑ったぐらいで、今作の家康も、信長への恨みは相当深いと示した形だ。

家康:儂は妻と子を手にかけてまで生き残ったんじゃ。こんなことで台無しにはせん。

 そうだよね。だからこそ、逆を考えると信澄の行動にも何か納得できないなあ。信澄も、苦労して生き延びたのに・・・こんなことで台無しにするのかい?相当甘いよね、若くて物事が見えていないのか。

 約20年も抱えた恨みを晴らすためだというのに、依頼人がすぐに分かる形で料理人に金銭を渡して食事への毒混入を頼むなんて、あ~軽々しい。自分が直接関わらない形にしたかったのは、自分が後で織田家トップに立つためと言われればそうかもしれないが、すぐに依頼人が割れるなんてねえ。まさか、自分が直接渡したんじゃないだろうね?あっけなかったねえ。

 これで信澄は本能寺の変後に斬られ、無残にも晒される。リアルでは全く濡れ衣だったんだよね、可哀そうだ。今回のドラマで濡れ衣の上塗りをするのだったら、もうちょっとスカッと大暴れの活躍をさせてあげたかったな。幻として、伯父信長に立ち向かうだけじゃなくて。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第26回「信長を笑わせろ!」ネタバレ感想】まさかの信長甥・信澄黒幕説!羽柴兄弟の誤算が悲劇を招く?

=緒形拳の孫で、緒方直人と仙道敦子の息子

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第26回「信長を笑わせろ!」が7/5に放送され、信長甥の織田信澄が舅のオロオロ明智光秀を操るという斬新な解釈によって、戦国最大のミステリー「本能寺の変」を描くようだと分かった。

 まずは今回のあらすじを公式サイトから引用する。

第26回「信長を笑わせろ!」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗旬)は、長宗我部元親(磯部寛之)との約束を翻し、労せずして阿波と讃岐を手中に収める。元親は激怒し、間を取り持った光秀(要潤)は苦しい立場に陥る。そんな中、信長は甥(おい)の信澄(緒形敦)が長宗我部と内通して謀反を企てていると疑い、蟄居(ちっきょ)を命じる。光秀から事の顛末(てんまつ)を聞き、信長の苦しみを察した小一郎(仲野太賀)と秀吉(池松壮亮)。羽柴家一同である計画を立て、信長と市(宮﨑あおい)を長浜城に招く。(第26回「信長を笑わせろ!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 まずは信澄を演じる中の人・緒形敦が、あの緒形拳(緒形拳 - Wikipedia)の孫だとのことで話題だ。

 大河ドラマ歴を確認するだけでも、お爺ちゃん緒形拳は9つにご出演だ。大河デビューは「太閤記」の秀吉で主演だもんね。それが1965年、残念ながら記憶にない。1978年「黄金の日日」での秀吉再演だったら、好きな大河だし記憶にバッチリ残っている。飄々としながらコワさも秘めている、出来る秀吉だった。

 もう1本の大河主演では、緒形拳は大石内蔵助を演じていた。それが1982年「峠の群像」だった。ただ、大石蔵之介は「元禄繚乱」の中村勘九郎(当時)の方が好きで、脳内で上書き保存しちゃったな・・・。

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 めっちゃカッコいいじゃん!と思った緒形拳は1976年「風と雲と虹と」の藤原純友と、1997年「毛利元就」の尼子経久だ。この二役は、唯一無二の感がある。未だに黒地に赤い渦巻のような経久の着物を着た役者さんが出てくると(大概が重要人物)、緒形拳の経久を思い出す。

 晩年の2007年「風林火山」の宇佐美定満も良かった。翌年に亡くなるのだから、体はしんどかったことだろう。上杉謙信役で出ていた麗しのGACKTが浮かずに存在できたのも、横に緒形拳がいたからだと思っている。他の役者さんの宇佐美定満を見ても、緒形拳に軍配が上がる。

 もうね、お爺ちゃんは大変なビッグスターだ。そして、親は緒形拳の次男の緒形直人と仙道敦子なんだよね。緒形直人は1992年「信長 KING OF ZIPANGU」で主演だった(緒形直人 - Wikipedia)。

 おっと、豊臣秀吉も演じているんだね。「MAGI 天正遣欧少年使節」(2019年1月17日配信、Amazonビデオ)とのことだ。いつか家康も、戦国三英傑を走破してもらいたい。それから母の仙道敦子は・・・ごめん、目が印象的な色白の美人女優さんとしか覚えてなかったけど、人気があったね。

 信澄の中の人、大変なビッグネームを背負って生まれてきたものだ。その彼だから、信長暗殺の首謀者なんていう大役も背負えるのか。申し訳ないけど、普通の30前後の若手俳優が話題性も含めてこの役を演じられるかと考えると、難しい気がするね。彼の場合は、多少のことはネームバリューが弾き飛ばすし、祖父と父の名が演技の品質保証にもなっている。

ひんやり冷たい、陶器肌輝く信澄

 今回、クローズアップされた織田(津田)信澄。どんな人かと人物紹介を見てみると、公式サイトにはこう書いてあった。

信長の弟・信勝の長男

父が謀反の疑いで信長に謀殺(ぼうさつ)されたのちは、柴田勝家の下で育つ。明智光秀の娘婿となり、信長からの信任も厚い。(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第25回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 信澄は信長が襲われた際に前に飛び出し、身代わりとなって腕を斬られるケガを負った。誰に襲われても驚かないほど恨みのベクトルが集中していそうな信長だが、まさかお寺のお坊さんまでもが刀を抜いて襲い掛かってくるとはね。

 信澄が痛みを堪えた表情に、弟信勝の死の間際の姿がフラッシュバックしてしまう信長。彼が捉えた、信澄の表情から感じた危険シグナルは正しかったんだよな、決して勘が鈍った訳ではなかった。

 それが後で分かった時に、ヒャッと背筋が寒かったが、羽柴兄弟は今後ものすごく後悔しそうだ。秀吉&小一郎は、あれだけ面白い家族や仲間に笑って囲まれて、幸せだからねえ・・・骨肉相食む争いの深刻さは想像もできなかったのでしょ。

 信長の四男で秀吉が養子にもらった秀勝も、信長接待の宴会で羽柴家の中心になって面白いポーズを取っていた。絶対に織田家ではやらなかった動作のはず。羽柴に感化されたのだよね。

©NHK 信長とお市を長浜城に迎えての盛大な宴。中央が秀勝

 リアルの信澄の経歴をチラリと見てみるだけでも(津田信澄 - Wikipedia)、確かに悲惨なことをやらされている。天正六年(1578年)に、あの荒木村重の妻だし等、一族37名を捕えて京に護送したのは信澄だった。その後、処刑するんだもんね。

 天正九年(1581年)四月には、検地に逆らった槇尾寺の僧侶800名を信長の命で皆殺し(!)にしている。今でさえ当然考えられない皆殺しだが、神仏の信じられていた時代には、御仏の弟子を皆殺しなんて、さらに恐ろしい行為だっただろうね。九月には北畠を滅ぼす伊賀攻めだ。これも悲惨な話だった。

 そして、運命の天正十年(1582年)。信澄は、三月には甲州攻めに従軍して武田を滅ぼし、五月には四国遠征軍の副将として準備に入った傍ら、徳川家康の大坂での接待役を丹羽長秀と共に命じられていた。しかし、その前の六月二日に舅の光秀が本能寺の変を起こすことになって、信澄はとばっちりで命を落とすことになるのだよね。

信澄が光秀の娘婿であったことが災いし、市中には謀反は信澄と光秀の共謀であるという事実とは異なる噂が流れており、疑心暗鬼に囚われた信孝と長秀は、(6月)5日、信澄を襲撃して大坂城千貫櫓を攻撃した。信澄は防戦したが、丹羽家家臣・上田重安によって討ち取られた。謀反人の汚名を着せられたまま、信孝の命令で堺の町外れに梟された。享年は25とも28とも言う。(津田信澄 - Wikipedia

 一体誰がそんな「事実とは異なる噂」を流したものか。安土城下の船着き場の工事など、心穏やかに従事できそうな土木仕事が無いわけではないが、当時の織田家の武士のお仕事はメンタルに堪えるものばっかりだ。挙句、いい迷惑のとばっちりで殺されるなど、本当に信澄って気の毒な人だ。

 ただ、宣教師のルイス・フロイスには散々に言われているようだ。びっくり。

宣教師ルイス・フロイスは、信澄の死去にあたり「この若者は異常なほど残酷でいずれも彼を暴君と見なし、彼が死ぬ事を望んでいた」と評している。同じく『耶蘇会報』でも「甚だしく勇敢だが惨酷」と評し、信澄が2人の罪人を馬に踏み殺させた逸話を記している。また、信澄を殺した信孝は、キリスト教に造詣が深いことで宣教師に高く評価されており、信澄を殺害したことで「三七殿は勇気と信用を獲得し、ただちに河内国のあらゆる有力者たちは彼を訪れ、主君として認めるに至った」ともフロイスは書いた。(同上)

 噂を流したのは宣教師たちなのか?信長亡き後の信孝アゲ工作の一環か。もしかして、ドラマでは信澄に騙された格好の羽柴兄弟・・・というか主人公小一郎が、信澄を何とかしなければと躍起になって噂を振りまくとか?小一郎の見せ場を拵えねばならないもんね。

 しかし、発想の転換が凄いよね。ドラマでは、信澄が黒幕で光秀を振り回す方向で描くのだものねえ。色白で気が弱そうにも見えていた信澄が、舅光秀を追い込む時には陶器肌を青白く輝かせて覇気が見えた。気の毒な信澄では終わらない、これこそが信勝と信澄親子の鎮魂のドラマになりそうだね。

まるで国譲りの羽織委譲

 ところで、このドラマでは経費節約の為か、秀吉の残酷さを示すとかねてより言われていた鳥取城攻めをすっかりスルー、今回の冒頭では戦は終わっていた。えええ!

 三木城攻めで干殺しはもういいでしょう、という事なのだろうか。鳥取の餓え殺しも、織田家中のメンタルだったら通常運転なのかもしれないが、ドラマの天使秀吉と万事円満小一郎がやるにしてはあまりにも悲惨なはず。どうするんだろう・・・と心配していたんだが。

 今後、本能寺の変からの中国大返しもあるからね、撮影にはお金もかかる。(その前に水攻めもあったか、それはやるのかな。)だからスキップしちゃったかな。

 一応、鳥取城は前回からの間で陥落させたとして、秀吉は相変わらず上様愛に溢れた天使、でも負の面を全部吸い込んだかのように信長がどんどんストレスをため込んでいた。その御姿が、まるで「鎌倉殿の13人」の北条義時の生まれ変わりのようなんだよね。黒い張りぼてを被って中で苦しむ義時のパターンでね。

 信長が信澄への疑いを抱いたのも、羽柴兄弟は信長が心身の疲れを高じさせてのものだと考えた。それでお市まで巻き込んで、上様をいたわれ、上様をもてなせ、の号令一下、羽柴家一同が信長を長浜城に招いて大宴会を挙行した。

 秀吉と小一郎は、信長のご機嫌を見計らって信澄を許してちょーとお願いした訳だが・・・そんな怖いことが良くできたものだよ。結局、寧々までが酒を飲んでの大芝居を打って空気を作り(浜辺美波がサイコー)、飲み比べで勝った秀吉の言うことを信長は聞くことになった。つまり、信澄を許すとね・・・余計なことをしちゃったよね。

 宴会の翌朝、青天の天守に登り、信長と秀吉は語り合った。ここに、小一郎は主人公といえども介在する余地はなかったね。

信長:空には境目が無い。境目が無ければ争いが起きることも無い。空はどこまでもひとつじゃ。儂はそういう国を作りたい。

秀吉:では…拙者は太陽になりまする。昔、おっか様に言われました。お前はお天道様のようになれと。儂が太陽になって、上様が作り上げたこの国を照らし続けまする。

信長:この戯けが!それではお前が一番目立つではないか。

秀吉:あ、いや、決して決してそのようなつもりでは!(膝をつく)

信長:この!(自分の羽織を脱いで、秀吉の肩に掛けてやる。秀吉の前にかがんで)よき侍になりおったわ。(ほほえむ。立ち上がって離れて)さっさと毛利を倒して参れ。(秀吉が感激で涙にむせんでいる)戻ったら次は・・・茶会でもするか。

秀吉:は・・・ありがたき、ありがたき幸せ!

