黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【光る君へ】#12 まひろの恋の果て。これが傑作「源氏物語」の肥やしになるんだ

道長との関係は、切ない結末を一旦迎えた😢

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第12回「思いの果て」が3/24に放送された。幼いまひろと三郎の関係から始まって、2人の関係はなんとも切ない終わりを迎えた。まあ、ここでめでたしめでたしを迎えると、後で余計ドロドロになっちゃいそうだし史実に添わせるにも無理が出る。

 公式サイトからあらすじを引用させていただく。

(12)思いの果て

初回放送日: 2024年3月24日

道長(柄本佑)の妾になることを断ったまひろ(吉高由里子)。為時(岸谷五朗)が官職に復帰する目途もなく、生計を立てるためにまひろの婿を探すことを宣孝(佐々木蔵之介)が提案する。その頃、まひろと決別した道長(柄本佑)はかねてから持ち上がっていた倫子(黒木華)との縁談を進めるよう兼家(段田安則)に話す。一方、姉の詮子(吉田羊)は、藤原家との因縁が深い明子(瀧内公美)と道長の縁談を進めようと図るが…

 前回までに何度か書いていた私の妄想は、あっけなく潰えたことが今回はっきりした。まひろが道長の子を若くして産み、その子(後の彰子)を倫子様が「源氏物語」の紫の上がそうしたように引き取って育て、入内させる・・・という話だ。

 いいと思ったんだけどな。でも、あざと過ぎますな。そんなことをしなくても、十分まひろと倫子様の関係はスリリングに展開していきそうだ。

 予告編では、以前まひろが書いて道長に贈った漢詩を目ざとく倫子様が見つけ、女の字であることに気づき、まひろに相談してまひろがすっとぼけていた。つまり、3~4年後のまひろは倫子様にお仕えしている感じ?

 先走りたくなるが、今12回の話に戻ろう。

 まひろと道長の別れは、庚申待の夜、例の廃邸にまひろを呼び出した道長が、左大臣家の一の姫・倫子に婿入りすると伝えたことで決定的になった。百舌彦が道長の文を持ってきた時、乙丸が寝ちゃってたなあ。眠ったらいけない夜のはずなのに。(をしへて! 佐多芳彦さん ~庚申待ってどんな行事? - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 道長の手紙を見て駆け出したまひろは、それまでに「北の方になるなら誰でもいいの?」「このままあの人を失ってもいいの?」と自問したり、宣孝によるまひろの婿取り活動を通じて「妾でもいい。あの人以外の妻にはなれない」と心を決めていたのに・・・。

道長:すまぬ。呼び立てて。

まひろ:いえ。私もお話したいことがあり、お会いしとうございました。

道長:(まひろの前に立ち)左大臣家の一の姫に婿入りすることとなった。(副音声:まひろの中の全てが止まる)お前にはそのことを伝えねばと思い、参った。

まひろ:・・・倫子様は、おおらかな素晴らしい姫様です。どうぞお幸せに。

道長:幸せとは思わぬ。されど、地位を得てまひろの望む世を作るべく精一杯努めようと、胸に誓っておる。

まひろ:(顔を引きつらせて)楽しみにしております。

道長:心の声「妾でもよいと言ってくれ!」)お前の話とは何だ?

まひろ:道長様と私は、やはり辿る道が違うのだと私は申し上げるつもりでした。私は私らしく、自分の生まれてきた意味を探して参ります。道長様も、どうぞお健やかに。(まひろを見つめる道長)では・・・(立ち去る。涙がこぼれるまひろ)

 道長、思い出せ。まひろは作り事を話すのが得意なんだと。「偽りを申すな!」と今こそ彼女に迫るべきだった。しかし、まひろもよく言ったなあ。虚ろな言葉を聞いて、道長も薄々まひろの本心に感付いただろうに・・・彼女を帰してしまうなんて、意気地なしだ。

 倫子はまひろには尊敬すべき心優しい姫。今回もサロンで「家では下女の代わりに床拭きをしている」というまひろの言葉を聞いて、床の木目を見てみようなどと高貴な姫がすることとは思えないことを言い出し、まひろのピンチを救った。その上で「まひろさんこそ、堂々としていてお見事でした」と褒めたのだった。素晴らしい姫だ。

