黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【どうする家康】#30 戦国のヒロイン・お市が「敗軍の将」、エサに釣られた家康は歯噛み

秀吉を甘く見ていたよね?家康、忠次

 NHK大河ドラマ「どうする家康」の第30回「新たなる覇者」が8/6に放送され、戦国時代のヒロインお市の方が柴田勝家とともに越前北庄城で命を終えた😢😢😢

 まずは公式サイトからあらすじを引用する。

無事、浜松へ戻った家康(松本潤)。一方、秀吉(ムロツヨシ)は織田家の後継ぎを決める清須会議で、信長の孫・三法師を立てつつ、織田家の実権を握ろうとしていた。そんな秀吉の動きを苦々しく見ていた市(北川景子)は柴田勝家(吉原光夫)との結婚を決意。秀吉と勝家の対立が深まる中、家康は旧武田領に手を伸ばす関東の雄・北条氏政(駿河太郎)との一戦に臨むことになる。(これまでのあらすじ | 大河ドラマ「どうする家康」 - NHK

 先ほどいつものように土曜日の再放送を見ていたら、色々と気づくところもあり、当初の放送とはまた印象が変わった。いつものことで、そうするとこうやってブログを書きたくなる。今日もダラダラ行きますよ~次回放送までに間に合うか?

 今回、主人公・家康は柴田勝家&お市陣営からの手紙を度々受け取っていたようだったが、援軍を出さず、静観した。徳川家中からも、度々お市を助けに行こうと声が上がっていたのにもかかわらず、自身の足元(甲斐・信濃)を固めることを家康は優先した。

 なんでお市を助けに軍を出さなかったのだろう。

 日曜日に見た時は、ただ「家康、なんかグズグズしちゃった結果、お市を見殺しかぁ」と思った。

 けれど、土曜日に再度見て思ったのは「ドラマでは見て見ぬふりの見殺しの話だったけれど、その実、家康は結構秀吉を甘く見てた結果、気づいた時にはチャンスを逃してもう手が出せなくなってたってことなんじゃないか」だった。

 もっと言うと、秀吉にまんまと釣られた結果、軍を出せなかったーーじゃないか。ちょっと秀吉兄弟の会話を見ると、2つの意味でまんまとやられている気がする。

秀吉:北条とぶつかったか。

秀長:徳川殿に助けを送りますか?

秀吉:何でえ?

秀長:徳川殿はあくまで織田家のために戦っとります。形だけでも。

秀吉:任しときゃあええ。

秀長:数が違いますに。北条は2万を超える大軍勢を動かしとる。

秀吉:ええか?弟よ。この20年、徳川殿が上様の下でどれほど多くの大戦をしてきたと思うとる?今や、あの三河もんに勝てる軍勢なんぞそうはおらん。ましてや、関東の端っこでぬくぬくしておった北条なんぞにゃあな。せいぜい潰し合ってくれりゃあええがね。ほっときゃあええ。こっちはそれどころにゃねえわ。

 1つは、家康は、秀吉に、旧武田領というエサを与えられて意識を逸らされていた。「徳川は、あくまで織田家のために北条と戦をしている」と秀長が言うのだから、そういう指示が出ている。その間に、秀吉が織田家を簒奪する魂胆。家康は「見て見ぬふり」を・・・してたかもね。しかし北条との戦は簡単じゃないし、そうするまでもなく、織田家中の争いには手も足も出せなかった気もする。

 そして2つ目は、会話の中にあるように「潰し合いを期待」と言う点だ。将来の白兎潰しを見込んで、北条とやり合って軍を痛めておけと。秀吉は頭いいなー家康は、まんまとやられている。