 感動的な主従の最後の場面では、まるで国譲りのように信長が着ていた羽織を秀吉に着せ掛けた。これで、信長とはお別れなんだね。秀吉の純情に貰い泣きしたな。

復讐に燃える婿・・・光秀が気の毒過ぎる

 信長に許された信澄は、舅の光秀に怖い種明かしをした。信長に誅殺された信勝の遺児として、彼は復讐を忘れていなかったのだ。ジャジャーン。ドラマではね。

光秀:信澄様。上様からの疑いが晴れて何よりでございましたな。羽柴殿が口添えをしてくれたそうでござりまする。礼を申さねばなりませぬな。(月が雲に隠れる)これからは、誤解を招かぬよう、十分お気を付けくだされ。ハッ、上様はあのご気性、次はどうなるか分かりませぬ。

信澄:よく分かっています。そうやって、真の父を殺された身ゆえ。舅殿こそ、お気を付けくださりませ。あの公方様からの御内書、上様に見つかりでもしたら言い逃れはできませぬ。(カッと目を見開いている)

光秀:(息を呑んでいる)なぜそれを。盗み見たのですか?

信澄:いいえ。

光秀:ではなぜ!

信澄:(光秀に顔を近づけて)あれを書いたのは、この私でございます。

光秀:(声も無く、驚いている)

 あの御内書、最小限の漢文で署名も無かった。花押はあったけどね。でも、義昭の筆跡を見慣れている光秀が、見誤るものだろうか?不思議だけど、内容がショッキングだったから、光秀はそちらに気が取られてしまったのかもね。ああもう気の毒だ~光秀~!

 さて、これで信澄の黒幕説をどう成立させていくのだろうか、本能寺の変が楽しみになってきた。ああもう始まるね!

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第25回「変事の予兆」ネタバレ感想】信長の「義時化」も見える老臣追放劇。光秀にはあの人から指令がキター

本願寺攻めが終わり、安土城もできて・・・追放!

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第25回「変事の予兆」が6/28に放送された。今回から「第7章・運命の本能寺編」にいよいよ突入しており、古参の重臣2人(林秀貞、佐久間信盛)と、ドラマでは主人公小一郎の舅設定の安藤守就が、信長の鶴の一声で追放された。織田家中には激震だ。そんな中、花押の特徴的なお久しぶりのあの人から光秀に密命が届き、光秀は動揺。いよいよ迫るXデー・・・。

 まずは公式サイトから、あらすじを引用する。

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第7章「運命の本能寺編」第一幕。第25回「変事の予兆」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)の新たな城・安土城が完成。祝宴の場で信長は、家臣たちに相撲を取るよう提案し、若き近習・森乱(市川團子)の相手に、なぜか林秀貞(諏訪太朗)や佐久間信盛(菅原大吉)、安藤守就(田中哲司)ら長老格の重臣を指名する。余興と思いきや、あえなく敗北した3人に、信長は問答無用で追放を言い渡す。小一郎と秀吉(池松壮亮)がその理不尽な行動の理由を探ると、光秀(要潤)が信長の真意を語りだす。(第25回「変事の予兆」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 いつの間にか今年の上半期が終わり、ドラマも折り返し。もう天正八年(1580年)まで来ている。長かった本願寺攻めがこの年八月にとうとう終結し、武田滅亡と本能寺の変まで残るはあと2年か・・・。

 今回は、信長の安土城が完成しての祝いの宴という事で、相撲好きの信長が余興として老臣に相撲を取らせるのかと思ったよね💦もちろんそんな平和な話ではなく、この年断行された追放劇を組み込んできたのはドラマとして面白かった。

 (リアルでこの年に追放されたのは林、佐久間、安藤にもうひとり丹羽氏勝が足りないけど・・・ということは、後の小牧長久手の戦いの天晴れだけど悲劇の丹羽氏重もドラマでは出てこないのか。やってほしいけどなあ😿 岩崎城の戦い

 さてさてドラマの相撲では、第5回の永禄六年(1563年)の御前試合で出てきた例のイケボの武田佐吉(演・村上新悟)がまた行司。あの御前試合から17年、ずいぶん経つが生きていたんだね、相撲の場面だけのご出演なのか。

 相撲は、「偉い」秀吉は遠慮して小一郎が絶対出ないと言い張る一方、最初は滝川一益と前田利家らがやる気満々。利家は片肌を脱いだりまでしてアピールしていた。が、雲行きが変わったので武田佐吉に促されて下がって席に戻り、追放の話が出てからだったかコソコソと着物を戻していた。

 老臣の相手は信長近習の森蘭丸、もといドラマでは森乱だ。森可成からどうやってこの美少年が生まれたんだ・・・と差し込まれた父親像を見た視聴者も一瞬考えたと思うが、実際のところ中の人(市川團子)は香川照之の息子なんだし。若い時は皆それなりにきれい(自らを省みてやはり悲しき老化かな😅)の上に、流石の歌舞伎俳優の身のこなしだった。

 この森乱の呼び名が出てくるなんてカッコイイ。びっくりフィクションの多い今作でも、実は歴史考証は細かくやってます!という先生方の声が聞こえそうだ。

 ドラマで信長が最初に指名したのは林秀貞(林秀貞 - Wikipedia)だった。一応頑張って見せたが森乱にはコロッと負けた。信長は森乱には「褒美を取らす」といい、秀貞には追放を告げた。そりゃ、場の空気は凍る。

 このウィキペディア先生を見ると「信長は秀貞の追放理由として、秀貞がかつて織田信勝を擁立して謀反を起こしたことを挙げているが、それは24年も前の出来事であることからも余りに難癖じみており」と書かれていて、そんなにも前か・・・と思わないでもない。

 しかし、単にそうとも言えないのではないか。同じ秀貞の項にこんな記述もある。

(秀貞は)幼少の織田信長那古野城が与えられると、信長の二番家老となった平手政秀と共に一番家老として信長付きの家臣となり(『信長公記』)、天文15年(1546年)に古渡城で行われた信長の元服においては介添え役を務めるなど、まさしく信長の後見役と言える存在であった。

 それだけ、若き信長が頼りにもしていたはず。なのに弟の信勝を奉じ、稲生の戦いでは敵に回ったのだ。こんなに忘れられない裏切りがあるか。「今は秀貞を使わなければならないが、いつか見ておれ」と、生涯忘れられない恨みを抱かれる類の裏切りだ。

 柴田勝家は同じく稲生の戦いで信勝を奉じている。ドラマでも青くなるのが分かるよね。

 ところで、今作では秀貞だけれど、林通勝だとずっと思っていた。1992年「信長 KING OF ZIPANGU」での宇津井健の通勝が思い出される

有名な折檻状

 次に声が掛かったのは佐久間信盛、リアルでも彼の追放は有名だ。ウィキペディア先生をさっそく確認すると、彼の立場はこうだ。

平手政秀自害から主君の織田信長による折檻状で織田氏を離れるまでの約30年間、織田氏家臣団の筆頭家老として家中を率いた。(佐久間信盛 - Wikipedia

 先ほどの林秀貞とは対照的に、例の稲生の戦いでも信長方として戦っている。その彼が追放だもんなあ。戦歴を見ると、駆け出しの頃の信長をずっと支えてきた印象があり、割と頑張っていたように見える。

 が、今や新進気鋭の秀吉や光秀らをもっと使いたい信長としては、信盛は口答えもするし老いて邪魔だったのかも。筆頭の彼らが追放され、序列が上がる光秀&秀吉は風通しが良くなったと感じたか。

 信長からの折檻状は19条あるが、殊に恥ずかしいのは三方ヶ原の戦いでの信盛の身の処し方だろう。これは「どうする家康」でちゃんと描かれていて、その時は今作の安国寺恵瓊役の立川談春が信盛役だった。

 「どうする」では、信盛は家康にとって結構非情な役回り。瀬名の裏切りが織田に漏れ、雨に打たれ頭を下げる松潤家康の場面にもいたね。

織田信長:(軒下に座り、雨を眺めている。横には佐久間信盛が立つ。)

徳川家康:(ずぶ濡れでやってくる。土気色の顔。腰から太刀を外し、ぬかるみに膝を付く。信長に向かい、頭を下げる。)

佐久間信盛:岡崎にて謀反との噂あり。信康殿と奥方、我らを欺いて武田と結び、また、徳川殿もそれに加担しておられると。虚説でござろう?虚説でなければなりませぬぞ!(家康は頭を下げ続けている。)

信長:お前の家中で起きたことじゃ。俺は何も指図せん。お前が自分で決めろ。(立ち去る)

家康:(ひれ伏したまま、雨が滴っている)

信盛:家康殿。(家康を起こす)何をせねばならぬか、お判りでしょうな?ご処分が決まり次第、安土に使いを。(去る)

家康:(動けないまま、雨に打たれている)

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 あと、信盛役というと田中健のイメージが強いなと思ったら、彼は2度も大河で信盛を演じていた。1992年の「信長」と十年後の2002年「利家とまつ」。今回も描かれた高野山に追放される時の絵が頭に残っているが、どっちだったろう。

 折檻状を面白く訳しているサイトがあった(信長が佐久間信盛に突きつけた「十九ヶ条の折檻状」が辛辣すぎる)。先ほどのウィキペディア先生でも内容は分かるけど、これ面白いよね。

美濃の熊殺し?義父安藤守就を庇う小一郎

 待ってましたの主人公小一郎の舅殿・安藤守就も追放された。「美濃の熊殺し」を自称して庇おうとする小一郎を退け、森乱に向かっていったもののあえなく敗退(その場面は武士の情けか流れず)、ケガまで負った。

 熊殺しか・・・そんなスキルのある人が地元に居たら、今時重宝されるよね。

 西美濃三人衆の一員として、安藤守就はかつての斎藤家から織田家に乗り換えたのだったが、仲間の氏家木全は既に戦死。残る稲葉良通(もう一鉄のはず)が、まさかの守就「ら」の武田内通を光秀に通報していた。守就の北方城や領地は稲葉が接収した。

 この俳優さんは顔が濃いわ~と思ったら、元タイガースだったのか?阪神ファンの家族も気づかず、ピッチャー嶋尾康史だと言ったら驚いてまじまじと見ていた。彼の演じる稲葉一鉄は体格が大きいところと濃い眉毛は残る絵などのイメージに合うけれど、守就に対するあの態度は一鉄みたいな見識のある武士の取る態度じゃないでしょ~と思ったな。

 小一郎は、一鉄に唾を吐きかけられた守就を庇って「羽柴を敵に回すという事」と見得を切って一鉄を黙らせた。たとえ小一郎の見せ場を作る為だったとしても、リアルでは公家の三條西家から伝えられ医学にまで造詣のある出家者一鉄だよ?信長さえ学識の深さに感心した人物だよ?後の春日局のお爺ちゃんだよ?あれじゃ単なる失礼な大男、もうちょっとどうにかして欲しかった。

 ドラマでは、武田に内通していたのは守就の子・安藤定治だった。中の人は「鎌倉殿の13人」で宮澤エマ「実衣」の子を演じていたね。「半分青い」も覚えている。少しの出演でも、記憶に残る人だ。

 「もう疲れたのです」と定治が泣いて訴えた悩みは、織田家でエンドレスに戦に駆り出されることだったけれど、いやいや武田に行っても同じだって!とすかさず突っ込んだ人は多かったのでは。戦国時代、気の毒過ぎるけどどこも甘くないみたい。織田から来たばっかりなら、余計にこき使われそうな気がする。

 夢を見て逃げる事ばかり考えちゃいけないけど、かと言って環境を変える決断は大事だよね、人間にしかできない。悩むのは分かる。

 ということで、織田家からの追放をとりあえず受け入れた舅の守就に「どうかこれからもこの家に居てくだされ」と言う小一郎だったが(織田家家老の秀吉も「戦や政に関わらねば上様もお許しくださるはずじゃ」と賛同。これ大事)、守就は「皆さま、かたじけない」と言いつつも、明け方こっそり出て行こうとする。

