黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【鎌倉殿の13人】最終章へ期待大、毒キノコ膳は最終回に出るか?

ファッションページなのに「鎌倉殿」話

 毎週木曜日は、朝日新聞夕刊を楽しみにしている。「三谷幸喜のありふれた生活」というコラムを読むためだ。言わずと知れた人気脚本家のコラムはただでさえ興味深いが、彼がNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本を務めるようになって、さらに欠かさず読むようになった。「鎌倉殿」ファンとしては、些細なものであっても周辺情報が楽しいからだ。

 そして10/13。夕刊のページを開いて驚いたのは、そのコラムが掲載されているページの見開き反対側のページに、小栗旬がスタイリッシュないでたちで(顔は北条義時フェイスの髭面のままなのが少し笑えるけど)写真に納まっていたからだ。トム・ブラウンと、コムデギャルソンの服を身に着けていた。

 なんでも、「鎌倉殿の13人」にちなんで13通りの衣装を着たそうだ。「小栗旬×レスリー・キー 13変化」と題された記事のすぐ上には「fashion」とあって、隣の記事も「スーツは自由を手に入れた」との見出しだから、明らかにファッションのページだった。(小栗旬×レスリー・キー、13変化 大河ドラマ「鎌倉殿」にちなみ、衣装13通り:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 その、ファッションについて書かれているはずの小栗旬の記事だけれど・・・3段のうちの最下段は丸々大河ドラマの話で、見たところ記事の40%ぐらいを占める。どうやら、執筆した編集委員はかなりの「鎌倉殿」のファンらしい。ファッションのページだろうが何だろうが、小栗旬が出るからには鎌倉殿の話がしたくてウズウズ、書かずにいられなかったのだろう。

 もちろん鎌倉殿ファンの読者としては大いに歓迎する。3段目を引用してみたい。

 12月18日に最終回を迎える「鎌倉殿の13人」は、いよいよ最終クールに突入した。権力の中枢に座った北条義時は史実に照らすと、今後さらに冷酷な役回りになるが、「三谷幸喜さんの脚本を読むと、なぜ彼がそうならなければいけなかったのかという理由が克明に描かれているんですよね」。

 畠山重忠の乱や父の時政追放を経て、今後は和田義盛と戦う「和田合戦」も控えている。「後半で、これほど主要人物がいない大河も珍しい。最後に残るのは家族。伊豆の小四郎が北条義時になり、そしてまた小四郎に戻るというのが、三谷さんの描く大団円。ただ、そこにたどり着くまでは本当に修羅の道です」

 ファッションページの記事とは思えない、力の入れよう。そうなんだ、悪に染まり切って誰もいなくなった結果、最後に残るのは家族ということか。また小四郎に戻る・・・上総介と共にいた頃のような小四郎の気持ちを思い出すのか。ここら辺が、どう物語が収束していくのか謎解きの鍵になって来るのかな。

面白かったトークショー。だけどMCは誰?

 それで、夕刊右ページに載っていた、肝心の三谷幸喜のコラムに戻る。10/13付の同コラムの見出しは「『憧れられる』に戸惑って」とのタイトルだった。

 ご自身が伊丹十三監督と和田誠監督に憧れ、「映画監督の心得を色々と教えて頂いた」り、勝手に運命を感じて出した手紙がきっかけで「公私にわたるお付き合いをさせて頂くことに」なったりと、両監督との交流が書かれていたのが前半。残りは、やっぱりの10/9の大河ドラマ枠で放送されたトークショー「応援感謝!ウラ話トークSP~そしてクライマックスへ~」の話が書かれていた。

 トークSP出演者は、北条家の時政(坂東弥十郎)、義時(小栗旬)、泰時(坂口健太郎)の親子孫の3代と政子(小池栄子)、そして比企能員(佐藤二朗)の演者5人。

 三谷幸喜はクリエーターとして今や第一人者なのに「自己肯定感が極端に低い」そうで、トーク番組MCをNHK杉浦友紀アナと共に務めた元テレ東の佐久間宣行プロデューサーが、ご自身を前に「憧れの人」としてガチガチに緊張している姿に戸惑ったそう。大した奴じゃないと思われるのではと、対談の間はずっと不安だったそうだ。

 大変申し訳ないのだけれど・・・佐久間Pを私は存じ上げなくて、誰この人?なぜこの人?なんかすごくうれしげだけど?と、実は眉をひそめた。家族もポカーン。最初「NHKの大河ドラマのプロデューサーが出てきたのか?」と思った。違うんですね。

 しかし、楽しいトークスペシャルだった。お気に入りの大泉洋の場面は貼り付けておきたい。

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三谷幸喜が語る政子、泰時、義時

 そして、佐久間Pが緊張していたとはいえ、根っからの三谷ファンによるインタビューは面白かった。注目は、やはり三谷幸喜が語った最終章の見どころ。政子、泰時、義時それぞれについて語っていた。

