黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【光る君へ】#7 平安のポロ・打毬は楽しそう、だが残酷なボーイズトーク

猫・小麻呂は無事か?火事は大丈夫?

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第7回「おかしきことこそ」が2/18に放送され、平安時代のポロ・打毬がとーっても楽しそうだった。やってみたい。まず馬に乗れなきゃだけど。かの時代の文化がこうやって贅沢に再現され、それを見る幸せを、毎週感じている。

 しかし・・・猫の小麻呂が~!ずぶ濡れだったじゃないか~!まひろが男どもの「雨夜の品定め」(「源氏物語」のような宿直の夜じゃなかったけど)にいたたまれずその場を離れたのは、「え~そんなひどすぎる😢」とショックを受けがちな乙女の気持ちとして分からないでもないが、探していた小麻呂はどうしてくれるの?雨の中、放って帰っちゃうの?それはないよね?

 左大臣家の一の姫・倫子様が可愛がっている猫だから、まひろだけでなく、きっと従者とかが大挙して探しているはずだと思うけど(というか、なぜまひろが出しゃばって探す?)、雨水が苦手な猫は多いし、当時の環境では逃げた飼い猫には厳しかろう。猫好きをかなり心配にさせる設定だった。

 まひろ、本当に小麻呂に何かあったらどうしてくれるんだ(怒)。まあ、あのような広場に小麻呂を連れて行った倫子が悪いし、小麻呂の導きが無ければまひろはボーイズトークを立ち聞きできなかった。だけどね・・・「私が(探す)」と言ったのだから、まひろは最後まで責任を持って探してやってほしい。せめて「ここで追いかけたんですけど見失って」とか、誰かに情報を引き継いでほしい。

 今週は猫の日(2/22)もあった。小麻呂の安全が気になって、全然物語が入ってこない猫好きは結構いたと思う。

 もう1つ気になったのが、まひろが燃やした道長の恋文の燃え殻。落ちていった先に枯れ草が見えて、えええー火事になる!とギョッとした。あれ大丈夫?盛り上がっていいシーンになるはずだったのにこちらは気もそぞろ、台無しだ。

 手紙を燃やすなら、はっきりと火鉢とか水たまりの上で燃やしてちょうだいね。あんな大きなお袖をしているのだし(事前にずぶ濡れになっていたが)。もし、まひろの家が全焼したら、道長の手紙を燃やしておセンチになってる場合じゃない。・・・いや待て、次回、火事になることで物語が動くんですか?だったら伏線として仕方ない。

 しかし、まひろ、道長に返事を書かなかったんだね。お手紙に返事を書かないって当時はかなり非常識なのかと、で、お返事必須だからこそ、以前まひろがやっていたような手紙の代筆業が成り立つのかと思っていた。違うのかな・・・これも伏線だったりして。

 道長はまひろに「振られた!」と言ってはいたものの、従者・百舌彦が手紙の返事が来ないのはおかしいからとやっぱり考えて、確認しようと乙丸と接触して「ええ!三郎は右大臣家の若君だったんですか~」みたいな展開になったりして?

 まあ、従者が目端の利かない二人だからこそ、物語として面白くなるんだろうね。

 さて、先に進む前に公式サイトからあらすじを引用する。

(7)おかしきことこそ

初回放送日: 2024年2月18日

道長(柄本佑)への想いを断ち切れないまひろ(吉高由里子)は、没頭できる何かを模索し始める。散楽の台本を作ろうと思い立ち、直秀(毎熊克哉)に直談判。まひろの演目は辻で披露され、次第に評判を呼び大盛況に。噂を聞きつけた藤原家の武者たちが辻に駆けつけ大騒動に。一方、道長や公任(町田啓太)ら若者たちはポロに似た球技・打きゅうに参加する。招待されたまひろは倫子(黒木華)たちと見物に行くことになるが…((7)おかしきことこそ - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

直秀の正体に気づいた道長

 「光る君へ」版の「雨夜の品定め」が公任や斉信によって展開されていた打毬控室で、道長は直秀の腕の傷を見て自分が射た盗賊だと気づき、言葉を失っていた。宿直の時に「人を射たのは初めてゆえ」と、その手応えにショックを受けていたもんね。

 その時、同僚の貴族が平然と言ったセリフ「猪や鳥は射たことがおありでしたよね。同じことではございませぬか。相手は盗賊、猪や鳥よりも下にございます」「心の臓を射抜いておれば、今頃命を落としておりましょう」を思い合わせると、何とも考えさせられた。