 そんな倫子と道長の縁談を知ったら、まひろが恐れ多くて身を引くのも分かる。SNSを見ていると「なぜ道長が先に倫子に婿入りすると言っちゃったの、まひろが先に妾になると言っていれば~💦」といった、2人のボタンの掛け違いを惜しむ声が多かった。

 明らかに思い合っているのに別れるのは切ない。道長がレディーファーストでまひろの話を先に聞いていたら。駄々洩れの心の声が「妾でもいいと言ってくれ!」と叫んでいたものの、自分の望みはちゃんと声に出して言わなきゃ伝わらないし現実化できないよ。

 道長が先に言ったことについては、やはりね、道長は行成に書を習っていた時点で「甘えていたのは俺だ。心残りなど断ち切らねばならぬ」と強く己に言い聞かせていたからこそ、揺らぐ前に自分が先に言いたかったんだろうな。

 まひろに会った後、倫子の下へ直行したので「なんてヤロウだ」との反応も見たが、決してまひろと決裂してヤケになっての結果が左大臣家訪問じゃないんじゃないかなーと思う。

 つまり道長は、まひろに断りを言いたかったと彼自身も言っていた。もちろん、心の叫びで本心を言っていたように、まひろに妾になってもらえるとの承諾を得られたら、行動を変更してまひろと一夜を過ごすオプションもあっただろう。でも、基本的には、最初から倫子様の左大臣家に行くつもりだったのでは?

 まひろと道長は、ここで一旦お別れすることになったが、初恋=失恋の経験は強烈なインパクトを残し、紫式部となるまひろの中で醸成されていくはずだ。

 物語は、12回の民放ドラマだったら初恋編1クールが終了した段階。将来、傑作「源氏物語」につながると思うと、この続きの3クールもワクワクする。

小麻呂を愛する、ほのぼの左大臣家の人々が好き

 大嫌いな摂政兼家の息子・道長を、溺愛する一の姫・倫子の婿に迎えることになった左大臣・源雅信(益岡徹)。悲劇なんだけれど、彼の顔芸というか反応がとにかく面白い。

 倫子パパの中の人には、私は「御家人斬九郎」シリーズで強い奥さんにやり込められていた印象が強い。久しぶりにお目にかかり、今作も楽しませてもらっている。で、今回も兼家に迫られて四苦八苦していた。

藤原兼家:わざわざ御出ましいただき申し訳ない。どうぞ。(内裏、兼家の執務室直廬)

源雅信:(座につき、一礼する)摂政様。何用にござりましょうか。

兼家:実は、愚息道長のことでお願いがございまして。道長が左大臣家の姫君をお慕い申しておると申すのでございます。

回想の道長:道長にございます。

回想の兼家:入れ。

回想の道長:お願いがございます。

回想の兼家:何だ?

回想の道長:左大臣家に婿入りする話、お進めくださいませ。

兼家:息子の願い、何とかかなえてやりたいとも思い、左大臣様の御胸の内をお聞かせいただきたくお招きしたのでございます。

雅信:それは光栄にございますが・・・。

兼家:これから道長にも左大臣家の婿にふさわしい地位を与えてゆきますので、どうか道長にご厚情を賜りたくお願いいたします。

雅信:(ずっと視線を下げっぱなし)そのような過分なお言葉・・・。

兼家:道長にご承諾いただいたと伝えてよろしいですかな

雅信:(慌てて顔を上げて)ちょ、ちょっとお待ちくださいませ、娘の気持ちも聞いてみませんと。

兼家:どうかお力添えを賜りたくお願いいたします。

雅信:ああ・・・はあ・・・。

 雅信はお願いされている側のはずなのだが、兼家の押しが一方的に強い強い。オロオロと会話を終えるばかりだった。オロオロ感がほんとに面白いなあ。雅信は、娘の押しにも弱かった。

 兼家から「此者道長也 摂政」というあまりにも簡略な舐めた手紙を持たされた道長が、雅信の土御門邸に顔見せにやってきた後のこと。

雅信:(手紙を見て、溜息)なめておる。

倫子:父上。

雅信:いかがいたした。(漢字五文字の文をたたむ)

倫子:父上、私は・・・藤原道長様をお慕いしております。(雅信、コント張りに大口を開けて驚愕の表情)打毬の会でお見かけして以来、夫は道長様と決めておりました。

雅信:ま、待て待て・・・そなたは猫しか興味が無かったのではないのか?

