黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

涙が死者に刺さる?

疲れた。すっかりばててしまい、漢方薬の助けを借りて寝たり起きたりしている。台風が来るかという17日は父の初の祥月命日で、一周忌の法要と納骨が予定されていて冷や冷やしたことが大きいのかなと思う。プラス、その前日までの1週間、珪藻土の塗り直しに伴うアレコレも響いたみたいだ。

だって、時間になれば水回りが使えなくなる関係で毎日早起きせざるを得なかったし、日中も「今日1日どうやってトイレをやりくりするか」を考えるのって、やっぱり負担だった。

それに、うちは「猫ファースト」が流儀なので、夜中と早朝に御猫様がお起こしになるのには応えなければならない。そうすると自然と睡眠が足りなくなる。そこに拍車がかかった感じだ。睡眠負債は命を縮める(!)と、最近よくテレビでも目にする。

土曜日の午前中に業者の作業は終了。午後からは喜び勇んで洗濯機を次々と回したり、ウォーキングクローゼットから全て運び出してあった荷物を戻し整理整頓、ついでに軽く模様替え。こういうのは好きだから楽しいけれども、法要前後にやる作業にしてはヘビーで疲れたね、やっぱり。

しかし・・・疲れた疲れた私が言うよりも、遠くから雨の中車を飛ばして法要に来てくれた親族は、本当に疲れただろう。台風が迫る雨の中の納骨とは、一体どうなることかと思い、親戚が来るのは無理かもしれないとも思ったが、結果的に多くの親戚が来てくれた。見守られ、父も嬉しかっただろう。

来てくれた親族の最年長は、父より10歳年上の伯父だった。その下に、末の弟として父を殊の外かわいがった伯母がいるが、背骨の骨折もあり、体調不良で来られなかった。いとこによると、前日も父を思い、泣いていたそうだ。

この伯母には、父が亡くなって以後、こちらから伺って昔の父の話が聞きたいと、姉と共に何度かお願いしていたのだけれども、断られていた。伯母の体調が思わしくないのに無理をさせても良くないと諦めていたが、この日、いとこに改めて聞いたところ、私たち姉妹に会うと「泣いてしまうから」と、伯母は断っていたのだそうだ。

驚いた。「泣くことは良いこと、涙をせき止めないで」と私はいつもご遺族にも伝えさせていただいてきた。それで、「最近の脳の研究によると、情動の涙は玉ねぎを切ったときに出る涙と違い、脳の老廃物を洗い流す効果もあるみたいですよ」等々と言ったところ、いとこも「そうなの?良いことを聞いた、そう言ってみるね」と興味を持ってくれたので、「一緒に盛大に泣きましょうって伝えてね」と言った。

そうしたら・・・だ。その話を聞いていたわけでもないだろうが、別の伯父が「納骨もしたんだし、泣くんじゃないよ。泣くとその涙が矢となって死者に刺さるぞ」と私に言ってきた。この伯父は、ある宗教を熱心に信仰しているので、恐らくそこの教義ではそうなのだろう。

でも。こういうことをご丁寧に周りが言うから、多くの被害者遺族が泣けなくなるんじゃないか。本心も吐露できず、ため込んで回復が遅れていくのだ・・・と腹が立ったが、わざわざ来てくださった伯父と喧嘩もできず、「今日は雨の中、お具合も良くないのにありがとうございます」とだけ伝えた。

泣くことを恐れて姪にも会えない伯母のことも思うと、世代的なものの考えが大きく影響しているのかもしれないが、人間に喜怒哀楽の感情が備わっているのはなぜなのかとこの伯父には問うてみたかった。TPOがあるのは認めるが、常に能面のように、心の底に感情を塗りこめて平然とするばかりが褒められたものとは、私は思わない。

それも、泣くとその涙が死者に刺さるとは。脅し文句もいい加減にしてほしい。こんなにきつい話があるだろうか。

心の動きを直視せず、その傷に無頓着では、健康上良くない。傷があるなら泣いてケアしてしまった方が良いと私は思うんだけど・・・と、この伯父に直接伝えるのは、もう諦めているが。