黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【光る君へ】#23 背中にゾワッと来るまひろへのイケオジ宣孝プロポーズ、「オードリー」幸様に脳内変換

見ているこちらはワクワクしない

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第23回「雪の舞うころ」が6/9に放送され、主人公まひろの結婚が現実を帯びてきた・・・のだが、あまりワクワクもしない。まずはあらすじを公式サイトから引用する。

(23)雪の舞うころ

初回放送日:2024年6月9日

朱(浩歌)は三国(安井順平)を殺していないと日本語で主張する周明(松下洸平)に驚くまひろ(吉高由里子)と為時(岸谷五朗)。周明が連れてきた下人が、光雅(玉置孝匡)に朱が殺したと言えと脅されていたと証言する。ほどなくして解放された朱は、為時だけに越前に来た本当の狙いを語り出す。一方で周明も、まひろに自分の過去を語り出す。ある日、宣孝(佐々木蔵之介)がまひろと為時に会いに越前にやってきて…((23)雪の舞うころ - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 宣孝が越前にやってきて、タイミングよく為時パパが巡回視察かなんかで不在、仲良く生ウニに舌鼓を打って2日間を共に過ごし・・・そしてまひろにプロポーズしたところで今回は終わった。

 「京に戻ってこい。わしの妻になれ」と言って笑う佐々木蔵之介は、イケオジで鳴らしている。彼の同世代での結婚なら文句もない。

 しかし、まひろとは如何せん年齢差が。手を出すのが古い友人の娘って、犯罪だろ・・・とまでは言わないが、抵抗がある。2人のこれまでの関係性と年齢差は、拭い難いシミのように、ドラマを見ているこちらの心にこびりついている。

 親戚のおじさんだよ?父親の古い友人なんだよ?宣孝は、まひろの成人を祝う着裳の儀で腰ひもを結んでいなかったっけ?つまり一族の長老扱い、その人に娶せられるなんて、ちょっとね・・・女側の人権抜きの社会なら、世界中にこの形態の結婚がありふれているのは知っているけれど。

 しかし、視聴者は現代人。その感覚からしたら、こんな親世代との結婚が、まひろの「いやだーいやだー」の抵抗抜きで自主性に基づくものとして描かれるとしたら、どうなんだ?それこそ打算の匂いしかしない。本当に厄介な史実。

 この結婚について、主人公が喜びにあふれているとも思えず、ワクワクもなく、むしろゾワッと背中に来てしまう。宣孝はずーっと目を付けていたんだよね、自分の息子と娶せるのも断って視線を送っていたもんね、ゾゾゾ、恐ろしや。

 そういえば、三郎(道長)、もしくは直秀と一緒に居るまひろを見つけては、間に割って入ってきてたもんな。

 ちょうどBSで再放送されている「オードリー」に出演中の佐々木蔵之介の若き日の姿に宣孝を脳内変換して、辛うじてやり過ごしている。そのために再放送が役立っている。

 この厄介な史実をどう料理して、どういう経緯でまひろとの結婚に至るのか、現代の視聴者にも納得できる答えを次回は見せてほしいものだ。

  1. 周明のハニトラから彼女を守るため、京に戻す口実としての結婚
  2. 前から言っているが、まひろが道長との子どもを身籠り、そのカモフラージュとして宣孝が彼女のサポートを引き受けての結婚

 この2つなら理解できるよなあ・・・物語としても楽しめそう。他に何か、目新しい理由はあるだろうか。脚本家大石静はスゴ腕だと思っているから、楽しみに待っている。

 くれぐれも「まひろが、イケオジ宣孝のことを実は愛していた自分の本心に、今になって気づいて」なんて路線は止めてほしい。2人の結婚は史実、でも、見ていてウンザリする話は嫌だ。

 ウンザリで思い出してしまった・・・竹中直人主演の「秀吉」で、松たか子の茶々が秀吉の側室になる時に、秀吉からの問いかけに吹っ切れた笑顔で「ハイ!」と応じ、見ていてゲ~っと思ったのだった。

 そんなオジサンにばっかり都合の良い夢みたいな話があるか・・・とガッカリ。恋愛感情抜き、打算だとちゃんと描きましょう!と、大河ドラマに茶々役が出るたびに思うようになった。