 こういう事を平気で言う人たちに囲まれた環境にいながら、道長が自分なりの独自の感性や価値観を持ち続けられたのは何故だろう。亡き母・時姫の教えと、市井に出かけて民たちの姿を見ていたからだとは思うけれど。

 そういえば、兼家パパが安倍晴明への当てつけで道長に言ったセリフは、言葉面だけなら現代でも通じる。

兼家:人は殺めるなよ。人の命を操り奪うは、卑しき者のすることだ。

 兼家パパの場合、「卑しき人にやらせて、道長自らは手を出すな」が本意なんだろう。だが、当時のような厳然とした身分差が無い現代であれば、最初から卑しき人などおらず、皆への良きメッセージに聞こえる。兼家の言葉なのが意外なほどだ。

 さて、次回予告で「捕らえました!」と家人らが道長に報告していたが、その画面で抑え込まれていたのは直秀らだったようだ。つまり、散楽一座は右大臣家に盗みに入って失敗するらしい。今回、まひろが台本を書いて盛況だった散楽を蹴散らされて邪魔された恨みから、右大臣家に報復を試みるのかな。悲劇につながりそうで怖い。

 以前も書いたように、直秀のモデルになっているのは貴族だけど盗賊の藤原保輔(藤原保輔 - Wikipedia)かしらと思ったのだが、そうだとしたら、今回はまだ花山天皇が在位中の985年だ。保輔が史実で死ぬのは988年だから、もう少し先のはず。直秀、退場はまだ早いからね。

 今回、腹痛で打毬をドタキャンした行成の代わりに、ピンチヒッターとして道長が直秀を連れてきて「最近見つかった弟」と公任らに説明した。そこで直秀に貴族要素を持たせたのも、ムムム、もしかして保輔・・・と思わせた。違うかもだけど。

 しかし、保輔が初めて切腹した人物とか聞いてしまうと、直秀がそんなことになったらヤダなあ。

 でも、なぜ直秀は、いきなり上級貴族の遊びの打毬があんなにうまくできるのか?ただ身体能力が高いだけ?実はどこかの貴族の生まれだったりして・・・道長の弟なんてことはないにしても。

遠ざかろうとして、道長を引き寄せたまひろ

 今回のサブタイトルは「おかしきことこそ」だが、これをまひろに言ったのは直秀だった。前回も言っていた「私は道長様から遠ざからねばならない。そのためには何かをしなければ」の件での思索を深めるまひろが、思い返していた。

まひろ:(夜、ひとりで考えている)おかしきことこそ・・・。

回想の絵師:おかしき者にこそ、魂は宿る。

回想の直秀:笑って、辛さを忘れたくて辻に集まるんだ。下々の世界では、おかしきことこそめでたけれ。

(絵師の描いた、鳥獣戯画のような動物たちの絵・・・それを思うまひろ)

 道長から心の距離を取るため、何かをせねばとまひろが取り組んだのが散楽の台本だった。「狐に騙される猿たちの話よ。猿の顔をしているのは毎度おなじみ右大臣家の一族」とまひろが持ち掛けると、一座は乗った。

 が、それを採用した直秀らの散楽一座は、「藤原への中傷が過ぎる」と右大臣家の武者らの怒りを買って襲われた。いきり立つ武者どもを路上では見送った道長は、帰宅してから事を理解して「なぜ止めないのだ!」と激怒、武者らが向かった散楽の現場へ駆けつけた。

 そこで、まひろと再会する道長。じゃじゃーん。道長から遠ざかろうとしたまひろなのに、道長を引き寄せちゃったね。

 現場には検非違使の一行もご来場で、うろうろしていたまひろは、以前、道長が誤って捕らえられた時の放免に「お前、あの時の!」と、つかまりそうになる。そこを道長が割って入り、彼女の手を取り、現場から共に逃げるのだ。ワクワク。

 道長とまひろは、ここでどさくさに紛れて手を握る(!)チャンスに恵まれた。哀れ、倒れたまま顧みられない従者の乙丸・・・と思ったら、「邪魔をした」と言いつつ、2人が逃げた先に乙丸を連れてきたのは直秀。彼は道長の従者百舌彦の面倒まで見てくれていた。優しい。