 オープニング明け、秀吉の実力をしっかり理解できていなかったノンビリ家康は、こう酒井忠次と会話していた。

家康:まさか秀吉が明智を討つとはな・・・。

忠次:かくも恐るべき速さで備中から京まで引き返すとは。まるで何もかもお見通しだったかのごとくですな。

家康:うむ。

忠次:秀吉は、信長の仇を討ったと触れ回っております。まあ、そうたやすく織田家の天下は揺るがんでしょうが

 秀吉への感想は「まさか」。そして「織田家は揺るがない」。これが本音で、徳川家中の基本的な考え方がこうだったのではないか。

 しかし、一応この後、家康は秀吉を警戒するよう指示を出している。

家康:だが・・・なんせ秀吉だからな。左衛門尉、奴の動きから目を離すな。

忠次:はっ。

家康:秀吉の好きにさせてはならぬ。

 白々しい・・・この後の行動はこの言葉と矛盾してないか?「ボク、警戒していたもん!」と言うなら、全っ然足りなかったと思う。

家康:我らが急ぎ成すべきことは、甲斐・信濃・上野の三国を鎮め、北条より先に手に入れることじゃ。秀吉のことはひとまずお市様にお任せし、我らはその間に揺るぎない実力をつけよう。さすれば天下も自ずと近づいてくるというもの。

 これは秀吉の目論見通りだ。結果として、家康が頼れる味方は失われ、敵は大きくなった。そして小牧山で対峙せざるを得なくなった。家康には先見の明が無い。エサに簡単に釣られ、カッコ悪いこと甚だしい。

 誰かが勇気をもって声を上げている時、お任せしたり傍観しちゃダメだ。助けなきゃ。自分が追い詰められるターンが来た時に、味方が誰もいなくなる。

 家康には、勝家やお市の危機感は伝わっていただろうか。ドラマでは幼い頃のお市への想いなんか持ち出して家康は悔しがって見せていたが、どうも浅い。エサに釣られてたくせに・・・最後の「秀吉はわしが倒す」も何を今さら。本気なら、早くお市が生きている間に立とうよね。お市を助けに行こうとの本多忠勝らの声は正しかったよね、早いうちだったら!

お市は、敗軍の将として責めを負う

 それにしても、「織田家の血が流れている&かなり美しい」という特上のかぶり物をあてがわれて、お市は気の毒な人だ。かぶり物の価値がべらぼうに高いが故に彼女をトロフィーワイフのように欲しい人たちは、彼女のマインドなどどうでも良いのだから。自分を卑しい人間と言わせないためにお市を妻としたがる、今作の秀吉がいい例だ。

 このドラマのお市様は、かぶり物だけでなく精神も気高く、最後は一軍の将として立派に振る舞った。市がほほ笑んで娘たちを北庄城から送り出して以後の、勝家(+α)との会話は凛々しかった。

勝家:そなたも出よ。

市:断る。

勝家:信長様に顔向けできん!

市:一度ならず二度までも、夫だけを死なせて生き恥をさらすことこそ地獄にいる兄に笑われようぞ。

 私は、誇り高き織田家の娘じゃ。男のように乱世を駆け巡るのが我が夢であった。最後にほんの少しそのまねごとができた。この戦の総大将はこの市であると心得ておる!(市に対して膝を付く勝家)敗軍の将はその責めを負うもの。一片の悔いも無い。織田家は死なぬ。その血と誇りは、我が娘たちがしかと残していくであろう。(気配に振り向く)

茶々:(戻ってきて話を聞いていた。おずおずと進み出て、お市に抱きつく)母上の無念は茶々が晴らします。(お市の目を見て)茶々が天下を取ります

市:(涙の滲む目でほほえみ、茶々にうなずく)

 夫である勝家も、市の前に膝を付き臣下の礼を取った。市は敗軍の将として責めを負う覚悟があり、その無念を晴らし、天下を取ると茶々が宣言。親子今生の別れの胸アツ場面だった。

 家の駒として政略結婚相手に嫁がされる女子の悲哀は、これまでの時代劇やら大河ドラマで散々見てきた。お市様も大抵そんな弱弱しい描かれ方。だが今作は従来の流れと少し違う。瀬名もそうだったが、ヒロインを受動的な人物にとどめない。

 とても現代的に見えるが、女性が男性の陰に押し込められた江戸時代に比べ、戦国時代には女城主も存在し、相続権やら社会的な力が認められていたと聞くし、お市が能動的に甲冑を纏う姫だったとしても愉快でいい。

 それこそお市の娘の淀君は、大坂の陣で鎧に身を固めて城内を見回った話を聞く。「真田丸」でも、今は亡き竹内結子が繊細に演じていた淀が、派手な秀吉を思わせるカラフル羽根つきの鎧姿で出てきた気がする。今作でも淀は、母親のお市が北庄落城でやっていた姿を大坂落城の際に真似ることになるのか。(北川景子が淀も二役で演じるのだったら、2回も甲冑姿になるのか。)

