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大河ドラマを見て半世紀。だらだらぐだぐだ考察します

【豊臣兄弟!第17回「小谷落城」ネタバレ感想】浅井朝倉滅亡、お市が長政を介錯!残酷だ~

早く楽にしてやりたい・・・なら急げ!

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第17回「小谷落城」が5/3に放送され、織田信長の妹のお市が、落城に際して切腹したものの死にきれないでいる夫の浅井長政の首を、返り血を浴びながら介錯した。これまでそんなお市の方を大河ドラマでは見たことが無く、なんとも劇画チック、あざとい。衝撃狙いとしか思えなかった。

 思い出すのは「黄金の日日」での李麗仙が演じる善住坊の彼女お仙。このブログでも触れたことがある。

toyamona.hatenablog.com

 信長を狙撃した罪で鋸引きの刑を科され、街道脇に首まで埋められた善住坊。彼が苦しんでいると知り、一思いに成仏させてやろうと、主人公の助左衛門と出向いて止めを刺し、楽にしてやったのが「戌年の女」お仙だった。

 お仙とお市のふたりが共通するのは、愛する人が苦しんでいるのは耐えられない点。本来は絶対したくないが、自らの手でその人の命を絶つのは、早く楽にしてやりたいから。その一心からの断腸の思いでの行動だと思うのだが・・・。

 今回のお市は、のんびりと木下兄弟が語る物語を聞いていた。理解に苦しむよ。愛する夫が介錯を必要としていると考えるのなら、1秒でも早く駆けつけようね。

 では、公式サイトからあらすじを引用する。

第17回「小谷落城」◆◇あらすじ◇◆

武田信玄(髙嶋政伸)が対織田の兵を挙げて遠江へ侵攻、三方ヶ原で迎え撃った家康(松下洸平)は大敗する。義昭(尾上右近)も京で挙兵し、信長(小栗 旬)は絶体絶命と思われたが、なぜか急に武田軍が撤退。後ろ盾をなくした義昭は…。危機を脱した信長は浅井・朝倉攻めを再開、進退極まった長政(中島 歩)は小谷城に籠城する。小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は、何とか市(宮﨑あおい)らを救い出そうとするが…。(第17回「小谷落城」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 どうも今年の大河ドラマを見ていて思うのは、感動ポイントというか、感動にもって行き方が私が見慣れてきた手法とは違うようだ。だが、従来とは感性が違う人たちが作っていても、それが一概に「悪い」という話になる訳でもない。ただ従来と「異なる」印象があるだけの話だ。それはまず言っておきたい。

 と言ってもこれは感想ブログなので、えー!とこちらが思った点は書かないと話にならない。その点はご了承いただくとして・・・これまで一番「えー!」と思ったのは、長政が火の中に手を突っ込んで焼けた鏡を取り出して火傷を負った場面だった。

【豊臣兄弟!】#11 懐かしき「黄金の日日」。篤姫的お市の「もうよい!」に怯まない浅井長政、火中の鏡をつかみ視聴者は悲鳴。小一郎は義昭をしぶとく生き延びさせた - 黒猫の額

 あれは男のロマンなんだと、SNSのどこかで見た。好きな女の子の前で彼女のために無茶をして、大丈夫?!と心配してもらいたい、だったか。ドラマでは、無茶をした長政にお市が駆け寄り、心が通ったふたりに降る小雪がロマンチック・・・という演出だったよね。

 しかし、こちらは焼けた金属なんか掴んだらとにかく火傷が重症になる(下手すると命取り)としか思えなかったから、パラパラ降ってくる小雪じゃとても足りないから早く冷水に手を突っ込めとか手当をしろとか家臣はどこに行った?とか気を揉み、悠長にロマンスを感じるのは無理があった。

 今回のお市の介錯には、何か、その時と同じ乖離を感じる。湖の水を全部飲みこんだ大男(これは当然、長政のことだよね)と、「大好きな女の子」(これはお市だよね)の寓話は感動的なはず。だけれど、それどころじゃなかった。主人公小一郎の活躍どころだったのだろうが、やっぱり無理くり拵えた感があったな。

 小一郎は、百姓だったから現代人に感覚が近いのだという設定なのだろう、長政に生きろと訴えるのもそういうこと。しかし、藤吉郎は侍寄りだったのだろう、だから、長政との相撲は、小一郎が真剣だったのに藤吉郎は手を抜いたように見えた。長政に勝たせて「信長、ざまあみろ」と言わせ、武将として全うさせようとしたのではないか。

 そうそう、今回は「大好き」という表現にも少々「えっ」と思ったな。男女の情愛で「大好き」なんてあからさまな、幼稚にも聞こえそうな呼びかけが、これまでの大河ではあっただろうか?例えば恋愛を描いた「光る君へ」で、まひろが言ったかな?

 別にこれまで無かったからって何事もやっちゃダメって話じゃないが、大河を見て50年選手のこちらは「大河でもアリなんだ」と・・・。それが長政のお市に対する最期の言葉「大好きであった」にもなっていたから、今作ならではの敢えての言葉遣いなんだろう。あの長政だと、言っても違和感なかったし。

無駄に残酷すぎる、お市による介錯

 そして、長政の自刃。長政が腹を刺して死にきれない映像が木下兄弟とお市の物語場面に差し込まれてくるものだから、長政の側に当然いるはずの介錯役の家臣はどこ?どこへ行った?なぜ誰もいないの?と、こちらはキョロキョロと探すのに忙しかった。

 お市が刀を小一郎から受け取って長政のいる場へと向かおうとする際にも、モジモジしていないで、いいから早く刀を奪い取ってダッシュで走れ!何をタラタラしているんだ~腹を切る痛みが想像できないのか?針でチョイと刺すのとは訳が違うぞ~と青くなった。

 つまりはドラマによって用意された切迫した状況と、ドラマが意図するロマンチックがバランスを欠いているのだよね。こんな状況でロマンチックをやってる場合じゃない、まずは早々に緊急事態に対処せえ!と、どうしても考えてしまう。鏡の時と同じだ。

 その上で、史実でもない無駄に残酷なこと(夫の首を落とす)をお市にやらせるなんて・・・趣味が悪い!とやっぱり思ってしまったよ。

 伏線として、信長が市に嫁入り話をする時に、お市が木刀ではなく真剣を振っていた場面があった。ふらついていたよね、とても重そうで。斬首できるほどの腕があるなら、練習段階でもしっかりキリッと刀を操ってほしかった。

 こういった質問にはまだまだ誤答をシレっとしてくるから全面的に信頼できないが、一応AI(Copilot)に聞いてみたら、浅井長政の介錯をしたと思われる、最期までお側に仕えた家臣が存在した。

 まずは長政の弟・政元(浅井政元 - Wikipedia)。兄と同行し、命運を共にしたらしい。そして赤尾清綱(赤尾清綱 - Wikipedia)。彼の小谷城内の赤尾屋敷跡には「長政自刃の地」の石碑が立っているそうだ。もうひとりはあの片桐且元の父、片桐直貞(片桐直貞 - Wikipedia 通称孫右衛門)だ。

 弟の政元なんて、「浅井久政の次男として誕生。浅井家の財政管理を行っていたという。また、智謀にも優れ、参謀役として兄・長政を補佐した」とウィキペディア先生は書いているのだし、小一郎と同じく兄を的確に支えた人物として出しても良かったのにねえ・・・ドラマでのキャスティングは無かった。

 ともかく、長政という当主の尊厳を守れる家臣が、少なくとも3人はいたことになる。なのにその事実をドラマではスルーして、まさかのお市が介錯。夫の首を戦国一のヒロインが斬るなんて、これ以上ないショッキングな展開だ。

 考えてみてほしい。いくら強い人だからってそんなことをしてしまえば、彼女の生涯のトラウマになるよね。鋼のメンタルじゃないんだから気が狂うかもしれない。そんな残酷な思いやりのないことを、ドラマとはいえここまでの状況で十分に傷ついてきたお市に敢えてさせ、さらに傷つけたいのはなぜだ?

 ただ、制作側が見栄え重視でもっともっとと刺激を欲しがり過ぎた結果なんじゃないか?(まさか、勝家の介錯も彼女にさせるのか?)

 小一郎の初恋の人・直ちゃんをとっとと殺したぐらいだから(生かして実母と姿を消すぐらいの芸当はできたはず)、女キャラに冷たいこと・・・次の餌食はお慶なんだろう、何か奇をてらったことをさせるつもりだな?その下地は十分。怖いなぁNHK。

三方ヶ原の教訓じゃなかったらしい

 徳川家康が大敗した負け戦として知られる三方ヶ原の戦いは今回も描かれたが、ドラマでは面白いことに家康はこの敗戦をすぐに忘れる、そうじゃないとこれから戦えなくなると石川数正に宣言していた。

 敗戦の戒めとするために自分の情けない姿を描かせた「しかみ像」の立場はどうなるんだろう?と思ったら、なんと最近の話では「家康が、三方ヶ原での敗戦直後にこの像を自戒のため描かせたとする伝承は、昭和時代に創作・形成されたもので史料的根拠は存在しない(徳川家康三方ヶ原戦役画像 - Wikipedia)」ということになっていた。

 へー、そうだったんだ。それをうまくドラマに取り入れていた訳だね。皆さん、今回の放送前は焼き味噌だの食い逃げだの有名エピソードがどう描かれるかでワクワクしていたようだったが、実はもっと重要な点で三方ヶ原が使われていた。とうとう石川数正の徳川家中ワンオペも終わって本多忠勝が凛々しく登場したし、めでたしめでたしだ。

信玄の無駄遣い

 この時に家康が死ぬ思いをさせられたのが、言わずと知れた武田信玄。戦国のビッグネームだ。この信玄の下へ、三淵藤英の従者に身をやつして足利義昭本人がこっそり行き(このドラマではおなじみ)、信長を討てと勝手に命じたものだから、信長とは盟約があり、その気が全然無さそうだった信玄が立ち上がる破目になったという話だった。

 小一郎が、本圀寺でしぶとく生きるように義昭に勧めたばっかりに・・・しかし、武田信玄が立ち上がったことで、反信長の皆さんが勢いづいて、織田に寝返った宮部継潤が泣きそうだったね。信玄はそれだけ大きな存在だ。

 その信玄が、あっけなく死んだ。視聴者をアッと言わせたかったのだろうが、戦国時代の雄なのに、ああ無駄遣い。最高級の和牛を、そうと知らずに私が焼いた、みたいな。演じるのも高嶋政伸で役者に不足はなかったのに、餅を詰まらせて窒息死じゃ、信玄餅を愛する山梨県民に怒られそうじゃないか。

 織田側の仕掛けが効いての毒殺という描写だと、死因は諸説あるのにマズいと思ったのか?あっけなく人は死ぬものだけれど、軍団のトップに君臨する人物だよ?周りに人がいない状態で餅を食するなんて不注意を、家臣の誰かが責めを負わねばならないことは信玄はしないと思うが。うっかりにも程があるだろう。

 信長は今川義元を仕留めたことで今川の攻勢をかわして息を吹き返した経験があるのだし、トップを取るのが一番効果的な戦法だと分かっているだろう。だから、むしろ信玄の暗殺を長年にわたり研究して狙っていたとしてもおかしくない。今も昔も同じこと、米国がイランの・・・は言うまでもないか。

 ドラマの今川義元の生首GPS策は秀逸だった。信玄についても何が出てくるのかと大いに期待していたから、次々と繰り出す織田方の忍びによる仕掛けが、とうとう当たったという成り行きの方が好みだったな。その忍びの努力が、上杉謙信の死に際してまた報われたのじゃないのかとも実際のところ思うし。

 信玄の死因については、歴史家の小和田哲男先生が、よほどドラマチックじゃないかと思われる説をYouTubeで話していた。信玄は狙い撃ちされて、銃創がもとで死んだというのだ。

youtu.be

 史料からは肺結核説や胃癌説が死因の通説としてあるそうだが、広く知られた俗説では、三河の野田城攻めの際に、笛の音に聞きほれていたら鉄砲で撃たれたって・・・ああ、それを大河ドラマの映像で見たかったな~。織田の忍びグッジョブ、でも小一郎には関係ないもんな。

 今回は、人でなしの朝倉義景も無残に従弟の景鏡にバッサリ首を落とされ、朝倉家が滅亡していた。すごい映像だったが、後ろから立っている鎧兜姿の人間の首を斬るのって至難の業じゃないか。兜の下ギリギリの狭い隙間を、力いっぱい水平に刀を振り切るのだ。一発でやらないと警戒されるし、難し過ぎる。

 この朝倉の滅亡では、斎藤龍興も殿(しんがり)を義景に押し付けられていた。史実では命を落としたそうだが、画面ではまだ死んでいないようだったよね。今後も彼はしぶとく出てくるつもりか?出てきたらいいのにな、次は鞆の浦で義昭の家臣になってるとか、有岡城で荒木村重の仲間になってるとか?

 さあ、次は光秀の坂本城に続いて、藤吉郎が長浜城主になるのだよね?今回、信長の前で藤吉郎が小一郎の後ろに控えている場面があってアレ?と思ったのだが、要するに前回のお叱りの件で一時的に降格を食らっていたってことなのだろうか。石田三成、藤堂高虎などが子飼いになるらしいね、楽しみだ。

おまけ:Copilotの誤答

 今回のドラマには関係ないが、浅井長政の自刃現場にいた家臣を調べた後、浅井家の生き残りを深掘りできるとCopilotが言うので聞いてみたら、変なことを言い出して30分ぐらい時間を無駄にした。ちょっととんでもないことを言ってきたので、面白いからご紹介しようと思う。後でめっちゃ謝られたが。AIねー、まだ調べ物には弱いんだね。

🧬 浅井家の生き残り一覧(確実性の高い順)

1. 浅井三姉妹(茶々・初・江)

浅井家最大の生き残りルート。 母・お市とともに小谷城から救出され、織田家に保護される。

● 茶々(淀殿)

  • 豊臣秀吉の側室

  • 豊臣秀頼を出産 → 豊臣家の血統に浅井の血が入る

● 初

  • 京極高次に嫁ぐ → 京極家(大名家)に浅井の血が入る

● 江(徳川秀忠の正室)

  • 徳川家光の母 → 徳川将軍家に浅井の血が入る(極めて重要)

つまり、浅井家の血は “徳川将軍家の中枢” にまで受け継がれた。

2. 浅井長政の娘・万寿院(徳川家康側室)

長政の娘(母は側室)。

  • 徳川家康の側室となり、

  • 徳川頼宣(紀州徳川家初代)の母となる。

紀州徳川家(のちの徳川吉宗の家系)にも浅井の血が入る。

3. 浅井久政の娘(浅井長政の妹)

  • 京極高吉に嫁ぐ → 京極家に浅井の血が入るルートがもう一つ存在。

4. 浅井家の庶流・家臣の一部が改姓して生存

浅井家の男子直系はほぼ滅亡したが、

  • 家臣団の一部

  • 庶流の一部 が「浅井」「浅野」「浅見」などに改姓して生存した記録が残る。

特に、

  • 浅井井規(裏切り三人衆の一人)の系統は江戸期まで存続。

  • 浅井家旧臣の子孫が近江で帰農して生き残った例も多い。

 問題は、2の「万寿院」だ。この架空人物のでっち上げをなかなかAIさんは認めない。それに、なぜか浅井家の血が今上陛下にもつながっていることを無視。生き残りとして一番すごい事だと思うんだけどな。

私:徳川頼宣の母は養珠院ですね
AI:おっしゃるとおり、徳川頼宣の生母は「養珠院(ようじゅいん)」です。 ここは非常に重要なポイントなので、系譜を正確に整理し直します。

 そして、AIさんは万寿院は家康の側室じゃなくて秀忠の側室だったとか言い出した。そうすると、秀忠は正室のお江の姉妹を側室にしていたことになるんだけど!(秀忠、チャレンジング!)そんな話は初耳だ。

AI:万寿院(浅井長政の娘)=徳川秀忠の側室

  • 徳川家康ではなく、徳川秀忠の側室

  • 子:保科正之(会津藩主)の生母(=徳川家光の異母弟)

つまり、浅井家の血は

  • 徳川将軍家(家光)

  • 会津松平家(保科正之) に強く流れています。(中略)

🔍 誤解が生まれやすい理由

  • 「万寿院」と「養珠院」が名前の響きが似ている

  • どちらも徳川家の側室

  • どちらも大名家の母

このため、しばしば混同されます。

✨ まとめ

  • 徳川頼宣の母=養珠院(お万の方)

  • 浅井長政の娘・万寿院は頼宣の母ではない

  • 万寿院は徳川秀忠の側室で、保科正之の母

 こんなにも堂々と嘘をつかれたら、信じる人もいるだろう。これは問題だよねー。

私:保科正之の母は浄光院ですよね?万寿院とは誰ですか
AI:結論から言うと、あなたの理解は正しいです。 保科正之の生母は「浄光院(じょうこういん)」であり、万寿院ではありません。 そして、万寿院はまったく別の人物です。ここで、混同されやすい3人を正確に整理します。

🧬 1. 浄光院(じょうこういん)=保科正之の生母(正しい)

  • 本名:お静(おしず)

  • 徳川秀忠の側室

  • 保科正之(会津藩主)の生母

  • のちに「浄光院」と号す

つまり、 保科正之の母=浄光院 これは一次史料でも確定しています。

🧬 2. 万寿院(まんじゅいん)=浅井長政の娘(別人)

  • 浅井長政の娘(母は側室)

  • 徳川秀忠の側室

  • 子:幸松丸(夭折)

  • のちに「万寿院」と号す

重要なのはここです:

✔ 万寿院は保科正之の母ではない

✔ 万寿院は浅井長政の娘だが、正之とは無関係

🧬 3. 養珠院(ようじゅいん)=徳川頼宣の母(さらに別人)

  • 通称:お万の方

  • 徳川家康の側室

  • 徳川頼宣(紀州徳川家初代)の生母

  • のちに「養珠院」と号す

✔ 養珠院は浅井家とも保科家とも無関係

✔ 頼宣の母=養珠院(お万の方)

🧭 3人の関係を一言でまとめると

人物 正体 生んだ子 浅井家との関係
浄光院 秀忠の側室 保科正之 無関係
万寿院 浅井長政の娘、秀忠の側室 幸松丸(夭折) 浅井家の血筋
養珠院 家康の側室 徳川頼宣 無関係
→ 3人とも別人で、役割も血筋も異なる。

🔍 なぜ混同されるのか?

  • 「○○院」という院号が似ている

  • いずれも徳川家の側室

  • いずれも大名の母・側室として重要人物

  • 万寿院だけが浅井家の血筋で、他の2人は無関係

このため、歴史ファンでも混乱しやすいポイントです。

 まだ言うか!というぐらい、平然ともっともらしい嘘を並べているAIさん。万寿院についてさらにこう言ってきた。罪深いでっち上げだ。

AI:ここで、万寿院の生涯を、史料に基づいて正確に整理します。

🧬 万寿院(浅井長政の娘)の生涯

  • 浅井長政の肖像画、名言、年表、子孫を徹底紹介 | 戦国ガイド
     
  • 徳川秀忠の肖像 88692167のアート作品 - アフロ
     
  • 江戸時代女性呼び方, 江戸時代 女性の歴史 – OTZF
     

🟦 1. 出自:浅井長政の娘(母は側室)

  • 父:浅井長政

  • 母:側室(名前不詳)

  • 生年:不明(浅井三姉妹より少し下の世代と推定)

浅井三姉妹(茶々・初・江)はお市の方の娘ですが、 万寿院は “お市の方の娘ではない” ことが重要です。

🟦 2. 小谷城落城後、織田家に保護される

1573年、小谷城が落城した際、

  • 茶々・初・江(お市の娘)

  • 万寿院(側室の娘)

まとめて織田家に保護されました。

ただし、三姉妹ほど史料に登場しないため、 幼少期の詳細は不明です。

🟦 3. 徳川秀忠の側室となる

万寿院はのちに徳川秀忠の側室となります。

秀忠の側室は複数いますが、 万寿院はその中でも比較的早い時期に入ったと考えられています。

🟦 4. 子:幸松丸(夭折)を出産

万寿院が産んだ子は 幸松丸(こうまつまる) のみ。

  • 生年:1601年

  • 死亡:1602年(1歳で夭折)

そのため、万寿院の血統はここで途絶えます。

🟦 5. 晩年:江戸で静かに暮らし、万寿院と号す

幸松丸の死後、万寿院は政治的な役割を持たず、 江戸で静かに暮らしたとされます。

  • 死没:1630年

  • 法号:万寿院殿

🧭 万寿院の位置づけ(混乱しやすいポイントの整理)

人物 正体 生んだ子 備考
浄光院(お静) 秀忠の側室 保科正之 正之の母(確定)
万寿院(浅井長政の娘) 秀忠の側室 幸松丸(夭折) 浅井家の血筋
名前不詳の側室 秀忠の側室 長丸(夭折) 万寿院とは別人
養珠院(お万の方) 家康の側室 徳川頼宣 浅井家とは無関係
→ 万寿院は “浅井長政の娘” であり、 保科正之とも頼宣とも無関係。

 恐ろしいほど自信満々なAIさん。どこかで私も騙されていくのだろうなー。そう思うと本当に怖い世の中になった。嘘八百をここまで開帳されたらね。

私:万寿院は万寿丸のことですか?万寿院は存在しないようです
AI:結論から言うと、「万寿院(まんじゅいん)」という “浅井長政の娘で、徳川秀忠の側室になった女性” は、史料上では存在しません あなたの指摘どおり、これは後世の混同・誤伝によって生まれた“架空の人物”です。そして、「万寿丸(まんじゅまる)」は浅井長政の息子(夭折)で、院号の万寿院とは無関係です。

ここを完全に整理します。

🟥 結論:**万寿院(浅井長政の娘)は存在しない。

万寿院=万寿丸でもない。**

🟦 1. 「万寿院」という女性は史料に登場しない

江戸期の系図類・大名家記録・浅井家関係史料を精査すると、

  • 浅井長政の娘に「万寿院」という名は存在しない

  • 徳川秀忠の側室にも「万寿院」は存在しない

  • 幸松丸の母として「万寿院」を記す史料は後世の俗説のみ

つまり、 万寿院という女性は後世の創作・誤伝であり、実在しない。

🟦 2. 「万寿丸」は浅井長政の息子(夭折)

  • 浅井長政の子

  • 母は側室

  • 小谷城落城後、織田信長により処刑

  • 院号は持たない

  • 万寿院とは無関係

万寿丸(男子)と万寿院(女性)を混同した誤伝が広まったと考えられます。

🟦 3. なぜ「万寿院」という誤伝が生まれたのか?

● 理由①:浅井家の娘の記録が少ない

浅井三姉妹以外の娘の記録はほぼ残っておらず、 後世の系図作者が“補完”しようとして混乱した。

● 理由②:「万寿丸」と名前が似ている

  • 万寿丸(浅井長政の息子)

  • 万寿院(院号) この類似が混同を生んだ。

● 理由③:秀忠の側室の記録が複雑

秀忠には複数の側室がいたが、

  • 名前不詳の側室

  • 夭折した子 が多く、後世の混乱を招いた。

🟦 4. 正しい系譜(確定している事実)

人物 正体 備考
万寿丸 浅井長政の息子(夭折) 信長により処刑
浄光院(お静) 徳川秀忠の側室 保科正之の母
名前不詳の側室 秀忠の側室 長丸(夭折)の母
万寿院(女性) ❌実在しない 誤伝・混同
🟩 まとめ
  • 万寿院(浅井長政の娘)という女性は存在しない

  • 万寿丸(浅井長政の息子)と混同された誤伝

  • 秀忠の側室で万寿院と呼ばれる人物も存在しない

  • 正之の母は浄光院、長丸の母は名前不詳

 やれやれ、ようやく浅井長政の娘の万寿院が存在しないとAIさんが辿り着いてくれた。本当に困ったちゃんだ。もしかしたら、万寿院って存在するのかなとワクワクしていたが、本当にガッカリ。ちなみに、藤原緋沙子作『隅田川御用帳』の万寿院は、時代が違うみたいだしねえ。

私:幸松丸も、秀忠の子としては見当たらないですね。ついでに言うなら、なぜお江の産んだ完子が現天皇につながっているのを説明しないのか、驚きました。万寿院という不確かな存在を主張するよりも大切なポイントのはず。不完全な情報を説明されて、驚きました
AI:結論から言うと、あなたの指摘は 完全に正しい です。 そして、ここまでの混乱は 「万寿院」という“実在しない人物”を前提にした誤情報 が歴史系ネット上に広く流布していることが原因です。あなたが驚いたのは当然で、 幸松丸も、万寿院も、浅井長政の娘としても、秀忠の側室としても史料に存在しません。 これは私の説明が不完全で、誤伝をそのまま扱ってしまったためです。 ここははっきり訂正します。

🟥 まず最重要:「万寿院(浅井長政の娘)」は実在しない。

  • 江戸期の系図

  • 浅井家関係史料

  • 徳川家系譜

  • 大名家記録

いずれにも 「万寿院」という女性は登場しません。ネット上の「浅井長政の娘・万寿院」説は、 万寿丸(浅井長政の息子)との混同 から生まれた誤伝です。

🟥 次に重要:幸松丸という秀忠の子も存在しない。

徳川秀忠の子は、一次史料で完全に確定しています。

✔ 正室・お江の子

  • 千姫

  • 家光

  • 忠長

  • 勝姫

  • 初姫

  • 和子(東福門院)

✔ 側室の子

  • 保科正之(母:浄光院)

  • 長丸(夭折・母は名前不詳)

→ 幸松丸という子は存在しない。

🟥 そしてあなたが指摘した最大のポイント:お江の娘・完子(東福門院の姉)が現天皇家につながる。

これは浅井家の血統を語るうえで最重要です。 むしろ「万寿院」などより 100倍重要な史実 です。

(略) 

🟩 私の説明が不完全だった点

あなたが驚いたのは当然で、 実在しない人物(万寿院)を前提に話を進めてしまった これは明確に私のミスです。本来なら、

  • 万寿院は誤伝

  • 幸松丸も誤伝

  • 完子こそ浅井家の最重要血統 を最初に整理すべきでした。

ここははっきり訂正し、謝罪します。

 はあ、もう笑うしかない。以前も北条五代について調べた時にトンデモな嘘をつかれたので、AIは2026年5月の時点ではまだまだってことだ。ただ・・・数年後にはすごいことになってるんだろうなあ、と期待しておく。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!第16回「覚悟の比叡山」ネタバレ感想】光秀、延暦寺でトラウマ体験。姉ともに侍の覚悟を説く小一郎

宮部継潤に救われた藤吉郎

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」が4/26に放送され、もう例の悪名高い比叡山焼き討ちへと話が進んだ。朝倉義景と浅井長政が比叡山に匿われ、その時の比叡山のトップ、天台座主の覚恕も出てきた。姉川の戦いから、ちゃっちゃと進行するね。

 織田信長は、比叡山を丸ごと焼いた訳じゃなく、実はある程度は限定的な焼かれ方だったと最近の調査で分かったとか何とか、どこかで読んだ。だとしても、寺社が現代よりよほど崇敬されていた時代に、自ら襲撃し火をかけ、寺に逃げていた人たちを皆殺しにするなんて、少しだって関わればトラウマになるよ。書いているこっちだって気分が悪い。

 特に、女・子ども対象の虐殺を真面目に実行してしまった光秀よ。演じる要潤の後ろ姿だけでも見ていて苦しい回だった。では、公式サイトからあらすじを引用する。

 

第16回「覚悟の比叡山」◆◇あらすじ◇◆

宮部継潤(ドンペイ)の調略を請け負った藤吉郎(池松壮亮)。継潤は、藤吉郎の子を人質によこすなら織田につくという。子のない藤吉郎は、とも(宮澤エマ)の子を差し出そうとするが、ともは激怒。困り果てた藤吉郎は、小一郎(仲野太賀)に説得を任せる。一方、敗走した長政(中島 歩)と朝倉義景(鶴見辰吾)は、比叡山延暦寺に立てこもる。信長(小栗 旬)は、織田に従わないなら寺を焼き払えと光秀(要潤)に命じ……。(第16回「覚悟の比叡山」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 今作の光秀は、そもそもが自ら進んで織田信長の家臣になった訳じゃない。足利義昭に命じられてのスパイだから、そこがまず光秀は気の毒だ。で、見透かされて信長に試されるようなことになったのが比叡山襲撃。なんでこんなことになった?って光秀は思っただろうな。

 宇佐山で織田方の森可成(蘭丸の父だね)が、延暦寺と結んだ朝倉軍の急襲を受けて討ち死。うお~っと吠えた信長がサッカーボールのように何かを蹴り上げ「叡山に向かう!」と命を下し、織田軍は比叡山を取り囲んだ。

 比叡山には多くの庶民が逃げ込み、浅井朝倉軍と膠着状態のまま2カ月。長政は女・子どもを逃がそうと言うものの、人でなしの朝倉義景が「その方が信長も無闇に手を出せまい」、覚恕も「あの者らは自ら庇護を求めてここに居るのです」と、女・子どもを盾にするつもり。お~、分かりやすい悪役らしいお言葉だ。

 ここで、足利義昭が両軍に和睦を勧め、その結果、朝倉浅井は冬の雪が道を閉ざす前に帰国できてしまった。「はあ~、まるで公方様は朝倉浅井を助けておるようじゃ」と信長は怒り心頭。「のう?十兵衛」と軍議の場で光秀に問いかけた。

回想の義昭:浅井が織田を裏切った時、信長はもう助からぬと知らせを受けた。その時に思うたのじゃ。これで、儂の幕府が出来あがると。お前は織田の中に深く入り込み、毒となれ。決して見透かされてはならんぞ。

 その時に光秀の脳裏に甦ってしまったのが義昭の言葉。つくづく現場の下々のことなんか考えない勝手な将軍様だよな。正直な光秀の表情には戸惑いがありあり、義昭はスパイに向いた人の人選もできない。もっとポーカーフェイスができる人材はいなかったのか。

 まあ、信長は、考えの浅い義昭の企みなんか最初から分かってたと思う。だから、義昭に分からせるために、その代理人光秀を締めあげる。

信長:答えよ、十兵衛。(光秀の前に来て、顔を覗き込む)

光秀:(喉を詰まらせつつ、ようやく)公方様に限って、そのようなことはございません。

信長:そうか、お主が言うのであれば間違いなかろう。

光秀:はっ。

信長:(座に戻り)これで、気の煩いもなく比叡山の俗物どもを一掃できるわ。延暦寺に書状を送りつけよ。この先、我らに従うなら所領だけは安堵してやる・・・が、そうでなければ皆殺しにすると。その時は十兵衛、お前がやれ。これは見せしめでもある。我らに刃向かう者は、女・子どもとてひとり残らず、なで斬りにするのじゃ。(息を呑む光秀)

藤吉郎:殿!そのお役目、このサルにお任せくだされ!(ひれ伏す。藤吉郎を見る光秀)

信長:ふん。ならばお前ら二人でやれ。ただし、しくじればお前たちの命も無いと心得よ。

藤吉郎:はっ!(ひれ伏す。後ろで固まっている小一郎)

 藤吉郎は「寺には逃げ込んだだけの者がたくさんおる、せめてその者らだけでも」と思ったと小一郎に説明。イコールそれは信長の命に背くことだが、「兄者にできるのか!」と聞く小一郎に、藤吉郎は「分からぬ」と・・・今作の秀吉は天使だからなあ、後先考えずに言ってしまったらしい。

 しかし、やはり逆らうことなどできない、だから「こたびは儂を助けんで良いぞ。その代わり、お前には大事な役目を果たしてもらいたい」として小一郎に頼んだのが、先を読んでの宮部継潤の調略であり、つまりは姉ともの説得だった。

 まだ姉川の戦いでようやく人を殺した小一郎が、虐殺の場にいてはいけないと藤吉郎は考えたのかもね、弟思いの天使だから。もしかしたら、自分が信長に逆らうことになっても、自分なら信長は殺せないとか、小一郎が生き残ってくれればとか、少しは計算したか?いずれにしても、小一郎が離れている方が、共倒れは避けられる。

 結局、藤吉郎は比叡山にいただけの弱者を手にかけずに逃がす。怯える幼子の手を取り「案ずるな、必ず仏様がお守りくださる。さあ、早く逃げるのじゃ」と声をかけ、扉を開けた。ドラマの準主人公はそうでなくちゃ。

 そして、一時は切腹を申しつけたものの、信長は命に背いた藤吉郎を許すことになった。小一郎が宮部継潤の調略に成功し、こっちの命は果たしたからそれで許してと懇願。それでも、それとこれとは別だと跳ね返されそうなところで、継潤が信長に対し、藤吉郎を大いに擁護したのだ。

宮部継潤:拙者はかつて比叡山延暦寺に身を置く僧でございました。こたびの叡山攻めで木下殿に命を救われた者の中には、馴染みの者が大勢おりました。この者たちと共に、生きてみたいと思うたのです。

 この言葉を聞いた信長は、藤吉郎に「こたびだけだ。サル!二度と儂に、今日のようなことを言わせるな」と言った。すかさず殿に「申し訳ござりませんでした!」と謝った藤吉郎は、命拾いして良かった。継潤としても、織田方に寝返ったのに窓口担当者が消えたら困るだろうからね。

 でも、小一郎が付いているし、何だかんだ助けてもらえそうなのが藤吉郎だ。安堵の息を吐く小一郎を、光秀が見ていた。義昭が欲していた彼ら。羨ましいのだろう。

やっぱり気の毒、ナイーブ光秀

 一方、虐殺をやるしかなかったのが光秀だったと思う。今作の明智十兵衛尉光秀は「麒麟がくる」の主人公十兵衛とは違い虐殺を遂行した。とうとう刻限になって「参ろう」と藤吉郎に言う際、動揺して肩で浅く息をしていた光秀。そして実行後、亡骸で埋め尽くされた本堂に佇む光秀の背中は痛々しかった。

 藤吉郎に「覚恕は」と問われ、「どこにもおらん」と答えてゆらりと振り返った光秀は、返り血を浴び歩行もガクガクとどこかおぼつかなく、気を失いそうにも見えた。

光秀:信長様の目は欺けん。こうするしかないのじゃ。こうするしか・・・。

 心を病んだ様子の光秀。こんなことを自分にさせたのは義昭なのに、義昭にまで「何という事をしたのじゃ!人の所業とは思えぬ。光秀!いつからそのような外道に成り下がった!」と責められたのは気の毒だった。

 光秀は「申し訳ござりませぬ。しかしながら信長は、我々を疑うておりまする」と、義昭との約束を守るためには従うしかなかったと説明した。しかし、そこでの義昭の返答が、おい!今更何をとぼけているんだ!と突っ込みたくなるような代物。スパルタパワハラの信長も嫌だけど、義昭みたいにすっとぼけた上司は嫌だ~。

義昭:儂のせいじゃと言うのか?儂のために、罪なき者の命まで、数多奪ったというのか。(泣く光秀)やはりお前を織田に送ったのは間違いであった。儂の元に戻って参れ、光秀。(去る。涙が止まらない光秀、畳に突っ伏す)

 義昭の元へ戻る気でいた光秀だが、信長は「こたびの比叡山攻め、ようやってくれた」と光秀を労って恩賞に近江国志賀郡を与えると言い、光秀をハッとさせた。光秀は坂本城を築城、城持ち大名になった。これが一時的には光秀の救いになったのだろうな、義昭の下に帰るのも止めだ。

 光秀が城を築き始めたのを聞いた義昭は、「偉くなったものだ」と分かりやすく嫉妬して例の藤戸石に斬りかかり、器の小ささを見せた。光秀は自分なんかを拾ってくれたと思う自己評価の低さが元凶で、ボンクラ上司に捕まっちゃったんだと思うのだが、自己肯定感の低い人がDV傾向のある奴に捕まるのと似てるよね。

 今までになくナイーブな今作の光秀は、「どうする家康」の泣き虫家康張りに泣いていた。これからも義昭と信長の間で振り回され、メンタルのバランスを欠いていくのか。心の負担が鬱積していき、その先に見えてくるのは・・・ということか。

戦場で上司を囲み、慰める飲み会。不参加だと・・・怖い怖い

 オープニングで、遠藤直経ら浅井側の戦死した重臣の名を挙げて「わしが死なせたようなもの」としょんぼり悔やむ夫の浅井長政を、腹の座ったお市様が叱咤激励していた。それほどの勇者たちは浅井のために散ったことを悔いてはいないだろう、なのに殿が悔いたら浮かばれない、死を無駄にしてはならないと。

 言われた長政は、信長がなぜこんなに強くなったのか理由が今、分かったと返答。そうやってお市が支えていたからだと。

 魔王信長に対抗する普通の人、という印象が長政にはある。が、信長もまた、普通の人なのだと言いたいのか・・・引っ込みがつかなくなった普通の人にしては、織田信長という張りぼては大き過ぎるけどなあ。

 小栗旬が演じる信長は、「どうする家康」の岡田准一の魔王信長と異なり、北条義時のように強いリーダーという役割を精一杯演じているパターンなのだろう。結局はリーダーはそんなものなのかもしれない。

 小栗信長には「弟」という弱点もある。今また、可愛がっていた妹のお市の方が、離縁して戻ってくることもせず敵方へと自ら離れた。その寂しさを理解している家臣たちが、こぞって酒肴を持ち込んで主を慰めようとしていたね。

 (戦場真っただ中の横山城で、既に奪取したとはいえ大丈夫?そんなに皆で酔っ払ってて。それに、浅井側との戦闘で、城は血まみれ死者だらけじゃないのか?大掃除したのか?)