 「帰りましょう、姫様!」と乙丸に強く言われ、まひろは道長とろくに会話もせずに帰ることになったが、この場の道長、やっぱり良いな・・・。「みんなに笑って欲しかっただけなのに・・・私が考えたの」というまひろに、「俺たちを笑いものにする散楽をか?」と静かに問い、「そうか、俺も見たかったな」と言うのだもの。懐の深さと共に、彼の悩みの深さも見せたね。

 見つめ合う2人、まひろもキュンとくるはず。もう、平安のロミジュリで良いと思う。

打毬しながらチラ見するふたり

 もどかしいまま別れた2人は、打毬会場でまた会うことになった。プレーしながら道長はまひろをチラチラ目で追う。まひろも道長を見たり、道長の視線を感じると猫を撫で、目を伏せたり忙しい。ああ、もどかしいこと。(チラ見は御簾があったら無理だったね。やっぱりドラマには邪魔か~💦)

 まひろは行かないと言っていたのに、何が行く気にさせたのかな。やっぱり物書きならではの好奇心だろうか。実際に見てみたい、と思ったか。それを言い訳にした恋心が絶対に裏にはあるけどね。

 ところで、あの姫様方に出された案内状は、斉信がまとめて出したのだろうか。気のあるファーストサマーウイカのききょうだけに出すのもなんだから、という理由でまひろにも来たということは、道長は案内状には関与していなかったっぽい。

 斉信は、花山天皇ご寵愛の妹が7月に死んだばかりなのに喪服を着るでもなく、「気晴らしに」と打毬で大っぴらに遊んじゃっていいのか。「女御様追悼打毬大会」だったのか?そういえば、女御の葬送の様子も描かれなかったが・・・。

 当時の服喪のルールがよく分からないが、源氏物語「薄雲」では藤壺女御が厄年の37歳で亡くなり、濃い鈍色の直衣姿の光源氏が出てくる。殿上人は皆が喪の黒に沈んだとの描写もあった。まあ、全部やっていたらキリが無いのだろう。

 打毬は、演者さんたちは馬にも乗れて屋外でかなり楽しそう。けれど、ずいぶん練習したんだろう。と思ったら、リアル公任の町田啓太は大した練習も無く一発OK!だったと、斉信役のはんにゃ金田がYouTubeで言っていた。はー、すごい運動神経だ。

 倫子様を筆頭に、居並ぶ姫君たちも美しかった。このドラマでは、あえて上級貴族でも姫君が堂々と御簾を降ろさないから、姫様方のカラフルなお衣装の袖口が御簾からこぼれて雅だわ~という話も無く、ダイレクトに姫様方の品評会が控室の公達の間で始まってしまった。

斉信:ハハハハ・・・姫たち、だいぶ慌ててたな。

公任:牛も暴れていたしな。(控室に皆で駆け込んできて着替えが始まる。まひろ、隠れて聞いている)いや~直秀殿の杖の振りは見事だったな。ハハ。(直秀、無言で外を見る)そういえば、漢詩の会の時のでしゃばりな女が来ていたな。斉信のお気に入りの。

斉信:ああ、ききょうだけ呼ぶのはマズいから、漢詩の会にいたもう一人も呼んでおいたよ。

公任:ああ、為時の娘か。

斉信:うん。

公任:あれは地味でつまらぬな。

斉信:ああ、あれはないな。

道長:斉信は土御門殿の姫に文を送り続けていたんじゃなかったっけ?

斉信:今日見たら、もったりしてて好みではなかったわ。

道長:ひどいな。

斉信:ききょうがいいよ。今はききょうに首ったけだ。

公任:だけど、女っていうのは本来為時の娘みたいに邪魔にならないのが良いんだぞ。あれは身分が低いからダメだけど。

斉信:まあ、ききょうも遊び相手としてしか考えてないけどな。

公任:俺たちにとって大事なのは恋とか愛とかじゃないんだ。いいところの姫の婿に入っておなごを作って入内させて、家の繁栄を守り、次の代につなぐ。女こそ家柄が大事だ。そうでなければ意味がない。そうだろ?道長。

道長:(聞いていなかったか)ん?

斉信:関白と右大臣の息子なら引く手あまたというところか。まあ、いずれにせよ家柄の良い女は嫡妻にして、あとは好いたおなごのところに通えばいいんだよな。

公任:斉信の好いたおなごは人妻だろ。

斉信:えっ、そうなの?