 ただ、お市が総大将を自認するのは、元々そんな夢を持っていたセレブ女子だという設定だから良いのだけれど、外にいる徳川家中の面々からも、何の疑いもなく当たり前のように「お市様から仕組んだのかもしれませんな」「やはり柴田勢の本当の総大将は、柴田勝家でも織田信孝でもなく、お市様かと」といったセリフが聞こえてきたのが、どうも納得できなかった。

 瀬名は、三河に嫁いで「おなごは政に口を出すな」とばかりに、一向一揆の戦でも黙って握り飯を作らされていた。そんな風土に育っているあなたたちは、何を知っていてそう言うの?

 お市が年の瀬の挨拶に綿布を贈ってきたから?綿布に特別な意味でも・・・と考えてみると、「おんな城主直虎」で、柴咲コウ演じる「女城主」直虎が領地で綿花を育てさせていた。綿布を商品として売りさばいたのは、今作で秀吉を演じているムロツヨシの豪商・瀬戸方久だったけど?

 他に何か意味があるのだろうか?

(追記:「越前の綿は当時大変な貴重品だった」とのこと。秀吉と地元中村の住民とのエピソードを読んで知った。なるほど!「あの大将首を獲った武将をクビにしろ」部下管理のプロ・家康が大手柄の猛将を即切り捨てた納得の理由【2023上半期BEST5】 「泣くまで待とう」とはまったく違う…背筋が凍るほどの厳しさ (4ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

家康よりも兄・信長が好き

 さて、お市なりに目算が無いわけではなかったが、秀吉という相手が悪かった。信長次男の信雄が秀吉に誑し込まれ、織田家は分裂。お市や信孝などを先に悉く潰し、御しやすい信雄を後で潰せば織田家は終わりだ。

 秀吉軍の兵火に城を囲まれいよいよ最期かという時を迎えても、お市はまるで天守から花火を眺めているかのように落ち着いて見えた。娘たちの手前、平静を装っていたのだろう。笑顔で「はい!」と嘘をついた後、初と江を抱きしめた顔は泣きそうだった。

 その最期に甲冑姿のお市が身に着けていた黒いベストは、初期の信長が用いていた物なんだとか。今川義元の兜首を投げつけた印象的なシーンで岡田信長が着た物を、背中側をたくさん詰めて細くして、北川景子が着ていると彼女のインタビューで知った。

www.nhk.or.jp

 このインタビューで、面白いことを彼女は言っていた。今作のお市は、初恋の相手は家康となっているけれど、実は好きなのは兄・信長の方なんだと。家康ラブの信長フィルターを通して家康を見ていたから、自分も勘違いしていただけ、みたいな話?

北川:凄く強くて戦に長けている兄のことは、凄く尊敬していたと思いますし、兄のために自分がどう役に立てるかというか、何ができるのかということを考えて生きていたんじゃないかと思います。

 何となく初恋のシーンとかはありましたけど、いつも私が家康さんを見る時は、兄を通して見ているという感じだったので、兄がいて初めて保たれていた関係というか。

 すごくいい人だなとは思うけど、兄に対する愛情の方が強いんですよね、すごく。それは感じました。

 そうだよね。金ケ崎の退口の時に、阿月ちゃんに浅井の裏切りを報せに行かせるのは家康の陣所じゃなくて、お市ならどう考えたって兄の信長の方じゃない?物語として不自然だよな、と感じたのを思い出す。確かブログでも指摘した。

 不自然ついでに思うのは、幼い竹千代が溺れた市を助けて(!)「お市様は竹千代がお助けします」と言い出した件。弱虫泣き虫鼻水垂れだった小学生低学年の当時の竹千代君、いきなりどうした?だった。

 残念ながら、強い兄を追いかけて織田家の総大将を名乗るくらいのたくましい女子なら、幼少期でもバカにするなと反発するのでは。「何か勘違いを?私は私が守ります。強い兄もおりますので」ということだ。

