黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

【鎌倉殿の13人】実朝はこうして見捨てられた

源仲章のビックリ顔に劣らぬほど驚いた終わり方

 11/20に放送されたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第44回「審判の日」は、建保7年(1219年)1月27日の「鎌倉の悲劇の1日」をたっぷり描くのかと思いきや、悲劇を描かないまま直前で終わった。覚悟を決めてテレビ前に臨んだこちらはビックリだ。え~なんでそこで終わるかな!

 次回、11/27の「八幡宮の階段」に悲劇は持ち越される。悲劇の1日は、2回に渡って描かれるということだ。27日は実朝君の月命日だからわざわざその日に延ばしたんだとか、実はワールドカップにぶつかることを考えて少しでも大河に引き留めようとしたんだとか、色々想像した。とにかく、せっかく固めた覚悟をまた次回💦というのはしんどい。今年の大河ドラマは、見る側のメンタルがとことん試されるようだ。

 前回ブログでも源仲章の増長ぶりは触れたけれど、演じる生田斗真が悪役を振り切って演じていて、本当に憎らしくて素晴らしい。

 大階段下で、義時の前に現れた時のあのビックリ顔!キタキタキタキタ。「殺されたはずの私が生きてて驚いてるだろう?義時よ」と言わんばかり。蹴落とす寸前と見切っている相手・義時の驚きをからかったその表情は、秀逸だった。

 「私を狙った雑色(トウ)を捕らえた。必ず吐かせてみせる。しくじったなあ」と言って、義時に向かって手を出した仲章。はっきり描かれず次回へとなったが、どうやら儀式の太刀持ちの役を義時から奪い取った様子だ。「式に関してはこの源仲章が全てを任されておる」と言っていたからね、憎たらしいこと。まあ、それが彼の運の尽きなのだが。

 25日の「あさイチ」に出演した主役・小栗旬も、43回の「私が執権になろうかな!ハハハハハ(高笑い)」の場面では「殺す!」と思ったって言ってましたからね!

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 現実のヒールは、仲章みたいなあからさまな行動はしない。もっと密やかに、ずっと味方の善人のような顔でそこに居て、気づいて警戒した時には大芝居に出る。罠は周到に出来上がっており、ターゲットは反撃の1つもできないうちに立場を失う。罠にかかったことがあるので、わかる。

 まあ、これはドラマだから。ヒールの仲章がやりたい放題飛び跳ねてくれるのがとても面白い。次回、仲章は雪の大階段で無様な死に方を派手に披露するのだろう。変な言い方だけど、ご活躍を待っている。

 心配なのは、仲章に捕らえられたトウだ。派手なアクションが予告では待っているようだけれど、何とか逃げのびさせて幸せにしてほしい。オリジナルキャラなのだから、三谷幸喜が鬼かどうかがトウの扱いで測れる。

 善児に両親を殺され、連れてこられて弟子にさせられた彼女。もしかして親の仇である善児を討ち果たして以降は、殺しは成功していないのでは。善児を殺した時に、義時の下にはもう戻ってこなければいいと思ったけれど、戻ってきたのは、故郷の修善寺にも帰る場所が無かった・・・ということなのか。

 殺し屋としては失敗続きだし、もうお役御免でいいよね?ハッピーエンドでお願い!

考えの浅い3番目の妻「のえ」

 仲章関係でもう1人。仲章に仕掛けられていた「のえ」だが、ふたりの会話から、かえって夫・義時に対する彼女の信頼が見て取れた。

仲章:頼家様が北条殿に殺されたという輩もいます。まさか、そのようなことは

のえ:言っておきますけど、うちの人がやった訳ありませんから(にっこり)

 しかし、その後の展開が妻として哀れだった。

のえ:申し訳ありませんでした

義時:あの男は私を追い落とそうと躍起なのだ。なぜ御所まで来た?

の:あの御方が貝合わせをしたいとおっしゃるので

よ:お前に近づいたのも魂胆があってのこと。なぜそれが分からぬ

の:それ以上のことは何もありませんでした。手も握ってません

よ:そんなことはどうでもいい!

の:・・・どうでもいい?

