黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

被害者の周辺

「逃げない」のでなく「逃げられない」

昔、新聞記者になりたての頃、ある刑事が私にこう言った。「普通の人は、警察署なんて運転免許の書き換えの時に来るぐらい。それが、わざわざ警察署に足を運んで被害を訴えようなんていうのは余程のことに決まっているのだから、こちらも覚悟して話を聞かな…

本村洋さんに、幸あれ

このブログで被害者に関する記事を書くにあたり、できるだけ被害者や関係者の実名を記すのは避けてきたつもりだが、匿名で書くのが無駄な努力とも思えるほど名前の知れ渡ってしまった被害者遺族がいる。本村洋さんだ。名前を聞くだけで、多くの人が「山口県…

支配は愛情ではない

ホイットニー・ヒューストンが亡くなった。まだ50にもならない、若すぎる死だ。1991年のスーパーボールでのアメリカ国歌の独唱は、「これまでで一番素晴らしい国歌独唱」との評価もあるらしく、YouTubeで探して聴いてみた。感動のあまり、思わず涙が出て、く…

客観的証拠が被害者を守り、犯人を追いつめる

「変だと思ってたんですよ、バイバ~イって手を振っていて・・・子どもが行方不明の親のすることかって」 6日昼のテレビで、インタビューされた近所の匿名女性がそう話していた。昨年9月、大分県で行方不明になっていた2歳の女の子の事件の話だ。 母親がチャ…

被告人の笑み

一瞬、何かの見間違いかと思った。 昨日の2月1日、知り合いの被害者の方に声を掛けられ、ある刑事裁判の地裁での公判を傍聴した。検察側の論告求刑が始まり、膨大な量の書類を検察官が早口で読み上げていく。論告要旨を読み上げている検察官はもちろん、3…

危険運転致死傷罪適用--検察はあきらめないで

実は飲酒も嫌いではなく、自分に甘いことでは人後に落ちないと家族に指摘されそうな私だが、飲酒運転だけはするまい、そしてまわりの人間にもさせまいと心に決めている。 飲酒運転については、お酒を飲まない側の幼い子供たちが何人も犠牲になるなど、悲しい…

「がまんが足りない」のではなく「人権」の問題

昨年暮れ、内閣府の男女共同参画局に「東日本大震災後の女性の暴力被害防止に向けて」と題した提言書を、「災害時の性暴力・DV防止ネットワーク」が提出した。その提言書をまとめる手伝いをしたが、その中で「東北地方では男尊女卑の文化が根強いので、被…

JR福知山線の脱線事故裁判で

この悲惨な事故が起きるまで、恥ずかしながら私は福知山線というJRの路線があることさえも知らなかった。しかし、106人の乗客の命を奪ったこの事件(加えて運転士1人も死亡)が起きたことで、関西の土地鑑のない私のような人間の記憶にも、この路線の名は刻…

死刑執行阻止のための出頭か

新年を迎えて、オウム真理教信者の逃亡犯がひとり大晦日に警察に出頭したとのニュースを聞いた。区切りがついたから・・・等と出頭理由を話しているそうだが、一連のオウム裁判が終結したことと、2011年は1件も国内で死刑執行がなかったことについて年末に報…

DV裁判・・・本当に「前科」無しか

寒い年末だ。昨年の今頃を振り返ると、年末のセールで風邪をひき、年明けまでずっと寝込んでいた。すぐ風邪をひく性質なので、今年は元気で暮れを迎えられそうなのがありがたい。せっかく元気なのだから、新年を迎えてしまう前に少しでも書かなくては!せめ…

お節介焼き・・・報われるとは限らないけど

残念な話を聞いた。先週、被害者支援に取り組んでいる弁護士さん達に頼まれ、ボランティアで遠隔地まで調査に同行したのだが、その被害者の方からクレームのお手紙を頂戴したのだそうだ。 私たちに対する様々な点での指摘があったのだそうだが、総じて「話が…

やっと一息

この2週間ぐらい、綱渡りの毎日だったがようやくトンネルを抜けたような気がしている。すべてのタスクを済ませたわけじゃないのだが(テープ起こしをお待ちのOさん、もう少しゴメンナサイ)、土曜日に、先週行った取材のメモを送信し終わり気が抜けた。と…

再審決定の報道を見て思うこと

引っ越し&その他もろもろにかまけて、ブログがだいぶおろそかになっていた。せっかく読んでくれていた人も、きっと忘れてしまったろうな…これから、少しずつ挽回したい。 さて、昨日の夕刊で、1986年に福井市で女子中学生が殺害された事件の犯人として逮捕…

いよいよ判決

控訴審の初公判は、私のようなオバサンには扇子が手放せない、暑いさなかだった。判決が11月…と聞いて、「あと3か月、悩み苦しむのか」と被害者のご家族はおっしゃっていたが、とうとう判決の日が近づいた。あさっての17日、東京高裁805号法廷で、2008年2月…

