黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【光る君へ】#8 母の仇・道兼来訪に大緊張のまひろ一家・・・やはり言えないよね

まずは小麻呂情報から

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第8回「招かれざる者」が2/25放送された。先ほど(3/2の土曜日)再放送もあった。今回は、日曜日に忙しくて見られなかったので、ようやく落ち着いて見られた(録画やNHK+を見ればいいじゃんね、とは思うけれど・・・ほら、東京タワーはいつでも登れると思うといつまでも行かないって言うでしょう?あれと同じ)。

 さて、こちらは元々我が家の王子様猫を愛する猫ブログなので(一応今も)、前回の平安ポロ会場でずぶ濡れになって行方をくらました小麻呂😢(左大臣家の倫子様飼い猫)がかなり気になっていた。

 そしたら、テーマ曲後にドーンと小麻呂登場!生存確認できた全国の小麻呂ファンは、安堵で胸をなでおろしたことでしょうよ。小麻呂のおかげで物語は良い感じに転がり大活躍だし、それだけNHKも小麻呂ファンに気を遣ったってことかな。

 ところでこの小麻呂ちゃん。YouTubeで人気の「タイピー日記」(タイピー日記/taipi - YouTube)に出てくる「おぎん」くんに似てる。小麻呂ちゃんが出てくるたびに「おぎんこ~」と心の中で思ったりしてしまう。私だけかな。

 ではでは、公式サイトからあらすじを引用しておこう。

(8)招かれざる者

初回放送日: 2024年2月25日

倫子(黒木華)たちの間では、打きゅうの話題で持ち切り。斉信(金田哲)らの心無いことばを聞いたまひろ(吉高由里子)は心中穏やかでない。そんな中、宮中で兼家(段田安則)が倒れる。安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)のおはらいが行われるが効果はなく、道長(柄本佑)ら兄弟が看病にあたる。一方、為時(岸谷五朗)を訪ねて道兼(玉置玲央)がまひろの家に突然現れる。母のかたきと対じすることになったまひろだったが…((8)招かれざる者 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 時は寛和元年(985年)。このドラマは、ずいぶんとゆっくり進んでいる気がする。昨年の「どうする家康」は、お馴染みの戦国時代で、さらに超有名人の家康が主役だったから行く末が見えてしまい、「瀬名の話にこんなに尺を取っていて家康の最期まで辿り着けるか」と気を揉んだ・・・が、ちゃんと終わった。

 見慣れぬ平安の世を進むこの「光る君へ」も、大石静脚本だし、きっと良い頃合いで進んでいるのだろう、心配することない。今まで「源氏物語」の方に気を取られ、作者の周辺に興味を持たなかったのは何故だったのか不思議なくらい面白いし。今や、何をどう描くのか、勝手に妄想を膨らますのが楽しい。

 さて、オープニング前は、数え16歳のまひろと20歳前後の道長が、互いに相手を思う夜が描かれた。「少女漫画大河」と誰かが言っていたけど、確かにピッタリなお年頃だ。

 まひろは心の中で「もう、あの人への思いは断ち切れたのだから」と、自分に言い聞かせている。そうじゃないと思うけどなーと、見ているこちらはニヤニヤしながら思う。

 道長も、打毬の日にチラ見したまひろを思い返している。しかしあの日、彼の切れ長な横目が発するラブラブビームにしっかり絡め捕られたのは、倫子様と、しをり。

 女子トークの場で、公任推しの茅子と道長推しの、しをりが言い争う中「私もあの日の公任様は大人しかったように思います」と冷静を装って割って入ったのは倫子だったが、後で両親から婿入りの話をされた時に彼女が「道長様💕」とつぶやき、ポワンと頬をピンクに染めていたのが乙女チックで可愛かった。これまた見ていてニヤニヤだ。

 この女子トークの最中に、行成の代わりに急遽打毬に駆り出された直秀を「猛々しくもお美しい」と褒めた赤染衛門が言ったセリフがさすがだった。

赤染衛門:人妻であろうとも心の中は己だけのものにございますもの。そういう自在さがあればこそ、人は生き生きと生きられるのです。(茅子としをりがキャ~と歓声をあげる)

