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【豊臣兄弟!第19回「過去からの刺客」ネタバレ感想】苦節7年?小一郎、妻の心をようやくゲット

ガルルルル状態の妻お慶

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第19回「過去からの刺客」が5/17に放送され、長々と引っ張られてきた正妻お慶と主人公小一郎の不仲がようやく解消した。

 お慶は、言われていたような男漁りや不倫を犯していた訳でも、敵方に情報を売っていた隠密と通じていた訳でも何でもなく、割と単純な子を思う健気な話に着地。やれやれ。それをちゃんと見せてくれた役者さんたちの演技に脱帽だ。

 さっそく公式サイトから今回のあらすじを引用する。

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第19回「過去からの刺客」◆◇あらすじ◇◆

信長(小栗 旬)は嫡男・信忠(小関裕太)に家督を譲り、安土に天下一統を見据えた巨大な城を造り始める。秀吉(池松壮亮)は柴田勝家(山口馬木也)を総大将とする上杉攻めに加わるが、作戦を巡り勝家と対立してしまう。一方、慶(吉岡里帆)に他国の武将と内通しているという疑いがかかり、小一郎(仲野太賀)は彼女がひそかに足を運んでいるという村へ向かう。そこで小一郎は、慶がひた隠しにしていた悲しい過去を知り――。(第19回「過去からの刺客」まとめ|大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - 「豊臣兄弟!」見どころ - 大河ドラマ「豊臣兄弟!」 - NHK

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 ちょっと待ってね、このドラマでは旧西美濃三人衆のひとり・安藤守就の娘という設定のお慶が、織田信長の命により仏頂面で小一郎に嫁いできたのは、まだ浅井長政が弟プレイで喜々としている信長の相撲相手になっていた第13回。サブタイトルは「疑惑の花嫁」で、お慶と、長政に嫁いだ信長妹お市が女狐扱いだった。

【豊臣兄弟!】#13 織田と浅井朝倉との戦前夜、「疑惑の花嫁」は女狐ふたり。どんぎづね吉岡里帆の「お慶」と狸顔の宮﨑あおい「お市」 - 黒猫の額

 さて、今回の19回では秀吉が柴田勝家と争っていて、織田軍が敗戦する手取川の戦いを控えている時点まで来ているから、とっくに姉川の戦いも終わり、浅井家は滅びている。武田信玄も死に、超高速で長篠の戦いも通り過ぎた(秀吉は従軍していたらしいけれど、ドラマでは残念ながら通過)。信長だって、嫡男信忠に家督を譲って終の棲家の安土城に移る。

 ザックリ計算すると、お慶が嫁いでから約7年は経過しているか。人たらし小一郎なら、もっと早めに妻の心の氷を解かすだろうと思っていたのに、そう簡単じゃなかったってことなのか、小一郎が妻に正面から向き合うのを厭っていたのかどっちかだよね。

 嫁いできた時には、前田利家がお慶の素性とともに、良からぬ噂を兄の秀吉夫妻に吹き込んだ。そのため秀吉と寧々が小一郎に待ったをかけになだれ込んでくるというすったもんだ状態に陥ったが、その時の夫に対する新婦お慶の決めゼリフがこうだった。

お慶:この身はあなたに差し出します。でも・・・心は、お前たち織田の者には指一本たりとも触れさせぬ!

 この難攻不落な感じ。演じる吉岡里帆の表情が怖くてねえ、うちの家族は癒しのどんぎつねさんとは別人の女優さんだと信じていた。

 今回も、前夫との間に設けていた息子・与一郎を、小一郎が養子にしようと動いたと知って、小一郎が居た村川竹之助(不倫相手じゃなかったね)宅に駆け込んできた時のお慶の表情が、冗談抜きで般若のように怖かった。え、お慶は村のどこに潜んでいたの?

お慶:何が本気じゃ!勝手な真似をするでない!与一郎を養子にじゃと?誰がそんなことを頼んだ!