倫子:そのようなこと、申したことはございませぬ!

雅信:(一瞬、くず折れそうになって)そ、そうなのか・・・。

倫子:道長様をずっと・・・ずっとお慕いしておりました。(雅信、はあ~はあ~と溜息)それゆえ、他の殿御の文は開かなかったのでございます。道長様をどうか、私の婿に。倫子の生涯一度のお願いでございます。

雅信:(かぶりを振って)摂政家でなければ良いのだがのう・・・(困り切った顔)。

倫子:叶わねば、私は生涯猫しか愛でませぬ。(雅信驚き、倫子は跪く)父上のお力で、どうか道長様を私の婿に・・・お願いでございます。(雅信、うめき声)

雅信:道長殿から文が来たことはあるのか?

倫子:いいえ。私が道長様のお目に留まっているかどうかも分かりませぬ。

雅信:留まったようではあるがのう。(倫子、顔を上げる)そのようなことを摂政様が仰せであった。

倫子:まことでございますか!?(父の袖を取り)どうか、お願いです。どうか、どうか、どうか・・・(伏して泣く)

雅信:ああ・・・よしよし、よしよし・・・(倫子の髪を撫でる)ああ、泣かんでも良いではないか。わしは不承知とは言っておらぬのだから。ああ、よしよし。

穆子:よかったわね、倫子。(小麻呂を抱いて登場)

雅信:何だ?お前・・・。

穆子:父上は今、不承知ではないと仰せになりましたよ。この話、進めていただきましょう。(喜んで母に抱きつく倫子)あなた、よろしくお願いいたしますね。(倫子、むせび泣く)

雅信:(ほとほと困ったという顔で)泣くほど好きでは、致し方ないのう・・・。(倫子、穆子に抱かれた小麻呂の手を大事そうに持って、さらに泣く)

 小麻呂かわいい!「猫だけ愛でて生きていく」との倫子の決意もわかる~・・・って、そっちの話じゃない。

 御簾越しに道長を見て「涼やかだこと」と陰で褒めていた妻の藤原穆子が参戦して倫子と共同戦線を張ったから、2対1で雅信の勝ち目はなかった。倫子様、押して押しての押し勝ち。上級貴族の姫らしい、堂々たる戦いぶりだ。

 やはり、穆子は藤原だから道長推しなのだろうか?摂政兼家に夫がどんな思いをさせられているかは、知らないのか。

 この倫子ママ、懸想文も寄こさず倫子を訪ねた道長を「えっ?文も寄こさず、なんてこと・・・」と驚きながらも「いいわ、入れておしまい」と驚きの決断をした。

 そして、倫子様も、一瞬躊躇したかに見えた道長を自分からタックル、またもや押しの一手で狙い通り仕留めた。この積極性は、ママからの遺伝という設定なのかな。納得。

 しかし、色々と端折られているにしても、紙燭を灯した女房に案内されてきた道長が、廊下から御簾で隔てられた倫子のいる部屋へと入ってきた時の姿は美しかったな~光源氏もかくや、まさにTHE平安貴族!という感じだった。大和和紀の「あさきゆめみし」をまた読み返したくなった。

 このあたり、今回は副音声の解説を聞いてみたら面白かったので、それも込みで書いてみたい。

女房:道長様がお見えでございます。どういたしましょう。

穆子:ええ?文も寄こさず、なんてこと・・・。

副音声:(土御門殿)

穆子:いいわ、入れておしまい。

副:(廊下に控える道長。御簾の降りた部屋に向かい、一礼する)

道長:道長でございます。無礼を承知で参りました。おそばに寄ってよろしゅうございますか?

副:(頭を下げる倫子)

道長:失礼します。

副:(御簾をめくり中に入る道長。うつむき目を閉じた倫子、気配に身を固くする。手を握られ、顔を上げる。目が合い、視線を逸らす道長。胸に飛び込む倫子)

倫子:道長様、お会いしとうございました。

副:(倫子を見る道長、抱きしめる)

 平安時代の恋愛の、出会いからの進展の速さに驚くが、副音声は、こんなにも雄弁に語ってくれていたんだね。状況を正確に知るためにも、たまには副音声ありの視聴も楽しい。

 今更ながら、道長役の柄本佑って平安貴族がはまる。「風林火山」で諏訪頼重の忘れ形見の僧(寅王丸だっけ?)を演じた時に、お人形さんみたいな顔立ちだと思ったのを思い出した。それが柄本明の息子と知って腰が抜けたのだった(失礼)。