よ:何を聞かれた?正直に答えよ。余計なことをしゃべってはいないだろうな

の:私を見くびらないで!

 「のえ」は、義時の言う「魂胆」や怒りの意味が分からず「自分への興味」「嫉妬」と受け止めるズレっぷり。相変わらず視野が狭い。そして来週、夫婦の亀裂はさらにひどくなりそう。それを伊賀氏の乱の遠因として描くのかな。

 義時は、いつから心の中で妻の「のえ」に見切りをつけていたのか。太郎が実朝からの恋の歌の返歌に四苦八苦していた際に、義時は太郎の部屋でリラックス。妻の下でくつろげない様子は伝わった。

 最初の八重ができすぎた理想の妻であり、2番目の比奈は黙っていても夫と自分がロミオとジュリエット張りに苦しい状況に置かれていることを理解して動くだけの知恵があった。比奈に育てられた泰時も立派になった。

 ところが、3番目の「のえ」は・・・全体的に考えが浅い残念キャラ。陰ひなたがありつつも悪人ではない、でも、自分の側からしか物が見えない人。育てた朝時を「品がない」と「のえ」自身がこき下ろす始末だ。

 こういう「のえ」のとぼけた性格は、後天的に治せるものでもないような。まあまあ持ち上げられて育つ環境に居続けられるなら、それなりに幸せな生涯で終われそう。けれど・・・うまいな、妻をこの類のキャラに仕立てることで、主人公は公私ともに追い込まれていくのだ。

実朝クン、考えが浅い王子様だったんだね

 どこぞで開かれたトークショーで、実朝役の柿澤勇人が「『私』と言う時に『僕』と言っている気持ちで、と言われたのが撮り始めて1カ月経過してからだった」と言っていたそうな。そうか、三谷幸喜の頭の中で、やっぱり実朝はボクちゃんだったんだね、なるほど。

 今44回は、史実かどうかは置いておくとして「え、何を言い出すの?」「実朝の守役は何をしていたのじゃ!」と叫びたくなるくらい、実朝の能天気で唐変木でアンポンタンっぷりに驚く展開になった。このおバカさん、これじゃ義時かわいそう。

実朝:いずれ私は京へ行こうと思う

義時:京へ?

仲章:右大臣ともなれば、本来は上皇様のお傍にお仕えすべき者

さ:ゆくゆくは、御所を西へ移すつもりだ

よ:お待ちください

な:内裏は近い方が何かと都合がよいのだ

さ:六波羅にしようと思う

よ:頼朝様がお創りになったこの鎌倉を、捨てると申されるのですか

な:はっきり言ってここは験が悪い

よ:鎌倉殿にお聞きしている!

さ:そういうことにはなるが、まだ先の話だ。今日は太刀持ちの役目、よろしく頼む

 何が「そういうことにはなるが」・・・ああ、実朝の教育を間違えましたね。

 実朝の言葉を聞かされた義時のショック、うろたえ振りは、手持ちカメラでの撮影だったとのことで、義時の映る画面がグラグラ揺れて最大限に表現されていた。義時にしたら、鎌倉を捨てるだなんて、天地が引っくり返るようなことを当の「鎌倉殿」が「何か問題ある?」と爽やかに言い出した。これは愛想が尽きる。

義時の堪忍袋の緒が切れた

 たぶん42回に「このままでは済まさん!」と言っていた義時。前回ブログでも引用したが、義時はこう言っていた。

これ以上、西を大事にすれば坂東の御家人全てを敵に回します。あの御方に頼家様のようになってほしくないのです

 義時の助言を蔑ろにして実朝の肩を持って京にも赴いた政子に対しては、もう、実朝を何とかしろともアレじゃ困るとも、義時は何も言いに行かなかった。これまで鎌倉殿を彼なりに一心に支えてきた義時の、心の疲労を思わせる。プツっと堪忍袋の緒が切れたかな。

義時:今にして思えば、私の望んだ鎌倉は頼朝様が亡くなった時に終わったのだ

大江広元:あなたは頼朝様より鎌倉を託された。放り出すことはできません。あなたの前に立ちはだかる者は皆、同じ道をたどる。臆することはございません、それがこの鎌倉の流儀。仲章には死んでもらいましょう