小一郎:すまん。そなたに言うたら承知せぬと思うたのじゃ。

お慶:当たり前じゃ。なぜあの子をお主の跡目にせねばならんのじゃ!

 この般若の表情は、小一郎が「そなたと与一郎が一緒に暮らせればそれで良い。上様に話してお認めいただく。案ずるな」と応じたことで少しは緩むかと思ったが、ガルルルル状態のお慶の興奮は、そう簡単に治まってなかったよね。

 怒り爆発のお慶なんだけど・・・ごめん、最近のYouTubeがいけないんだよ・・・ショート動画で見てしまった吉岡里帆のキレッキレの演技をね、またもや思い出して笑ってしまった。

youtube.com

 いやいやいやいや、全然違うんだけどね。この後、小一郎とお慶の真面目な良いシーンが続くのに、思い出し笑いでプププと笑ってた💦怒りの局面が続くのに耐えられなくて、ってことなのかも。ましてやあんな美人さんだから、笑顔が早く見たいよね。

直を思い出に変えられた小一郎

 ここでやっぱり、亡きお直の話がお慶の心の扉を開いたようだった・・・というかね、なんでここまでお直の話をしていなかったんだ~小一郎!仮面夫婦を続けた7年間、どこかで話すチャンスはあったはず。

 お慶の苦しさを本当に思うのだったらば、打開策としてもっと早く思いつくべきだったよ。大切なお直の話だけに、できなかったのか?心の奥底にしまった大切なお直の話をお慶にしてやっても良いと考える、そのバランスが取れたのが7年後だったってことかなあ。

(焚火を見ながら腰掛ける小一郎とお慶)

小一郎:ずっと分からんかったんじゃ。なぜ、そなたは死ななかったのかと。(チラリと小一郎を見るお慶)儂は死のうとした。直を失った時にの。同じ村の娘でのう。いつの間にか儂は直のことを好いてしもうたが、身分も違うし、どうすることも出来んと思うておった。じゃが直は、家を捨ててこんな儂に付いてきてくれたんじゃ。そうでなければ、死ぬことも無かったかもしれん。

 じゃから今度は儂が直についていく番じゃと、そう思った時に、直に引き留められてしもうた。あやつ、儂が万事円満の世を作るんじゃて、親父さんに大口叩いて、有り金一切を賭けたそうじゃ。(素直に聞き入るお慶)そんなこと言われたら、どうしたらいいか分からん。分からんけど・・・儂は死ねなくなった。儂は・・・はあ、何でこんな話をしとるんじゃ。(涙を堪えて席を立つ)

 (お慶に振り向いて)そなたにとって、与一郎がそうなのであろう。一人でよう耐えられた。気づいてやれんで、すまんかった。

お慶:だから、何であなたが・・・謝られる筋合いなど・・・。

小一郎:あるわ。(近寄る)わしら、夫婦じゃからな。何でも力になるで。もっと儂を頼ってちょ。

お慶:偉そうに・・・おなごのことなど、何も分からぬくせに。私は・・・私は・・・(小一郎を見上げて)与一郎と一緒にいたい。(立ち上がり、葛藤の表情)与一郎を・・・抱きしめとうございます!(涙があふれる)

小一郎:(力強く)相分かった!

 お慶の「勝手な真似をするでない!」とか「偉そうに」という小一郎に対する上から目線の言葉遣いが、彼女が本心を喋っている時のシグナルだと思っていたのだが、会話の最後では、本音を言いつつも「与一郎を抱きしめとうございます」と丁寧語になった。

 もう、目の前の人(織田方の、夫が死ぬきっかけを作った人)を頼るしかどうしようもないと観念したのだろう。「憎しみだけで生きるのはあまりにも苦しい」とも言っていた。頼っても良さそうだと考えさせたのは、ここまでの7年もの共に暮らした平穏な歳月の積み重ねであり、さらに、お直の話だったと思う。もちろん、与一郎にちゃんと会えない辛さが積み重なって限界だったのもあるね。