 それを門の外で待ち構えていた「娘」設定のお慶と小一郎が止める。お慶の出自は本当は不明、リアル守就にはそんな娘はいないらしいから、ここでNHKは整合性を取ろうとしてか、ドラマの守就は縁を切ると娘に言う。

 「そなたらにもあらぬ疑いがかけられてしまうやもしれぬ」と。が、お慶は拒否。万事円満が信条の小一郎は、何か捻りだして言わねばならないシーンだ。

安藤守就:今、この場限りでお前との縁を切る。これよりは縁もゆかりもなき、赤の他人じゃ。わしらのことは忘れて・・・。

お慶:嫌でござりまする。もう二度と、縁は切りませぬ。あのような寂しい思いはもう二度としたくありませぬ。

守就:案ずることは無い。今のお前には小一郎殿がおる。お前の幸せを、もう奪いたくないのじゃ。小一郎殿、慶のこと、どうか頼みまする。

小一郎:参ったのう・・・義父上は縁を切って出ていくと言うし、慶は縁を切りたくないと申しておる。では、こうしてみてはどうじゃろう?離れておっても縁は切らぬ。いや、切れんのじゃ。一度ここ(胸に手をやり)に刻まれたらず~っと消えぬ。忘れることなどできませぬ。義父上。慶にも与一郎にも、かわゆい末にも、また会いに来てくだされ。

守就:そうじゃな、小一郎殿。またいつの日かうまい酒を飲もう。(慶に微笑み、去っていく)

 守就を止めずに行かせるけど、縁は切らない。それを小一郎は「こうしてみてはどうじゃろう」なんてもったい付けて言うものだから、アララ、と拍子抜けしてしまった。とても大事なんだけどね。

 今回の小一郎の見せ場は、相撲で守就を庇って代わりに出ようとしたのと、傍若無人の稲葉一鉄に強気に出たのと、今回のお別れと、守就がらみ。ちょっと見せ場としては弱い感は否めないけど、ヒーローじゃない目線を描くドラマだから仕方ないね。

御心深き信長、怖さは張りぼてなんだぞ?

 ドラマでは追放された3人は裏切りが疑われており、確たる証拠が挙がれば死罪になるところを、信長の恩情で現段階での追放になった、という設定だった。いつもの通り、お市様の謎解きで視聴者が信長様の深い御心を理解できるパターンだ。

お市:佐久間、林、安藤。運がようござりましたな。確たる証があってからでは、死罪は免れませぬ。今なら、追放で済みまする。

信長:役立たぬ老臣など、無用の極みじゃ。天下一統に情けなどいらぬ。血も涙も無き覇道の者・・・それが織田信長よ。(諦めたような感慨。その背中を見つめるお市)

 言葉とは裏腹、信長は安土城天主から外を見やり、悲しそうだ。

 こういう孤高に悩むトップ信長は珍しくもないのだけれど、小栗旬が演じているものだから、どうしても「義時も同じだったね~」と思い出してしまうね。冷たい独裁者の張りぼてを被って、中の人間がとっても辛い。人間だもの。権力者をそういう風に演じたくなるんだろうね。

 ここでお市様は「馬揃えが見とうござりまする」と突拍子もないがリアルでも有名な話をぶち上げる。信長をチアアップしようと馬揃えを勧めたのは、本当は誰?誰のアイデアだったのだろう。妻の誰かだったのかもしれないけど、珍しいよねえ、信長の妻は一人も出てこないのに、ポコポコ子どもは生まれ、今回は信雄が顔を出した。秀勝もいたかな?

「姫若子」長宗我部元親

 馬揃えと聞いて、「功名が辻」の山内一豊の妻千代(仲間由紀恵、古くは檀ふみのイメージ)が出てくるのかな?とワクワクしたが、出てきたのは土佐で山内と「上士下士」(「龍馬伝」が懐かしい✨)で長く家臣が争うことになる長宗我部の元親の方だった。

 元親は、安土城の祝いの宴のシーンでも能を舞っていて、馬揃えでも小一郎と言葉を交わした。将来、小一郎は四国に行くから、その下ごしらえなんだろう。本当にこの時期、元親が安土や京にまで来ていたのかなんて、そんなことをこのドラマで言い出すのは野暮だよね。

 元親に小一郎は「なぜそのようなお召し物を?」と直球で聞いたので、聞き方!と思ったが、元親は慣れているのか「ああ、好きじゃき」と屈託なく返答。

元親:わしは幼き頃から女子のようじゃとよう言われよってのう。姫若子などと呼ばれたもんよ。今もこのような姿でおるとなぜか穏やかな心持ちになれるがじゃ。

 「姫若子」キターと思ったが、別に女装をしていたからとは違ったような。まあいいよね、こうやって多様性をドラマに意識的に入れていくのだろう。元親は「四国を一つにするがは、我ら土佐の大願じゃき」と戦を正当化していたが、ちょっと台湾問題を想像してしまったなあ。隣国指導者に近い考え方をお持ちのようだ。

明智光秀へ、黒幕義昭からの手紙

 とうとう来た。信長に京での一大イベント馬揃えでの采配を「お主に任せて間違いはなかった」とお褒めに預かった光秀に、信長が「もう一つやってもらいたいことがある」と言い出した。

信長:長宗我部の四国切り取り、認める訳にはいかぬ。

光秀:(驚愕して)な、なぜでございますか?!(横目で見つめる森乱)

信長:気が変わったのじゃ。うまく説き伏せよ。(出ていく。息を呑む光秀)

(月明かりの縁に光秀がいる。握りしめた拳が震え、険しい表情)

織田信澄:舅殿。

光秀:いかがされた。

信澄:このようなものが、舅殿宛てに。(小さな包みを渡し、一礼して下がる)

光秀:(小さな書付けを見る。目を見開く。「可討取信長候也(義昭の花押)」とある。呼吸が荒くなる)ハア、ハア。

回想の足利義昭:光秀。光秀。儂の下に戻って参れ。光秀。信長を討て、討て、討て・・・

光秀:ハア、ハア、ハア・・・

 義昭の手紙は「信長を討ち取れ」と光秀に命じるものだった。今作は、四国説と義昭黒幕説で本能寺の変を描くのだね。それに、織田信澄。彼が辿る悲劇も描くのだろうね。あとはもう手に汗握って見つめるだけ・・・と思ったら、あと1回は笑わせてくれるらしい。それも怖い。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第24回「軍師官兵衛!」ネタバレ感想】村重逃亡、有岡城の悲劇招く。播磨人官兵衛は別所への思い語る

へっぽこ村重のせいで、670人もの命が

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第24回「軍師官兵衛!」が6/21の父の日に放送された。はは~ん、それで織田信忠は「父上ならこう言う」という父べったりのセリフを繰り返していたのか・・・なんて、そんな訳ない。今回は信長ジュニアをも動かす、再生官兵衛の見せ場がありましたな。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

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第24回「軍師官兵衛!」◆◇あらすじ◇◆

村重(トータス松本)に幽閉されて1年、官兵衛(倉 悠貴)は心身共に限界を迎えていた。籠城を続ける村重と織田軍の戦は膠着(こうちゃく)状態にあったが、小一郎(仲野太賀)が兵糧の補給路を断つことに成功。妻・だし(山谷花純)の説得で、村重はついに投降を決意する。信長(小栗 旬)への取り次ぎを任された小一郎は、だしに官兵衛への伝言を託す。無駄な血を流さず戦が終わると思われた矢先、驚きの事態が! 状況は一変し――。(第24回「軍師官兵衛!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 ドラマでは、主人公小一郎が有岡城籠城中の荒木村重の愛妻だしにも調略の手を伸ばし、「皆を救う手立てがもうないから」と応じた彼女が、「必ずや殿のお命もお助け下さいませ」と小一郎に懇願、穏便な開城の道筋はほぼできていた(信長が何て言うかは心配だけど😅)。

 陰で小一郎の手紙を受け取っていただしは、調略に従って村重に「皆を救えるのは殿だけ」と諭した。妻の言葉に村重も「饅頭ごと串刺しにされるのがオチじゃ」と言いながらも覚悟を固め、信長のご機嫌を取るための献上品として、城内の茶道具を搔き集めていたね。

 そこで茶碗を落とし、自身の血が指先から流れるのを見た村重。このあたりの狂気への流れがうまかったなあ、茶碗と一緒に村重の理性が壊れたんだね。村重は「死にとうない」の一心になって、あろうことか籠城中の大部分の家臣や家族を置きっぱなしで有岡城を抜け出し、尼崎城に移動してしまった。

 「この命に代えてもそなたのことは守る」の言葉が虚しい。妻だしは「おのれ村重」と怒りを露わに涙を流した。せっかく村重の命を考えた和平の道筋を付けたのに、一体誰のためだと思っているのかという話だ。

 この後、ドラマでは無心になって茶を点てる村重の姿が挟み込まれていた。茶を点てて、現実から目を逸らしたか。そんな手段の無い常人だと、とてもじゃない。後に茶人として秀吉の前に出現する彼は、それで精神を保ち生き延びたってことかな。

 ウィキペディア先生を見たら、彼の逃亡のせいで命を奪われた人たちは、六条河原で気高く斬首された妻だしを含め、670人を数える。信じられない数だ。ただ、リアル村重にもにっちもさっちもいかない事情があったようだ。

(城代の)荒木久左衛門が(有岡城の)開城を決意したのは、信長から講和の呼びかけがあり「荒木村重が尼崎城と花隈城を明け渡すならば、本丸の家族と家臣一同の命は助ける」とした為である。久左衛門は手勢300兵を率いて尼崎城に向かったが、村重はこの説得に応じなかった。フロイス日本史では、村重は大坂の仏僧(=石山本願寺)と協議したが、仏僧は全然同意しなかったとある。『戦国の武将たち』によると、この時尼崎城には毛利氏、石山本願寺、雑賀衆の御番衆もいたので、村重の意見は通らなくなってしまったとしている。村重の説得を約束していた久左衛門は信長に顔向けできないと思ったのか、300兵ともども姿をくらましてしまった。(有岡城の戦い - Wikipedia

 ちょうど上映中の、モックン本木雅弘が村重を演じている映画「黒牢城」では、見てないけど当然今作のトータス松本の村重よりもカッコ良い方向の村重なんだろう。今作の半兵衛(菅田将暉)が、囚われた官兵衛になってまたも痩せこけているそうだ。だし(千代保)は「光る君へ」の吉高由里子だから見てみたいとは思うものの、村重の苦悩がしばらく重くこちらの気持ちに残りそうだね。

官兵衛の「ふっくら」問題。いいんだよ、これで

 この荒木村重の謀反に関しては、当時は小寺官兵衛と名乗っていた後の黒田官兵衛が、村重説得のために単身で有岡城に向かい、そのまま捕らえられて1年以上も土牢に閉じ込められた。

 2014年の大河ドラマ「軍師官兵衛」では、家臣に救助された時の岡田准一演じる官兵衛が凄まじい程の見た目だった。足を引きずるのもそうだけれど、皮膚病を患ったせいであろう様子を示す頭部から顔面への変色した特殊メークが、そうと分かっていても痛々しかった。

 今作の官兵衛は、しかし、割と血色よく再登場してくれたので、前回の菅田将暉の痩せすぎ半兵衛の記憶が鮮明な視聴者からは、SNSなどを見る限り、あんまり評判が良くなかったようだ。脚は引きずっているけれど、織田信忠にも大音声で呼ばわり、ピンシャン見えたってことで。

 いやいや、前回も書いたけれど、役者は痩せるだけが能じゃないでしょ。それでも5㎏は水抜きで痩せたらしいよ、中の人・倉悠貴は。「あんぱん」の記者役の時は丸々していた彼が、頑張った。役者の健康を害するからそれでもう十分だ。他局のドラマ「銀河の一票」でも活躍中だから、急激に痩せることもできなかっただろう。

 (この「銀河」には、大勢の大河俳優がご出演だ。官兵衛だけでなく家康も勝家も、北条時政も。「光る君へ」の倫子様が主役で百舌彦の彼女、道長の嫡男もいる。それも楽しい。)