 大江殿に弱音を吐きに行った義時は、どこまで自分の心の内を大江殿に話したのだろう。既に実朝を見捨てることは念頭にあったはず。大江殿は「仲章には死んでもらいましょう」とは言ったが、実朝を見限ることまで聞いたかどうか。そして、彼が同意したかどうか。

 同意したかな。大江殿は、鎌倉を捨てる鎌倉殿が襲われることについては、黙認しそうで恐ろしい。たとえ、それが愛する尼御台の息子であっても。やっぱり、あの時「尼御台のお心ひとつ」なんて政子に良い顔をしないで、一理ある小四郎の言う方向に政子を誘導すべきだったんじゃないのかな、大江殿。それが悲劇の元になっている。

 とにかく、義時は決断した。「胸騒ぎがしてならない」と、公暁による実朝襲撃を疑って危険の芽を摘んで歩く泰時に対し方向転換、「謀反を示す証拠は何一つない」「これ以上の詮索は無用である」「めでたい祝いの日に水を差すな」と牽制した。

 他方、弟の五郎トキューサには正直に心の内を伝えた。

義時:お前にだけは伝えておく。ここからは修羅の道だ、付きあってくれるな。

トキューサ:もちろんです

よ:源仲章には死んでもらう

ト:鎌倉殿にはどうご説明を?

よ:公暁が、その鎌倉殿を狙っておる。おそらく今夜、拝賀式の最中

ト:すぐに公暁殿を取り押さえましょう

よ:余計なことをするな

ト:・・・え?

よ:(ためいき)もはや、愛想が尽きた。あの御方は鎌倉を捨て、武家の都を別のところに移そうと考えておられる。そんな御人に鎌倉殿を続けさせるわけにはいかん、断じて

ト:(無言で義時を見つめる)

 こうして、義時は公暁の行動を黙認した。トキューサとの会話は守り神の戌神像の前で、これがサブタイトルの「審判の日」の意味なのだろうか。義時は実朝に審判を下し、そして修羅の道を行くと決めた義時は、戌神の審判を受けるのか。

 この恐ろしい兄の決意を黙って飲み込むトキューサ。あの善児の小屋での決意表明以来、彼は淡々と義時に従ってきた。まさか、姉の子でもある主君を兄が見捨てるとは、と驚きも大きかったはずだが・・・彼も大した悪人だ。

公暁母子の苦難を、実朝が「痛いほどわかる」訳ない

 義時が公暁の実朝襲撃を黙認すると決めた一方で、三浦義村は泰時の動きを警戒して「勘づかれた。今日は取りやめだ。若君にお伝えしろ」と、公暁支援から撤退。公暁は「三浦は忘れる。後は我らだけで」と4人の弟子に目をやった。

 北条義時黒幕説、三浦義村黒幕説が否定されて公暁の単独説に・・・とも言えるけれど、あそこまで公暁を煽り立て、計画に肩入れしていた三浦は教唆犯ではないのか。無罪放免では納得いかない。

 この時点で、実朝襲撃は公暁の胸ひとつに。そこに母・つつじが登場。演じる若手・北香那の熱演が見事だった。実年齢では、息子・公暁役の寛一郎とは親子とは言い難いのだろうけれど、立派に「母」だった。「ここで止めねば」という気持ちで強めに演じたそうだ。(特集 ムービー 第44回より つつじ役・北香那さん | NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」

つつじ:あなたはあなたの道を生きるのです。立派な僧となって、八幡宮の別当として鎌倉殿をお支えする。それが天から与えられた道

公暁:それでは、母上が与えらえた道とは何なのですか?父上を無残に殺され、息子を仏門に入れられ、暗君の妻としていわれなき汚名を受けて生きなければならなかった母上の道とは?

