黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

猫の絶望

 西洋医学にさじを投げられて散々嫌な思いをした十年以上前に、漢方薬ホメオパシーという代替医療によって体力を回復でき、今の生活を送れるようになった経験がある。だから、最近のホメオパシーに対する眉唾的な扱いには残念な気持ちが私にはあるが、とはいえ家族は別人格だから、信じないと言われれば仕方ないと思っていた。

  飼い猫の口腔がんが再発したと確認されて、命の終わりが近づいているようだ。認めたくないけどね。7月末の生きるか死ぬかと言われたつらい手術を乗り越えて、穏やかな日々を取り戻したと思ったら再発。そこでセンダイウイルスというものを提案され、試みに患部に直接接種する治療を受けさせ始めたところだ。既に1クールのうちの3回を終えた。

  がんの部分に直接注射するわけで、猫は泣き叫ぶ。毎回大小おもらしするほど怖い。きっと痛みもあるだろう。何が何だかわからないことを、週に3回もされる。鳴き声が聞こえてくるとこちらもたまらない。カートに乗せるだけで病院に連れていかれると猫も分かるから、怒りの唸り声をあげるようになり、普通に家でいても、私が触れると唸り、身を隠すようになってしまった。

  こんなつらい思いを、人生の最後にさせて良いはずがない。18年も家族でいてくれた猫型の息子(つまり、人間に換算すると12月で90歳らしい)には、できるだけ穏やかな最期を迎えさせたい。そう思い、家族にホメオパシーでの治療を提案した。ソフトランディングが目的だ。

  家族はやはり信じないようだが、今回は賛同を得た。家族も同席して猫を受診させたところ、やはりかなり状態が悪いとのホメオパシー医の指摘。がんが消えることは期待しないで、とのことだった。服用しているメタカムという消炎鎮痛薬は、継続させてとの話だったが、あと2週間もすれば使えなくなると・・・腎臓が持たないそうだから。ということは・・・。

  また、不幸中の幸いというべきだろうが、がんも高齢猫の中ではそんなにこれから育たないだろうとのことだった。このまま、局所に抱えたまま、できるだけ穏やかなゴールを目指そうということだ。口腔がんが花盛りになってしまってかわいそうな状態の猫の写真などもネットで見たことがあるだけに、それは大きな救いだった。

  プライドが高ーい猫だとは思っていたが、それも分析結果に出ていた。一方、絶望的な思いも強く抱えていると。

  絶望か。そりゃそうだよね、穏やかに過ごさせたいと言いながら、結局は連日のように医者に連れて行って、一番痛いところに注射なんかしているんだから。抱っこすれば苦い薬を飲ませられていたわけだし。だから、膝にも乗ってこなくなってしまっていた。

  信じないけど、と言いつつ、この猫の絶望感が家族にも響いたそうだ。センダイウイルスの1クールで終了したらこれまでの獣医に行くのは止め、あとは往診専門の緩和ケアの獣医に任せようと言い出した。もちろん、ホメオパシーは送ってくれるとのことで連れて行く必要も無いので、こちらも並行して与えることになった。

  ホメオパシーなら、甘い砂糖粒をなめるだけだ(実際には水溶液を与える)。ホメオパシー医の助言に従い、これまであれこれ飲ませていた薬も整理し、ふたつを残して減らすことになった。猫の絶望の方も、少しでも減らせるよう、できるだけ抱っこ&なでなでして過ごしたいと思う。