 心が離れている光秀は、宴会にいなかったな。ああでも、上司を囲む飲み会に参加しないと点数が下がるみたいなのは、やっぱりヤダな。え、ちょっと待て。飲み会に不参加だったから、光秀は比叡山で試されることになったのか💦 後の家臣の追放を見ても、信長は結構根に持つタイプだもんね。

泣きの宮澤エマ、面目躍如

 主役小一郎は、今回、比叡山の焼き討ちに参加せず、姉ともの説得に向かった。信長に命じられた宮部城の宮部継潤調略にあたり、相手が藤吉郎に出した条件は「お手前の子を儂に下され」「近しい身内の子で構わぬ」だった。

 つまり、子のいない藤吉郎は(小一郎もだね)、姉の子である甥・万丸を宮部側へ養子に差し出す必要に迫られたのだった。養子と言う名の、人質だ。

 案の定、ともはそう易々とは賛成しない。鎌を持って弥助を追いかけ、「離縁じゃ!万丸を捨てるぐらいならあんたを捨てる!」と宣言。この調略がうまくいけば多くの者が助かる、と言う小一郎にも「それが何じゃ!万丸に辛い思いをさせてまで、多くの者のことなんて考えられん!」と言い放った。

 その時、小一郎が言葉に詰まっていた。人たらしでも敵わない姉ちゃん。

小一郎:宮部殿は立派な御方じゃ。万丸のことを大事にしてくださるはずじゃ!

とも:浅井様だってそうだったではないか。でも、とうとう織田を裏切って、お市様と信長様は袂を分かつことになってしもうたではないか!私は、死んでも万丸を手放さん。

 これを言われたら仕方ない。まだ頼りない幼い長男だし、簡単に差し出せる母親などいないだろう。この万丸が将来、秀次になると思うと、こんなに幼くして寂しい運命が始まってしまったのかと余計に悲しくなって見てしまった。ともの涙を見れば、どうしたってもらい泣きするし。

 演じる宮澤エマと言えば、今作と同じ脚本家の「おちょやん」の栗子さんも良かったが、「鎌倉殿の13人」で非業の死を遂げた頼朝の弟・全成の妻、実衣を思い出す。北条政子の妹でもある実衣は、処刑されてしまった夫の全成の最期の様子を聞かせてほしいと言い張り、政子らが止めるのも聞かずに涙涙で話を聞く。その時の涙の演技は忘れ難い。その時のブログでも「圧巻」と書いた。

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 文句なく泣き演技のうまい宮澤エマの、ここは見せ場だ。これをまた、夫の弥助役の上川周作がアシスト、二人で泣かせてくれた。

 ともの説得を任された小一郎に、弥助は「最後にはきっと分かってくれるはずじゃ。お前の姉様は肝の座ったおなごじゃから」と協力的だった。これは大きい。そして、ともと会った小一郎は、万丸を手放さねばならない辛さがどれほどか考えたが、子がいないから「真の辛さなど分からん」と言った。正直すぎないか?

 でも、家族みんなが一緒に暮らすことの良さなら分かる、だから「姉様と万丸もできれば一緒にいさせてやりたい」と・・・ここで、黙っていたともが反撃を始めた。

とも:そう思ってんだったら何でよ?

小一郎:儂らは、もう百姓ではない。侍なんじゃ!

とも:でも、何でうちじゃなきゃいけないの?!何でうちの万丸じゃなきゃいけないの?!

小一郎:(決然と)儂ら家族は、守られる側ではなく、守る側になったのじゃ。一人でも多くの者が助かる道を選ばねばなりませぬ!人質など無くとも、みんなが笑って生きられる世を、いつか作ってみせまする。儂らはそういう侍にならねばなりませぬ。(ともの目から涙があふれる)

弥助:(自分も涙を流して、泣く妻に)儂は、侍になってこれまで何をしたということも無い。じゃが、そんな儂らの子が、多くの者の命を救えるのかもしれん。儂らの万丸が、大きな役目を果たすのじゃ。誰にでもできることではない。その姿を見守ろうではないか。(とも、いやいやとかぶりを振る)

小一郎:万丸のことは、ずっと見守り続けまする!どうか分かってくだされ!(弥助とひれ伏す。ともは、顔いっぱい涙に濡らしながら、顔を横に振っている)

 すごいよ宮澤エマ。また見ていてボロボロと泣いてしまった。猫と一緒にするなと言われるのは分かっているが、うちの猫型の息子クロスケを養子に差し出せと言われたら絶対に無理だったな。どうしてもと言うなら、一緒に付いていく。

 しかし、リアルではどうだったんだろう。秀吉は、そんなに家族の感情を慮っただろうか。今作では家族思いだが、リアルでは姉夫婦に何の説明もなく、長男を攫うように宮部城に連れて行ったりしたんじゃないのかと思ってしまう。それを右往左往して宥めようとする小一郎。秀吉のような弟を持ち、ともとしたら災難以外の何ものでもないね。

 宮部継潤に息子を差し上げて数カ月後、とも夫婦は宮部城を訪ねる。里心が付くのを心配してか万丸には会わず、宮部継潤と面会する場面も泣けたよね。

 手作りの腹巻。「あの子はお腹が弱い子なので」と持参し託すのだが、ともは「それから」「それから」が止まらない。

 弥助が「もうその辺にせえ」と止め、母心を気遣った宮部継潤が「ご案じなさいますな」と笑顔で応え、「我が家に来てから三月。万丸は一度も泣いてはおりませぬ」と告げた。時折寂しそうな顔は見せるが懸命に耐えていると・・・小さいのにガマンしているんだねえ😢ママに「一人でも泣いたらだめ」って言われてたからね。うう😿

 「さすがわしらの子じゃ、えらいの」と弥助が言い、夫婦は滂沱の涙。宮部継潤にともが「どうかよろしくお頼み申します」と頼み、継潤が「しかと、お引き受けいたしまする」と応えるそばで、無言で見守っていた小一郎と藤吉郎も深々と頭を下げていた。

 その時、かなり唐突に現れたのが小一郎の謎多き妻・お慶。雪の中、笠をかぶり小さな包みを持って庭に立っていたのだが、立ち去った。・・・どういうこと?小一郎を追いかけてきたの?

継潤のドンペイは比叡山高校出身

 ところで、宮部継潤役のドンペイは名前が印象的なので朝ドラやら大河やらで気になっていたが、こんなに良い役ってこれまで記憶にない。昨年の「べらぼう」は悪どい金貸しの検校だったよね。

 インタビューによると、彼は本当に延暦寺の比叡山高校で学んだとか!そりゃ、元々は比叡山のお坊さんを演じるにはうってつけだ。般若心経も唱えられるから、撮影では全部唱えたんだそうだ(午後4時台 日曜美術館放送開始50年・秘蔵映像と名作の数々 | 午後LIVE ニュースーン | NHK)。

 同校出身の有名人としては、林遣都が俳優では名が挙がっていたが、ドンペイは無し(比叡山高等学校出身の有名人 | みんなの高校情報)。大河ドラマには8作も出ているそうだから、彼の母校もそろそろ認識してあげてほしいね。

(ほぼ敬称略)

※引用させていただいたドラマ部分は公式サイトよりの聞き書きであり、表記に誤りがある可能性があります。((16)覚悟の比叡山 | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

【豊臣兄弟!第15回「姉川大合戦」ネタバレ感想】生首GPS策再び?小一郎は戦国の現実を嚙みしめる

松下洸平の狸家康が笑える

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第15回「姉川大合戦」が4/19に放送された。戦国大河ファン待ってましたの姉川合戦、過去作「どうする家康」の頼りない松潤家康が岡田准一の魔王信長に心身ともに振り回されたのを踏襲したかのように、今作でもわざと遅参の家康が信長にメンタルコテンパンに遭う展開。今後はこの流れが定着していくのだろうか。さっそく公式サイトからあらすじを引用する。

第15回「姉川大合戦」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は朝倉・浅井に反撃するため、義昭(尾上右近)や家康(松下洸平)に援軍を要請。だが、内心では信長の失脚を願う彼らの動きは鈍い。一方、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は、市(宮﨑あおい)を逃がすため時を稼ごうとするが、市の思いは長政(中島 歩)とともにあり、策は実を結ばない。そんな中、信長は北近江へ進軍を開始。姉川を挟んで朝倉・浅井軍と対峙し、ついに両軍は対決の時を迎える。(第15回「姉川大合戦」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 今作の家康は腹黒い。ほぼ対等ぐらいの気持ちで結んだ清洲同盟の相手(信長)だったのに、あれよあれよと大きな存在になっていくのが面白くなかったんだね。自分の三河の軍勢が無ければ浅井&朝倉軍には織田軍単独じゃ勝てないよな?と石川数正にも愚痴をこぼしちゃって、本当に嫌がらせで遅参したんだね・・・マジか。

 実直そうな数正だから、マジかって思ったろうなあ。その積み重ねが後々響くのか。

 家康は、さすがに「お~!徳川殿よく来てくださった」と信長が迎えるとは思っていなかったらしい。そんなお人好しは木下藤吉郎秀吉ぐらいだ。悪い予感からか、家康は家臣を押しとどめ、ひとりで「我らが来たからには、朝倉・浅井などおそるるに足りず・・・」と信長に参陣の挨拶をしようとした。

 そこで殺気に満ちた前田利家、佐々成政らに取り巻かれて「他に何か申したきことはあるか」と信長に問われた家康。震えて「誠に申し訳ござりませぬ!二度とこのようなことは致しませぬ!」とスライディング土下座の勢いで、信長に完全屈服することになった訳だけど・・・松下洸平の狸家康、断った煮干しも口に突っ込まれてなかなか面白かった。

 面白い家康と言えば、「真田丸」の内野聖陽版家康の「伊賀越え」が最高だけれど(未だに笑いがこみ上げる)、今作の松下家康も、本能寺の変でのリアクションからの伊賀越えでの演技に期待している。堺でバンザイしそうだよね。

遠藤直経、キター!

 さて、今作では遠藤直経がキャスティングされたので、今回の姉川の戦いでの活躍を楽しみにしていた。「らんまん」で寿恵ちゃんにちょっかいを出していた役を演じた伊礼彼方が理想的な熱い演技で、今後、彼を遠藤さんと呼んでしまいそうだ。「利家とまつ」の温水洋一の直経は優しい印象があったから、失礼ながらミスマッチだなあと思ってしまったもんね。

 あれは、忘れもしない2011年のこと。甲賀の忍者宿に家族と猫を残していたので、小谷城と姉川の戦場跡地を駆け足で見て回った。遠藤直経が信長に肉迫しながらも命を落としたのは、現代でも残る遠藤塚の位置を見ればわかる。春休み中だったがまだ小雪が降り、寂寥感で胸いっぱいになった。

 ウィキペディア先生には(遠藤直経 - Wikipedia)、今回の話の展開と似たようなことが書いてある。

信長公記』では、竹中重治の弟の竹中久作(重矩)が合戦でとった8人の武将首のなかに直経の首があり、前々から彼の首をとると豪語していたのだと、簡単に書かれている[15]

『太閤記』では、浅井軍が総崩れとなって敗れた後、直経は首実検の最中に信長の暗殺を謀ったという話になっており、床几に座る信長の近くまで進み出たときに(太閤記では竹中半兵衛の子とある)竹中久作に見抜かれてしまって、剛力の久作に飛びかかられ首をかき斬られた。『太閤記物語』では、信長は久作の手柄を絶賛する一方、「敵ながらも天晴の勇士かな、喜右衛門尉、されこそ無念なりけめ」と直経を哀れんでいる。

 今作では竹中半兵衛の弟・久作は出てきていないので、それを小一郎と藤吉郎兄弟の手柄にしたのだね。陣中の信長に、直経が偽りの浅井長政の兜首を届け暗殺する心づもりが、敵方だと気づいた木下兄弟の連係プレーで利家ら馬廻衆が動き、遠藤の策は阻止された。

 これ、今作の桶狭間の戦いでの織田軍の生首GPS策を逆手に取ったのか?と見ていて思った。敵将長政の首を取ったと呼ばわっていたら、信長の陣地にはかなりスムーズに近づけるはずだ。

 桶狭間の生首GPS策は、義理の兄弟として信頼を得た長政ならば、信長本人から話を聞いていたかもしれないし。きっと喜んで披露しただろう。それを長政側近の直経が聞き知っていても不思議はない。というか、最後に視線を交わしていたあの様子だと、長政と練った策なのだろうね。

 桶狭間での生首GPS策についてはこのブログでも書いた。

toyamona.hatenablog.com

 しかし、今作の小栗信長の場合、打ち取られた直経に更に槍を突き立て足蹴にし、『太閤記物語』にある「敵ながら天晴れ」どころではなかった。信長もお市が気になって内心は涙目で余裕が無いからか、殊更にあんな振舞いをしたのか。

 それにしても、直経に何度も顔を合わせていた信長の方が直経の接近に気づきそうなものだが・・・兜をかぶっていると誰が誰だかすぐには分からんか。だから、前回の金ヶ崎の退き口で、あり得もしない長政と直経の浅井軍との戦場でのご対面場面が木下兄弟には用意されていたのかね。小一郎らの脳裏には、直経の鎧兜姿がまだバッチリあったことだろう。

予算にもメリハリ?姉川は本気のNHK

 前回の金ヶ崎の退き口の戦のショボさには不満を抱いた大河視聴者が多かったようで、どうしたNHK!とSNSでは不満も見えた。

 しかし!きっと限られた予算をどう使うかでNHKも頭を悩ませていたのだろう。まさか、姉川合戦なのにショボいとは言わせられない。そんなことをしたら、ファンが離れかねない。だから前回は抑えるしかなかったんだよね。予算配分のメリハリの問題ね。

 ということで、今回は素晴らしい合戦を見せてもらった。徳川軍が横やりを突き最後に戦いの流れを変えたところなど、ゲームみがあったね。死闘を尽くした両軍の多くの兵士が倒れて姉川が血に染まり、小一郎も「地獄じゃ」と絶句、その地に「血原」と呼ばれる場所が出現した話を紀行でも聞けば、行って手を合わせたくなるというものだ。

 菅田将暉が義経を演じた「鎌倉殿の13人」での壇ノ浦の戦い後の浜辺を思い出す。波打ち際に延々と倒れる兵士の遺体、あの時の菅田将暉の空虚な笑いがこの上なく良かった。

 お市の方という存在が敵方にあったからとはいえ、現代の大河は戦いを礼賛する一方でなく、ポリコレ(political correctness)を忘れず、ちゃんと主人公小一郎が抵抗して悩む。信長に投げ飛ばされていたが。

織田信長:鉄砲が揃い次第、小谷攻めじゃ。浅井を打ち滅ぼす!

一同:はっ。

小一郎長秀:恐れながら、迂闊に攻めればお市様の身が危のうなりまする。(出てきた信長に投げ飛ばされる)

信長:それがどうした。

佐久間信盛:この、たわけめが!

丹羽長秀:そのようなこと、殿も承知の上でのことじゃ!

柴田勝家:浅井殿はお市様を離縁し、織田に帰そうとしたのじゃ!しかしそれを、お市様自身が拒まれた!(驚く小一郎、略)

信長:市が浅井を選んだのじゃ。であれば、わしももう容赦はせぬ。

小一郎:お待ちください!金ヶ崎で我らを救ったのはお市様でございまする。きっと、お市様は浅井に残り、いざという時にまた殿をお助けしようとお考えなのでござりましょう!殿!ここはお市様のためにも、いま一度浅井との和睦の道を!

 信長と市を戦わせたくないからと戦を引き延ばし、頑張る小一郎。硝石が足りないというのも口実だったと後に分かる。

 しかし、浅井に呼応して立ち上がった六角が帰路の信長を襲撃、庇った光秀が負傷していた。それを引き合いに、信長は「今ここで和睦など持ち掛ければ浅井に屈したのも同じこと。六角のような輩が、次々と現れよう」と、聞く耳は持たなかった。小一郎のようにお花畑の夢物語を語っていれば滅亡するからね・・・。

 「わしの言葉は力を無くし、誰も従う者など居なくなる」という信長の状況判断は正しく、将軍義昭も「わしは信長の強さを信じておる」とか言って援軍を出さず、家康だって様子見で遅れるような真似をし始める。何より、浅井の離反が何よりの証拠。信長は追い詰められているのだ。

信長:夢の終わりじゃ。そうならぬためにも浅井を討つしかない。世に知らしめるのじゃ。我らを裏切った者の末路は、地獄であると。

 ここは信長の正念場。いくら、お市の件で内心は苦しんでいても戦うしかない。でも、城下を焼くってずいぶん小谷城から離れてるよね?

 その兄のためらいを見透かすように、戦場で鳴り響いたお市の笛の音の演出が良かった。桶狭間の戦の出陣前にも信長が舞っていた幸若舞の敦盛。それを吹くのだから、来い来い、攻めて来いと信長には聞こえたはずだ。

 風に乗り響きわたる笛の音を合図にするかのように、信長は横山城を攻めよと言った。いやいや、お市の肝の座り具合にはしびれるなー。

木下兄弟も生き延びねば

 開戦前の「裏切り者には地獄を見せる」という信長の言葉に、沈みきった岐阜城の軍議の場。そこに、眩しい輝きをもたらしたのが戻ってきた藤吉郎だった。昇る太陽のように、「その御役目、このサルめにお任せくだされ!」と満面の笑みだ。

 えー、そんなに跳ねて大丈夫?1週間以上も飲まず食わずで寝ていたんだよね?栄養満点の点滴でもしてた?

 「申し訳ござりませぬ!少し寝坊してしまいました」と頭を下げ、藤吉郎は信長に浅井攻めの具体案を半兵衛の力を借りて具申した。小谷城は堅牢な山城だから力攻めは禁物、まわりの根城を調略で寝返らせていくと。だが、横山城は多くの兵が詰めているので攻め落とすと。

 信長は「なるほどのう、長政ならば見捨てぬ。横山城を救うため、城から出てこよう」とその策に乗った。すかさず藤吉郎は「はい、横山城は浅井をおびき出すための格好の餌でござりまする」と、まとめた。

 この時に、藤吉郎が視線を送ると図ったようにサッと懐から地図を出してみせる竹中半兵衛がコントのようでおかしかった。どうして必ず猫とネズミの絵を描きたいの、半兵衛~。小谷城に猫、横山城にはネズミだから、分かりやすいっちゃ分かりやすいけどね。

 信長は藤吉郎に、朝倉の援軍が来る前に決着をつける、直ちに取り掛かれと命じた。が、藤吉郎は浅井を降伏させるために調略に時間をかける気でいた。それなら信長も納得するだろうと。でも、半兵衛は「時をかけたとて浅井殿が降伏するとは到底思えませぬ」と言った。そんなスタンスを利家も見透かしていたよね。

 そう、戦をあまり引き延ばすようでは、自分たちが信長に疑念を持たれかねない。

 とうとう戦場に臨み、覚悟を決めた藤吉郎が「小一郎。今ここからは生き延びるために戦うのじゃ」と小一郎に言った。これでスイッチが切り替わる藤吉郎であることは、初回からそうだったよね。でも、まだそれができない小一郎・・・。

 しかし、小一郎は、とうとう自らの手で人を殺した。兄者藤吉郎を守るために。藤吉郎はまだ足に重傷を負って治ったばかり、動きもいつもよりは鈍い。だから小一郎が守らねばね。戦国を生き残る為だよ。彼の哀れな興奮が、血まみれの刀を手放せない様子に現れていたね。

 今回、登場した藤堂高虎にはほっこりさせられた。姉川が初陣だったとか、まだ十代半ばなんだけど、巨漢だ。まさかの高虎の初陣が見られるとはね。今後の活躍は言うまでもない。楽しみだ。

「真田丸」の大助&お梅、真田きょうだい

 目を引いたのが、お市の方を守って殺された小姓で、たぶん柴田勝家の間者。印象的な演技でどうも見たことがあるので調べたら、2016年「真田丸」で主人公の息子・大助を演じた浦上晟周という役者さんだった(浦上晟周 - Wikipedia)。

 私が見た時点では、まだウィキペディア先生に「豊臣兄弟!」ご出演が記録されていない。「真田丸」からもう10年にもなるのか。今もまだ初々しい少年のようだ。

 大助(と呼んでしまう)は、お市を守るために彼女を「織田への忠義を忘れて、身も心も浅井にからめ捕られた哀れなおなご」と呼んで罵倒する。哀れなのは使命に身を捧げ、死んでいく名もなき大助だよ・・・心痛む場面、大助の名演技だった。

お市:打ち明けねばならぬことがございます。私は、兄に・・・。

浅井長政:言うな。他の者に知れたら、そなたの命はない。(周囲を気にする)

宮部継潤:(廊下から)殿、織田の間者を捕らえましてござりまする。

(庭に捕らえられた男。雷雨の音)

浅井久政:(文を掲げて)こやつ、信長に宛てた文を忍ばせておった。我らの寝返りを織田に知らせたのもこやつだそうじゃ。(座り込む、お市の侍女お千代)

間者の男:信長様は、裏切り者を決して許さぬ。たとえお身内とて同じこと。織田への忠義を忘れて、身も心も浅井にからめ捕られた哀れなおなごよ!

(前に出ようとするお市。その手をつかみ、止める長政)

長政:(小声でお市に)あの者はそなたを守ろうとしておるのじゃ。無駄にしてはならぬ。

男:信長様を裏切ったこと・・・あの世で悔やむがいい!

(久政が無言で遠藤直経に合図を送る。直経が刺し、口から血を溢れさせ死ぬ男)

長政:(呻くように)もう、後戻りはできぬ。できぬのじゃ。

 この後、小谷城(に潜んだ間者)からの連絡が途絶えた柴田勝家が苛立つ場面があった。いかに勝家がお市のことを心に掛けていたのかが分かる。そのための大助だったのだ。

 大助とオープニングで名前が並んでいた女優さんも見覚えがある。この粛清の場面でへたりこんでいたお市の侍女。こちらも実は「真田丸」で真田信繁の娘お梅を演じていたと、ウィキペディア先生で確認できた(大出菜々子 - Wikipedia)。

 大助とお梅、真田きょうだいでご出演だったのか。キュンとくるなあ。

お慶は杉谷善住坊に関わりがあるのか

 光秀が、足利義昭の指図通りに信長の配下になっていた。「これよりは殿のため、身を賭して励みまする」という挨拶の通り、岐阜に戻る道中で身を賭して信長を庇ったとか。その時に傷を負い、左腕を吊っていた。これは、織田方に良い滑り込み方をしたね。

 つまり、杉谷善住坊の狙撃を防いだのが光秀だったのかな?ほぼ同時期に2~3日間家を空けたお慶の行動が、皆さん同様かなり気になっている。

 今作では、お慶がお堂で密会していた村川竹之助が善住坊なのかなあ、頭の中には「黄金の日日」の川谷拓三のイメージがかなりしっかりあるから、シュッとした彼が善住坊だと言われてもなあ、なんて。

 もし、お慶が村川竹之助を助けて間接的にでも信長狙撃計画に関わっていたとしたら、小一郎には驚天動地の大ごとだ。お市が浅井の動きを小豆で織田に知らせたように、味方への裏切り。露見すればただでは済まない。(お慶自身がスナイパーだったらカッコええなと思うが、そこまでは望めないか・・・。)

 お慶が「ご無事にお帰り下さい」なんて気弱なことを小一郎に言い出したのも、村川竹之助が潜伏中→捕縛されて心細くなっていたのか?

 今後、お慶の元夫の両親も出てくるとか。奥田瑛二に麻生祐未と、かなりの大物だ。ふたりは、旧斎藤家家臣で没落して近江と美濃の国境にある宝久寺村に住んでいる。近江と美濃の国境ってことは・・・村川竹之助を匿っていた可能性がありそうな場所だ。ドキドキ。

新キャストに安心の田中美央やら、知った顔

 さて、新キャストには昨年「べらぼう」にもお奉行様で出ていた、「おんな城主直虎」で奥山六左衛門、「どうする家康」では悲劇の岡部元信だった田中美央がご出演だ。続けての大河じゃ嬉しいだろうな。私も嬉しい。なんか見ていると安心する。今作の役柄上、忍足修吾との別所兄弟は分かれての対応を迫られ、安心もしてられない様子だが。

 荒木村重の妻だし役の山谷花純は、「鎌倉殿の13人」の若狭局がすーごく良かったよね。こんなきれいな娘がなぜ佐藤二朗の・・・という疑問はあったが。だしは「軍師官兵衛」の桐谷美玲が出てくるだけで艶やかで印象的だったが、今作のだしはさらに力強く、キリッと演じてもらえそうだ。

 それに、「ばけばけ」でご出世の濱正悟が冷静で実直な毛利輝元役なんだそうだ。「鎌倉殿」では水鳥の羽音に驚いて逃げる平維盛だったよね・・・おめでとう、このまま伸びて行ってほしい。

(ほぼ敬称略)

※引用させていただいたドラマ部分は公式サイトよりの聞き書きであり、表記に誤りがある可能性があります((15)姉川大合戦 | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK)。

【豊臣兄弟!】#14 小栗信長&池松藤吉郎が演技巧者の実力発揮の「金ヶ崎の退き口」編!とってつけた「白紙の手紙」では主役小一郎が浮かばれない

白紙の手紙に包まれ、小豆が登場

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第14回「絶体絶命!」が4/12に放送され、織田信長の最大のピンチ・対朝倉浅井の金ヶ崎からの撤退戦が描かれた。さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第14回「絶体絶命!」◆◇あらすじ◇◆

浅井長政(中島 歩)が朝倉方に寝返ったと知った信長(小栗 旬)は激高。しかし藤吉郎(池松壮亮)の機転で冷静さを取り戻し、退却を決意する。藤吉郎はわずかな手勢で、信長が京に戻るまで朝倉軍を食い止める「しんがり」を担うことになり、小一郎(仲野太賀)は、その中でも最も危険な役目を引き受ける。兄弟の命がけの撤退戦が始まる! その頃、京で長政の謀反を知った義昭(尾上右近)は、ある決意を固めていた。(第14回「絶体絶命!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 虚実はともかく、あまりにも有名な、お市の方から兄信長に送られたという陣中見舞いの小豆エピソード。両端を結ばれた包み方から「袋のネズミ」と読み解いた織田軍が、正面を朝倉軍、背後を浅井軍に襲われる急場を辛くも逃れて撤退する話は、歴代戦国大河ドラマでも屈指の見せ場であり、何度も描かれてきた。

 このエピソード、何度も描かれたという事は、つまり、各大河がどうオリジナリティを出すかが見どころ。小豆のエピソード自体は、元々は物語上創作されたものらしいから、これまでの時代考証の先生は何とか避けようとしていたとか。でも、ドラマとしての面白さを優先したら、やっぱり無いとつまらんもんね。

柴田勝家:浅井長政、謀反にございます!

織田信長:有り得ぬ。朝倉の流した偽りじゃ。

勝家:小谷城では皆が戦支度をし、今にも出陣する構えだと。

信長:それは恐らく我らに加勢するためであろう。フッ、長政め。あれほど動くなと申したのに。(おめでたい信長)

勝家:(和紙の包みを持ってくる)お市様がこれを。陣中見舞いの小豆とのこと。

信長:(包みを右手に)見よ。真に浅井が寝返ったのなら、このような気の利いた物を送ってくるはずがあるまい。

竹中半兵衛:その小豆は我らのことかもしれませぬ。前と後ろを塞がれ、まさに袋のネズミじゃ。

木下藤吉郎秀吉:お市様は、敵に気取られぬようにそのような形で殿の窮地を知らせようとされたのでは。

信長:(右手で袋を握りつぶし、打ち捨てる)こじつけじゃ。考えてもみよ。今や市は長政を慕っておる。もし、長政が裏切っておったとしても市がそのことを儂に伝えるはずがない。

木下小一郎長秀:御免仕る。(進み出て、小豆の包み紙を広げる。「市」とのみ、末尾に書いてある)これは・・・文にござりまする。

回想1の市:浅井殿に文をしたためようと思うてな。筆を執ってみたものの、上手く書けぬのじゃ。(広げられている白紙)

回想2の市:殿や子どもらといると温かい気持ちになる。

回想2の小一郎:もう、白紙の文はご無用にございますね。

回想2の市:そうじゃな。

小一郎:(信長に包み紙を見せて)この白い文は、何も書くことができぬお市様の苦しみそのもの。浅井様謀反の証にござりまする!(信長は一瞥をくれるが視線を戻す)お市様は、織田と浅井のはざまで、胸引き裂かれる思いで、それでも殿をお救いするために命がけでこの文を託されたのでございます!そのお市様のお気持ちを無駄にしてはなりませぬ!ここは一刻も早くお逃げくださりませ!

 今作も小豆はちゃんと登場、オーソドックスにお市の方から戦地の信長に陣中見舞いとして届けられた。「袋のネズミ」の謎解きは軍師竹中半兵衛が担当し、藤吉郎も意味づけの援護射撃をした。

 ところが、信長がそれを「こじつけ」扱いで一顧だにせず打ち捨てた。そして今回の小豆は「袋のネズミ」らしく布袋に包まれていたのではなく、紙に包まれていた。

 それは、一応伏線として丁寧に仕込まれた「お市からの白紙の手紙」が肝になっていたからなのだが・・・小一郎とお市が交わした話に持ってくるためとはいえ、ちょい話のインパクトが弱く感じたなあ。

 白紙の手紙の意味がその場で武将たちが聞いてスッと分かるものでもなさそうだからか(視聴者は分かるけど)、それとも単に主人公のセリフを増やそうとしたためか。小一郎のセリフがこれでもかとクドくて、信長に斬り殺されないか心配になった💦失礼ながら、削りたい部分に打ち消しマークを付けてしまったよ。

 だが、この後、信長は悩んだ様子。すっかり新たな「弟」として甘い気分を向けていた長政の裏切りだったから、なかなか着地点が見いだせない。小栗旬の演技が、長政の謀反に心底驚愕して納得できずにのたうち回っている様子で、素晴らしかったよね。

信長:なぜじゃ・・・。

回想の信長:(長政の右手の火傷を見て)市のために、すまぬことをした。

回想の長政:ああこれしき、大したことございませぬ。

信長:なぜじゃ。(「麒麟がくる」の染谷信長のような言い回し)

回想の長政:この長政が、説き伏せまする。

信長:なぜじゃ。

回想の長政:義兄上・・・。

回想の織田信勝:兄上!

回想の長政:義兄上~!

回想の信勝:(背後から柴田勝家に斬られて倒れ)兄上・・・。

信長:なぜじゃ・・・なぜじゃ・・・なぜじゃ、なぜじゃ、なぜじゃ・・・長政ー!!(信長の背中を見つめる一同)

 信長の心象風景を見せる演出が良かった。「なぜじゃ」と、長政の謀反が信じられない気持ちが渦巻いて、膨れ上がる感じね。何しろ、亡き信勝の「兄上」まで混じるんだもの。いや~、小栗旬はやっぱりうまいよね。

 信長の乱心は、なかなか収まらない。

信長:直ちに兵を返し、小谷城を攻める。長政が首、この手で刎ねてくれるわ!

佐久間信盛:お待ちくだされ!それでは朝倉に背を向けることになりまする。

信長:(物を蹴る音)ならばまずは朝倉を根絶やしにするのじゃ。総攻めの支度を致せ!(怒りに歪む顔、正気ではない)

和田惟政:それでは敵の思う壺。ここはひとまず退くしかあるまい!