 そう、口に出すのはまた別だと思うけれど心は自由。まひろは真顔で赤染衛門を見つめていた。クリエイターとして心に響いたんじゃないか。

直秀と友になりたかった道長

 貴族のナリをした直秀が、F4と一緒に歓談していたのには驚いた。まあ、「道長の最近見つかった弟」という体で打毬を無理やりやらせた以上、それだけでサヨウナラという訳にも行かなかったのかな。

 でも、直秀と友達になりたかったにしても、道長は自分の住む世界に彼を引き込むのはNGじゃないかな・・・直秀には刺激が強すぎる。F4に再度会わせるなどは止めた方が良かったよね。

 道長は、宿直で自分が射た盗賊ではないかと直秀を疑った。いや、確信に近かった。だから、聞くことは聞いて、釘を刺したつもりだったんだろう。でも・・・だとしたら大甘だなあ。

直秀:兄上。

道長:ん?

直秀:私は身分の低い母親の子ですので、このようなお屋敷は生まれて初めてです。ぜひ、お屋敷の中を拝見しとうございます。

斉信:東三条殿は広いぞ。東宮の御母君・詮子様も時々お下がりになる。

公任:酒の後、ゆっくり案内してもらえ。

(略)

直秀:兄上。

道長:はあ、ここには誰もおらぬ。兄上は止めておけ。

直秀:西門の他にも通用門はあるのか?

道長:なぜそのようなことを聞く。

直秀:なぜと言われてもな・・・ただ、広いな~と思っただけだ。

道長:今日の直秀は、別人のように見えるな。

直秀:俺は芸人だぞ。何にだって化けるんだ。

道長:ハハ・・・そうであったな。ところで、左腕に傷があったがいかがした?

直秀:散楽の稽古でしくじった。

道長:矢傷のように見えたが、何か刺さったか?

直秀:(道長を真っ直ぐ見ながら)稽古中、小枝が刺さったのだ。俺らしくも無いことで、我ながら情けなかった。

道長:ふ~ん。

直秀:東宮の御母君のご在所はどこかな?

道長:お前は、藤原を嘲笑いながら何故そのように興味を持つ。

直秀:よく知れば、より嘲笑えるからだ。(毬でキャッチボールする道長と直秀)

 道長が直秀に盗人を止めてもらいたいとして、何を言えたかな。もっと突っ込まなくちゃ!「友だと思うお前を、盗賊として捕えたくないんだ!」とハッキリ言っちゃえよ~とも思う反面、いやいや、言えないでしょ、あれぐらいしか道長には言えないとも思う。

 道長は、貴族仲間や家族など、本来彼が居るべき場所に居てもいつも居心地が悪そうだ。右大臣家など諸々に対して自分が抱く鬱屈を理解して話ができる相手に、直秀がなってほしいと期待していたのだろうね。

 しかし、それは直秀からすると無理な話じゃないのか。

 道長と話しながら、直秀は、盗みの下見とばかりに東三条邸の通用口などを確認していた。それも仕方ない。持たざる人が、こんなにもふんだんに持っている人の暮らしを目の当たりにしたら、怒りさえ湧きあがろう。

 これは直秀の立場、彼の感情に無頓着な道長の罪だ。直秀を守るためにも、道長には可哀そうだけれど、相応の距離は置くべきだったんじゃ?

 後日、直秀が捕らえられた時、道長は苦悶の表情を浮かべた。でも、なんで盗賊を止めないんだと一方的には直秀を責められないよね。むしろ、エサを撒いたのは自分。自分の愚かさで友を失うんだと自分をも責める、ないまぜの感情があの表情だったのではないか。柄本佑が素晴らしかった。

直秀がまひろにプロポーズ?

 直秀は「なぜ打毬に出たの?」とまひろに聞かれて「奴らを知るためだ」と答えた。「散楽に生かすため?」といかにも気軽に聞くまひろは、無邪気な少女だ。(ついでに従者の乙丸も無邪気よな。散楽メンバーと楽し気にしゃべってる💦)

直秀:都の外は面白いぞ。

まひろ:直秀は、都の外を知っているの?