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 この「豊臣兄弟!」での設定も一応考えられていて、官兵衛が再登場したのは有岡城での救出から1~2カ月程度は経過していたと思う。有岡城の開城は天正七年(1579年)11月19日、そして、官兵衛再登場後に三木城城主別所長治の降伏・切腹が翌天正八年(1580年)1月17日だから。

 という事は、だしに小一郎が「松寿丸は生きてるよ」との官兵衛への伝言を頼む➡今楊貴妃の光り輝く彼女からご託宣を賜って、よっしゃ、生きるぞーと気力が漲る官兵衛➡家来の栗山善助や母里太兵衛らに土牢から救出されて➡湯治や精の付く食事をバンバン食べて、心身の回復に努めたのだよね。

 その結果があの官兵衛の「ふっくら」のお姿、ということだ。いいんだよ、それで。

小一郎は有岡城の悲劇にもいっちょ嚙み

 ドラマでは、調略を仕掛けたにもかかわらず有岡城での悲劇の大量虐殺を止められず、だしら荒木一族の処刑にも立ち会った小一郎。薄々感づきながらも村重を信じようと自分に言い聞かせた結果、こうなったと悔やんでいた。

 その心情を慮った秀吉が、一時的に三木城攻めの場を離れ、信忠に呼び出されたと嘘を言って小一郎に会いにやってきた。ホントにこのドラマの秀吉は弟に優しいよ、天使だ。

 だから秀吉の闇落ちは小一郎を失った時に起こるんじゃないかと思うのだよね・・・いや、信長の死もあり得る。そこから、小一郎の新たなる苦悩が始まるって事かもしれないね、小一郎に立ちはだかるラスボスは兄秀吉ってことでね。

 しかし、こんなにリアルの小一郎って有岡城攻めに関わっていたのだろうか?ウィキペディア先生を見ただけだと、この時期はずっと三木城攻めに携わっていたように見えるのだけれど。

天正5年(1577年)、秀長は秀吉に従い、播磨国に赴き、その後は但馬攻めに参戦した。竹田城斎村政広によって落城(竹田城の戦い)すると、城代に任命される(『信長公記』)。

天正6年(1578年)、東播磨地域で別所長治が反旗を翻すと、秀長は兄と共に制圧に明け暮れることとなり、支配の後退した但馬を再度攻めることとなった。同年、黒井城の戦いに援軍として参戦する。

天正7年(1579年)、別所長治の三木城への補給を断つため丹生山を襲撃する。続いて淡河城を攻めるが、淡河定範の策により撤退した。しかし定範が城に火を放ち、三木城に後退したため補給路を断つことに成功する(三木合戦)。但馬竹田城より丹波北部の天田郡何鹿郡に攻め入り江田行範綾部城を攻略し落城に追い込む。

天正8年(1580年)1月、別所一族が切腹し、三木合戦が終戦する。(豊臣秀長 - Wikipedia

 だしら荒木一族の処刑に立ち会った武将の中にも、小一郎の名前はない。前田利家や佐々成政の名前があるね。

天正七年十二月十六日五ツ時、村井長門守奉行、けいこの衆、越前之大名衆也、

佐々蔵助殿 金森五郎八殿 前田又左衛門殿 村井専次 村井長門守内衆

以上警固衆三千警固候(立入左京亮入道隆佐記 - Wikisource

 あとね、有岡城関係でちょっと違和感が大きかったのは高山右近の描き方。彼は、信仰上信長を裏切ることはできなかったから村重に謀反を止めるように翻意を一生懸命働きかけていたはず。過去作「軍師官兵衛」でも生田斗真の右近が、古くは「黄金の日日」の鹿賀丈史の右近もそう描かれていて、私にはそう摺り込まれているんだよね。

 なのに前回、今作の高山右近は有岡城に説得に来た官兵衛を斬ろうとまでしていた。それって中川清秀の役回りにしておかないと辻褄が合わなくない?と心配だったが、そのフォローも無かった。そもそも、中川清秀が信長に謝りを入れようとする荒木村重を諦めさせた話は、ドラマでは安国寺恵瓊が乗っ取っていたから清秀はいない設定かな。

 まあ、クリーンな羽柴兄弟を描く小一郎が主役のドラマだから、有岡城での調略にも小一郎をいっちょ嚙みさせないとつまらんとか、もうひとつの播磨の山場・三木城攻めだけじゃ、小一郎が自分の変容を恐れるまでにはならないとかの判断だったのか。有岡城での反省あっての三木城の締めくくりだと見せる意図だろうね。

再登場官兵衛、悩める信忠に播磨の心を訴える

 さて、 官兵衛が再登場、信忠に三木城への力攻めを止めるよう訴えた場面を記録しておこう。

秀吉:信忠様、有岡城攻めへのお力添え、ありがとうござりました。(一同礼)

信忠:そのようなことを言いに、わざわざ来たのか?

秀吉:はっ。ここまでくれば、いよいよ別所も観念いたしましょう。次こそ降伏させてみせまする。

信忠:手ぬるいわ。一人残らず、討ち取るのじゃ。

小一郎:お待ちくだされ。我らは既に有岡城で多くの血を流しております!

信忠:しかし肝心の村重を取り逃したではないか!三木城で同じしくじりは許されぬ。(立ち上がり)父上なら、そう申すはずじゃ。(一同無言)

小寺官兵衛:(後方から)ご無礼仕る!

秀吉:(振り返る)官兵衛!

官兵衛:(鎧姿だが杖を突いている)恐れながら、信忠様に申し上げまする!(一礼)三木城を、力で落としてはなりませぬ!私は播磨に生まれ育ち(足を引きずって前進)、別所がいかに播磨の国衆から慕われているかを知っておりまする。別所が立つなら立つ。別所が引くなら引く。我らは別所と共に・・・幼き頃より、そう聞かされて参りました。総攻めすれば、もはや容易く別所の城も領土も手に入りましょう。しかし・・・播磨の民の心は手に入りませぬ。逆に、血を流すことなく三木城の者たちを助けてやれば、他の国衆たちも皆、我らに心開き、織田家に忠誠を誓いまする。それこそが真の播磨平定にござりまする!(嬉しそうな小一郎)

信忠:しかし、父上は・・・。

官兵衛:信忠様のお考えをお聞かせくださりませ!(曲がらない左足のまま、右手の杖を手放し平伏す)何卒、寛大なお下知を!(秀吉と小一郎、その他一同が平伏)

信忠:(床几に腰を下ろし、一旦目を閉じ考えて)・・・もとより播磨の総大将は筑前じゃ・・・好きに致せ。

秀吉:(小一郎、官兵衛も共に顔を上げる)ははー!(また平伏)

 信忠も苦労するよね、人の心の分からない父信長だ。例えば、信長が選んだのがライバル筒井順慶だった事が大きいが、松永久秀が心を込めて「西日本随一の豪華な城郭」として建造した多聞山城の扱いを見るだけでも、信長って結構ひどい。

 本殿を信長が住むつもりの京の二条御殿(後の新二条御所)に移築しちゃったり、残った城もわざわざ完璧に久秀の息子らに破却させている。久秀としたら心がズタズタだろう。で、直後に謀反されても信長は久秀の気持ちが分からない様子。そんな心無いサイコパス信長を、村重や播磨の人たちは恐れの目で見ていただろう。

 そういう父信長が、人心掌握のためとはいえ、三木城の力攻めを避けた自分を叱責するのではないか・・・家督を継いだ信忠は、自分がどう評価されるか大いに悩むところだ。弟たちと取り替えられちゃうかも?ぐらいは常時気になっていただろう。

 ここで秀吉に「好きに致せ」と言う事で、責任を擦り付けたとも言えるけれど、バックアップしたのも同然。一応、信忠も父からの自立の一歩を示したか。

亡き半兵衛が官兵衛を止めた

 この信忠との面会後、官兵衛は牢の中で亡き半兵衛に影響されたことを打ち明けた。ウンウンわかるよ、死んだ半兵衛は、病の体から自由になった🎵とばかりに有岡城の土牢にもウロウロ出入りしてたんだろう。そう妄想すると楽しい。

官兵衛:真を申せば、二度とおふたりに合わす顔など無いと・・・牢の中で・・・死ぬことばかりを考えておりました。しかし・・・(将棋を指す亡き半兵衛の姿)その度に、あの男が引きとめるのです。

回想の竹中半兵衛:官兵衛殿。我らの味方になっていただきたい。

官兵衛:だし殿から松寿丸のことを聞かされた時、決めました。まだ、死ぬわけにはいかぬと。竹中殿に借りを返さねばならぬ。あの約束を、守らねばなりませぬ。(跪く)これよりは小寺ではなく黒田官兵衛として生まれ変わり、お仕えしとうござりまする。竹中殿に代わって、必ずやおふたりをお守りいたしまする!どうか、今一度私を仲間にしてくださりませ!(頭を下げる)

秀吉:戯けたこと申すな。

小一郎:お主に半兵衛の代わりが務まる訳なかろう。(不安そうな官兵衛に顔を近づけ、にっこり)半兵衛は半兵衛。お主はお主じゃ。(ポンポンと叩く)

秀吉:とっくの昔から、お主は儂らの仲間じゃ。

 この後の秀吉、小一郎、官兵衛のじゃれ合いが小学生のよう。官兵衛を秀吉が羽交い絞めにして、小一郎が殴るマネをした。見ようによってはお綺麗な官兵衛の顔に何かしたようにも見えて、直後の官兵衛が手品の花でもくわえて映るかと思った。

 でもさあ、何かモヤモヤ。正直な気持ちを伝え跪く官兵衛は許されるか不安でいっぱいだ。その彼を、上司である兄弟揃って一旦はからかって、さらに殴るマネ。自分たちは楽しいのかな、でもやられる方は気の毒だ。ドラマの小一郎は、現代人の感性をお持ちかと思ってたのにね。

 おや、三木城の悲劇の別所長治について書く時間が無くなってしまった。彼が反信長の旗を掲げることで、播磨では多くの国人衆が賛同し、結果、多くの血が流れることになってしまったのかもね。

 でもね、浅井長政もそうだったと思うけれど、常人がサイコパス信長を目の当たりにしたら、抵抗したくなると思う。ある意味仕方なかった。

 さて、そろそろ次回の放送が始まる。無理やりだけど、播磨攻めもこの辺で失礼💦

【豊臣兄弟!第23回「さらば半兵衛」ネタバレ感想】6月逝去にビックリの桜吹雪🌸痩せに痩せた菅田将暉劇場

俳優の健康のために・・・痩せなくてもいい

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第23回「さらば半兵衛」が6/14に放送され、戦国時代の軍師として人気の竹中半兵衛の最期が描かれた。涙を絞った半兵衛&菅田将暉ファンも多いだろう。

 三木城攻めの戦場で息絶える半兵衛の顔色は本当に血の気が無くて、着物から覗く腕や手、指に至るまで、演じる菅田将暉があまりにも瘦せ細っていた。史実の半兵衛が死んだ旧暦六月半ばとは思えない凄まじい桜吹雪が相俟って(ビックリ💦)、半兵衛の死に様はとても儚く美しく、妖精のようだったのだが・・・半兵衛の最期を演じるにあたり、菅田将暉は頑張って痩せたんだろうな。

 最近も川口春奈が映画のために減量したとの記事を見たおぼえがあり、元々あんなにスレンダーな彼女が、さらにどこからどうやって削り出して10㎏も痩せたのか?と驚愕した。死や病が描かれる作品だと、最近の俳優さんたちは当たり前のように10㎏もの減量を敢行してしまう。それが演じ手の健康に良いわけがない。

 それって飢餓を経験させるようなものでしょう?体を壊すよ。生理とか止まっちゃうよ。メンタルにも響くんじゃないか。インティマシーコーディネーターが導入されたことが昨年大河「べらぼう」で話題になったけれど、役者さんたちの健康を守るために医療関係者もドラマ作りにきっちり参画すべきじゃないのか。

 金ヶ崎の退口の時には、京に帰りついた疲労困憊の織田信長の目が赤く光ってゾンビみたいだった。あれはCG表現だよね?それでいいんだよ。減量合戦が演技の全てじゃないはず。メディアも、役者が役のために何キロ痩せたとか数字を出した記事にして煽るのもどうかと思う。

 役者は無理に痩せなくてもいい。5㎏以上は絶対ダメってことにしようよ。ぜひ健康を保ち、長く良い演技を見せてください。増減が足りない分は、CGチームが頑張って!