 とにもかくにも、道長の婿入りは決定。左大臣家のほのぼのした人間らしい空気の中で、小麻呂もいるし、思惑とは違うだろうけど道長も一息つけるだろう。あの倫子様という人間だもの、絶対気に入ると思う。

青白い恨みの炎を燃やす源明子

 一方、道長の姉・詮子様が推す醍醐天皇の孫・源明子女王との結婚も、「お世話させていただいてよろしゅうございますか」の問いかけに明子がOKを出したので、道長とはそういうことになるらしい。御簾陰にいたはずの道長はサッサと逃げてしまっていたが。

 白い衣装のせいか体温が低そうな印象のある姫だが、今回登場してきた「一条朝の四納言」のひとりの兄・源俊賢(本田大輔)に、本心をぶちまけていた。

 「父上の無念を晴らします」と宣言した上で、摂政兼家の髪の毛1本でも手に入れば・・・と言うからには、兼家を呪い殺したいわけだ。彼女は体温が低いどころか、高音の青い炎がガスバーナーからボーッと勢いよく燃えていたようだ。

 彼らの父親は、今は亡き直秀😢の散楽一座が初回でも扱っていた「こうめい」源高明だ。光源氏のモデルとして知られ、藤原との政争「安和の変」に負けて左遷されたぐらいの認識なのだけれど、過去の詳細とかが今後ドラマでも描かれるのだろうか?とりあえず、公式サイトに説明があった。

為平親王は高明の娘を妃(きさき)にしていました。もしも為平親王が東宮となり、のちに皇位に即(つ)くことになれば、「摂関政治」の根幹である外戚の地位が藤原北家から高明に移ってしまうことになります。これを関白・藤原実頼(ふじわらのさねより)や師輔の嫡男である権大納言・藤原伊尹(ふじわらのこれただ)らが警戒し、守平親王を東宮としました。(君しるべ ~大宰府に左遷された明子の父・源高明 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 ・・・だとすると、当時関白だった実頼の子で、公任(町田啓太)の父・頼忠(橋爪淳)が関白の座にあった時には、明子は恨みを晴らそうとは思わなかったのだろうか?なんで伊尹の弟の兼家の方ばかりがターゲットに?現在政権の座にあるから?安和の変で兼家が活躍したとか?

 兄俊賢はすっかりサバサバしているのに、なぜ・・・後々何が明子の口から道長に対して語られるのか、興味深い。

 結婚を勧める道長姉の詮子様も、「源高明公を大宰府に追いやったのは藤原の仕業でしょう?」と言った。その事情を汲み、息子の一条天皇への災いを恐れての罪滅ぼしを明子との結婚を通じて道長にさせようという魂胆だ。

 弟の気持ちなどお構いなし、これこそベタな政略結婚だよな・・・本当に詮子様は兼家パパに似て策士だ。

 蛇足だが、明子の兄・俊賢の中の人は、見るたびに朝ドラ「スカーレット」で大島優子が演じた主人公の幼なじみの夫を思い出す。大島優子が「おスイカにおブドウ」を、気取って夫に供したシーンは未だに思い出すと吹き出す。妹の源明子に「怖いことはするな」と言ってたが、妹の呪詛を止められるか。

道綱、ホッとできる兄じゃんね

 兄と言えば、道長よりも11歳上で兼家の次男だという道綱が、寛和の変での剣璽を取り落としそうになったオットットの活躍(?)以来、今回もいい味を出している。道長もこの兄に限っては、家族内でも癒しを感じているだろう。

 道綱は兼家の妾である母(財前直見)を持つ。彼女の書いた「蜻蛉日記」は妾の悲しみがこれでもかと書かれている訳で、まひろも倫子様サロンで読み込んでいる。その彼ならでは、酒を酌み交わしながら妾の悲しみを道長に伝えた。

道綱:俺にも妾はいるし、それなりに大事にしているけれど、妾の側から見ると、まるで足りぬのだ。

道長:それは、お母上のお考えですか?

道綱:ああ、何も言わないけど、見ていたら分かる。嫡妻は一緒に暮らしているけど、妾はいつ来るかも分からない男を待ち続けているんだよな。男は精一杯かわいがってるつもりでも、妾は常につらいのだ。

回想のまひろ:妾になれってこと?