直秀:ああ。丹後や播磨、筑紫でも暮らしたことがある。

まひろ:(立ち上がって)都の外はどんなところ?

直秀:海がある。

まひろ:海?見たことないわ。

直秀:海の向こうには、彼の国がある。晴れた日には海の向こうに彼の国の陸地が見える。海には漁師がおり、山には木こりがおり、彼の国と商いをする商人もいる。都のお偉方はここが一番だと思ってふんぞり返っておるが、所詮、都は山に囲まれた鳥籠だ。

まひろ:鳥籠・・・。

直秀:俺は鳥籠を出て、あの山を越えていく。(とんびの鳴く声)

まひろ:山の向こうの海があるところ・・・。

直秀:一緒に行くか?(真剣にまひろを見つめる)

まひろ:・・・行っちゃおうかな

直秀:フフ・・・行かねえよな。

 まひろは「海」に大いに好奇心を刺激され、「鳥籠」に逃げた雀と母の言葉を思ったかもしれない。そんな風に思わせる表情が吉高由里子は本当にうまい。

 「都の外は面白いぞ」「一緒に行くか」と誘う直秀の言葉はプロポーズとも聞こえる。将来、父に付いて紫式部が「山の向こうの海がある」越前に赴くのも、この影響からなんだろう。

 ここまで、推しの直秀のことを散々ブログでも書いてきたが、次回がとにかく恐ろしい。なるべく事前に物語情報を入れないようにしているつもりだが、不吉な予感しかない。

 公任を演じる町田啓太のキラキラした雰囲気と違い、毎熊克哉には薄っすら悲しさが漂っていて、「どう家」の大岡弥四郎といい、悲劇が似合ってしまうからなんだろうな。せっかく人気なんだし、オリジナルキャラをそんなに早く消し去らないよね?と期待したいけれど・・・。

左大臣家の本音

 もったいつけても史実だし。道長の左大臣家への婿入りは、円融帝の女御・詮子の左大臣を東宮の後ろ盾へと取り込みたい思惑と、兼家のそれぞれの思惑とが合致して滞りなく進み・・・と思ったら、倫子を溺愛する左大臣その人は反対のようだった。

 左大臣源雅信は、妻穆子(むつこ)との会話で本音を言っていた。

雅信:藤原道長はまだ従五位の下、右兵衛権佐(うひょうえのごんのすけ→つまり「鎌倉殿の13人」で源頼朝が当初呼ばれていた佐殿!)だぞ。そのような下位の者を倫子の婿にできるか。

穆子:でも、右大臣家の三男でございましょう?偉くおなりになるのは間違いありませんわ。

雅信:義懐らが力を持てば、何がどうなるか分からぬ。それに、右大臣家は好まぬ。関白家の嫡男・公任殿なら考えんでもないが。

穆子:関白家の公任殿は見目麗しく目から鼻に抜ける賢さで、おなごにも大層マメとの噂です。そういう遊びの過ぎる殿御は倫子がさみしい思いをしそうで、私は嫌ですわ。

雅信:右大臣家の三男とて、先日の打毬の会では姫たちに大層騒がれたそうではないか。赤染衛門がそう申していた。

穆子:あなた・・・衛門と2人でお話なさったの?

雅信:(アワアワして)廊で会えば話ぐらいするであろう。

穆子:何か・・・オホホホ、嫌。

雅信:わしは今、何を言おうとしていたのだ。お前が変なことを言うから分からなくなってしまった。ああ、そうであった。わしは右大臣のあのガツガツした風が何より嫌なのだ。父親を見れば息子たちは自ずと分かる。詮子様とて右大臣にそっくりだ。右大臣のひな型など、この家に入れたくはないのだ。

 左大臣と、心は自由な赤染衛門の秘密が垣間見れたような気がするが、左大臣は右大臣をここまで嫌っていたか。倫子様の希望は道長一択なのに。

まひろと倫子は、明石の君と紫の上?