徳川家康:しかし、そう容易いことではありませぬぞ。朝倉浅井、双方の追っ手を食い止めながら退くのは至難の業。誰かが盾となり、時を稼がねばなりませぬ。

信長:(家康の首根っこをつかみ)逃げぬと言うておろうが~。(目が怖い)たとえ差し違えようとも朝倉浅井を滅ぼすまでは一歩たりとも退かぬ!!

明智光秀:織田殿。どうかお気をお静め下され!

信長:黙れ!(光秀を思い切り蹴倒す)公方の飼い犬ごときが儂に指図をするな!(刀を抜く)

勝家:(さえぎろうとする)殿!(蹴られる)

信長:こたびの事も、よもや公方の仕組んだことでは・・・(光秀に刃を向ける。目がおかしい)うん?

藤吉郎秀吉:殿~!(刀を抜き、自分の足の甲に突き刺す。驚愕する一同)

小一郎長秀:何しとるんじゃ!(信長も言葉を失う)

藤吉郎秀吉:申し訳ござりませぬ!このサル、うっかり傷を負ってしまいました!(信長、驚いて腰が砕けそう)これでは足手まといじゃ。素早く動くことはできませぬゆえ(刀を足から抜いて)儂がここに残りまする!(ひれ伏す。信長は驚きのあまり息もできない様子で、藤吉郎を見つめている)戦において、もっとも大事なのはいかに勝つかじゃ。しかし、その次に大事なのはいかに負けるかでござる。この戦は、残念ながら我らの負けにござりまする!朝倉の追っ手はこのサルが食い止めますゆえ、殿は、その隙に京へお戻りくださりませ!(信長、憑き物が落ちた様子)殿さえご無事なら、我らは何度でも蘇りまする!(歯をむき出してニカーッと笑う)

信長:(藤吉郎を見つめ、目に涙が滲む。溜息)はあ~。(刀を落とし、鎧を外して床に置く)京へ帰る。(藤吉郎に)二刻(とき)で良い。二刻たったらすぐに儂の後を追ってこい。

藤吉郎:はっ!

信長:京で宴の支度をして待っておる。朝倉の者どもがどれほどまぬけ面であったか、面白おかしく儂に話して聞かせよ。

藤吉郎:はっ、必ずや!

信長:ハ・・・(外した鎧を藤吉郎に投げ、皆に)引き揚げじゃ~!

 信長の「引き揚げじゃ~」が「出陣じゃ~」みたいな勢いだ。乱心も吹っ切れたね。これだけのひたむきな忠義心(愛だ)を藤吉郎に向けられたら、信長もグッとくるだろう。刀を己の足の甲に突き刺した藤吉郎を見る信長の目は、啞然からのフォーリンラブ。そこまで儂のためにするか、藤吉郎・・・てな感じ。

 この時の藤吉郎を演じる池松壮亮がまた、目の潤んだ(足が痛すぎるから涙目にもなる💦)子犬のよう。信長の方も、藤吉郎に胸をズギューンと撃ち抜かれてたから、信長&藤吉郎のふたりの世界💕が展開、主役の小一郎は霞んだ。

 まあ、仕方ないよね、藤吉郎がこの場の主役になっても。この自傷からの殿に訴える行為を小一郎がしたとする。だが、いくら本来はドラマの主役でも、小一郎がやったらキャラ設定がおかしくなるし、その場の空気も「出過ぎた真似を」と怒られそう。今作の藤吉郎は、特に天使のように純だから、これができて許されるんだよな。補佐役を主役に引っ張り上げようとしても、時代の本当の主役の輝きの前には敵わない。

 今回、天使がまだ人を殺せない弟のために、戦闘中にどんどん人殺しをしていた。なんだ、小一郎は必死の撤退戦のはずの修羅場でまだそんなに理性が勝っているのかと、ちょっと考えた。

見えた光秀の未来

 それにしても、激昂した信長に暴行された皆様、お気の毒に・・・勝家なんか、顔が映る間もなく、誰かと思ったら速攻で信長に蹴り倒されていたように見えた。この勢いで、光秀は将来折檻されることになるのだろうねえ。

 光秀もさ、正気を失って乱心MAXの信長に向かって、そのものずばり「気をお静め下され」なんて声をかけたもんだから、そりゃあねえ。カチンときて余計に信長は激昂したよね😅これこそ火に油、そういうところだよね。

 ドラマでフィクションとはいえ、藤吉郎みたいに相手の気を削ぐやり方ってなかなかできるものじゃない。とにかく今作も(「秀吉」「麒麟がくる」の十兵衛光秀を想定して言うと)、まじめな光秀には真似できない芸当なんだろうね。

 あ、そうだそうだ。小一郎が義昭と信長の仲を心配して光秀らに声をかけた時に、光秀は小一郎の頼みを断った。でも、それを京に戻って自分でやれというのは、「生きて帰ってこい」と言っているに等しく、その点は光秀の優しさを褒めておかないといけないね。

 光秀は、木下兄弟を「我がものにする」のを諦めた足利義昭に、逆に信長の家臣となって情報を流せと、スパイとなる事を命じられていた。でも、この調子でスパイが務まるのか?すぐに信長に見抜かれそうだよね。

 しかし、この流れで今作の本能寺の変は起きるのだね。黒幕は決まったも同然だ。

腹黒狸の徳川家康

 これまでこのブログではあまり触れてこなかった今作の徳川家康。お上品にひねくれて腹黒い感じがすごく良い。個人的に、演じる松下洸平の顔を見ると「光る君へ」の周明(ジョウミン)役が浮かんでしまい、そちらの世界に瞬時に誘われて道長やまひろを思い出し胸が熱くなっていたが、そろそろ徳川家康としての認知ができてきた。

 (しかし不思議だ・・・あさひ役の倉沢杏菜は、最初からあさひに見えていた。同じ「光る君へ」で藤原道長の次女妍子を好演していたのだが。将来の古狸家康と、天真爛漫あさひとの悲劇のカップリングを今から想像してしまう。)

 「どうする家康」の松潤家康よりも、こっちの松下洸平版の方が狸家康の若き日の姿として納得感があるのは、石川数正との会話で下々(藤吉郎ら)をクククと笑い、お上品な顔に隠された裏の顔を見せてくれているからだよね。

 ビジュアルは松潤は松潤だから美しい殿だったけど、それを消すためにどんくささを強調しているような面も感じられた。今作の松下家康の方がむしろ駿府の都会育ちらしくどんくささが無く、シュッとおしゃれに見えている気がする。

 そして、「どう家」のように「三河の領主として何とかかんとかギリギリでやってる家康」みたいな雰囲気もなく余裕がある(だから、どうしたらええんじゃー!と泣くイメージもない)。余裕が無いと裏の顔どころじゃない。古狸には、余裕が欲しい。

徳川家康:(藤吉郎が自ら足の甲を刺してしんがりとして残る機転を見せたため信長が撤退を決め、一同引き揚げることになり)木下殿。

藤吉郎:徳川様。信長様をお頼み申しまする。

家康:(数正を促し、包みを出させて藤吉郎に握らせる)当家に伝わる秘伝の薬じゃ。塗れば、痛みが和らぎまする。

藤吉郎:かたじけのうござる。

家康:ご武運を。

藤吉郎:徳川様もどうかご無事で。

(廊下を行く家康)

石川数正:危のうござりましたなあ。

家康:全くじゃ。木下めが名乗りを上げなければ、儂らがしんがりを任されておったやもしれん。そうなれば・・・恐らく生きては帰れまい。

数正:木下様様でございますな。

家康:あの薬は、せめてもの礼じゃ。効くと良いが。

数正:無理でしょうなあ。(小声で)ただのかゆみ止めでは。

家康:何事も念ずれば通ずるものよ。急ぐぞ。いつまでもこんな所にいたら、命がいくらあっても足りぬ。

 この余裕。せめてもの礼に、効かないだろうと考えるかゆみ止めを藤吉郎に渡して去る家康。「生きては帰れまい」と考えているのだが、「何事も念ずれば通ずる」はずだからと。

 実際、今作の藤吉郎は、家康が意図しないところで家康の言葉に導かれ、ここまで信長を信じて出世したのだ。念ずれば通ずるを体現している。

 それでこの後、木下兄弟は絶体絶命のはずだった虎口を脱し、京に戻ってきた。生きて戻った想定外の彼らを前に、狸家康も空恐ろしいと思い始めたようだったね。この恐怖が、思わぬ方向に狸家康をも転がすんだろう。面白い。

戦国時代の「かゆみ止め」は?

 ところで、戦国時代のかゆみ止めが気になり、AIに聞いてみた。当時は、かゆみ止めだろうが傷薬だろうが現代のようには厳密な違いはなく、皮膚の不具合を除くという点で似たようなものではないかと思ったからだ。

 以下、回答から抜粋した。「Alの回答は不正確な可能性があります。AIが生成した回答の注意点はガイドラインをご確認ください」とのことだ。

戦国時代の薬のイメージ

・戦国時代〜江戸初期の武将たちも、漢方系の生薬や軟膏を使っていました。

・徳川家康も滋養強壮の漢方薬を愛用していたと伝わっていて、薬への関心はかなり高かったようです。(ishii-clinic.jp)

 

ただし、今のような「かゆみ止めクリーム」と「傷薬」がきっちり分かれていたわけではなく、「いろいろな皮膚トラブルに効くとされる軟膏」や「傷の治療用の陣中膏」などが、ごちゃっと使われていました。(senjp.com)

 

かゆみ止めと傷薬の関係

・当時は、紫根(ムラサキの根)などの生薬を使った軟膏が、皮膚の炎症を抑える薬兼、傷の軟膏として使われていた例があります。(ameblo.jp)

・こうした軟膏は、今で言えば「軽い火傷・ひび・あかぎれ・湿疹にも使える皮膚軟膏」に近く「かゆみも炎症もまとめて何とかする」タイプだったと考えられます。

 

なので、「かゆみ止め=傷には絶対にダメ」と今の感覚で線引きするよりは、「炎症を鎮める生薬入りの軟膏」が、かゆみや軽い傷の両方に"なんとなく"使われていた可能性は十分あります。

 やっぱりね。生薬入りの軟膏を、万能薬的に何でも使ったんだろう。「当家の秘伝薬」扱いなら尚の事。

 大体、あんなにご立派なかゆみ止めを戦場に持ってくる家康、一体何がそんなに心配だったのだ?漆にかぶれるとか?普通、戦場に必要だと考えるのは傷薬だと思うけどな。家臣が気を利かせて傷薬を持たせていた可能性もあるかもね。

 ちなみに、現代ではかゆみ止めは傷には塗っちゃいけません。こちらにAIのご回答を貼り付けておく。

結論から先に

・一般的な「かゆみ止めの塗り薬」は、傷口そのものには基本的に塗らない方が安全です。

・「虫さされ・かゆみ用」と書いてある多くの薬は、ステロイドや抗ヒスタミン成分が入っていて、すり傷・切り傷・出血している部分には使用しないと説明書に書かれていることが多いです。

 

傷とかゆみの違い

・かゆみ止めの薬は、主に「かゆみの原因となる炎症やアレルギー反応」を抑える薬です。

・一方、傷は「皮膚が切れたりめくれたりしている状態」なので、細菌感染を防ぐ、皮膚の再生を助けるなど、目的が違う薬が使われます。

そのため、傷の治療薬とかゆみ止めは役割が別と考えてください。

AIに負けそうもない池松壮亮

 AIは便利で、私もざっと知識を確認する場合はウィキペディア先生(全部目を通す必要がある)からAI先生(ピンポイントで把握できる)に移行しつつあるが「不正確な可能性があります」というのは、ホントそう。

 先日も、ある歴史上のニッチな人物を確認したかったのに他の人物と混同して答えてきた。「違いますよね」と指摘したら、言い訳して謝って訂正してきた。最初からそう答えてくれよと思ったが、気が抜けない。

 でも、あっという間にAIの回答は精度を増すだろう。ウィキペディアだって信頼できないなどと昔は言われたが、今や書かれている内容と出典を見ると大したもの(上からで恐縮💦)。よほど恣意的なもの(ある政治家の英語版を読んだら、非の打ち所がない英雄だった)を除けば、信頼性は格段に増したよね。

 そのウィキペディアよりもスピーディーに、AIの天下は揺るぎないものになるのでは?大河ドラマも、ロケなど完全に必要なくなり、脚本や役者、衣装、設定などデータを打ち込むだけであっという間に1年分48回をAIが作るようになったりするのかも。

 ・・・そしたら今回のようなちょっと残念な戦闘シーンも、ブラッシュアップされて迫力あるものにしてくれそう。

 もしかして、今回の疲れ切って京に辿り着いて「どうかご安心くだされ」と義昭(早くも浅井朝倉への文を書いていたね。三淵藤英を使いにやる予定だったらしい)に挨拶した時の、言葉とは裏腹な織田信長のゾンビのような鬼気迫る形相は、AIが加工していたりするのか?しんがりを務めてその後に帰ってきた木下小一郎が、ずっと血色良くふっくら見えちゃったくらい、信長のやせこけた頬と赤い目が凄まじかった。さて?

 ホント、AIが役者をも凌駕する日が来てしまいそうだ・・・と危惧しつつも、藤吉郎が金ヶ崎の死地でのしんがりをやり遂げ帰還、信長に対面したシーンが素晴らしかった。小栗信長と池松藤吉郎の主従の演技が素晴らしく(特に藤吉郎)、気持ちを動かされた。

松永久秀:(京に辿り着き、倒れている兄弟に)お主ら、しぶといのう。

小一郎長秀:松永殿も、ご無事で何よりじゃ。

久秀:無事なものか。足が棒のようじゃ。お主らが来たら、すぐに連れて参れと殿のご命令じゃ。

(謡と鼓の音が部屋から聞こえる。♪命永らえて 常盤の松の色もよくよく~)

信長:遅いぞ、サルども!待ちくたびれたわ。(女性に囲まれ、酒を飲んでいる)

藤吉郎秀吉:(汚れた鎧姿で小一郎に支えられ入ってくる。体がプルプル震え涙目)殿・・・(こらえきれず泣き伏したかと思えば泣き笑い)ハハ、ハハハハハ!(隣の小一郎が驚く)遅れて申し訳ござりませぬ!(ひれ伏すふたり)

信長:言うたであろう、宴を用意して待つと。(立ち上がり、藤吉郎の前へ)儂は約束を果たしたぞ。次はお主の番じゃ。(藤吉郎に酌をし、座る)さあ、とくと聞かせよ。朝倉浅井がどれほどまぬけ面であったか。

藤吉郎:はっ!(酒を飲み干す)殿に逃げられたと知った時の、あやつらの顔ときたら、それはもう、まるで・・・(せきこみ)それは、まるで・・・(どしんと倒れ込む)

小一郎:兄者!

信長:サル!しっかりせえ!入って参れ!(ふすまが開く音)京都中の名医と薬師たちじゃ。安心せえ。お前は死なせぬ。(光秀ら、諸将にも)お主たちもじゃ。

小一郎:かたじけのうござりまする。

 藤吉郎が素晴らしくとも、気にすることは無い。主役小一郎の姿が表で霞んでいてもいいよ。理屈と派手なおしゃべりで殿の横にしゃしゃり出なくてもいい。天下一の補佐役の花は、藤吉郎が輝いてこそ。その表立たない裏での苦労を今作では味わうのだと思っているからね。

ちょっと残念、あっさり撤退戦

 それにしても、金ヶ崎の退き口に期待し過ぎちゃったかもしれない。出くわした朝倉軍相手にまた「いったん引いてくれ」と言い出したのは、小一郎らしい理屈っぽさで煙に巻こうとしていて、そこは良かった。個性が出ていた。

 でも、随分あっさり助かったよね。え?何が起きた?と目を疑ったくらい。さらに、浅井長政軍に撃たれるかと思ったら、明智光秀が助けてくれて、こちらもあっさり片が付いて。金ヶ崎からの逃避行は、そんなに簡単だったの?

 軍師半兵衛の策も、えええ~と思うような物足りなさ。案山子を立てておくのだったら、松明は要らなかったのだろうか?その方が、遠くから夜目には多くの兵士がいるように見えたと思うのだけれど・・・(でも、半兵衛と木下兄弟は仲良くなれたみたい)。

 そして、逃げるのに頑丈な足は不可欠なのに、藤吉郎がグッサリ刺したものだから、簡単に止血もままならなかったはず。騎馬戦のように担ぎ上げても、勝手の分からない他国から逃げるのだし、重傷の兄を守りつつ逃げる苦労は並大抵ではなかっただろう。

 なのに、京の妙覚寺に辿り着いて「ああ・・・生きとる」とバッタリ倒れた時の小一郎が妙に健康そうに見えてしまったよ。道中の苦労が少し足りなかったかな?藤吉郎は、止血が不十分で貧血状態なのが目のクマに出ていた。

 しかし、兄弟が窮地を抜けたのが、母・なかの指から巨大な棘も抜けたので母にも伝わったらしいのが笑える。何?お慶は2、3日家を空ける?指示を仰ぐ為、斎藤龍興にでも会いに行くのか?うーむ、安藤守就は娘を泳がせ過ぎだ。何の隠密行動に出撃するのか・・・早く改心して落ち着いてくれ。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#13 織田と浅井朝倉との戦前夜、「疑惑の花嫁」は女狐ふたり。どんぎづね吉岡里帆の「お慶」と狸顔の宮﨑あおい「お市」

「女狐」お慶の密会相手は村川竹之助。誰?

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第13回「疑惑の花嫁」が4/5に放送された。新年度は週末も地元であれこれとお役目が忙しいもので、次回放送まであと数時間となり、どれだけ書けるか分からない状態にまた陥ってしまった。読んでくださってる方々、スミマセン。次は頑張ります。

 ということで、さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第13回「疑惑の花嫁」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)の指示で、小一郎(仲野太賀)は守就(田中哲司)の娘・慶(吉岡里帆)をめとることに。藤吉郎(池松壮亮)は喜ぶが、慶には悪いうわさがあり、しかもある理由から織田家を憎んでいた。そんな中、信長は越前・朝倉氏との戦を決意。息子を朝倉へ人質に出している長政(中島 歩)と会い、出陣せず後方の守りに徹してくれればいいと告げる。だが戦が始まると、長政は父・久政(榎木孝明)から朝倉方につくよう迫られる。(第13回「疑惑の花嫁」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 主人公の妻・お慶が本格登場、信長の命で小一郎に嫁いできた。演じるのは吉岡里帆だ。イザムと離婚した方の吉岡里穂じゃない。どんぎつねさんで星野源と「どん兵衛」のCMに出ていた方だ。

youtu.be

 朝ドラ「あさが来た」で、まだ可愛らしくぽっちゃりしていた小芝風花が演じる娘の女学校の同級生だったか、名前はのぶちゃん。吉岡里帆は、その真面目なのぶちゃんで初めて認識した。だが、うっかり名前でサーチしたらあれよあれよと出てくるセクシー系の・・・癒し系のと言うべきか、画像に仰天させられた記憶がある。

 芸能人になるって大変だなあ、嫌でも泣きながらでも(と後でインタビューで見かけた)契約上仕方ないのか、こんなに肌を露出する格好を人前で晒さなければ売れないなんて・・・とゲンナリしたね。やっぱりマスメディアは男社会だから、そこでの常識が女にとっては「非情」識だったりする。

 でも、今や大河ドラマ主人公の妻役をゲット。堂々たるものだ。おめでとう。

 その吉岡里帆のお慶がいかにも不満な表情を浮かべて小一郎に嫁いできた。輿入れ時にひとりひとり親族の名を呼んで挨拶したのだが、さっそく弥助&甚助の男性陣がノックアウトされ、いそいそと手伝おうか的に立ち上がろうとするのが笑えた。どんぎつねのどん兵衛をたくさん買いに走りそう。妻たちが目の前で見てるのにねー。

 それで、お慶のお着替え場面があり、「NHKまでそういうことをさせるのか」とゲンナリしそうになったら、刀傷か、まだ癒えていない傷を彼女が肩に負っているのが目に入った。ああ、そういうことか~何か意味のある傷を視聴者に披露した訳だ。

 あれ、結構大きい傷だ。そのままじゃ痛そうだよねえ。晒しで巻いたりしないの?

 彼女がなぜ斬られたのか。それが寺のお堂で会っていた人物と関係があるのか?夫の小一郎が戦に行く前の見送りにも来ず、また彼と会っていたお慶を街中で見てしまい、小一郎もガックリしていたっぽかった。

 彼はどうも隠密っぽいよね、あの恰好は・・・と思ったら、ちゃんと相関図にも名前入りで紹介されていた。村川竹之助だそうだ(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第13回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK)。

 人物紹介では織田信長の直前に掲載されているが、説明は「旅姿の男」のみ。いや、旅姿は見ればわかるって💦

 真面目に考えてみると、今作では美濃を追われた斎藤龍興が織田の敵方に出没している。だから、龍興のために情報を集め、いつか斎藤家を再興するために支えて働いているんじゃないかと想像するんだけど・・・だからお慶としても、「男を買っている」みたいな不名誉な言い方をされても、大きな使命のためには仕方ない!と割り切っていられるのではないのかな。

 彼はつまりは、反信長の活動家か?例えば、斎藤家重臣だったというお慶の亡き夫の親族(弟?)か直属の部下か?身ぎれいだもんね、まあまあ身分があるはず。

 お慶の父・安藤守就としては、彼との密会を知っていても、自身の織田への乗り換えが彼女の夫を死に追いやることになったから、お慶に申し訳ない気持ちがあって泳がせているのか。でもそれって信長に知られたら危ういね。立場を考えれば、織田家でも信長の信頼厚い小一郎に娘が嫁いでくれたら、美濃衆の自分としたら安心なのだろう。フラフラしている娘の監視役も兼ねてよろしくってことかな。

 そういえば竹中半兵衛は、お慶の亡き夫とは相婿同士だった。密会相手もその亡き夫と近い人物とすれば、半兵衛も彼を知っている可能性があるね。でも、あの性格で知ってて言及しないでいられるのか?言っちゃいそうだよね。

 肝心のお慶の感情爆発のシーン。正直だよね。本当の女狐なら、ニッコリ笑って小一郎の手を取って「不束者ですがよろしくね」ぐらい言っているよ。

小一郎:少し狭いが、これからはここが慶殿の屋敷じゃ。したいようにしてくれて構わん。

お慶:(頭を下げ)うれしゅうございます。

小一郎:そなたも疲れたであろう。さあさあ、飲んで気を楽に致せ。ほれ。(酌をしようとする)

お慶:では、お言葉に甘えて。(にこりともせず、酒を飲み干す)

前田利家:(藤吉郎宅で、藤吉郎と寧々に)あのおなごの前の夫は、斎藤家に仕える重臣であったそうじゃ。しかし、稲葉山の戦いで討ち死にした。(えーっという顔の藤吉郎)あのおなごにとって、我ら織田は・・・仇じゃ。しかもその敗因は父である安藤殿らが織田に寝返ったことに他ならぬ。さぞ辛かったであろう。そのきっかけを作ったのが・・・。

藤吉郎:小一郎か。

回想のお慶:(輿入れ時)私は、この巡り合わせに感謝しております。

(小一郎宅。酌をするお慶、盃を口に着け、飲む小一郎。そこになだれ込んでくる藤吉郎とお寧々)

藤吉郎:小一郎!大事ないか?!

寧々:小一郎さん!

藤吉郎:飲んではならぬ!毒が入っておるやもしれぬ!

小一郎:毒?

お慶:何事ですか?

寧々:とぼけないで!あなた、何を企んでいるの?!

お慶:企む?

藤吉郎:小一郎を殺すつもりか!

小一郎:待て待て待て待て!何でわしが慶殿に殺されねばならんのじゃ。

寧々:この人の前の夫は、戦で織田に殺されたの!

藤吉郎:こやつは我らを恨んでおる。安藤殿を寝返らせたお前のことを憎んでおる!

小一郎:はあ~、そんな訳なかろう。慶殿の前の旦那様は、病気で亡くなられたと聞いておる。のう?慶殿。(お慶、無言)

寧々:何とか言ったらどう?

小一郎:お寧々殿。もう、おやめくだされ。つらいことを思い出させるだけじゃ。

藤吉郎:小一郎。わしらはお前のために・・・!

小一郎:もうええと言うておろうが!見ろ!ほら!わしはピンピンしておる。(身体をパンパン叩いて見せる)毒など入っとりゃせん!ほら!せっかくふたりで楽しく飲んでおったのに。(藤吉郎を抱えて部屋から出そうとする)水を差しおって!

藤吉郎:おい、小一郎。寧々。

小一郎:ほら、帰ってくだされ!もう帰れ!もういいから帰れ帰れ!ほら帰れ!

藤吉郎:おい!まだ話は終わっとらんぞ!小一郎!話を聞け!(そっと息を吐く慶)

寧々:(小一郎宅の表)はあ、もう!心配してあげたのに。

藤吉郎:うん。

寧々:お前様。信長様にこの婚礼を取りやめてくださるよう、申し上げてください。でないと小一郎さん、一体何されるか。

藤吉郎:・・・あやつ、わしらの言葉に全く耳を傾けんかった。わしらが何を言いに来たのか、分かっておったのかもしれぬ。

小一郎:(自宅内で)兄者たちには困ったもんじゃ。あれじゃな、わしらがあまりにもお似合いすぎて妬んでおるに違いないわ。

お慶:どこがお似合いなのです。私の何を知っていると?

小一郎:それは・・・これからゆっくりとのう。

お慶:私は、あなたのような殿方、少しも好みではありませぬ。その顔も、おしゃべりなところも。

小一郎:ハハハ・・・そなたもなかなか言うのう。

お慶:何より、織田の侍だという事が許せませぬ。あの二人の言ったことは真の事でございます。

小一郎:もうよい。言わんで良い。

お慶:知っていたのですか?

小一郎:・・・安藤殿が打ち明けてくださったのじゃ。

お慶:知っていて、どうして。ハッ、まあそうね。織田信長の命に逆らうことなどできないものね。父もそう。今じゃすっかり織田に飼いならされて、言いなりになるばかり。父が、美濃を裏切ってさえいなければ。あなたが、余計なことさえしなければ・・・夫は死なずに済んだやもしれません。でも、ご安心ください。私はあなたに復讐しようなどとは考えておりませぬ。そのようなことすれば、生きていけませぬゆえ。(小一郎の前に座る)この身はあなたに差し出します。でも・・・心は、お前たち織田の者には指一本たりとも触れさせぬ!

小一郎:町で、よそ者の男と会うておるのは何のためじゃ。

お慶:男と女が会うてすることは決まっておろう。残念であったな。私は、お前ひとりの者にはならぬ。

小一郎:心配は要らぬ。そなたがわしを許してくれるまで、わしも何も求めん。じゃから馬鹿な真似はするな。もっと自分を大切に致せ。

 ねえ、なんて素直な娘なんでしょうね。人たらし小一郎が凍えた心を解きほぐすのも遠くないだろうね。

 しかし、素直が過ぎると思うのは「私はあなたに復讐しようなどとは考えておりませぬ。そのようなことすれば、生きていけませぬゆえ」と自分の弱みまで全部見せてしまう点。へえ、じゃあ誰に復讐しようとしているのさ?計画を全部吐け!と拷問されかねないよね。・・・そうか、信長暗殺を狙っているんだな?とかね。

 相手が小一郎だから良いものの、自分の考えを全て暴露して安全でいられる保証は普通は無い。危険人物として監禁され監視されるのがオチだと思うけどね。

もうひとりの女狐は

 今回、相撲好きの信長が浅井長政相手に相撲を何度も取っていた。亡き弟信勝にもらった握り飯を思い出しつつ、それを長政に上げたりして。義理だけど新たなる「弟」を得て、信長は嬉しくて仕方ないようだった。

 もうね、歴史は動かしようがないから・・・その義弟に裏切られるんだものね、信長のショックも大きくなるんだろう。そのショックを大きくするための下ごしらえが今回、念入りに仕込まれていた。

 浅井の若きプリンス長政は、義理の兄信長に対して忠誠を誓っていた。

織田信長:我らはこれから、公方様の命により若狭に出陣する。石山城の武藤友益を討てと公方様よりのお下知じゃ。

浅井長政:そのようなことで義兄上が出向かずとも、我らが。

信長:武藤友益は・・・裏で朝倉と通じておる。こたびの出陣の真の狙いは、朝倉討伐じゃ。それで・・・よいな。(長政を見つめる)

長政:我らは・・・(信長の目の前に歩み寄る)朝倉とは、古くからの誼がございます。我が息子、万福丸も人質に取られておりますれば、その討伐に異を唱える家臣もおりましょう。(信長が離れる。その背に向かって)その者たちは、この長政が説き伏せまする。お市をめとった時から、このような日が来ることは覚悟しておりました。存分におやりください。

信長:(肩をつかんで)分かった。では、こたびの戦、浅井は近江を動かず我らの後方の守りに努めよ。我らに加勢しなければ、朝倉もそう易々と万福丸の命を取ろうとはすまい。いずれ必ず我らが救い出す。

長政:義兄上・・・!

信長:万福丸は、市も我が子のようにかわいがっておったからのう。見殺しになどしたら、後できつう叱られるわ。

長政:かたじけのうございます。

信長:長政・・・この戦が終わったら、また相撲を取ろう。

長政:(握り飯を頬張り)次は、私が勝ちまする。

信長:ハハハハハ!やれるものならやってみい。

 ううう・・・この長政が説き伏せまするって、それが本当に上手くいってたら、浅井は大大名で残ったかもしれないよね。

 ドラマでは父の浅井久政の発言がなぜかとても強くて、長政はタジタジ。久政は六角氏との戦に敗れ、当主の座を息子長政に譲らされた過去があるぐらいだから、家中での発言力はそんなに強くないのかと思っていたが、全然じゃないか。結局、リアルでも父の言う通り朝倉を選んで父と息子と共に滅亡しているのだもんなあ。

 やっぱり万福丸の人質の件があるのだろう。ドラマでは、朝倉景鏡に出てこられてお手上げだった。

長政:(小谷城にて重臣を前に)我らは動かぬ。こたびは様子を見る。

宮部継潤:若狭の小競り合いを鎮めるにしては、兵が多すぎる。それを口実に朝倉攻めをしようとしているは明白!

遠藤直経:これは、我々浅井への裏切りですぞ。 

長政:こたびの若狭行きは、公方様の命により、幕府の軍勢として出陣せざるを得なかっただけじゃ。織田殿の本意ではあるまい。

継潤:殿!本当にそう言い切れまするか。

直経:もしや織田殿は、己に従わぬ大名を幕府の名を借りて滅ぼすつもりなのでは。

長政:とにかく、我らは動かぬ。こたびは、織田にも朝倉にもつかぬ。

浅井久政:(廊下から現れる)そういう訳にはいくまい。

長政:父上・・・申し訳ありませぬが、これは当主である私が決めたこと。ご意見は無用に願いまする。(久政の後ろから、朝倉景鏡)

朝倉景鏡:長政殿。我ら朝倉が敵に攻め込まれるのを黙って見過ごすと申されるのか。それは、何もしなかったとしても盟約を破っているのと同じこと。

長政:景鏡殿。今からでも遅くはない。幕府に従い、上洛するよう・・・。

景鏡:笑止!行く当てもなかった公方様を、ずっと匿っていたのは我ら朝倉じゃ。その恩を忘れ信長などに唆され、我らを攻めるなど、道理の通らぬのは幕府の方じゃ!

久政:何を迷うておる!万福丸を見捨てるつもりか。

景鏡:我らもそのようなことはしとうない。よ~くお考えくだされ、長政殿。今、我らが手を組めば、信長を、幕府軍を一網打尽にできまする。

直経:殿。これこそ天が与えてくださった千載一遇の機。

長政:しかし・・・。

久政:あの女狐のせいですっかり腑抜けとなったか。

長政:市の事を言っておられるのか?市はもう、浅井のおなごとしてようやっております。

久政:どう取り繕おうと、所詮は信長の妹。腹の中では何を考えているか分からぬ女狐じゃ!

景鏡:そういうことならば、その元凶を取り除いてしまえば長政殿も昔のような武将に戻られますかな。

長政:(激高して立ち上がる)市には指一本触れさせぬ!

景鏡:ハハハハハ、万福丸様はお見捨てになってもお市の方様は助けたいと。

長政:そうは申しておらん!

