黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

『被害者ノート』が白書に載ります

うっかり書くのを忘れるところだったが、6月12日に閣議決定された2015年版犯罪被害者白書の中で、『被害者ノート』が紹介されている。先週、連絡をもらった。
http://www8.cao.go.jp/hanzai/whitepaper/w-2015/pdf/zenbun/pdf/1s5s3.pdf
(2~3ページ目にある「コラム6」)

内閣府から発行元の「途切れない支援を被害者と考える会」に打診があり、会の役員&事務局が原稿をチェックした上で掲載に至ったそうだ。やった~!パチパチパチ!(←拍手)

これはとても嬉しい。これで、全国で被害にあった方たちに、少しでも早くノートをお届けできるようになるのではないだろうか。

何せ民間の一任意団体が作成したノートだ。お役所関係でスッと信頼していただくのはなかなか難しいかもしれない・・と思っていた。ただ、会の参加メンバーが錚々たる面子なので、所属団体に持ち帰って広めてもらおうと目論んではいたのだが、それが、白書に掲載となると、政府のお墨付きを得たようなもの。これからもっと広がって行ってくれるかもしれない。

今回の掲載も、会の事務局に内閣府の元職員の方が参加してくれているので、多大なご尽力をいただいたのではないかと思う。ありがとうございます!もちろん、会には自治体の職員の方たちが多くおいでなので、そのおかげで今後も自治体で利用していってもらえることになるのではないかと、そちらも大いに期待している。実際に、某政令指定都市では、ノートを利用してのプロジェクトも進行中だ。

やはり、一般の商業出版でなく、この形態(被害者と遺族には会が無料で配布、支援者からは1冊当たり2200円の寄付を頂戴する)でノートを世に送り出して正解だったようだ。

以前も書いたように思うが、2010年に『被害者のための刑事裁判ガイド』を出版した時に感じたのは、被害者の方たちに是非ともお届けしたい、刑事裁判を経験するなら絶対に必要になる情報なのに、被害に遭って青息吐息の方たちにお金を出してもらって購入してもらわなければならないというジレンマだった。出版社からも、「被害者のための」とタイトルに付けると一般には売れない(←被害に遭うとは誰も思っていない)からと、タイトル変更を求められたこともあった。

それでは被害者に届かないと考え、タイトル変更は断った。それもあってか、やはり出版社の言うように売れ行きは伸びず、必要な情報でも、被害者のお手元に届けるには限界があると知ったのだった。

もっと広めようと思っても、話を聞かされる方にすれば「tomosukeによる単なる自著の宣伝」になってしまうので、副次的な面倒も起きてしまった。「そうやって被害者を利用して自分の名前を売りたいんだね」と、その後しつこく絡んでくる人が出てきたりと(未だに絡まれてます)・・でも、書いた内容に責任を持つためにも名無しで本を出すわけにもいかず、仕方ないとはいえ、何でそんなことを言われないといけないのかと暗澹たる気持ちにもなった。

効果的に必要な情報を必要な人たちに届けるためにはどうしたら一番いいのか・・それを考え続けていたので、このノートを発案した人から相談を受けたとき、私が参加させていただいていた勉強会に助けてもらおう!と思ったのだった。

会のメンバーに知恵を出してもらえることで、一人ひとり取材して歩く手間も省け、専門分野は寄稿もしてもらえる。これは体力的にポンコツの私には、とても大きかった。原稿の書き手も、私以外にもメディアの方々がいたので、分担できるかもしれないと思った(分担は残念ながらなかったが)。

しかし、せっかくいただいた助成金を返還するか否かが迫られるという、会の信用も大金も失うかもしれない厳しい時間の制約がある中で、執筆ラストスパートの連日2時間睡眠で私の持病が再発し、パソコンに向かうのが難行苦行になったり、そんな中で、メディアの常識がそれぞれのメンバーが生きる世界の価値観では理解しにくく、疑問を持たれてしまって釈明を求められたりと、産みの苦しみはそれなりにあった。

それでも、「三人寄れば文殊の知恵」を超える人数のメンバーの知恵によって、被害者のために、とりあえずは満足のいくものを作成することができたと思う。

原稿が私の手を離れてしまった後は、今度はノートの発案者や会メンバーが率先してプロモーションをしてくれ、ノートの意義を各方面で説き、効果的に広めるための知恵を絞ってくれている。

その結果が、今回の白書掲載だ。個人による商業出版だったら決して得られなかった成果だろうと感慨深い。関係するみなさんに深く感謝したい。