黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

【鎌倉殿の13人】頼家が「助けて」と言えたら

坊っちゃん頼家、人に頼れず空回り

 第2章が始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、7/17に放送された第27回はタイトルとは微妙に異なるサブタイトル「鎌倉殿13人」だった。

 先ほど土曜日の再放送を見て、日曜日の本放送では見逃していたことに気づいた。頼家、あんなに涙を流していたとは・・・そうか、そうだったか。頼家なりには傷ついていたんだ。

 今日はタブレットで見て気づいたのだけれど、日曜日に最初に放送を見たのはスマホの小さな画面(NHK+)だったか。それで見逃してしまっていた。その後、月曜日に家族と大きなテレビ画面で録画を見たのに、中の人の渾身の涙の演技を見逃していた。「頼家、イヤイヤ期か。困ったお坊ちゃんだな」程度にしか思っていなかった。

 確かに、頼家にしては長いセリフを言っていた。「鎌倉殿を侮るな」「儂にも手足となる者がいる」「儂はそんなに頼りないか。儂なりに精一杯やっている、それが気に入らんのか」・・・。

 頼家については、乳母の比企家で養育され育った。比企出身の比奈が「困った時ほど助けてくれと言えない性分なんですよ。鎌倉殿は待っておられるのでは」と義時に言い、義時がサポートメンバー「5人衆」(その時は)を設える方向に動き出すことになったのだった。

 先日のブログで、政子についてこう書いた。

(略)八つ当たりしても人に味方になってもらえるものでもない。助けてとお願いするしかないのだ。すぐ切り替えて、政子はそうした。

 頭の良い政子は、ちゃんと必要な時に必要な相手に「助けて」が言える。見極められるのは、現代でも社会を生きるには大切な能力だと思う。

toyamona.hatenablog.com

 そう、必要な時に必要な相手に適切な方法で助けを求められる能力。これは今も昔も、生きていく上ではかなり重要な能力だと私は考える。

 人間はひとりでは生きていけない。神のように万能ではなく未熟にできているものだし、他人はそれぞれ自らのことで精一杯になって生きているのだから、「今、助けてもらいたいのだ」と自分のために周囲を説得できるのは自分を置いていない。赤ん坊のようにいつまでも泣いているわけにもいかず、言葉を尽くすしかない。

 反対に、この世知辛い世の中、助けを求めずにひとりで何とかしようなんて甘い。どうにかできると考えるなんて、世間知らずなお坊ちゃんお嬢ちゃんとしか思えない。

 政子は、ピンチの時にさらりと助けを求めることができた。政子の手元で育っていたら、頼家も違ったのではないか。もっと周囲の人の支えに感謝して、爺さんたちの話も聞いて、大事にすることを政子は教えたのではないか。そうすると、いろんな局面でも助けてもらえるようになるかもしれない(相手の余裕があるかないかにもよる)。

 それなのに、名のあるお家のお子さんたちは、当時は乳母の手で育てられていたから・・・。特に今作の比企家の設定では(実際には人の善いおっとりしたご家族だったかもしれないと思わないでもない。北条家に対抗して潰されたというだけで史上では悪役扱いになるだろうから)、比企能員の妻・道があの調子でお坊ちゃん頼家を祀り上げるばかりで、人の信頼をどうやって得るべきか、なぜそれが大事か等は教えなかったことが、頼家の御家人への敵対的な行動を見てはっきりとわかった。

 今作の頼家は、生まれた時から周りに大事にされて当たり前に育ってしまったらしい。お膳立ては周りに全部やってもらって当たり前だと考えているように見える。そこがあの手この手で苦労してきた父・頼朝とは大きく違う。

 そして、二代目鎌倉殿として、自分にそれなりの自信もあっただろうけれど、菅波先生の分析・・・じゃない、江間太郎の言った通り、頼家は「経験が無い分、何をどうすればいいのかわからないのだと思います」。

 純粋培養、大事に大事におくるみの中で育てられて、そんな不安な状態に置かれたことが無かったのではないかと思われる頼家。手に余ることが生じた時に不貞腐れるのではなくて、政子や誰かにスッと相談できたら、暗い中で蹴鞠をしながら不安を蓄めていくこともなかっただろうに。

サポーターを敵認定しちゃダメだよね

 義時とのやり取りで頼家は「13人とは増えたものだな」と言った。これは「自分を信じない人の数」だと頼家は受け取めていたのだろう。その中に、「この先何があってもお前だけは私の傍に」と頼りにしていた叔父・義時まで入っていたと知ったのだ。

 そうすると、裏切られたと思うでしょうね。

 番組のオープニング前では、頼家は宿老の支えを「心強いな」と言っていた。その時、義時は「ご自分の信ずるところを大事に、のびのびやっていただきたい」と言っていたのだった。

 だから「己の好きなようにやれと言ったのは誰だ! もう北条の者は信じぬ(涙)」となってしまい・・・サポートメンバーのつもりなんだけどね、周りは。利己的にいっちょ噛みしたい人(それが実の祖父や乳母夫という悲劇)もいるものの基本的には頼家応援団だった。

 それを誤解して受け取った負けず嫌いのお坊ちゃんがとった対抗策が誠にわかりやすい。自分の近習を親衛隊にして披露、13人のサポートメンバーを敵認定宣言してしまった。

 御家人を前に「端から信じておらぬ」と言うこの幼さよ。自分の立ち位置が見えていない。まだ脳が完成していない teen brain の向こう気の強さ、それもとんちんかんな方向に突っ張っているのを見ると、気持ちが萎える。

    敵を味方にできるぐらいでいてほしいよね、仕える側の御家人としては。逆に頼家は、味方を敵にしてしまった。幼い。

 サブタイトルの「鎌倉殿と13人」の「と」は「=vs.」という、頼家側の見方を示したものだった。御家人側が鎌倉の先行きを危ぶんで暗澹たる気持ちになるのも分かる。

 それにしても。いつも説明の足りない主人公・義時だ。薄っぺらな慰めの言葉はスルスル全方位によく出てくるのに、肝心なところで心からの言葉が足りないように見える。言っていることは言っているんだけど、アリバイ作りのようで、相手の不安に寄り添い切っていない。相手に「言いくるめられた」と感じさせていては失敗だろう。

 明日7/24は「名刀の主」。自分を名刀になぞらえていた梶原景時の追い落としが描かれるのだろう。サポートメンバーが1人減り2人減り・・・の最初の1人。こうやって頼家の死が近づいていくのだな。

 ドラマからの教訓。とにかく、周りの支えは大切に。安易な敵認定は自分の味方を減らすだけ、そして誰もいなくなる。止めましょう。