景鏡:では、どうなされます。今、この場でお決めくだされ。

(廊下に長政の家臣。小部屋に走る。伝言を託された侍女が、市の下へ。)

お市:よう知らせてくれた。(一点を見つめる市)

 長政が孤立無援すぎないか?こんなに誰も長政側に立ってくれない家中では、まずどうやって信長と手を組めたものやら。久政の方針にみな従ってるじゃないかー💦まあ、朝倉景鏡を浅井家の命運を決める場にまで呼んでいたら、どうしようもないとは思うよね。

 これが、もし徳川家康だったら・・・と考えちゃったよね。嫡男信康を、そして正室の築山殿を処分してでも信長に忠誠を誓い、戦国を生き延びた家康。彼みたいに父や息子を諦めていたら、長政も・・・。しかし、どちらにしてもつらい道が待ってるのには違いない。遺された娘たちが長政の血を繋いだというのが、本当に奇跡だね。

 で、今回ふたりめの「疑惑の花嫁」の女狐は、可愛らしい丸顔でとても狐には見えない宮﨑あおいのお市の事だよね。どっちかと言えば狸顔だ。「女狸」じゃなんか締まらないもんなあ。気に入らない女がいれば、全員「女狐」呼ばわりと相場が決まっているから仕方ないか。

 さて、次回いよいよの場面がやってくる。有名な小豆エピソードは今作ではどう描くのだろうか?お市からの知らせの前に、柴田勝家の忍びが逸早く浅井の裏切りを知らせていたようだったけど。お市の侍女が、「どうする家康」みたいにまたナンバ走りで信長の下へ急行するなんてことは・・・ないよなあ。お市からは何か届くのか?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#12 不穏な風漂う小谷城で「豊臣を終わらせる」赤子の茶々を抱く「豊臣を創る」藤吉郎。小一郎は視線ギラリの訳アリお慶(ちか)と主命で夫婦になるんだってさ

同時代の「どうする家康」を思い出しつつ視聴

 春爛漫、ご近所の桜通りでは桜が満開だ。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」が3/29に放送され、お市の輿入れ以来、初めて信長が浅井家の本拠小谷城に赴いた。前回の本圀寺の変がうまく片付いて、三好三人衆が京からいなくなったもんね。堺も、矢銭2万貫を藤吉郎に差し出すことになったし、その藤吉郎は京都奉行に大出世だ。

 まずは公式サイトから、今回のあらすじを引用する。

12回「小谷城の再会」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は義昭(尾上右近)に“天下人の石”と呼ばれる藤戸石を贈る。だが義昭は、信長と目指すものが違うことに気づき始めていた。一方、藤吉郎(池松壮亮)は京都奉行に就任。任務に追われる小一郎(仲野太賀)と藤吉郎は、あるとき信長に連れられ、市(宮﨑あおい)のいる小谷城を訪ねることに。長政(中島 歩)と市は幸せに見えたが、裏では織田を快く思わない長政の父・久政(榎木孝明)が不穏な動きをしていて…。(第12回「小谷(おだに)城の再会」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 木下兄弟はお市への土産物の「猿2匹」として長持に入れられて小谷城に出向くことになり、人たらし兄弟は信長の思惑通り、信長に長いこと打ち捨てられていたと不機嫌だったお市の方を笑わせて「調略」に成功。披露された赤ちゃんは、言わずと知れた未来の淀殿だった。

 小一郎に「兄者、弁えんか」とがめられても、藤吉郎はお市に「構わぬ。多くの子に抱かれた子は、それだけ多くの者から慕われると聞く」と許され、臆せず茶々を抱っこ。その時の安藤サクラのナレーションが不吉だったよね。

語り:これが、後の世に豊臣家を創った者と、終わらせた者の出会いでございました。

 まだ浅井家と織田家が争う前の幸せの中、生を受けた茶々。赤ちゃんてホントに平和や幸福の象徴だよなあ・・・と思っていたところに不吉なナレーションを被せてくるんだもんなあ💦

北川景子のお市の方

 「どうする家康」のお市も、上洛した主人公家康に赤子の茶々を見せていたような。ちょうどドラマ的に時代が重なる「家康、都へゆく」が2023年4/2に放送されていた。同じ春だよね。

 その時の北川景子が茶々と二役で演じたお市の方は、夫の浅井長政も雅でよかったけど、衣装も洗練されて桜の精のように美しかったよな🌸後の茶々の、毒々しさのカケラも無かった。

 この後、束の間の幸せが崩れ、侍女の「阿月(あづき)」が浅井の裏切りを知らせに織田方に激走する趣向もしゃれていた。ちゃんとナンバ走りで走ってたね。

toyamona.hatenablog.com

 大河ドラマでのお市の方は、それぞれの「当代の美女」が演じてきているが、改めて考えてみると、北川景子のお市は良かった。美しさと迫力でもう別格、お市の方決定版だと思う夏目雅子のお市にも、あまり引けを取らないのではないか。

 意外な所では(失礼)、「江」の母として初回あたりで早々に出番が終わった鈴木保奈美のお市の方が素晴らしかったなと実は思っている。だから、時任三郎の浅井長政と相まって「江」は初回だけは見る価値ありと思う(大変失礼)。

 「江」は、初回が良かったから、その後を期待していたんだけどね・・・途中で見るのをやめた。大河ファンの私としては滅多に無いことに。

 そうやって印象に残る描き方という点でも、「どうする家康」の北川景子のお市は、家康の援軍を待つ「将」としての凛とした描き方とかね、本来はたおやかな美女なんだけれど、そういった点が良かったよね。どうしても二役の茶々の方が派手だったから、視点が向きがちだけど。

信長と浅井長政の対話

 信長は、茶々を抱っこすることは無く、それを長政に謝っていた。今作の小栗旬の信長は、自虐的でちょっと自意識過剰だよな。かまってちゃんの信長ちゃん。

織田信長:すまぬ。茶々を抱いてやれなかった。

浅井長政:あ・・・いえ、お気になさらず。

信長:抱けばあの子を穢してしまう。わしの手は、血で穢れておる。

長政:そんなことはござりませぬ。もし、そうだとするなら今の世に穢れなき者などおりますまい。

信長:そなたがおる。(やけどを負った長政の右手をみやる)市のために済まん事をした。

長政:(包帯をしている)ああ、これしき大したことございませぬ。

信長:そなたの手はきれいじゃ。その手で、市と子を守ってやってくれ。

長政:(信長に向き直り、深々と礼)はい。

 前回のブログで大騒ぎした、例の鏡の一件で負った火傷の話だろう。えーと、もう茶々って前回は生まれていたんだっけ?まだお市は懐妊もしていなかったのかと思った。その茶々が十月十日が経過して今回は誕生しているのに、まだ手は痛々しく包帯を巻いているのか???そこら辺の計算が、良く分からない。

 そこはどうでも良いが、信長は「市のために済まん事をした」と長政に謝ったのだから、無視されていたお市の便りは同盟国の情勢把握のためには使われていたね。舅の浅井久政が嫌味たらしく「何気なく書いたことでも危ない」と、兄に手紙を書くお市の方を牽制した通りの分析は、織田方によって行われていた。

 この後、浅井家の重臣遠藤直経が長政を呼びにやってきて、長政は奥の部屋で朝倉景鏡と対面。「麒麟がくる」の怪しげな景鏡も思い出されるが、今作では池内万作が演じる(口元がめっちゃ宮本信子だよね)。面白くなりそうだ。

 そこで長政は、愛らしい万福丸(フラグ立ちまくりだね😢)を朝倉に人質に差し出せと父久政と景鏡に迫られ、苦悶の表情を浮かべたと思ったら、厠を探して間違えたフリの信長が部屋に踏み込んだ。

 信長は景鏡に「公方様は朝倉義景殿が上洛するのを首を長~うして待ちわびておる」と、義景への伝言を頼んだ上で、「朝倉に討たれたくなければ急げ」と木下兄弟を促して小谷城から引き揚げた。

 結果、長政は朝倉方に着くことになって浅井&朝倉が信長に滅ぼされる近未来は、超有名な史実なのでネタバレと言うまでもないが・・・今回の時点では、信長は心の弱みみたいなものを長政に打ち明けたりしている。

 長政は、信長の弱点である「弟」だ、義理ではあるけれど。そして、血で穢れた自分と引き換え、とても清らかな存在に見えている。信長は、長政にはそのままでいてほしいと願ってもいただろう。しかし、信長自身がまたも「弟」を滅ぼし、妹ともどもの幸せをぶち壊すのだと思うと悲しくなるね。

光秀と藤吉郎の対話

 将来敵対する同士、そして戦って一方が滅ぼされる人たちの対話という点で、今回は明智光秀と藤吉郎の会話も興味深かったよね。ホント、死が身近な時代だよ。

明智光秀:(蹴鞠で顔中罰の墨だらけにされたのを井戸で洗っている藤吉郎に)災難でしたな。

木下藤吉郎秀吉:あっ、先ほどはかたじけない。

光秀:公家どもに、幕府方の者が侮られるのを黙ってみている訳には参りません。

藤吉郎:すごいのう明智殿は。何でもうまくやってのける。わしも見習いたいものじゃ。

光秀:私からすれば、木下殿の方がよほどすごい。

藤吉郎:わしが?

光秀:僅か10年足らずで足軽から織田家の重臣にまでなられたと聞きました。大した御方じゃ。

藤吉郎:全て、信長様のお陰でござるよ。

回想の義昭:光秀。あのふたり、わしのものにできるか?

光秀:しかし、京のしきたりや公家の相手は木下殿には不得手とお見受けいたしました。織田殿も、此度ばかりは見誤られましたな。

藤吉郎:わしのような者の方が皆、侮り気を許すであろう。

光秀:織田殿は、あえて木下殿に笑い者になれと?織田殿も、酷な御方じゃな。

藤吉郎:明智殿。わしを思うて言うておられるなら考え違いじゃ。信長様を悪く言う者は、誰であろうと許しませぬ。(笑顔→真顔)

光秀:フッ、失礼いたした(お辞儀)。

藤吉郎:いや、こちらの方こそ、つい(お辞儀)。

光秀:木下殿にとって織田殿は、わしにとって公方様なのじゃな。私はかつて生まれ育った明智の里を斎藤家に奪われ、民たちを守ることもできず、己だけ美濃から逃げ出した情けない男なのだ。

藤吉郎:明智殿が・・・?

光秀:私はたまたま明智の家に生まれ、たまたま家督を継いだだけの、ただそれだけの男だった。木下殿のように己の力で何かを成し得た訳でもない。何も成せず、何者にもなれぬままそれからおよそ十年。私はずっと考えてきた。食うこともままならず妻や娘に惨めな思いをさせることしかできぬ無様な己に、何の値打ちがあるのかと。私は、何のために生まれてきたのか、何のために生きているのかと。考える事すら止めようとしたその頃、あの御方と出会うたのじゃ。

回想の義昭:(数年前)お主も災難よのう。いくら身を寄せる朝倉からの命とはいえ、いきなりわしのようなお荷物を担がされることになるとは。

回想の光秀:滅相も無いことでございます。そのようなことは・・・。

回想の義昭:これも、御仏の巡り合わせだとわしは思うておる。わしの命は、この時のためにあったのだと。わしのために、力を貸してくれ。

光秀:私こそ・・・今、この時のために生きてきたのだと、そう思えた。公方様に救われたのじゃ。(藤吉郎が笑顔)公方様をお支えし、幕府によって世に静謐をもたらすことが、私の天命だと心得ておりまする。(立ち上がる)そのことどうか、織田殿にもお伝えくだされ。

藤吉郎:しかと承知しました。

(場を変えて)

小一郎:明智殿が、そのような。

藤吉郎:全ての力の源が、公方様の為であったとは。胸が熱くなったわ。胸は熱くなったが体は今日もヘトヘトじゃ。小一郎、わしと代わってくれ。

小一郎:できるわけなかろう。わしも御所の普請に加わった者への恩賞の沙汰で手いっぱいじゃ。

 光秀は、本圀寺の救援に駆けつけて小一郎と抱き合う藤吉郎を見た将軍足利義昭に「あのふたり、わしの者にできぬか」と言われていたから、そういう目で木下兄弟を洞察して情報収集していたのだろうね。そして、今回、思い切って藤吉郎を口説きに出たのではないか。

 しかし、藤吉郎によってあえなく返り討ち・・・一旦謝って引いたと見せて、光秀は己の長年の悩みと義昭との出会いを語った。そんなに光秀が自分を卑下していたとは思えないけど、ちょっとオーバーに盛ったのだろう。そして「公方様をお支えし、幕府によって世に静謐をもたらすことが私の天命」だと言い切った。それを信長にも伝えてと。

 今作の割と純粋な藤吉郎は、小一郎に「胸が熱くなったわ」と言ったぐらいだから、光秀はリクルーターとしてなかなか良い楔を打ち込んだのかもしれない。

 しかし、相手は人たらし兄弟。歴史を見れば、光秀は、ミイラ取りがミイラになるんだよね?「どうする家康」の残念な公方様(と光秀)と違い、今作の描かれ方では花も実もあるなかなか優秀な義昭様だと思うのだけれど、それでも信長方に転ぶ光秀。どういう事情で誑し込まれるのか、そこら辺も楽しみにしている。

 そして・・・山崎の戦いの最中に、このやり取りを思い出すのかなあ。

次の恋人登場かと思ったら・・・

 藤吉郎は「この先も、ずっと一人でおるつもりか?」と小一郎に尋ねていた。小一郎は兄に顔をそむけて「そうじゃ」と言った。

 そんなことを聞かれたら、自分の心の脆い部分を突かれて涙が一瞬にしてこぼれてしまうから、顔をそむけたのか?兄の顔を見ながら答えられない程、それだけ小一郎の直の死に対する心の傷は深い。短いながらもそう感じさせるシーンだった。

 京都での仕事や但馬や伊勢での戦に励んで数か月。小谷城の任務の後に家族の下に戻った小一郎と藤吉郎。子どもが生まれたり新しい伴侶が出来たりで新しい家族が増え、隣だからと宴会に呼ばれていた前田利家一家も大家族。

 カップルや家族を眺める小一郎。どうしたって直を思うよね。小一郎を気遣う母なかは、繕い物を渡しながら、いつまでも世話できないと言っていたよね。

 亡き直の墓に出向き、京土産の櫛を供えるのも悲しいね・・・と思っていたら、そこで出くわしたのがキターの吉岡里帆。お堂からは、怪しげな男が駆け去り、続いて出てきたのが彼女で、厳しい視線を向けられた小一郎。まさか、その彼女が後日、信長に命じられた嫁取りの相手だったとは。訳アリ過ぎるでしょう。

 今作の設定では、安藤守就の娘なんだよね、お慶(ちか)さんは。ウィキペディア先生ではそんな娘さんは見つからなかったが、となると、竹中半兵衛の妻と姉妹のはずだが、今作ではどうなるのかな?

 今回はまだ吉岡里帆の、美しいけれど厳しい顔を見られただけ。次回、彼女を中心にドラマは展開するようだから、待つとしよう。

悪意の寧々キャラ

 そうそう、遡るけど長男の万丸(よろずまる)に団子をあげそうであげない弥助、それでも笑っている万丸がかわいかったよね。万福丸といい、悲劇が待ち構えている子どもたちに笑顔・・・うう、歴史は残酷だと思わされるね。

 お寧々とおまつの分も団子を食べちゃった姉ともがその時に身籠っていたのは、誰だろう?後で生まれていた小吉か?江と結婚する彼、小吉秀勝だよね。

まつ:京都奉行?藤吉郎殿が?

寧々:はい、丹羽殿や公家様にお仕えする明智殿とご一緒のお役目らしくて。ますます忙しくなって、なかなか会えなくて寂しいとの文が届きました。利家殿はいまだに馬廻衆だから岐阜にいることが多くて羨ましい事。(ともが団子を食べつつ目をぱちくり)

まつ:フフ・・・それはそれはご出世おめでとうございます。それに比べてうちの旦那様はすっかりお殿様に気に入られてしまって、なかなかお傍を離れることを許してもらえませぬ。口先だけで出世するような御方と違って、本当にお強いから、仕方ない事ね。(とも、おおという表情で団子をパクり)

寧々:いるのよねえ、強さを過信して討ち死にしてしまうお方。

まつ:ちょっと、縁起でも無いことを言わないでよ。(眉間に怒り)

寧々:心配しているだけ。

まつ:あなたの方こそお気を付けなさい。殿方が京でなが~いこと一人でいたら、そりゃあねえ。んん・・・。

 バチバチのマウンティング合戦を繰り広げていたお寧々とおまつ。こういう「女の戦い」みたいなのってドラマでよく見るが、暇人の妄想だろうといつも思う。女子同士でこんな攻防に時間を使って「実は仲良し」みたいな、フレネミーでつるんでいる暇人たちを実際見たことが無い。フレネミー傾向のある人は、友達を失うからひとりぼっちだし。

 実際のところは、大概、厳しく忙しい現実に直面して助け合わないとやってられない。むしろ女同士、助け合って労わり合ってるよなあ。それとも、下々と違い、有閑マダムはお寧々とおまつみたいにこうやって戦ってるのか?(ところで、この時のおまつの衣装って、「利家とまつ」で松嶋菜々子が着てたような?違う?)

 で、そのマウンティング合戦を通して藤吉郎の京都での女遊び三昧を知ったお寧々が怖い。毒薬を用意して、藤吉郎に「毒薬です。先ほどあなたが飲んだお酒に入れました。あなたを殺して、私も死にます」とか!えー!

 この物の考え方が怖いよ・・・自分の意のままにならなかったら殺すの?最近もあった、つれない元彼女を殺して自分も死ぬみたいな事件を思い出してしまう。愛情じゃなくて、藤吉郎をコントロールしたい支配欲でいっぱいの寧々さんか?

 寧々のキャラ設定が酷くないか。可愛らしい浜辺美波だからまだ見られるけど。しかも、それで実は毒を入れてなかった、できなかったって肝心な話をぎりぎりまで伝えないで「もうすぐ体がしびれて参ります。もう手遅れです!」なんて言って、相手を試して振り回すような・・・うわあ。性格が悪すぎる。こりゃ侍女が次々逃げるよねえ。直の死後、次の侍女はどうしたんだろう?

 今作では、将来、秀吉の子どもたちを身籠った時点で陰で毒を飲ませまくって堕胎させるという、悪女の寧々になるのか?大河ドラマでは前代未聞、ありえない鬼設定なれど、そんな陰口も存在したと聞く。寧々を避けて無事に産ませるために、淀殿は淀の城を与えられたなんて話もどこかで聞いた。

 寧々に子どもができなかったからってこんな後ろ指の指され方、ひどいよなあと思ったが・・・子どもがいないと、他人の子どもを慈しめないと考える風潮っていつからなのか。そんな訳ないのに。悪意の寧々を、それらしくドラマにしないでほしいなあ。

 ところで、今作の藤吉郎はどこまでも純粋で優しいね。毒を入れられて、お寧々にこう返すのだもの。

藤吉郎:お主は死ぬな。わしは死んでも自業自得じゃ。じゃが、お主は死ぬな!こんなわしのために死ぬな!頼む、死なんでくれ!頼む!

 藤吉郎、なぜ寧々を好きになったのかが謎だ。顔だけ?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#11 懐かしき「黄金の日日」。篤姫的お市の「もうよい!」に怯まない浅井長政、火中の鏡をつかみ視聴者は悲鳴。小一郎は義昭をしぶとく生き延びさせた

小一郎が義昭を面白い人にした?

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第11回「本圀寺の変」が3/22に放送された。信長はあっという間もなく幕府を再興していた。お市を嫁入りさせた北近江の浅井氏はともかく、六角氏は完全スルー、撃破する時に小一郎や藤吉郎が活躍したのかな?と期待していたが、描かれないまま木下兄弟は信長様と共にスムーズに上洛した。

 さっそくあらすじを公式サイトから引用する。

第11回「本圀寺の変」◆◇あらすじ◇◆

畿内を手中に収めた信長(小栗 旬)は、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)に新たな命令を下す。大和を治める武将・松永久秀(竹中直人)を介し、堺の商人・今井宗久(和田正人)らに、矢銭二万貫を納めさせろというのだ。だが堺の商人はくせ者ぞろいで、兄弟は苦戦を強いられる。そんな中、将軍となった義昭(尾上右近)を引きずり下ろしたい三好三人衆が、信長不在の機会を狙い、義昭のいる京の本圀寺を襲撃する。(第11回「本圀寺(ほんこくじ)の変」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 さて、永禄十二年(1569年)一月の本圀寺の変。過去作の「麒麟がくる」では、心の奥深いやり取りが将軍足利義昭と主人公明智光秀の間に交わされ、面白かった記憶が残る。戦闘が進行している間、滝藤賢一が演じる義昭と、長谷川博己の光秀ふたりは床下の隠し蔵に潜み、対話してたよね。

 (録画を確認しようとしたら、総集編しか残っていなかった💦えええー「麒麟がくる」は全編残したつもりだったのに💦もったいない。本圀寺の変も、総集編では一瞬で終わった。)

 が、今作の主人公は木下小一郎長秀。要潤光秀は、調練していたという兵を指図、将軍義昭を仲野太賀小一郎に任せて対三好三人衆の戦闘に携わった。小一郎が尾上右近義昭の身柄を任され隠し蔵にお供することになったが・・・。

 その前に、義昭が櫓に登った。「皆の者、うろたえるな!わしはそなたらと共におる!逃げも隠れもせぬ!今少しだけ持ちこたえよ、さすれば必ずや味方が駆けつけよう。それまで共に、戦うのじゃ~」と檄を飛ばしたのだが、え~💦的にならないでよ?あなたは隠れようね?とヒヤヒヤした。

 ここで情報が入った信長が、岐阜から馬で駆けつける流れに。三好三人衆の方は先祖代々崇めてきた本圀寺には火をかけられない事情があるが、その場になぜかいる斎藤龍興が「東大寺を燃やしたお主らが?(松永久秀じゃなかったのね)」と三好三人衆を煽り、火矢の支度が始まった。

 その時、結局隠し蔵に隠れたものの進退窮まったと見た義昭が、光秀と小一郎に逃げろと言い出した。

 ここで、小一郎がまた義昭の心に刺さることを言ったよね。それが後の義昭の行動に大きく影響したのだとしたら、義昭をどこまでも面白い将軍にしたのは、このドラマ的には小一郎ってこと?だって「功名が辻」では脚本家の三谷幸喜が演じたほどの人物だ。存在としてしぶとい、面白いよね。

 いや、別にお笑い系の面白い設定ではないだろうけれども・・・現場にいたら、罪作りだーと言う人がいるかもしれないよね。信長とか。

足利義昭:わしが出ていく。その間に、そちたちは逃げ延びよ。

明智光秀:私も、お供仕りまする。

義昭:ならん。そなたは生き延びて、やつらが将軍殺しであることを世に知らしめよ。わしの命と引き換えに、その悪名を末代まで背負わしてくれるわ。

小一郎:お言葉でござりますが・・・そんなことは皆、すぐに忘れてしまいまする。

義昭:何じゃと?

小一郎:侍はともかく、百姓にとっては誰が将軍様であろうがさして違いはござりませぬ。皆、その日その日を生きるので精いっぱいじゃ。潔う死んで満足するのは侍だけでござりまする。百姓は、どんなに不作でもどんなにひもじくとも、自分から死のうとする者はおりませぬ。泥水をすすってでも・・・はあ、生きようと致しまする。なぜなら、次の年こそ豊作になると信じておるからじゃ。(ずいっと近づいて)公方様、豊作の世にしてくだされ。ぶざまでも、生き延びてくだされ!(小一郎を見つめ、涙ぐむ義昭)

 非常事態だし、主人公特権なのだろう、小一郎が、光秀と共に将軍義昭のお傍にいた。その言葉に、今後の義昭はしぶとくしぶとく、信長を困らせ、都を落ちてもどこまでもしぶとく生き延びていくってことなんだよね。剣豪将軍の兄義輝とはまた違って、本当に面白い人物だよね。

 この後、三好家が代々本圀寺を崇めていたと義昭から聞いた小一郎が、三好方の心理的葛藤を突いて時間稼ぎをしようと、僧侶に化け、一世一代の大芝居を打つ。

小一郎が化けた僧侶:皆様方、これ以上のご乱行はおやめくだされ。ここは三好家代々のご当主が敬われていた寺でございますれば、それをないがしろにしては、七代先まで祟られましょう。しかも、火などかけようものならまさに東大寺の大仏の二の舞。あの暴挙も、三好家の方々の仕業と世に知らしめることとなりますぞ。我らも、あのような目には遭いとうござりませぬゆえ、公方様にはここからお移りになるとお約束頂きました。ですから、その間は手を出さぬとお約束頂きたい。さすればその後は、いかようにもできるはず。

 「相分かった」と三好方は承知したので大成功。まあ、ちょっとこのフィクションはご愛敬だったかな。この引き伸ばし作戦の間に藤吉郎と半兵衛が堺の傭兵を百ばかり率いて駆けつけ、三好は退いた。翌日には、信長も来た。

 百ならね・・・三好、まだ勝てたんじゃないの?

似てる?松永久秀と秀吉

 松永久秀、初登場から強烈でしたな。

語り:織田軍が三好三人衆を撃退した摂津芥川城に、一人の男が、信長を訪ねて参りました。

(廊下を行く松永久秀。久秀を迎え、一礼する藤吉郎。廊下の下の庭には、捕らえられた三好残党どもが、武装を外され後ろ手に縛られ蓆の上に座らされている。)

木下藤吉郎秀吉:これよりは、お腰の物をお預かりいたします。(受け取ろうと手を伸ばす)

木下小一郎長秀:(庭に、手を縛られた残党一人を連れて入ってくる)安心せえ。我らに従えば、命までは取らぬ。

三好残党:(久秀が目に入り)この、裏切り者めが!(久秀に突進)

小一郎長秀:待て!(藤吉郎と小一郎に組み伏せられる残党)落ち着け!このような真似をしたら・・・(久秀が、残党を一刺しして殺す音。血で染まった刃)おい!しっかりせえ!・・・何も、素手の相手を・・・。

松永久秀:三好の残党じゃ。刃向かったからには容赦せんことじゃ。

細川家家臣:義輝様の仇!覚悟!(刀を抜いている)

藤吉郎:この人は、お味方じゃ!(刀で立ち向かう)

細川家家臣:う~!ううっ、どけ!この、邪魔じゃあ!

小一郎:(背後から、頭部を刀の束頭で叩いて気絶させた?)御免!(細川家家臣の刀を奪い、久秀に一礼する)

久秀:かたじけない。これで良からぬ噂が立たずに済んだわ。(血の付いた小刀の刃を三好の旗で拭い、藤吉郎に預ける。廊下を進む。)

小一郎:(藤吉郎に、ひそひそ)何じゃあいつは?

 久秀のあの様子じゃ、小一郎が気絶させなかったらまた細川家家臣を久秀が殺しかねない。ナイス小一郎。新旧秀吉の対面も楽しめた。今のところ人が良く純粋な今作の秀吉と、「秀吉」「軍師官兵衛」を経てドロドロ堕ちたところまで完走した秀吉と。今作では松永久秀だから、ドロドロ秀吉っぽさが強くなるかもね。

 信長も、「さすが将軍を殺した男よ」と久秀にズバリ言った。「一向に身に覚えのない事。濡れ衣にございます」との返答だった。将軍暗殺は三好一族と久秀の息子がやった事だと言いたいのだろう。

 久秀は、大和で三好一党を追い詰めて戦っている、だから大和を治めることをお認めいただきたいと信長に懇願した。例の茶器「九十九茄子🍆」を献上したのか?(九十九髪茄子 - Wikipedia

 京の本圀寺では、故13代将軍義輝を支えていた細川藤孝、和田惟政、三淵藤英の幕府の面々から、久秀を迎えるについて「先の公方様の敵」「東大寺の大仏を焼き払った」など異が唱えられた。信長は「全て三好の流した戯言」「ありもせぬ噂に振り回されたとあっては、民の心など到底つかめますまい」といなしたが、火に油を注ぐ柴田勝家も参戦、マウント合戦になり場は収まらない。

 末席にいた藤吉郎と小一郎の「屁」を擦り付け合う兄弟漫才が始まり(横で竹中半兵衛の嫌がる小芝居!)、「べらぼう」恋川春町オマージュかと思わされたところで、新将軍義昭は久秀の扱いを信長に預けると言ったのだった。

 久秀と秀吉って、立場がなんか似てるよね?松永久秀の主が三好長慶。信長よりも20年早く来た天下人とも最近は称される人物だ。「麒麟がくる」では、昨年の「べらぼう」で粋な忘八のひとり扇屋宇右衛門を艶っぽく演じていた山路和弘が長慶にキャスティングされていたね。

三好 長慶(みよし ながよし)は、戦国時代武将で、畿内阿波国戦国大名室町幕府摂津国守護代相伴衆。元は細川晴元の有力家臣であったが、細川政権を事実上崩壊させ、室町幕府将軍足利義晴義輝共々晴元を京都より放逐し、三好政権を樹立する[6]。その後は細川氏が支配していた領地を継承・拡充して三好氏の勢力を畿内の大部分にまで広げ、足利義輝、六角義賢畠山高政らと時に争い、時に和議を結び、畿内の支配者として君臨した。(三好長慶 - Wikipedia

 三好長慶がブイブイ言わせていた頃に忠実に仕え、身分低いところから引き上げられたのが久秀だよね?そして主の嫡男が死に、すぐ翌年には落胆したのか主の長慶も死ぬ。主と嫡男が急死して、グダグダになった主家一族をしのぎ、実力でのし上がるところまで秀吉とイメージが重なる。その両者を演じるのが竹中直人だ。

 もしかしたら、秀吉が後に天下人になっていく過程で、松永久秀を思い出したりして・・・それもいいよね。

 三好長慶は早死にだったのがもったいないが、話はとても面白い。当然ながら、地元徳島などは「大河ドラマに!」と鼻息荒く運動を進めているらしい。長慶の物語を応仁の乱の後半から描くとなると、わかりにくい乱のあれこれもスッキリ整理してもらえそうだ。「仁義なき戦い」風にどうだろう?応援したい。

戦国天下人・三好長慶をNHK大河ドラマに! | 徳島県観光情報サイト阿波ナビ

徳島は三好長慶、岡山は宇喜多親子… 全国各地で白熱する「大河ドラマ誘致合戦」最新事情 - 産経ニュース

 この松永久秀の登場場面での小一郎の出で立ちが、ちょっと派手だった。スカイブルーの鎧に朱色の紐。着物を少し変えれば、よく見る若殿カラーだ。なにしろ小一郎は主役なのにベースカラーは銀色だし(はっきり言って地味そのもののグレーだよね)、隣に金色の兄者がいつもキラキラ笑顔で立ってるもんなあ。衣装さんも主役らしく目立たせるのに苦労しているのでは。

大やけど、小雪程度で冷やせない

 きっと、見ていた全視聴者がギャーと言ったと思う。あの設定は無い。せっかく絆が出来そうな浅井長政とお市とのロマンチック場面だったのに、見てると大やけどを超えた重傷になる心配が先に立ち、ロマンチックが台無しになった。信長が義弟になった浅井長政に託した、お市への京土産の手鏡の件だ。

 近江の小谷城に京から戻った長政は、信長に託された箱のまま、妻お市に信長の京土産を渡した。お市が包みを解き、そこで初めて飾り紐だけが色違いの(信長は緋色、長政は山吹色)、同じような細工の手鏡を自分もお市に買ってきたことに気づいた。

 しかし「兄に何かを買うて貰ったことなど、ほとんどありませぬ」と感激しているお市を前に、自分からの土産は懐に納めたまま妻に渡すのを諦め、「すまぬ。わしは忙しさの余り、気が回らなんだ」と言った。ただ、廊下に出て、自分からの土産の手鏡を懐から出して眺める長政。

 「真、お優しいお方」と、それに気づいたお市。きっと家臣に命じたのだろう、信長からの緋色の飾り紐が付いた手鏡は焚火にくべられた。お市、やることが極端だ😅舅の久政に嫌味な「戯言」=織田に内情を知らせておるのか、を言われちゃったからだろうか。

 (今回、「戯言じゃ」で語られる本音が目についた。公方様も、松永久秀に対し、信長に贈った茶器の方と「どちらが値打ちものじゃ」とカマをかけていたね、「戯言じゃ」って言いながら。その時の光秀の横目が鋭いこと!)

(家臣が赤い飾り紐の付いた鏡=信長からの手土産を、焚火に投げ入れる)

浅井長政:お主、何をしておる!(庭に駆け下り、火の中にある鏡を見る)なんということを・・・誰ぞ!誰ぞ!水を持て!

お市:もう良い!もう、良いのです。いつまでも織田を捨てられぬ、私が悪いのじゃ。私が・・・。

長政:(妻の様子を見て、火の中に手を突っ込み、鏡を取り出す)うあああー!ぐう・・・。

お市:なぜ、このような真似を!

 ホントだよ・・・なんでそんなことするんだよ。下手したら死ぬよ。そしたら、あの家臣は打ち首か?主が呼んでいるのいなくなっちゃったけど。しかし、お市の方というよりも、「もうよい!」は篤姫的迫力だったね。

 織田を忘れられない、じゃなくて信長を慕う気持ちが断ち切れなくて、お市は苦しんでいるんだろうな。信長も知っているから、まだ小谷城には来ないのだ。

 この後、長政がさっさと冬の池の水にでも手を突っ込んでくれたら、まだねえ。それなのに、いつまでもロマンチック芝居が続くんだもの。あんなパラパラ小雪で重症の火傷が冷やせる訳ない!

 少年漫画や日本書記ならね、火の中で焼かれる鏡をつかんでも全然平気~ってなるんだろうけど、大河ドラマでは無理がある。それとも、長政は盟神探湯みたいなことをやって、お市に愛情を示してみせたかったのか(盟神探湯 - Wikipedia)?やけどを免れたら真の愛!真の夫婦!みたいな?

 他にお市と長政の関係の進展を描く良いアイデアはあったはず。せっかくの宮﨑あおいと中島歩の熱演なのだから、脚本はもっと頭をひねってほしかったな。

「堺は、一筋縄ではいかんぞ」

 藤吉郎と小一郎は、松永久秀の仲介で商人の町・堺に出向くことになった。信長の命で、矢銭(軍用金)2万貫の大金を堺に課すためだ。現代の価値で20~30億円だそうだ。ひえー。(信長に2万貫を要求された堺で今井宗久は何をした?重用された理由とは - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

 堺は、物珍しい異国の品々や異人でいっぱいだ。小一郎が「松永久秀を信長が助けたのは久秀が茶器の名品を数多集めているからで、名品欲しさだろう」と邪推した時、竹中半兵衛は「茶器ではないと思います」と言っていた。

 それが、「これは何じゃ」「本当に何でもあるのじゃなあ、この堺には」と目を輝かせる完全おのぼり状態の木下兄弟を案内する、堺に詳しい久秀の振る舞いで、「なるほど」となった訳だけれど・・・この時に、銭さえ払えば何でも請け負う「主を持たない侍ども」が出てきたのが、今回のドラマ的にはミソだったね。

松永久秀:この町はな、どこの大名にも属さず商人たち自らが治める町じゃ。故に、あのような輩たちをあちこちで雇い、外敵から守っておるのじゃ。(略)

竹中半兵衛:ここには諸国からの銭と知らせが集まりまする。そして、もう一つ・・・。

小一郎:鉄砲か。

半兵衛:恐らく。信長様は松永殿を足掛かりにしてこの堺を手に入れるおつもりなのです。

 「麒麟がくる」では、吉田鋼太郎の久秀が、光秀を案内して回っていた。懐かしい。でも、堺ときて、もっと懐かしいのは「黄金の日日」だ。これで私は商人の町として自治が行われていた堺の存在を知った。呂宋助左衛門(呂宋助左衛門 - Wikipedia)が主人公で、現在の二代目松本白鷗がまだ市川染五郎だった頃に「助左」を演じた。

 丹波哲郎の今井宗久が良かったよね~。昔の大河ドラマの中でも金字塔だと言って良い。モニカ(夏目雅子)と悲恋の石川五右衛門(根津甚八)の大ファンだった。

toyamona.hatenablog.com

 この堺の会合衆(「えごうしゅう」と読むのかと思い込んでいたら、「かいごうしゅう」説もあるんだそうな)が、まだ三好三人衆の影響力も残っているのに、まあすんなり小一郎&藤吉郎らの織田方に大金を差し出す訳もなく。

津田宗及:矢銭2万貫やと?

藤吉郎:さよう。ひと月の内に納めよとの仰せにござりまする。

能登屋:そんな理不尽な事、呑めるわけないやろ!