 改めて、公式サイトにある倫子の人物紹介を読んでみたら、こう書いてあった。

道長の嫡妻 源 倫子(みなもとのともこ)

黒木 華(くろき・はる)

藤原道長の嫡妻。源雅信の娘で、宇多天皇のひ孫。おおらかさと強さを併せ持つ女性。まひろ(紫式部)とも交流があり、不思議な関係が築かれていく。

 「不思議な関係」って何だ。ネットで見た、まさかあの説が・・・?

 史実では結婚していないとされる紫式部と道長。だが、このドラマではかなり互いに思い合っている。こうなったら結ばれないのはむしろ無理難題なんじゃないかと、私は考えている。

 それは皆さんも同様らしく、このドラマでは、まひろは「源氏物語」の明石の君の存在になるのではないかとの面白い説が、ネットのどこかで唱えられていた。えーと、URLがどこだったか・・・💦

 「源氏物語」では、身分は低いけれど教養深い明石の君が、光源氏の娘を産む。その姫君は光源氏の正妻格の紫の上に引き取られ、貴婦人として養育され、帝に入内して明石女御となり、将来は国母にもなる。入内の際には実母の明石の君が女房となって付きそったが、これは紫の上の明石の君への配慮からだった。

 つまり、ドラマでは・・・身分が低いまひろが道長の娘を産み、その娘彰子が嫡妻の倫子に引き取られて貴婦人へと育てられ、一条天皇に入内するとしたら・・・実際に、まひろ(紫式部)は彰子の女房になるのだから明石の君との一致点は多く、話としてもかなり面白い。

 そういえば、明石の君って琵琶の名手だった!まひろも、母譲りの琵琶を今回も奏でていたね。明石の君も、父親の明石の入道が琵琶の名手、それにどうして気づかなかったか・・・!

 こちらのサイトにも琵琶の話でそんなことが書いてあった。

 この4人の女性の中で一番、身分が低いのが明石の君。一時、都落ちしていた光源氏と結ばれ、女児にも恵まれますが、そのわが子(明石の女御)も紫の上の養女になって入内し、今や別世界の住民です。そうした高貴な人たちに囲まれてても物おじせず、教養深く、落ち着いたたたずまいを見せるのが明石の君でした。

 同じように決して身分が高いとは言えず、しかし才能は絶賛された紫式部本人と重なり合う部分も多いようにも思えます。明石の君は、紫の上や六条御息所のように目立つキャラクターではありませんが、ここぞという場面で「神さびたる」と形容するほど、紫式部が深い思い入れを持ってその人物像を創り上げたことが伺われる存在です。その彼女を象徴する楽器が琵琶でした。

 明石の君の父親で、光源氏と娘を結びつけることに力を尽くした明石入道も琵琶の名手で、光源氏の琴と合奏したこともあります。この点もまひろと母親のちやは、とは相似形です。

 まひろと琵琶の胸を打つシーンは、こうした明石の君を巡る様々なエピソードから生まれてきたものかもしれません。(【光る君へ】第8回「招かれざる者」回想 まひろが琵琶に寄せた母への想い 「源氏物語」光源氏の邸宅に響いた琵琶の音 紫式部も尊敬の赤染衛門 – 美術展ナビ (artexhibition.jp)

 琵琶を通じて、まひろとちやは、そして明石の君と明石の入道が相似形。それが琵琶だけの話に止まらないとしたら、確かにまひろと倫子は、彰子を挟んで「不思議」とも言える関係を築くことになるだろう。そうか、その方が絶対に面白そう✨✨

 宣孝との結婚で生まれる賢子が、実は道長との間の子で宣孝との結婚はカモフラージュ!という説も捨てがたいけれど、まひろ=明石の君説の方が、より「源氏物語」を踏襲しているし、ドラマチック。いや、欲張りかもしれないけど両方取りでもいいよ・・・益々先が楽しみだ。

兼家パパの陰謀、怖すぎる

 前回、まひろの為時パパは、バカ正直にも、花山帝への間者を辞めて右大臣兼家の手を離れたいと兼家に宣言してきてしまった。今回は、それによって兼家の魔の手が為時にも伸びてきてしまった。

