黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました

【鎌倉殿の13人】りくの感情爆発は次回か

35回の予告が怖い

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第34回「理想の結婚」の再放送を土曜日に見た。この回自体は、実朝と義時、それぞれの婚姻に向けての騒動を描き、これまで惨劇続きで気持ちが疲れていた視聴者に一息をつかせるような回だったなと感じた。

 しかし、その分、抑えたマグマは9/11の次回「苦い盃」で爆発しそうだ。

 もうね・・・予告を見ただけで息が詰まりそう。見栄えを誇る畠山重忠の嫡男・重保と見られる若者(こちらも見栄え良し)が、北条時政とりくの愛息・政範に異変が生じた宴会に同席し、政範が盃を取り落とすのを見て驚く顔が映っていた。

 ロングバージョンの予告はもっと怖い。りくがはっきり「息子は殺されたのですよ、畠山を討って頂戴」と宣い、義時の「次郎は忠義一徹」「必ず後悔いたしますぞ」という声に被せるように時政パパが「うるせー!」と一声。そして畠山重忠が「我らがいわれなき罪で攻められても良いのか!」と・・・。

 ああもうダメ。武士の鑑・畠山重忠のファンの皆さん、いよいよ覚悟を固めているだろうな。再放送の後に放送されていたお祭り関連番組(?)にも中の人(中川大志)がゲスト出演していたのも、そういうことなんでしょう。

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 34回で政範は急死し、桐の箱に入った遺髪だけが京都から帰った。実朝の御台所となる姫(後鳥羽上皇のいとこ・千世)を迎えに上京した使節の代表だった政範。その使節を迎える宴会準備が進む中、京と鎌倉の橋渡し役だった平賀朝雅に恐ろしい策略を吹き込んでいたのは源仲章だった。

 2代将軍の頼家を片付け、にわかに鎌倉を牛耳る形になった北条を嫌った後鳥羽上皇。その上皇の意向は、3代将軍源実朝を源氏筆頭の平賀が執権別当になって支えることだと吹き込み、「ご自身で執権別当になる気はないか?」と誘う仲章。

 政範がいるからダメだという平賀に「い・な・け・れ・ば?」、義時もいると返すとさらに「例えばね、政範殿が突然の病で亡くなりあなたが堂々と千世様を連れて鎌倉にお帰りになれば、時政殿はあなたを選ぶはず」「政範殿は鎌倉を離れている。この意味がお分かりになりますか?」

 そして、上皇の御前で慈円&仲章が暗号のようなやりとりをする。  

 「あの男にもしっかり助言しておいた」

 「渡した物を大事に使ってくれると良いのですが」

 「あとはあの男にどれだけの度胸があるか」

 ・・・ここまで畳み込まれてしまうとね。視聴者は「そうか、政範は平賀に殺されるんだね」と理解する。同席して「さてさて、何をお渡しになられたのか」と言った藤原兼子の手には、貝合わせの貝。貝に入れてあるというと、薬というか毒なのね、とこちらも想像する。

 それで、平賀朝雅は政範毒殺を敢行したらしく、政範は死ぬ。予告には、平賀朝雅が「りく」にこそこそと何かを告げ、その濡れ衣を誰かに着せているのを匂わせる場面があった。

 ただの病死としておけなかったのか・・・そうすれば他人は誰も傷つかないのに。自分の罪をあばかれるのを恐れ、誰かを積極的に犯人に仕立ててしまわないと安心できない心理でも働く何かが、次回は起きるのか?

 そのスケープゴートにされたのは宴会に同席した畠山重保、ということだね。

 吾妻鏡では、この宴会の席で平賀朝雅と畠山重保が口論になった話が書かれていると聞く。もしかして、政範が急に倒れたことで平賀朝雅を疑った重保が、平賀を詰問する場面でも次回は出てくるのか?