 お市と家康との初恋説は、演じた北川景子もああ言うのだし、家康だけの片思いでは?お市の側は、大好きな兄信長がそんな風に理解していたから(どうじゃ、恋焦がれていた男に振られる気持ちは、みたいなことを言っていたね)乗せられてその気になってあげた、ぐらいのものかも。

 だから、家康を待ってたなんてストーリーは、申し訳ないけどしっくりこなかった。後に家康を逆恨みする茶々のための無理やりな筋立てだろう。お市は、兄の地獄からの援軍だったら待ってたのかもね。そっちの方が全然かっこいいな。

お市の娘たち

 それにしても、今作の脚本家は強い姫君が好き。以前も書いたが、今作では出てこない信長正妻のお濃(帰蝶でもいい)、映画「レジェンド&バタフライ」では綾瀬はるかが演じてやたら強いとか。

 初夜の格闘で信長を組み伏せて「聞きよった通りのひ弱でがらんどうの嫡男じゃ」と言ってのけるんでしょう?(辛酸なめ子の信長&濃姫夫婦をイラストレビュー|WEB MAGAZINE レジェバタ公記 - 新聞・雑誌|映画『レジェンド&バタフライ』公式サイト|大ヒット上映中 (legend-butterfly.com)

 そちらにはお市が出てこない。どちらも「男勝りの強い姫」のキャラ被りになる。今作では、その「男勝りの姫キャラ」は、今後は茶々=淀殿が担うのだろう。

 前述の、母の最期の覚悟を聞いた茶々が、市に抱きついて

母上の無念は、この茶々が晴らします

と誓いを立てたが、後のことを考えると、大きな十字架を背負ったものだと胸が痛む。

 茶々が秀吉に取った振舞いについては「13歳の子役に何をやらせるのか。茶々はどこでそんなことを学んだのか」とは思ったけれど。(しかしあんなことで、人たらしの達人・秀吉が籠絡されるものか?)

 それよりも、ちょっとお市の次女・初の変な受け答えが私は気になった。初がこんなにも人の話をちゃんと聞けないという点は、大坂の陣の講和での伏線になってくるのだろうか。

初:母上は、徳川殿に輿入れするかもしれなかったというのは誠でございますか?

市:えっ?誰がそのような・・・。

江:そうなのですか?

市:嘘じゃ。幼い時分に顔見知りであっただけ。

初:もしかしたら、私たちの父上は徳川殿だったかもしれないのですね

茶々:つまらぬことを申すな。我らの父は浅井長政じゃ。

 茶々は反抗期にあるらしく、物言いはそっけないが正しい。初の言っていることは滅茶苦茶、ものすごい飛躍だ。母が明確に「嘘じゃ」と答えているのに、勝手に妄想が弾けてしまっている。

 人の話を聞けず、妄想癖のある初が、大坂方の運命を背負って切れ者・阿茶の局との講和の席に着くかと思うと空恐ろしい。そりゃ大坂城のお濠が全部埋められても仕方ない。

本多正信がさっそく始動

 今回のブログはお市の話がメイン。だが、楽しみに待っていた本多正信についても触れておきたい。殿に北条との戦に参陣するよう呼ばれ、ようやく鷹匠から側近へと昇格か。逃がしてしまった鷹はどうなった?於愛がいきなり「イカサマ師殿」と呼びかけていたのがおかしい。家康がそう裏で呼んでいるんだな。

 於愛に「足の古傷の具合がどうも」と最初は言っていたのに、鷹を逃がしてしまったので、きっとその件を有耶無耶にするために「そこまで殿が仰せならお供せねばなりますまい」と言い出した。相変わらずだ。

 北条の氏政・氏直親子は、定番の汁かけ飯で登場。2万を超える軍勢で甲斐・新府城に陣を敷く徳川の3000に対抗してきた。「持ちこたえられないから手勢を呼び寄せよう」という井伊直政に、やってきた本多正信は「それはいかがなものか」と言う。正信に「来たか」と言う家康はほんのり嬉しそうだ。

家康:来たか、正信。

正信:散らばった手勢が集まれば、敵の散らばった手勢もまた集まり、敵がさらに膨れ上がります。

直政:しかし、既に敵は大軍。

正信:大軍ゆえに動きは緩慢。山中では大軍は進むも退くも意のままにならん。彦右衛門殿の手勢を密かに動かし、黒駒あたりで待ち伏せしてみては?