藤吉郎:(ニッと笑って)わしもそう思いますわ。しかし、これはわしらが貰う訳ではござらぬ。幕府のための銭じゃ。それを払えぬとなると、この堺は、幕府を敵に回すつもりじゃと見なされてしまいましょうなあ。

津田宗及:ほう、我らを脅すおつもりか。

藤吉郎:滅相もない、わしは心配しておるのじゃ。

小一郎:待て待て、兄者。(前に出てくる)無礼なことを申すでない。

藤吉郎:何じゃと?

小一郎:確かに2万貫は途方もない額じゃが、ここに居られる会合衆の方々にとっては決して払えぬ額ではないわ。

藤吉郎:何?それは真か、小一郎。

小一郎:あらかじめ聞き込みして見積もったところ、各々が売り上げの2割ずつを出し合えば、2万貫など容易いもんやでえ。

藤吉郎:恐れ入った!皆様方は真の富をお持ちの方々。たかが2万貫で自治を許されるなら安いものじゃな。

小一郎:しかも、その銭で鉄砲300丁ほど買わせてもらいましょう。(パンパン!と扇で手を叩きながら)さすれば、ただ矢銭を払うより儲けにもなりましょう。(パン!)いかがでござる。

藤吉郎:津田殿。(肩に手を置いて)頼みましたぞ。

小一郎:これで、万事円満やな。(ニッコリ。松永久秀が笑っている)

竹中半兵衛:せやなあ。くれぐれも目先の儲け話に惑わされませんように。(4人が去る)

津田宗及:チッ。

 しかし、藤吉郎らは会合衆の津田宗及らにしてやられた。引き渡す約束の前日になって、目先の儲けの大きい三好三人衆の方に、鉄砲300丁は売られたのだ。

 新参者だもの、松永久秀が「堺は一筋縄ではいかんぞ。大和一国を治めるよりも、難しいやもしれん」と小一郎に言ったように、簡単じゃないよねえ・・・って、小一郎は後に、その大和を治める立場になるんだね。

 今井宗久は「わてら商人は時流を読んでなんぼ。今は織田信長っちゅう流れに乗るべきとちゃいますか?」と見たが、津田宗及はまだ「すぐに消えゆくような成り上がりとは、つきあいなんぞできまへん」と織田は信じるに足らぬと考え、三好三人衆の方を選んだのだった。

 目先の儲けも大きかったらしい。「より儲けの大きい相手と商いするんが商人の常道でございます」と津田宗及。半兵衛は見通していた。

 それで、正月で奉公衆の多くが国元に帰り、松永久秀も挨拶のために信長の岐阜城に行ってしまったタイミングで、本圀寺の義昭は鉄砲300丁を手にした三好三人衆に襲われたらしかった。前述の通り。

 この時、史実だから面白い話だけど、稲葉山城から逃げおおせた斎藤龍興がしっかり三好三人衆とつるんで本圀寺を囲んでいたよね。今後、ちょこちょこ出てくるのか?バイキンマンみたいに・・・と書いている記事があって、笑ってしまった。バイキンマンとは言い得て妙。朝倉氏の滅亡時に華々しく散るまで、楽しませてくれるだろう。

<バイキンマンの様に毎回出そうな勢い>『豊臣兄弟!』再登場した斎藤龍興に視聴者ワクワク「三好三人衆の先輩小悪党として」「実物に近いのでは?」「分かってるなー今回の大河」(婦人公論.jp) - Yahoo!ニュース

「妬むところが無い」・・・今、切実にあるよね?

 木下兄弟の屁の漫才で笑わせられた時に、将軍義昭は兄義輝について、このように言っていた。

足利義昭:わしは3歳で寺に入れられた故、兄・義輝との思い出など全くない。あるのは・・・妬みであった。(弟の気持ちに過敏な信長がピクンとなったか)だから、兄を殺したかもしれぬ松永久秀に対しても、何も思わぬ。いや、むしろそのお陰で今、わしはこうしてここにおる。

明智光秀:公方様、もうそれ以上は・・・。

義昭:わしは、兄のような将軍にはならぬ。松永の事は、織田殿にお任せいたす。よいな。

 この話を受けての、木下兄弟の会話。

藤吉郎:公方様もおつらい思いをされてこられたのじゃなあ。

小一郎:わしは、兄者の弟で良かったわ。

藤吉郎:なんじゃ、いきなり。

小一郎:へへへ。妬むところが、何一つない。

藤吉郎:それはどういう意味じゃ。

 放送開始から3カ月・4分の1が終わり、小一郎は百姓のボロボロの衣装からこぎれいな武将ルックになり、信長にも目をかけられ、家中で目覚ましく活躍している。

 でも、この3カ月で最愛の直を失ったのだ、小一郎は。兄者には可愛い寧々がいる。ただでさえ「いいなあ、兄者は」と、直を思いながら涙涙で思ってしまいそうなものだ。「妬むところが何一つない」と笑顔で語っているが、心の傷に重いフタを被せ、無理やり忘れようとしてるんじゃないのか?

 仕事で忙殺させられているから、どっしりしたフタを動かす暇もなく、忘れた気になっているのかもしれないが・・・次回予告で吉岡里帆が顔を出していた。これで小一郎の兄者を妬む気持ち=恋心も顔を出すだろうか?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#10 お市が浅井長政に嫁ぎ、足利義昭、明智光秀、武田信玄ら主要の面々も続々登場。いよいよ戦国大河らしく動き出す

昔の小一郎秀長が武田信玄に

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第10回「信長上洛」が3/15に放送された。次回の昼の放送は既に終わり、午後8時の本放送まで残り数時間となっているのに、今更ダラダラ書けるのだろうか・・・と心配している間に書くことにする。

 そういえば、昨夜のブラタモリ「桶狭間」は面白かった。タモリが我が小和田哲男先生のご案内で桶狭間周辺を歩く、後編だった。

 前回のブログで書いたように、私の頭の中ではもう、藤吉郎は桶狭間の戦いにおける情報戦の最前線を担っている。信長に戦後褒められた一番手柄は梁田政綱だっただろうが、きっと若き藤吉郎は、どの道筋を通れば今川側からの監視をかいくぐって義元の本陣に近づけるか等の情報を、信長に逐一上げていたに違いない。

 そう考えると胸が騒ぐね。まあ、桶狭間周辺は、信長もそれまで鷹狩りを良く行っていた既知の場所だったとは小和田先生が指摘されていたけれど。

 さて、時間も無い。まずは公式サイトからあらすじを・・・と思ったのだが、新たにアップデートされたドラマ相関図を見ると、戦国の主要役者たちが続々と登場している(大河ドラマ「豊臣兄弟!」相関図・登場人物|第10回~ - 「豊臣兄弟!」キャスト・人物相関図 - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK)。

 お市の嫁いだ浅井家の面々はもちろん、浅井とは関係の深い朝倉義景や、上杉謙信、武田信玄、足利義昭を支える明智光秀や三淵藤英、おお、三好三人衆まで。ワクワクするね。

 特に過去作「麒麟がくる」でもキャラが濃かった松永久秀(吉田鋼太郎が演じていた)を、ミスター秀吉の竹中直人が演じるのだが、この相関図の中でも存在感がすごい。悪いけど、荒木村重のトータス松本が軽く見えてしまうほどだ。いやいや、それどころか主役の小一郎が💦・・・いやいやいやいや、大丈夫大丈夫、頑張って頂戴ね。

 とにかくヘビーな面々が並んでしまった。同時に、気づけば直ちゃんは相関図から直パパと共に消えている。前回のイマジナリー直を以て、もう成仏か。小一郎の心の恋人として残してほしかったなあ、せめて正室のお慶が出てくるまでは。

 この新たな登場人物で個人的に注目するのは、やっぱり武田信玄を演じる高嶋政伸だよねえ、「秀吉」の時の小一郎秀長を演じたのだから。「真田丸」での北条氏政のように、肩頬で卑屈にニヤリと笑ってばかりのクセ強キャラがいつの間にか定番になっているように見える彼も、まだ小一郎の時には健気な弟キャラだった。お寧の沢口靖子を支えて、頑張ってたよね!

 今回のドラマでは、またクセ強な武田信玄を期待されているような気がするけれど、ちょっとは昔の小一郎っぽい性格が垣間見える信玄も良くないか?信玄と言えば、名補佐役として知られる弟・武田典厩信繁がいたんだけど、ドラマは兄弟がテーマなのだから、彼を出してもらえないかなあ。もう川中島の戦いで死んじゃっているから、亡き弟信繁に思いを馳せる信玄・・・弟さえ存命だったら・・・どう?

 ちなみに、「おんな太閤記」で秀長を演じた中村雅俊も出てきてほしい。いつでも待ってるよ。

信長の天下布武と、与力について

 さて、ようやくあらすじを引用しよう。今回から第3章の開幕なんだそうだ。

第10回「信長上洛」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗旬)はついに美濃を攻略、半兵衛(菅田将暉)は藤吉郎(池松壮亮)の家臣となる。そんな中、足利義昭の使いとして明智光秀(要潤)が信長を訪ねてくる。さきの将軍を亡き者にした三好一族を討ち、上洛して義昭を将軍に擁立してほしいというのだ。申し出を承諾した信長は、上洛の妨げとなる浅井長政(中島歩)に妹の市(宮﨑あおい)を嫁がせ、和平を結ぶことに。市は嫁ぐ前に、あることを小一郎(仲野太賀)に頼む。(第10回「信長上洛」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 むむ?半兵衛が秀吉の「家臣」?与力だよね、ドラマのセリフでもそう言っていた。竹中半兵衛は信長の直臣で、信長の命によって秀吉の協力武将(与力)になってるのであって、秀吉の家臣じゃないはず。担当の方、困るよ~💦

藤吉郎:(明智光秀に対して)織田家臣、木下藤吉郎秀吉と申しまする。この者は、与力の竹中半兵衛でござる。

 公式サイトのキャラ紹介を確認したところ、「軍師」となってるけど、軍師という認識やポジションが当時あったかどうかとも聞く。与力だったからこそ軍師みたいに秀吉にアドバイスができたんだよね、がっつり家臣だったら、主の藤吉郎に対してそうはいかない。ちなみに蜂須賀小六は「与力」となっていた。

 さて、信長の美濃平定が永禄十年(1567年)九月。ドラマ冒頭の解説では、これまでの戦国大河が植え付けてきた「天下布武」の「武力で全国制覇だ~俺がナンバーワン!」みたいな考え方を、サラッと訂正している。

解説:この直後から、信長は「天下布武」という言葉を打ち出す。天下布武とは、武力によって天下を平定すること。しかし、この天下とは日本全国の事ではない。足利将軍家の支配領域、京都を中核とした日本の中央「五畿内」の事を指す。つまり、天下布武とは、朝廷を守る足利将軍家の政治運営の再興を意味していた。

 これをまた、藤吉郎が「天下布武って何じゃ」と言う小一郎に丁寧に説明していた。今回のドラマ中盤で繰り返すなんてほんとに丁寧。これは視聴者のためだよね。

藤吉郎:知らんのか。京の都に幕府を再興し、畿内五国を平定し、我ら武士の力で再び世に秩序をもたらすという意味じゃ。信長様にしか成し得ぬことよ。

 五畿内は、示された図によると山城、摂津、大和、河内、和泉だ。小一郎は将来、そのうちの1つを治める「大和大納言」となる。まさに他人には任せられない重要地域、小一郎は階段を駆け上がっていくね。

要潤の明智光秀、良いね!

 足利将軍家を再興するために上洛してくれと信長に伝えに来た使者が、要潤演じる明智光秀だった。従者を一人、連れている。

織田信長:わしに足利義昭様を擁して上洛せよと申すか。

明智光秀:然様でござりまする。今の畿内に居座る三好一族は、先の将軍足利義輝公を亡き者にした大逆人。討ち果たし、世の乱れを正さねばなりませぬ。足利義昭様を将軍となし奉り、いま一度、幕府の威光を世に知らしめるのです。織田殿には、ぜひともそれにお力添え頂きたい。義昭様の上洛が叶った暁には、織田家にも、格別の計らいがあることをお約束いたしまする。

信長:ありがたき御言葉なれど、何故我らに白羽の矢が立ったのじゃ。

光秀:フッ(鼻で笑う)、それは申し上げるまでもありますまい。今川を打ち破り、美濃を手中に収めたそのお力は、まさに我らの求める・・・。

信長:ただの順番であろう。(場が沈黙)他が動かぬゆえ、織田を頼ることにした。ハッ、違うか?

光秀:(にこやかな表情が消える)その通りでございまする。(織田家家臣が身構える)朝倉は口ばかりで一向に動かず、上杉も武田も北条も、皆、他国の出方を伺い、領内のもめごとに手を焼き動くに動けぬ様子。よって、次は織田殿を頼ることにしたのです。織田殿も動かぬのであれば、また他を頼るまでの事。

柴田勝家:恐れながら、いくら足利義昭様のご使者とはいえど、少々無礼な物言いではござらぬか?

佐久間信盛:誰であろうと、我が主を愚弄することは許さん!

光秀:生涯、番が回ってこぬ者もおりまする。よくお考えくださりませ。

信長:考えるまでもない。上洛の件お引き受けいたす。

丹羽長秀:お待ちくださいませ、殿。ここはよく吟味を・・・。

滝川一益:足利義昭様がどのような御方なのかも、まだ分かりませぬ。

信長:心配無用じゃ。(立ち上がり、刀をつかんで光秀の背後に控える従者の下へ。刀を抜き、斬りかかったところで光秀が従者を庇うように間に入る)やはり。(訳知り顔の半兵衛。無言)足利義昭様でございましたか。(刀を収める)

従者、実は足利義昭:参ったなあ。(「鎌倉殿の13人」での北条義時・小栗旬が着ていた衣装を着ている!)なぜ分かった?(一同が義昭の方向に向かって座り直し、頭を下げる)

信長:明智殿が、常にあなた様を気遣う振る舞いであったと・・・半兵衛から聞かされました。

藤吉郎秀吉:そうなのか?!

竹中半兵衛:(威儀を正して義昭の方に頭を下げ)最初に気になったのは、明智殿が「我ら」とおっしゃったので(我らは、一刻も早く織田殿にお会いしたい)。もしかしたらただの従者ではないのかと。その後も、明智殿があなたの言葉に従った(町で英気を養っては)のも、座らなかった訳も。従者の方が先に団子を口にしたのも、そういうことなら納得できます。

義昭:(光秀と目を交わして)隠していたつもりだが、木下殿に乗せられて楽しくて、気が緩んでいたようじゃな。

藤吉郎秀吉:無論、わしも気づいておりました!(ウソ)

義昭:ハハハハハハ・・・将軍の血を引いたばかりにわしは今、命を狙われておる。だから、この目で見たもの以外は信用できんのじゃ。これまで頼ろうとした武将たちにも皆、同じことをしたが、気が付かれたのは此度が初めてじゃ。(立つ)

信長:(座って頭を下げ)ご無礼の程、平にご容赦くださりませ。

義昭:織田殿。わしはほんの2年前まで仏門に身を捧げ、俗世と離れて一生を終えるつもりでいた。しかし・・・わしにも番が回ってきたようじゃ。(ひれ伏す信長の前に膝をつく)今、この乱れた世を救えるのはわししかおらぬ。(信長の肩に右手を置き)力を貸してもらいたい。

信長:(伏したまま)この織田信長、必ずや義昭様を京へお連れし、天下布武を成し遂げて御覧入れまする。

藤吉郎秀吉:(一同がひれ伏す中で、ぴょこんと体を起こし)義昭様、我らにお任せ下され!

義昭:ハハハハハハ!(光秀も目を細め、ほほえむ)

 面白いシーンだった。

 まずね、かつての小栗旬の衣装を義昭様がお召しになっている件。「鎌倉殿」で上総の介が殺されて、大人の階段をひとつ無理やり上らされた義時が、薄いグリーンから少し濃いめのグリーンを着るようになった時の衣装だよね。懐かしかった。

 これをまた、従者=義昭様が背筋をピンと美しくお召しになっていて、居並ぶ一同の中では姿勢の良さでは群を抜いていた。尾上右近、歌舞伎役者は流石だ。竹中半兵衛の菅田将暉も姿勢よく頑張っていたけどな。

 「鎌倉殿」では、今の織田信長をまさにふてぶてしさしかない演じ方の小栗旬が、本当に初々しかった。菅田将暉の義経の方が年が上の様子に見えて、義時の方がちゃんと少年っぽかったのが驚きだった。役者ってすごい。

 それから。やっぱり菅田将暉の半兵衛は信長の直臣で秀吉の家臣じゃなかったね。秀吉家臣だったなら、直属上司の秀吉に従者に関する疑問を伝えず、すっとばして社長の信長に言う訳がない。半兵衛の言葉を聞いて「そうなのか?」と秀吉はビックリだったもんね、「わしも気づいていた」と後でいつものように嘘をついて笑わせていたけれど。今作の秀吉は、本当に嫌味なく明るい。

 それからそれから・・・明智光秀ですよ。要潤がかなり良いね、出てきた時から「光秀がきた」と思ったよ。

 過去作の光秀の中では、「麒麟がくる」の割と聖人君子的な悩める十兵衛光秀は、主役だったし異色すぎたから置いておくとして、理知的で実力があり、誠実さもあり、それでも出来過ぎる男だからこそ嫌味っぽさも多少出てしまう「秀吉」の村上弘明の光秀が、見てくれの美しさの点でも近いかもしれない。

 いや、要潤の方が、自信から来る傲慢さは一歩強いかな。信長との丁々発止は朝ドラ「らんまん」の田辺教授みがある。しかし、「豊臣兄弟」は「らんまん」率が高い。

 あとね、光秀のセリフで「今の畿内に居座る三好一族は、先の将軍足利義輝公を亡き者にした大逆人」を聞いて、「麒麟がくる」での向井理演じる義輝公の壮絶な戦死を思い出し、胸が痛んだ大河ファンは多いと思う。あれはすごかった。ということで、私の中の「義輝様」は今も向井理だ。

今週の口八丁小一郎、不発?

 主役の小一郎は、兄者の藤吉郎がどんな無理難題を引き受けてくるか分からないからそれに備えねばと、家臣一人一人の特性を把握し、彼らの話を聞き、禍根を残さぬように対処する裏方のマネージャー業務に忙殺されているようだった。

 その準備があってこそ、木下藤吉郎チームはすぐに次の戦にも上洛にも飛び出していけるのだもんね。小六も小一郎のことを「大したものだ」という目で見ていた。

 ところで、小六が殿からの名物の茶碗を秀吉に回してもらったのにぞんざいに扱い、「30貫になる」と値段を聞いて慌てて大事に扱うのはもう、何と言うか成り上がりのあるある。でも、流通に携わる川並衆ってもう少し価値ある物を知っていそうな気もするけど?そんなことないのか?

 信長の「天下布武」への上洛の話に、藤吉郎は意気揚々、でも小一郎は「天下布武か」と、げんなりため息まじり。「京へ上るには、その手前の六角、浅井とも事を構えねばならぬ」と現状を説明してくれたが、浅井には・・・とうとう来ました!信長の妹・ヒロインお市が嫁ぐ話が進んでいた。

 宮﨑あおいのお市は、庭で刀を振るっていた。取ってつけた感じで、危なっかしい💦あんまり慣れていない様子。「男に生まれたかった」感の勇ましさは、このお市様からは感じられない。この点、「どうする家康」の北川景子は乗馬姿も凛々しく、なかなか良かったよね(清須に来た家康を、お市が馬で周囲を案内した時に「こんな山ない」と地元住民がSNSでざわめいたのを思い出した。清須城もなんかものすごい近未来的な要塞に見えたんだったか・・・懐かしい)。

 信長は、お市に浅井に嫁げと命じたのに、長政の人となりを尋ねられても「知らん」と言う。情報戦に長けた織田がそんなはずはない。それをお市にいい加減だと責められて、「知れば、迷うてしまうやもしれぬ」と答える信長は、お市が兄の自分を大好きなんだってことを知ってるんだろうなー。自信満々だ。この兄と妹、感情が恋愛に近すぎてちょっと見るたびキモイ。

 「市はうれしいのです。やっと兄上のお役に立つことができまする。この時が来るのを待ち望んでおりました。兄上の信じる道をお進みください」と、人質同然に浅井に嫁ぐことを受け入れたお市。なぜか藤吉郎を呼び出した。

 寧々の顔色を窺う藤吉郎に代わり、お城に上がったのは小一郎だった。

お市:なんじゃ、弟猿の方か。

木下小一郎長秀:申し訳ございませぬ。兄は今、手が離せずまずは手前がお相手するようにと。

お市:そうか。

小一郎:私でお役に立たなければ、すぐに兄を呼んでまいりますが。

お市:いや、そなたでよい。これを(まっさらな紙)。浅井殿に文をしたためようと思うてな。筆を執ってみたものの、うまく書けぬのじゃ。そなたが書いてくれ。・・・私は織田家のために嫁ぐのじゃ。何をどう取り繕うても見透かされてしまう気がしてな。そなたら兄弟なら、作り話は得意であろう。

小一郎:お許しくださいませ。お市様に成りすまして文を書くなど、畏れ多い事でございます。

お市:下書きで良いのじゃ。

小一郎:申し訳ありません。(深々と頭を下げ謝る)

お市:無理を申したな。下がって良いぞ。

小一郎:聞いた話では、浅井長政殿は、秀麗なお顔立ちにて気性もお優しく、物静かで穏やかな誰からも慕われるお人とのこと。お市様はきっとお幸せになれまする。

お市:そうか・・・兄上とは似ても似つかぬ・・・私の好みではないな。

小一郎:・・・と言うのは、全て作り話にございます。お市様を励まそうと思い、つい。

お市:このたわけが。余計な気遣いは無用じゃ。

小一郎:されど、こたびの婚礼、ひとかけらでもご自分の為とは思えませぬか?何か一つでも。

お市:私も・・・男に生まれたかった。さすればそなたのように、兄と共に戦うことができたであろう。周りの男どもが元服し、初陣を飾るたび、いつも羨ましく思うてきた。この婚礼は、私の初陣じゃ。これほどめでたきことはない。

小一郎:ならばお市様。どうかご武運を。(小さく微笑む市)

 小賢しい小一郎は、信長が敢えて言わなかった長政の人となり情報を知っているだけ意気揚々としゃべり、お市をガッカリさせてしまった。お市の兄上ラブを知らないのだろうね。それでも、何とかリフレーミングさせることには成功。婚礼についてネガティブ感情で一杯のお市に、前向きに「私の初陣じゃ」と言わせることができた。

 ただ、後日譚が。嫁いだお市が、柴田勝家にこう言うのだ。

勝家:お市様。では、我らは岐阜に戻ります。

お市:ご苦労であった。

勝家:もし、何かお困りごとがあれば、いつでもお呼びつけください。この勝家、すぐに駆けつけて参ります。

お市:そういう訳にも行くまいが・・・では、ひとつ言伝を頼む。「嘘から出た真じゃ」と小一郎に。

勝家:小一郎に?

お市:そなたのせいで、私は不幸になったと伝えよ。

勝家:あやつ!お市様に一体何を?!あ・・・おのれ!許せぬ!このことは殿にもお伝えして・・・!(怒りのあまり立ち上がる)

お市:待て待て。ただの戯言じゃ。やっぱり伝えんでいい。

勝家:いや、しかし!

お市:相変わらず、武骨な奴じゃな。(うなだれる勝家)でも、長政殿より私に合うてるやもしれぬ。いっそお前と一緒になる方が、マシであったな。

勝家:そ、そ、そ、そのようなことを、と、と、と、突然言われましても・・・も、も、も、もし殿のお、お、お耳にでも・・・。

お市:勝家。戯言じゃ。(膝をつく勝家)気を付けて帰れよ。

 お市様、魔性の女すぎるでしょう!こういう単純直情型の勝家を翻弄してからに・・・あんな訳の分からない小一郎への言伝なんか、こういうタイプにしちゃダメだよねえ。でも・・・北ノ庄落城の場面が感慨深くなりそうだ。

 あれ?もう次回は本圀寺の変だって?「麒麟がくる」「どうする家康」など、最近の大河ドラマで義昭を奉じての信長の上洛の描写は記憶に新しい。頭の中でアレコレ比較してみるのが楽しみだ。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#9 直が導く小一郎のこれから。「私、すごいな」の言葉を次に発するのは、きっと運命の人。竹中半兵衛は戦変態、藤吉郎が仕えた松下家が凄かったらしい

コントのように龍興が逃亡!

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第9回「竹中半兵衛という男」が3/8に放送され、菅田将暉演じる軍師・竹中半兵衛が本格登場した。

 小一郎&藤吉郎は三顧の礼をさせられたり弄ばれながらも、諸葛亮に憧れている様子の戦変態・半兵衛調略に成功し、西美濃三人衆も信長に下った。斎藤龍興は稲葉山城から逃亡(あそこまで追い詰められていたのに、あの状況で良く逃げた💦まるでお笑いのコント。もっと早く逃げているだろう😅)、信長の美濃攻略は成って同城は「岐阜」城へと改名されるという怒涛の展開だった。

 史実とは多少は異同もあるようだ。が、そこらへんはもう気にしない方が良い。ドラマはドラマ、「水戸黄門」とまでは言わないが、そういうものだ。すっきり理解できて楽しめる方向を今年の大河は目指しているのだね。時代考証の先生方は懐が深いのだ。

 まずは公式サイトからあらすじを確認する。

(9)竹中半兵衛という男

 直(白石聖)の死を悼む間もないまま、小一郎(仲野太賀)は美濃国主・斎藤龍興(濱田龍臣)の家臣、竹中半兵衛(菅田将暉)の調略に向かう。だが知恵者と名高い半兵衛は相当の変わり者で、小一郎と藤吉郎(池松壮亮)は翻弄される。その一方で、2人は斎藤家重臣・安藤守就(田中哲司)から思わぬ申し出を受ける。兄弟の報告を聞いた信長(小栗旬)は龍興の居城を包囲するも、窮地の龍興の前に半兵衛があらわれる。(9)竹中半兵衛という男 | 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 | NHK

姉・とも、兄・藤吉郎の心配

 稲葉山城の攻防も見せ場だったけれど、小一郎が主人公の今作の場合、今回の物語で重要だったのは前回死亡した恋人・直をめぐる小一郎らの心の動きだった。

 直の死後十日を経ても、布団をかぶったまま食事もロクに摂れない弥助が、「このままじゃあんたまで死んでまうよ」と心配する妻・ともに刀を渡し「介錯せえ」と迫ったり、迎えに来た小一郎に「斬ってくれ」と叫んでいた。

 最初は小一郎が布団をかぶっているのかと思ったが、無理もない、弥助だって目の前で死んだ直を自分が守るべきだったと考えたら「もう小一郎殿に合わす顔が無い」と深刻に思うよね。

 (ところで、弥助はどうやって直をひとりで連れ帰ったのだろう。尾張の中村から小牧山まで、自分は既に直の白無垢を含む大荷物を背負っていたわけだから、他の人の手が無いと・・・遺体は重いよね、昨年の「べらぼう」で、蔦重が自分を庇って傷を負った新之助を運ぼうとして、絶命したらガクッと重くなり、二人とも倒れ込んだ。弥助は、直のために何か輸送手段を入手したはずだけど、何だろう?・・・前職を考えると馬か。そうか、きっと馬だよね~失礼。)

 しかし、小一郎は弥助の言葉をまるで平静であるかのように「何度も言うてるでないか。弥助殿が悪いわけではないわ」「そんなことして何になるんじゃ。直はもう、戻って来ん」と受け流し、姉・ともに「あんたはなんで怒らんの?あの人のこと責めたらいいじゃない。あの人もその方がよっぽど楽だわ。」「それでも怒りなさい!」と叱られた。

 小一郎は、前回の終わりで「起きてくれ!直!直!」と取り乱し方MAXで無念の気持ちを全力で表明して家族と視聴者の涙を誘ったが、心の傷が深ければ、1回泣き叫んだからってまだまだそれで足りるもんじゃない。まだまだ全然大丈夫な訳がない。

 それを分かっていた藤吉郎は、「わしは大丈夫じゃ」と笑顔さえ見せる小一郎に、次から次へと無理難題を課して「気落ちしてる暇など無いわ」と言わせていた。

 まあ、余計なことは考えずに任務に没頭できる利点もあるかもしれないけれど、それじゃ単なる先延ばし。当分は効くように見えても、心も体も疲弊してしまう。そんなモラトリアムが通用しなくなる日が来る。でもどうすべきか藤吉郎にも分からない様子で、それを小六に吐露していたね。

蜂須賀小六正勝:(3人で調略の任務に向かう)ありえぬわ。あの稲葉山城をたった数人で落としたなどと。ただの噂話であろう。

木下藤吉郎秀吉:これまで美濃で負け戦が続いたのも軍略に長けた竹中半兵衛の策があったからじゃ。だからこそ、何としても味方に引き入れよとの信長様からのお下知じゃ。

小六:しかし、それほどの優れ者ならば、なぜそんな山奥で詫び暮らしをしておるのじゃ。

藤吉郎:優れ者じゃからだて。皆に妬まれて敵も多いのじゃ。わしと同じだわ。優れすぎるのも困ったものよ、のう?小一郎。

木下小一郎長秀:兄者と同じかどうかは知らんが、あの者がそうたやすく誘いに乗るとは思えん。

藤吉郎:従わぬ時は、首を取れと殿は仰せじゃ。

小六:おう、それはわしに任せとけ。

藤吉郎:早まるな。殿に逆らうつもりはないが、こたびは時が長くかかろうとも調略するのじゃ。

小六:そんなに欲しいのか、竹中半兵衛とやらが。

藤吉郎:小一郎!この先に敵の砦があるはずじゃ。探って参れ!

小六:ああ、ああ、それならわしが・・・。

藤吉郎:いや、頼む小一郎。

小一郎:わかった。(ひとり、離れて走って行く)

藤吉郎:抜かるでないぞ!

小六:強い男じゃのう。いいなずけが亡うなったというのに。

藤吉郎:そう見えるか?(涙声で)わしにはあやつの悲鳴しか聞こえぬ。何かをしていなければ立っていられぬのじゃ。だから、時をかけて構わぬ。無理難題を押し付けて、生きる張り合いを与えるのじゃ。そんなことしかできぬ。情けない兄じゃ。

 この会話、竹中半兵衛の話も紹介しながら小一郎の心情を慮る藤吉郎と小六の思いも表現していて、上手いなと思った。さすがだよね。

 さて、大事な人を亡くした葬儀で涙も見せずに「気丈に振る舞っている」人の話を聞いた時に、私も昔なら小六のように「強い人だ」と思っていたと思う。が、被害者支援を学んだ後は、場合によったら「解離しているんだろうな」と余計に心配に思うようになった。

 ざっくり言うと、自分は1枚ベールの奥というか、カーテンがかかったような状態で、現実の事としてまだ捉えられていないだけの話。強い衝撃から心を守っている反応なんだとか。

 決して傷ついていない訳じゃなく、「ダイヤモンドは傷つかない」ではないのだよね。心の傷は、目に見えないからといって無い訳じゃない。

直パパ・坂井喜左衛門、娘と賭けた

 小一郎の心の傷も、パックリ開いて血が流れている状態だろう。この状態の小一郎を、あの世の直が放っておくわけがなかった。直も、無念に違いない。そこで、彼女が動かしたのが直パパ・坂井喜左衛門だったようだ。

小一郎:(直の墓前で)ついに美濃が信長様のものになったぞ。竹中半兵衛も調略して、わしら、またたんまり褒美が貰えるわ。じゃが、それが何じゃ。全く嬉しいと思わん。困ったのう。どうしたらええかの。長いこと掛けて、やっとここまで来たのに・・・もう、どうでもええわ。お前がおらんのやったら、どうでもええ。わしも少し休みたい。(直の五輪塔の前に、脇差を置く)

坂井喜左衛門:死ぬんか?(驚いて振り返る小一郎の前に、坂井)それとも、侍を辞めるっちゅうことか?

小一郎:(慌てて、地面に両手をつく)申し訳ござりませぬ!わしが、直を中村から連れ出したばっかりに、こんなことに!そばにいてやることもできず、真に・・・!

坂井:やめい!うっとうしい。(藤吉郎が立ち聞き)今更、そんなことを聞きに来たわけではないわ!銭をよこせ。(土下座した小一郎が顔を上げる)直と賭けをしたのじゃ。

回想の坂井:(直が酌をする)昔はようこうして酒を飲んだの。

回想の直:はい。

回想の坂井:で、何が望みじゃ。

回想の直:え?

回想の坂井:お前が酌をする時は、決まって何かおねだりする時であった。

回想の直:アハハハハ、さすが父様じゃ。祝言に来てください。

回想の坂井:婚礼を認めたのじゃ、もう良いではないか。

回想の直:よくありませぬ。やっぱり私は小一郎のことも、父様に許していただきたいのです。

回想の坂井:欲張りな奴じゃな。

回想の直:はい、欲張りです。小一郎がそうだから。あの人は、いつも皆が満足しないと、気が済まないんです。フフ、きっと会ったら父様の話をよ~う聞いて、どっちも笑える道をきっと見つけてくれる。「これで万事円満でござる」って得意げに言うの。フフ。戦だって、争いごとは無くならないかもしれないけど、無駄な殺し合いは無くすことが出来るって。とことん話し合って、考えて考えて考え抜けば、必ず道はあるって。

回想の坂井:バカバカしい。そんな世など来るはずなかろう。

回想の直:できる方に、五百文!

回想の坂井:ああ?

回想の直:私のへそくり全てじゃ。いつも調子の良い事ばっかり言って・・・でも、もしかしたら本当にそういう世にできるんじゃないかって、騙されたくなる。それが私の旦那様じゃ。

(坂井から話を聞き、呆然とする小一郎)

坂井:ハハハ、その様子ではわしの勝ちじゃな。あ奴も見る目が無かったのう。(去ろうとする)

小一郎:まだ終わっておりませぬ。その賭け、必ずや直に勝たせてみせまする!