 ああ、でもまた次回も後に続きそうだよなあ、もう一人の軍師が・・・だしが隠れてバンバン食事を運んでいたってことにして、丸々とした官兵衛を出してほしい(牢の中じゃ運動できないし、太っちゃったってことで😅アハ)。

 では、公式サイトから今回のあらすじを引用する。

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第23回「さらば半兵衛」◆◇あらすじ◇◆

荒木村重(トータス松本)が謀反を起こした。独断で村重の説得に向かった官兵衛(倉 悠貴)は、捕らわれの身となってしまう。官兵衛が裏切ったという噂(うわさ)が流れる中、信長(小栗 旬)から、長浜で寧々(浜辺美波)が預かっている官兵衛の子を始末しろという命令が。半兵衛(菅田将暉)は、ためらう秀吉(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)に、幼い命を救う策を提案。だが、差配を任され長浜へ向かう半兵衛の胸には別の思惑があった。(第23回「さらば半兵衛」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK)

知られた話の裏を行くドラマ

 (略)いつまで経っても戻らぬ孝高(官兵衛)を、村重方に寝返ったと見なした信長からの命令で(息子の)松寿丸は処刑されることになった。ところが、父の同僚・竹中重治(半兵衛)が密かに松寿丸の身柄を居城・菩提山城城下に引き取って家臣・不破矢足(喜多村直吉)の邸に匿い、信長には処刑したと虚偽の報告をするという機転を効かせた。(黒田長政 - Wikipedia

 「機転を利かせた」だと思うけどなあ、ウィキペディア先生。竹中半兵衛と言えば、このように、謀反を起こした荒木村重の有岡城に説得に行って囚われの身になった小寺(黒田)官兵衛の息子・松寿丸の命を、信長の命に反してこっそり助けた話が広く知られている。

 松寿丸は黒田長政へと成長、1600年の関ヶ原の戦いでは半兵衛の息子・竹中重門を東軍に誘って共に同じ陣地で戦うまでがセットの感動ストーリーだ。半兵衛の孫のひとりは、江戸時代に大大名になった黒田家の家臣になる。不破矢足の子もそう。黒田家が恩を忘れなかったってことだそうな。

 この問題のそもそもは、信長が有岡城から官兵衛が戻らないのは裏切りだと簡単に信じちゃうところだと思う。何で裏切る方向で信じるんだよ~官兵衛が可哀そうじゃん💦と、いつも合点がいかない。ところが、ドラマではわざわざ村重が官兵衛が裏切ったとの噂を流したことになっていた。フム、信長の行動にも納得感が増すね。

 秀吉の周りで、官兵衛の裏切りを納得してしまう描写があったのも笑えた。

秀吉:どう思う?

蜂須賀小六:う~ん、裏切ったかもしれんのう。端からいけ好かない奴じゃった。

秀吉:好き嫌いを聞いておるのではない。

宮部継潤:あやつは頭は切れるが腹の底に野心を持っておる。寝返っても不思議ではない。

 しかし、主人公小一郎は「我が子を人質に出しておきながらこうも容易く裏切れるはずがない」と、もうすぐ出産を控えるお慶を念頭に言い切る。秀吉も「まだ官兵衛が裏切ったと決まった訳ではない」と言う。

 半兵衛も官兵衛の真意が分かっていた。行くなと止める半兵衛に官兵衛が憎まれ口をたたいて振り切っていこうとしていたのも、村重の裏切りに責任を感じていたからだ。「ならば、尚のこと」と止めようとした半兵衛は止めきれずに体調悪化で倒れ、その隙に官兵衛は有岡城に向かった。

 こうして死に瀕することになってしまった可哀そうな松寿丸だが、ドラマの半兵衛は、「松寿丸は私が助けまする」と秀吉らの前で言い切った。身代わりに年格好の似た病で亡くなった子を見つけ、その首を松寿丸として信長に見せると。ここまでは知られている話の通りだ。

 しかし、このドラマでは知られた話の裏を行く。半兵衛は実は、秀吉の後難を慮って信長の命じるままに松寿丸を処分する腹づもりだった。

 だが、主人公小一郎は、半兵衛が近くの寺で地蔵を拝んでいたと前野長康から聞き、「地蔵は子を供養するもの」だから、彼が松寿丸を殺すつもりだと気づき、長浜城に彼を追いかける。

 待て、身代わりの子どもに申し訳なくて地蔵を拝むことだって考えられる。秀吉が何か勘付いていたのならその筋で良かったのに。地蔵の話は長康の出番確保の為かな。

死にゆく己と、生まれた嬰児

 松寿丸は、秀吉不在の長浜城で寧々が預かっていた。半兵衛の真意に気づいた小一郎が、長浜まで追いかけてくるのだが、その前にあの手この手の時間稼ぎをして松寿丸を守ろうとしていたのが寧々やなか、とも、あさひ、お慶たち羽柴家の女たちだった。

 まず寧々が相手をするが、なかなか半兵衛の前に松寿丸を連れてこない。

寧々:松寿丸は、間もなく連れてまいります。義母上様たちにおいとまの挨拶をしておりますれば、今しばらくお待ちくださいませ。

竹中半兵衛:承知しました。

寧々:それにしても、どうして半兵衛殿のお屋敷に?

半兵衛:羽柴殿はこれから西国攻めでますます忙しくなるからと、上様が気を遣われたのでしょう。

寧々:そういうことですか。(微笑む)

半兵衛:そろそろ、お連れいただきたいのですが。

寧々:そうですねえ・・・(とも、あさひが駆け込んでくる)

とも:あっ!一大事でございます!(後ろであさひが転ぶ)

寧々:どうなさいました?

とも:松寿丸殿が居なくなったのです!(へたくそな小芝居が始まる)

寧々:ええっ!

あさひ:申し訳ございません!私が少し目を離した隙に、どうしましょう!ううっ!

半兵衛:・・・もしやどなたかにお聞きになられたか、小寺官兵衛殿の話を。

寧々、とも、あさひ:うん?(顔を袖で隠して固まる)

安藤守就:(部屋にお慶と入ってきて)おお、半兵衛。久しいのう。

半兵衛:安藤様。なぜここに?

守就:上様の命で、荒木村重と小寺官兵衛の討伐に有岡城へ向かう。その前に、娘と孫の顔を見に立ち寄ったのじゃ。

半兵衛:そういうことでござるか。さすがは小一郎殿の奥方じゃ、鋭い。

お慶:何のことでしょう。

守就:そなたは何をしにここへ?

半兵衛:私も、お役目を果たさねばならぬ。(立ち上がる)松寿丸を探しまする。

寧々:お待ちください!ここは我らが城。勝手な真似をされては・・・。

半兵衛:私は羽柴殿に頼まれて参ったのです。それにこれは、上様の命でもある。

寧々、とも、あさひ:(口々に)お待ちください!

守就:どういうことじゃ?(お慶を見る)

お慶:(無言で鈍感な父に溜息)

 松寿丸が居なくなったことにする小芝居が、まず笑える。ホントにヘタウマだよねえ。宮澤エマらがさすがだ。それで、見る見るうちに半兵衛が白けていくのがまたオカシイ。

 それで、なぜ女どもが小芝居をしてまで松寿丸を隠すに至ったのか。答えを引っ提げてやって来たのが安藤守就、このドラマの設定では小一郎妻のお慶の父ということになっている。演じる田中哲司が以前、荒木村重を演じていた印象がとても強く、そのせいで私の脳内では「本人が本人討伐に向かうのか💦」と変な妄想が膨らんで困る。

 つまりは、父が、村重と小寺官兵衛の討伐に向かうと聞いたお慶が、官兵衛の息子松寿丸の身が危ないと寧々に知らせたのだろう。守就だけが、まだ訳が分からんみたいだけど。鈍くて良かった、じゃないと守就が先に松寿丸の身柄を押さえかねない。

 この場面、個人的に注目だったのは守就に対して半兵衛が「安藤様」と呼び掛けた点だ。旧斎藤家では家臣同士、守就は家老で半兵衛の上司だった。そしてリアルでは小一郎ではなくて半兵衛こそが、守就の娘を妻として嫡子を儲けている

 ここら辺をドラマではどう描くのだろう?小一郎と半兵衛を安藤姉妹の相婿同士とするのか?と、楽しみに眺めていたのだったが、半兵衛は「舅殿」「義父上」などとは守就を呼ばなかった。そうかそうか、ドラマの安藤守就は竹中半兵衛とは義理の親子になってないのだね。

 ちょっと残念、ふたりは赤の他人同士だ。小一郎と半兵衛も他人同士。相婿としての特別な絆が小一郎との間に生じての話がどこかで出てくるんじゃないかと、勝手に期待していたんだよなあ💦

 という事で、ドラマの半兵衛は未婚の設定になっているようだ。赤ん坊も抱っこした経験が無く、あやし方も知らず、戦の策謀で頭がいっぱいの一生をこれまで生きてきたと・・・そういうことらしい。

 その彼が、「兄者が口にできぬ思いをくみ取るのがわしの役目じゃ」と颯爽と登場して止めに来た小一郎の子の出産に出くわし、成り行きで生まれたばかりの嬰児を抱っこ。か弱い生まれたばかりの存在によって、死にゆく己との対比に生命の神秘に触れたか半兵衛は我知らずの涙ボロボロとなり、それで子を斬ることはできぬと思い至ったのだった。

 そして、半兵衛は松寿丸を助ける方向に翻意した。めでたしめでたしだ。

 この時、心配になったのはお慶の父、安藤守就。有岡城への討伐にサッサと向かわずにお慶の出産をいそいそと見守っていたけど・・・そんなにのんびりしちゃっていていいのか?

 それにそういえば・・・半兵衛の子どもがいないという事になると、竹中重門と黒田長政の関ヶ原でのエピソードはどうなるの?重門が書いた「豊鑑」も存在無しか?今作では、そこまでは描かないからいいってことなのか・・・。

思い出す半兵衛登場の回

 すっ飛ばしてしまったが、半兵衛は寧々たちの用意した数々のトラップに翻弄されつつ、松寿丸を探すために城中を歩き回らされた。それが、半兵衛の菩提山城に小一郎、秀吉、小六の3人で口説きに行った時の様子を懐かしく思い出させた。

 扉を開けると至近距離から矢が飛んでくるとか、半兵衛の用意した仕掛けの方がもっと物騒だったが、今回でお別れの半兵衛を送るための視聴者サービスなのだろう。

 まあ、城中を探し回るところは、正直もうすぐ死が近い人に何をやらせるんじゃ!とは思ったけれども。そもそも、あんな風に姿勢良く先頭立ってシャキシャキ歩き回れるものか、普通倒れる。気力があったって瀕死の病人には無理ゲーだ。車椅子でも輿でも用意して家臣に担がせれば良かった。

 もしくは、半兵衛は部屋で寧々と睨み合っていて、松寿丸を実際に探しに行った配下の者たちが罠にかかる叫び声とか、ドンガラガッシャーンの大きな音が城のあちこちから響いてくるとか・・・それも半兵衛と寧々の百面相合戦を堪能できて良かったかも。

 そういえば、半兵衛が永遠の眠りに就いた時に来ていた衣装は、初登場の時のものだよね?それ以外にもペールグリーン系の着物をいくつか着ていたとは思うのだけれど、見間違えじゃなければ、数年たった設定のものをわざわざ引っ張り出してきたのには何か理由があるのだろうか。

 半兵衛って物持ちが良いんだよと言いたいのか?まさか💦それも登場時を思い出させる仕掛けの1つかな。

信長は半兵衛に本当に欺かれたのか

 ところで、実際に松寿丸の身代わりにされて首を斬られたのは、遊び相手の子だったとか。何ということか😿😿😿

身代りとして松寿丸の遊び相手の首を差し出すことにより松寿丸自身の命は助かった。この身代りの親に対し、如水親子は後に扶持を与えている。この信長に対する処刑確認、いわゆる首実検の際、身代りの首を信長の前に届ける使者となったのも不破矢足であった。黒田長政 - Wikipedia

 もちろん、ドラマでは不破某は出てこない。半兵衛が直接信長に子どもの首を届けていた。損な役回りで悪いと言う信長に、「これまで戦った中で最も手強き相手でござった・・・そして最も面白き戦でござりました」と言う半兵衛。それは、本来は戦う相手側に回りたかった信長を騙し、身代わりの首をまんまと納めることになった事を指して言っているのでは?