 だとすると、平賀朝雅は重保を生かしておくとマズいと思うだろう。それで、積極的に重保を消すために「りく」に告げ口するのか?そして、踊らされた「りく」によって、重保は、母の弟である政範のために正義感を発動させたにもかかわらず、祖父の北条時政に討たれることになるのかな・・・かわいそうすぎる。

 このあたりについては、ネタバレはしない!と誓っていた(?)「かしまし歴史チャンネル」の、きりゅうさんこと川合章子さんも、たまらず似た様な見解をぶちまけていた。私も次回の運びはそうなると思いますよ、いや、多くの視聴者がそう予想して震えてるから!

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 政範の母「りく」は、今回の政範の遺髪が届いた時点では顔色を失って息もできないぐらいの衝撃を受けているかのようなシーンがあった。けれど、見ているこちらはそれだけじゃ物足りない。もっと悲しみとか怒りを爆発させてくれないと。

 何しろ、頼家が死んだばかりで先のことは考えられないと言う悲しみの政子に対して、寄り添うこともなく「引きずらない!先に目を向ける!」と冷たく叱咤していた「りく」だ。

 政子に感情移入していれば「ふーん、自分の息子が死んでみたら同じことが言えるの?りくさん、どうなのよ・・・そろそろだけど」とあの場面でムッとしたのでは。そこらへん、宮沢りえなら十分にその演技力を発揮して表現してくれる。

 その畠山に対する「りく」の凄まじい怒り爆発はたぶん次回に描かれるだろう。その怒りのエネルギーに突き動かされてしまう時政パパなんだろうな。

 34回では、時政パパの、田舎の小さな組の親分が、いきなり全国規模の大幹部になって舞い上がったかのような専横振りもひどかった。義村が前回義時とトキューサに言っていたように、さぞかし他の御家人たちは眉をしかめていることだろう。

 訴訟の片方からいいアユをもらったからって、訴訟ごと「忘れよう」とは。そして笑顔で「後で一緒に食おうぜ!」と悪びれることなく皆に言ってしまうのだから・・・「もらっちゃいけないんだ」と義時にたしなめられても「さっぱりわからねえ」「わかってねえな、俺を頼ってくる気持ちに応えたいんだよ」と反論するとは。向いてないね。

 そうそう、政範と「りく」については、こちら(↓)のレキショックさんの解説動画が面白かった。ご関心のある方はぜひ。「りく」のバックグラウンドがわかる。

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 「りく」のおば池禅尼(「平清盛」では和久井映見が演じていた)について、今回の「鎌倉殿」ではどうしてスルーなのかとずっと不思議だったのだけれど・・・頼朝にとっては重要人物。ごちゃごちゃしちゃうからそこまで描かなくてもいいや、と三谷幸喜は割り切って端折ったのかな。ちょっとつまらない。

「藤原」兼子が出てきた

 次回がまたすごい展開になりそうなので、ちょっと先走ってしまった。34回「理想の結婚」に戻ろう。

 前述の後鳥羽上皇の御前サロンの場にいたのが、シルビア・グラブ演じる藤原兼子。後鳥羽の乳母だと「鎌倉殿」では紹介されている。1200年頃から俄かに表舞台に躍り出てきた女人のようだ。彼女が、実朝の婚姻について「お骨折りいただきました」と平賀朝雅によって「りく」に伝えられた「卿三位兼子様」だ。

 先日のブログに書いた通り、この「卿の局」こと藤原兼子だけが、この「鎌倉殿の13人」の女性キャストの中でオープニングで名字が表記されている。それがとにかく不思議だ。

政子の「北条」は表記しないのに、ドラマで兼子の「藤原」が恭しくも唯一女性で表記される理由は何だろう。藤原兼子の登場が楽しみだ。(【鎌倉殿の13人】北条政子さえ「政子」、なぜ? - 黒猫の額:ペットロス日記 (hatenablog.com)

 いやほんとに不思議なのだが・・・長く独身バリキャリ女官だったからなんだろうか。自身が藤原で、結婚相手も再婚相手もふたりとも藤原だから、藤原兼子に決まってる!ということなのか。だからって彼女だけ・・・なぜ。

 彼女については、これまた「かしまし歴史チャンネル」きりゅうさんが解説してくれていた。1201年に47歳で結婚するまで独身だったそうだ。

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 きりゅうさん説では、兼子は後鳥羽の乳母ではなく、後鳥羽に命じられて息子の土御門天皇の乳母になった人物だという。