直政:それでも、数は及びませぬ。

正信:狭き山道ゆえ、数の差は気にならん。

家康:(爪を噛んで)僅かな兵で大軍を追い払うことができれば、勝利以上の値打ちがある。やってみるか。

直政:殿、このような奴の言葉を・・・。

家康:直政。一軍の将になるからには、こやつのずる賢さも学ぶが良い。

正信:学ぶが良い。

直政:一軍の将?

家康:召し抱えた武田の兵はそなたに預ける。

正信:(喜びを押し隠す直政をニヤニヤ見る)

 面白いよね、正信は出てくるだけでこちらがニヤニヤする。家康も熟考ポーズが出て、その上で正信に賛同するぐらい彼の策には説得力があったのだ。そりゃ側で使いたくなるよね。

 北庄城への援軍についての軍議でも、お市を助けに行こうという忠勝や康政らを尻目に、正信が出てきて言った。

正信:前田利家も柴田を裏切ったと聞く。つまり、織田家臣の多くは秀吉に調略された訳じゃ。

康政:なぜそんなことになったのか・・・。

正信:それこそが秀吉という男の才覚。(略)殿、これはあくまで織田家中の争い。我らはただ静観し、勝った方に「おめでとうございまする」と言いに行くが上策かと。

 これには石川数正と酒井忠次の両家老も同意、静観が決まった。的確な物の見方ができ心強いと、正信は評価されていくのだろう。

 こうなると、石川数正の動向が気になってくる。もしかしたらこの正信の再加入は、数正の出奔に関係するのだろうか。キャラがやや被りだからな・・・なんてことだけじゃなく。

蛇足・家康が光秀を討てた場合の「もしも」を妄想する

 今回の家康は、於愛に「古い約束があってな・・・お相手はずっと覚えておったんじゃろう。なのにわしは、その約束を一番果たさねばならん時に果たせぬ・・・祈ることしかできぬ」なんてノスタルジーたっぷりに語っていたのだが、いやいやそこまで思うのだったら行動に起こせよ、と言いたくなった。

 結局、秀吉に乗せられての自国の利益優先で、「自重」という名の見て見ぬふり。市の死を知って「気持ちはあっても動けなかったんだよ」的な表現がまた、中学生が鬱憤晴らしで机を叩くような幼稚さだったのが見ていて情けない。「秀吉は、わしが倒す」と口にするのも中学生っぽくて今さら感満載。今作の家康は、信長が死んで少しは大人になったのかと思ったのにな。中坊のような反応はもうやめてほしい。

 前回ブログで、「ヘタレじゃない本当の家康」なら、瀬名と信康の仇の信長の首を取るために準備万端整えた上でやることとして、

  • 光秀を嵌めて信長を討たせ、
  • アリバイ作りに堺で遊び、
  • 手なずけた伊賀者の案内でスムーズに帰国、
  • 謀反人光秀を討ち果たして天下に号令(←秀吉が討つ)

ーーという筋書きを示し「情報収集に長けた秀吉に出し抜かれ、計画をコンプリートできなかったのでは」と書いた。

 秀吉が秀長に説明していたように、当時の三河の兵は強かった。でも、もし家康が先んじて光秀を討っていたとしても、家康は秀吉と違い、織田家は織田家として、外様の家康が織田家の内部抗争には介入しなさそう。

 そうなると、まずは信孝なり信雄なりが三法師を支えて政を行うのを外から眺め、そのうち起きる織田家内部の争い・下剋上を目撃し・・・結局は白兎を潰す気満々の秀吉と戦うことになるのかな。

 でも、家康が「光秀を成敗した者の責任として」もう少し早期に織田家の内部抗争に関われたか?例えば、最後の最後に残った信雄からお呼びがかかる前に、生前の信孝&お市と連携できたかもしれない。それこそ、お市が選ぶ結婚相手は家康になったのかも。

 ただ、軍勢が強くても、勝家がそうだったように口八丁の秀吉にどんどん周囲が切り崩されて、追い詰められたか・・・結局、才覚お化けの秀吉には敵わず、正解は「争いの外にいて秀吉の死を待つ」だったかな。

(敬称略)