公任:知らなかったのかよ。

(まひろ、いたたまれず去る。その姿を扉近くに立っていた直秀が見つける。道長は直秀を見て、腕の傷に気づく。)

 いやあ、明け透けなボーイズトークだった。公任の上級貴族男子の哲学「女こそ家柄」は、まひろにはどう聞こえたか。

 以前、三郎(道長)が貴族ではないと思い込んでいた頃、まひろは「身分なんかいいのに」とお気楽だった。でも、自分が右大臣家から低く見下げられる側になってみて、そして道長への恋心が募る今となってみると・・・つらいねえ。

 こういう王道の身分違いの恋が描けるのが時代劇の良いところ。大河ドラマなんだけど、人間を描くのだもの、こういうラブ要素もあっていいよね。(その点、申し訳ないけど昨年の「どうする家康」は築山殿だけに集中、他のあまたの側室がなおざりで残念だったな・・・。)

まひろパパ為時の行く末が心配

 長いものに巻かれるのが常道の、バランス感覚の優れた人たちからしたら信じられないような行動を、今回、為時がやらかした。帝を欺き奉る間者は辛いから止めたいと、いずれ権力を握るに決まっている次の天皇の祖父である兼家に、正面切って言ってしまったのだ。

 何を考えているのか、とこちらも青ざめる思いだったが・・・これは、為時が妻を失った辛さを良く知っているからだと思う。

 妻を殺されても、涙を呑んで右大臣家の次男坊を殺人者とすることはできなかったあの時。今、最愛の女御を失った花山帝の姿をお側近くで見ているからこそ、あの頃の自らの辛さが心中に蘇り、右大臣のために間者として働くことがこの上なく辛くなってしまったんじゃないか。

 (それにしても・・・女御を失っても死穢の関係でご遺体にも触れられない花山帝はおいたわしい限りだが、泣き伏す時に手にしていたのは、あの女御の手をぐーるぐるにしていたリボンでは?彼女を偲ぶアイテムがアレなのね?w)

 もちろん、為時が言ったように花山帝が曇りなく自分を信じているという負い目もあるだろう。けれど、ベースには右大臣家は仇であるという意識が、妻の死を思い出すことでより強く意識の表面に浮かび出てきたのではないか。

 それに前回、まひろの覚悟を聞いてもいた。仇の右大臣家にだけ繋がりがあるのは嫌でございます、だから左大臣家にもつながりを持ち続けるためにサロンにも通います・・・みたいな。だから「喜べまひろ」と言ったのだろう。

 見ているこちらは花山帝の退位が近いと知っているから、まひろ一家の経済がいきなり心配だ。イケオジ宣孝や乳母いとが「今すぐにでも東三条邸に行って取り消して来い」という言葉につい賛同してしまう。でも、倫理に通じた学者さんなんだもんねー。

 為時は今は帝の側近としての給料もあるのだろうし、右大臣からの間者手当が無くても暮らしは大丈夫だと思っちゃったか。そんな計算は出来ないか。先を読んで行く宣孝のような能力が無い、学者一辺倒の人物はつらいね。

 それにしても、乳母の立場でいとが為時にあそこまで言うか!と宣孝もまひろも戸惑っていたような。まあ、いつの間にか嫡男の乳母だけじゃない立場に、彼女もなっていたってことなんだろうな・・・(ゲスの勘繰り)。

気弱になった?兼家

 為時が右大臣兼家に間者を辞めたいと申し出をした場面は、兼家の考えは役者さんがどっちにもとれる表情をするものだから、裏があるのかどうなのか、よくわからなかった。つまり、段田安則の演技がうますぎて、煙に巻かれた。

兼家:帝のご様子はどうじゃ?

為時:日々、お気持ちが弱られております。

兼家:それだけか?

為時:今日は一日、伏せっておいででした。

兼家:近頃さっぱり注進に来ぬゆえ、いかがしたのかと思っておった。

為時:申し訳もございません。帝のご様子をお知らせすることが・・・苦しくなりました。

兼家:ん?(初めて為時の方を見る)

為時:右大臣様の御恩は、生涯忘れません。されど、この御役目はお許しくださいませ。帝は私のことを心から信じておられます。これ以上、帝を偽り続けますことは・・・どうかお許しくださいませ。(深々と頭を下げる)

兼家:(為時に歩み寄って)そうか、そんなに苦しいこととは知らなかった。長い間、苦労を掛けたな。(ポンポンと首のあたりを叩く)(為時が体を起こして兼家を見る)もうよい、これまでといたそう。(にこやかに、為時の目を見て笑い、去る)(為時が再度、深く礼をする)

 兼家の「これまでといたそう」と最後に言った際の笑みを、どう理解すべきなのか。お前、これから俺の世になるというのに、分からんことを言う奴だな・・・と面白がっているのか。バカな奴、と憐れんでいるのか。

 ただ、本心から「そんなに苦しいこととは知らなかった」と言い、為時を役目から解き放った可能性も全く無いわけじゃないようにも思った。

 兼家は、怖くなったようだったし。女御まで殺すことはなかったと、安倍晴明を難詰していた。

兼家:詫びることは無いのか?

