黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

気分は【どうする家康】<【大奥】、大河ファンとしては悩む

両親ともに十代での竹千代誕生、のはず

 NHK大河ドラマ「どうする家康」の第2回は「兎と狼」というタイトルだった。あらすじはNHKのホームページから引用する。

織田軍に包囲され、絶体絶命の松平元康(松本潤)。だが、なぜか織田信長(岡田准一)は兵を引く。元康は慌てて大高城を飛び出し、瀬名(有村架純)を残す駿府に帰ろうとするが、家臣団は故郷の三河に戻りたいと猛反対。元康は渋々三河へ向かうが、敵の罠にはまり、重臣の鳥居元忠(イッセー尾形)が大けがを負うなど松平軍は壊滅状態に。何とか岡崎の大樹寺に逃げ込んだが…。(これまでのあらすじ | 大河ドラマ「どうする家康」 - NHK

 松嶋菜々子は美しい。一世を風靡した美人女優だし、今も美しい。彼女が今作の主人公・徳川家康の母・於大の方を演じるについては、何の文句もない。

 ただ…今回冒頭の出産シーンでのドアップは、申し訳ないけどとても十代半ばの女子には見えなかった。それは父広忠についてもそう。家康は、十代の若い両親のもとに生まれてきたのではなかったのか。

 松平広忠は1526年生まれ(松平広忠 - Wikipedia)、そして於大は1528年生まれだという(於大の方 - Wikipedia)。ドラマ冒頭で於大が陣痛に苦しんでいた時に表示された年次は天文12年(1543年)だったから、若夫婦は数えでも18歳と16歳ということになるのだ。

 イヤイヤイヤイヤ、ドラマの松平夫妻はどう若く見ても30~40代だった。当時、いくら人間が気苦労で老成していると言っても、あの十代はない。

 個人的に人の顔が大写しされるのが苦手なのかもしれない。だから気になるのかもしれないが、カメラも今や高精細で被写体を映せる性能を誇るのだし、いくらメイクをしても親子ほどの年齢差はカバーできるものではない。美人女優を見る方が困るぐらいに大写しにするならば、ちゃんと十代の若手の役者さんをあの場面では使って欲しかった。

 それは、竹千代役の子役さんにも言える。どう見ても、信長にいたぶられていた子は中学生ぐらい。竹千代が織田家に攫われたのは十歳にも満たなかったのでは。「麒麟がくる」で演じていた子役さんが年齢的にはぴったりだったのではないのか。

 その方が、あんなに若いお父さんお母さんの下に生まれてきて、若いパパと別れた時にはホンの子どもだったんだね、可哀そうに…そう、パパが死んじゃったのも24歳だったんだね、気の毒に💦と視聴者にも画面から伝わるものがあるというもの。そういうことを、NHKには疎かにしてほしくない。

 それを疎かにした結果、最初から見る気が失せて途中離脱につながった大河ドラマが「江」だった。上野樹里がツンツルテンの子ども用の衣装を着て、舌っ足らずの「のだめ」喋りをし始めて、あーあと思ったのだった。実力派の女優さんなのに一体何をやらせるのか、気の毒に。

 NHKは子役をドンピシャで探してくる技術が凄い。いつも感嘆させられる。記憶に新しいところでは、「鎌倉殿の13人」の「成長著しい泰時」と、子ども時代の子役さんのそっくりだったこと。あの時も、あのテロップで笑わせてもらったけれど、それが無ければきつかった。

 だからね、もうそろそろアップにするにはカメラの性能が良すぎること、あまりな実年齢と演者の年齢差は無理難題であり、視聴者がドラマに没入できず興ざめすることに気づいてほしい。

 役者にも視聴者にも無理させないで、舞台じゃないんだから年齢相応の役者さんを探してこよう。

家康は三寅ならぬ卯年の二寅ちゃん

 終盤で主人公の元康(後の家康)は「儂は寅の年、寅の日、寅の刻に生まれた武神の生まれ変わりじゃ。そなたたちのことはこの儂が守る。儂が守るんじゃー!」と叫んでいた。しかし、父の広忠が竹千代を人質に出すときに言い含めていたのは「寅の日、寅の刻に生まれた」2点だった。

 そして、回のしめくくりで広忠が言ったのも「そうか寅の化身…ん?於大、年が明けて今年はウサギ年じゃ」だった。しかし、母の於大はこう言ってのけた。「数日早く生まれたことにすればいいのです。ウサギなどいけませぬ、狼に狩られてしまいます」

 ドラマ公式サイトの略年譜には、家康の生まれは天文11年(1542年)数え1歳と書いてある。今回ドラマの出産シーンの表示「天文12年」とは違う。寅年の年末に生まれたことにしちゃったということは、年が明ければすぐ年を取って数え2歳。生まれて数日の乳飲み子が、2歳だ。本当に無理をさせること。

 「三寅」様が有難がられることは、前大河「鎌倉殿の13人」で視聴者は確認済み。この新大河でもまた三寅様か、と思ったら、実は家康は卯年生まれの二寅ちゃんだった、というのが話の落ちだった。しかし、嫌われた卯年も、生まれた武将の方々は実はメチャクチャ実力がありそう。

 これほんとに?だって、源頼朝、義経、和田義盛、北条泰時って「鎌倉殿の13人」の中でも武将として綺羅星のごとくじゃないですか。そうそう望めるものではないメンツ。特に征夷大将軍~の頼朝と我らの希望の星、泰時!