 政子のキャラクター。ここに至るまで歴史上悪女悪女言われてきたんだけれども、僕はどうしても悪女に見えないんですよ。その都度彼女は必死だったし、母として妻として選択をしていっただけであって、それが結果的に悪女の烙印を押されてしまったのかもしれないけれども、全然彼女の中には悪とかそういう色が見えなかった訳ですよね。じゃあ、いつ北条政子はみんなの知っている悪女になるのか。ならないです。(MC:ならないまま、でも歴史上はあの悪女のように見える)そうそう、それをやってみたかったんですよね。

 男の上に立つような女は、少し前なら軒並み悪女にされていた。そこのところ、三谷幸喜は思いつかなかったらしい。今時の、フラットな感覚をお持ちの人なんだろうか。

 しかし、悪女にならないのに、悪女に見える。それは時政パパと似てる。時政パパも、決して悪人ではなかった。ただの田舎の情の深いおやじさんが、愛する妻りく(強欲だけど)の言うままに階段を上り、今までのやり方が通用しなくなって結果、悪に堕ちた感じだった。賄賂をもらって「いいアユ貰ったから、後で皆で分けようぜ!」のあの喜々とした笑顔は、恐ろしかった。

 ということは、政子の中では正義を貫いているんだけれども客観的に見ると手段がどうみてもマズいでしょ、って事態になるのか・・・それが伊賀氏の変での「でっちあげ」等になっていくのか?

 唯一の希望というか救いは泰時なんですよね。彼が最後にすべての登場人物の夢を叶えるみたいな感じの存在になっていくので、また、坂口(健太郎)さんが凄くこう汚れのない感じでね、何か泰時のピュアな部分であるとか希望みたいなものを凄く一身に背負っているみたいな感じがとても良くて、彼がいるから、ほんのちょっとですけれども最終回に幸せな気分にみんながなれる。そんな存在ですね。

 やっぱり義時がダースベーダー(アナキン・スカイウォーカー)なら、泰時はルーク・スカイウォーカーだということか。「全ての登場人物の夢を叶える」って・・・みんなに公平な政を実現するということか?

 田舎の愛すべき親分時政パパ、プーチンのように力に物を言わせる支配者ダーク義時、そして法治に向かう希望の泰時、というように、権力との対峙の仕方が世代が下るに従って進化していく北条家を描いていくことになるのか。

 あの頑固なまでに真っすぐだった母・八重の気質を受け継ぐ泰時。妻の初が読み解いてくれた、時政パパ追放時の「自分みたいになるなってこと」という義時の覚悟を、どう受け止めていくのだろう。

 「もしも俺が悪に堕ちたら、お前が俺に引導を渡すんだよ」とのメッセージもあったように思ったので、ダークに堕ちた義時と対峙する泰時は、政子と共に義時排斥に動くのだろうか?歴史は繰り返すってことかな。

必見の最終回。義時はどこに到達するのか

 義時の人生を描くにあたって、最期、彼はどこに到達するんだろうか、それは物語として何を描くんだろうかと同じことなんですけれども、僕が思った以上に結果ダークになっていくんです。色んな人の死に関わってきた彼が、最期幸せに亡くなって良いんだろうかっていうのが凄くあって、やっぱり彼なりの最期をきちんと描くべきじゃないかっていう感じがしての最終回ですね。大河ドラマではあんまりない主人公のラストシーンになった気がします。僕なりにドキドキしました。こういう終わり方なんだ、でもこの終わり方しかない。

 ・・・なんだかすごいことになりそうな最終回。義時も、ダークヒーローらしく、平穏な死は迎えないようだ。

 「義時がどこに到達するかは、物語として何を描くかと同じこと」、プーチンのように力任せでダークな支配者と化した義時が、己を犠牲にしても子孫にあるべき鎌倉武士政権を残すため、美しく滅びていくということなんだろうか。

 SNSでも、義時は反面教師として悪の限りを尽くしてでも問題を力で一掃し、キレイになった鎌倉を泰時に残そうとしているといった内容を書いている人がいた。

 その義時の終わり方を考えていたら、「樅ノ木は残った - Wikipedia」の原田甲斐が思い浮かんだ。汚名を一身に背負って、彼は斬殺されていったように思う。1970年に平幹二朗主演で大河ドラマになっている。相通じる部分があるような気がする。

 スタジオに居た小池栄子は、最終回の脚本を受け取った後のことを、こう言った。

 武者震いしたもんね。私、三谷さんと旬君にメールして(最終回凄いです、と)、ちょっともう口があんぐりしちゃって、自分が想像だにしてなくて、そしてこれに携われてるんだってことで、もう役者冥利に尽きるって言いますか、ヤッバとも思ったけど。

 主演の小栗旬も、続けて

 よくぞこういう終わりを書いてくれたなと思って、全然自分が思ってたのと違うラストシーン。すごく幸せ、結果ヤベーな。ここまで48話、もしもお客さんがとっても喜んでくれる作品を作ってきたのにあのラストシーンで台無しにするわけにはいかないっていう感じがある。

 これを語る小池栄子と小栗旬の言葉に、出演が終わって台本をもらえなかった坂東弥十郎は「えー!」と思わず声を上げ、佐藤二朗も「この番宣番組は百点満点だね。だって見ないといけないってなるもん。違う役でいいからもう1回出して」と言い出した。最終回はもちろん必見、私も見る気満々だ。