まひろへのハニトラを提案した周明、発音が良い

 前回、「お主も悪よのう」的で、上司の為時パパに対してもいやがらせを繰り出すどうしようもない人物かと思われた越前の介。今回、あっさり大人しくなって肩透かしだった。地元思いのあまり朱を陥れるという誤りを犯したが、為時パパの仕置に素直に従っていた。

 越前国のナンバー3・大掾を演じているのが徳井優なのに、まだ活躍らしい活躍を見せていないのが気になる。絶対何かあるんだよね?そうじゃないと無駄遣いになるから。

 それと、前回は周明の生い立ちをテキトーに想像したが、当たり前のように全然外れた。周明は対馬で生まれ、12歳で父によって口減らしのために海に捨てられ(なんでー、ようやく働けて稼げるようになるのに?余程の大食い?)、宋の船に拾われ、彼の地で奴隷にされ、逃げ出して薬師に助けられて弟子になったというルートを、まひろに告白した。苦労したんだね😢

 まひろが周明と宋語を練習するシーンでは、ついこちらも一緒に発声練習してしまった。彼が話すのも現代中国語っぽい、懐かしいなあ。「我叫周明」ですぐに「我叫まひろ」と反応できるまひろは、やっぱり賢いね。

 しかし、リアルで松下洸平は耳が良いのだろう、発音がすごく良いと思った。特にshiとかzhiとか、たっぷり練習したんだろうな。ミュージシャンだから四声もお手の物かな。

 私は四声がぐちゃぐちゃで「そのナンチャッテ中国語を何とかして」と一番喋れた時期にでもクレームを頂戴したが、使う機会が無いと身に付かない(言い訳)。私は中国語も英語も、きれいに忘れていっている。

 さて、今回は宋から来た薬師なのに日本語ペラペラの通詞としても活躍を始めた周明が、黒いところを見せていた。どこかのアジトでショッカーの一味と・・・じゃなかった、なぜか暗すぎる松原客館の部屋にて、朱仁聡と部下の前で、お偉いさんの侍医として取り立ててもらうのを賭け、まひろ=「左大臣の女」を嵌めると宣言していた。

 となると色仕掛けか。まひろ親子は純粋だから、簡単に引っかかりそう。次回から周明はグイグイ来るかな。この時にグイグイが周明だけじゃなくて良かった、ちょうど宣孝もまひろに来ているから牽制になる。しかし、モテキかと思ったらハニートラップだなんて悲しいね。

周明:国守の娘は左大臣とつながりがあります。もしかしたら左大臣の女かもしれません。うまく取り込んで左大臣に文を書かせます。朱様のお力になれるよう。

部下その1:こいつは日本人だということを隠しておりました。信用できません。

その2:同感です。

朱仁聡:私は周明を信じる。やってみよ。皆の信用を勝ち取れ。

周明:はっ。事が成就したなら、私を宰相様の侍医にご推挙ください。

その1:調子に乗るな。

朱:(部下を制して)もし、そなたの働きで宋と日本との商いの道が開ければ、望みは叶えよう。

周明:全力を尽くします。(ひれ伏す)

 周明が賭けの対象として口にしたのが「宰相様の侍医」だったが、それはお世話になった薬師の悲願か何か?ヒロインを巻き込む悪だくみを主導すれば、この後、周明には悲しい運命しか待っていない気がするなあ。

 このドラマはオリジナルキャラに冷たいから、こちらがせっかく思い入れたっぷりになったところで容赦なく殺されそう、直秀のように。と言うか、道長以外のまひろの男は、冷たく殺される運命なのか?

 くだらない妄想だけど。藤原宣孝は、まひろ(紫式部)と結婚しても数年で死ぬが、それは何故なのか・・・道長周辺に消された?

 もし「まひろが道長との子どもを身籠り、そのカモフラージュとして宣孝が彼女のサポートを引き受けての結婚」だったとする。為時パパは口をつぐんでいても、この宣孝の性格だったらうるさいくらいに道長に引き換えのご褒美を請求しそうだ。

 下手したら、何か俺を脅したいの?と道長が感じるぐらい。それで煙たがられ消されても不思議じゃない。または、まひろを出仕させる目的で、宣孝が消されたり・・・妄想ね。

 その場合、キーマンはやっぱり道長を守るできた嫡妻・倫子様かな?