 身代わりの幼子の首を斬るのが「面白き戦」な訳ないからね、あれだけ小一郎の生まれたての子を抱いて泣いたんだから。子は斬れぬって言ってたんだから。

 さて、対する信長。半兵衛が持参した松寿丸の首と称する首桶を覘きこんで「丁重に葬ってやれ」と言った。そんなに吟味するようでもなく、ざっとチェックした感じ。その様子を見るに、形式が調っておれば、半兵衛の言いなりでいいよと思っているのではないか。

 つまり、「最も面白き戦だった」という言葉を受け止める意味でも、会う前から最後に欺かれてやる気満々だったのではないか。ちょっと官兵衛の裏切りに関しては、信長は自信がなかったのかもね。

 明らかに死期を控えている様子の半兵衛は、そこで信長に「もう天下一統のお役に立てない」「お別れでございます」と挨拶をした。信長は半兵衛に「大義であった」との言葉を与えた。淡々としているけれど、胸に迫る場面だった。

 この2人のやり取りを見ていて、やはり首桶に入って鎌倉に帰ってきた「鎌倉殿の13人」源義経の事を思い出さずにはいられない。大泉洋の頼朝が熱演で、義経の首桶を大泣きして迎えたね。

 義経の死の直前、衣川でこっそり対峙した義時は今作信長の小栗旬。あの時は、菅田将暉演じる義経の方が年上の役だったのではなかったか。小栗旬が演じる義時が、初期はちゃんと少年に見えていて、役者さんは凄いなーと思ったよね。首桶を巡って因縁のある2人だ。

菌をばらまく荒木村重

 ところで、信長に反旗を翻した困ったちゃんの荒木村重。まあ、彼なりに必死なんだろうけどね。翻意を促すために城まで来た小寺(黒田)官兵衛を捕えて帰さないのだが、その時に悪ーい菌を植え付けていた。

荒木村重:お主は、いつ織田に手のひら返すんじゃ?顔を見たらわかる。儂はそうやってこれまで生き延びてきたからのう。

 この時の官兵衛が、まるで子どものように純真な表情をしている。すっかり虚を突かれてしまっているのかな。

 官兵衛だけに止まらない。村重は明智光秀にも毒の種を蒔いていた。これが、今作の光秀は何でも真に受けるタチだから、後にじわじわ効いてくるんだろうね。歴史家の磯田道史先生が言うように、本能寺の変の陰に荒木村重あり!という史料が本当に出てきたら面白いよね。

(ほぼ敬称略)

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【豊臣兄弟!第22回「播磨大誤算」ネタバレ感想】小一郎自ら大フラグ!秀吉記憶喪失、半兵衛は時がない

本当にあった「落書き」

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」が6/7に放送され、前代未聞の秀吉記憶喪失劇が描かれた。秀吉のような超有名人に、まさかの韓国ドラマのような運命を用意したものだと啞然としたが、それを主人公・小一郎の将来の大フラグにつなげてみせた。

 さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

第22回「播磨大誤算」◆◇あらすじ◇◆

一度は播磨を手中に収めたかに見えた秀吉(池松壮亮)だったが、半兵衛(菅田将暉)の悪い予感が的中。服属したはずの国衆たちが反旗を翻し、呼応して毛利・宇喜多も挙兵する。しかも折悪く半兵衛の体調が悪化し、秀吉は味方を見捨てて撤退することに。自責の念にさいなまれる秀吉は、ある夜、足を踏み外して頭を打ち、なんと記憶をなくしてしまった! 小一郎(仲野太賀)は、秀吉の記憶を取り戻そうと手を尽くすが……。(第22回「播磨大誤算」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 今回は「あの史実」をどう生かしたものやら?と逆算した結果、記憶喪失の筋立てになったのだろう。番組最後の紀行で種明かしがあった、現在も書写山円教寺に残る小一郎の名前の「落書き」だ。これを小一郎主役のドラマで使わない手はない。

 しかし、ウィキペディア先生の円教寺の項目を見ても、落書きのエピソードについては書かれていなかったのは残念。番組最後の「紀行」では確かに実物を紹介していたのに・・・ウィキペディアも手抜かりがある。(しかししかし、番組の公式サイトで「紀行」まとめはどこにあるのか?見つからない・・・💦)

 円教寺のサイトでも見つからなかった(文化財・史跡 - 書寫山圓教寺)。ググったところ、その辺をさらに説明してくれている別サイトがあったので引用する。

A:宮部継潤が、「先ほど住職が言うておった。あの柱に己の名を書きながら願掛けすれば、どんな願いも叶うと……この寺の開山の頃よりの言い伝えがあるらしい」といって、兄秀吉を助けたい一心の小一郎が、自分が不幸になってもいいからといって、願掛けしながら自分の名前を柱に刻み付けていました。実は圓教寺の食堂には今も、「小一郎秀長内 高井丁助」という文字が刻まれているそうです。高井丁助というのは「小一郎秀長内」とあるように、小一郎の配下だった者で、実際には高井丁助が落書きしたということのようです。本当にそんなことが? 播磨の攻防で記憶をなくした羽柴秀吉、そして書寫山圓教寺で実際にやったこと【豊臣兄弟! 満喫リポート】22 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

 このあと、こちらの記事では「宮部継潤の台詞は400年以上前のことですから、現代の私たちは絶対にやってはいけません」「本気で願掛けするなら、三千仏礼拝行を拝観して、自分でも五体投地をする」と、ちゃんと警告していて笑えた。

 でも、これを面白がっちゃいけないね、こうでもしないと本当に名前を刻んじゃう馬鹿者が今の世は現れかねないから。大河ドラマでも「♫ピンポンパンポーン♫ ドラマ上の表現であり、決して真似しないでください」とでも放送した方が良かったな。

秀吉の受難が、小一郎の覚悟を導く

 さて、柱に彫られているのは小一郎配下の名「小一郎秀長内 高井丁助」だそうで、小一郎自身が彫ったものではなさそうだ。さすがに配下が彫ったものじゃドラマになりにくいから、小一郎が彫ったことにするとして・・・己に災いが降りかかるにもかかわらず、小一郎に彫らせるにはどうすれば?

 とくれば、やはり秀吉に尋常ならざる出来事が出来するしかない。兄者思いの小一郎だし、当時の秀吉の立場、その影響を考えたらそれだけでは済まない。

 これが、例えば妻・お慶に何かが起きたとしても、自分に災いが降りかかってしまってはお慶のためにもならないとか計算しちゃうかもしれないし、秀吉が必死に止めるだろう。やっぱり己を引き換えに差し出すしかないと小一郎に覚悟させる存在は、秀吉しかいない。

 それで、また秀吉の足の甲に刀が刺さったり身体的な大ケガでは芸が無いし(でも、あのグッサリは驚いたよね)、同程度の目に見えるケガじゃ、柱に名前は彫るまでのことはしないだろう。かと言って、さらにひどい不可逆的なケガだと、秀吉の史実とズレるだろうし。

 そこで、目に見えない、当時の人智の及ばないメンタル系に故障が出るという設定にしたのかも。頭を打ったショックが引き金になって一時的に記憶を失う設定の方が、ドラマでは扱いやすそうだ。「狐憑き」みたいな方が、願掛けするにはうってつけ。

 頭を打つ前に、上月城で大きなストレスを経験した天使秀吉。半兵衛の効果的な策とはいえ、彼が嫌うむごたらしい扱いを籠城して既に落命していた人たちにすることになったからね。その上、尼子の一党を泣く泣く見捨てることになったのだ。ここらへんのウィキペディア先生の解説を一部だけ読んでみる。

信長の意図は三木城の攻略と毛利軍の足止めであり、神吉城志方城高砂城といった三木城の支城攻略に力を注いだ。このため秀吉も上月城に手を出すことはできず、後詰めの見込みがない尼子軍は絶望的な状況に立たされる。

これを見かねた秀吉は6月16日京都へ向かい織田信長に指示を仰いだ。しかしあくまで播州平定を優先する信長の方針は変わらず、上月城の尼子軍は事実上の捨て駒として扱われた。やむを得ず高倉山の陣を引き払うことになった秀吉は尼子軍に上月城の放棄・脱出を促す書状を出したが、尼子主従はこれを黙殺し、徹底抗戦を選んだとされる。(上月城の戦い - Wikipedia

 秀吉も必死だけど、相手が毛利だから尼子は引けなかったのだろうね。尼子と言えば、「毛利元就」で緒形拳が演じた尼子経久は貫禄があったな。妻を、高畑淳子が演じていたのを覚えている。あの圧倒的存在だった尼子一族が消滅寸前、やっと上月城を得て再起を図ろうとしていたのだ。それを後押ししていた秀吉だったが、ドラマではしかし、秀吉が信長に会いに行くことは無かった。

(ところで、尼子勝久を演じていたのは、「西郷どん」の子役さんだった。懐かしいなー。山中鹿之助は、声の良い俳優さんだね)。

 自分でも命のやり取りをしながら、こういう「助けてあげられなかった」という心理的ストレスに耐えないといけないのは大変だ。精神的に病まない方がおかしい位に思えてしまうね。・・・そうか、秀長が死ぬことで、秀吉のメンタル疾患がぶり返し、秀吉が壊れるのだろうね。

 ということで、名前を彫って願掛けをしてしまった小一郎。ああ、それで彼は短命の運命か💦とズキンと来た。短命と言うか、「やや短命」と言うか、とにかくそれが豊臣政権の寿命を決定づける。秀吉は、今ならまだ間に合うから彫った名を早く削り取れと言った。でも、小一郎はこう言って、削り取ることはしなかった。

小一郎:ええか、このままで。これからも兄者には苦しいことが山ほどあるじゃろう。その災いを、儂も半分引き受けてやるわ。

 本来の秀吉が戻ってきて、感動の兄弟愛の場面にはなったけれど・・・それで良かったのか小一郎よ。

ちょい違和感が

 今年の大河ドラマの主なターゲットは、年齢層がグッと下がって小学生も含まれているのではないかと思っている。まあ、難しいことは抜きでちびっ子大河ファンを増やしていこう、その方針には賛成だ。

 だから致し方ないのだろうが、ちょいちょい違和感を覚える部分もある。今回は、三木城攻めをしていた小一郎が書写山円教寺に呼び戻されて皆で話し合う場面でそれを感じた。

小一郎:なぜそんなことに?

小寺(黒田)官兵衛:上月城を退いてからずっと夜もうなされて、眠れぬご様子でございました。

小六:まさか、尼子勝久の怨念が・・・。

小一郎:やめんか、そんなものはない!