 それから、こんな情報も見た。

伊達政宗、真田幸村、1567年生まれ、卯年。景勝より一回り下。(戦国カフェ (kenshingen.fem.jp)

 伊達政宗と真田幸村が卯年なら、もう誰も文句は言えない気がする。こんな記事(↓↓↓)もあった。誰か、元康と於大さんに卯年は悪くないって教えてあげてほしい。

news.livedoor.com

岡田信長は白兎竹千代がお気に入りか

 第2回「兎と狼」の話については、まず、前回ブログで触れた今川義元の兜首が相変わらず地面に放置状態なのが確認できたことで今作の作風も確認できた。私が大ファンのYouTube解説「かしまし歴史チャンネル」きりゅうさんが「ファンタジー大河」とカテゴライズしていたので、そうなんだね、と理解してしばらくは見ていくことにした。

 つまり、なんで黒マント(!)信長が大高城を囲んだだけで兵を引いたのかなと首をひねったけれど、それよりも信長の鞭づかい1つで家臣を一糸乱れず操れちゃうの凄いねとか、それに比べての松平家中のワチャワチャ感が楽しいねとか、そういう風に見ればよいのだと思う。

 若き信長が、お仲間とともに赤い衣装に身を包んで白い着物の竹千代を攫ってきて鍛える(いたぶる?)シーン。色彩による分かりやすさ。そこにまた黒い衣装の父・信秀(なんと、私の脳内ではしっかり本多忠勝キャラの藤岡弘、とは困る)が登場して竹千代を巡る赤と黒の親子対決。

 ここもね、ふたりが見合ったアップなんて陳腐な絵になんかにせず、藤岡弘、と岡田准一の手練れ同士の刀捌きや絡みをもっと引きで見せてほしかったな~。きっと殺気ギラギラ凄かったと思うんだけど。

 ここで父に刀を抜いてまで竹千代を守った信長。ずいぶんと白兎ちゃんがお気に入りに見える。セリフを拾ってみる。

・逃げぬとはあっぱれじゃ

・かわいいの、白い子ウサギのようじゃ。食うてやろうか

・親父殿、こやつは俺のおもちゃ。勝手なことをされては困りますな

・生かしておけば使い道もありましょうぞ。竹千代はこの信長が預かります

・白兎、ほらどうしたー、立て、かかってこい。何と申した、申してみよ(地獄じゃ、と竹千代返答)そりゃいい、この世は地獄じゃ

・この世は地獄、俺たちは地獄を生き抜くんじゃ。弱ければ死ぬだけじゃ(ちがう、竹千代は兎ではない、竹千代は寅じゃ、寅なんじゃぞ)そうじゃ、その眼じゃ。その眼だけは忘れるな

 ・・・ね?元康の記憶の中ではトラウマティックにいたぶられただけの恐怖の相手信長。でも、いじめっ子側の信長のセリフだけを読むと、竹千代への愛情いっぱいだ(正しい愛情表現の仕方を学びましょう、なんて)。

 そして、物語の中でも最後の信長のセリフ「その眼を忘れるな」を思い出した元康が、第1回死ぬ死ぬ詐欺(歴史家の磯田道史氏命名だったかな…)から自力で抜け出した。やれやれ。

 ドラマの視聴者は、元康の脳内で起きていたことを見ていたからいいけれど、介錯するつもりで構えていた本多平八郎や、後ろから見てた石川数正らは何が殿の気を変えたのか理解できなかっただろう。

 ところで、元康に「厭離穢土欣求浄土」の正しい意味を知らせる人として出てきたのはドラマでは榊原康政で、登誉上人じゃなかった。元康が考えていた「汚れたこの世を離れ極楽浄土へ行け」ではなくて➡「汚れたこの世をこそ浄土にすることを目指せ」。

 御上人様じゃなくて大樹寺的にはOKだったのだろうか?とちょっと心配にはなったけれど、榊原康政の印象付けになった。あまり知らない役者さんで(ごめん)、寺を出て三河に向かう元康を見送るまっすぐな視線が良かった。

 そうだった、「俺は俺の命を捨てるだけの値打ちのある御方を主君と仰ぎたい」「俺の真の望みはいつの日かお主を主君と仰ぎ、お主を守って死ぬことであったわ」で泣いた本多忠勝が今回は良かった。ちょっとありがちなツンデレなのかなー、分かりやすいとは思ったけれど。

 これから続々と新たなキャラを演じる役者さんたちが出てくる。その人たちを見るのが楽しみだ。特に、西郡の局を演じるのがあの公暁の母!大河ドラマ連続出演おめでとう!えーと名前は何て言ったっけ💦「登場人物」で調べたら北香那さんだった。それに広瀬アリスも西郷の局・秀忠の母で出ることになっている。やっぱり近見姫キャラなのかな・・・そういう楽しみは、まだまだ「どうする家康」にはある。

 とはいえ、今のところ1/10から放送が始まった男女逆転「大奥」が私の中では勝っている。冨永愛の暴れん坊将軍吉宗公が素晴らしい。オファー前から「暴れん坊将軍」テーマ曲を口ずさみ、侍のように乗馬する練習を積んでいたそうだ。その成果が出ての海辺の乗馬シーンは松平健に負けていなかった。日曜夜と火曜夜が逆だったらいいのに、1年間でじっくり「大奥」をやってほしかったのにと思わないでもない。とりあえず、できるだけ長く「大奥」を放送してください、頼みますと言っておきたい。

(敬称ほぼ略)

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