黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

「鎌倉殿の13人」大江殿、悪者過ぎる

善児に育てられる娘、トウちゃん登場

 本日、あと少しで「鎌倉殿の13人」の第25回が始まるというのだから、先週の24回「変わらぬ人」のことを今さら書かなくてもいいかなーとは思ったものの・・・気になることは短く書いておこう。

 みなさまの癒しだった蒲殿(源範頼)が「マクワウリ」に気を取られている間にサクッと殺されたシーン。ああ、三谷さん、そうか・・・ここで殺しちゃうのかと残念だった。

 埼玉県の吉見で蒲殿の子どもたちが生存したとの記録があるので、そっちに逃げる説を選択する手もあるかなと思ったけれども(吉見の皆さんも期待していただろう)、義経と同じように「こうあってほしい」伝説には逃げずに、無残にも殺される方が選ばれた。まあ、修善寺にお墓もあるのだし、吉見にて長寿を全うしたとなると、修善寺の立場が無くなる。それは致し方ないか。

 何が怖いって、蒲殿の刺殺寸前に後ろでスローモーションで農夫と妻が殺されていくところ。そして、手にしたカマをしっかり構えて善児と対峙したのがたぶん農夫の娘のトウちゃんだった。

 成長したトウを演じる女優さんのキャスティングが発表された時に、彼女・山本千尋が中国武術の達人なんだと知ったが、「あの善児が子どもを育てるなんて!」との驚きが大きかった。

 でも、よく考えてみれば、あの頃の人は奴隷として普通にやり取りされていたのだし、トウちゃんも養女であっても善児の奴隷だったのではないかと想像した。あのシリアルキラーが、愛情深く子どもを育てようと考えるとは思えない。

 ただ「コイツは筋が良さそうだから役に立つかもな」ぐらいの感覚で、奴隷としてこき使う一方、刺客としての技術も教えたんじゃないか。蒲殿でさえ、なす術もなく殺されていった中、カマをとっさに構えられるぐらいの反射神経があった彼女なのだ。

 善児にいたぶられる中でどれほど強くなっていくのだろう、トウちゃんは。善児も齢を重ねて殺し屋としての職務が全うできなくなっていくのを、トウにやらせるのではないか。殺し屋の世代交代か。

 トウちゃんが自由になるためには、自分で善児を殺すしかないような気がする。善児が簡単に他で死んでくれるとは思えないし。自分の育てた作品に殺されて、稀代の殺人鬼も退場していくのか。鳥が盛大に鳴き叫ぶんだろうな。

蒲殿の件、納得が薄かった

 善児の名前がオープニングにあると、「ヒッ」と恐怖が走る。鳥の鳴き声がキーッキーッと聞こえて人が死んでいくんじゃないかと怖くて仕方ないが、蒲殿の刺殺の時もやっぱりそうだった。(ところで、あれは何という鳥が鳴いているんでしょうね?)

 うちには大江広元の子孫の端っこ(たぶん)がいるので、第24回も大江殿の言い草にはピクッとくるものがあった。演じているのは「真田丸」のデキる叔父上だし、めっちゃ応援しているんでね。

 大江殿、言ってることは正しい。前回も、富士の巻狩りでの頼朝暗殺情報に混乱する最中でも「ハッキリ正しいことが分かるまでは動くな」と蒲殿に言っていた。ただ、それを頼朝に報告しちゃうんだ・・・残念。当時の混乱ぶりを知っているはずなのにね。

 それから、蒲殿が差し出した起請文にある「源範頼」の源氏名乗りに難癖をつけるのは・・・視聴者側にはまさに難癖にしか見えなかった。主人公・義時にも「言いがかりにございます!」と言われちゃって、義時に花を持たせた格好(主人公ですから)。

 それにも構わず難癖を続けたのには、吾妻鏡にある通りらしいけれども、こっちには唐突過ぎた。比企殿もそうだけど、「えー、大江殿を悪者にし過ぎじゃないの」との感想は、こちらの単なる身内びいきかもしれないが、もうちょっと、端折らずカバ殿が不利な状況をドラマでも説明しておいてほしかった。

 蒲殿の従者が頼朝の寝所に忍び込んだ話は、かなりマズい。それでの処分とすれば納まりは良かっただろう。それと、曽我兄弟の同母兄弟(原小次郎だそうな)が、蒲殿の家人に居て、やはり処刑されている件。例の岡崎義実と大庭景義の出家と同じ頃だという。

 これだけを聞いても、何か陰謀がありそうな匂いが漂ってくる。ちなみに、「草燃える」では岡崎義実と大庭景義が富士の巻狩りをめぐる謀反の動きの黒幕として描かれていたらしい。夢中になって見ていたはずなのにそこらへんを全然覚えていない。ただ、ふたりが気になって仕方なかったのは、記憶の深いところへの刷り込みがあったのかな・・・。