今回もよくできた嫡妻・倫子様

 中宮定子が恋しく、せっかく入内した女御たちに会いもしない一条帝。その状況を慮り、女院もいることだし、ここ土御門殿にお招きして会を催せばいいんだわ🎵✨と思いつき、万事お任せをと世話を焼いた様子の倫子様だった。

 それなのに「まことに、まことに左大臣殿と女院様のご親切、痛み入り奉り・・・」と大仰に藤原顕光から感謝されたのは女院と道長ばかり。モヤモヤした。

 実際はお膳立てに走り回った女どもが「スン」として後ろに控えているのは、平安時代から?女は当時、それなりに力があって会が催された土御門殿は倫子様の持ち物なんでしょう?なんだかなー。

 このように利口で気の回る倫子様を嫡妻に持つ道長としては、ちょっとうかつなことをした。女院詮子様とのキャッキャウフフの姉弟トークのことだ。

女院詮子:帝の中宮への思いは、熱病のようね。私は夫であった帝に愛でられたことが無い故、あんなに激しく求めあう2人の気持ちが全く分からないの。お前には分かる?分からないわよね。

道長:・・・私にも妻が2人おりますが(女院のそばに寄り、声を落として)心は違う女を求めております

詮子:(道長を見る)

道長:(腕組みをして)己では、どうすることもできませぬ

詮子:やっぱり!誰かいると思っていたのよね。

道長:まあ、されどもう終わった話にございます。

詮子:下々のおなごでしょ。捨てたの?

道長:捨てられました

詮子:えっ!(思わず両手で口を塞ぐ)道長を捨てるって、どんな女なの?

道長:良い女でございました

詮子:まあ・・・(うっとり)・・・どんなふうに良いの?夫を繋ぎ止められなかった私には無い輝きが、その人にはあるのね。中宮も、帝を引き付け散々振り回しているけれど、私には無い。何なの?それって一体何なの?

道長:(口ごもり)今宵は、帝が元子様をお召しになられるよう祈りましょう。

詮子:あっ・・・その女のことは、倫子と明子は知っているの?倫子も明子も利口だから、気づいているかもしれないわね

道長:では!(逃げる)

詮子:何よ!自分から言い出しておいて。もっと聞かせなさいよ!(道長、どんどん去っていく)

 前回の予告で見てから心配だったけれど、こんなにも姉上にまひろの存在を打ち明けてしまって、道長、大丈夫なのか?女院様は、秘密にしておけなくなって道長の妻たちにカマかけちゃいそうだ。そしたら2人に絶対バレるじゃないか。わ~、どっちもすごく恐ろしい。

 倫子様は「ウフフフフ」と笑いながら証拠を集め、じわじわと追い詰めて白状するよう迫ってきそうだし、明子はストレートに「言え!」と言いつつ首を絞めてきそう。呪詛も始まるな。

 しかし、まひろへの道長の思いがよく視聴者にも分かった。「もう終わった話にございます」と言いながら、己ではどうしようもないと言っているのだから、心の中では現在進行形だ。そうやってずっと忘れずにいるなんて、それこそ女院もうっとりするような理想の恋話だ。

 ただ、女院様も円融帝を慕う気持ちはあったのではないのか?「2人が激しく求めあう気持ちが全く分からない」にしても、片思いの気持ちはあったでしょう?そうじゃなかったのか。円融帝には詮子が求める輝きがあったはず。それが運よく両想いとなれば良かっただけで・・・。

 とはいえ、なんと詮子は心の内を正直に話すのだろう。「帝に愛でられたことが無い」「私には無い輝きがその人にはある」なんて、悲しくも恥ずかしくも悔しくもある話だろうに。それを恥もてらいも無く・・・。

 そして「あれって何なの?」と弟にストレートに聞いちゃうなんて、道長への信頼が見える。道長も「そりゃフェロモンでしょ」とか安易に茶化さない。これまでも道長は、姉の弱みを見せられても、決してからかったり攻撃することが無かったのだろう、優しい弟だ。

 そんな私のかわいくて優しい道長を捨てるなんて「どんな女なの?」と許せない気持ちにもなったかも。火が付くと女兼家、策謀力の高さを誇るのだから、まひろは女院にも注意が要る。