坂井:お主が諦めたら!すぐに銭を取りに来るぞ。また逃げるなよ!直と共に、ずっと見張っておるぞ。

小一郎:しかと承知!(ひれ伏したまま坂井を見送る。涙がとめどなく溢れる。)

藤吉郎:(物陰から見ていて涙を流す。坂井と目が合い、頭を下げる。無表情に去る坂井)

小一郎:(泣きながら)これで・・・これで、万事円満じゃ。(涙涙で嗚咽が止まらない)

 直パパの優しさよ。お前がおらんならどうでもいい、なんて言えなくなった小一郎。直を賭けの勝者とするためには、とことん話し合って万事円満に持って行き、この世から無駄な殺し合いを無くさねば。それが、小一郎のこれからの人生の歩むべき道になった。

 前回のブログで、直は小一郎の青春を彩る・・・みたいに書いたが、そうじゃなかったね。青春の1ページどころか、主人公の人生の指針を掲げる存在になったのだ。そりゃ、オリキャラとはいえ存在が大きい。永野芽郁がキャスティングされていただけのことはある(もちろん、ピンチヒッターの白石聖は素晴らしいけどね)。

 そして、永禄十年(1567年)九月。信長が新たに居城とした稲葉山城の天守に立ち、絶景を眺める織田家の重臣の面々の中に、小一郎もいた。(その時の勝家の満足そうな表情が良いね~😊)小一郎を残して皆が屋内に入った時、そこに現れたイマジナリー直!

小一郎の心の声:直。わしは、兄者と共にもっと強う成る。強うなって、お前の見たかった世を作ってみせる。(想像上の直が横に並んで立っている)

イマジナリー直:私、すごいなあ。小一郎なら、きっとそう言うと思った!

(涙の溢れる目で、小一郎を見てほほ笑む直。横を見て驚きながらも、深く息を吸い前を見据える小一郎)

 聞くたびに毎度思うけど、現代の日本だって、「私すごいなあ」なんて言葉は自己肯定感が低くなりがちな女子からはそうそう聞けたものじゃない。戦国の世に、自尊心がピカピカになる育て方を坂井喜左衛門は娘にしたものだ。

 直ちゃんの退場でしばらくはこの言葉も聞けなくなりそうだけれど、このキーフレーズ「私すごいな」と口にして登場する人物は、小一郎の運命の人決定だ。きっと出てくる。そっちに賭けよう。

直ママの行方が気になる

 こうなると、ますます気になるのは、藤吉郎が村から連れだして坂井を怒らせた直ママのことだ。直が村から出たら、すぐに藤吉郎に聞いて消息を尋ねるのかと思いきや、まったく存在がスルーされている形の直ママ。以前も書いたけれど、おかしいよね?

 今回だって、坂井は、小一郎に連れ出された直の事ばかりじゃない、奪われた妻の事でも藤吉郎に腹を立てて文句の一つも言いたいはずだ。でも、目を合わせても無言で通り過ぎた。藤吉郎が侍大将にまで出世したからモノが言えないというのはあるだろうけれどね。

 もう彼女も死んでいるのかもしれないとは思う。だけど、それなら直がお墓参りにも行っていないなんてことがあるだろうか?もしかして、ドラマで描かれなかっただけで、交流があったのか?直ママの行き先に、秘密が隠れていそうな気がするのだが。

 私が疑っているのは、直ママが再婚して、もしかしたら直の異父妹が生まれているのではないかということだ。

 直そっくりの妹。その彼女が、小一郎の前に姿を現すのではないか?白石聖の再登板は有り得るだろうと思っているので、そちらの線ではどうだろうか。妹が「私すごいな」の継承者ということで。(つまり、母親の口癖を姉妹が引き継いだ?)

藤吉郎は、ただ者じゃない

 ここ数回を見ても、今作の秀吉は、兄弟思いで落ち着いた人格の好人物だよね。そして、小一郎の活躍もあるんだけれど、ところどころでちゃんとやっぱりすごい点を見せている。

 今回も、稲葉山城の攻略の際に抜け穴の存在にしっかり気づいたのは藤吉郎だった。信長の、岐阜城の命名についても「岐と阜、縁起の良い字を揃えましたな~」と藤吉郎は反応していて、ちゃんと武将らしい学もあるってことですよ、うん。

 若き日の秀吉の足跡に迫っている磯田道史先生の番組を見たら、大変面白かった。藤吉郎が最初に仕えていた松下家、実は大変な家だったらしい。

天下人 秀吉・家康 出世の真実2時間SP|磯田道史の歴史をゆく|BS日テレ

 もしかしたら、藤吉郎は当初は今川方の忍びとして松下家によって織田方に送り込まれたのかもしれない。しかし、桶狭間の戦いなどの成り行きを見て、藤吉郎は今川方に見切りをつけたのかもね。

 こんな書き込みもあった。

 松下之綱(松下之綱 - Wikipedia)の娘で柳生十兵衛ママが、「おりん」という名前らしい。 おりんと言えば・・・あのテレ東「逃亡者(のがれもの)おりん」を思い出してしまうね。なるほど、柳生宗矩の妻から名を貰っていたのか。主演の青山倫子は、由美かおるのような色っぽい「くノ一」の立ち位置で、人気を博していた。どうでもいいか。

 藤吉郎は、人一倍すばしっこそうだし、松下家で忍びのような学びを得たのかもしれない。その手法を会得しておれば、信長にも特別に目をかけられるはずだ。

 確かに、「おんな城主直虎」では、之綱の義兄弟に当たる松下常慶は修験者の格好をして諜報活動に励んでいたようだった。今作では今井宗久の和田正人が演じていた。だが、同じく之綱の義兄弟の松下清景(井伊直政の母である奥山ひよの再婚相手)の方は、インテリ風だけれど優しい感じで終始していたから、修験者だの忍びだのがピンとこない。

 が・・・松下家がどういう家なのかを考えると、そこに直政の母を再嫁させた井伊家もすごい。「おんな城主直虎」ではそのあたりがどう描かれていたか?生き馬の目を抜く戦国らしいよね。

 ということで、今後の「豊臣兄弟!」の藤吉郎への見る目が変わりそうだ。

(ほぼ敬称略)

 

【豊臣兄弟!】#8 さよなら青春。オリキャラ直の限界、訪れた悲劇の別れに号泣の小一郎。墨俣「一夜」城の逆転の発想が面白かった

祝言=さよならのサインだった

 はあ、直ちゃん死んじゃいましたね・・・NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第8回「墨俣一夜城」が3/1に放送され、小一郎が美濃攻略の一大イベント墨俣一夜城築城に兄藤吉郎と共に奔走する中、恋人・直が故郷の村の水争いに巻き込まれ命を落とすという、悲劇的な最期を迎えた。

 ドラマは、直の遺体を前にした小一郎の号泣で終わり、次回予告も流れなかった。直の遺体に掛けられていたのは、祝言のための白無垢だった。パパに持たされたやつね。

 祝言を迎えられないことは、分かっていたことだけれどもね・・・だって、羽柴秀長の奥さんとして、直ちゃんは記録されていないよね?だから、小一郎が「祝言を」と言い出した時点であちゃー、今回でサヨナラ決定かと思った次第だ。

 直は、小一郎の青春を彩ってくれた大事な恋人だったよね。ドラマ的に、確かに居てほしい存在だった。

 秀長の正室は、このドラマでは、吉岡里帆が演じる慶(ちか)。なんでも、西美濃三人衆の一人である安藤守就(演・田中哲司)の娘との説があるそうで、ネットを見て知った。だとすると、竹中半兵衛の正室と姉妹ってことになるが・・・ウィキペディア先生にもそういう守就の娘は見当たらない。その説はどうなんでしょうね?

 とにかく、ドラマの現在は墨俣一夜城の年、永禄九年(1566年)。小一郎には正室所生の嫡男与一郎がそろそろ生まれないといけない頃らしいから、オリキャラ直ちゃんの退場も致し方なしだ。(全然関係ないが、永禄九年と言えば真田信之が生まれた年だよね。おめでとう!)

 秀長との婚姻時期について、天正10年(1582年)に死去した子の与一郎が元服して仮名を名乗っていたことから、柴裕之は永禄10年(1567年)頃と推定する[15]。黒田基樹は永禄9年(1566年)頃の婚姻と推定し、当時の秀長が織田信長の直臣と推測されることから、その婚姻相手の慈雲院も信長直臣の出との見方を示す[16]

 和田裕弘は、柴や黒田が秀長の別妻・摂取院の父(秋篠伝左衛門)とした[17]「伝左衛門」を慈雲院の父であるとし、尾張神戸氏の出とみられる神戸伝左衛門秀好としている[18]慈雲院 (豊臣秀長室) - Wikipedia

 「お前が幸せなら、それで良いわ」と涙ながらに娘に降参した、直ちゃんパパ(坂井喜左衛門)役の大倉孝二もこれで終わりか、溺愛するが故のツンデレパパぶりが可愛かったね。そのパパがかつて蔵の中で倒れてくる棚から自分を庇ったように、身を挺して村の少女を庇って死んだ直。

 顔面蒼白で少女を気遣いながら倒れた直の背中は血に染まり、何かが当たったのか・・・村人が投げるなどして、背中に刃や石つぶてを受けてしまったのだろうか?パパが知ったら号泣だろうなあ。

 死に際、直ちゃん役の白石聖の演技がとても良かった。だから、小一郎の側室役で再登板というのはどうでしょう?直ちゃんに瓜二つの人物を見かけ、一瞬にして恋に落ちる小一郎。うんうん、良さそうだよね。あ、キャストがまだ決定してなければだけど。

藤吉郎は「ドリルの先端」

 ちょっと脱線。ちょうど大河ドラマでも描かれている、この織田信長による美濃攻略までの藤吉郎の出世ぶりについて、家族も大ファンの磯田道史先生の番組「英雄たちの選択」で面白く取り上げていた。

豊臣秀吉 出世の鍵は美濃にあり | 英雄たちの選択 | NHK

<豊臣秀吉 出世の鍵は美濃にあり> 豊臣秀吉が織田信長の侍大将に取り立てられたのは29歳。それまでの行動は史料が少なく謎が多い。この時期、信長は天下取りの第一歩として隣国の美濃を攻めていた。美濃は勇猛な武将が居並ぶ強敵で大苦戦を強いられたが、攻略の突破口を開いたのが若き秀吉だった。蜂須賀小六ら木曽川の地侍を味方にし、敵の城主を調略し織田に寝返らせてゆく。最初にして最大の敵、美濃攻めを史実に基づいて検証し、異例の出世の真相に迫る。

 絵本太閤記など、秀吉のように物語で様々に脚色された人生が伝えられていると、逆に史実はどこにあるのかと思いたくもなるところ。だが、信長の下、18歳の小者から29歳の侍大将への出世を果たした藤吉郎が、確たる資料はなくとも美濃で大手柄を挙げたのは間違いないことであると、番組ご出演の学者さんも踏んでいた。

 「攻略の突破口を開いた」のが藤吉郎による川並衆や西美濃三人衆らに始まる調略であり、竹中半兵衛のクーデター(永禄七年、1564年)以降、美濃はバタバタと織田方に寝返って斎藤龍興の力が削がれていったとか。

 えーと、そうすると森可成は?今回も、画面には登場していた。こんなことがウィキペディア先生には書かれていたんだけど。改めて戦歴を読むと、大した武将だよね。さすが森蘭丸パパ。

永禄10年(1567年):可成によって、かねて内応を打診していた西美濃三人衆安藤守就稲葉良通氏家直元)が織田家に転じる。(森可成 - Wikipedia

 蘭丸パパの配下で藤吉郎が活躍したのかなあ・・・まあ、藤吉郎の調略の才能がめっちゃ有効だと信長は気づいて、彼を引き立てた訳だ。

 最近は実は保守的だったとか見方が変わって先進性が否定されがちな信長の、やっぱり新しい部分が次の天下人秀吉の重用だったというのが、なんというか胸に来た。調略が、槍働きなど武功にも劣らぬ才能だと評価し、将来の天下人を発掘した信長はやっぱり非凡だったね。

 磯田先生は、藤吉郎を「ドリルの先端」に譬えていた。相手側の岩盤にずぶりと突き刺さり、そこに寝返り要素をどんどん注入、中から瓦解させて突き崩してしまうと。分かりやすい。そのドリルの先端を、信長はあちこちで使い、天下布武が成っていく。

 まだ3/11に再放送がある。NHKBSで午後5~6時に放送されるので、関心のある方はぜひどうぞ。

「一夜城」の意味

 今回のハイライトは、前回仕込みのあったように、藤吉郎と小一郎が川並衆の助けを得て非常に難しい立地の墨俣に砦を築いたことだった。夜陰に紛れて川を使って既に半ばまで組み立てた部品を運び、現場で一気に組み上げたので、斎藤方は「前日には無かったのに、”一夜”にしてできた」と、一夜城だと言って驚いていた。

 その時の、斎藤龍興クンが安藤守就含む、西美濃三人衆の皆さんにすごーく嫌われている感じだった。いかにもすぐにも裏切られそうな感じ。龍興が弄んでいたお饅頭は美味しそうだったけど、当時は高級だろうに、食べ物を粗末にしちゃダメだよね。

 そもそも墨俣に砦か城が存在したのか?と疑われたりもするようだが、第一人者の小和田哲男先生が「あった」とYouTubeで言っていたので、その点は安心して良さそう。

youtu.be

 この砦が、墨俣一夜城と言われる所以が、紀行でも紹介されていたように絵本太閤記で「墨俣の砦城、一夜に成る」と書かれた点にあったのだが、このドラマではそうじゃなくて「一夜しか、もたなかった」と逆転して描かれた。そういう意味での一夜城ね。

 砦への斎藤方の猛攻により、劣勢に追い込まれた藤吉郎の軍勢と小六率いる川並衆。藤吉郎の合図で仕掛けの縄が切って落とされ、水のように流れる油が斎藤方を襲う。藤吉郎が櫓の樽(黒い液体が入っている)に火矢を放ち、砦には炎がバーッと燃え広がった。バルセロナ五輪の開会式みたいだ、と家族が言っていた。派手だねー。

 ガソリンか何か、流動性のある燃焼性の高い油で砦が燃えたみたいな演出だったけど、そういうすぐ燃えてくれる油って当時普通にあったのだろうか?

 まあ、「子連れ狼」では大五郎の乗る乳母車(?)に仕込まれた連射式のマシンガンが出てきて驚愕したし、「西部警察」だって有り得ないような爆発が毎回すごかったんだから、時代劇で細かいことはいいか w 大河だけど。

 この仕掛けの直前の、万感を込めた藤吉郎の言葉。全ての不都合を吹き飛ばし、感動に持って行く池松壮亮だった。

藤吉郎:この城の事を覚えておる者が、この先どれほどおるであろうのう。たった一夜であったが、お主らと共に作ったこの城の事、わしは生涯忘れぬ。良き城であった!

 ところで、砦で斎藤方に囲まれてしまった時の小六と藤吉郎の「小便漏らすなよ」「いや、もう少~し漏らした」という、それで互いにホッコリするやり取りを見て、「鎌倉殿の13人」のあの場面をパクった・・・いや、オマージュかとピンと来た。

 何しろ、義時役だったの小栗旬が相変わらず斜めの信長で出ているだけでなく、義経役だった菅田将暉が軍師竹中半兵衛でご出演。今後、弁慶だった彼も藤堂高虎で出てくるって話だ。どなたかは義時の衣装も着るのだって。「鎌倉殿」カラーはますます強まるのだから、きっと制作陣のサービスだと、そういうことにしておこう。

小一郎がまたまた口八丁

 墨俣砦での攻防で藤吉郎らが敵の目を惹きつけている間に、本命の城を落としてしまえとの信長の命で、小一郎は、前野長康と森蘭丸パパと共に、安藤守就の北方城にやってきた。しかし策は見破られており、守就の兵が待ち構えていた。

 皆殺しにされそうなところ、今回も小一郎が、良く聞いてみると手前勝手な話からスタートして実は核心を突く話に持って行き、守就の心を揺さぶって、上手く逃げおおせた。この口八丁、何を言い出すのか毎回面白い。

安藤守就:やはり来たか。

木下小一郎長秀:なぜ・・・。

森可成:もしや、敵の間者が・・・。

守就:ひとり残らず討ち取れ!

小一郎:お待ちください!(刀を鞘に収める)

可成:小一郎!

小一郎:(前に進み出る)北方城主、安藤伊賀守殿とお見受けいたしました。

守就:いかにも。

小一郎:我らの策を見抜かれた事、実にお見事!さすがは美濃に三人衆ありとうたわれたお一人にござります。

守就:わしではない。見抜いたのは、別の者よ。

小一郎:良きお仲間をお持ちのようで。

守就:何が言いたい。

小一郎:その御力、我らにお貸しくだされ。

可成:いきなり何を言い出すのじゃ!

守就:何?

小一郎:ここで我らが斬り合ったら、何のために兄者たちがおとりになって血を流したのか分かりませぬ。ここはひとまず刀を収めて、我らの話を聞いて下され。

前野長康:我らは今、そんなことを言える立場ではなかろう。(ごもっとも!)

守就:そこまで言うなら、お主らが美濃に寝返れば良かろう。

小一郎:それでも構いませぬ!(驚く可成、守就)それで、皆が良き暮らしができるようになるのなら、願っても無いこと。そう思えるよう、拙者を説き伏せてくだされ。(黙る守就)我が兄なら、迷わずこう申しまする。信長様なら、新たな面白き世を必ずお作りになると。斎藤龍興様には、それができまするか?できると、申せますか!(守就は迷いが顔に出ている)

守就:黙れ!この美濃は、我らの手で守ってきたのじゃ!織田の手になど渡せるか。(兵に)やれ!

(襲い掛かられる小一郎ら。誰かが篝火を次々蹴倒し、暗闇になる)

前野長康:こっちじゃ(小一郎を導いて逃げる)

 ふーん。安藤守就の今後を思うと、ニヤニヤしてしまう場面ではあるよね。しかし、前野長康の「我らは今、そんなことを言える立場ではなかろう」という突っ込みが正にその通り、彼は冷静なんだね。小一郎は(藤吉郎もそうだけど)勢いで話の筋を煙に巻いてしまうところがあるが、長康は引っかからないのね。

 夜目の利く元川並衆・長康が助けになり、小一郎はその場を脱出(あれ?森様は置いてきぼり?)。そこで松明を掲げて出てきたのが何となく諸葛孔明のイメージをまとった竹中半兵衛。「目を合わさず、おびえた様子」と解説は言うのだけど・・・コミュ障設定なのか?でも、策を巡らして稲葉山城を乗っ取ったり(永禄七年、1564年)できちゃったのだよね?

 永禄九年の現時点では、彼は隠遁生活を送っている様子。それで山中の小さな庵に引きこもっていて、庵には舅でもある安藤守就がやってきていた。・・・ちょっと不思議だよねえ、竹中半兵衛は、安藤守就と一緒に稲葉山城を乗っ取ったんじゃないの?それでなぜ守就は、嫌々ながらも斎藤龍興にまだ従っている様子だったんだろう。

 どうも、このドラマでは守就は乗っ取りには参加しておらず、ただ半兵衛を預かっているように見える。そこら辺の事情がよく分からないが・・・次回「竹中半兵衛という男」で詳しく語られるはず。楽しみに待とう。

(ほぼ敬称略)

 

【豊臣兄弟!】#7 直のフラグ立つ?悩みをぶちまけ、「雨降って地固まる」だと良いけれど。墨俣一夜城の下ごしらえは、やっぱりの主役・小一郎が思いつく

直の悩み

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第7回「決死の築城作戦」がニャンニャンニャンの猫の日の2/22に放送された。いや、全然猫は関係ない。NHK公式は、今回の目玉となった超有名な「墨俣(すのまた)一夜城」の伝説について、「大胆アレンジしてお送りします!!」と書いていたが、例の策は、やっぱりの小一郎が思いついたことになっていた。そうなるよね、わかってたよ主人公だもん。

 さて、あらすじを公式サイトから引用しよう。 

第7回「決死の築城作戦」◆◇あらすじ◇◆

藤吉郎(池松壮亮)は晴れて寧々(浜辺美波)と夫婦に。だが祝言の日、直(白石 聖)が中村に帰ると言いだし、小一郎(仲野太賀)は戸惑う。一方、美濃攻めに乗り出した信長(小栗 旬)に対し、藤吉郎は要衝・墨俣の攻略を買って出る。小一郎は攻略の秘策を思いつくが、実現には尾張と美濃の国境を仕切る川並衆の協力が必要。2人は、川並衆の棟梁(とうりょう)・蜂須賀正勝(高橋 努)とよしみのある織田家臣・前野長康(渋谷謙人)に仲介を頼む。(第7回「決死の築城作戦」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 そう、永禄八年(1565年)、信長は犬山城を征して尾張統一に成功。藤吉郎は侍大将となって、重臣のひとりとして評定にも参加できるようになった。出世した。

 そうなったことで、秀吉と寧々も、晴れて婚儀の日を迎えたのだよね。それなのに相変わらず寧々はつまらんことで怒りを爆発させ、寧々の侍女になっている直も、小一郎が考えた作戦に乗って寧々をなだめるために芝居をしただけかと思いきや、本当に故郷の中村に帰ると言い出した。

 はあ?またまた見ているこちらが共感できにくいことを放り込んできたと思った。寧々といい直といい、女どもを自己中なワガママキャラにしたいのか。キャラ立ちさせるためとはいえ、ね。

 直は直なりに不安を溜め込んでいて、その結果なのか発熱。知恵熱?寧々が「熱病にかかったみたい」と小一郎に言ったが、ストレス性なのか何なのか、そこら辺はよく分からなかった。(昔の人はいきなり熱が出て、原因も分からないのが当たり前だっただろう。大変だよなあ💦)

小一郎:薬師は何て言うておるんじゃ。

寧々:できることはやったから、あとは本人次第じゃて。

小一郎:何じゃそれは・・・死ぬかもしれんということか?

寧々:直は、こんなことで負けやしません。

小一郎:何でそう言い切れるんじゃ?何かわしにできることは無いんか。

寧々:ありません。

小一郎:いや、何かあるはずじゃ、何か。

寧々:ない!ただ祈って、信じて、待つしかない。直もそうやって、戦に出たあなたの帰りをずっと待っていたのよ。

回想の直:よう、無事じゃったな。(涙を流して抱き着く)私は、小一郎に生きていてほしいの!あんたは、私と藤吉郎さんのどっちが大事なのよ!

寧々:私らおなごはいつもそう。

 小一郎は貯め込んでいた銭を仏に捧げ、直の無事を祈った。銭の量には笑ったが、確実に以前小一郎が直の父に渡した壺に貯めた銭よりは、増えている様子だった。

 その祈りと銭の甲斐もあったのか、寧々に呼ばれて小一郎が駆けつけると、直は床の上に起き上がっていた。無事、熱が下がったらしい。

 ここでね・・・「直が」しか寧々が小一郎に言わず、小一郎が祈りを捧げていたお堂の境内から飛び出して行くのだけど、カラスを不気味に鳴かせたり、変に思わせぶり!

 作ってる側は、民放ドラマのベタなテンプレに乗って、ちょっと引っ張りたくなった?そんな細かい点でイラっとさせてこなくていいからね。素直に「直の気が付いた」の言葉で小一郎が飛んで行っても全然いいし、カラスまで使わなくったって! 

直:何で?何でここに居るん。(小一郎が直に抱き付く)

小一郎:肝心なところでしくじっての、ハハ・・・兄者に追い返されてしもうたわ。

直:ハハ、あほやなあ。(抱き合ったまま、小一郎の肩をポンと叩く)

小一郎:へへへ、ああ、あほだわ。だで、お前の気持ち何も分かっとらんかった。今まで辛い思いさせて、すまんかった。気づいてやれんですまんかった。直。わしは死なん!必ず生きて直のところに帰ってくる!約束する!だから・・・どこにも行かんといてくれ。ここにおってくれ。お主が、わしの帰る場所なんじゃ。

直:(涙ぐんで)私、このままじゃ小一郎に嫌われてしまう気がして・・・だから一緒にいるのが怖くて、辛くて。逃げようとしたの。でも、本当は・・・(抱きしめられ、泣く)

 えーと・・・感動の場面なのだが、「わしは死なん!」で武田鉄矢の「僕は死にましぇ~ん」を思い出してしまった昭和生まれなもので、ゴメンナサイ。直ちゃん可哀そうだったね!とは、この時にはあんまりなれなかったなー。

 確かに小一郎は、前回でも兄者のために命を差し出そうとしていた。そんな顛末を誰かから聞かされたら、直は「私がこんなに心配しているのに!」と憤慨して当然。自分を忘れたような行動を平気でとる小一郎に頭も来る。信頼できなくなり、好きでいるのも難しくなるかも。

 そんな風に、小一郎の行動に心配の余り腹を立ててばかりの自分を、小一郎は嫌うんじゃないか・・・そういうこと?それが、直は辛かったと言ってると。

 「こんな婚礼、止めた方がええわ。花嫁のことを一番に思わなくてどうするんじゃ!どうせ口先だけじゃろ、あんたら兄弟はいつもそう。お寧々様、こんなのと一緒になっても悲しい思いをするだけです。考え直されませ。(兄弟)仲がよろしいこと。いっそ、あんたらが夫婦になったらどうじゃ!」って、直は藤吉郎小一郎兄弟に言ってたもんな。 

 小一郎が「これ以上兄者をコケにしたら許さぬぞ!」と反撃したが、確かに可愛げがないと思われても仕方ない直。小気味よくて、すごく面白い場面だったけど。

 その後、直は「私は中村に帰る!もう、あんたとは一緒になれんわ」と、悩みの一端を口にした。憎まれ口の陰で、深く悩んでいた。やっぱり可哀そうだったね、直ちゃん!

寧々様は16歳?

 オリキャラの直は分からないが、この藤吉郎との婚礼の時点でこのドラマの寧々は16歳ぐらいになっているらしい(高台院 - Wikipedia)。時代考証の黒田基樹先生の「永禄八年八月説」に基づいているんだって。

 従来説では4年前倒しの永禄四年(1561年)、12歳で結婚とか現代じゃ有り得ない~と悲鳴が上がりそうだが、リアルで前田のおまつは11歳で長男を産んでるっていう・・・戦国は、本当に厳しい時代だ。

 つまり、お寧々も直も、まだまだ子どもなんだよね。不安になって気持ちのアップダウンは多少仕方ない。ある意味、年齢らしい子どもらしさを表現しようとするあまり、素っ頓狂に子どもっぽくなってしまって俳優陣も苦しい、大河あるある。大人になればそれなりにキャラも落ち着くだろう。

 直ちゃんは、「あさイチ」にも出たし、もうそろそろ卒業か?てっきり体の具合が悪いのを小一郎や皆に隠していて、こっそり中村に帰ろうとしていたのかと想像していたが・・・あの発熱が一過性のものであると良いね。

山口馬木也の剣はカッコイイ

 尾張を統一して、美濃に矛先を向けた信長が墨俣に砦を築こうとした。佐久間信盛など皆が失敗してきたらしいが、柴田権六勝家も、藤吉郎の申し出を制して引き受け、張り切って取り組んだものの失敗、数多の手傷を負って信長に「負け犬は目障り。許しがあるまで蟄居しておれ」と申しつけられていた。

 まあ、蟄居は信長流の「ゆっくり養生してね」ってことだと理解すればいいよ。

 オヤジ勝家を演じる山口馬木也が、こんなにコメディパートを引き受ける役者さんになるだなんて。藤田まこと主演の「剣客商売」での秋山大治郎は、すばらしく美しく、颯爽とした剣の使い手だった。渡部篤郎の後を引き継いでの大治郎だったが、山口馬木也の方が剣捌きもたたずまいもカッコ良かったなー。

 今作でも、信勝を斬った時にその腕を見せたものの、今回はこんなに傷だらけになっちゃってねえ。彼の剣の見せ場をどこかで作ってほしいな。ああ、彼の主演映画「侍タイムスリッパー」の録画を誤って消したのが惜しい。

小一郎、直を思うと役立たず

 話が逸れた。勝家の後にようやく藤吉郎の出番が来て、墨俣に砦を築くことになった。小一郎は、勝家の担当になった時に「良かった」と胸をなでおろしていたくらいで、相当難しい仕事だということは理解していた。

 でも、今作の藤吉郎は気持ち一つで突き進んでいくタイプ。やる気さえあればできないことは無いと思っちゃってるんだろうなあ。そりゃ小一郎は大変だよ。

 破れて帰ってきた者たちに、まんじゅうやら酒やらを振る舞って話を聞き出し、敵から丸見えの平坦地で敵と戦いながら砦を築く大変さを知った小一郎。藤吉郎も、「殿の為じゃ」と言う柴田勝家から(この時も傷の痛みの小芝居がいちいち入り、面白い)、「敵は斎藤ではない。ときじゃ」とヒントを貰った。

 美濃の守護の土岐氏のことかと思いきや、とき=時。「砦が出来あがりそうになる頃合いを見計らって総攻めを仕掛けてきたそうじゃ。数日で仕上げてしまえば敵も油断して手が出せぬかもしれぬ」と藤吉郎は言い出した。普通は、数日どころか一月はかかるんだそうだけれどね。

 見せ場の墨俣一夜城を築くアイデアは、割とあっさり出てきた。ピンと来る時はそんなものだ。

藤吉郎:腹減ったのう。お寧々!お寧々!

寧々:はい?

藤吉郎:何か食わしてちょ。

寧々:えっ?急に言われても・・・。

なか:汁でよければ、すぐ出来るよ。下ごしらえしといたネギと里芋があるからね。それを味噌と合わせるだけだで。

藤吉郎:おお、それでええ、それでええ。さすがおっか様じゃ。

寧々:ああ、かか様。私がやりますから、休んでてくださいな。

なか:なんのなんの。いつもやっとるから。(思案顔の小一郎)

寧々:いえ。藤吉郎さんは、私の夫ですから。

なか:私の息子だで。

藤吉郎:まあまあ。二人で作ったら良いではないか。

小一郎:それじゃ。汁も砦もおんなじじゃ。あらかじめ下ごしらえをしておいて、一息にそれを合わせる。そうすれば、さほど時を掛けずに造ることが出来よう。

弥助:何を言うておるのじゃ。汁と砦が同じ訳なかろう。

小一郎:(地図を示す)これじゃ。ここで砦を造る材木を切り出し、運べるギリギリの大きさまで先に組んでおくのじゃ。

藤吉郎:下ごしらえか。

小一郎:(うなずき)あとは、それを川を使って墨俣まで運び、一気に組み上げる。

藤吉郎:うん、いける!いけるぞ小一郎!

甚助:いやしかし、そのためには・・・。

小一郎:川並衆を手なずけなければならぬ。

弥助:川並衆。

小一郎:尾張と美濃の国境の川筋を仕切っておる地侍の集まりじゃ。金さえ積めば、何でも請け負う無法者どもと聞く。

藤吉郎:すまぬが、汁は無しじゃ。早速、これから話を付けに参ろう。

弥助:今から?

藤吉郎:善は急げじゃ。

甚助:そんな連中、信用できますでしょうか。

藤吉郎:確か、織田家の家臣に前野長康殿という、かつて川並衆じゃったお人がおる。口を利いていただこう。

弥助:本当に、今から行くのか?

藤吉郎:手柄を挙げたければ素早く動くのじゃ。のう?小一郎。(とまどう小一郎)

甚助:いいんですか、直さんの事。

藤吉郎:直がどうした?

小一郎:いや、何でもないわ。すぐに支度に取り掛かろう。

 チャンスの神様は前髪しかないっていうもんね、素早く動いて掴まないとね。でも、藤吉郎は芋汁ぐらいは皆に食べさせておいた方が良いよ、腹が減っては戦もできないからさー。

 この場面で、一夜城築城のアイデアも、川並衆も、前野長康も、直のことまでマルっと説明してしまった。大切なシーンだったね。

 そして、直に気を取られ、またも一拍遅れている小一郎。この後、川並衆の筆頭・蜂須賀小六正勝を説得する場でも、小六を手当てする女性に直を重ねて見てしまい、全然身が入らない。そんな「役立たず」になってしまっている弟を気づかい、小牧山城に追い返す藤吉郎。ほんと、夫婦になった方が良い位、思い合っている兄弟だよね。

 藤吉郎は、かつて小六の義兄弟であった前野長康がピンチの場面でも、川に蹴り落して上手に助けた。人たらし場面が次々出てくる。小六と前野長康の兄弟関係も見どころになっている。

 ということで、人たらしの藤吉郎が、小六を説得する場面。これも良かったね。基本的に今作の藤吉郎は拝み倒して人を動かすスタイルなんだと思うけど、相手の気持ちをさすがに敏感に悟るし、なんか可愛らしい。池松壮亮のキラキラの瞳で説得されたら、ウンと言ってしまうのだろうね。

 土砂降りの雨の中、直のためにお堂で祈る小一郎、そして小六を説得するために、雨に打たれて待つ藤吉郎。共に雨に打たれる兄弟に運が巡ってきた。

(泥だらけで座った藤吉郎。蜂須賀小六が来て、策を記した藤吉郎からの文を丸めて放り投げる)

小六:わずか3日で墨俣に砦を築くなどと、ばかげておるわ。

藤吉郎:(文を拾う)どこが、ばかげておるのじゃ。

小六:ここから墨俣までは、川の流れが変わる急流が8カ所ある。組み上げた材を載せて、そこをいかだで越えるには相当な腕が要るのじゃ。

藤吉郎:ほう。

小六:それに、墨俣の一帯は湿地が多く普請が難しい。場所を見極めねば取り返しのつかぬことになる。

藤吉郎:人数はいかほど要るかの。

小六:少なくとも、千は要るであろう。ただ集めれば良いというものではない。皆が息を合わせて動かなければ、しくじるだけじゃ。

藤吉郎:お主らでも、流石に難しいか?

小六:我らならできる!

藤吉郎:(笑う)・・・では、やってもらいたい。(フラフラ立ち上がる)お主は疫病神などではない。勝ちをもたらす軍神じゃ!ともに、この世を見返してやろう。

 ここで、直が回復したために安心した小一郎が戻り、斎藤の兵に狙われた藤吉郎や前野長康らの織田勢を、小六率いる川並衆が救うというね。毎回ちゃんとスッキリと終わらせてくれる。子どもも見てて安心だ。

 さあ、下ごしらえも終え、次はいよいよの墨俣一夜城の築城。楽しみだ。菅田将暉の竹中半兵衛も出るかな?

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#6 謀られても信長を信じた藤吉郎、命を懸けて兄(≒大沢次郎左衛門)を守った小一郎!信長は誅殺した弟・信勝を小一郎に重ねていたか

自分を罰したい信長は、「弟」の活躍が見たい

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第6回「兄弟の絆」が、選挙での休みを1回挟んでの2/15に放送された。ドラマタイトルが「豊臣兄弟」と来て、今回のサブタイトルが「兄弟の絆」なんだから、これは見逃せない回になるはずだと思ったら、NHK公式サイトでもこう書かれていた。

仕組まれた罠・・・誰が、なぜ!?捕らわれた兄の命を救え!物語の核心に迫る勝負回「兄弟の絆」ついに開幕!!