 そうか、そろそろ兼家による花山帝退位への仕掛けが始まったか。

 兼家は、自分の手を離れた為時には容赦がない。その悪魔の使者は道兼だ。ほとほと道兼はまひろ一家にとって疫病神だ。事件当時、色々と揉み消した兼家は、当然為時の妻(まひろの母)が道兼の被害者だと知っているだろう。知ってて道兼を差し向けるんだから、本当に残酷な人だ。

 まひろと道兼の対決は後で書くとして、そこに至る経緯を振り返る。花山帝は、叔父の義懐を従二位に上げ、さらに権中納言にもし、関白にもしようとしていた。つまり、現在権力を握る貴族たちにとっては横車を押される状況が迫っていた。

 そして、寛和二年(986年)の年が明け、義懐は公卿の面々を前に、花山帝の意向として「陣定を当分の間、開かぬこととする」と宣った。公卿のお歴々へのお役御免宣言に等しい。

 これに対して、大声で異論を唱えたのが右大臣兼家だった。

右大臣藤原兼家:権中納言義懐、勘違いが過ぎるぞ!

左大臣源雅信:その通りだ!帝がそのようなことをお考えなさるはずがない!

藤原義懐:帝の叡慮に背くは、不忠の極み。

兼家:(立ち上がり)不忠とはどちらのことだ。帝のご発議もまず陣定にて議論するは古来の習わし。また時に帝とて誤りを犯されることはある。それをお諫め申さぬままでは、天の意に背く政となり世が乱れかねぬ。帝がお分かりにならぬとあれば、なぜそなたがお諫めせぬのだ!これより、帝をお諫めに参る。関白様、左大臣様。

雅信:うむ。

義懐:待たれよ。帝は本日は御不例にて。

兼家:どけ!(義懐を突き飛ばしたが、体調に異変が起き、倒れる)

 兼家は、興奮して頭に血が上ったか。花山帝は「右大臣め、いい気味じゃ、これで目の上のたんこぶが居なくなった」と喜んだ。「これは天の助け」と言った義懐には、しかし、まひろの父・為時は咎めるような視線を向けた。

 「このままでは命が危うい」と言われ寝込んだ兼家だったが、いかにも怪し気。気を失っていたのに、道兼にのみ目をカッと見開いたのだ。この後は映らなかったが、花山帝を引きずり下ろすための指示を、道兼に飛ばしたのだろう。道兼はすぐに行動に移る。

 まずは花山帝に近づき信頼を得なければならない道兼。帝に自作自演を疑われないように周到に両腕に打擲の痕を付け、人の善い、まひろパパ為時に接近。わざわざ傷を見せて「父に疎まれている」と同情を買った。

 花山帝の疑いの目を凌げるほど、道兼の芸は細かい。そこまで兼家が病床で指示できたか?道兼が、父の意を汲み、虐げられた息子としての芝居を打っているのかな。

 怪しげな力で道長を助けた安倍晴明も、一枚噛んでそう・・・もしかしたら、兼家が倒れたのも、始めから全部嘘か?頭に血が上ったのも嘘だった?

 花山帝に道兼の「苦境」を伝え、引き合わせてしまった為時。「どこへ行っても私は嫌われる」と訴える道兼は怪しいけれど、為時は道兼を可哀そうだと思ったんだね。妻の仇なのだが、同情してしまって踊らされてしまうのだね・・・。

 まひろが弟の惟則に「父上はこんな争いに巻き込まれたくないの。静かに学問を究め、学問で身を立てたいだけなのよ」と説明した時の、為時の顔。まひろの言葉に縛られている?とも思うが、娘の理想の父でありたいだけの善人なんだなと思った。

まひろ~!さすがに言えないか

 ということで、道兼はさらに為時を懐に抱き込むために酒を持参してまひろ宅に来訪。事情を知る乳母を含め、一家は心臓をつかまれたように真っ青だ。御方様を無残にも殺した張本人を、心から歓迎できるわけがない。

 今回のクライマックス、一家vs.道兼の心理戦にはドキドキした。

乳母いと:お帰りなさいませ。

為時:うん。いかがした。

いと:それが・・・(無理やりに為時を人陰に連れていく)

為時:誰か来ておるのか?顔が青いぞ。

いと:藤原道兼様が・・・お酒もお持ちになり、為時殿と飲みたいと仰せになって。

乙丸:御戻りでございます!(まひろ帰宅)

為時:(まひろの前に立ちはだかって)お前は今少し外におれ。乙丸。

道兼:為時殿。

為時:これは失礼をいたしました。

道兼:ご息女か?