一条帝&中宮定子、ラブストーリーは続く

 今週はまたファーストサマーウイカの清少納言がサイコーで、定子との場面は涙を誘われた。2人が真っ白な衣装でいるだけで(お産を控えてあのような恰好をしているの?)、一体どんだけ泣かせるんだ。うるうる。

中宮定子:(清少納言の書き物を読む)「鶏のひなが脚が長い感じで、白く可愛らしくて、着物を短く着たような恰好をして、ぴよぴよと賑やかに鳴いて、人の後ろや先に立ってついて歩くのも愛らしい。また親が、共に連れ立って走るのも皆、かわいらしい」 ・・・姿が見えるようね。さすがである。

清少納言(ききょう):お恥ずかしゅうございます。

定子:そなたが御簾の下から差し入れてくれる、日々のこの楽しみが無ければ、私はこの子と共に死んでいたであろう。(お腹に手を当てる)少納言。

ききょう:はい。ああ(大きなお腹で居住まいを正そうとする定子の傍へ行く)

定子:ありがとう。この子がここまで育ったのは、そなたのおかげである。

ききょう:(息を飲むように)・・・勿体ないお言葉・・・(頭を下げる)

定子:そなたを見出した母上にも礼を言わねばならぬな。

ききょう:内裏の登華殿にお母上様に呼ばれて初めて参りました日、亡き関白様始め、皆様があまりにもキラキラと輝いておられて、目が眩むほどにございました。(2人、笑い合う)

定子:懐かしいのう・・・。

ききょう:はい。(万感こもった泣き笑い

定子:あの頃が、そなたの心の中で生き生きと残っているのであれば、私も嬉しい。

ききょう:しっかりと残っております。しっかりと。(泣きそうに、でも力強く。定子が遠い目で微笑む)

ナレーション:翌日、定子は姫皇子を産んだ。

 あのファーストサマーウイカの泣き笑いには、こちらが泣く。声音には変にドスが効いちゃっているんだけど、また書いていて泣いてしまった。

 実家の往時のキラキラを留めるききょうの書き物(後の枕草子)が細くとも強い命綱となって、定子と姫皇子を救ったのだなあ。つくづく、まひろが思いついたことにしないでほしかったなあ。

 中宮定子を思って、会えない帝もつらい。何とかお側近くに仕える蔵人頭・行成の同情を得て、彼女に会えないものかと思っている。「高階に、密かに行くことは叶わぬであろうか」と聞いてきた。

 行成は「中宮様は、出家なされましてございます」とピシャッと断ったものの、内心ではすっかり同情し、愛しの道長に釘を刺された。

行成:帝のお心の痛みが伝わってくるようで、苦しくなりました。

道長:頭を冷やせ。

行成:は?

道長:(立ち上がり、行成の傍へ行き)帝の術中にハマってはならぬ。聡明な帝は、行成の優しさを見抜いておられる(座る)。そして同情を買い、利用しようとしておられる。帝のお側近くに仕える蔵人頭は、もっと冷静であってもらいたい。

行成:はっ。なんとも未熟でございました。

道長:頼んだぞ、行成。

行成:承知いたしました。

 道長は有能だね。言うべきことは言い、でも言い方に温かみがある。

 しかし、それでも人の恋心は止められない、己ではどうもすることもできないと道長本人も言っているぐらいだからね。帝だって止められない。まひろ&宣孝の苦味を忘れさせるくらい、純度の高いラブストーリーが定子&帝で進行する。

 どう考えても、これは「源氏物語」冒頭の桐壺更衣&桐壺帝の話だね。主人公・光源氏の両親だ。そうすると、安倍晴明が言う男皇子は臣籍降下して光源氏になれば良いのだよと紫式部は示唆していたのか・・・なるほど。そうならないから悶着が起きる。

 次回予告を見ると、自制してきた帝も、とうとう堪忍袋の緒が切れるようだ。会えないからこそ燃え上がる悲恋・・・。「熱病のように求めあう2人の気持ちが全く分からない」と言っていたママ詮子も、とうとう息子のために動くらしい。そして、ロバート秋山の実資も「分からない」人らしい。

(ほぼ敬称略)