宮部継潤:しかし、この世には人の理では解けぬこともある。例えばこの柱、先ほど住職が言うておった。この柱に己の名を書きながら願掛けすれば・・・(略)。

 小一郎「そんなものはない」って?お前が生きているのは現代か?昔の人たちが怨霊を恐れて祀っている神社なんかたくさん残っている。崇徳上皇や菅原道真はどうしたらいいんじゃ。「そんなものはない」なんて意識なら、お金をかけて造立したり祈りを捧げたりなんてしない。そもそも、そんなバカバカしいことをなぜするのかってことになってしまうよ。

 いわゆる科学的なものが現代のようには無い時代の人たちが、何を信じて生きていたのか、神仏の重要度は現代とは全く異なるだろうと考えれば、「そんなもの」とはとても言えない。小一郎、また現代人のクセが出たな。

 また、前回の竹田城で「血を一滴も流さない」無血開城の努力をしていた小一郎にも、正直???となったよね。現代人だからそうなるだろうが。

 今回の上月城でも、秀吉が虐殺に手を染めた訳ではなく、籠城していた上月城の人たちが、勝手に自決していた流れ。遺体を拝借しての串刺し見せしめのアイデアは、半兵衛が出したことになっていた。まあ、今作の秀吉は天使だから、キレイにまとめないといけない。

 実際にはあっただろう、秀吉による上月城での惨たらしい処分については、似たような酷い話は他の戦国大河でもあまりに多くテンコ盛りで描かれてきた。戦国時代はバンバン人が殺されるもの、という意識があるので、どうしても今作がスイート大河に見えちゃうのだね。

 酷かったなあと思い出すのは、どうしても有名な大掛かりな戦いだ。関ヶ原も長篠の戦いも、第四次川中島の戦いも(推しの武田信繫が死ぬと分かっているから尚のこと)。マイナーな攻城戦では、「風林火山」の真木よう子が演じた美瑠姫のストーリーが思い浮かんだ。田辺誠一の小山田信有が片思いだったよね。中井貴一主演の「武田信玄」の方も、名将が次々と死んでいき、色々と悲惨で心理的負担は大きかった。

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 「天地人」の御館の乱も悲惨だったが、相武紗季が演じた景勝の姉(たぶん)と、マッサン玉山鉄二が演じた景虎が死ぬ場面が思い切りロマンチックに美化されていたのは、現代人向けなのかな。マッサンのファン向けか。

 もちろん、「軍師官兵衛」でも上月城の場面はあり、官兵衛の妻(中谷美紀)の姉・力(酒井若菜)が嫁いだ城だった。記憶では力は炎の中で死んだと思い前にそう書いたが、実は子どもと共に官兵衛に助命され黒田家に引き取られたらしい(『軍師官兵衛』キャスト 光の姉 力役に酒井若菜さん: NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』 ~黒田官兵衛のゆかりの地~)。思い違いだった💦ここで訂正しておく。

 「軍師官兵衛」は、悩んだ末に録画を消したのだ。もったいなかったなあ。結局、こうやって見返したいと思うのだよね。

悩める播磨を揺さぶる、上月城の半兵衛の策

 前回もそうだったが、己の死期を悟っている竹中半兵衛が、今回懸命に官兵衛を口説いていたのが見どころだったよね。自分の後釜に据えようとしている。

 まず、上月城の見せしめについて。秀吉は「儂が鬼のふりをして、少しでも早く西国攻めを終わらせることができるのなら、それで構わぬ」と言った。戦わずして寝返る敵が増えるのを期待する半兵衛の策に従ってのことだが、それだけではない。

 天使秀吉は鬼の面を手にしている。現代人の小一郎は渋い顔だ。

 そこに官兵衛が「かえって恨みを募らせ、敵をまとまらせてしまう」と反論。半兵衛は「それは好都合だ。敵が一つにまとまれば、狙いも定めやすくなり、策も練りやすくなる」と、敵のあぶり出しに効果があると答え、さらに食って掛かる官兵衛を煽った。

官兵衛:竹中殿とも思えぬ御言葉じゃな。毛利を侮ってはなりませぬ。(半兵衛が鬼の面を被る)織田の軍勢とて、そう易々とは太刀打ちできませぬぞ!

半兵衛:その通り、流石は官兵衛殿じゃ。よう分かっておられる。

官兵衛:儂をバカにしておるのか!(畳を拳で一突き)

小一郎:落ち着くのじゃ。

半兵衛:そこまで毛利のことを分かっていながら、なぜ我らに付いたのです?(面を外して)そなたほどの戦巧者が味方に付いたことは、真に心強きことなれど、う~ん。なぜ、毛利ではなく我らを選ばれたのじゃ?

官兵衛:(言い淀んで)・・・それは。

荒木村重:それはあれよの、儂が粘り強う説き伏せたからやろうな。

官兵衛:今の織田には勢いがありまする。これからの世を作るは織田様じゃと、そう見極めたのです。

半兵衛:いい答えじゃ。実に曖昧で(鬼の面を隣の宮部継潤の膝へ放る)

官兵衛:何ですと?

半兵衛:それこそが今の播磨。皆、半信半疑のまま、それでもどちらかにつかねばならぬと我らを選んだものがほとんど。その者たちの気が変わらぬうちに、一刻も早く毛利を倒さねばなりませぬ。やっかいなのは明らかな敵ではなく、腹の底が見えぬ国衆でござる。(官兵衛に目をやる)

官兵衛:我らは、人質を差し出して織田様に忠誠を誓いました。裏切ることなどござりませぬ!

 腹の底が見えない国衆の陰には、毛利だけではない、足利15代将軍義昭の存在もある。京から追放された今は鞆の浦にいて、副将軍には毛利輝元を据えた。爆死した松永久秀や、今回謀反の別所長治と荒木村重については、義昭が、鞆の浦から御内書を連発、権威を盾に織田家中切り崩しを図った成果だったのだと、5/25再放送だった「英雄たちの選択」足利義昭の回が教えてくれた。

 お、明日6/15には竹中半兵衛をやるんだね。再放送っぽいが、これは見たいところ。(天才軍師・竹中半兵衛の真実 | 英雄たちの選択 | NHK

 後世からすれば信長一択に見えても、当時の播磨の国衆としたら、勢いのある織田信長と、まだ正式には将軍である義昭が付いているご近所の実力者毛利輝元とでは、それは悩むだろう。本当に気の毒な播磨。

半兵衛から官兵衛へ、第2ラウンド

 半兵衛は、官兵衛を誘って碁を打った。そこで半兵衛に圧倒される官兵衛だが、巧妙に逃げようとする。

半兵衛:官兵衛殿。負けた方が何でも一つ言うことを聞くというお約束でよろしかったか?

官兵衛:まだ終わっておりませぬ。

半兵衛:官兵衛殿。我らの味方になっていただきたい。

官兵衛:ですから、まだ終わっては・・・もう、なっておるではござりませぬか。

半兵衛:今のところは。(雷鳴)儂がそなたなら、織田でも毛利でもなく、自らが勝ち進む道を選びまする。儂がそなたなら、まずは織田に味方し、その後ろ盾を得て、かねてより縛られていた主家の小寺を見限りまする。儂がそなたなら、そのまま織田に加勢して毛利を弱らせ、最もうまくいく機を見計らって織田をも裏切る。双方弱らせたところで、最後は己がのし上がる。儂がそなたなら、それが一番面白い。

(雨が降り始め、にわか仕立ての碁盤も濡れ始める)

官兵衛:なんということじゃ!この勝負、引き分けじゃな。

半兵衛:いや、先ほどの手で勝敗は・・・。

官兵衛:ちょうど起死回生の一手を考え付いたのじゃが、こうなってしまっては致し方ない。無かったことに致しまする。(一礼して去ろうとし、軒下へ)

半兵衛:ハハハ・・・時をかければ思わぬことが起きて、勝ち負けを覆すこともできる。(雨に打たれたまま)時さえあれば・・・儂は、そなたが妬ましい。(遠い落雷の音とともに倒れる)

官兵衛:竹中殿?いかがされた!

 官兵衛は図星を突かれたのだろう。「儂がそなたなら」の半兵衛の言葉を聞いているうちに、だんだん苦しく哀しくなるね。最後は「儂は、そなたが妬ましい」と。

 もう時が無い・・・半兵衛は紙のような顔色をして、播磨攻略も半ばでこの世を去らねばならない。でも、官兵衛はまだ知らないが、半兵衛から官兵衛へ最後の一撃が次回描かれるのだろうね。おお、もう放送まで時が無くなっていたのでここらへんで。

 最後に戦国鍋テレビの懐かしい兵衛'z歌が久しぶりに聞けたので、貼り付けておく。

 さあ、泣く用意はできてるかな?いやいやいやいや、無理だから。もうしばらく菅田将暉の半兵衛を見ていたかった。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第21回「風雲!竹田城」ネタバレ感想】播磨攻め、半兵衛が切なくなってきた😿まさかの親子共演も

「たけし城」かと思ったよね

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第21回「風雲!竹田城」が5/31に放送され、主人公の羽柴小一郎長秀が、兄秀吉に代わって城代を務めるまでに成長した。サブタイトルはその昔のバラエティー番組「風雲!たけし城」をそのままパロッており、え?と耳を疑った。では、あらすじを公式サイトから。

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第6章「播磨攻略編」始動!!第21回「風雲!竹田城」◆◇あらすじ◇◆

秀吉(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)は、荒木村重(トータス松本)に代わって織田と毛利の間で揺れる播磨の攻略に当たる。難しい任務と思われたが、村重の仲介で出会った姫路城代・小寺官兵衛(倉 悠貴)は、見事な手腕で播磨の国衆を織田方につけてみせる。半兵衛(菅田将暉)の案で、秀吉はさらに西方へ兵を進めることを決め、西播磨へ。一方、小一郎は但馬の竹田城攻めを任され、初めて総大将として戦に臨む!(第21回「風雲!竹田城」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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だし=城郭の出し(出丸、出城)

 信長に北国攻めでの失態を許される代わりに秀吉が命じられた播磨攻め。荒木村重が2年も前から地元の国衆を口説いてきたのに、その役割を秀吉が「横取り」する形になり、お役御免になった村重が、中川清秀や高山右近に誘われて愚痴をこぼしていた。

 それでも村重は、前回、派手に爆死した松永久秀の二の舞を案じて「ここは耐えるほかあるまい」と答えてはいた。

 まあ、信長は気が短いから2年も攻略にかけていたら交代させられちゃうんだろう。これが村重の焦りを呼び、次回以降で描かれるはずの裏切りにつながっていく訳だね。村重の美人妻・だしも登場した。

 以前、桐谷美玲が「軍師官兵衛」で演じた時に、彼女の名前が聞き慣れないものだから「え?だしって出し汁の?」(そんな訳ないか💦)などと疑問に思い、調べたのだったが・・・外国の名前だったか・・・すっかり忘れている。それで、またウィキペディア先生を見てみた。

呼称のだしの由来については『立入左京亮宗継入道隆佐記』によると、城郭の出し(出丸、出城)に居住していたゆえの命名らしく、本名は「ちよほ」[1]または「ちょぼ」[3](一説には「梶」[1])である。

一方でダシというキリスト教の受洗名(Daxi)であり、この女性はキリシタンであったという説もあるが[4][信頼性要検証]、東京大学名誉教授の辻惟雄は、だしが処刑される時に残した数多くの歌の中には、阿弥陀と西方浄土への憧れを詠んだものがあることからキリシタン説には疑問があるとしている[5]。(だし (戦国時代) - Wikipedia

 なんとなんと、城郭の出し(出丸、出城)に居住していたゆえの命名「だし」って・・・扱いがぞんざいじゃない?若く美しい妻を少し離れた出丸に住まわせておいて、村重がコソコソ通っている姿を想像しちゃったな。「お、ちょっとダシ行ってくるわ」みたいな感じだったのか。

 受洗名説もAIに聞いてみた。

Daxi:フランス語で「水」を意味し、洗礼名としても使用されることがあります。

 水ね、その方が運命を受け入れ潔く散った彼女に似合う。ウィキペディアには妹ふたりも一緒に処刑されたと書いてあったので、姉妹には何という悲劇か。(先走った💦)

 トータス松本の荒木村重も、なかなか似合っている。「軍師官兵衛」の田中哲司の「道糞」の印象が残っているが(そのせいで、田中哲司はどうも今作の安藤守就には見えないのだよね・・・)、トータス松本も、明るい表側の裏を感じさせる人だ。

 播磨攻略を外されて実はホッとしている心境を、妻だしに「楽しい面白う生きていけたらそれでええんじゃ」「国衆とのつながりを生かして、筑前に貸しの1つも作れれば十分」と打ち明けていた。そうやって穏やかに生きていけたら良かっただろうが、時代がそれを許さなかった。