まひろ:(礼をして顔を上げ、来訪者が道兼と知って固まる。屋敷内に走って逃げる。心配気に見送る為時、いと。まひろは自室で息をつき、琵琶に目をやる)

道兼:(リラックスして酒を飲みながら)ああそうか、息子は間もなく大学か。大変じゃな。

為時:は。(うつむいている)

道兼:為時殿の息子なら、聡明であろうから心配は要らぬか。

為時:いえいえ、それがさっぱり。(酒を勧められる)あ、私はもう。

道兼:つまらぬな。せっかく訪ねて参ったのに。

まひろ:(琵琶を持ってしずしずと廊を進んできて座る。琵琶を置き、礼)このようなことしかできませぬが・・・お耳汚しに。(琵琶を弾く。母の姿が脳裏に蘇る。無言ながら、まひろを気遣う為時)

道兼:はあ、見事ではないか。体中に響き渡った。琵琶は誰に習ったのだ?

まひろ:母に習いました

道兼:母御はいかがされた?(緊張する為時)

まひろ:母は・・・(記憶の中で道兼に刺される母ちやは)7年前に身まかりました

道兼:それは、気の毒であったな。ご病気か?

まひろ:(血だらけの道兼の顔を思い浮かべつつ)・・・はい。(厳しい表情の為時、いと。まひろ、表情を動かさず礼をして)失礼いたしました。(去る)

道兼:(為時に)麗しいが、無愛想じゃな。

為時:申し訳ございません。

道兼:おい、そなたもどうじゃ(いとに。いと、礼)

為時:お捨て置きくださいませ。

道兼:楽しく飲もうと思うたが・・・ハハ、真面目な家じゃ。ハハハハハ(為時、微妙に憤然とした表情)

 五節の舞姫を務めた時に道兼を見つけたまひろは、もし隣に三郎が居なかったら「人殺し!」と叫んでいたかも・・・と道長に告白していた。

 今、道兼の隣には道長はいない。道兼の前に進み出た時、まひろ、言っちゃうのか?と固唾を飲んだが、形見の琵琶を奏で、母の死について道兼に問われた彼女は、無表情で言いたい言葉を飲みこんだ。

 本当は、「おまえじゃ~ミチカネ~!おまえが殺したんじゃ~!」と言いたかっただろう。いや、全視聴者が言いたかったはず。

 まひろは言えるわけがない。もしも、まひろが真実をぶつけたとする。青ざめた道兼は去り、その代わりに右大臣家の武者どもが、まひろ一家を潰しに来ただろう。右大臣家の名誉を守るためとあらば、その程度の犠牲を犠牲とも思わず実行しそうだ。

 結局、弱い者はこうやって長いものに巻かれるしかないのか。

 まひろは、道長の「一族の罪を詫びる。許してくれ」「俺は、まひろの言うことを信じる」という言葉を、涙しながら思い出していた。そこにやって来て、「よく辛抱してくれた」と頭を下げる父に、こう言った。

まひろ:私は道兼を許すことはありません。されど、あの男に自分の気持ちを振り回されるのはもう嫌なのです。それだけにございます。

 あの男とは果たして道兼だけか。道長も?悲しいなあ、まひろ。でも、前回の平安ポロの日の「品定め」での会話に、道長は賛同してなかったからね、誤解しただろうが。

 次回予告を見たら、まひろは両手を縛られ荒っぽく連行されていた。そして従者の乙丸が、道長従者の百舌彦と並んで走っていた。こうなると、道長がまひろを助けるんだよね?しかし、直秀の件は気が重い。

(ほぼ敬称略)