 理由は後鳥羽上皇が天皇の位に就いたときに、乳母ならば慣例から三位に任じられるのだけれど、姉の範子は三位になっているのに兼子は当時はそうならなかったから。なるほど。兼子が三位になったのは、結婚した年の1201年だそうだ。

 姉妹で乳母を務めることが多かった時代に、姉・範子が後鳥羽の乳母だったこと。そして、1200年に範子が亡くなり、入れ替わるように兼子がどんどん出世したことも、兼子が後鳥羽の乳母だとの誤解につながったようだと・・・毎回説得力がありますな!

 最近では、「鎌倉殿の13人」が楽しみなのはもちろんのこと、この「かしまし歴史チャンネル」が家族ともども楽しみで、更新されていないか毎日のようにチェックしている。大河ホームページでの学者さんの解説も興味深いが、このきりゅうさんの解説も併せての大河ドラマだ。

実朝も、成長著しい

 さて、今回から実朝役はミュージカルスターの印象が強い柿澤勇人になった。鎌倉殿に出演しているミュージカル俳優は多いから、そのうちミュージカルの幕が開きそうだ。

 上座に座る実朝の御前に一番近い席にはわざわざ乳母の実衣が。おそばに付いて「座っているだけでいいから」を伝える伝言ゲームをやって見せたが、いや、大人に対して言うことじゃないでしょ・・・。そう思ったら、あれで12,3歳の実朝君だそうだ。

 座るときに袖をさばいたら、バッサーと広げた両腕が大きい。子ども扱いには違和感があり過ぎる。まあ、兄の頼家も、従兄の泰時も成長が著しかったから・・・ということにしておくか。とはいえ、もうちょっと少年期の子役を使ってもいいと思うけどなあ。NHKの子役発掘能力は素晴らしいのだから。

 実朝教育が始まり、笑えたのは何と言っても「天命」を背負って出てきた三浦義村。実朝の「めざせ!立派な鎌倉殿」カリキュラムでは「処世術」の担当で、少年実朝にいきなり「後腐れのない女子との別れ方」を講義していた。「女子の前では力の限り尽くします」だそうだ。

 政子が選り抜きの和歌を書き写した物を、実朝の目に触れるようにさりげなく置いてくる、という難しいミッションを三善康信がめでたく完遂し、実朝が目を奪われるシーンは胸熱だった。和歌をめくり、BGMも相まって「ズギューン」と胸を撃ち抜かれた様子の実朝。こうやって、彼の歌人人生が始まっていくのだ。

 政子は、そこまで和歌に対して教養を積み上げたのだと考えると、そちらも感動する。亀の前に教養のなさを指摘されていた政子が。なんと素晴らしい努力だろう。

 このドラマでは、政子を応援したくなるポイントが沢山ある。いい役で良かったね、小池栄子。女優さんとして、レベルが上がったのではないか。

なぜかキノコ好き女性を求める義時

 主人公・義時は、比奈が去って3人目の妻を娶ることになった。どうしてあんなにもキノコ好きにこだわるのか・・・いったい誰が、「女子はキノコが好き」だと義時に刷り込んだのだろう?

 こちらも記憶が定かではないが、最初の頃にそんな場面が出てきたか?頼朝は、八重さんがキノコを好きじゃないと義時に言っていたし、義時が変なキノコ信念を教えた泰時は、初にキノコを突き返されているし。なぜそうなった?