 さて、小一郎。ずっと分からんかったって、あんた、それ何だよ・・・本当に人たらしなのか?もし、人たらしの目でさえも鈍らせたものがあるなら、それはお直の存在以外にはないだろうけどね。心がお直を求めてずっと苦しかったから、目の前のお慶は分からなくて放置でもまあ仕方ない、だったのかなあ。

 時が経ってお直の喪失を思い出として語ることができるまでになり、自分を客観的に見られるようになったから、同じように死ねない何かを抱えているお慶のことが、ようやく目に入ってきたのか。7年は、必要な時間だったってことだ。

出来過ぎな「嫁の安藤家が気に入らない」ギャグ

 同じ7年が必要だったのは、お慶の亡き夫の両親もだね。ここでジャーンと登場したのが奥田瑛二に麻生祐未だ。ドラマの語りが安藤サクラだから、娘との親子共演を喜び、父親の奥田瑛二は出てくれたのだろう。大物をスポットで持ってきたものだ、贅沢遣いだね~。

 お慶の肩に残る刀傷は、実は奥田瑛二演じる先の舅・堀池頼昌に斬られたものだった。美濃の重臣だったという設定の堀池家は、織田に家を潰されて百姓になり、頼昌は亡き息子・頼広の忘れ形見の与一郎を育てていた。

 与一郎の様子を知らせるため、という至極真っ当な理由でお慶と連絡を取っていた、たぶん堀池家の家人だったらしい村川竹之助によれば、頼昌は「織田に寝返った安藤守就の娘であるお慶様を決して許そうとはなさらず、家から追い出し、与一郎様と引き離しました」とのこと。

 堀池の嫁として夫とも舅姑とも円満だったなら、お慶自身もその舅姑の気持ちをシェアしていただろう。織田に寝返った自分の実家を呪い、実家の人間である自分を許せない。それでも、譲れないのが息子・与一郎だったから、連れて逃げようとしたんだね。それで舅に斬られた。

 奥田瑛二といえば、大河ドラマでは不人気だったが「花燃ゆ(花燃ゆ - Wikipedia)」の玉木文之進をおぼえている。幼少期の主役(杉文・吉田松陰の末妹)をいきなり張り倒す暴れん坊なおじさん。言いにくいが、彼は偉いのだが少ーし抜けて考え足らずの情けない人物を演じてうまい印象がある役者さんだ。

 今回もその味を買ってのキャスティングだと勝手に思う。だって、嫁を斬ってしまう訳でしょう、大事な跡取り孫息子を取られてしまう焦りがあったとしても、その孫の反感を思えばどう考えたってやりすぎ、カッとなったんだろうけど。

 で、そんなつもりじゃなかった・・・を引きずって刀が抜けなくなるというね💦そんな人物。なのにまだ、お慶の売り言葉に煽られて「いいだろう。その覚悟に偽りがないならば、望みを叶えてやる!」なんて出来もしないことをやろうとする。

 大体「嫁の実家の安藤家が気に入らない」って偶然にしては出来過ぎなギャグだ。奥田瑛二の妻は言わずと知れた安藤和津だ。もしかしたらそこからのキャスティングだったのだろうか?

有無を言わせぬ麻生祐未の力技

 一方の姑役は、私の中では「仁」などTBS色の強い麻生祐未だ。それも綾瀬はるかとセットの印象。でもそうか、NHK朝ドラの名作「カーネーション」の千代さんは良かったよね~主人公・糸子の上品な母だった。彼女は正にカメレオン、肝の座った女性も何をやらせても上手い、はずれがないのが麻生祐未だ。

 今回も、カッコつけなんだけどイマイチな夫の手綱を引いて、落としどころに導いていったしっかり者の武家の妻・絹、といった感じだったが、力強くも涙涙のあの表情を見ていて貰い泣きをしないではいられなかった。