これは許せない! ドライバーマナー

ヤフーブログにテーマ設定されていた「これは許せない!ドライバーマナー(違反)」 …何が許せないって、そりゃ飲酒運転にきまっている。もちろん「飲酒運転はマナー違反を越えて法律違反でしょ」とのご指摘は当然あってしかるべきで、その通り。しかし、こ…

ポンコツで、申し訳ない

今月は、25日からの最終週に「被害者週間」が設定されており、たくさんの被害者支援関連の行事が先月末ぐらいから予定されている。私も、いつもにも増してお世話になっている被害者の方たちとお目にかかる機会があると思い、楽しみにしていたのだが、なんと……

秋葉原事件、映画化…被害者の「回復」について

パソコンを開いたら、この記事が目についた。 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2011/10/18/kiji/K20111018001841070.html 2008年6月に起きた秋葉原通り魔事件が来年3月に映画化されるのだという。タイトルは「RIVER」、監督は広木隆一という「…

アイシテル~絆

先週、9月21日に放送があったドラマ「アイシテル~絆~」を見た。見てから感想を書き込むまでに時間が経ってしまったが、これは特に事情があったわけではなく、私の怠慢です。 このドラマは、2009年に放送があった連続ドラマのスペシャル版として放送された…

それでも、生きてゆく

既に旧聞に属するが、管制官がブログに管制塔内の写真をアップするなどしていたとの報道があった。知人に見せたかったのだという。ブログが不特定多数の人の目に触れるものだという怖さを、まったく考えていなかったということなのかもしれない。 公に向けて…

ノルウェーの寛容さを語る前に

被害者に関することで、先週気になったことその2。 9月4日の読売新聞国際面に「ノルウェー 揺るがぬ寛容」と題したコラムが載っていた。書いたのは欧州総局の大内佐紀記者、昔の職場の先輩である。コラムは、今年7月に同国のウトヤ島で起きた乱射事件に…

危険な「私が助けてあげる」

被害者のことを考えさせられたことが先週ふたつあった。 まず、ドラマ。9月2日の午後9時から、フジテレビ系列で夏樹静子原作「検事・霞夕子~無関係な死~猟銃に撃たれた老人・痴漢に間違えられた男…2つの事故に疑惑が生じた時女たちの運命が変わる…!」…

注目の裁判・危険運転致死傷幇助事件

さいたま地裁から東京高裁へと舞台が移った「危険運転致死傷幇助事件」の裁判。裁判員裁判で裁かれるのは全国でも初めてであり、拙著「被害者のための刑事裁判ガイド」の第3部ケース2で、第3裁判(進行中)としてご紹介させていただいている話だ。昨日、…

テンペスト、いいんですけど・・・性暴力被害を軽視するな

今のところNHKのBSプレミアムで放送している「テンペスト」は、大河ドラマの「江」へのがっかり分を埋めるぐらい、とても気に入って見ている。私の日曜夜のお楽しみは「テンペスト」でもっているというぐらい。でも・・・「被害者の周辺」という書庫を…

仮設住宅で縛りあげられ死んだ内縁妻

石巻の仮設住宅で、内縁の妻が殺されたとの報道があった。 まず、この事件についての時事通信の報道を引用する。 仮設住宅で同居女性暴行=50歳男を逮捕—宮城県警 時事通信8月19日(金)20時38分 宮城県石巻市の仮設住宅で同居女性に暴行し手足を縛ったな…

拙著への反応…う、うれしい

久しぶりに、昨年11月に出版した「被害者のための刑事裁判ガイド」について、知人の支援者よりメールをいただいた。これまでの支援業務の中では使う機会がなかったそうだけれど、今回初めて業務の中で使い、使い勝手について「すばらしい」と思ってくださっ…

(3)DVの果ての生き地獄--軽く見られた妻の証言

おまけ。(2)の続きを書く予定はなかったが、判決後の報道があったので掲載する。 *息子殺害のクロアチア人の男に懲役12年 東京地裁 (2011/08/02 17:28) ANNニュース 自宅で1歳の長男を殺害した罪などに問われたクロアチア人の男の裁判で、東京地裁は、懲…

(2)DVの果ての生き地獄--軽く見られた妻の証言

前回からつづく <裁判官・裁判員のDVへの認識は・・・> 市民が裁判員になって裁く裁判員裁判の難しさを語るときに、一般に持たれている偏見にまみれている側が不利になるとはよく言われる。今回はその難しさが出てしまった裁判なのではないだろうか。被…

DVの果ての生き地獄--軽く見られた妻の証言(1)

縛り上げられた母親の面前で、1歳半の幼子の鼻と口がふさがれ、窒息死させられた。足をばたつかせ、苦しがる子。その動きを少なくとも5分以上封じ続け、殺したのは実の父親だった。母親にとり、これ以上つらい生き地獄があるだろうか。 7月25日からの先週5…