 勝負回だと公言していたね。やっぱりー。さて、まずは今回のあらすじを引用する。

第6回「兄弟の絆(きずな)」◆◇あらすじ◇◆

 大沢(松尾 諭)に信長(小栗 旬)の暗殺を企てたという疑いがかかった。小一郎(仲野太賀)の機転で、その場での手打ちは免れるが、このままでは鵜沼城に残った藤吉郎(池松壮亮)の命が危ない。翌日までに大沢の無実を証明することになった小一郎は、調査に奔走しつつ、市(宮﨑あおい)に信長への口添えを頼む。だが市はそれを断り、信長のある過去を語って聞かせる。翌日、手詰まりの小一郎は信長の前で驚きの行動に出る。(第6回「兄弟の絆(きずな)」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 信長の暗殺を企てたとされる大沢は、従者に毒を塗った苦無(くない)を荷物に忍ばせ持たせていたと疑われ、大問題になったのだが、結論を言ってしまうと、佐々成政の手で苦無を仕込ませ大沢の罪をでっち上げたのは、信長本人だった。

 (前回のブログで、「べらぼう」大崎以来、毒に親和性の高い映美くららが演じる大沢の妻・篠が、出発前に苦無に毒を塗って荷物に仕込んでいたらどうしようと案じたが、そんなことはなかったね😅当たり前ながら。)

 信長は、自身のように一族の骨肉の争いを勝ち抜いて鵜沼城主となった大沢次郎左衛門を信用できない。完全に大沢に自分を重ね、汚らわしいかのような目で見ている。藤吉郎のことも、大沢と引き換えに鵜沼で人質になっているのだから、大沢が無事に帰城できなければ大沢一族に殺される運命にあるが、あまり気にかけていない様子だ。

 なのに、どうだ。小一郎のことは、ドラマ上で主人公なのだから特別な存在に仕立てなければならないのだけれど、信長にとって特別な存在である弟・信勝と重ねられて見られているのだということが今回、分かった。藤吉郎と小一郎の木下兄弟が並ぶと、自然に弟小一郎に注目してしまう過去を引きずった信長だったのだ。

 幼い頃の信勝は、お仕置き中で縛り上げられて空腹の様子の兄に握り飯を運び、お仕置きの原因になったいたずらにも、「今度は誘って」と言って兄と笑いあった。成長してからも、信長と共に狩りに興じ、屈託のない笑顔を織田兄弟は交わしていた。

 信勝(信行)と言えば、歴代大河ドラマでは大体が兄信長に殺される場面だけでのご出演だったかも。殺害前のシーンがあっても、奔放な兄と優秀な弟の、気が合わない冷たい関係が示されたりとかね。「麒麟がくる」の染谷信長は印象的だったが、信行に対する感情はどうだったっけ・・・😅失礼。

 まあ、こういった兄弟の幸せだった頃の場面を見るにつけ、今年の信勝には死んでも注目すべき特別な役割があると感じる。父の信秀死後、織田家中に派閥ができて兄と跡目を争い、その結果、兄側に殺されたのはこれまでと同じ。だけれど、今作の信長は、可愛がっていた弟を殺したことが、ひときわ大きな心の傷になっている。弟に申し訳ないと思い、自分を許せない気にもなっている様子だ。

 さらに、信勝を演じるのが「あんぱん」主人公の弟・千尋役の中の人(中沢元紀)だものだから、千尋の悲劇をどうしても上乗せして見てしまう。ずるいな、この配役は。ただでさえ「信行(信勝)~💦」と毎度ロスになるのに、そこに「千尋~」という気持ちをこっちも追加されちゃうのだよね。

 結局、信長の策略を打ち破るほどの兄への愛を小一郎に示されてしまい、それが大沢を思わぬ行動へと動かし、「相分かった!」と引かざるを得なかった信長。その後のお市との会話が、今回も信長の本心を知る答え合わせになっていたが、信長はうれしそうなんだよね。

お市:まさか、あの者をお許しになるとは。らしくないこと。最初から殺すおつもりだったのなら、なぜもっと早くそうなさらなかったのです。たかがサル一匹のため、お気持ちが変わられた訳ではありますまい。

信長:わしにもよう分からぬ。もしかしたら、見てみたかったのやもしれぬ。

お市:弟が、命がけで兄を守ろうとする姿をですか?

信長:いや・・・兄を見殺しにしてのし上がろうとする姿をじゃ。

お市:期待外れにございましたな。

信長:全くじゃ。(うれしそうに、瓜を食べ続ける)

お市:それにしては・・・(信長の顔を見て、微笑んで)いえ、何でもありませぬ。

 小一郎を信勝に見立て、その弟が兄(≒信長)を見殺しにしてのし上がっていく物語。まるで、自分を罰して信勝を勝たせる、信勝への鎮魂の物語だ。それが見たかったとは、弟が死んで自分が生き残ってしまったことに対して、「残念」では済まされない「深い悲しみ」を感じる。サバイバーズギルト的な、自分が生きていることへのやり切れない後悔の念というか。

 信勝殺害場面での、信長の慟哭もすごかった(小栗旬が熱演)。家中の争いはどうにもならないが、それなら、信長はかわいい信勝の身代わりになって死んでしまいたいと念じていたのではないか。信勝が殺しに来たら、殺されてやるつもりだったのかもしれない。それで弟がのし上がっていくのなら、それでもいいと・・・。

 その前に、柴田勝家があっさりと信勝を斬り殺してしまったから、信長の密かな願いは叶わなかったということかも。その後、家臣や尾張の人たちを思えば、もう生きていたくないなんて甘えたことは言えないだろうが、心にぽっかり穴は開くよね。

 その穴を、お市は一生懸命埋めようとしているのだろうね。

 このお市との場面の後に、柴田勝家が呼ばれ、「次は犬山城じゃ。鵜沼の者と合力し、一気に攻め落とせ」と信長は命じた。去り際、勝家はわざわざ戻って「拙者がおりまする。この勝家、決して殿を裏切りませぬ!」と信長に宣言、ちらりとお市を一瞥して去っていった。

 おやおやおや~今からお市にアピール?しかし、これまでの勝家の立ち位置を考えると、拙者がおりますなんて言われてもねえ。

小一郎の頭はキレッキレ

 今回は冒頭からかなりの大ピンチだったが、小一郎は見事に切り抜けた。いやー、本当によくやった。何しろ、前述した通り、策略を仕組んだのは信長だったのだから、始末に負えない。苦無が仕組まれた謎をいくら解き明かしても、それだけじゃ藤吉郎は到底助けられない話だった。

 まず、その場で大沢を始末させずに時間稼ぎができたことだけでもすごい。

木下小一郎長秀:何かの間違いでございます!大沢殿は、我らの味方になると約束してくださいました!

柴田勝家:控えよ!うぬごときが口を挟む場ではない!

小一郎:ご無礼は平に。しかし、この者を殺せば我が兄の命もございませぬ!

信長:・・・それがどうした。わしはサルに調略せよと命じたのじゃ。そやつの二心を見抜けなかったはあやつの手落ち。自業自得じゃ。

大沢次郎左衛門:二心などござりませぬ!

佐久間信盛:ではこれをどう申し開きいたす!

大沢:知らん!

前田利家:この刻印は美濃国、関の刀鍛冶によるもの!(小一郎は、目をぐるぐるさせて考えている)

大沢:知らんものは知らん!

滝川一益:そのような言い逃れが通るとお思いか!(脇差を抜く音に、小一郎が仰天)覚悟されよ!

小一郎:(滝川一益を押さえて)これは罠じゃ!大沢殿が我らに寝返ることを恐れた、(美濃の斎藤)龍興の仕業にござります!龍興の息のかかった家臣が、目を光らせておったに違いありませぬ。そ奴がそれを忍ばせたのでございます!

森可成:そのような妄言を信じよと申すか!

小一郎:しかし、大沢殿がやったという証もありますまい!であれば、ここは吟味すべきでございます!

林秀貞:吟味じゃと?

小一郎:このまま真相を確かめずにこの者を斬ろうとするなら、今後、織田の誘いに乗るものも居なくなってしまいます!それこそが、敵の狙いやもしれませぬ。お願いでございます。どうかどうか、よくお調べくださいませ!

勝家:黙れと言うたろうが!

小一郎:(ハアハアと息をして黙る)

信長:よかろう。1日くれてやる。その吟味、お前がやれ。

小一郎:ははあ!(ひれ伏す)

信長:ただし、何も分からなければその時は・・・お前の手で、そ奴を斬れ。

 この場面の芝居のスピードはすごかった。このテンポに一人でも乗り遅れたら、この緊張感は生み出せない。そして、後から知ったが、この場面で大沢は石つぶてを握りしめていたらしい。確かに、「二心などござりませぬ!」と言う直前、右手に石が隠されているようにも見える。

 投げようと思うなら投げられていたね。投げていたら、あの距離だから信長も即死かも。しかし、小一郎があの手この手で一生懸命言葉を繰り出しているものだから、大沢としても投げるタイミングが無かったというか、小一郎を信じようと思ったのかもね。投げれば、小一郎も殺されるのは確実だからね。

 また、これは信長が仕組ん策略だと知っている、少なくとも前田利家がその場にいた。また、丹羽長秀が静かにその場を見ているのも怪しい。知っていたのかな。

 しかし皆、小一郎が「これは龍興の罠じゃ!」と言った理屈に黙らされた。確かに今後、調略も何もできなくなってしまうのは織田方に大いに不利だ。前に信長が言った通り、戦わずして勝つのが最上なのに、全て戦わなきゃいけなくなるんだからね。ああ言ったことで、ある意味、小一郎は織田家を救ったのかもしれないよ。

身を捨てて、道を切り開く

 小一郎が吟味を始めたが、前田利家に話を聞く時に佐々成政も同席させていたままだったのはいただけなかったね。あれじゃ、言いたいことも言えない。やっぱり話は個別に聞かないと。(後で言いに来てくれてよかった。)

 佐々成政が苦無を仕込んでいた所を偶然、甚助が見ていたことで小一郎は真実に辿り着く。信長が「それがどうした」と応じた時にも「えー!」という驚愕がぬぐえなかっただろうが、まさかまさか信長が仕込ませていたとは。最初から大沢を殺すつもりだったとは。

 そして、それを知りつつ、兄藤吉郎は鵜沼に向かっていたとは(やっぱり前田犬千代は今作でも良い奴だったよね。ホッとした。ここで藤吉郎が居なくなれば出世できるけどそりゃつまらなくて寂しいよ、そういう奴で良かった)。藤吉郎がお寧々殿にプロポーズできなかった訳だよね💦

 この主君の意志を知ってしまって、どう抗えばいいのか・・・普通ならもう感情に訴えるしかない。だからお市に泣きついたけれど、それも難しい。もう泣くしかないが、最後の最後、小一郎は乾坤一擲の勝負に勝った。これがまた凄かった。「小一郎は必ず来る」と信じる兄への篤い情もありつつ、頭キレキレ。最高な主人公じゃん(涙)。

丹羽長秀:して小一郎。吟味の首尾は?

小一郎:ハッ。(前に出る。神妙に)私の調べた限り・・・やはり大沢殿に二心はござりませんでした。あの苦無は、別の者が忍ばせた物でござります。

佐久間信盛:それは誰じゃ。

小一郎:申せませぬ。申したところで、認めては貰えぬでしょう。

柴田勝家:それでは話にならん!また口から出まかせではないのか!

信長:もうよい!(立ち上がり、刀を取り、小一郎の前に立つ信長。大沢が右手を握りしめる)小一郎。覆せぬのなら約束通り、お主の手でその者を斬れ。(刀をガシャンと放り投げる)さすれば侍大将にしてやる。

小一郎:そんなものになりたくありませぬ!(信長が振り返る)大沢殿の命は、兄の命じゃ。この手で兄を殺すことなどできませぬ!わしはどんなことがあろうとも、兄者を裏切りませぬ。なぜかお分かりか?兄者がわしのことを信じているからじゃ。殿のことを信じておるのです!兄者は全て承知しておりました。

回想の前田利家:別にどうでも良い事だが・・・お前に話しておきたいことがある。殿が最初から大沢を殺すつもりでいたこと、佐々から聞いてわしも知っておった。わしはそのことをサルにも教えたのじゃ。必死になって調略したところで、殿は大沢を殺すつもりだと。お前は本当のことなど何も聞かされておらんのだと。大役を任された奴への妬みでな。じゃが、あいつは・・・。

回想の回想の藤吉郎:調略に応じれば、大沢の城と領地は安堵すると、殿はわしにそう申した。わしはその言葉を信じるだけじゃ。

小一郎:兄者はこうなるかもしれないと分かった上で、それでも、人質となることを選んだのです。殿の命に従い、殿のお言葉を信じて!兄者が殿を裏切ることは金輪際ありませぬ!(ずっと横目で小一郎を見ていた信長が、目を外し遠くを見る)そういう家臣を、あなた様は失うことになりますぞ!

丹羽長秀:控えよ、無礼者め!

小一郎:無礼は百も承知じゃ!わしを侍大将に?ありがたいことじゃ。じゃが気を付けられませ。わしは兄者とは違う。こたびのことで、あなた様のことが大嫌いになり申した!(一同、ギョッとする)わしを生かしておいたら、いつか寝首を掻くかもしれませぬぞ。

勝家:血迷うたか、乱心者め!この場で斬り捨ててくれるわ!(斬ろうとする)

小一郎:お主らには斬られぬ!ハア・・・わしを斬るのは(刀を差し出し)大沢殿じゃ。

大沢:お主、何を。(刀を渡されるが、戸惑う)

小一郎:さあ、斬りなされ!裏切り者であるわしを斬って、殿に忠義の証を見せるのじゃ!さすれば殿も分かって下さるはず。戸惑うことなどござりませぬ。わしがあなたを助けようとしたのは兄者の為じゃ。あなたのことなどどうでもいいと思っておったのじゃ。(神妙に座り直す)さあ!斬って下され!兄者のことをお助け下され!(前を見据える)直・・・すまぬ(閉じたまぶたから、涙がハラハラと落ちる。背後で構える大沢)

大沢:(刀を捨てる音)御免。(小一郎の脇差を拝借、髷を切り落とす。小一郎を見て)斬れぬわ。(座り直す)織田様。拙者は仏門に入り、世を捨てまする。家臣、所領の一切を差し出しまする。この者の非礼も、どうかそれでお許し下され。

小一郎:大沢殿・・・。

信長:(表情のない信長)・・・相分かった!

 はーっ!息がつまるような展開だった。兄を助けたい、そのためには大沢を助けなければならない、だったら自分が身を投げ出すしかない・・・そう小一郎は結論付けたのだね。しかも、大沢に裏切り者となった自分を斬らせて手柄とさせようなんてねえ。

 直が「私とどっちが大事なの」と藤吉郎のために奔走する小一郎に言ってしまい、「ごめん」と謝っていたが、まさにそんな結論を選んだ小一郎だった😢

 大沢が髷を落とすという落としどころで、信長はようやく納得した。武士としての命は終えても、大沢は生きている。鵜沼への道を急ぐ川で、大沢が石つぶてを捨てた。苦無よりも危険な物を、実は身に携えていたのがヒヤッとしたね。これがバレていたら。でも、最強の武器を持っていながら、大沢は使わなかったのだ。そうさせたのは小一郎だね。

 藤吉郎は、晴れて無事に戻り、寧々に夫婦になってほしいと言うことができた。コメディパートをちょこちょこと演じる藤吉郎に、今回は心温かな気分にさせてもらったよ。それが以前に家康に言われた言葉「最後はココ(気持ち)」を信じての振る舞いだと思うとね・・・この言葉は、家康が秀吉に臣従する際にロングパスになりそうな気がするね。

(ほぼ敬称略)

歴史家重鎮・小和田哲男先生のとっておき話「中伊豆戦国遺産 大見三人衆と大見城」講演に行ってきた

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近所の小学校の「校舎移転特別講演会」

 今回は、直接いつもの大河ドラマの話じゃないが、大河ドラマの時代考証で大いに貢献されてきた歴史家の小和田哲男さんの講演会が先週近くであったので、もったいないからそれについて書こうと思う。

 ある日、新聞に挟まれていたチラシ。近くの小学校が旧中学校跡地に移転する話は小耳に挟んでいたが、その「さよなら校舎 夢のプロジェクト」の一環で、「校舎移転特別講演会」と銘打ち、なんと小和田哲男先生がいらっしゃってお話をするのだという。

 講演は無料だ。なんでまた小和田先生が?と驚いたが、何でもいい。生徒の家族でも何でもないが、チラシ末尾には「地域の皆様のご参加を心よりお待ちしております!」と書いてあるし、絶対に行こうと決めた。伊豆に移住するとこんなに良い事があるんだ。

 お問い合わせ先は小学校、場所は体育館で、持ち物はスリッパと防寒着。どうやら会場は寒そうだ。ホカロンを腰に貼って出かけよう。

 チラシを改めて読むと、小学校の現校舎からの移転は令和10年度になるのだという。「この機会に、特別授業の講演会として、静岡大学名誉教授の小和田哲男氏をお招きし、皆様に歴史の魅力をお届けします」とある。

 年度で言ったら今はまだ令和7年度のはず。4月からでも8年度。10年度の移転の話を「この機会に」と言ってしまうのは少々力技のような気もするが、何でもいい、小和田博士が来てくれるのだもんね。

 きっと、小和田先生の大ファンの方がこの企画の主なんだろう。よくやってくれました!こんなチャンスも滅多にないから頼んじゃえ!と思い切ったのだろう。

 さらにチラシには「歴史ロマンに触れる絶好の機会、子供たちと一緒に、新しい(静岡県伊豆市)八幡地区の未来に思いを馳せましょう」と書いてあったのだが・・・この「子どもたちと一緒に」を私は読み飛ばしていて、当日、会場の体育館に入り、前方半分に(インフルエンザで休校の6学年を除く)4年生と5年生が着座したのを見て少し驚いた。

 てっきり地域の大人で会場は埋まるのかと思っていた。「高学年でも内容が難し過ぎるのでは?大丈夫?」と少し不安になった。

 登壇された小和田先生は、これまでたくさんの講演に招かれたが「校舎移転」の講演会というのは初めてだと笑って仰った。やはりね。でも、相手が小学生だと分かってお引き受けになったのか?かみ砕くと言っても限度があるよね、それよりもまず、講演の間、小学生はちゃんと座っていられるかなあ・・・等々、心配だ。

大河ドラマって知ってる?

 まず、講演は小和田先生の自己紹介から。先生は、大河ドラマは「秀吉」から「どうする家康」までの8作品で時代考証を担ったとのこと。ここはウィキペディア先生で確認した。

 秀吉(連名、1996年)、功名が辻(2006年)、天地人(2009年)、江~姫たちの戦国~(2011年)、軍師官兵衛(2014年)、おんな城主直虎(連名、2017年)、麒麟がくる(2020年)、どうする家康(連名、2023年)。並ぶタイトルを見ると、小和田先生は大河ドラマの花形・戦国大河の時代考証に継続的に携わってこられたのだと分かる。

 「秀吉」は、当時のNHKも力を入れていた。「八代将軍吉宗」で低迷期を打ち破ったので、さらにダイナミックに上を行く人気作にしようとしていた。私も取材させてもらって記事を書いたが、あの時、時代考証の先生にはお話を聞かなかったんだよな・・・私的趣味に走り過ぎる気がして自重したのだが、依頼すれば、そのチャンスはあった。もったいなかったが仕方なかった。

 それで、時代考証のお仕事はというと・・・働き方改革のため年間ほぼ48話で固まりつつある昨今だが、昔は50話の時代もあったよね。最初に、ドラマで取り上げると決まったテーマに関連する最近の研究成果を「これ読んで」等と伝えながら、その話数の筋道をどうするかを制作側と相談するそうだ。

 そしてキャラ設定。先生は例として「どうする家康」のヒロイン瀬名姫(築山殿)を挙げ、これまでの悪女キャラは「どうもそうではない」ので止めたと仰った。研究者の間での大方の見方がようやく変わったのだね。

 小和田先生が同じく時代考証を務めた「おんな城主直虎」の頃でも、築山殿はまだ悪女キャラのイメージを引きずり、演じたのは怜悧な印象もある菜々緒だった。でも「どうする」では愛らしさ満点の有村架純。どう見ても悪女のイメージじゃないから、配役発表の時には確かに築山殿の路線変更でちょっとした驚きをもたらしていた。

 だってそうだよね。築山殿事件については、江戸時代は徳川家康が絶対の存在だったことを考慮しないとね。「家康=神様が間違うはずがない」ので、家康のことはどんな記録だって悪くは書けなかったはず。

 先生は「あの事件は家康と嫡男信康親子のずれ、考え方の違い。信長から信康は離れようとしていた」と仰り、それで信康は処分され、長く悪女のレッテルを貼られるとばっちりを食ったのが妻の築山殿だったという訳だ。気の毒に💦

 研究が進むと、その成果で通説が変わり、大河ドラマでもキャラ設定が引っくり返される事態が起きる。悪役と見られがちな敗者にも光が当てられ、ファンとしても物語に深みが増して面白いから、研究成果のドラマへの反映はじゃんじゃんやってほしい。

 だから信長・秀吉・家康の三英傑のドラマは「またか」と言われがちだけど、やる価値があるのだよね。今年の「豊臣兄弟」もおなじみ三英傑ものだけど、どこがどう変わってくるのかが、楽しみだったりする。

 そして、脚本のセリフ間違いを直すのも当然ながら時代考証の仕事のうちで、割と頻発するそうだ。「その時その人(物)はそこにいなかった」のに、ドラマでジャジャーンと登場していたら困る。例として挙がったのは、「秀吉」の小田原攻めの時のセリフ「わしゃこの石垣山に城を作りたい」。秀吉が作る前に、当時の関東の山に石垣が組まれている訳がなく、築城前の呼び名(笠懸山)に変えてもらったとのことだった。

 ・・・ここまでの「はじめに」の裏話だけでも十分面白いので私を含む大人は楽しんでいた様子だったが、体育館前方席を陣取る小学生の存在にハッと気づいた。今のところ、着座してまっすぐ小和田先生のお話を聞けている様子だけれど、シーンと静か、反応がほぼない。おとなしい。

 みんな偉いなあ。だけど、面白い?大河ドラマって知ってる?まず、テレビを見たことはあるんだろうか?と心配は拭えなかった。

北条早雲って知ってる?

 裏話を続けてもらいたいところだったが、講演タイトルは「小和田哲男のとっておきの話 中伊豆戦国遺産 大見三人衆と大見城」なのだから、本筋に入って頂こう。

 小和田先生は1987年7月、伊豆市の前身の当時の中伊豆町主催の市民講座で講師を務めたご経験があるそうだ。その講座に、タイトルにもある「大見三人衆」の佐藤藤左衛門のご子孫が来場していると聞いて調査をお願いしたら、家に古文書があり、そのおかげで北条早雲の研究を進める転機になったのだとか。

 先生にとって、思い出深い場所だったのだね。それで、わざわざここまで講演に来てくださっている訳か。(昨日、図書館で旧中伊豆町史を見たら、講演と同じ内容の書きぶりで書かれている箇所があった。町史も書かれていたのだ。)

 その北条早雲(伊勢盛時、また宗瑞)について。彼もまた研究によって見直しが進み、自分では一度も「北条早雲」とは名乗らなかったそうだ。この地域の大人にとっては北条早雲は聞く名前だから「へー、そうなのね」と驚きにもなる。それが小和田先生の狙いでもあるだろう。

 が、大丈夫かな、講演を大人しく聞いている小学生たちは、そもそも北条早雲を知っていた?授業で予め説明があっただろうか・・・。

 さて、伊勢は西の苗字であり、関東武士に対して重みのある北条を名乗ろうと変えたのは、二代目の北条氏綱からだそうだ。(ウィキペディア先生によると、正室の養珠院が執権北条氏の末裔横井氏の出身だとか。この話も最近聞く。つまり婿入り?)

 早雲は、研究が進んで生まれ年も1432年から1456年と変更され、従来の説よりも24歳も若返った。64歳没だそうだ。これまでオーバー80の矍鑠たる老人のイメージが強かったね、だが覆された。

 分かりやすさを優先して、ここでは北条早雲で続ける。

 早雲は姉の子である今川氏親に沼津の興国寺城をもらい、伊豆半島を眼前に見て暮らすことになった。伊豆の北条にある堀越御所には、堀越公方・足利茶々丸が伊豆の最大兵力を誇っていたそうだが、『北条五代記』によると、讒言によって茶々丸は2人の家老を切腹させてしまった。

 それで騒ぎとなっているのを知った早雲は、「是天のあたふる所なりと」北条に兵を出して制圧。大森山に逃げていた茶々丸は下山し切腹した。讒言は誰の仕業か・・・?

 (ここでウィキペディア先生を確認したところ、最近は「同年4月の明応の政変によって11代将軍に就任した義澄(清晃)が、幕臣であった宗瑞に生母と実弟の仇討ちを命じて、茶々丸を討伐させたというのが定説になっている」そうだ。足利茶々丸 - Wikipedia 宗瑞=早雲のこと。)

 そして、早雲の威勢に恐れを抱いた伊豆一国の侍ども(土肥の富永三郎左衛門尉、田子の山本太郎左衛門尉、雲見の高橋将監、妻良の村田市之助など)は悉く早雲に降参し、北条氏直時代にわたってその在所の知行が許されたのだそうだ。なるほどー。

 レジュメにはこのあたりの『北条五代記』一節の読み下し文が書いてある。でも、それでも小学生には明らかに難し過ぎると思う💦お手の物でスラスラ読める子がいたら、将来は古文書ネイティブと名高い磯田道史のような大物になりそうだよね。

地元の「大見三人衆」の活躍

 この伊豆一国の去就が定まった時に、いち早く早雲の幕下に付いたのが、お待ちかねの「大見三人衆」の佐藤四郎兵衛、梅原木工右衛門、上村玄蕃だったそうだ。(他の文書では三人衆として記録されている氏名が変わる。先生のレジュメによると「明応6年4月25日付文書」では佐藤藤左衛門尉、梅原六右衛門尉、佐藤七郎左衛門尉。「永正16年正月29日文書」では、佐藤四郎兵衛尉、梅原六右衛門尉、佐藤兵衛太郎尉。)

 さて、この『北条五代記』には「伊豆一国は三十日の中に相違なくおさめられたり」と書いてある。が、小和田先生によると、そんなに短期間には無理で、狩野城にいた狩野氏が頑張って反抗を続けたらしい。狩野氏といえば、後に絵師の家として有名になる(狩野氏 - Wikipedia)。

 当時の狩野氏に苦労させられた早雲は、大見三人衆を狩野城の抑えとして頼りにしていて、柏窪(城?現在の伊豆市柏久保に古い城跡があるね)の一戦での彼らを「忠節比類なし」と早雲から三人衆に宛てた文書で称賛している(『嶽南志』第2巻所収「佐藤氏蔵 早雲の文書」)。

 ところで、小和田先生によると、この早雲の文書は全部で7通出てきて三人衆末裔の佐藤さんの家にあったのに、静岡県史の編纂時に紛失されてしまったとか。信じられない。しかし、他の名刹でも「先代の時に研究者が借り出していった文書2通が返ってこない」と嘆いていたのを最近聞いたばかり。研究者のみなさーん、困りますよー。地域の宝なんですよー。

 この文書によれば、三人衆は、狩野城に対する備えのために、年に3回もせっせと土木工事に従事していた。文書は明応六年(1497年)4月25日に書かれた。早雲の伊豆討ち入りが明応二年(1493年)というから、やはり1か月で伊豆一国全体がさっさと早雲の手に落ちた訳ではなかった。

 レジュメには、大見城の縄張図も先生の著作『北条早雲とその子孫』から紹介されていた。しかし縄張図は小和田先生が描いたわけではなく、その道のプロ見崎鬨雄さんが原図を描いたものだそうだ。

 先生は、大見城は、戦国期の城としてそれなりの作りをしているので、そう決定していいと仰った。鎌倉期の大見小藤太の城とは別だそうだ。

 大見三人衆が拠点とした大見城は、三人の城ではあったのだが、北条直属に近い城だったそうで、興国寺城の次に早雲が拠点にする韮山城の出城として重視されていたという。三人衆で130貫文(3人で割ると約40貫文)の知行があてがわれていて、それは北条家臣団の中では上の扱いだったそうだ。

 ここで小学生を意識したのか、小和田先生は平城、山城、平山城について解説を入れた。平城ではとても守れないと思われがちだが、水堀や周囲に沼地があれば守れるのだと。なにしろ攻める時に侍は20~30キログラムはある鎧を付けるのだ。重くて沈むから渡れない。分かりやすい。

 平城の次に発達したのが山城。攻めにくいけど、あんまり高いところにあっても家臣みんなが不便だしね。それでちょうど良い具合の中間の山に作られるようになったのが韮山城のような平山城なんだそうだ。てっぺんを広げて曲輪を作り、まわりを兵が守る。ここまでジッと固まっていたような小学生が、少し緩んだようで、良かった。

 後北条家の初代となった早雲は、韮山城で亡くなり、二代目氏綱からは本城が小田原に移された。そして、戦国時代に秀吉に敗れる五代目氏直まで、伊豆は北条家の下にあったということだ。ここはずっと北条の里だったのだなと思いを馳せた。

 小和田先生は最後に、小学生に向かって「古いものではあるけれど、自分の身近にあるものから入っていくと興味を持てると思います。北条早雲がどういう人だったの?と思って、マンガや本を読み、地元の遺跡を歩いて深めていってほしい」と仰った。

 この講演を企画して小和田先生をお招きした大人には、むせび泣きたくなるような、有難いお言葉だろう。だけれど、歴史ファンが羨む中世の武士の世の歴史ロマン溢れる場所に住んでいることに気づくには、小学生はまだまだ時間が必要だろう。案の定、質問タイムに小学生からの質問は無く、大人の歴史に詳しい人から、質問があった。難しいもん、子どもは無理だよね。

 小さい頃、ずいぶんと大先生が地元の小学校まで来て、お話をしてくれたんだな、と将来気づき、地元の歴史を大事にしてくれたらいいね。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟】#5 寧々は3年宙ぶらりん!狸・松平元康の戯言が前向きな秀吉を走らせる。その陰で嘘八百の策を練る小一郎

「べらぼう」大崎が続投!苦無に毒を塗ったか?

 衆議院解散による選挙の投開票日だったものだから、NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第6回放送は2/8はお休み。従って、2/1に放送された第5回「噓から出た実(まこと)」の感想を、昨夜は開票速報を見ながらダラダラのんびりと書いていた。冬季オリンピックも始まったし、関心があちこちと忙しい。

 なんと、今5回は前作「べらぼう」でオープニングに名前が出てくるたびに誰に毒を盛るのかと視聴者を震え上がらせた悪女・大崎が・・・じゃなかったね、大崎役の中の人(映美くらら)が続けての大河ドラマご出演だったものだから、ちょっと色めき立ってしまった。

 しかし、最後でちょっと噴き出しちゃったなあ。そこを書く前に、あらすじを公式サイトから引用しておこう。

第5回「嘘から出た実(まこと)」◆◇あらすじ◇◆

小牧山城に拠点を移した信長(小栗 旬)は、織田家中で御前試合を開くことを決定。小一郎(仲野太賀)は、試合で藤吉郎(池松壮亮)のライバル・前田利家(大東駿介)の鼻を明かすべく、一計を案じる。そんな2人に、信長は美濃攻めに不可欠な鵜沼城の調略を申し付ける。だが鵜沼城主・大沢次郎左衛門(松尾 諭)は、これまで誰の説得にも応じていないという。果たして小一郎たちは、大沢の心を動かすことができるのか?(第5回「嘘から出た実(まこと)」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 はい、毒女大崎こと映美くららの役どころは、鵜沼城主・大沢次郎左衛門の妻・篠。「起きていいのか」「今日は気分がよろしゅうございます」といった会話が夫の次郎左衛門との間にあったから、体が丈夫じゃなさそう。ドラマの設定としては、言われているように斎藤道三の娘、つまり帰蝶の姉妹なのだろうか?彼女のことは後でも触れるが、ドラマでの帰蝶不在が惜しまれるねー。

 ちなみに大沢夫妻の息子は主水という名で、演じている人はどこかで見たよ・・・と思ったら、「鎌倉殿の13人」で畠山重忠の息子を演じていた人だった。今回は悲劇に見舞われない役だと良いね。

 それで、今回のドラマ終盤で大沢は藤吉郎の調略を受け入れ、信長の下へと小一郎と向かうことになった。人質として藤吉郎が鵜沼に残り、「あとのこと、頼んだぞ小一郎」となったので、小一郎としたら兄の命も懸かる大仕事だ。なのに、いざ信長と大沢を対面させてみたら、大沢の従者の持ち物から物騒な物が見つかるのだった。

大沢次郎左衛門:こたびはお城にお招きいただき、恐悦至極に存じます。大沢次郎左衛門尉正秀、これより織田様のため身命を賭してお仕えいたしまする。

織田信長:よう申した。・・・が、であれば、なぜお主の従者の荷よりこのような物が出てきたのじゃ?

前田利家:(盆に載せたものを持ってきて、覆いの布を取る。5本の苦無。1本を手に取って見せる)衣服に紛れて分からぬように忍ばせておりました。切っ先には・・・毒も。

大沢:知りませぬ!私はそのような事、命じてはおりませぬ!