回想の道長:そうだ。

回想のまひろ:耐えられない、そんなの!

回想の道長:お前の気持ちは分かっておる。

回想のまひろ:分かってない!

回想の道長:ならば、どうすればいいのだ!

道長:(心の中で)ならば、どうすればいいのだ・・・。

道綱:聞いてる?

道長:聞いております。

道綱:何だよ、いつもシレっとしおってさあ!(道長の両頬をつかむ)

 彼の嫡妻って、道長の嫡妻になる倫子様の姉妹の「中の君」というらしいのだけれど、兄弟・姉妹同士で結婚するって相当仲良しじゃないか?倫子様の姉妹は、今のところ土御門邸には影も形も無い。源雅信の妾腹の娘なのか?出てこないかとお待ちしている。 

庚申待の夜、まひろ弟・惟規が大人に

 今回は、まひろの弟もクローズアップされていた。皆が起きて過ごす庚申待の夜に大学寮から戻り、今回からまひろと急激に仲良くなった「さわ」(父・為時の妾の娘、実父の下で育った)を交えて3人で仲良く酒を飲んでいた。

 3人とも20歳以下だろうけど、当時としては成年だから。まあ、どうでもいいか。

 惟規は以前、まひろのために三郎(道長)探しをしたことがあった。あの頃が既に懐かしい。彼は子どもの装束を着て、まひろはまだ三郎を庶民だと思っていた頃だった。でも、初回の子役時代(978年)はともかく、吉高由里子が登場してからまだ984~987年の数年間しか描いていない。だから、実は三郎探しもそんなに前の話じゃない。

 今回、百舌彦が持ってきた道長の手紙を惟規がまひろよりも先に読んでしまい、「姉上!道長とは誰?」「まさか、道長とは三郎のことなの?まだ三郎と付き合ってたの?」と、からかって手紙を取り上げてしまった時には、心痛極まる姉にそんな幼い態度は痛いなあ、まひろ可哀そうにと思った。

 しかし、道長と別れ、今にも泣きそうになって戻った姉をからかうことは、惟規はもうしなかった。

惟規:飲みなよ、こっち来て。

まひろ:酔ってしまうかも・・・。

惟規:どうぞ。(縁に腰を下ろしたまひろ)はい。(酒を差し出す惟規)

さわ:堪えずともようございますよ、まひろ様。

惟規:(さわに軽口)何を偉そうに。

まひろ:(口をつけ、ゴクゴク飲み干し下を向くが、涙がこぼれないように上を向く)

惟規:(横目で姉の様子を眺め、無言)

さわ:(黙ってまひろの様子を見ている)

まひろ:(涙の溢れる瞳で、空を見据える)

 惟規も、失恋の何たるかを味わったことがあったのだろうか。974年生まれだとすると987年当時は、え?まだ満13歳か~😅

 余談。惟規の生まれ年を確認しようとウィキペディア先生(藤原惟規 - Wikipedia)を見たら、この惟規役を、以前は段田安則(現兼家役)が演じたと知った。映画「千年の恋 ひかる源氏物語」でのこと。段田康則は今は兼家を演じているから、惟規だなんて想像もできない。

 そうそう、庚申待の夜と言えば、ドラマには出てこなかった道長姉の超子(藤原超子 - Wikipedia)は、982年の庚申待の明け方に、脇息に寄りかかったまま眠るように死んでいたとか。

 道長の母・時姫は980年に死んでいるから、ドラマの初回には超子はまだ生きていた。だから詮子の円融帝への入内の話が出た時には、先に入内した長女について、せめて言及があっても良かったはずなのだ。まあ、冷泉院に入内しているから東三条邸にはいなかったのだろうが。

 彼女の死後、兼家の一門では庚申待の催しをしなかったという逸話も残っているぐらいなのだから、庚申待を扱うなら超子を取り上げても良かったのにな。

 さて、次回から話は数年先に飛ぶようだ。今回、まひろの婿探し(実資とか・・・まひろは前回の「虫けら」に続き、「鼻くそ」扱いだった💦)に知恵を絞った宣孝が、予告では派手な衣装をまとっていたから例の話かな?

 高畑充希の定子様も、成長してとうとう出てくる。かなり楽しみだ。

(敬称略)