 当然、注目されるのは義時の死から伊賀氏の変がどう描かれるのか。

 【予想その1】

 義時の死については、私は、あれだけキノコ推しの義時だから、「のえ」こと伊賀の方が供する毒キノコ膳を食して死ぬパターンになるだろうと予想している。

 ただ、中毒死が意図的なのかウッカリなのか・・・もしかしたら、「りく」と違ってあの「のえ」なら、考えが至らないだけで深い悪意は抱かないような気もするので、ウッカリなのかも。米粒を指に付けたままで「裁縫をしていた」との噓をつくウッカリぶりだから。

 だから、彼女が義時の死という重大な結末を引き起こしても過失だったということで、温情によって伊豆への流罪で落ち着き(時政パパとりくの例に倣って)、後任の執権の座に就く泰時は、伊賀氏の変で処罰された伊賀の方の一族を、政子の死後に早々に許すのではないだろうか。

 何しろ、北條寺で義時と並んで葬られているのは、伊豆に流されて数か月で死んだという彼女なのだ。自分の過失を気に病んで亡くなったのかも。意図的に義時を殺していたとしたら、泰時がふたりのお墓を並べてなどくれない気がする。

 【予想その2】

 ただ、予想その1ではちょっとつまらない。小池栄子が「口あんぐり」とまではならない気がする。ということで、義時のキノコ中毒が狙ったものであるならば、どんなものが考えられるだろう?(毒キノコ膳は決定しておく)

 ダースベーダー化した義時が承久の乱後に益々増長し、「なんとかしなければ」と考え始めた「のえ」。もう止められるのは自分しかいないと思い詰め、自分の兄弟に相談する。彼女自身は純粋にやむを得ない気持ちだったのかもしれないが、兄弟は色々と狸の皮算用を始めてプロットを練り、三浦義村に相談したりと動き出す。

 「のえ」は、自分なりの心配を政子にも「りく」にも相談する。そして、「のえ」は義時に「ちょっと体調を崩して政からは引退してもらえたらいい」と考え、毒キノコを使うことを政子に伝える。

 政子は冗談半分でその話を聞き、「ちょっと、何を言っているの、危ないから止めておきなさい」と言うものの、そこまで本気にすることなく、積極的には「のえ」を止めない。ただ、政子も、ダーク義時の行いはもう目を瞑れないと日頃から思っていて、「のえ」の悩みには理解も示し、彼女の実行前に少なくとも知っていた。

 ここでちょっと気になったのが、伊賀氏の変と牧氏事件の相似点。考えてみたら、どちらも継室の「りく」と「のえ」が生んだ息子(政範、政村)が北条当主の座を狙い、娘が嫁いだ相手(平賀朝雅、一条実雅。どっちも雅)が次期将軍に擬せられていた。

 前回、「のえ」は伊豆に流される「りく」に「北条の皆さんとうまくやっていくには?」と教えを乞うていたシーンがあったけれど(無理に馴染もうとしない事、誇りに思う事とりくが返答)、その後もやり取りが続いていたとしたら。権力欲が未だくすぶる「りく」が政村と一条実雅に関してアドバイスを送り、「のえ」の兄弟が「それいいね」と乗ったかもしれない。

 そこまでは考えていなかった「のえ」も、兄弟の賛同を心強く思い、意を決して夫に毒キノコ膳を用意。義時が体調を崩す程度のつもりだったけれど、義時は毒キノコ膳が美味しくて箸が止まらず食べ過ぎ、死ぬ。「のえ」は義時の死に驚愕して政子に連絡、全てを泰時にも打ち明ける。しかし「のえ」の兄弟は思惑通りと・・・ということで、どうだろうか。

 政子が迅速に収拾に動くのも、「のえ」から冗談半分に聞いていた話があったからだろうし、泰時が慌てなかったのも、政子から話を聞いていたのかも。それで泰時は義母「のえ」を伊豆流罪にするのでは。「のえ」の兄弟たちは、話に乗じようとしていたから幾分罪が重くなるが・・・。

 【「かしまし」きりゅう版最終回予想】

 しかし、この【予想その2】も弱いじゃんねと思っていたら、私が大ファンの「かしまし歴史チャンネル」のきりゅうさんがぶっ飛びの最終回を予想していた。

 これこそ小池栄子も「口あんぐり」の政子黒幕説。全然思い浮かばなかったが、あるとしたら凄い!の一言だ。さすがクリエーター。

 ただ、三谷幸喜はインタビューで「いつ北条政子はみんなの知っている悪女になるのか。ならないです。(MC:ならないまま、でも歴史上はあの悪女のように見える)そうそう、それをやってみたかったんですよね」と言っているから、アリかも・・・!

 政子も純粋に鎌倉を守るつもりで「泣いて義時を斬る」なら、彼女の中では決して「悪」ではない。そういうことかな。最終回予想は動画の12'40"あたりから。ぜひお楽しみください。

youtu.be

(敬称略)


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