黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

扁平上皮癌になった愛猫を、天にお返しした①

下痢の天敵は、抗生剤アモキクリア

 半年ぐらい前に「1年前の7月、愛猫に扁平上皮癌が見つかった」を9回にわたって書いた。その続編として、愛息クロスケが天国に帰っていくまでを書いてみようと思います・・・書ける範囲で。

 昨日(4月4日)は月命日だったのだけれども、さすがに1年以上も経過していたから「結構平常心でいられるもんだ」と感じていたが、やっぱりというか、ところがどっこいで、この原稿を書くためにもと昔の記録(息子の食事と排せつの内容とか回数が記してあるカレンダー)や私の手帳を見始めたら、涙があふれてしまった。

 2019年8月7日の退院の日。息子は、大手術の後だというのに帰宅していつものように家の中を点検して歩いた。その日には3.55㎏の体重があった息子だが、たったの3日で3㎏ぴったりになった。人間で言ったら、3日で5㎏落ちたくらいのインパクトだろうと思う。翌2020年2月初めに亡くなる頃には痩せ細り、2㎏もなかっただろう(人間なら半年で15㎏減)。

 元々、最大体重では6㎏半ばを超えた大きな猫だった息子。それが…むごい話だ。

 追々の話ではあるけれど、息子があまりに痩せて痩せて悲しくて、私は途中からそれを直視できなくなっていく。通院のたびに測る体重、それを測りたくなくなっていくのだ。でも、この時点ではまだ息子は手術疲れはあったものの年相応にふっくらし、毛艶もツヤツヤだった。

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ケージのベッドに納まって。カラーに手術着、首にはネックカバー (2019/8/12)

 さて、口内にできてしまった扁平上皮癌だから、息子は下顎の右半分(こちらからだと向かって左)を切り取らなくてはいけなかったし、別稿で後述するが舌の可動方向が変わり、物理的な障害ができてしまっていた。体重減少の原因として、その点も考慮しないといけないだろうが、しかし、退院後しつこく悩まされた下痢によって、息子の体重は大きく奪われていったような気がする。

 当時は焦って色々悩んだが、今はもう、下痢がどうして起きていたかはわかっている。抗生剤の「アモキクリア」。青い動物向けの錠剤だ。これが息子には合わなかった。

 2時間おきに流動食ごはんを与えて、下痢も2時間おき。流動食の「カケシア」や「ちゅーるリキッド」、それと煮だした「紅豆杉茶」を首の脇に穴を開けて設けたカテーテルから与えた。

 息子も空腹になると「ちょーだい」とばかりにやってきて、カテーテルからのご飯の注入を頑張っておとなしく受け入れているのに、繰り返す下痢でどんどんと栄養が出て行ってしまった。

 同じ抗生剤の「エンロクリア」はやはり動物向けの黄色っぽい錠剤で、下痢の点ではマシだったが、今度は首のカテーテルを入れる穴周辺が明らかに膿んできてしまう。口周りの手術痕も心配だった。エンロクリアはつまり、毒にも薬にもならぬ状態だった。

 それで、退院前に注射してもらっていた、1度すれば2週間は効果があるという抗生剤「コンべニア」が結局1番クロスケには使い勝手が良いらしかった。ちょうど通院のタイミングで打ってもらえれば良いが、通院までに効き目が切れそうな時は、往診専門の獣医さんにもお願いして、コンべニアを息子に打ってもらった。

 息子の精神的負担を考えて、病院に連れて行くのはできるだけ避けたかった。思い切って往診の先生をお願いしたのだったのだが、初めて往診の獣医さんが部屋に入ってきた時、私に抱っこされていた息子は、怖さからかそのままお漏らしをした。私のスカートはぐっしょり、息子は私に抱き着いたまま注射され、私も立ち上がれない状態のまま、家族が獣医を見送った。

 部屋に入ってきた人物が、なぜ獣医さんだと息子にわかったのかは謎だ。ニオイかな?それとも単に、見知らぬ男性が入ってきたのが(獣医さんと気づいてなくても)怖かったのかもしれない。

 下痢を引き起こしているのが「アモキクリア」だとわかるまでには、食べ物が悪いのかな?と「カケシア」を止めてみたり、「ちゅーるリキッド」「クリティカルリキッド」「a/d缶」の配合を変えてみたり、これまで好きだったカリカリをすりつぶして液状にして与えみたりと、試行錯誤を繰り返すことになった。

 その中で、息子が退院後初めて口から自力で水を飲んだ8月14日、「カントリーロード」のミルクパウダーをごはんに混ぜて与え始めたら、タイミングも良かったのか、お通じの状態も徐々に安定し始めた。

 息子の小さいかりんとうのような便が出るようになって、安心してガッツポーズしたなあ…と思い出す。これは、S先生のお勧めで、通販で探して買った物だった。確かにおすすめ。

 そうしたら、今度は逆に固まったお通じに苦しんで「モニラックシロップ」や「ガスモチン」で便通を整える必要も出てきてしまった。吐くことも多く、本当にバランスが難しかった。直接の顎の話ではなくて、なかなか整わないのは高齢猫だから仕方なかったか…。 

 それでも、毎日ちゃんと空腹になるとカテーテルの食事を催促する息子は、本当に前向きに頑張っていた。親が負けてられない、と思うほどに。そして当然ながら、とてもとても可愛かった。