 絹はまず、「もう、よしましょう」と刀を握る夫の手をやさしく両手で包み込み、頼昌は魔法をかけられたように力が抜けて、武士の魂のはずの刀をガシャーンと落下させた(柴田勝家も刀を蹴り飛ばしていたから、戦国時代の刀は武士の魂じゃなくて単なる実用品だったのかな)。

 お慶に振り返った絹は「許しておくれ、お慶。あなたを斬った時以来、この人は太刀を抜けなくなってしまったの」「この人もずっと罰を受けてきた。だから、許してやって」と暴露し謝罪。

 しかし、頼昌は「もう侍には戻れぬ」「すまん頼広」と、亡き息子の依り代のように、大事に大事に上座に鎮座させている鎧に深々と謝った。いやいや、まずお慶に謝ろうよ・・・。

 そう思ったところで、絹はまたその手で魔法をかけた。いや、解いたのだろう。息子の鎧に近づいて行き、やさしく両手を広げ、泣き顔になって息子を抱きしめる・・・と思わせておいて、これまたガシャーンと盛大に鎧を引き倒したのだ。絹はドスの利いた声で吠えた。

絹:これは頼広などではありませぬ!私たちの頼広は、いつも、もっと優しく・・・(泣く)笑っておりました。そうよね?お慶。

 麻生祐未優勝。みんなで泣きながら頷くしかない。奥田瑛二の夫は完敗だ。とうとう与一郎の前に座り、「お前はどうしたい?」と与一郎の意志を一応は確かめた上で、小一郎の養子としてお慶とともにゆくことを許した。

頼昌:羽柴殿。与一郎のことを、どうかお頼み申します。(老夫婦が揃って頭を下げる。涙を流す与一郎)

小一郎:必ずや、頼広殿のような立派な武将にお育て致しまする!(藤堂高虎も、涙のお慶も手をつき頭を下げる)

 良かったね~めでたしめでたしだ。

 お絹も、もう憎しみだけを口にする夫に付き合うのに疲れていたんだろうし、夫本人も、口ばかりなのを知っていた。その枷を外して皆を楽にすることができるのは、自分しかいないことも。

 大体ね、お慶を憎むのはお門違い。遺族同士で何やってる、今作だったら能無しの斎藤龍興を恨むべきだったよね。手近なところで恨みを晴らそうとしちゃいけないよ。

逸材の与一郎

 「どうしたい」と祖父に問われ、テレビの前の視聴者の注目が一身に集まる中、与一郎は「儂は、おじいに教えてもらった弓でうまい実をいっぱい採りたい。そんでそれを母上に食べさせとうござりまする」と答えたのだったが、ちゃんと母の表情を嬉しげにチラ見しながらセリフを言うとかね・・・うますぎるでしょう!

 子役ちゃんとはいえ、この人(高木波瑠くん)は大河ドラマのご出演は4作目だそうで。見覚えあるよね、どおりで。

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 成長著しい未来の加藤清正と福島正則(ふたりとも設定では十代半ばだよね?)に釣りに行こうと誘われて、「行って参ります、母上・・・父上」という最後に決めたところもね、間の取り方とか表情とか、もう天才じゃない?呆気にとられている。

 与一郎の問題を解決して、これでようやく、お慶は小一郎に心を開いた。「この先は誰かを守る為であっても、自らの命と引き換えにするようなことは言わんでくれ」「そなたが大切なのじゃ、この儂が、必ずうまくいく道を見つけてみせる。儂を信じてくれ」と言う小一郎。

 お慶は「はい、小一郎さん」と微笑んで答えた。丁寧語だが、本心だ。

お慶:(小一郎の手を取り、自分の胸に当てる)この命、あなたにお預けいたします。

 心には指一本触れさせぬ!とかつて宣ったお慶が・・・小一郎は泣くしかない。だけど、そこ斬られた古傷で痛い所だから!パンパンしないで~と、見ながら冷や冷やした。

 この家族の幸せが長く続けばよいのにね・・・与一郎が別れを告げた水辺に、彼岸花が赤く咲いていた。次回、まさか?そうならないことを祈る。

(ほぼ敬称略)