 ドラマには出てこなかった生みのお母さんが、キノコ好きだったのか?その影を無意識に追っているのか。謎解きはいつかあるのだろうか。

 今回登場の3人目の妻「のえ」は、キノコ嫌いなのに「キノコ~✨大好きなんです」と言ってしまえる裏表アリの人物だ。演じるのは菊地凛子。義時は、目をウルウルさせて感激している始末。しっかり彼女の術中にハマったようだった。

 「頼朝にすべてを学んだ」はずの義時に、あまり女の人を見る目が無さそうなのはなぜだろう。ああ、でも八重さんは当たりだった。比奈は、義時からという訳ではなかった。そうか、頼朝に仕えるのが忙しくて女子は眼中になかったから、見る目も養われなかったということかな?義村と違って。

 でもまだ「のえ」だってわからない。ヤンキーだって純情な女の子はいるじゃないか。実はイイコかもしれないじゃないか。

 「のえ」の肩には、一族の出世がかかっているんだろうね・・・かわいがってくれるおじいちゃん(二階堂行政)を始め、文官チームの期待を背負って頑張っているのではないか。おじいちゃんに頼られて「よっしゃー!」と気合を入れて、念入りに猫を被ったのでは。そして、義時も八田殿も手玉に取られた。

 今後、義時はせっせと彼女のためにキノコを採って運んでくるのでは。本当は嫌いな彼女は、義時に食べさせてしまえと毒キノコ含むキノコづくし膳を作り、義時は絶命することになり、この「鎌倉殿」が終わる・・・といった最終回予想をSNSで見た。

 ちょうど8/31をもって最終回を脱稿したと、9/8付の朝日新聞のエッセイ「三谷幸喜のありふれた生活」1101回に書かれていた。曰く、

最終回はかなりの衝撃。今までこんな終わり方の大河ドラマはなかったはず。参考になったのは、アガサ・クリスティーのある作品。どうぞお楽しみに。

とのこと。

 三谷幸喜は、何気なかったり笑えるポイントをリフレインして逆に泣かせてきたりするのが得意だ。頼朝と政子の出会いと別れの言葉と言えば「これは何ですか」。実衣と全成の「赤が似合う」もそうだった。だから、義時と「のえ」との別れはキノコがらみになるのではないだろうか?

 ということで、妻の心づくしのキノコづくし膳にまみれて主人公が死ぬアガサ・クリスティー作品はあったのかな・・・無いか。

気になった初のビンタ

 34回の冒頭で、義時は「私はあの御方のお子とお孫を殺めた。もはや持つに値しないのだ」と言って、泰時に頼朝の形見の小さな仏像を譲った。泰時は「いただくわけには参りません」と始めは断ったが、鶴丸が「もらっておけ、ここまでおっしゃっているのだから」と言うので、結局貰ったようだった。

 それについて、泰時は妻の初にぶちまける。「父はこれを持っていると心が痛むのだ。だから私に押し付ける。父は持ってるべきなんだ、自分のしたことに向き合って、苦しむべきなんだ。それだけのことをあの人は・・・」

 こういう泰時を見ると、八重の頑なだったところを思い出す。彼は母親の気質を受け継いだということか。頼朝を裏切った、ダークサイドに堕ちたと自覚する義時の「のぞみ」になるはずだ。そのような見方を父親にされていることに、いつ泰時は思い至るのだろう。

 初に「父上のこと、嫌いなんだなって」と言われて「嫌いとは違う」と否定する泰時。彼にとって大事な人をふたり、義時は奪ったも同然だ。幼なじみの頼家と、母代わりの比奈。その寂しさを泰時がぶつける相手は、確かに義時になるんだろう。

 その後、義時が再婚を伝えた時も「比奈さんを追い出しておいて、もう」と怒り、「言い訳だ!」「自業自得だ!」と激高。「もう一度申してみよ」と言う義時に、「父上は人の心が無いのですか?比奈さんが出て行ったのだって、元はと言えば父上が非情な真似をした・・・」と、そこで初が割って入り、泰時を平手打ち。やるね、初。

 初は親子の決定的な亀裂を回避するために夫を叩き、舅に向かって夫をフォローするという誠にできた振る舞いを夫のためにしていたのだけれど、これを泰時がどう受け止めるかが少し心配だ。

 泰時はまだ子どもで見方が一方的。さらに頑な。こうなった時に、初をも敵認定して心を閉ざしそうだ。もしかして、あの初の一発がふたりの離縁の引き金になるのだろうか。

 実朝に妻について聞かれた時、うれしそうに「尻に敷かれている」と答えた泰時。初々しいふたりの行く末は、どうなるのだろう。

(ところどころ敬称略)