 脱線したが、つまり、大江広元はそれだけの情報を手にしていたからこそ「蒲殿が常陸などの御家人グループに担がれてしまって富士の巻狩りを機にクーデターを狙っていたのではないか」と最初から疑ってかかっていたのだと分かる話にしてくれていたら。そういった裏情報があれば、この期に及んでのカバ殿の源氏名乗りがどんなに危険な意味を持つのかも伝わるので、あれだけ蒲殿に厳しくても「なんなのアレ?」と子孫にまで大江殿が言われなくてもよかった訳だ。

 せっかく八田知家が出てきたのだから、富士の巻狩りに引き続いての多気吉幹との何かタイミングを計ったようないざこざを描いてくれても・・・常陸の国の御家人の怪しげな動きを描いて、そのカバ殿とのつながりを仄めかしてくれても良かった。

 ドラマでは、その点での大江殿とカバ殿との問答が「曾我兄弟とのつながりは」「無い」だけだった。常陸の動きまで描くのは無理があったのかな?でも、八田知家としても、活躍の場が万寿のための小鹿の細工だけでは悲しいはず。

 ドラマでは結局、大姫の死は蒲殿による呪詛によるものだ(!)と断定した頼朝が、梶原景時を呼ぶところまでが描かれ、蒲殿抹殺につながった。呪詛が重要視されていた時代だとはわかるけれども、なんだか理由としてはメチャクチャ、弱いなあと思ってしまった。

 いいのかな、頼朝のメチャクチャ感を出したいのだとすれば。でも、大江殿がイチャモンに巻き込まれて悪者になってるのは悲しすぎる。

 それと、またまた脱線するけれど、頼朝は自分と同じように人が考え行動するのだと信じすぎ。自分だったら同じ状況に陥ったら相手を呪詛するんだ、でも蒲殿はそうじゃない。死を前に、神仏に見放された独裁者というものはこうやって周囲を信じられなくなって追い詰められていくものだと三谷幸喜は描いているのか。頼朝もプーチンも似ている、危険極まりない考え方の持ち主だ、と。

やっぱり都はコワイ

 大姫を呪詛の件、頼朝のこの時の一番の願いが、大姫が入内して帝の子を授かって、その男皇子が次代の天皇になることだったと描きたいのだろう。神仏の声が聞こえなくなったので、平清盛が徳子を入内させて安徳天皇を授かった前例に倣おうと。もっと言えば、それを超越したいと。

 でも、平家のその後の悲劇はみんな知っている。安徳天皇は壇ノ浦で海の藻屑と消えた。入内には無理があった。思い出すのは、「位討ち」という言葉だ。平家一門が丸ごと都から放り出された。

 頼朝長女の大姫も次女の三幡(乙姫)も、若くして死んでいくのは、朝廷側による呪詛もしくは指し金だったのでは? もう頼朝に、清盛のように振る舞われてはたまらない、と都人が考えるのは自然だろう。

 それを感じさせたのは、鈴木京香演じる丹後局の恐怖の「世間話」だった。怖かった~!でも、正直にあそこまで言ってくれるのはご親切というものか。莫大な贈り物があったというから、世間話程度には都の考え方を教えてあげようと思ったのか。

 さて、今夜25回は次女の三幡と、とうとう頼朝本人の死が描かれるのだろうか。もう6月も終わる。スケジュール的にも、半年での頼朝退場は丁度よい。13人による争いが閊えて待っている。

 よく言われるように、頼朝は落馬はするんだろう。オープニング映像にもなっているくらいだから。でも、どうやって?誰かの細工、暗躍があるのか?これまで悪行を重ね神仏に見放された頼朝が、落馬程度で死んでいくのをガッカリする視聴者もいるかもしれないので、三谷さんがどんな仕掛けにしてくれるのか期待したい。

 そうそう、24回についても期待を裏切らない解説をしていたYouTube「かしまし歴史チャンネル」きりゅうさんに盛大な拍手を送りたい。

 阿野全成が源氏物語の「桐壺の巻」の冒頭部分を紫式部になり切って(?)言い出した部分は、単に冒頭だから程度に考えて見ていたけれど、きりゅうさんは、もっと深読みして、後ろ盾なく入内していじめられて早死にした桐壺の更衣(光源氏の母)に大姫を重ねようとしていたのでは?と。確かにそうでしょう!

 桐壺の更衣も、亡き父が望んでいたからと無理くり入内したんだもんね。無理しても、弘徽殿の女御など有力者の娘があまた侍る中、帝には愛されたけれど苦労するだけ苦労したんだもんね。

 それから、三浦義村があっちこっちと立ち回る話の中で、彼の衣装にはコウモリが描かれていると・・・全然気づいていなかった。すごいなーすごすぎる。

 三谷幸喜と対談してくれたら、すっごく楽しそうだ。してくれないかなー、NHKさんどうでしょう?絶対見ますよ。

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(ところどころ敬称略)