小賢しい小寺(黒田)官兵衛が登場

 「軍師官兵衛」は岡田准一が主人公を演じた大河ドラマだが、放送は2014年だって。もう12年も前のドラマなんだね。そんなに古い感じもしないけれど、濱田岳とか、速水もこみちとか若かったよな・・・そういえば、主人公の幼少期を演じた子役の事件には驚かされた。しばらく再放送はないだろう。

 今回、とうとう官兵衛が登場した。小賢しくて憎ったらしいよねえ!演じるのは朝ドラ「おちょやん」「あんぱん」に出演していた彼だ。公式サイトの人物紹介を見てみた。

■小寺官兵衛尉孝高(黒田官兵衛) / 倉 悠貴

こでら かんべえのじょう よしたか(くろだ かんべえ) / くら ゆうき

秀吉に仕えた軍師

織田と毛利の勢力争いの前線・播磨(兵庫県西部)で小寺家に仕えていたが、秀吉が播磨攻略を任されたことを機に、率先して秀吉の配下に入る。竹中半兵衛に対抗心を燃やす。(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第21回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 そうなんだ、設定からしてもう菅田将暉演じる半兵衛に敵対心メラメラなんだね。メンドクサイ人だ。若いからなあ。でも、戦国時代にのんびり構えてもいられないか。

 官兵衛は、城代を務める姫路城において、天正五年十月、村重の紹介で播磨に来た秀吉らを初対面のような顔で迎えた。「おお、そなたが官兵衛殿か。荒木殿から話は聞いておる」と秀吉は言い、村重も「羽柴筑前守殿じゃ。これからは、儂の代わりに播磨をおまとめくださる」と秀吉を官兵衛に紹介していた。

 そこが、事前に信長に挨拶に来て、秀吉とも会っていた「軍師官兵衛」とは違うような?たぶんだけど。分かりやすく動きをまとめたんだね。

 見るからに有能な官兵衛は、「お噂はかねがね」と秀吉に言った。「今や、織田様が最も心を寄せる家老の筆頭」が秀吉であるとの噂を、自ら広めて人を動かす力とし、多くの国衆を秀吉側に従わせたというのだ。

 その時に、「どこでそんな根も葉もない噂が」とカットインした小一郎。お笑い担当なんだなあ。

 また、官兵衛は「今よりこの城は、羽柴様に差し上げまする」と宣言。泡を食った秀吉が助けを求めるように後方に顔を向ける中、小一郎が官兵衛に待ったをかけた。

小一郎:待たれよ。気持ちはありがたいが、この城の真の主は小寺の殿様でござろう。無礼なことを申すようじゃが、ただの城代であるそなたが・・・。

官兵衛:既に殿にはご承知いただいておりまする。

小一郎:ええ~。

官兵衛:主・小寺政職は織田方として働く所存。私が説き伏せました。

秀吉:真か。

官兵衛:小寺だけではござりませぬ。赤松様と別所様にも、織田方として働くよう計らっておきました。

荒木村重:そ、それは真か?一体どのような・・・。

官兵衛:赤松様には「別所様が密かに毛利と通じて播磨を手に入れようとしている」と噂を流し、別所様にはその逆を広めましたところ、互いに焦って「織田様にお守りいただくしかない」と。両家が織田に着くとなれば、後の国衆たちは皆、黙っていても従いまする。これで播磨は、織田様のものでござりまする。

小一郎:少々強引ではござらぬか?だまし討ちのようなものでござろう。

官兵衛:今の播磨に、真の国守はおりませぬ。皆、互いの顔色を窺っているばかり。少しくらい強引でも、織田様のような強き御方こそ、この地を治めるにふさわしいかと。

秀吉:よう言うた官兵衛。上様もさぞ喜ばれることじゃろう。

 官兵衛の早手回しとドヤ顔に、半兵衛は顔色を変えないが内心穏やかではなさそう。それで寝たふりか。村重もそうだろう。「簡単にはいかない」「お手並み拝見」と中川清秀らに言っていた播磨の国衆の攻略を、半兵衛がチャチャッと進めた格好だから。

 でもね・・・なんか危うい。人の勘違いに乗じて話を進めると「一杯食わせられた」との嫌な思いを相手に残すもの。それを得意げになってたらいけないよ。今のところ、官兵衛はそういう人物設定なんだね。

 寝たふりをしていた半兵衛にムッとした官兵衛が「さすが、知略の士として名高い竹中殿にかかれば、このくらいのことは当たり前で、退屈だということですかな」と食って掛かったが、半兵衛はそれに構わずこう言った。

半兵衛:人質を頂きとうござりまする。全ての国衆に、人質を出させてくだされ。

村重:そんな事が出来たら苦労はせんわ。

秀吉:確かに、それなら上様への何よりの臣従の証となるのう。どうじゃ官兵衛。できるか?

官兵衛:(半兵衛に視線を投げ、秀吉に向き直る)容易いことでございまする。まず初めに、この私の嫡男・松寿丸を差し出しまする。さすれば皆も信じて、従いましょう。(秀吉に向けた笑顔から、半兵衛に鋭い視線を投げる。対する半兵衛も、口を引き結んで険しい表情を露わにする)

 最後は半兵衛の菅田将暉の顔芸が炸裂。ふたりはバチバチだということで、なかなか面白い場面だった。それに・・・例の松寿丸の名前が出てきた。話の下ごしらえが出来ていくね。

竹中半兵衛が透明になっていく

 史実を考えると、そろそろ体力が持たない頃かと心配な半兵衛。無事に(?)官兵衛に秀吉の軍師の座を譲ろうと模索しているんだろうなと、今回は思わされた。

 天正五年十一月、秀吉たちが上月城を目指して西播磨に進軍している中での、福原城攻めでのこと。

官兵衛:それは違いまする。

半兵衛:何が違いますかな。

官兵衛:竹中殿の策に口を挟むなど、おこがましい限りながら、この策には穴がありまする。

半兵衛:穴じゃと?(大仰に)

官兵衛:ネズミ一匹はい出でる隙もないほどに取り囲むよりも、わざと隙を作るのです。さすれば自ずとそこから敵は逃げ出そうと致しまする。それを待ち伏せて、討つなり捕らえるなりすれば、上月城攻めの前に、味方を無駄死にさせずに済みまする。穴が無いことが、この策の穴でござる。

秀吉:確かにそうじゃのう。どうじゃ半兵衛。よし、ここは官兵衛の策で行く。

 官兵衛のドヤァが止まらない。「お任せくださりませ」と秀吉に言って半兵衛を意味深に見た顔がピッカピカ、得意満面だ。半兵衛に投げる官兵衛の視線は失礼を通り越しているから、半兵衛も口元がへの字になり、眉間にもシワが寄っていた。

 しかし、これは半兵衛が秀吉と画策した芝居だった。

秀吉:やはり見抜いたのう。何じゃ、分かっていて官兵衛を試したのに、そのような顔をせずとも良いではないか。

半兵衛:私もそう思うのですが、ああも得意げになられると、いささか腹が立ちます。

 まあ、それが人情。だけれど、人を試すなんてことをするから、嫌な目にも遭うのだよ、仕方ない。秀吉が聞いた。

秀吉:半兵衛。まちごうていたら済まぬ。何か、急いておるのか?

 ここで、一瞬にして膨れっ面から笑みを浮かべて見せた半兵衛が「やはり、私は聖人君子にはなれそうもありませぬ。戦が楽しゅうて仕方ござらぬ」と答え、「小一郎殿も、上手くやっておると良いが」と話を逸らした。・・・切ないなあ。

 明らかに、彼は死期を悟っているのだよね。「聖人君子になれない」というのは、生への執着だろう。彼の笑顔が、どんどん透明感を増しているような気がするよ。

小一郎、初の城代に。まさかの父が

 小一郎は、フォロー名人。荒木村重へのフォローも当然欠かさない。小寺(黒田)官兵衛を秀吉に引き合わせた村重を、小一郎は追いかけ、廊下で「官兵衛殿との誼を通じさせていただいたこと、例を申し上げまする」と挨拶した。

 そして「それぐらいお安い御用じゃ」という村重に「兄者のこと、内心よく思っておらんのでは?」と聞いた。えー、ズバリだね!仕事を取っちゃったもんね。

村重:ハハッ!わしはそない小さい男ではないわ。まあしかし、どうしても気にかかるというのであれば、まあ一言上様に申し上げて頂こうかのう。この儂の力添えあってのことじゃと。お主も大変じゃの。まあせいぜい、上手くやるこっちゃ。

 小一郎は、「ご無礼いたしました」「承知しました」と笑顔でさわやかに受け答え。こういうやり取りがあるか無いかで、確かに人間関係は違うだろうね。小一郎の大事な仕事だ。

 播磨の国衆が、次々と臣従を誓うために秀吉の下に出仕した。秀吉は「これからも播磨の安寧のために共に働きましょうぞ」と挨拶、ニコニコだ。別所長治の名代には田中美央が演じる叔父の賀相が現れ、秀吉から命じられたらしい城の打ち壊しに難色を示し、今後の波乱を予感させた。

 そこでまた、フォロー名人小一郎の出動だ。

小一郎:何か申されたきことがあれば、遠慮のう申してくだされ。我らも慣れぬ地ゆえ、色々ご指南いただき力を合わせて行きとう存じまする。

別所賀相:ありがたき御言葉。主、長治にもしかと伝えまする。(硬い表情のまま一礼し、去る)

 早々に播磨をまとめたことで「早く帰ってお褒めの言葉を頂くとするかのう」と言う秀吉に、半兵衛は「それは早計だ」と止め、毛利が黙っているとは思えない、背を向ければ播磨に手を伸ばしてくるだろうと言った。

 そして、「しばらくここに留まろう」と進言する官兵衛に対し、西への進軍を続けるように半兵衛は言った。まずは、播磨・備前・美作の国境に立つ上月城を手に入れるべきとのことだった。毛利方の最前線の城で、赤松政範が城将だ。「ここを押さえれば、毛利もそう易々とは播磨に攻め入ることはできなくなる」と秀吉も納得した。

 さらに半兵衛は「あともうひとつ、手に入れたきものが」として生野銀山を挙げ、所有する太田垣輝延が守る竹田城を小一郎が大将となって攻めることになった。

 竹田城と言えば雲海たなびく山城、今や天空に浮かぶような姿が人気だ。

 その時に、対峙した相手方城将太田垣を、主人公小一郎を演じる仲野太賀の実父・中野英雄が演じていた。どこかで見た顔だけど・・・と思いながらも、中野英雄だとは気づかなかった。ちゃんとオープニングのキャスト名を見ておくべきだった。

 中野英雄にとっては初めての大河出演らしい。親の七光りとは反対の珍しいパターン、何と親孝行な。「元気よく頑張ってくれたら、父親はそれで嬉しい」とインタビューで息子にエールを送っていた。

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 それで、小一郎は父が演じる太田垣が、水をやらないとか家臣を思わない振舞いを重ねていたところに「兵の命を何じゃと思っとるんじゃ~!」と殴り飛ばした。そこで、鼻血を出させてしまったため無血開城を狙っていたのに「ほぼ無血開城」となった、という顛末だったのだが・・・。

 ほのぼのと親子共演を見守る場面なんだろうなあ・・・でも、無血開城って。いくら何でも主人公の小一郎を美化し過ぎなのではないかなあ。現代の感覚では、それが正義。でも、小一郎は戦国時代に生きているんだもんね。お手々つないで皆でゴール!みたいな美しい形にはいかないだろう。

 そう思ったら、終盤で上月城攻めをしていた秀吉が、城を落とした際に女子どもを串刺し、磔にして国境に晒したという、おどろおどろしい情報がもたらされ、秀吉が犠牲者を眺める映像が流れた。

 声を失う小一郎だが・・・これまで天使のように描かれてきた秀吉が?史実でもそういった説があるそうだが、ドラマの秀吉とは辻褄が合わないね。

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 この上月城の悲劇、「軍師官兵衛」では官兵衛の妻(中谷美紀)の姉が上月城に嫁いでいたのだった。酒井若菜だったと思う。炎の中で非業の死を遂げたように記憶しているが・・・次回、どんな話に持って行くのだろう。これは毛利を恨む尼子勝久と山中鹿之助の仕業でしたってことにするのだろうか?

(ほぼ敬称略)