安倍晴明:お褒めいただくことはあると存じますが。

兼家:腹の子を呪詛せよとは言うたが、女御様の御命まで奪えとは言うてはおらぬ。やり過ぎだ。

晴明:さようでございましょうか?腹の子が死すれば皇子の誕生はなくなり、女御様もろともに死すれば、帝は失意のあまり政を投げ出されるか、あるいは再び女にうつつを抜かされるか・・・どちらにしても、右大臣様には吉と出ましょう。この国にとっても吉兆にございます。

兼家:長い言い訳じゃのう。

晴明:いずれお分かりになると存じますが、私を侮れば、右大臣様御一族とて危うくなります。

兼家:ほほう。

晴明:政を為すは人。安倍晴明の仕事は、政を為す人の命運をも操ります。

兼家:お前の仕事はただ財のためだ。そんなことは前からお見通しだわ。褒美が足りないなら、そう申せ。もったいぶりおって。

 この後の安倍晴明の道長へのまなざしが大いに気になったが、兼家パパは、呪詛の結果は依頼した自分が負うものと怖くなっていたのだとは思うけれど、晴明の力を信じていたのかいないのか、イマイチよくわからない人だとも思った。

 力を信じればこそ、呪詛を頼みもし、やり過ぎだと責めもする。それなのに、その人を「ただ財のため」「もったいぶりおって」などと罵倒するなんて、命知らずとしか・・・えーと、どっちなんですかね?

 ただ、兼家は怖い夢を見て、懲りた様子。財前直見にヨシヨシされて「道綱~道綱~」と刷り込まれて「ウン」と言っていたのも、気弱になっていたからだろう。

 死んでしまった女御を皇后に立てたいと花山帝が望んでいるからと陣定で検討された時も、はっきり拒絶せず「前例があればOK」と許容した。義懐も右大臣には反対されると思っていたから「あれ?」という顔だった。

 少し、兼家は変わったのかも。晴明に命じて花山帝の妻子を呪詛した負い目もあって心境の変化があり、為時にああ言ったのかも・・・。段田安則の演技はそんな風にも見えた。

 (ところで、先の円融帝の「中宮」が存在する状況下、花山帝の死んだ女御を「皇后」に冊立する話が出ている。この件は引っかかる。後々、道長が「中宮」は「皇后」とは別モノだから両方居てもいいよね!と自分に都合よく横車を押すのは有名な話。この時点で既に別モノとの認識を皆が持っていたなら、後々の道長の行動は何の問題も無い。今回のドラマはそれでいいのか?道長を悪者にしないための環境づくりなのか?)

 でも、兼家みたいな悪党が気弱になったら終わりだ。彼は次回予告によると倒れるようだ。そこで例の大問題が進展するはずだが・・・。

 そのキーマンになる道兼は、今回、兄の道隆の思いやりのある言葉に涙していた。

道兼:義懐ごときが兄上を飛び越えて参議になるなど、腹立たしいことにございます。

道隆:そのことは気にしておらぬ。いずれ父上の世は来る。それは即ち、私たちの世ということだ。

道兼:それはそうでございますが・・・。

道隆:それよりお前、父上に無理をさせられて疲れておらぬか?お前は気が回る。その分、父上にいいように使われてしまう。そうではないか?(道兼の盃に酒を注ぎ)わしは分かっておるゆえ、お前を置いてはゆかぬ。(感涙にむせぶ道兼)

 道隆こそ、兼家のような根っからの性悪を父に持って嫡男として苦しかっただろうな、妻・貴子の存在は救いだが。このシーンでは、兄として弟を見る目が優しくて救われる(これに裏があったら怖すぎる)。

 次回、なんとまひろは仇の道兼と直接会う羽目になるらしい。その時、彼に「人殺し」と叫ばずに済むだろうか。

(ほぼ敬称略)