つ:誰がそんなことを

こ:この公暁、全てを知っております

つ:私は少しも悔いてはおりません。何故だかわかりますか?頼家様が私に授けてくれたあなたがいたから。あなたがすべきは、千日の参籠を成し遂げること。命を危うくしてはなりません。生きるのです、父上の分も

 公暁は一筋の涙を流し、この後、鐘が遠くに鳴る中、ひとり無言で悩み考えていた。母の言葉は堪えたのだろう。

 しかし、公暁の引き返そうとしたかもしれない気持ちを、あろうことか実朝本人がぶち壊しに来た。なんとも三谷幸喜はご丁寧と言うか何と言うか・・・💦

 辛い日陰の境遇にあった公暁に対して、光り輝く鎌倉殿の座に居る、ちょっと浮いてるボクちゃんの実朝。三善康信から「頼家は急な病の後、生き返った」顛末を聞きだし、ショック状態で政子と対面、涙ながらに訴えた。

「公暁が私を恨むのは当たり前です。私は鎌倉殿の座を返上しなければなりません」

「私は鎌倉殿に成るべきではなかった」

「もちろん、親王様はお迎えします。今やめれば、上皇様に顔向けできません。だからこそ公暁が哀れでならないのです。教えてください、公暁を蔑ろにして、なぜ平気なのですか」

 その勢いで涙を流しながら公暁に頭を下げに来た実朝。ボクちゃんさ加減が公暁の心にまた火を点けてしまった。

実朝:すまぬ、公暁

公暁:鎌倉殿?

さ:今となっては親王様の一件、どうしても断るわけにはいかないのだ。どうか許してくれ

こ:お顔をお上げください

さ:さぞ、私が憎いだろう、許せぬだろう。お前の気持ちは痛いほどわかる

こ:あなたに私の気持ちなどわかるはずがない

さ:公暁

こ:幼いころから周りから持ち上げられ、何一つ不自由せず暮らしてきたあなたに、志半ばで殺された父や、日陰でひっそりと生きてきた母の悔しさが分かるはずがなーい!(実朝息を吞む)私はただ、父の無念を晴らしたい、それだけです。あなたが憎いのではない。父を殺し、あなたを担ぎ上げた北条が許せないのです

さ:ならば、我々の力を合わせようではないか。父上がお創りになったこの鎌倉をわれら源氏の手に取り戻す。我らが手を結べば、必ず勝てる(うなずく公暁)。ただし、これ以上血は流したくはない。悪を討つなら、戦ではなく正々堂々と裁きを受けさせれば良い。(公暁落胆)案ずるな、義は我らにある

こ:お急ぎください、まもなく式が始まります(実朝去る)・・・騙されるものか!

 実朝が、「父上がお創りになった」と呼ぶ鎌倉を捨ててまで御所を京に移したかったのは、きっと北条の力の及ばない所へ行きたかったから。もちろん、源仲章が焚きつけたことだろう。そうすることで北条のバックを捨て、そしておそらく他の御家人たちの支持をも失う。自分の存在意義、支持基盤を自ら捨てる大きなリスクを冒そうとしていると、実朝は理解しているか。

 しかし、ここで公暁とタッグを組めれば、鎌倉に居るまま鎌倉を北条から取り返すことも可能だと実朝は考えたのだろう。公暁も、ここまでは良かった。

 暗転したのは「ただし」以下。身内を既に殺された側にすれば「目には目」を求めたくなる。実朝が言う「裁き」では、頼家を葬った北条勢力は結局は温存されてしまうだろう。実朝は泰時に未練があったのかもしれないが、公暁は北条を滅亡させたかったはずだ。

 さて、公暁による実朝への審判は下った。「審判の日」に、義時と公暁が実朝に見切りをつけた。怖いけれど、次回の惨劇を見届けよう。

義村は刎頚之友じゃなかった?

 そうそう、大事なことを一つ。義時が指摘していた「あいつ(義村)は言葉と思いが別の時、必ずこうする(襟を直す)」点。これにはやられた。

 義村が襟を直す仕草、どこかで・・・と思ったら、あの比企の乱で比企能員が殺される直前、義村がバーンと開いた扉の向こうに現れて「義時とは刎頸の交わりよ」と言った時に、確か襟を直していた。つまり、義村は義時のことを刎頚之友なんて思ってないと今になって分かった。驚愕の事実だ、騙された・・・💦

 そうなると、義村は本気で義時を潰しに来る。これは、最終回で義村が義時を殺すのかもしれない。もしかして、大江殿がバックアップする政子と組んで?

(ほぼ敬称略)