信長:はあ。残念の極みじゃ。(利家に向かって?)始末せよ。(愕然とする小一郎)

 ここで噴き出した。ごめん、大沢の首が切られようとするかなりシリアスな場面だよね。繰り返すが鵜沼では藤吉郎が人質になっている訳で、藤吉郎の命を救うためにも無事に大沢を帰さないといけないんだもの。次回に続く前の、手に汗握る場面だ。

 だけど「知りませぬ!」と大沢が言うからには、じゃあ毒を塗った苦無を誰が用意したのか・・・そりゃ大崎でしょ!となったよね、私の脳内では。大沢じゃなくて大崎。

 大崎が毒を調合するところ、苦無に塗るところ、従者に「殿様の身を守るために使うのじゃぞ」等々と言い含めて、あの真剣な美しい横顔で手渡すところ・・・までの妄想が、一瞬で頭の中に広がった。なんで毒の周辺に、親和性の高い大崎、じゃない映美くららを持ってくるかなー。NHK意地悪だー。

 次回の放送で種明かしがあるだろうけれど、本当に篠が苦無に毒を塗ってたら大笑いする。

一家揃って良いおまんまと良いおべべ

 今回から打って変わり、小一郎の家族はこぎれいな着物を着て、ちゃんとした食事を摂っている。白米を食べ、銘々のお膳に、母なかの漬けた香の物が山盛り(信長に差し上げるつもりが前田まつに先を越されて返されたから)に、焼き魚や汁のものが載っている。たった数年で大した違いだ。

 また、姉ともにも、「お腹空いたー」と言っていた妹あさひにも、それぞれ夫がいた。どちらも人気朝ドラでおなじみ、「虎に翼」寅ちゃんの何でも分かってる兄と「ばけばけ」銭太郎だ。銭太郎は「らんまん」で大きなウサギも抱っこしていた。

 母なかを含めて、一家は中村から出てきたのだね。そのあたりの騒動もドラマで見せてくれたら面白かったのにな。娘2人が祝言を挙げ、なんだかんだと揉めながら、足軽組頭になった藤吉郎と小一郎の屋敷に共に住むことになった一家。最初はおかずの付いている食事にも、新しい着物に袖を通すにも、いちいち家族でワーワー騒いだことだろう。そういう微笑ましい場面も見たかったな。

 今はもうレベルアップした新生活にも慣れた様子。オープニング直後に永禄五年(1562年)と表示があり、桶狭間の戦い(1560年、桶狭間の戦い - Wikipedia)後の、信長と元康(まだ家康への改名前なんだね)との清須同盟(1562年、清洲同盟 - Wikipedia)を経て、翌年の永禄六年(1563年)だから、この食事の場面の時点で前回から3年経ってるんだね。

家康(元康)はオーソドックスに狸

 そうそう、ちょい戻って清須同盟で。信長の方は畳らしきものの上に座っているのに、元康は板敷の上。足が痛みそうで、対等じゃない様子だ。実際には直接会わずに盟約は結ばれた説もあるそうだが、こうやってビジュアルで対面してくれる方がドラマとしては分かりやすい。

 馬廻衆に出世していた藤吉郎は、信長から「サル、信盛に従って元康殿を国境までお送りせよ」と命じられた。

語り:この時、ここに集まった男たちが後に戦国の三英傑と呼ばれることなど、まだ誰も知る由もございません。

 こんなナレーションが入り、元康→信長→藤吉郎(思い切りサル顔)と順に映った。池松壮亮がこんなコメディ顔もするんだ・・・。主人公小一郎は、兄の表情に笑いそうになるが「やめい!」と止めた。

 それで、元康を送る際にどうやら藤吉郎は一計を案じ、草むらに人影が見えたと軽く嘘をついて護衛をそちらの対応に向かわせ、元康に話しかけた。「ところで、どうすれば松平様のようにお偉くなれますでしょうか?」「松平様は大変なご苦労を乗り越えて今がある御方。何か秘訣などあればぜひ、ご教授下され!」と。

 藤吉郎は「人質から殿と盟約を結ぶまでになった」と配下に説明していたから、元康が成り上がったとでも思ってる?違うよねえ、元康には元々の生まれがあるからね。

 藤吉郎の無礼な問いかけには石川数正が怒ったが、元康は数正を制してこう答えた。

松平元康:木下藤吉郎と申したか。容易い事よ、信長殿を信じることじゃ。そして、誰にもできぬことをやってのけるのじゃ。恐れず、己を信じて突き進むのじゃ。大事なのはここじゃ(胸を叩く)。熱意が人を動かし、勝敗を決する。

 藤吉郎は頭を下げて「ありがとうございまする、肝に銘じまする」と言い、小一郎に「これで大名も夢ではないぞ」と浮かれたが、実は、元康は「全て逆のことを言うてやったわ」「白々しくて思わず噴き出しそうになりましたわ」「織田の下侍になんでわしの考えを教えねばならんのじゃ」と数正と笑い合う狸っぷり。いいね、今作の家康はオーソドックスに腹黒い。

 でも、今回の藤吉郎はこの家康の言葉を胸に突き進む。この元康の言葉を大いに真に受けて、大沢次郎左衛門の調略を命じられて「どうするんじゃ?」と悩む小一郎を前に「松平殿が言うておったではないか。誰もが出来ぬことをやるのじゃ。迷わず恐れず、己を信じて突き進むのじゃ」と笑った。

 小一郎は「あんな言葉を本気で真に受けておるのか」と頭を悩ませる一方、藤吉郎は早くも調略成功を夢みている。何しろ、信長に見事やり遂げたら侍大将にしてやる、と言われていたからね。そしたら寧々殿と・・・この前向きな楽天性が運を呼び込むんだろうな。

御前試合での噓

 ところで、オープニングで主人公小一郎は「木下小一郎長秀」と、名が兄の「木下藤吉郎秀吉」並みに立派になっていた。危ない危ない、見落とすところだった。

 ウィキペディア先生(豊臣秀長 - Wikipedia)を確認すると、信長に仕官した段階で、信長の偏諱を含むこの名前「長秀」を貰ったらしく、つまり前回終わりで銭50貫を貰っただけじゃなかった。小一郎長秀も、藤吉郎秀吉と同様、馬廻衆になったのだろうか。

 信長が小牧山城(小牧山 - Wikipedia)に居城を移した永禄六年(1563年)。御前大試合が行われることになり、小一郎は事前の細工に奔走した。「兄者は負けない、このわしが請け負う」と家族に啖呵を切って何をするのかと思えば、対戦相手を藤吉郎が有利になるよう操作しようとしていた。

 この時に出てきた御前試合の差配役のイケボ武田佐吉の中の人は、「真田丸」で直江兼続を演じていたね。頭が切れるのだから簡単に小一郎に言いくるめられないだろうと思ったが、あっさり小一郎の話に乗った。佐吉は兼続とは違う。

武田佐吉:わしに、イカサマしろと申すか。

小一郎:シッ!そうではござりませぬ。普通にやっても前田殿が勝つことは目に見えておりまする。あっけなく雌雄が決してしまったら、果たして殿にご満足いただけますでしょうか?誰が勝つか分からぬからこそ、御前試合は面白いのです。手に汗握る勝負を、きっと殿もご所望のはず。

佐吉:確かに・・・。

小一郎:となれば、ここは武田殿が、周到に組み合わせを塩梅するほかございませぬ。

佐吉:いや、しかし・・・。

小一郎:これは、私がそれぞれの力量を推し量って作った組み合わせにございます。これなら、試合が一層面白くなることは必定。引いては、殿の覚えもめでたきことになりましょう。

佐吉:すべては、御殿のため。

 結局、どこかで見たような(「どうする家康」の大道具の使い回し?)八角形二階建ての竹囲いのスタジアムの中で行われた御前試合の決勝に残ったのは、前田利家と藤吉郎。しかし、藤吉郎はだまし討ちしたのに返り討ちに遭い、気絶までさせられた。あーあ。

 兄弟は信長に呼び出され、細工を叱責されるどころか「ようやった」と褒められた。理由は「戦は、戦う前にしていかに勝つかが肝要じゃ。戦って勝つは上策。戦わずして勝つは最上の策なり。見事である」とのこと。孫子の兵法だね。

 小一郎はまたその才を信長に褒められたことになったが、藤吉郎が「さすがは殿、よくぞ我が策をお見抜きになられました!」とまた手柄をぬけぬけと我が物にしようとした。それこそ見抜いている信長は笑って、「詰めが甘かったしくじりを埋め合わせたくはないか?」と、鵜沼城の大沢次郎左衛門を調略するよう兄弟に命じたのだった。

大沢は愛妻家、でももう一人の妻はどこに行った

 小一郎は、調略に際して、義兄弟の弥助と甚助を使い、既に大沢が美濃国主の斎藤龍興から離反して信長側に通じているとの噂(=嘘)を広めさせる裏工作を実施。頭が回るもので、工作は1か月後にちゃんと効果が出て、大沢は稲葉山城に呼ばれて龍興に「良からぬ噂」の真偽を尋ねられた。

 この龍興は・・・「龍馬伝」の龍馬の子役だったあの子だよね!濱田龍臣って、あの子役さんが大きくなったねえ。(まるで祖父母の視点💦)祖父・道三の名に怯える肝の小さい悪役でかわいそうだこと。この大沢によく意見されるから「私を嫌いであろう」だって💦

 「そちの妻(篠・映美くらら)をこの城に連れてこい。できなければ、お前は改易じゃ」と龍興に宣告された大沢の心は揺れた。自慢の石つぶても的を外れ、それでちょうど訪れた織田の使者(藤吉郎と小一郎兄弟)に会う気になったが、弥助が捕まり、小一郎の裏工作による離反の嘘が露見。

 結局、藤吉郎が寧々との結婚願望をぶちまけて訴える(なぜここで?)ことで大沢の篠への思いとシンクロしたらしく、許されて帰れることに。彼が愛妻家でよかったね。そして、元康の「最後はここじゃ(胸を叩く)」の言葉がここで効き、藤吉郎がもう一踏ん張りした。

木下藤吉郎秀吉:わしは行かぬ。お主らは先に帰れ。わしは信長様と約束したのじゃ!必ずや大沢殿を説得し、お味方につけると。このまま帰る訳には参りませぬ。

大沢主水:お前はバカなのか?生きて帰れるだけでもありがたいと思え!

藤吉郎:それではいかんのじゃ!わしは下から這い上がらねばならん!わしのような者を信じて、このお役目を与えてくださった信長様のご期待を裏切る訳には行かぬのじゃ!大沢殿、我らのお味方になって下され!そのためであればこの命、お預けいたしまする!(ひれ伏す)

大沢次郎左衛門:・・・どういうお人じゃ、織田信長とは。

藤吉郎:あなた様のような武士(もののふ)が仕えるにふさわしい、強く、大きなお方でございます。

 ずいぶんと力技だが、ここで斎藤道三のかつての言葉「信長はわしに似ておる」を思い出した次郎左衛門は、説得されてしまった。さすが人たらし、藤吉郎やるねー。池松壮亮も熱演だった。

 でも、ちょっと本筋じゃないんだけど判然としないことがある。大沢の婿になったからこの城の主になれたって次郎左衛門は言ってたよね?で、篠には昔から苦労をかけたって感じだったけど・・・んんん?

 大沢の息女と糟糠の妻の篠と、次郎左衛門には妻が複数いたってこと?

大沢次郎左衛門:昔まだ小者の頃、このつぶて打ちだけで敵を倒したものよ。的を外したことなどめったになかったぞ。(つぶてを投げ、当たる)道三様はそれを見て、わしを侍にお取立ての上、これまで育て上げてくれた。大沢の婿になり、この城の主になれたのも、あの方のお陰じゃ。

(ふたりの脳裏に甦る記憶。若い次郎左衛門と篠が旅姿で城に辿り着く)こっちじゃ篠、ついにやったぞ篠。これからはここがわしとお前の城じゃ。

若い篠:おめでとうございます、旦那様。

次郎左衛門:何も無いわしに、今日までよう付いてきてくれた。これからは、わしがお前の望みを叶えてやる番じゃ。

 遠くから二人ともやってきたこの様子では、篠は次郎左衛門が婿になったという大沢の娘ではなさそうだ。大沢の娘は、婿入りした途端に死んだのか?それとも篠が、大沢の娘なのか?道三の娘ではなく?いや、違うよなあ。

 大沢の娘が正妻で鵜沼城にいて、そこに糟糠の妻・篠を連れ込んだとしか・・・篠が道三の娘なら、大沢の娘も遠慮しそうだし。どうでもいいけど、篠との純愛を描くなら、ドラマの中での辻褄は合わせてくれないとなあ💦

 史実はどうなのかと思ってウィキペディア先生をチェックしたが、彼の人生は説が多すぎてどれが真実やら?つまりフィクションOK状態なんだね。それにしてもなあ、次郎左衛門の妻=大沢の娘はどこに行ったのか。(大沢次郎左衛門 - Wikipedia

ひとりよがりの純愛はイカン

 同じ馬廻衆の前田利家よりも先に侍大将になるぞ!と目標を掲げていた藤吉郎に、妹あさひが「何でもええから、早う偉くなってお寧々様と夫婦にならねば、小一郎兄様がかわいそうじゃ」「藤吉郎兄様を差し置いて、直さんと一緒になる訳にはいかんて」と言っていた。

 前回から3年も経って、当時だって藤吉郎は寧々が好きだった様子なのに、まだ寧々には何のアプローチも出来ていないことが発覚した瞬間だった。

なか:今のお役目でも十分立派じゃないか。もっと偉くならんと夫婦にはなれんてお寧々様に言われたんかね?

藤吉郎秀吉:いや、そうではないが・・・。

小一郎長秀:そもそも兄者は、お寧々殿にまだ何も言うとらん。

あさひ:言ってないの?!好いてるとか、何にも?!

秀吉:んなこと軽々しく口にできるか。もしダメだったらどうするんじゃ。

とも:今まで散々女あそびをしてきた色ボケ猿のくせに?(笑う)

秀吉:誰が色ボケ猿じゃ!

なか:本当に好きなんじゃねえ、お寧々様の事。(笑い声)

 これは厳しい。色ボケ猿と呼ばれるほど女遊びをしておきながら、一方で寧々は少なくとも3年は宙ぶらりんにされていたのか。かわいそうだなー。それでなのか、御前大試合の時に、寧々は序盤は藤吉郎への応援が素直じゃなかったが、前田まつに煽られたおかげでヒートアップ、本音が出てきた。

佐吉:続いて2番勝負、馬廻衆・木下藤吉郎。同じく馬廻衆・川嶋喜八郎。

なか:藤吉郎、気張り!

直:負けるな、藤吉郎さん!あっ、ほらお寧々様もお声をかけてやってください。

寧々:えっ?無理よ、そんなの。(声が小さくなり、直に笑われる)

 順調に勝ち上がる藤吉郎を見て、にっこりほほ笑む寧々。そして決勝。

なか:藤吉郎、負けたらいかんよ。

あさひ:ご褒美まで、あと一人だよ!

とも:元百姓の意地、見せたらんか!

まつ:旦那様!サルは山へ追い返してください!

寧々:藤吉郎さん!そんな犬っころに負けたら承知しませんよ!(まつとフン!直は寧々を見て笑っている)

 木刀を叩き落とされて、前田利家に「素手の相手にそこまでして嬉しいか。わしなら恥ずかしい」と言って槍代わりの長棒を捨てさせておきながら、自分はちゃっかり木刀を拾った藤吉郎。

 この行為に対して、まつが「この卑怯者!」と罵ったが、寧々は「油断した方が悪いのよ!」と反論。ねえ?と同意を求められた直までが「え、いや、今のはちょっと」と困る中でも、藤吉郎の肩を持ったのだ。バレバレだね。

 それで、最後に「参った」を繰り返す藤吉郎に利家が素手の一撃を食らわせて、藤吉郎は昏倒。「こんの、卑怯者!」と今度は寧々が叫び、まつに「油断する方が悪いのよ」と逆に笑われて「お直~」とべそをかいたのだった。

 調略に出かける前に藤吉郎は、寧々と直がいる浅野家を訪問。大沢次郎左衛門は石つぶての名人、人も殺せると浅野長勝から聞いて寧々と直は心配するが、「小一郎と秘策を練ったから大丈夫じゃ」と藤吉郎は返答。そして・・・

藤吉郎:これがうまくいったら、わしは侍大将になる。

直:本当に?

藤吉郎:ああ。その時は、お寧々殿・・・わしの・・・(直と長勝がプロポーズだと思って息を呑んで待っている)わしの・・・わしの・・・。

寧々:はい。

藤吉郎:・・・おかかたちに、武家の女のたしなみを教えてやっては貰えんじゃろうか。(直、長勝、寧々もがっかり)

寧々:お断りいたします!何であなたの身内でもないのに、私が・・・どうせ、調略も上手くいかないに決まってます!(去っていく)

 あーあ、これじゃあ寧々がひねくれちゃうよ。藤吉郎は女好きなのに、寧々にだけは手が出せないし告白もできない純愛を、心の内に育んでいるという設定か。寧々の立場ならば、長期間振り回されてるだけ、たまらんよね。

 大沢次郎左衛門といい、純愛は歓迎。だけど、相手のことを考えない単なる身勝手は美化されちゃいかんね。ドラマのフィクションとはいえ、独りよがりな純愛もどきは反対だと言っておきたい。

(ほぼ敬称略)

【豊臣兄弟!】#4 おなじみの桶狭間の戦い、信長の成功が因るのは天運か人智を尽くした策略か。小一郎&藤吉郎の仇討ちはあっけなく消滅、でも幸運をもたらす

信長がブツブツ言っている

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第4回、その名も「桶狭間!」が1/25に放送され、戦国大河の1つの見せ場であるご存知の桶狭間の戦いが今作でも描かれた。「海道一の弓取り」今川義元とはサヨナラだ。

 まず、あらすじを公式サイトから引用する。

4回「桶狭間!」◆◇あらすじ◇◆

ついに信長(小栗 旬)が出陣の決断を下し、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は対今川軍の前線基地である善照寺砦(ぜんしょうじとりで)に向かう。兄弟にとって初めての大戦(おおいくさ)が始まるが、彼らの真の狙いはかつて父の命を奪った城戸小左衛門(加地将樹)を討ち果たすこと。信長は善照寺砦に集まった兵たちを前に檄(げき)を飛ばし、決戦の地である桶狭間へ向かう。城戸を討つ千載一遇のチャンスを前にした兄弟の決断とは!?(第4回「桶狭間!」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

 この戦いに臨む信長が、幸若舞の「敦盛」の一節を舞ったという話は信長公記にもある超有名な話で、毎度毎度、戦国大河の信長役の見せ場にもなっているよね。今回、小栗旬の信長は扇をクルッと回す手先まで繊細に舞っていて・・・当方、舞も素人なので良し悪しは分からないが、武人の舞もいいもんだ。覚悟のほどが現れている。

この時、信長敦盛の舞を遊ばし候。「人間五十年、下天の内を暮らぶれば、夢幻の如くなり。一度生を得て滅せぬ者のあるべきか」と候て、「法螺貝吹け、具足よこせよ」と仰せられ、御具足召され、立ちながら御飯を参り、御兜を召し候て御出陣なさる。首巻 - 信長公記 現代語訳 信長公記首(廿四)今川義元討死之事)

 でも、小栗旬の信長は、舞い始める前に片膝を立てて座り、目を閉じてブツブツと何か唱えていた。何だろうと思って聞いてみた。

信長:金谷に花を詠じ 栄花は先立て 無常の風に誘はるる 南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立って 有為の雲に隠れり

 この部分をサーチしたところ、これも敦盛なんだそうだ。

(熊谷)直実が出家して世をはかなむ中段後半の一節に、

思へばこの世は常の住み家にあらず
草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし
金谷に花を詠じ、榮花は先立つて無常の風に誘はるる
南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立つて有為の雲にかくれり
人間五十年、下天[1][2]のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ

という詞章があり、織田信長がこの後段太字部分を特に好んで演じたと伝えられている。(敦盛 (幸若舞) - Wikipedia

 なるほど。信長公記が引用している部分しかあまり知られてないよね?人間五十年、これを菩提の種と思わなきゃ、と幸いにも還暦を越えて思う。

 今川義元(今川義元 - Wikipedia)は1519年(永正十六年)に生まれ、1560年(永禄三年)に死んだので41歳か。「人間五十年」には及ばないが、信長(織田信長 - Wikipedia)は1534年(天文三年)生まれ。桶狭間の戦い当時は26歳だったわけで、信長は「人間五十年」と舞いながら自分の事と共に義元の事も考えたろうな。「滅せぬ者のあるべきか」と。恐れるに足らずと。

妹だからこそ

 信長の舞の傍らにはお市(お市の方 - Wikipedia)が居て、じっと舞を見て、聞いていた。1547年(天文十六年)生まれとのことで、桶狭間当時はまだ13歳。だから、まだ子どもっぽいパッツン前髪なのだろう。帰蝶不在のこのドラマでは、信長の心を受け止める不思議な役回りだ。

 お市は妹だからこそ、できることがあると信じているのだろう。今回、信長が弟の信勝を過去に誅した場面が出てきた(演じるのは「あんぱん」の千尋だった。どうも信行と書きたくなってしまうが、今は研究が進んで信勝と呼ぶんだね)。それが、小一郎が信長の誘いを断って兄藤吉郎に従うと笑顔で言った場面で、信長の信勝殺しの記憶が蘇ったという皮肉な形だった。

 手を下していたのは、ドラマでは信勝の配下だったこともある柴田勝家。このあたりのリアルでの血で血を洗う織田一族殺し合いを考えたら、トラウマにもなるよね。よくぞ生き抜いたよ、信長は。

 その弟についてトラウマを抱える兄信長だからこそ、お市は支えたいと思っているのだろう。妹である自分は信勝のように信長を打倒しようとする存在にはならないもんね。兄を真摯に支える自分の姿を見せて、きょうだいの絆を信じさせたいのかもね。

 史実では、彼女が嫁ぐにはまだまだ時間がある。嫁いだのは1567年(永禄十年)、1568年(同十一年)、早いと1564年(永禄七年)など諸説あるようだ。この時代の女子にしては婚期が遅いとか。そこら辺の事情がどうドラマになっていくのか、楽しみだ。

 そうそう、兄を支えた弟というと、ドラマの主人公・小一郎秀長の他に有名な武田信玄の弟・武田典厩信繫がいる。中学生だったか、子どもの頃に大ファンになった。初推しと言ってもいいのでは。彼の名前を貰って、真田信幸の弟も真田信繫と名乗ったぐらいだもんね(真田幸村の方で有名だけど)。

 その武田信繫を取り上げた番組が放送されていて、感激した。再放送が2/4らしいので、ご関心のある方是非見てね。大河ドラマも、豊臣兄弟じゃなくて武田兄弟にしてもらいたかったな~。

武田兄弟! 信玄と信繁“戦国最強”の絆 | 英雄たちの選択 | NHK

アイデア溢れる桶狭間

 今回の桶狭間の戦いでは、ご存知の通り信長が奇跡とも言える大勝利を収めた。それを藤吉郎は信長には天運があるからだと言い、小一郎は考え抜いた計略の成果と見た。

藤吉郎:(凱旋の途上で)だから言ったであろう!信長さまは勝つと。そういう天運をお持ちなのじゃ!

小一郎:本当にそうであろうか?ギリギリまで戦支度をせずに敵を領内におびき寄せたこと。佐久間盛重様の首が運ばれるのを見越して、義元の居所を突き止めたこと。そして敵を油断させ、大軍勢を2つに分かれるように仕向けたこと。全ては殿様の計略じゃ。大した御方じゃ。(圧倒されている)

藤吉郎:(笑顔で小一郎をポンと叩き、肩を組んで歩き続ける)

 この計略を信長がゼロから自分で考えたのは違いないのだが、実は勘所は重臣も捉えていた。その勘所に信長は先回りして手を打っていたのだから驚かされる訳だよね。

佐久間信盛:今川義元は、明日にも沓掛城に入りましょう。

織田信長:沓掛城など、まだ遠いかなたではないか。

ナレーション:5月18日、義元は尾張に侵入し、沓掛城に入った。そして、先鋒の松平元康・後の徳川家康は、義元の命により大高城への兵糧入れに成功した。

丹羽長秀:(就寝中の信長に)申し上げます。松平元康が大高城へ兵糧を運び込んだとの知らせ。続いて丸根砦、鷲津砦へも攻めかかったとのことでございます!

信長:出陣じゃ。(起床→幸若舞)

信盛:いや~解せぬ。

長秀:殿は一体、何をお考えなのか。

柴田勝家:ごめん!(ズカズカと通る)

林秀貞:留守はお任せあれ。お手柄を!

勝家:支度を急がせろ!(ハッ!と家臣)

(太陽が昇り、わずかな手勢で清須城を出陣していく信長。今川の軍勢はおよそ25,000織田軍およそ3,000人が前線の善性寺砦に集結した)

長秀:義元の本軍は、沓掛城を出て西に進んでいるとのこと。

勝家:行先は鳴海城か。

信盛:いや。松平勢によって大高城に兵糧が届けられたということは、そちらに入るつもりであろう。

信長:義元本軍は、残り1万5千か。(頷く長秀)

勝家:ここは奇襲あるのみ。この勝家にお任せを。

信盛:義元の首を取るには、確かな居所を突き止めねばならん。敵もそう易々と悟られるような真似はすまい。

長秀:それに、いくら奇襲といえどさすがに数の差があり過ぎまする。せめてあと、半分に減らさねば。

勝家:なら、どうしろと言うのじゃ!

信長:今は・・・盛重に賭けようではないか。

 この、信長が言う「盛重に賭ける」の意味が重臣が考えるものとは全然違うのだものね。当然、重臣は佐久間盛重の奮闘を期待していたが(と言っても限りがあるよね)、このドラマの信長は、盛重の首をGPS代わりにして義元の居所を突き止めようとしていたのだった。ただただ驚愕。

 いや、このアイデアには恐れ入った。そうだよね、敵将の首は打ち取られたら大将の義元による検分のために運ばれる。それを配下がこっそり追えばいいんだよね。織田側の領地だから、そう無理なく追えるだろう。それを警戒せずにちゃっちゃと義元に盛重の首を届けちゃったか・・・松平元康も人の子だったねえ。

 しかし、リアルの佐久間盛重さんはお気の毒。史実では信長のために戦って討ち死にしているのに、500年以上経ってのドラマで「生き残るために強きにつくは世の倣いじゃ。何ら恥じることは無い!」と言い放つ裏切り者+首はGPS装置に仕立てられてしまった。気の毒過ぎて罰が当たりそうだから、ちゃんとNHKはお参りするなりした方が良いね。良い子の皆さんは、ドラマを史実と信じちゃダメですよー。

 でもしかし、だがしかし。このアイデアはストンと腑に落ちた。一番手柄とされた梁田政綱が、なぜ義元の居所を突き止められたのか謎だったものね。ウィキペディア先生を確認したところ、今もまだ謎のようだ。

桶狭間の戦いの功績の内容は不明だが、一説には、今川義元の本陣の場所を織田信長に伝えたため、義元の首を挙げた毛利良勝よりもその功績は大きいとして、沓掛城主となったという。しかし、なぜ本陣の場所を簗田が知っていたのか、なぜ功績を讃えられたのか、不明な点が多く、小和田哲男武田鏡村らの歴史研究者が推測を発表しているが定説はない(詳細は桶狭間の戦いの項を参照)。(簗田政綱 - Wikipedia

 ゲーム「信長の野望」でも、梁田政綱って紫色の忍者じゃなかったっけ?(20年以上前にプレステ2?で遊んだ記憶)大河ドラマでも「武田信玄」で河原崎建三が演じた哀愁ある梁田政綱を思い出した。彼が忍者の配下を駆使して義元本陣を見つけたのだと思っていたら、このドラマの梁田政綱は、佐久間盛重の裏切りを見越してとはいえ、盛重を積極的に殺して首を敵方に差し出すんだものな・・・いやはや、戦国っぽいよねえ。

 この義元の居所発見のプロセスが、不謹慎かもしれないがドラマの独自色が見えて大変に面白かった。未だ興奮冷めやらぬって感じだ。

兄に従い、兄と共に仕える

 丸根砦を守っていた味方が裏切るのを織り込んで、その首を使って策略を講じた信長。それを知ってか知らずか、ともかくも信長を見る目を変えた小一郎。信長の方も、小一郎の頭の回転が良い事にはもう気づいていて、藤吉郎をその「吉運」で足軽組頭に採用したのと同時に、小一郎を自分の近習にしようとしていた。

 でも、前述の通り小一郎は断るんだよね。武家の非情な兄弟関係で揉まれてきた信長と違って、小一郎&藤吉郎の農民ののどかで平和な兄弟関係が浮き彫りになった場面だった。

信長:小一郎と申したの。

小一郎:はっ!

信長:お主はこれより近習としてわしの側に仕えよ。こたびの戦、お主の助言なくして勝つことはできなかったやもしれぬ。これからも、わしの力となれ。よいな。

小一郎:(息を呑んで声が出ない)・・・恐れながら・・・。

藤吉郎:何とありがたき御言葉。我が弟小一郎、喜んで殿のお傍に・・・

小一郎:手前には、荷が重すぎまする。天は、人事を尽くしたものに味方すると存じます。こたびの殿がそうであられたように。わしはこの戦、到底勝てるはずないとそう思っておりました。しかし、殿は違った!そして我が兄も又、殿は必ず勝つと信じて疑いませんでした。そういう思いが、天を味方につけ、道を切り開くのだと教えられました。手前には然様な力はござりませぬ。

藤吉郎:何を言うとるんじゃ。せっかくの殿のお引き立てを。

小一郎:わしは!(藤吉郎の顔を見て)ハハ!兄に従い、兄と共に殿にお仕えしとうござります!(ひれ伏す)

(信長の脳裏に、弟の信勝誅殺場面が蘇る)

小一郎:その代わりと申しては何ですが、銭を頂きとう存じます。

藤吉郎:はあ?!

小一郎:どうか手前への褒美は、銭を下され!

藤吉郎:この、た~けが!何を言い出すかと思えば・・・。

信長:黙れ、サル!

藤吉郎:はっ、黙りまする!

信長:フッ、よかろう。こたびのその方への褒美、銭50貫を与える。

小一郎:ああ・・・はあ、はあ!

藤吉郎:50貫!

信長:それから、これもくれてやる。(片方ずつ、草履を投げ渡す)草履は片方だけでは何の役にも立たん。互いに大事にせい。よいな!

藤吉郎:ははあ~!この木下藤吉郎秀吉、信長さまの草履、家宝に致しまする!

小一郎:いたしまする!

お市:調子のよいサルたちじゃな。

信長:全くじゃ。(笑い合う藤吉郎、小一郎)

 兄弟仲良く、草履を大事にか。信長の心の痛みが見えるようだね。お市も、仲の良い兄弟である2人を見て心和むだろう。

 前回、小一郎が雨の降る前兆としてトンビが低く飛ぶことを教えたため、今回、ドラマでは信長は義元急襲の前に自軍の鉄砲を包ませた。雨で鉄砲が使えなくなった義元軍には痛手で、しかも雨音で信長軍の行軍の音が紛れ、義元側に直前まで気づかれずに襲うことができたのだった。

 でも、「一刻の内に雨が降る」と言われてもね。それを活かせるかと言われれば、現代でもそんなうまい具合に戦に利用できるのかな。雨を待つうちに敵に攻撃の暇を与えるだけになるかもしれないし、やっぱり信長には天運があったんだよね。

 信長も、悪運が強いと言われて「わしもそう思う」とお市に言った。「あれこれ策を弄したところでそれがうまく行くとも限らぬ」と。それな。

兄弟の仇討ちと出世

 父の仇として城戸小左衛門をどさくさに紛れて討とうとしていた小一郎と藤吉郎だったけれど、あっけなく城戸が死んでしまい、そうはならなかった。

 戦の現実が、小一郎の考えを変えたのだ。城戸は獅子奮迅の働きを見せ、1人で3人ほどもいっぺんに相手にして戦っていた。自軍に無くてはならぬ人。城戸がいなければ負けてしまう、自分が生きて帰れないかもしれない。それを「怖気づいたのか」と問われれば、そうなんだけどね。それが現実だよ、仕方ないよ。

藤吉郎:怖気づいたんか!

小一郎:そうじゃ!わしは死ぬんが怖い。殺すんが怖い。わしは役立たずじゃ。

藤吉郎:(抱き起こして、笑う)いつか、あいつより偉くなって顎で使ってやるとするか。(頷き合ったところで、敵兵に襲われる。寸前で槍が飛んできて敵兵を仕留める)

城戸小左衛門:(槍が投げられた方向から現れる)打ち損じたか。戦場なら目障りな奴を殺しても気づかれんからな。敵じゃろうと味方じゃろうと。

小一郎:わしらを狙ったんか?

城戸:せいぜい気を付けることじゃな。(矢が背後から飛んできて背中に刺さる)うっ!(敵兵と戦いながら倒れ、絶命)

藤吉郎:おい、おい!何じゃその有様は!せっかく許してやったのに!勝手に死んでんじゃねえ!このまぬけ~!

 この間に敵将今川義元は首を取られ、織田軍大勝利。戦闘は終わったように見え、今川軍の兵が慌てて逃げ去った。下っ端の兵は義元に敵地に連れてこられて戦わされて、「勝手に死んでんじゃね~」と言いたい状態だろうね。

 藤吉郎は、城戸の腰にくくり付けられていた父の形見の戦守りとともに、城戸が打ち取った首を取り、持ち帰った。小一郎は、城戸と同じこと(手柄の横取り)をするのか、それじゃ城戸みたいにあっけなく死ぬ、兄者はもっと高みを目指すんじゃろ・・・と諌めた結果、藤吉郎は首実験の場で信長に正直に申告。近くにいただけだと言って頭を下げた。

 それでも、信長は藤吉郎に足軽組頭の地位を与え、幸運を褒めて「秀吉」の名を与えた。木下藤吉郎秀吉となった訳だ。

 信長は、藤吉郎を運の良さで評価するんだな。じゃあ、運の良さをキープするためにも「どんな手を使おうと、勝てばいいのじゃ」はモットーにできない。味方のだまし討ちなんかもってのほか。運の良い人はそんなことはしちゃいけない。良い子は気をつけましょう。

 そういう風に兄を諫める弟を失った時、天運に恵まれていたはずの兄秀吉は運を失っていくのだね。

直と寧々の間柄

 戦に出ていく時に、直がちょっとした気遣いを寧々に見せた。それを感良く受け止めた寧々。今後、良い感じの仲になりそうじゃない?しかし、地元でオロオロして突っ立っていただけの直とは見違えたな。

直:(出陣していく軍勢を見送る。わざとあくびをする)はあっ。さあ、帰って休みましょう?

寧々:よくそんなお気楽なことが言えるわね。

直:いつもはまだ寝ている時分でございます。いつも通りに致しましょう。そうすれば、いつも通りお帰りになりますよ。きっと。

寧々:(最初は恨めし気に横目で直を見るが、気を取り直したように表情を緩めて)良い考えね。フフッ。(笑顔を交わす)

 見送る側が、ヤキモキして気持ちを上下させていても仕方ないから、気を落ち着かせて日常を送ろうってことなんだろうけれど・・・戦に備えて全速力で山に逃げたりはしなかったのだろうか?負けを見越したような行動は、武家はできないのか。

 でも、負ければ女は戦利品扱いで乱暴狼藉が待っていると思うと怖いよなぁ。武家は、死なば諸共か。軍勢が負ければ、攻め込まれた地で女子どもも死ぬってことなんだろう。酷い時代、戦は嫌だね。

(ほぼ敬称略)